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日本の公共放送局 ウィキペディアから
日本放送協会(にっぽんほうそうきょうかい[3]、英: Japan Broadcasting Corporation[4])は、放送法に基づき1950年に設立された、日本の公共放送(公共事業)を担う特殊法人で、総務省情報流通行政局放送政策課所管の外郭団体である。
NHK放送センター | |
種類 | 放送法による特殊法人 |
---|---|
略称 | NHK(エヌエイチケイ) |
本社所在地 |
日本 〒150-8001 東京都渋谷区神南二丁目2番1号 NHK放送センター 北緯35度39分54秒 東経139度41分43.3秒 |
設立 | 1950年6月1日 |
業種 | 情報・通信業 |
法人番号 | 8011005000968 |
事業内容 |
国内基幹放送業務 放送及びその受信の進歩発達に必要な調査研究業務 邦人向け国際放送及び外国人向け国際放送業務 邦人向け協会国際衛星放送及び外国人向け協会国際衛星放送業務 他 |
代表者 | 稲葉延雄(会長)[注釈 1] |
売上高 |
連結: 7554億5700万円 単体: 7137億8291万5000円 (経常事業収入) (2021年3月期)[1][2] |
営業利益 |
連結: 248億0700万円 単体: 197億9264万4000円 (経常事業収支差金) (2021年3月期)[1][2] |
経常利益 |
連結:308億8800万円 単体:261億7622万3000円 (経常収支差金) (2021年3月期)[1][2] |
純利益 |
連結: 288億2900万円 単体: 268億1155万7000円 (当期事業収支差金) (2021年3月期)[1][2] |
純資産 |
連結: 9128億3500万円 単体: 8158億4332万4000円 (2021年3月31日現在)[1][2] |
総資産 |
連結: 1兆3851億6700万円 単体: 1兆2681億1680万5000円 (2021年3月31日現在)[1][2] |
従業員数 | 1万343名(2020年度) |
決算期 | 毎年3月31日 |
会計監査人 | EY新日本有限責任監査法人 |
主要子会社 |
株式会社NHKメディアホールディングス 100% 株式会社日本国際放送 64.1% 株式会社NHKプロモーション 100% 株式会社NHK出版 68.9% 株式会社NHKビジネスクリエイト 76.1% 株式会社NHKテクノロジーズ 58.7% 株式会社NHK文化センター 88.5% NHK営業サービス株式会社 99.0% 公益財団法人NHK交響楽団 学校法人NHK学園 NHK東京児童合唱団 |
外部リンク | nhk.jp www3.nhk.or.jp |
放送法に基づく特殊法人として1950年6月1日に設立された。設立目的は、放送法により「公共の福祉のために、あまねく日本全国で受信できるように豊かで、且つ良い放送番組による国内基幹放送を行うと同時に放送およびその受信の進歩発達に必要な業務を行い、合わせて国際放送および協会国際衛星放送を行うこと」となっている(法15条、定款3条)。
また、同法の規定により1926年に設立された社団法人日本放送協会の業務を継承している(法附則第13項)。なお、社団法人日本放送協会は、1925年に日本で初めて放送業務を開始した社団法人東京放送局(現:NHK放送センター)、社団法人名古屋放送局(現:NHK名古屋放送局)、社団法人大阪放送局(現:NHK大阪放送局)の業務を統合して設立されたもの[6][注釈 3]。
東京都港区にあった主たる事務所を、昭和40年代に東京都渋谷区に順次移す(法17条、定款6条1項)。設立目的を達成するため、国内放送として中波放送(AMラジオ)・超短波放送(FMラジオ)・テレビジョン放送の基幹放送(特定地上基幹放送局を用いて行うものに限る)を行うことになっており(法20条第1項)、さらに在外日本人向け国際放送及び外国人向け国際放送を行うことになっている(法20条第4項)。放送番組の編集にあたっては、公安および善良な風俗を害しないこと、政治的に公平であること、報道は事実を曲げないですること、意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から、論点を明らかにすることが求められる(法4条1項)。
公共放送としての事業規模は、英国放送協会(BBC)などと並び、国内にNHKエンタープライズ、NHKグローバルメディアサービス、NHK出版など13の連結子会社を持つ。また、関連会社として日本国外にNHKコスモメディアアメリカ、NHKコスモメディアヨーロッパが設立されている[7][注釈 4]。1986年には子会社である株式会社NHKエンタープライズを出資母体として、NHKエンタープライズ25%、株式会社電通25%の共同出資による株式会社総合ビジョンを設立した。しかし、これは事業の縮小を経て2013年7月1日付けでNHKエンタープライズに吸収合併した。
「NHK」という略称の使用は、社団法人日本放送協会が1939年夏頃、日伊定期文化交換放送の協定案で使用したことにさかのぼる。戦前の英称は「The Broadcasting Corporation of Japan」であった。1946年3月4日から日本放送協会のサインとして放送で用いられるようになり、次第に聴取者の間に広まった。1959年4月22日、日本放送協会の略称として定款で正式に定められた。
「公共放送」であり、国内向け放送については視聴者からの受信料を財源とした独立採算制がとられている。これは国家が直接運営し国費を財源とする「国営放送」や、広告(コマーシャルメッセージ)を放送し広告料収入を主な財源とする「民間放送」と区別されるものである。
しかし、国営放送と区別される公共放送といっても、事業予算、経営委員任命には国会の総務委員会や本会議での承認が必要であるなど、経営、番組編集方針には国会の意向が間接的に反映される形となっている。総務大臣は、国際放送の実施の要請[注釈 11](法65条)、ならびに放送に関する研究を命じることができ(法66条)、その費用は国(日本国政府)が負担することになっている(法67条)。
「政治的公平」「対立する論点の多角的明確化」など法4条が求める放送を行い、受信者と契約することが規定されている(法64条)。法に定める要件を満たしたテレビジョン受信設備の設置者から、受信契約に基づく受信料を徴収することによって運営されている。このほか、受信料収入に比べれば極一部ではあるが、国際放送に対する日本国政府からの交付金がある。
