由布市
大分県の市 ウィキペディアから
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由布市(ゆふし)は、大分県のほぼ中央に位置する市である。温泉地として名高い由布院温泉を擁する観光都市である一方、大分市のベッドタウンとしての性格も併せ持つ。
由布市は大分県のほぼ中央に位置し、北部には由布岳・城ヶ岳、南部には黒岳・花牟礼山・時山など標高の高い山岳がそびえる。市の中央部を流れる大分川によって形成された平地付近に市街地が集積しており、源流付近・由布院盆地に旧湯布院町、中流・河岸段丘の左右に旧庄内町、下流・平野部に旧挾間町の市街地を抱える。大分川沿いの市内を国道210号、JR久大本線が縦断しており、旧湯布院町では大分自動車道および大分県道11号別府一の宮線(やまなみハイウェイ、九州横断道路)が交わる。旧庄内町、旧湯布院町の一部の地域は阿蘇くじゅう国立公園の指定を受けている。国道210号沿いの九重町との境界上にある水分峠は九州における中央分水嶺の一つを成しており、由布市側の大分川水系と九重町側の筑後川水系を隔てる。
大分川沿いという繋がりをもつ市域ではあるが、明治期の行政区画においては「旧庄内町・旧挾間町は大分郡」「旧湯布院町は速見郡」として成立した経緯を持つ(その後、昭和期までに現在の市域全体が大分郡に編入された)。大分市への鉄道網が整備された前者側は合併直前においても大分都市圏の変遷に含まれており、一方の後者側は温泉観光地同士を繋ぐ目的もあり別府市との交通網が早くより構成されてきた。現在においても、NTTや九州電力の管轄地域の違いなどで交流地域の名残を確認することが出来る。
全国的に名高い由布院温泉を初め、市内各地に5つの温泉が立地しており、市内の大部分が国民保養温泉地「湯布院温泉郷」に指定されている。
瀬戸内海式気候に属しているが、市の大部分が山岳丘陵地域であるため、内陸性の気候の特徴が強く気温差が大きい。観測地点の設置されている旧湯布院町の中心部には盆地が形成されており、気温の日較差が大きい(そのため、放射冷却による朝霧が多発する)。大分自動車道の霧・降雪による交通規制もこの付近の気候の影響を強く受ける。2016年現在、湯布院の観測地点においては熱帯夜が観測されたことがなく[1]、避暑地としても扱われる。
湯布院での観測値
湯布院の気候 | |||||||||||||
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月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 年 |
最高気温記録 °C (°F) | 19.6 (67.3) |
23.5 (74.3) |
24.5 (76.1) |
28.3 (82.9) |
31.7 (89.1) |
32.9 (91.2) |
35.5 (95.9) |
35.9 (96.6) |
32.8 (91) |
29.9 (85.8) |
26.1 (79) |
21.8 (71.2) |
35.9 (96.6) |
平均最高気温 °C (°F) | 7.3 (45.1) |
9.0 (48.2) |
12.9 (55.2) |
18.5 (65.3) |
23.0 (73.4) |
25.2 (77.4) |
29.1 (84.4) |
29.8 (85.6) |
26.0 (78.8) |
21.0 (69.8) |
15.5 (59.9) |
9.7 (49.5) |
18.9 (66) |
日平均気温 °C (°F) | 2.3 (36.1) |
3.4 (38.1) |
6.8 (44.2) |
11.9 (53.4) |
16.8 (62.2) |
20.4 (68.7) |
24.2 (75.6) |
24.5 (76.1) |
20.7 (69.3) |
15.0 (59) |
9.4 (48.9) |
4.1 (39.4) |
13.3 (55.9) |
平均最低気温 °C (°F) | −2.2 (28) |
−1.6 (29.1) |
1.1 (34) |
5.5 (41.9) |
10.9 (51.6) |
16.3 (61.3) |
20.3 (68.5) |
20.4 (68.7) |
16.5 (61.7) |
9.9 (49.8) |
4.1 (39.4) |
−0.8 (30.6) |
8.4 (47.1) |
最低気温記録 °C (°F) | −12.3 (9.9) |
−13.2 (8.2) |
−10.1 (13.8) |
−4.9 (23.2) |
−0.6 (30.9) |
5.8 (42.4) |
10.7 (51.3) |
12.0 (53.6) |
3.8 (38.8) |
−1.6 (29.1) |
−5.2 (22.6) |
−9.9 (14.2) |
−13.2 (8.2) |
降水量 mm (inch) | 59.2 (2.331) |
