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土曜ドラマ (NHK)

日本のテレビ局NHKのテレビドラマ放送枠 ウィキペディアから

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土曜ドラマ』(どようドラマ)は、NHK総合1975年10月に開始され、終了と再開を繰り返しつつ断続的に放送されている連続ドラマ枠のタイトル。通常クールごとに区切るドラマの定型と違い、1話完結もしくは数話(平均で5 - 6話 = 半クール程度)で終わる形態をとっている。

2011年10月から2013年3月まで放送された『土曜ドラマスペシャル』についても本記事で説明する。

歴史

要約
視点

創設当初

1960年代のNHKでは、今では考えられないほど多様なドラマ編成をしていた[1]。『連続テレビ小説』、『大河ドラマ』の他にも、『スペシャルドラマ』、『夜の連続ドラマ』、社会派ドラマ『テレビ劇場』、『NHK劇場』、『黒の組曲』、ヒューマンドラマ『現代人間模様』、『テレビ指定席』、ホームドラマ『文芸劇場』、『創作劇場』、時代劇『金曜ドラマ』、青少年ドラマ『こども名作座』など、ジャンルや訴求対象を異にするドラマ枠がずらっと並んでいた[1]。それが1964年東京オリンピック大会を境に激減し、1970年代に入ると『連続テレビ小説』、『大河ドラマ』、『スペシャルドラマ』、『銀河ドラマ』(⇒銀河テレビ小説)、『金曜ドラマ』、『少年ドラマシリーズ』の6枠を数えるのみとなった[1]。これは東京オリンピック大会に総力を注ぐため、他番組の企画管理を厳しくしたからであるが、結果、ドラマ枠が激減し、NHKドラマは低迷期を迎えることとなる[1]。もちろんその間にも、『連続テレビ小説』や『大河ドラマ』はヒットしていた[1]。しかし、企画の締めつけとドラマ枠の激減が現状に甘んじる風潮を生み、挑戦意欲や実験精神を削いでいったことは確かである[1]

では、NHKはこの"失われた10年"の停滞をどのように打破したのか。1970年にドラマ部長になった川口幹夫(のち会長)が、そういった反省に立って自由な企画発想を後押ししたことが変革の第一歩である[1]。一方、その変革の結実『土曜ドラマ』の誕生には、もう一つの教訓が働いていた[1]倉本聰の大河ドラマ『勝海舟』(1974年)に象徴される脚本家俳優のトラブルである[1]。倉本脚本は、音楽の入り方や間の取り方まで細かく書き入れる[2]。こうした完全主義にNHKの若いスタッフが意を唱えこじれ、倉本は脚本を途中降板してしまう[2]。また『勝海舟』は主演の渡哲也が病気降板し松方弘樹に交代[2]。その松方がNHKの制作体制、労使対立問題などが絡むロケ現場の混乱等々を批判するなど、トラブルが絶えなかった[2]。後年、川口はその教訓についてこう述べている[1]。「(昭和)49年当時の作家とのすごいトラブルがありましたでしょう。あの時の教訓だと思うんです。どん底まで落っこちたわけですよ。作家の方には不信感をもってみられてね。その教訓をどうやって活かすのか、どうやって作家の方に対応するのか苦心惨憺してやったことが今、形となって表れてるんじゃないでしょうか」[3]。この「形となって表れている」のが、『土曜ドラマ』や『ドラマ人間模様』(1977年~1988年)の創設と充実である[4]

土曜ドラマの創設には、作家の信頼を取り戻したいという動機があった[4]。しかし現実には、「松本清張シリーズ」(1975年)から始まっている[4]。なぜか、それは初代プロデューサー近藤晋根回しがそうさせたからである[4]。近藤は、新設のドラマでは若手のディレクターを起用したかった[4]。しかし、NHKあげての取り組みとなると、当時第一線で活躍していた和田勉らが黙っていない[4]。そこで、まず彼らを優先して松本清張ものを撮らせ、次に「平岩弓枝シリーズ」、「懐かしの名作シリーズ」を編成し[4]、その後の「山田太一シリーズ『男たちの旅路』に若手の中村克史(のちドラマ部長、編成部長などを歴任)を抜擢したのである[4]