フランス共和国・アメリカ合衆国・大韓民国などの公共放送では広告収入は認められているが、NHKにおいては広告を行って収入を得ることは放送法で禁止されている。しかし、番組宣伝や、公益社団法人ACジャパンとのタイアップによる公共広告は、任意で流すことができる。
法人税法上の公共法人とされているため、法人税の納税義務が免除されている。ただし地方税法上では非課税とされていないため、法人の道府県民税(都民税)、市町村民税については、従業員数等に基づく「均等割」のみ納付している。
国税のうち地価税、放送局の免許に係る登録免許税が非課税となっている。地方税については、不動産取得税、特別土地保有税、事業所税が非課税、固定資産税および都市計画税は課税標準の2分の1となっている。電波利用料は、民間の放送事業者に比して減免されていない。
受信料は、NHK(公共放送)を維持・運営するための「特殊な負担金」であり、放送サービスへの対価ではないとされているが[12][13]、消費税法施行令では「不特定かつ多数の者によつて直接受信されることを目的とする無線通信の送信で、法律により受信者がその締結を行わなければならないこととされている契約に基づき受信料を徴収して行われるもの」は「対価を得て行われる資産の譲渡若しくは貸付け又は役務の提供に類する行為」にあたるとされており(同法施行令第2条)、消費税の対象となっている[12]。すなわち受信料額には消費税および地方消費税が含まれ、NHKはこれらを国に納付している。
事業一切は、中期計画である経営計画に基づいて行われる。放送法令での具体的規定はないが、法令に基づく毎年の計画は、この経営計画に基づいて作成される。経営計画では、ネットワーク・編成・人事・収支その他、経営・事業活動一切について、概ね3年ないし5年の単位での目標とすべき事柄を定める。
経営計画の意思決定は以下のようにして決められる。
日本放送協会の財務諸表は、会計検査院の検査を経て国会に提出することとなっており(法74条第3項)、会計についても会計検査院が検査する(法79条)。
2019年度現在、現預金を1000億円、国債等の有価証券を3400億円近く保有しており、資産は簿価で1.3兆円程度計上されている。負債の大半は前受け受信料や退職引当金等の引当金になっており合計で4500億円程度である。そして、簿価ベースでの自己資本は9000億円程度である。なお、不動産の多くが簿価で計上されており、本社所在地の10万平方メートルに上る不動産含み益だけでも5000億円近くになり、実質的な自己資本は1兆円を超える。資産の質が高く、負債の質も高いため、極めて流動性の高い財務構成となっている。通常の優良と言われる営利企業と比べた場合でも、財務内容は極めて健全である。売上高は年々増加しており、赤字を出さない黒字経営を続けている。
また、キャッシュフローは営業キャッシュフローが毎年1200億円、投資は有価証券投資等の非事業性のものに多くが費やされている[14]。
現在、技術上の問題で一時的にグラフが表示されなくなっています。 |
決算期 | 経常事業収入 (売上高) |
経常事業支出 (営業費用) |
経常事業収支差金 (営業利益) |
当期事業収支差金 (当期純利益) |
---|---|---|---|---|
2001年度 | 7,356 | 7,169 | 187 | 165 |
2002年度 | 7,347 | 7,220 | 126 | 142 |
2003年度 | 7,445 | 7,284 | 161 | 160 |
2004年度 | 7,617 | 7,457 | 160 | 146 |
2005年度 | 7,471 | 7,439 | 32 | 70 |
2006年度 | 7,370 | 7,235 | 135 | 261 |
2007年度 | 7,371 | 7,050 | 321 | 394 |
2008年度 | 7,147 | 6,900 | 246 | 253 |
2009年度 | 7,209 | 7,125 | 147 | 109 |
2010年度 | 7,376 | 7,166 | 293 | 38 |
2011年度 | 7,492 | 7,310 | 282 | 223 |
2012年度 | 7,352 | 202 | 224 | |
2013年度 | 7,362 | 155 | 227 | |
2014年度 | 7,463 | 261 | 433 | |
2015年度 | 7,547 | 264 | 318 | |
2016年度 | 7,685 | 208 | 274 | |
2017年度 | 7,851 | 7,677 | 174 | 229 |
2018年度 | 8,010 | 7,717 | 292 | 304 |
2019年度 | 7,963 | 7,785 | 177 | 227 |
2020年度 | 7,137 | 6,939 | 261 | 268 |
2021年度 | 7,048 | 6,664 | 383 | 421 |
2022年度 | 6,972 | 6,786 | 255 | 285 |
2023年度 |
△は赤字を示す。
技術開発を、国が命じることが可能である。命じた場合の費用は国の予算から支出される。放送技術研究所には、ソニーやパナソニックなど民間企業からの出向者も、放送技術に関する開発に参加している。
災害対策基本法第2条第5号に定められる指定公共機関に指定されており、同法第6条に基づき防災基本計画の作成等の義務を負うとともに、国や地方公共団体の防災計画に協力する責務を有している。また、気象業務法第15条第6項では、気象庁から気象警報等の通知を受けた場合に、直ちにその通知事項の放送をしなければならないと法律で義務づけられている。
地震・津波関連については、緊急地震速報を地域に関係なく放送しており、津波警報(津波注意報・大津波警報を含む)発令と同時に緊急警報放送を開始、緊急報道体制に移行している。また、警報発令時に備え、受信機の動作確認のための試験放送を月1回(1月4日と、2月から12月の毎月1日。[注釈 12])行う他、深夜の最終のニュースが終わった後、緊急報道体制の訓練をほぼ毎日実施している。
このほか、東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)を契機に、災害対策基本法の指定を受けていない民間報道事業者との連携を強化させるため、協会と民放ニュースネットワークの幹事を務める在京キー局5社による合同プロジェクトを実施[27]、2024年6月には、福岡放送局及び福岡県内民放4局(RKB毎日放送、九州朝日放送、テレビ西日本、福岡放送)で、巨大地震が九州・四国沿岸部で発生した場合の取材ヘリ映像を各局で共有する為の覚書を締結、月1回の運用訓練も実施している[28][29]。
