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都道府県の総合出先機関 ウィキペディアから
支庁(しちょう)とは、都道府県知事の権限に属する事務を分掌させるため、必要な地に条例により設けられる都道府県の総合出先機関を言う(地方自治法155条)。また、その管轄地域自体を指す場合もある。同様の機関として地方事務所、支庁出張所が同条に挙げられている。なお、これら都道府県の出先機関である支庁や支庁出張所、地方事務所には議会や公選の長はおかれず(支庁長、所長は知事部局の一般職員)、旅券発給や納税証明書発行等の窓口業務など、管轄地域ごとに行った方が効率のよい一部の業務を担当している。
この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
1871年7月の廃藩置県後、同年11月末までに府県は3府72県となったが、その後も府県の統合が続き1881年には3府43県まで整理された。この際に統合された旧県の旧県庁所在地などに支庁を置く例が多く見られた。これらの支庁は、府県の統治機構が整備されて府県全域の統合が進む一方で、1878年の郡区町村編制法によって設置された郡長と郡役所が府県の出先機関としての機能を持つようになったために、その多くが廃止された。
北海道の支庁は、1897年10月10日[1]、従前複数の郡を管轄した郡役所の代わりとして設置された。少ない人口が広い土地に分散している北海道では、本州並みの郡区画では狭すぎたため実態に合わせたのである。北海道で市制が施行された1922年、支庁が再編されて14支庁となった。
北海道以外の府県では、1926年の内務省告示(大正15年告示第82号)によって同年7月1日に18府県で25の支庁が設置された。これは同年の地方官官制改正により府県の出先機関としての郡長・郡役所が廃止されたことに対応して(地方自治体としての郡[郡会・郡参事会]は1923年の郡制廃止によって廃止されている)、交通不便な遠隔地や離島などについて県の出先機関を存置したものである。東京府や島根県、長崎県などの離島では従前の島庁が支庁に改組された。1942年の地方官官制改正により事実上の郡長・郡役所の復活に当たる地方事務所が設置されると、これらの支庁のうちの多くが地方事務所に改組された。ただし、後に地方事務所の統合によって支庁が新設された例もある。その他、もともと共通法で内地とされ1943年には法令上の特例が廃止・正式に内地編入された樺太の4支庁も北海道に準ずる。
1947年5月3日に施行された地方自治法では、北海道の支庁も含めて都道府県の事務を分掌する出先機関は各都道府県が条例で定めることとなった。現在では地方事務所・支庁のほか、地方振興局・行政センター・県民局などの名称を用いている府県もある。また、一部の市町村のみに総合出先機関を設置している都府県もあり、総合出先機関を設置していない府県もある。
山形県では、地方事務所の上部機関として総合支庁が置かれている。
2001年、山形県は業務のスリム化と権限移譲を図るため、これまで設置していた各地方事務所や保健所、福祉事務所、建設事務所等の機能を以下のとおり1つの機関に統合し、「総合支庁」と呼称することとした。
以下は共通法1条で内地とされた地域で、戦後、設置条例が制定されており、かつ、条例あるいは条例に基づく規則等において、地方自治法第155条第1項を根拠とすることがうたわれているものを挙げる。
北海道では、それまでの支庁を、2009年度10月以降に総合振興局・振興局に再編することが決定。2008年6月28日の道議会で、14支庁を9総合振興局に再編し、その下に総合振興局の出張所として5振興局を置くこととする条例が可決された[2]。