76.1 (2.996) |
109.6 (4.315) |
121.5 (4.783) |
153.4 (6.039) |
362.9 (14.287) |
355.2 (13.984) |
240.9 (9.484) |
264.6 (10.417) |
117.3 (4.618) |
76.1 (2.996) |
55.4 (2.181) |
1,992.2 (78.433) |
平均降水日数 (≥1.0 mm) | 7.8 | 9.2 | 11.8 | 10.3 | 9.6 | 14.8 | 13.7 | 12.0 | 11.6 | 8.1 | 8.4 | 7.9 | 125.1 |
平均月間日照時間 | 108.8 | 122.1 | 151.1 | 176.1 | 185.5 | 118.5 | 141.2 | 155.4 | 118.7 | 145.8 | 128.3 | 114.5 | 1,665.9 |
出典1:気象庁[3] | |||||||||||||
出典2:気象庁[4] |
住所表記において、かつての町で使われていた「大字」の表記及び「小字」、番地の枝番を示す「の」が取り除かれた。また、大字の前に合併前の旧町名を冠している。(一例、市役所所在地は大分県由布市庄内町柿原302番地)
豊後国風土記に由布の由来である「木綿」及び「柚富郷」が記されている。平成の合併の過程においては、「由布市」が市名一般公募のうち最多票を得た[5]ことで、そのまま選出された。旧湯布院町域の由布院温泉の他に、旧庄内町域・旧挾間町域にまたがる由布川・由布川渓谷など市域の広い範囲に関わりがある。
古墳時代は大分国造、大化以降は豊後国にあり、奈良時代には大分郡の柚富郷と呼ばれていた。城岳(城ヶ岳)、鋒塔山(星岳)、竹中山(黒岩山)の山麓には、平安時代から鎌倉時代にかけて、国司大神良臣の子孫の庶家が、松ヶ尾城、鳥ヶ鼻塞を建造した。
鎌倉時代からあとは、国司に変わって守護大名の大友氏が入国したので、大友氏族の武将らと、大神氏族の武将らが衝突したこともあったという(『両豊記10』氏姓遺恨之事)。
安土桃山時代、薩摩の島津軍が豊後国を侵攻したときには、大友氏と大神氏庶家、地元の農民がともに戦いに尽力し、島津軍を撤退させている(天正の戦)。
江戸時代には、地域により大分郡の阿南郷・賀来郷、速見郡の由布郷と呼ばれており、行政はおおむね岡藩が行っていた(『豊後国志』)。
議会
定数20[12]
合併後、旧3町の役場は『庁舎』として、市役所の機能を3分割し、それぞれ『庄内庁舎』・『挾間庁舎』・『湯布院庁舎』と呼称してきた。主要業務・市長室等は『庄内庁舎』、市議会・農業委員会等は『挾間庁舎』、教育委員会等は『湯布院庁舎』に設置し、全ての庁舎に地域自治行政の中心となる『地域振興局』を設置していた。しかし、合併後から新庁舎建設・庁舎機能の集約が議論されており、選挙公約としても扱われることがあった。2016年7月19日、庄内庁舎の本館および増築された新館を『本庁舎』として、地域振興局を除くすべての市役所機能・市議会・教育委員会・農業委員会を集約したと同時に、市役所の部長職が廃止された[13]。一方、『挾間庁舎』・『湯布院庁舎』には地域振興局・地域振興課・健康センター・防衛対策室(湯布院庁舎)のみ残し、支所業務を行っている。なお、消防本部については引き続き挾間町に設置している[13]。
衆議院小選挙区選挙では、大分2区に属する。直近の第49回衆議院議員総選挙(2021年10月)での選出議員は以下のとおり。
大分県議会議員選挙では、本市でひとつの選挙区をなす。定数は2人。直近の大分県議会議員選挙(2023年4月)での選出議員は以下のとおり[14]。
由布市と全国の年齢別人口分布(2005年) | 由布市の年齢・男女別人口分布(2005年) | |||||||||||||||||||||||||||||||||
■紫色 ― 由布市
■緑色 ― 日本全国 | ■青色 ― 男性 ■赤色 ― 女性 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
由布市(に相当する地域)の人口の推移
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総務省統計局 国勢調査より |
市立
市立
湯布院地区のみ以下の高速バスが発着・経由する。太字は由布市内の停車地。
一般路線バス
コミュニティバス
旧湯布院町にある温泉街は歓楽街を廃した町並みが特徴で、「東の軽井沢、西の湯布院」といわれる。他の温泉地に見受けられる、規模の大きい旅館が存在しないのもこの町の特徴である。
1959年、由布院温泉・湯平温泉が「湯布院温泉」として国民保養温泉地に指定された。2019年、塚原温泉・庄内温泉・挾間温泉を追加し、国民保養温泉地「湯布院温泉郷」として拡充指定された[15]。
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