法83条1項に基づいて、広告放送(他人の営業に関する広告の放送)の禁止が規定されており、定款51条にも広告放送の排除が謳われている[注釈 13]。一方で法83条2項では「放送番組編集上必要であつて、かつ、他人の営業に関する広告のためにするものでないと認められる場合において、著作者又は営業者の氏名又は名称等を放送することを妨げるものではない」とも規定しており、必ずしも企業名や商標等の放送が、一律に禁じられている訳ではない。
たとえば、ニュースで企業業績やリコールについて報じる際は、企業名・商品名の言い換えは行われない。『アップル iPhone』[31]や自動車のリコール[32]が例として挙げられる。
これについて、取材・政策の基本姿勢を示した『NHK放送ガイドライン』[33] では、第7章『情報と宣伝・公告』節において、放送で企業名などを扱う場合に、以下の観点を放送是非の判断基準として、さらに企業名の出し方や出す回数を工夫するなど、宣伝・広告と受け取られないような配慮を行い、テレビCMや雑誌のキャッチコピー、流行語などは、安易な使用や連呼に注意することが示されている。
つまり、実名を出さないと番組の企画意図や伝えるべき内容が正しく伝わらない場合は、NHKにおいても企業名と商品名を示して正確に伝えることとしている。これらの観点から、特に以下の事象については、それぞれ個別の取り扱いが定められている。
かつては、放送法83条1項の規定を厳格に適用して、番組内で歌唱される楽曲の歌詞から商標などに相当する語を差し替えた、以下のような事例がある。
地域ブロック | 放送局 | 支局 | ||
---|---|---|---|---|
放送局から降格 | 報道室・通信部から昇格 | その他 | ||
北海道 | 札幌放送局 | 小樽、岩見沢 | 千歳、滝川 | |
函館放送局 | 亀田 | |||
旭川放送局 | 留萌、稚内 | |||
帯広放送局 | 広尾 | |||
釧路放送局 | 根室 | |||
北見放送局 | 網走、紋別 | |||
室蘭放送局 | 苫小牧、浦河 | |||
東北 | 仙台放送局 | 石巻、気仙沼 | ||
秋田放送局 | 横手、大館、能代 | |||
山形放送局 | 鶴岡 | 酒田、米沢、新庄 | ||
盛岡放送局 | 宮古、大船渡・陸前高田 | |||
福島放送局 | 郡山、いわき | 会津若松、南相馬、白河 | ||
青森放送局 | 弘前、八戸 | 三沢、むつ、五所川原 | ||
関東・甲信越 | 本部(首都圏局) | 多摩 | ||
長野放送局 | 松本 | 飯田、諏訪 | ||
新潟放送局 | 長岡、上越、新発田、佐渡 | |||
甲府放送局 | 富士吉田、大月、身延 | |||
横浜放送局 | 横須賀、厚木、小田原 | |||
前橋放送局 | 沼田、両毛広域 | |||
水戸放送局 | つくば、鹿嶋、日立 | |||
千葉放送局 | 成田、銚子、東葛、房総 | |||
宇都宮放送局 | 大田原、日光 | |||
さいたま放送局 | 春日部、所沢、秩父 | |||
中部 (東海・北陸) |
名古屋放送局 | 豊橋 | 小牧、中部空港、岡崎 | |
金沢放送局 | 能登、小松、輪島 | |||
静岡放送局 | 浜松 | 沼津、伊東、富士 | ||
福井放送局 | 嶺南 | |||
富山放送局 | 高岡、魚津 | |||
津放送局 | 四日市、伊勢、尾鷲 | |||
岐阜放送局 | 高山 | 多治見 | ||
近畿(関西) | 大阪放送局 | 関西空港 | ||
京都放送局 | 学研都市、丹後舞鶴 | |||
神戸放送局 | 姫路 | 阪神、豊岡、淡路 | ||
和歌山放送局 | 南紀新宮、南紀田辺、橋本、串本 | |||
奈良放送局 | 奈良やまと路 | |||
大津放送局 | 彦根 | |||
中国 | 広島放送局 | 福山 | 呉、尾道、三次 | |
岡山放送局 | 倉敷、津山、新見 | |||
松江放送局 | 浜田 | 隠岐、大田、益田に委託カメラマンを配置 | ||
鳥取放送局 | 米子 | 倉吉 | ||
山口放送局 | 下関 | 周南、岩国、萩、宇部 | ||
四国 | 松山放送局 | 新居浜、今治、八幡浜、宇和島 | ||
高知放送局 | 高知くろしお | |||
徳島放送局 | 阿南、やまびこ | |||
高松放送局 | 丸亀、オリーブ | |||
九州・沖縄 | 福岡放送局 | 行橋、飯塚、久留米、大牟田 (両局による一体運用) | ||
北九州放送局 | ||||
熊本放送局 | 県北、阿蘇、県南、天草、水俣、人吉 | |||
長崎放送局 | 佐世保 | 諫早、島原、五島 | ||
鹿児島放送局 | 霧島(旧鹿児島空港報道室)、奄美、鹿屋、薩摩川内 | |||
宮崎放送局 | 延岡、都城、日南 | |||
大分放送局 | 日田、中津、佐伯 | |||
佐賀放送局 | 唐津 | |||
沖縄放送局 | 宮古島、八重山 | 沖縄、名護 |
全局規模で組織の見直しを継続して進めているが、国の方針に基づく営業実務の外部委託拡大により、営業部門の業務重点が顧客管理の大元締めと委託先業者の監督に移行しつつある。このため、支局に設けられていた営業拠点の管理元放送局集約を図っている。
特に北海道では放送局に設けられていた営業部が全廃され、札幌局営業推進部の下、全道を地域振興局管轄にかかわらず4つのエリアに分け、それぞれを担当する営業センターが営業部が行っていた実務を担う体制に再編された[59]。また、広島県の福山支局では、放送会館の老朽化に伴い閉鎖・跡地売却の方針が決められ、支局機能の再編・近隣移転に合わせ備後地域を担当していた福山営業室が廃止され広島局営業推進部直轄に変更される[60]。同様に兵庫県の姫路支局でも放送会館の老朽化により閉鎖が決まり、営業部も播磨地域は神戸放送局、但馬地域は尼崎市の阪神営業センターに変更された。
いわゆる「令和改革」に伴い、2021年以降合理化のため、2年かけて一般的な放送局では4部置かれていた「部制」から「センター制」に移行した。「センター制」は平成期にも試行されていたことがあったが、「部制」を残したままの中途半端な状態であった。移行後の局内組織は以下の通り。
実施日 | 対象拠点局 | 対象一般局 | 備考 |
---|---|---|---|
2021年4月1日[61] | 大阪 | 副本部機能を有するため部制を残す | |
2021年11月1日[62] | 秋田、山形、青森 | 本格導入に向けて先行実施 | |
2022年4月1日[63] | 仙台 | 盛岡、福島 | 先行局に揃えた |
名古屋 | 金沢、静岡、福井、富山、津、岐阜 | ||
京都、神戸、和歌山、奈良、大津 | 大阪局は先行実施済み | ||
福岡 | 北九州、熊本、長崎、鹿児島、宮崎、大分、佐賀、沖縄 | ||
2022年7月1日[64] | 首都圏 | 長野、新潟、甲府、横浜、前橋、水戸、千葉、宇都宮、さいたま | |
広島 | 岡山、松江、鳥取、山口 | ||