しかし、縮小の対象となった支庁のうち、檜山支庁、日高支庁、留萌支庁、根室支庁の支庁所在地を抱える管内各自治体はこの再編案に反発し、また、再編する際に必要な公職選挙法の改正が先送りされ(北海道では衆議院小選挙区区画区分を支庁管内境界で区分している)[注釈 1]、2009年4月実施は不可能となり、当初の条例は施行されず、結局、2009年3月31日の道議会で、「北海道総合振興局設置条例」が、改正・改称され、総合振興局・振興局改称後も、どちらも地方自治法上の支庁の扱いになった。総合振興局は、隣接する振興局管内の広域行政を担うことができる、網走支庁がオホーツク総合振興局となる以外は名称は現在の支庁名を継承する、幌延町が留萌支庁管内から宗谷総合振興局管内・幌加内町が空知支庁管内から上川総合振興局管内に移る、などが定められた[3]。2010年4月1日より適用された[4]。
名称 | 位置 | 所管区域 | 旧条例(未施行)における名称 |
---|---|---|---|
渡島総合振興局 | 函館市 | 渡島地域・(檜山地域) | 道南総合振興局 |
檜山振興局 | 江差町 | 檜山地域 | 檜山振興局 |
胆振総合振興局 | 室蘭市 | 胆振地域・(日高地域) | 日胆総合振興局 |
日高振興局 | 浦河町 | 日高地域 | 日高振興局 |
空知総合振興局 | 岩見沢市 | 空知地域・(石狩地域) | 道央総合振興局 |
石狩振興局 | 札幌市 | 石狩地域 | 石狩振興局 |
後志総合振興局 | 倶知安町 | 後志地域 | 後志総合振興局 |
上川総合振興局 | 旭川市 | 上川地域・(留萌地域) | 道北総合振興局 |
留萌振興局 | 留萌市 | 留萌地域 | 留萌振興局 |
宗谷総合振興局 | 稚内市 | 宗谷地域 | 宗谷総合振興局 |
オホーツク総合振興局 | 網走市 | 網走地域 | オホーツク総合振興局 |
十勝総合振興局 | 帯広市 | 十勝地域 | 十勝総合振興局 |
釧路総合振興局 | 釧路市 | 釧路地域・(根室地域) | 道東総合振興局 |
根室振興局 | 根室市 | 根室地域 | 根室振興局 |
2006年度から2007年度にかけて設置。
(県税及び土木に関する事務は分掌していない。)
島嶼部のみ支庁が設置されている。
※ 政令指定都市の横浜市と川崎市を所管するセンターは設置されていない。(相模原市は県央地域県政総合センターが所管)
名称 | 位置 | 所管区域 |
---|---|---|
村上地域振興局 | 村上市 | 村上市、岩船郡関川村並びに粟島浦村 |
新発田地域振興局 | 新発田市 | 新発田市、阿賀野市、胎内市、北蒲原郡聖籠町 |
新潟地域振興局 | 新潟市 | 新潟市(一部業務は市に政令市移行時移譲)、五泉市、東蒲原郡阿賀町 |
三条地域振興局 | 三条市 | 三条市、加茂市、燕市、西蒲原郡弥彦村、南蒲原郡田上町 |
長岡地域振興局 | 長岡市 | 長岡市、小千谷市、見附市、三島郡出雲崎町 |
魚沼地域振興局 | 魚沼市 | |
南魚沼地域振興局 | 南魚沼市 | 南魚沼市、南魚沼郡湯沢町 |
十日町地域振興局 | 十日町市 | 十日町市、中魚沼郡津南町 |
柏崎地域振興局 | 柏崎市 | 柏崎市、刈羽郡刈羽村 |
上越地域振興局 | 上越市 | 上越市、妙高市 |
糸魚川地域振興局 | 糸魚川市 | |
佐渡地域振興局 | 佐渡市 |
※2017年4月1日に旧地方事務所が地域振興局に名称変更。その際に上小地方事務所→上田地域振興局、下伊那地方事務所→南信州地域振興局、北安曇地方事務所→北アルプス地域振興局に変わった。
※ 西濃振興局揖斐事務所は揖斐郡、中濃振興局中濃事務所は関市、美濃市、郡上市、東濃振興局恵那事務所は中津川市、恵那市を管轄。
2001年(平成13年)に10県民局体制が発足したが、県の権限が政令指定都市・中核市に移譲されている地域については2014年(平成26年)より小規模な県民センターに改組されて7局3センター体制となった。
名称 | 位置 | 所管区域 |
---|---|---|
神戸県民センター | 神戸市 | 神戸市 |
阪神南県民センター | 尼崎市 | 尼崎市・西宮市・芦屋市 |
阪神北県民局 | 宝塚市 | 伊丹市・宝塚市・川西市・三田市・川辺郡猪名川町 |
東播磨県民局 | 加古川市 | 明石市・加古川市・高砂市・加古郡稲美町・播磨町 |
