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大阪府堺市にある公立大学 ウィキペディアから
大阪府立大学(おおさかふりつだいがく、英語: Osaka Prefecture University)は、日本の公立大学である。大阪府堺市中区に本部を置く。略称は府大、OPU。2022年(令和4年)4月1日に大阪公立大学が開学(新設)したことに伴い、大阪公立大学開学前の学生(開学時の2年次生以上)が卒業し次第、閉学(廃止)となる予定である[1][2]。
大阪府立大学は、2005年に旧大阪府立大学、大阪女子大学、大阪府立看護大学の3大学を統合し誕生した。現在、4学域13学類、7研究科を設置している。また近畿の大学で唯一の獣医学領域を設置している。学術情報センター図書館は大阪府民も利用することができる。
日本のみならず世界の研究型大学の変革の起点となり、地域に信頼される知の拠点となるべき基本理念を表す言葉として、「高度研究型大学 ―世界に翔く地域の信頼拠点―」を掲げている。そのために「多様」「融合」「国際」という3つの視点を重んじている。
大阪府立大学は、2005年に大阪府立の3大学を統合し誕生した。その中の旧大阪府立大学は、1949年の学制改革に伴い誕生した新制浪速大学が1955年に改称したものである。大学の起源となる獣医学講習所が1883年に設置された事から、大阪府立大学は2013年を創基130年と位置づけている。
大阪府知事や大阪市長らをメンバーとする大阪府市統合本部において、大阪市立大学との統合が議論されており、2013年1月、外部有識者からなる「大阪府市新大学構想会議」が「新大学構想〈提言〉」[4]を出した。提言によると、両大学を取り巻く現状について、国際的な大学間競争が激化する中で、両大学とも規模も小さく、このままでは埋没しかねないと指摘している。そして、市立大の工学部と府立大の工学域など、両大学で重複する分野を見直し、今後集中すべき分野や補強が必要な分野に人的資源を再配分することも必要だとしている。新大学は、文学部、法学部、商学部、経済学部、理学部、地球未来理工学部、獣医学部、看護学部、医学部、工学域、生命環境科学域、現代システム科学域、人間科学域、都市経営研究科で構成される構想である。学生数を単純合計すると、全国の公立大学で最大規模となる。
当初は2016年度の統合を目指していたが、2014年4月25日、延期が発表された[5]。
その後、2015年2月に両大学間で『「新・公立大学」大阪モデル(基本構想)』が取りまとめられた[6]。2017年4月1日に両大学の法人統合に向けた「新法人設立準備室」を設置。両大学の運営法人を2019年4月に統一する関連議案が大阪府議会で2017年11月8日に可決、大阪市議会でも2018年2月23日に可決された。2019年4月1日、両法人の統合により新しく公立大学法人大阪が発足した。2020年6月26日、新大学の名称が「大阪公立大学」に決定した[7]。
入学試験では、受験者は各学域学類を出願時に選択する。学類に課程が設置されている場合、学生は各課程を2年次以降に選択する。ただし、地域保健学域総合リハビリテーション学類の各専攻は出願時に選択。なお、2022年度の大阪公立大学開学に伴い、学域学類は現代システム科学域を除き、廃止となる。
また、現代システム科学域の後期日程では、学域単位での入試を実施している。
以下、特記していない専攻は博士前期課程・博士後期課程である。
工学域
生命環境科学域
人間社会学研究科
看護学研究科
21世紀科学研究機構は、学部(現学域)・研究科の枠を超えた学際あるいは分野横断型研究を進める「21世紀科学研究所」で構成する研究組織で、大阪府立大学の研究活動の一層の活性化を図ることを目的として平成21年4月に設立された。
地域連携研究機構は、大阪府立大学の教育・研究を地域社会につなぎ、シンクタンク機能や生涯教育機能、産学官連携など同大学の地域貢献活動を総合的に推進することを目的として平成23年4月に設立された研究組織である。
高等教育推進機構は、平成17年に創設された総合教育研究機構の役割を受け継ぎ、大阪府立大学の基礎・教養教育の運営とファカルティ・ディベロップメント(FD)の取組の中核を担うことを目的として設立された組織である。「共通教育推進センター」、「外国語教育センター」、「高等教育開発センター」の3つのセンターが設置されている。