松山 | 高知、徳島、高松 | 松山局は小規模拠点故に一般局並み体制 | |
2023年4月1日[65] | 札幌 | - 室蘭、函館、旭川 - 北見、帯広 - 釧路 | 1道1ブロックのため他地域と異なる体制 |
ここでは、2023年時点で地域放送局がその地域の民間放送と共同でキャンペーンや企画を展開した例を記載する。
熊本県を除きいずれも新型コロナウイルスの感染予防などに関するものとなっている。また、秋田県と愛媛県及び高知県においては前述以外でも共同キャンペーンを実施している。
— | 名称 | 放送時間 | 定時番組編成最低比率 | 位置づけ | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ラジオ | NHKラジオ第1放送 | 24時間 |
| 安心ラジオ | |||||
NHKラジオ第2放送 | 19時間 |
| 生涯学習波 | ||||||
NHK-FM放送 | 24時間 |
| 総合音楽波 | ||||||
テレビ | NHK総合テレビジョン | 24時間 |
| 総合サービス波 | |||||
NHK教育テレビジョン(Eテレ) | 19時間 |
| 未来志向 | ||||||
NHK BS | 24時間[82] |
| 国際放送・スポーツ・エンターテインメント[83] | ||||||
NHK BSプレミアム4K | 24時間[注釈 17] | ||||||||
NHK BS8K | 12時間10分[84] |
2023年度にBS2Kテレビチャンネルを1つ削減し「NHK BS」に統合[85]、2025年度にはAMラジオ放送を1つ削減する方針[86][87]。
1953年 2月 | … | 1959年 1月 | … | 1989年 6月 | … | 2000年 12月 | … | 2007年 9月 | … | 2011年 | … | 2023年 12月 | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
3月 | 4月 | … | 7月 | ||||||||||||
NHKアナログ総合テレビジョン | — | ||||||||||||||
— | NHKアナログ教育テレビジョン | — | |||||||||||||
— | NHK衛星第1テレビジョン(旧BS1) | NHK BS1アナログ放送 | — | ||||||||||||
→BS1デジタル放送へ移行 | — | ||||||||||||||
— | NHK衛星第2テレビジョン(BS2) | NHK BSプレミアムアナログ放送 | — | ||||||||||||
— | NHKデジタル衛星ハイビジョン(BShi)アナログ放送 | — | |||||||||||||
— | NHKデジタル衛星ハイビジョン(BShi)デジタル放送 | →BSプレミアムデジタル放送へ移行 | — | ||||||||||||
— | NHK BS1 | →NHK BSへ移行 | |||||||||||||
— | NHK BSプレミアム | (停波告知→金沢総合サイマル放送) |
※NHKネットラジオ らじる★らじるは2011年9月1日から、NHKプラスは2020年3月1日から国内向けに開始したが、海外ではインターネットで聞くことはできない。
放送法および日本放送協会定款に基づき、最高機関の「経営委員会」の下に、協会を代表する「会長」が置かれる。会長、副会長1人、専務理事および理事7人以上10人以内をもって理事会を構成する。理事会の下に次の組織が置かれる(※は外部部局扱い)。
代 | 氏名 | 在職期間 | 出身地 | 学歴 | 職歴 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 岩原謙三 いわはら けんぞう |
1926年8月6日 - 1936年7月12日 |
石川県 | 東京商船学校 | 社団法人東京放送局理事長 足利紡績社長 日本無線電話 |
在任中に死去 |
2 | 小森七郎 こもり しちろう |
1936年9月5日 - 1943年5月15日 |
栃木県 | 帝国大学 | 逓信省逓信局長 日本放送協会専務理事 |
|
3 | 下村宏 しもむら ひろし |
1943年5月15日 - 1945年4月7日 |
和歌山県 | 東京帝国大学 | 台湾総督府総務長官 朝日新聞社副社長 早稲田大学科外講師 拓殖大学学長 貴族院議員 |
退任後情報局総裁として玉音放送に係わる。 |
4 | 大橋八郎 おおはし はちろう |
1945年4月21日 - 1946年2月20日 |
富山県 | 東京帝国大学 | 日本電信電話公社総裁 | 公職追放により失職。 |
5 | 高野岩三郎 たかの いわさぶろう |
1946年4月26日 - 1949年4月5日 |
長崎県 | 東京帝国大学法科大学 | 大原社会問題研究所所長 | 任期満了直前に死去。 |
6 | 古垣鐵郎 ふるかき てつろう |
1949年5月30日 - 1950年5月31日 |
鹿児島県 | リヨン大学 | 国際連盟事務局 朝日新聞社記者 日本交響楽団理事長 NHK専務理事 |
社団法人日本放送協会会長の任期 |
1950年6月1日 - 1956年6月13日 |
特殊法人日本放送協会会長の任期 | |||||
7 | 永田清 ながた きよし |
1956年6月13日 - 1957年11月3日 |
福岡県 | 慶應義塾大学経済学部 | 日新製糖社長 日本ゴム社長 福岡製紙社長 |
任期中に死去。 |
8 | 野村秀雄 のむら ひでお |
1958年1月14日 - 1960年10月17日 |
広島県 | 早稲田大学専門部法律学校 | 朝日新聞社代表取締役 熊本日日新聞社社長 国家公安委員 |
|
9 | 阿部眞之助 あべ しんのすけ |
1960年10月17日 - 1964年7月9日 |
埼玉県 | 東京帝国大学文学部社会学科 | 東京日日新聞社主筆 NHK経営委員長 |
2期目の任期中に死去。 |
10 | 前田義徳 まえだ よしのり |
1964年7月17日 - 1973年7月16日 (任期満了) |
北海道 | 東京外国語大学イタリア語科 | 朝日新聞社記者 NHK副会長 |
|
11 | 小野吉郎 おの きちろう |
1973年7月17日 - 1976年9月4日 |
広島県 | 九州帝国大学法文学部 | 郵政省事務次官 NHK副会長 |
ロッキード事件で逮捕され、東京拘置所から保釈された元首相の田中角栄を東京都文京区目白台の私邸に見舞ったことが問題となり、任期途中で辞職に追い込まれた。 |
12 | 坂本朝一 さかもと ともかず |
1976年9月21日 - 1982年7月2日 |
東京府 | 早稲田大学文学部英文学専攻科 | 初のNHK出身者。 | |