北播磨県民局 | 加東市 | 三木市・小野市・加西市・西脇市・加東市・多可郡多可町 |
中播磨県民センター | 姫路市 | 姫路市・神崎郡市川町・福崎町・神河町 |
西播磨県民局 | 赤穂郡上郡町 | 相生市・赤穂市・宍粟市・たつの市・揖保郡太子町・赤穂郡上郡町・佐用郡佐用町 |
但馬県民局 | 豊岡市 | 養父市・朝来市・豊岡市・美方郡香美町・新温泉町 |
丹波県民局 | 丹波市 | 丹波篠山市、丹波市 |
淡路県民局 | 洲本市 | 南あわじ市、淡路市、洲本市 |
概ね、現旧の郡単位で置かれている。
2013年に東部総合事務所(鳥取市)、八頭総合事務所(八頭郡八頭町)が廃止され、業務は県庁各部署に移管された。また、日野総合事務所は西部総合事務所日野振興センターに再編された。なお、県税に関する業務は県庁直轄の各県税事務所(総務部の下部組織)が分掌している。ただし、県民税利子割・法人県民税・法人事業税・地方法人特別税・県たばこ税については全域が東部県税事務所の担当、鉱区税・産業廃棄物処分場税(法定外目的税)については全域が中部県税事務所の担当、ゴルフ場利用税・軽油引取税については全域が西部県税事務所の担当となる[5]。西部総合事務所日野振興センター・西部県税事務所日野支所は所管地域内の一部業務のみ担当し、所管外業務は西部総合事務所・西部県税事務所が全域を担当する。
※ 鳥取市、岩美郡岩美町、八頭郡若桜町、智頭町及び八頭町は県庁直轄(県税に関する業務については東部県税事務所が担当する)。また、2018年4月1日から、福祉保健・生活環境に関する業務は一部を除いて管轄外となる(鳥取市保健所の管轄)。
地域事務所は所管地域内の一部業務のみ担当し、所管外業務は県民局本局が全域を担当する。
※備前県民局の業務の一部は政令指定都市の岡山市が管轄外となる。
2004年度までは壱岐・対馬・五島の3支庁、2008年度までは同地方局。
平成25年4月1日より広域本部を設置。
西臼杵郡以外の地域は支庁でなく本庁直下の県税・総務事務所が7箇所に配置されている。
大島支庁は、第二次世界大戦終戦後の1946年(昭和21年)から1953年(昭和28年)の奄美群島の本土復帰まで、日本国の施政権下から分離されており、分離直後には南西諸島米国海軍軍政府監督下の「大島支庁」となり、その後臨時北部南西諸島政庁、奄美群島政府、琉球政府奄美地方庁を経て本土復帰に伴い、再び鹿児島県の支庁となっている。
これらの府県では、分野ごとの出先機関(地方自治法第156条にいう「保健所、警察署その他の行政機関」や、第158条にいう「内部組織」。例:福祉事務所、土木事務所 等)を府県内各地に配置している。なお、複数の出先機関が同居する庁舎を合同庁舎と称すことが多い。
名称 | 位置 | 所管区域 |
---|---|---|
葛南地域振興事務所 | 船橋市 | 船橋市、市川市、習志野市、八千代市、浦安市 |
東葛飾地域振興事務所 | 松戸市 | 松戸市、野田市、柏市、流山市、我孫子市、鎌ケ谷市 |
印旛地域振興事務所 | 佐倉市 | 佐倉市、成田市、四街道市、印西市、白井市、八街市、富里市、印旛郡 |
香取地域振興事務所 | 香取市 | 香取市、香取郡 |
海匝地域振興事務所 | 旭市 | 旭市、銚子市、匝瑳市 |
長生地域振興事務所 | 茂原市 | 茂原市、長生郡 |
山武地域振興事務所 | 東金市 | 東金市、山武市、大網白里市、山武郡 |
夷隅地域振興事務所 | 大多喜町 | 勝浦市、いすみ市、夷隅郡 |
君津地域振興事務所 | 木更津市 | 木更津市、君津市、富津市、袖ケ浦市 |
安房地域振興事務所 | 館山市 | 館山市、鴨川市、南房総市、安房郡 |
支庁所在地の後ろは管轄区域
※は1942年12月1日、またはそれ以前に廃止
最終的に豊原・敷香・真岡・恵須取の4支庁に再編された。各支庁所在地は1945年8月の名称。
共通法で内地とされなかった、いわゆる外地においても支庁設置の例がある。
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