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1932-, アニメ、特撮脚本家、推理冒険作家、漫画原作者。 ウィキペディアから
(つじ まさき、1932年3月23日[2][3] -)は、日本のアニメ・特撮脚本家、推理作家、漫画原作者、旅行評論家、エッセイスト、デジタルハリウッド大学名誉教授[2]。
父は自由民主党の衆議院議員・中日電機工業会長の辻寛一[4]。「実家はおでん屋」と語ることもあるが[5]、これは父寛一が栄で「辻かん」というおでん屋を営んでいたからである。愛知県第一中学校、愛知県立明和高等学校[6][7]、名古屋大学文学部卒業[8]。
1954年、NHKに入局[9]。制作進行、演出、プロデューサーなどを務めた。NHK在局中も脚本の執筆を行っていたが[5]、1962年に退局し[9]、脚本家としてアニメ・特撮などを中心に多くの脚本を担当。
小説家としては旧『宝石』の新人賞候補作が商業誌デビュー作という経歴を持つ。まずジュブナイル小説から小説家活動を本格化させ、トラベル・ミステリやユーモア・ミステリを多く執筆するほか、特殊設定や叙述トリックなどを駆使した実験的な本格ミステリも多い。そうした傾向の代表作に『合本・青春殺人事件』『デッド・デテクティブ』、日本推理作家協会賞を受賞した『アリスの国の殺人』などがある。
また、『迷犬ルパン』シリーズを書き、その中に三毛猫ホームズや片山刑事が登場する『迷犬ルパンと三毛猫ホームズ』がある。他に、多くの漫画・アニメ作品の小説版も手がけている。
辻真先(つじまさき)のアナグラムである牧薩次(まきさつじ)は、作中人物であると同時にいくつかの作中作[注 1] の「作者」でもあるが、実作品の名義としたもの(『完全恋愛』など)もある。
日本SF作家クラブ会員だったが、2013年、他のベテラン作家らとともに名誉会員になる[10]。また、2009年6月から2013年6月まで、本格ミステリ作家クラブの第3代会長を務めた。
2020年に発表した『たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説』で「ミステリが読みたい! 2021年版」国内編1位、「週刊文春ミステリーベスト10 2020」国内部門1位、「このミステリーがすごい! 2021年版」国内編1位となりミステリーランキング3冠を達成した[11]。
最も好きな漫画は『ジャングル大帝』で、アニメの仕事が入ってくると快諾した。脚本だけでなく、全体構成や主題歌の作詞も手がけている。
執筆が速いことでも有名で、プロデューサーと喫茶店で打ち合わせをしながらその場でアニメ1話分の脚本を書き上げたこともあるという[12]。この達筆さはNHK在籍時に培われたもので、上司の父親が交通事故に遭ったため、内幸町のNHK本館から築地のスタジオまで行く車内の15分間でコンテを切ったこともあり、「15分もあったら人間は色んなことができます」と明言している[13]。また、ピー・プロダクション社長のうしおそうじによれば、コーヒーを飲みながら雑談している間に30分ほどで1本書き上げていたという[14]。永井豪の自伝的漫画『激マン!』における回顧によれば、『デビルマン』のアイデア出しに呼ばれた際、永井のアイデアを聞きながら他の作品の脚本を書きあげていたという[15]。
NHKに在籍中の辻が、山崎忠昭が原案を手掛けた脚本の改訂を一晩で書き上げたことがあった。辻による改訂稿を読んだ山崎は、元の脚本に比べ「ギャグも豊富、会話も軽妙、ストーリーの展開もすこぶる快調」と評し、その速筆と上手さに舌を巻いたという[16]。また在籍中は1日30時間を必要とする仕事量だったが、睡眠時間を削ると仕事ができない体質のため、代わりに食事の時間を削って徹夜でコンテを切るという自転車操業の日々を送っていた[17]。
年齢を重ねても衰えることのない意欲を見せ、2017年にはコミケで売り子を務めた[18]。2022年現在も、ミステリやライトノベル・漫画、視聴したアニメの感想をTwitter上で発信している。2016年の取材では、持病の神経痛で漫画喫茶に行けなくなったが、1時間で漫画本3冊を読破する習慣を続けていると語っている[19]。2019年7月18日に起きた京都アニメーション放火殺人事件について中日新聞に寄稿し、『氷菓』や『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』を絶賛し、事件の被害者を悼むとともに京都アニメーションにエールを送った[20]。
以下の作品の大半は、作品世界のつながりを(戦記シミュレーション作品やSF作品に至るまで)意識して執筆されており、登場人物が相互にゲスト出演している。スナック蟻巣、東西大学、文英社、夕刊サンなど共通の舞台がいくつか設定されている。