13 | 川原正人 かわはら まさと |
1982年7月3日 - 1988年7月2日 (任期満了) |
東京府 | 東京大学経済学部 | NHK専務理事 | |
14 | 池田芳蔵 いけだ よしぞう |
1988年7月3日 - 1989年4月4日 |
兵庫県 | 東京帝国大学経済学部 | 三井物産会長 | 初の外部招聘。77歳で会長に就任したが、1年弱で辞任。 |
15 | 島桂次 しま けいじ |
1989年4月12日 - 1991年7月16日 |
栃木県 | 東北大学文学部 | NHK報道局長・副会長 | 国会での虚偽答弁が発覚したため辞職。 |
16 | 川口幹夫 かわぐち みきお |
1991年7月31日 - 1997年7月30日 (任期満了) |
鹿児島県 | 東京大学文学部 | NHK交響楽団理事長 | |
17 | 海老沢勝二 えびさわ かつじ |
1997年7月31日 - 2005年1月25日 |
茨城県 | 早稲田大学政治経済学部政治学科 | NHKエンタープライズ社長 | 一連の不祥事の責任を取り3期目途中で辞職。その後も引き続き大相撲横綱審議委員会委員を在任し、第11代委員長(2007年1月〜2009年1月)も務めた。 |
18 | 橋本元一 はしもと げんいち |
2005年1月25日 - 2008年1月24日 (任期満了) |
静岡県 | 東京工業大学理工学部 | NHK技術局専務理事・技師長 | 職員によるインサイダー株取引問題の責任を取り、1期目の任期切れ日に辞職。 |
19 | 福地茂雄 ふくち しげお |
2008年1月25日 - 2011年1月24日 (任期満了) |
福岡県 | 長崎大学経済学部 | アサヒビール社長・会長・相談役 | 20年ぶりとなる外部招聘。 |
20 | 松本正之 まつもと まさゆき |
2011年1月25日 - 2014年1月24日 (任期満了) |
三重県 | 名古屋大学法学部 | JR東海代表取締役社長・副会長 | 外部招聘。 |
21 | 籾井勝人 もみい かつと |
2014年1月25日 - 2017年1月24日(任期満了) |
福岡県 | 九州大学経済学部 | 日本ユニシス代表取締役社長・相談役 | 外部招聘。 |
22 | 上田良一 うえだ りょういち |
2017年1月25日 - 2020年1月24日 (任期満了) |
長崎県 | 一橋大学法学部 | 米国三菱商事代表取締役社長 NHK常勤経営委員兼監査委員長 |
3期振りに内部昇格。 経営委員からの就任は9代目の阿部会長以来57年ぶり。 |
23 | 前田晃伸[102] まえだ てるのぶ |
2020年1月25日 - 2023年1月24日 (任期満了) |
熊本県 | 東京大学法学部 | みずほフィナンシャルグループ社長・名誉顧問 国家公安委員会元委員 |
2期振りに外部招聘。 |
24 | 稲葉延雄 いなば のぶお |
2023年1月25日 - |
静岡県 | 東京大学経済学部 | リコー経済社会研究所参与 日本銀行元理事 |
外部招聘。 |
日本放送協会には審議機関として、中央放送番組審議会、地方放送番組審議会、国際放送番組審議会が置かれている(法82条)。
主に以下の職種に大別される。
「令和改革」以前は職種別採用を行っており、職員採用形態は、主に「全国異動採用(通常採用)」と「エリアフランチャイズ採用」の2種類があるが、エリアフランチャイズであっても状況に応じてエリア外へ配置転換となる。次期経営計画では、従来の「エリアフランチャイズ採用」(本部採用)に替わる概念として、地域から幅広く人材を集める「地域限定採用制度」を積極的に導入することを明記した。最長5年を限度として、特定局限定で勤務する正職員(契約職員)として採用が行われていた。
「令和改革」以後は合理化と組織の流動化を進めるため、職種別採用は廃止され、「エリアフランチャイズ採用」を通常の正職員採用としたうえで「地域勤務採用」に改めた。基本的には採用試験時の希望職種が優先されるものの、必要に応じて他の職種への配置換えが従前よりも積極的に行われる。特に「地域勤務採用」では同じ局内で様々な仕事を経験させ、必要に応じて管内での転勤もある。
賃金は以下のように公表されている。数字上では霞ヶ関の官公庁キャリア職員より好待遇であるが、5年後をめどに基本給部分を1割削減することが2013年に発表されている。2015年度の職員の平均年収は約1,160万円である[104]。2015年の英国放送協会(BBC)の平均給与は年間43,000ポンド(約688万円、1£=160円換算)である[105]。
この他、管理職に準じるマスター級制度があるが、名ばかり管理職の指摘から制度廃止が予定されている。
公表されている給与は
一般職員については基本給、ボーナス、世帯給、時間外賃金、地域間調整手当、住宅補助手当、単身赴任手当、育児休職社会保険手当、介護休職社会保険手当、寒冷地手当、特定日当で加算される。
2013年に偏向報道批判に関連して国会においてNHKの外国籍の職員数について質問があったが、「国籍を個別に確認しているがその後の帰化を正確に把握していない」との理由で公開されなかった[107]。2014年に視聴者から韓国・中国・北朝鮮国籍の職員の数及び同各国籍から日本国籍に変えた職員の数がわかる資料の開示請求があったが、文書不存在を理由として非開示とされた[108]。
その他、所有する施設には、NHK放送博物館、NHK放送文化研究所、NHK放送技術研究所[注釈 20]、千代田放送会館、NHK京都保養所洛風荘がある。
いずれもNHK放送センターの建て替えに伴い、閉鎖となっている。
民放局制作のドキュメンタリー作品のうち、文化庁芸術祭賞、放送文化基金賞、ギャラクシー賞、日本民間放送連盟賞、日本放送文化大賞、ATP賞などの受賞作品は民放各社との提携によりNHK教育テレビジョンやNHK BSプレミアムなどの番組枠で放送されることがある。2007年からは民放も含め、ドキュメンタリー番組の受賞作品が『ザ・ベストテレビ』としてNHK BS[注釈 21]で[114]、ラジオでの受賞作品は『ザ・ベストラジオ』としてNHK-FMにて[115]、それぞれ毎年放送されている。
また、2013年6月29日からNHK BSプレミアムの「名作時代劇」枠ではTBS系列で放送された『大岡越前 第2部』(加藤剛主演、1971年、C.A.L.製作)を放送したり[116]、在京民放キー局各社(テレビ東京を除く)などと共同出資している日本国際放送を通して、民放制作(民間放送教育協会を含む)のドキュメンタリー番組を国際放送のNHKワールドTVに供給したり[117]、民放が制作した8K映像作品をNHK BS8Kにて放送したケースもある[118]。