「松本清張シリーズ」は1975年1982年の間に計14作つくられている。この中で注目されるのは、大野靖子・和田勉(演出)のコンビである[4]。『遠い接近』(1975年)、『天城越え』(1978年)、『火の記憶』(同年)の3作を手がけているが、そのうちの『遠い接近』でプラハ国際テレビ祭で金賞、『天城越え』で芸術祭大賞を受賞している。また大野は、佐々木昭一郎(演出)と組んだ「劇画シリーズ『紅い花』」(1976年)でも芸術祭大賞を受賞している[5]

基本的に上半期(4月~9月)の休止をはさむ形[注 1]をとり、プロ野球のオフシーズンに当たる下半期(10月 - 翌年3月)を中心に放送され、そのテーマソングも印象的な『阿修羅のごとく』(1979年~1980年、脚本・向田邦子)をはじめとして、人気作家のドラマ化作品が多い。内容的には社会派ドラマ・ホームドラマ・推理ドラマなどが多い。1984年に枠としての放送は一時終了し、『ドラマ人間模様』[注 2]を土曜日に放送した。その後、プロ野球中継が主に衛星第1放送→BS1にシフトされたこともあり、1988年からほぼ通年で、断続的に1998年3月まで再び『土曜ドラマ』が放送された。1998年4月から2年間は『NHKドラマ館』の枠タイトルとなるが、2000年改編で21時台は『NHKスペシャル』を放送されることなったため、ドラマは平日に移ることになった。

2005年から2010年まで

2005年12月、一連のNHKの不祥事からの経営再建を目指す一環で行う改編に伴って、『土曜ドラマ』は枠名として復活した。基本的な流れとしては、『月曜ドラマシリーズ』(2005年3月で一旦終了、その後『月曜劇場』として当初1クールごとに、『きよしとこの夜』との交代形式で放送し、7月に「ジイジ2〜孫といた夏〜」を放送)を引き継ぐ形を取り、スタッフの多くは23時のNHKの帯番組枠として2002年から2005年12月(アンコールを含むと2006年3月)まで放送された『よるドラ』シリーズから転籍してきたため、事実上『よるドラ』と『月曜ドラマ』の整理・統合ともいえる。

放送時間は『サタデースポーツ』などに替わり、毎週土曜22時 - 22時58分である。2006年4月8日『マチベン』からは、土曜21時台の『NHKスペシャル』が廃枠になったことと、23時台に海外ドラマ(韓国)を戻すため、1時間早まった21時 - 21時58分へ移動した(後に- 21時53分終了)。海外向けの『NHKワールド・プレミアム』でも総合と同時刻での放送となっている)。

氷壁』開始当初から視聴率面では芳しくなく、1桁台を推移していたが、作品により2桁を獲得するものもあった。2010年1月にテレビ雑誌『テレビブロス』は番組枠「土曜ドラマ」として特集記事を組んだ。また、ほとんどの作品は半クール(5 - 6回程度)の中篇が主であり、10回前後の1クールの作品はほとんど放送されていなかった(ただし『土曜時代劇』や『月曜ドラマシリーズ』、『ドラマ10』など過去の作品で1クールをかけた長篇は年1 - 2本程度あった)。

最初期からあてはまることであるが、プロ野球中継がある日は放送時間が変更されたり、ドラマを編成しないこともあった(NHKは試合終了まで中継するため)。編成した日で中継が延長される場合は、時間が繰り下げられたり、中止して翌週以降に順延された。2006年4月22日の『マチベン』は21時45分からスタートしており(最初から45分遅く始まるように設定していて、試合が早く終わったため予定通りに放送)、同年5月27日の『ディロン〜運命の犬』は休止している。

NHK総合で定期的に放送される特別番組日本の、これから』が21時台も放送する時は休止した。例外として2007年3月3日には、当時放送していた『ハゲタカ』を1時間繰り下げて放送し、替わりに『@ヒューマン』を休止した。