国際交流推進機構は、大阪府立大学の国際交流戦略の起案、部局における国際共同研究推進の支援、学生の外国語コミュニケーション能力の強化、留学生と日本人学生双方への国際化教育など留学生交流の強化のための研究教育を行い、国際交流を推進することを目的とする組織である。平成23年4月に設立された。
また、国際交流推進機構には、「全学的な国際交流事業ならびに学域・研究科等部局が実施する国際交流事業の支援」、「学生の国際的流動性を高めるための国際化教育や留学生に対する日本語教育の強化」、その他大阪府立大学の国際化に必要な事業等を進める、「国際交流センター」が設置されている。
小型宇宙機システム研究センター、通称SSSRC(Small Spacecraft System Reseach Center)は、小型人工衛星SOHLA-1(「まいど1号」)プロジェクトに大阪府立大学の学生・院生たちが参加し、設計・開発を行ったことをきっかけに大阪府立大学と包括協力協定を締結した宇宙航空研究開発機構(JAXA)の支援の下、平成17年4月に工学研究科に設置された研究センターである。学生が主体となって活動していることが特徴で、学部1回生から大学院生まで研究センターに所属できる(学部1回生の間は前期に新入生教育としてプログラミングと回路の勉強会、夏休みは課題、後期には種子島で行われるロケットコンテストに向けてCanSatと呼ばれる空き缶サイズの模擬衛星を製作するなど、ものづくりの経験をした後、2回生から本格的にプロジェクトに参加することになる)。
また、平成23年12月には、研究センターが開発を進めている超小型衛星OPUSAT(オプサット)が宇宙航空研究開発機構のH-ⅡAロケット相乗り公募小型副衛星に香川大学のSTARS-Ⅱ、筑波大学のITF-1などと共に選ばれた。21世紀科学研究機構に属する宇宙科学技術研究センターをはじめとする研究機関や専門家・研究者の協力のもと、人工衛星の設計・開発・試験・運用すべてを小型宇宙機システム研究センターに所属する学生が行った。OPUSATは平成26年2月28日にH-IIAロケット23号機によって打ち上げられた。5ヶ月間の運用が行われた後、平成26年7月24日に大気圏へ突入し消滅した。
その後、OPUSATの設計を基にした人工衛星キットOPUSAT-KITの開発が企業とともに平成26年より開始された。平成28年12月には受注受付が開始されている。
さらに小型衛星だけでなく、航空宇宙工学分野宇宙環境利用工学研究室と共同で、液体窒素と熱湯を推進剤として使用する非燃焼型小型ロケットであるCEESロケットの設計・開発・試験も行っている。現在CEES-4Bまで開発が進められており、到達高度は250mを超える。次号機は能代宇宙イベントやコスモパーク加太において打ち上げ予定である。
大阪府立大学では、平成17年4月の大学法人化とともに、「産学官連携機構」(現・地域連携研究機構)が設置され、産学官が連携した共同研究、外部資金獲得や知財確保に関する取り組みが、それまで以上にさかんに行われてきた。平成16~22年度の間には、産業界や官庁との共同研究が年間平均約270件、受託研究が年間平均約150件行われた。平成24年現在行われている、または過去に行われた産業界や官庁との共同研究の例として、次のようなものが挙げられる。
植物工場研究センターは、閉鎖環境で太陽光を用いずに栽培する「完全人工光型」の植物工場に特化した先進的な研究開発の拠点をめざして設置された、上記の21世紀科学研究機構に属する研究所である。経済産業省による「先進的植物工場施設整備事業」、農林水産省による「モデルハウス型植物工場実証・展示・研修事業」の両方の採択を受け、平成23年4月に国内最大規模の完全人工光型植物工場研究施設が中百舌鳥キャンパス内に整備された。100社近い企業が参加するコンソーシアムを形成し、産学官連携のもとで、開発・実証・展示・研修などの事業に取り組んでいる。
また、サンドイッチ店の日本サブウェイ株式会社が、「学産学消」をテーマにした「野菜ラボ大阪府立大学店」を中百舌鳥キャンパス内にオープンし、植物工場研究施設で栽培された野菜を使用したサンドイッチを販売している。