テレビアニメではNHK-BSでの『美少女戦士セーラームーン』(テレビ朝日系)、『けいおん!』(TBS系)、Eテレでの『日常』(再編集版)や『ラブライブ!シリーズ(そのうちラブライブ!・ラブライブ!サンシャイン!!)』など、民放で放送された作品が、それぞれ放送されたこともある。なお、『進撃の巨人』に関しては第1期がBSプレミアムで放送された後に新作(第3期)の放送権が各民放から移行した。
これに際し、一部作品において前述の放送法83条及び定款51条に抵触する広告・宣伝放送に該当する場面の対応は、作品によって異なる。『TIGER & BUNNY』では劇中のスポンサーロゴをすべて削除していた海外版の映像で放送しているのに対し[119]、『ラブライブ!サンシャイン!!』の場合はエンディングクレジットのみの削除にとどめ、本編は編集せずそのまま放送している。
番組の再放送は原則として自局のみで行われていたものの、一部番組はケーブルテレビの自主チャンネルや一部の民放局でも放送されていた。2004年からは、大河ドラマなど、CS各局への番組再販が開始され、2006年には後述のコンテンツプロバイダー等への番組提供も始まり、本格的な番組再販が行われている。
ほか、独立局を中心に単発番組が放送されることがある。また放送番組センターを通じて教養番組の一部が独立局で放送されることもある。
インターネット上での配信(配信実験も含む)について、下記にまとめる。
『日経ニューメディア』(2006年2月17日号)は、ネット上での再配信によって「出演者が得られる分け前よりも、新たな番組制作によって得られる出演料の方が多い」ため、芸能界から敬遠される傾向があると報じた[138]。
アジアにおいて最大規模の公共放送事業体であり、アジア太平洋放送連合常任理事局である(会長職を海老沢勝二元会長、橋本元一会長が2代続けて務めた)。こうしたことから、特集番組ではアジアの話題を取り上げることも多い。JICA等の要請で発展途上国の放送技術援助に職員を派遣することもある。
放送事業以外では教育番組の国際コンクール「日本賞」やNHKアジア・フィルム・フェスティバルの主催者として、日本国外への認知度を広げている。
以前から欧米を中心とした海外ドラマの放送が積極的に行われてきた。放送作品の一例として『名探偵ポワロ』『大草原の小さな家』『ER緊急救命室』『シャーロックホームズの冒険』『ビバリーヒルズ青春白書』などが挙げられる。1990年代末からはアジア圏の作品も加わり、韓流の火付け役ともなる『冬のソナタ』『チャングムの誓い』などの韓国のドラマ、『北京バイオリン』などの中国のドラマも放送している。『デスパレートな妻たち』『アグリー・ベティ』『スター・ウォーズ クローンウォーズ』といったアメリカ発の人気コンテンツも引き続き多く放送されている。
日本と違い、日本国外における番組制作は制作会社やスタジオが主導権を持ち、日本国外での販売権も放送局と切り離された代理店が持つことが多いため、テレビ各局との協力関係の強弱は関係ない。個別の代理店からのセールスや版権を持つ制作会社の日本法人による提案販売もあれば、カンヌや香港、サンタモニカで開かれる国際的な映画、放送コンテンツの見本市での商談で購入することもある。ちなみに日本もNHKだけでなく民放や映画会社がコンテンツやフォーマットのライセンス販売を行っている。衛星放送のチャンネル増から民放だけでなくWOWOWやBS各局・CSチャンネルとの間でコンテンツの獲得競争が激しくなっている。1990年には国際メディア・コーポレーションが設立されNHKへの買い付けを行っているが「市場価格を乱している」という批判がある。
このほか、『プラネットアース』や『海』といった自然科学系のドキュメンタリーでは国際共同制作として各放送局が資金を出し合い、素材の共有で番組を作り上げることがある。自然、サイエンス系では世界的な撮影技術を持つイギリスBBCやナショナルジオグラフィックと協力することが多い。またレギュラー番組に購入作品を組み込むこともあり、過去の「生きもの地球紀行」などでは、タイトルはそのままで番組は購入番組ということもよく見られ、フィルムとVTRの映像が混在することも普通であった。
このほか自然科学以外のジャンルのドキュメンタリー番組を放送する『BS世界のドキュメンタリー』と題したレギュラー枠がある。アメリカABCとの共同取材『映像の世紀』という事例もある。
アメリカのCNNやABC、イギリスBBC、ドイツZDF、ARD、フランスF2、中国CCTV、韓国KBSなどニュース素材交換の提携しており、BS1の番組では各局のニュースを同時通訳で放送している。CS等で視聴できる外国のニュース専門チャンネルを除けば、BS1は海外のテレビ報道をデイリーで通訳付きで視聴できる日本で唯一のチャンネルである。
アメリカ同時多発テロ事件やアメリカ合衆国大統領選挙といった日本国外の重要ニュースがある場合、BS1では海外放送局(ほとんどはABC)の映像を通訳付きで放送している。1990年代にはABCテレビの深夜ニュース番組で記者がアジア関連の経済ニュースを伝えるコーナーがあった。このほか『PBSニュースアワー』といったニュース番組を放送している。
内部組織については以下のような問題点が内外から指摘され、組織改革が進められている。民営化や国営化計画も浮上している。
従来、ほとんどの職員が入局時の職種を全うしていた。しかしそのことにより、それぞれの職域で「セクショナリズム」が跋扈し、組織全体の風通しが良いとはいえなかった。2009年度からの3か年中期計画において、この「セクショナリズム」を打破するため、人事制度が以下のように抜本的に改められた。
2011年に会長となった松本正之は、旧国鉄→JR東海時代“労務の鬼”として恐れられていたが、そのことが会長指名の理由ともなっていた[要出典]。国会で職員給与の高さが問題とされたこともあり、2013年2月12日、「基本給1割カット」「給与水準の一部地域別化」「手当見直し」「管理職登用に試験導入」などの人事制度見直し方針を決め、経営委員会と労働組合に示し[139]、同年4月4日に概ね労使合意に至っている[140]。
人事制度には「役職定年制度」がある。これは「一定以上のポストについた場合」「54〜57歳でその役職としての定年を迎える」というものである。その後は地位を維持したまま嘱託職となるほか、転籍した上でNHKエンタープライズやNHK出版、NHKテクニカルサービスなど関連団体へ“天下る”ことが多い。最長で65歳まで勤めることができるが、60歳以降については、一般の嘱託職扱いとなり、ポストも変わるケースが大半である。
アナウンサーの場合は、57歳が役職定年に当たり、この年齢に達するとアナウンスの一線を退くことになる。宮本隆治、武田真一のように定年(早期定年退職)で退職する者や、松平定知のように定年後も嘱託として勤務を続けた者、三宅民夫のように嘱託での定年(65歳)を超えてもなおシニアスタッフ(事実上専属的に番組出演契約を結ぶ)やNHK財団に転籍してアナウンサーの活動を続ける者もいる。