可能キリコ(通称スーパー)と牧薩次(通称ポテト)の2人が活躍するシリーズ。2人が中学生としてデビューして以来、現実の時間に近いペースで成長しながら、物語を重ねている。初期の数作は「意外な犯人」をテーマにし、「読者」「作者」「編集者」など本来は小説世界の外にいる立場の人物を犯人にしていた。作中に社会批判を取り込んで、現実世界の不特定多数を「犯人」として指名するパターンもある。
初期作品である、『仮題・中学殺人事件』『盗作・高校殺人事件』『改訂・受験殺人事件』の三作は、青春三部作とも呼ばれ、1990年には三作を一つの本に合わせた『合本・青春殺人事件』が発行されている。『TVアニメ殺人事件』までの六作はソノラマ文庫より、「薩次&キリコシリーズ」として販売された。徳間文庫の『宇宙戦艦富嶽殺人事件』以降は、一般向けとして各社より出版されている。
『TVアニメ殺人事件』は、桜多吾作によるコミカライズが、「アニメージュ増刊 リュウ」創刊第2号(徳間書店)に読み切り掲載された。
また、『完全恋愛』(第9回本格ミステリ大賞受賞)と『郷愁という名の密室』の2作は、「牧薩次」名義で書かれている。
トラベルライターの瓜生慎と、お金持ちの令嬢・三ツ江真由子(後に慎と結婚)のコンビが日本全国の旅先で事件を解決する。シリーズは真由子の「産休」をはさんで前期と後期に別れる。
真由子の産休の間、女子大生でグルメライターの神保亜子(通称:味子)が活躍するシリーズが発表された。なお探偵役は亜子の恋人で、身体が不自由なため現地には赴かず、亜子との電話連絡で推理する「ロックチェア探偵」永坂進吾である。 「緑青屋敷の惨劇」のみは、徳間書店の味子シリーズ終了後に、朝日ソノラマの「獅子王」に連載された作品である。そのため、永坂進吾が不在で亜子本人が謎解きをするなど、他の作品とややフォーマットが異なっている。
真由子の産休明けと共に再開。最初の「ソウル発」には引き継ぎのため、味子も出演する。
少し年をとり、中年(正式な年齢は不詳)になった瓜生慎・真由子夫妻と、中学1年生(初登場時)になった一人息子・竜、「信州・高原列車殺人号」の事件で3人と知り合い、その後、竜のガールフレンドとなる小学6年生(初登場時)の少女・中浜うずらが登場する続編。
ストーリー展開によっては、可能克郎など、辻真先の他シリーズのキャラが、ゲスト出演することもある。また、竜とうずらの若者コンビがメインで活躍し、慎と真由子は後方支援の場合もある。
CHKの白黒テレビ時代にプロデューサーを務めていた、鬼堂修一郎が出演するシリーズ。
赤川次郎の「三毛猫ホームズシリーズ」を意識して、そのパロディ的に描かれた作品群である。三毛猫ホームズと同様に探偵として活躍する犬のルパン、その飼主の朝日正義、恋人の川澄ラン、その飼い犬のサファイヤ(「サファイア」ではないとこだわっている)が初期の主人公であったが、後期になると、ランの弟の川澄健と、そのガールフレンドの木暮美々子が主になっている。
元々「ルパンシリーズ」自体がパロディだが、そのルパンでさらに様々なパロディ化(というよりもトリビュートに近い)をしたもの。
東西大学学長、東京太郎(あずま・きょうたろう)の息子である東秀介が探偵役をするシリーズ。
新潮社から新潮文庫として出版。スーパーとポテトシリーズを中心に、各作品で狂言回し的な役割を果たしているスーパーの兄・可能克郎と、その恋人萱庭智佐子(後に結婚)が主人公となるシリーズ。主人公コンビが探偵役をしないことと、現地取材せずに資料だけで書くというのがコンセプトである。そのため探偵役は毎回異なる。ただし、「湾岸鉄道殺人事件」のみは他社からの出版で、前述のコンセプトが当てはまらない。
ユーカリおばさんと、孫娘の綾川くるみ、その恋人でホラー役者の三津木新哉が主人公となるシリーズ。このサブシリーズとして、一時期全国各地に誕生した「独立国」を巡る国立探偵シリーズがある。中央公論から出ている分と集英社から出ている分があるが、両者は作品の雰囲気に違いがある。国立探偵シリーズは全て中央公論である。『超特急燕号誘拐事件』のみ、光文社文庫から書き下ろし刊行されている。
タレントの葉月麻子がクライマックスになると突然頭脳明晰な名探偵に変身するシリーズ。麻子の恋が毎回悲恋に終わるパターンが多い。そのため彼女には「失恋探偵」の異名もある。
辻真先の豊富な知識をベースにした豪華絢爛なシリーズである。
文英社系列の編集プロダクション「瓦プロ(かわらプロ)」で働いている三枚目編集者・服部健太郎(はっとりけんたろう)と妻・知香(ちか)の2人が活躍するシリーズ。
昭和を舞台に那珂一兵が探偵役として登場するシリーズ。
スナック「蟻巣」に集まる探偵たちが共演するが、特定のシリーズには入らない作品群。
上記の三人に、シナリオ通信講座で教育を受けた。 [36]
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