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名誉教授(めいよきょうじゅ、英語: (米)professor emeritus / (英)emeritus professor)とは、国内法では大学(短期大学を含む)、高等専門学校などの高等教育機関に教授などとして勤務した者で、特に功績のあった者に対して授与される称号であり、職位呼称ではない[1][2]。法的・国際的に認められた栄誉称号であり学術称号の一つ[3]。日本では学校教育法にその根拠規定があり[注釈 1][4]、それぞれ大学または高等専門学校の規程・規則の定めるところにより授与される。退職した元教員に与えられる形式的な呼び名であり、学校とは雇用関係にないため、名誉教授であることで給料が発生することはない[5][2]。名誉教授は、法律によって占有される称号ではないため、大学以外の研究機関や研究組織が称号として用いることもある。
日本においては、1893年の改正帝国大学令(勅令)第13条「帝国大学ニ功労アリ又ハ学術上効績アル者ニ対シ勅旨ニ由リ又ハ文部大臣ノ奏宣ニ由リ名誉教授ノ名称ヲ与フルコトアルヘシ」により、名誉教授が法的に定められた[6]。1910年代になると、高等商業学校や高等工業学校、高等学校などの文部省直轄の高等教育機関にも名誉教授制度が導入され[6]、1915年の勅令で名誉教授が勅任官に相当する公的な身分(非常勤の国家公務員待遇)として位置づけられた[6]。1920年代には官立大学、1930年代には陸海軍の大学校等にも名誉教授制度が導入された[6]。
参考)帝国大学における「名誉教授ノ名称」受領者第1号
第二次世界大戦後においては、1946年7月の勅令第353号において「帝国大学又は官立若しくは公立の大学に、教育上功労のあった者又は学術上功績のあった者及び帝国大学又は官立大学若しくは公立の大学の予科又はこれらの大学の附属専門部、官立若しくは公立の高等学校若しくは専門学校又は官立教員養成諸学校に教育上功労のあった者には、文部大臣の奏薦により、夫々の学校又は大学予科若しくは大学附属専門部の名誉教授の名称を与へることができる。前項の名誉教授は一級官待遇とする」と定められた[6]。
1947年の学校教育法制定時には名誉教授に関する規定はなかったが[6]、1950年の改正で「大学は、大学に学長、教授、助教授又は講師として多年勤務した者であって、教育上又は学術上特に功績のあった者に対し、当該大学の定めるところにより、名誉教授の称号を授与することができる」と定められた[6]。一方で、文部省の1950年4月19日通達では、本人の退職後その功労を顕彰する意味で大学が贈る栄誉的称号であると考えられ、これを身分と考えることは適当でなく、国公私立を区別する必要も認められないとされた[6]。以上のことから、名誉教授は非常勤国家公務員待遇ではなく、単なる栄誉的称号へと変わり、名誉教授制度は学校教育法に基づきつつ、各大学で定める制度という位置づけに変わった[6]。
日本の学校教育法は「大学は、当該大学に学長、副学長、学部長、教授、准教授又は講師として勤務した者であって、教育上又は研究上特に功績のあった者に対し、当該大学の定めるところにより、名誉教授の称号を授与することができる」(平成19年6月27日法律第98号第9章106条)と規定し、また、その規定は高等専門学校にも準用される(同法第123条)。この規定により、大学(短期大学を含む)および高等専門学校は、当該大学または当該高等専門学校に学長・校長、副学長、学部長、教授、准教授または講師として勤務した者であって、教育上または研究上、特に功績のあった者に対し、当該大学または当該高等専門学校の定めるところにより、名誉教授の称号を授与することができる。
名誉教授の称号は、退職後に、退職した大学(短期大学を含む)、高等専門学校より授与される。在籍年数についての規定はないが、各教育機関の規程で、名誉教授称号を受けるための所属年数の原則を独自に決めているところは多い。
名誉教授は、職ではなく「称号」である。したがって、名誉教授称号に付随して職務上の義務や賃金が発生することはない。もちろん、名誉教授を専任職でない客員教授や兼任講師(非常勤講師)もしくは役員の理事として当該大学が再び任用することは妨げられない。教育機関によっては、名誉教授に対して研究室や「名誉教授室」[注釈 2] などを用意することもある。また、研究大学では名誉教授を無給の研究員として扱うことによって、生涯にわたって文部科学省・日本学術振興会の科学研究費補助金などの研究助成に応募し研究費を受給する権利を継続させることが多い。[要出典]
名誉教授の称号を授与された者が、名誉教授にふさわしくない行為を行った場合に、授与機関は名誉教授の称号の授与を取り消すことができる旨を定める場合がある[18]。
省庁大学校においては、大学校の校名を付した「○○大学校名誉教授」の称号が、大学校を設置する国や独立行政法人の責任者(長官、理事長など)から、授与されることがある。「○○大学校名誉教授」は学校教育法に規定された称号ではないが、大学に準ずる教育機関として社会的に公認されているため、「○○大学校名誉教授」も社会的な地位として認められることがある。
学校法人学習院のように初等部(幼稚園、小学校)、中高等部の教諭・教員の退任後に授与されるケースもある。これは退任後も続けて学内サービスを受ける権利を確立することを目的としている。なお、学習院は多くの学校がそうであるように、学校ごとに学校法人が設置され、別法人ではなく、幼稚園から大学院までを全てが学校法人学習院が運営しているため、初等部や中高等部、女子中高等部は「付属」ではなく、すべてでひとつの学校となっていることが背景にある。こうした形態は、青山学院など数少ない。学習院中高等部の退任教員の称号は「名誉教授」(学習院名誉教授)であり、学習院大学と大学院の退任教員のみ「大学名誉教授」(学習院大学名誉教授)となる。なお、学校法人学習院はすべての学校に所属しない学校法人学習院に所属の「フェロー」を設けるなど、私学の場合には柔軟な運用がされているため、一概に論じることは難しい。(たとえば学習院の場合、学校法人の最高運営機関である理事会を選出し監督する評議会は、父母会が3分の1、同窓会である桜友会が3分の1、幼稚部から大学・大学院までのすべての教職員が3分の1から構成され、この下部に各学校が部門として並列に設置されて運営されている極めて珍しい形態のため、運営機関としての学校法人と教育研究機関としての学校が別になっている。)国内外ともに学校法人や学校単位でのみ称号が授与されるわけではなく、学校とは別に研究センターや研究所が独自の判断で授与する場合もあり(たとえば英国エディンバラ大学では研究所が日本語訳では名誉教授にあたる名誉上級フェローの資格を付与する権限を有し、運営している)、あくまでも名誉教授は称号であるため、運用は付与する機関に委ねられているといえる。
国立大学・公立大学・私立大学で名誉教授になると、旧文部省・現文部科学省より、叙勲の推薦が行われ、国立大学で教授をしていても、名誉教授への到達年数に満たなければ、同省では叙勲対象から除外したあるいは除外するようである[19][20][21]。叙勲となるかどうかは、国立大学教授の場合でも、同一大学における教授としての在職年数が極めて重要になり、以前は10年であったが、そのうち12年となり現在は15年と言われている[22]。
叙勲の前提となる名誉教授の称号は、基本的には、教育上又は学術上功績があるといういわば実質要件が満たされていることに加え、何年教授として在職したのかといういわば形式要件が満たされているのでなければ、授与されない。授与基準は各大学によって異なり、国立大学だけでも以下のように基準が異なる。
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