法令の改正により、60歳が事実上の定年となっている。この制度は子会社整理と絡み、次期経営計画策定の度に見直しの対象となっている。
退職者向けの企業年金制度を運営しており、勤務年月などで異なるものの平均月12万円(2008年時点)とされている。しかし2006年度に年金積み立て必要額算定のための利率(割引率)を従来4.5%としていたものを2007年度では市場実勢に合わせた2.5%に引き下げたところ積み立て不足は前年度比2.4倍の2700億円に及び、さらに2008年度では約3300億円に増大、同時点での積立額約3000億円を超える事態にまで発展している。この問題に対して15年計画で償却を進めているが、関係筋によると2007年度に約100億円、2008年度には約120億円が放送受信料収入から補填されているという。また、労働組合側には確定拠出型年金への移行か確定給付型の維持を条件に現役職員への給付額を引き下げる意向を示したが、職員側からは「なぜOBの優雅な生活のために現役の職員たちがツケを払わされなければならないのか」との不満の声も上がった[141]。
NHKエンタープライズをはじめとして、子会社・公益法人・関連会社が存在する。そのいくつかは営利活動が禁止されている本体のため、営利活動を行う「抜け道」として営利活動を行っているとして批判もある上に[142]、本体を退職した元社員の天下り先となっているという指摘もある。
予算や人事をはじめとして国会承認事項があり、国会の総務委員会や予算委員会等で、国会議員から質問されることもある。このように政治が国会を通して影響を与え得る構造がある(同じ公共放送の英国放送協会にはないとされる)ことから、政治との関わりが否定的に取り上げられることがある。
吉田茂を茶化すなどの風刺で人気を集めていた『日曜娯楽版』が日本の独立回復直後に打ち切りとなったことへの政治的な背景が臆測された。ただし武田徹は、同番組の放送作家・三木鶏郎が政治風刺に飽きたことが打ち切りの原因として政治的な影響を否定している[143]。
1976年、会長であった小野吉郎が、ロッキード事件で逮捕され保釈中だった田中角栄を見舞ったことは、小野を引責辞任に追い込むスキャンダルに発展した。1985年には元NHK社会部長の神戸四郎が週刊新潮に手記「NHK田中報道に何が起きたか」を連載し、上層部の職権乱用によりロッキード事件報道が偏向されたと告発した[144][145]。
2004年に『週刊現代』が、職員の中に国会議員や閣僚経験者の子弟が少なくないことを報じている。
2008年の9月に行われた自民党総裁選関連の話題を、連日に長時間報道したため「総裁選報道が長過ぎる」といった抗議が多数寄せられた。その中で意図を尋ねるため電話してきた女性に対し、視聴者コールセンターの対応責任者が、「はいはいはい、分からないんですか。自民党のPRですよ」と発言していたことが明らかになった[146]。
イギリスの日刊紙「タイムズ」は2014年10月17日付の記事において、編集の独立性を放棄していると批判的に報じた。同紙が入手した内部文書によると、英語版担当記者らは最も論争の対象となっているいくつかのテーマを報道するのに際して、安倍晋三政権の政治的立場を反映したフレーズを用いるよう指導されており、また南京事件・従軍慰安婦・中国との領土問題への言及を禁止されているという[147]。
元NHKアナウンサーの膳場貴子は番組内で政治関連のニュースを扱う際は特に規定されている訳ではないが、不文律が色々とあり、キャリアが浅いうちは、事前に想定した質問以外の事項については自発的に聞けなかったと明らかにしている[148]。
元会長籾井勝人は、2017年1月19日に行われた任期中最後の記者会見において、政府との癒着関係の一つや二つはあるという趣旨の発言をした[149]。
2009年5月、東京・赤坂のアメリカ軍基地・『赤坂プレスセンター』の敷地の一部を保有し、40年以上も国に対し賃借してきたことが判明した。歴史的経緯によるものとされるが、報道機関、さらにはNHKそのものの中立性との整合性の面で、論議となった[150]。
2012年11月28日、『クローズアップ現代』「“ジャパンプレミアム”を解消せよ〜密着LNG獲得交渉」に対する出演を日本エネルギー経済研究所顧問の十市勉に依頼。事前の打ち合わせにおいて、「(1)LNG調達方法の多様化(2)LNG代替手段の確保のために原発再稼働や石炭火力の活用(3)制度改革で発電市場の競争の促進」の3点を指摘したところ「番組に出演するには意見を変えて頂くことになる」「原発ゼロを前提にどう価格を引き下げるかを趣旨にしている」とディレクターが主張。チーフプロデューサーがその後、「総選挙前」であり放送の「公正・中立」を考慮したと釈明したものの「中立」に対する説明がないまま出演ができなくなった[151]。
その後、2014年1月30日放送のラジオ第1『ラジオあさいちばん』では、コーナー出演の予定だった外務省元首席事務官で東洋大学教授の中北徹が脱原発の立場での事前原稿の変更を要求され、出演を取り止めた。担当者から前日に送った原稿について、「(東京都知事選挙の)投票行動に影響を与える可能性があるのでやめてほしい」と言われ、これに対し中北は「特定の人を応援しているわけではない」と回答。さらに「原発ゼロでも経済成長が実現できる」との表現を変更することを提案したが、局のラジオセンター長から「選挙が終わったらゆっくり語ってください」と言われ出演を見送った[152]。これについて、毎日新聞は社説を出して「これはNHKの過剰反応だろう」「反対の考え方を詳しく紹介するなど、番組内でバランスをとる工夫はいろいろとできる」と論じた[153]。
2013年12月23日、天皇明仁(当時)80歳の誕生日にあたり発表された「おことば」を、一部編集した上で放送した。この件に関して、憲法改正議論を進める安倍政権に配慮し、憲法に関する部分を恣意的に削除して放送したとの批判を受けた[154]。
1973年、朝日新聞記者の本多勝一は『NHK受信料拒否の論理』を発表し、視聴者が視聴するかしないかを問わずに一方的に料金を先払いで徴収すること、無責任な組織体質、無責任などを指摘したうえで、公共放送としての改善には受信料拒否という方法があると主張した[155]。
2000年代以降、相次ぐNHKの不祥事で受信料の不払いが増加していることから、今後の受信料のあり方について、国会や与党、野党、総務省などで議論されている[156][157]。他方、2006年にNHKは受信料未払い問題に対して簡易裁判所に対する支払督促の申し立てを行っており、未契約者に対しても民事訴訟をできるだけ速やかに実施すると発表した[158]。