前身のEV開発研究センターは、EV(電気自動車)及び関連分野の市場ポテンシャルを背景に大阪産業の活性化を図るため、ものづくり中小企業等との共同研究を展開する中核的拠点として設置[44]。2013年4月に、次世代電動車両開発研究センターに改組した。上記の21世紀科学研究機構に属する研究所である。また、「大阪府立大学大阪産EV開発コンソーシアム」を形成し、「EV要素技術の開発研究 」、「大阪産EVの開発研究」、「充電インフラの最適配置等の研究」、「EVに関する経済的アプローチ」の研究に、ものづくり中小企業等とともに取り組み、大阪府が推進する「大阪EVアクションプログラム」にも参加して大阪府内のものづくり企業による大阪産EV開発を目指してきたが、2013年4月に「次世代電動車両開発開発コンソーシアム」に改組。2013年9月現在、76団体、31人の個人が参加している。また、2011年10月には、株式会社TGMYがEV開発研究センターと連携して開発した電気自動車、「550 REVolution〔TGMY EV Himiko〕」が、587.3kmの一充電走行距離(満充電の状態で走行し途中無充電で走破した走行距離)を達成した[45]。
平成16年、大阪府立大学は、シャープとウォーターオーブン・ヘルシオを共同開発した。それまで業務用としてしか使用されていなかった加熱水蒸気オーブン(ウォーターオーブン)の家庭向けとして開発され、第3回産学官連携功労者表彰において、日本経済団体連合会会長賞を受賞した。その後、大阪府立大学とシャープは平成21年に「包括的連携に関する協定」を締結した。
古代米酒・なにわの育は、大阪府立大学生命環境科学研究科と天野酒醸造元/西条合資会社が共同開発した清酒である。「なにわの育」という名前は、人類が古代から「育んできた」貴重な遺伝資源を、歴史ある地「なにわ」の大阪府立大学で「育んできた」技術によって、地域社会に貢献するという思いから命名された。生命環境科学研究科が発足させた「府大発ブランド品開発研究会」の府大発ブランド品開発商品第1号。古代米として注目されている赤米や黒紫米といった有色米のひとつであり、生命環境科学部(現生命環境科学域)が収集・保存してきたイネのひとつでもある「アサムラサキ」を原料にしてつくられている。平成22年4月に天野酒醸造元/西条合資会社より一般発売が開始された。天野酒オンラインストアでも販売されている。
アサムラサキにはアントシアニン含量が多いため、アサムラサキからつくられたなにわの育みはピンク色をしている。またアントシアニンには抗酸化作用・抗がん作用等の生理活性作用があり、現在、機能性についても検討を加えるとともに、さらに多様な品種・系統を利用しての新しい酒類の開発を研究中である。
21世紀COEプログラムの採択数は1件だった。
採択年度 | 分野 | プログラム名 |
---|---|---|
平成14年度 (2002年度) |
学際・複合・新領域 | 水を反応場に用いる有機資源循環科学・工学 |
2011年4月現在、中百舌鳥キャンパス(堺市中区学園町)、羽曳野キャンパス(羽曳野市はびきの)、りんくうキャンパス(泉佐野市りんくう往来北)の3つである。りんくうキャンパスは2009年4月に開設された。また、社会人大学院生を対象にした施設もあり、経済学研究科の「なんばサテライト教室」、看護学研究科の「森之宮サテライト教室」の2つが開設されている。他に社会人教育の拠点として公開講座や大学院教育を主に行う「中之島サテライト」が大阪府立中之島図書館にあった。 旧大阪女子大学の大仙キャンパス(堺市大仙町)は2007年3月限りで閉鎖された。西側は売却されて住宅街となり、残りは堺市が購入し「旧大阪女子大学跡地活用事業」の対象となっている。2021年度の時点まで施設建設が具現化しておらず跡地の維持管理を行っている。
スポット
キャンパス内の道の愛称を募集し、大阪府立大学キャンパス ストリート愛称審査委員会(平成20年3月6日開催)が決定した[46]。 白鷺門からまっすぐ伸びる縦の道とそれに平行な道を「通り」、それらに垂直な道を「筋」としている。これは大阪市内の道の名付け方とは全く逆になっている。
正門までは「さくら通り」という道が通っている。
2012年5月1日現在、29の国と地域の101大学・5研究機関と学術交流協定を締結している。
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