放送法によって広告放送で収入を得ることが禁じられているが、特定企業を宣伝しているかのような内容の番組が放送されているとの批判がある。その代表格であった『プロジェクトX〜挑戦者たち〜』では、2004年に開催したイベント「プロジェクトX21」で番組で取り上げた企業に資料の提供と「協賛金」を要請したと報じられた[175]。このほか土曜ドラマ『ハゲタカ』を東宝と映画化して展開する、インターネットでの有料配信「NHKオンデマンド」を始めるなど、受信料外収入以外にも収入があることが明らかになっている。
なお、フランス、イギリス、アメリカ合衆国、韓国、ドイツなどの日本国外の公共放送では広告収入は認められている。
2000年から『ザ少年倶楽部』を放送しており、音楽バラエティ番組としつつ、実質ジャニーズ事務所の御用番組、ジャニーズJr.の番組となっており[信頼性要検証]、業界では「ジャニーズJr.の育成番組」と呼ばれている[信頼性要検証][176]。公共放送がいちプロダクションの番組を制作するという公平性に欠ける行為がまかり通っていることを、疑問視する声もある[信頼性要検証][176]。
ジャニーズ事務所のタレントは、紅白歌合戦や大河ドラマにも数多く出演している。NHK放送センターの7階のリハーサル部屋は、ジャニーズ事務所のタレントたちがレッスン場として常時使っているといわれ、ジャニー喜多川の功績を伝える特別番組を放送するなど、ジャニーズ事務所と所属タレントに対する扱いは非常に厚い[177][信頼性要検証]。
イギリス国営放送BBCは2023年に、ジャニー喜多川性加害問題を追うドキュメンタリー『J-POPの捕食者 秘められたスキャンダル』を放送し、外国特派員協会で会見を開いた[177]。そこには朝日放送、毎日放送、フジテレビなどのテレビ局は来ていたが、NHKは来なかった[177][信頼性要検証]。朝日新聞のニュースサイト「GLOBE+」によると、BBCの番組ディレクター・インマン恵は、「NHKの報道は素晴らしいものもあるのに、なぜこの問題について報じないのか、不思議に思う。取材も依頼し、コメントも求めたが、丁寧に断られた。ジャニーズのタレントはNHKにも頻繁に出演している。だから話したがらないのだろうと思う」と述べ、NHKの本疑惑の報道忌避が意図的なもので、ジャニーズ事務所のタレントを重用しているせいであろうと指摘している[177]。
2023年9月、東京・渋谷のNHK放送センター西館に“魔の7階”と呼ばれるリハーサル室があったことが『FLASH』にて報じられ、その場ではジャニーが、小学生のメンバーを膝の上に乗せているのが目撃されている[178]。10月9日には同局内で「ザ少年倶楽部」への出演を希望した少年(現在30代)がジャニー喜多川に男性用トイレに連れて行かれ、個室内で下着を脱がされ性被害に遭った証言がNHKニュース番組で報道された[179]。
建設した放送に必要な送信設備を、民放に軽い負担で使用させており、これにより批判が大々的にできないという[要出典]。
サッカーW杯やオリンピックなどのスポーツ中継において、放映権料の負担分の一部を放送せず(ジャパンコンソーシアム)民放に譲り渡し、批判をしないように牽制しているという[要出典]。
2001年、読売新聞から読売ジャイアンツ戦5試合分の放送権を、日本テレビでは4億円のところを8億円で購入した。三橋貴明によると、これは読売1000万部を敵に回さないための組織防衛の金だという[180]。
2004年9月、当時の海老沢勝二会長が国会に参考人招致された際、中村哲治(民主党参議院議員)が、「もはやNHKが芸能番組を放送する意味はない。巨額のお金が動く番組を作るから、こういう不祥事が発生するのでは」と問い質したが、録画中継において全カットされ、海老沢が呼ばれた総務委員会を生中継せず、不利な質問を全てカットしたものを深夜に放送した[180]。
放送体制が民業圧迫となっていると懸念する、民放の反発も招いてきた[181]。なお、既存民放番組に対抗姿勢を打ち出した番組を制作することもある[182][183]。
逆に民放がNHKの既存番組を参考にしたり、対抗姿勢を打ち出した番組を制作することもある。民放がNHK出身者を番組に起用することも多い[184][185]。
その一方で、日本国際放送[注釈 25]やJOCDN[注釈 26]のようにNHKや民放系列の事業会社にNHK・民放双方が資本参加している事例がある[187][188]。また、NHKの番組に日本テレビグループの日テレアックスオン(AX-ON)やフジサンケイグループの共同テレビジョンなど、民放系列の番組制作会社が携わっているケースも少なくない[189][190]。
受信料で成り立っており「視聴率に左右されないテレビ局」を謳っているが[191]、「NHKも民放と同様、あるいはそれ以上に視聴率を意識している」と見解が示されているか、またはそれを前提とした報道・評論がされている例も多い[192][193][194][195][196][197]。また、かつてNHKの気象情報に出演していた気象予報士でタレントの半井小絵は、「チャンネルを変えられないようにとの指示が出ていた」と証言している[198]。
2009年、札幌市の写真家が撮影した風車の写真を無断でニュースに使用したとして、写真家から著作権侵害の賠償を求めての訴訟を起こされた[215]。初公判は2010年に開かれた。
2022年、NHKが外部業者に委託した受信契約案内のポスティング文書が郵便法違反に該当するとして、総務省から行政指導を受けた[216]。
2023年、NHKは再び郵便法違反による総務省の行政指導を受けた[217]。
2023年5月、NHKが事業として認められていない衛星放送番組のインターネット配信について、同年度予算に関連支出として約9億円を盛り込んでいた[218]。
2023年9月、NHKは報道局の記者が、私的な飲食代を不正に経費請求していた疑いがあると発表した[219]。
2023年11月28日、NHKの記者が作成した取材メモなどをインフルエンサーの暇空茜がX(旧Twitter)上で投稿した[220][221]。流出したメモの内容は、若年女性を支援する一般社団法人「Colabo」に対する誹謗中傷問題を取り上げる取材の企画概要と、実際に中傷を行った関係者へのインタビューを文字起こししたものであった[220]。
同年12月1日、NHKは情報漏洩の事実を認め謝罪した[222]。NHKの子会社が契約している30代の派遣スタッフが流出させたことを認めたという。この派遣スタッフはニュースのテロップ作成などに関わっていたため専用端末へのアクセスが一部認められており、「興味本位でやった。大変なことをしてしまい、申し訳ない」などと話した。
局員ではないが、専属契約していたキャスターを取り上げる。
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