2006年9月頃から、直後に放送されていた番組『つながるテレビ@ヒューマン』(2007年4月15日から、日曜日23時 - 23時40分へ枠移動になった)のフライングスタートが取りやめられ、新聞のテレビ欄は21時 - 22時までの番組となっているが、放送時間は従前通り21時53分までで、21時53分 - 21時55分までの2分間は、ステーションブレイクとして番組宣伝などを、21時55分 - 22時は『NHKプレマップ』を放送している。また、2007年1月からはBSハイビジョンで先行放送が行われている(18時から18時58分。年度上半期はNHKプロ野球中継などで時間変更あり。2010年は基本的に本放送前日(金曜日)の18時50分 - 19時43分に放送)。

2010年4月以後、デジタル放送はステレオ2での解説放送が実施される(それ以前、『チャレンジド』が視覚障害者を取り上げた作品であることを踏まえ、デジタル・アナログともに解説を入れていたことはあった[注 3])。

テレビの完全デジタル化に伴う編成の抜本見直しに伴い、2010年10月の『チャンス』の放送終了をもって『NHKスペシャル』などの特別番組の編成枠となった[注 4]

2011・12年度(土曜ドラマスペシャル)

2011年に『TAROの塔』と『チャレンジド 〜卒業〜』の2作品が放送された後、同年10月からは土曜特集枠第2部(原則として21時 - 22時15分)の枠内で随時、『土曜ドラマスペシャル』として放送された。なお、この時期には夜に放送される現代劇の連続ドラマ枠として火曜日の『ドラマ10』(22時 - 22時45分もしくは22時50分)と、2011年10月新設の『よる★ドラ』(22時55 - 23時25分[注 5]があり、こちらは固定して続いているドラマ枠である。

2013・14年度

2013年4月以後は、土曜日の18-20時台を中心に家族層に受け入れられるレギュラー新番組が新設されたことと、22時台のスポーツ情報番組ゾーン強化に伴い、単発枠が事実上廃止になり(ただし長時間討論会やスポーツ中継など、従来通り単発番組を編成する場合もある)[6]、また地デジ・BSを通して連続ドラマ枠を再度強化する観点から、『土曜ドラマスペシャル』を発展解消し、定時連続ドラマ枠(通常編成時は21時 - 22時)としての『土曜ドラマ』が再開されることになった。随時『NHKスペシャル』もこの時間帯(主に、前作と新作の谷間の週。作品によって21時50分まで)に編成するほか、毎週月曜に『ミッドナイトチャンネル』枠第1部にあたる原則 0時10分 - 1時10分(日曜深夜)[注 6]にも再放送が行われたが、2014年10月度の改編でこの再放送が原則として土曜 0時10分 - 1時10分(金曜深夜)に時間枠を移転した。

2015年度

2015年度では、不定期で放送されていた『NHKスペシャル』が定期放送になったため、当番組は22時 - 22時45分に変更された[7]

2016年度

2016年度は2012年度以来4年ぶりに不定期放送に戻り、単発、もしくは2-3回程度の短期集中連続ドラマを中心にして編成予定であり、『NHKスペシャル』と交互に放送する。基本放送時間帯も21時 - 22時15分となるが作品によっては21時50分までの回もあるが、例外として4 - 6月に放送された「トットテレビ」は1本当たり28分の短縮版として20時15分 - 20時43分、10 - 11月に放送された「スニッファー嗅覚捜査官」は再び22時 - 22時43分で、この2つはNスペとの並列放送だった。

2017年度

2017年度は20時15分 - 20時43分の枠で放送された。

2018年度 -

2018年9月までは2017年度と同じく土曜日20時15分 - 20時45分の枠で放送したが、同10月以後は2016年度と同じく、原則としてNHKスペシャルと交互に21時 - 21時50分の枠で放送しており、連続放送である場合は1シリーズ5回程度、まれに『土曜ドラマスペシャル』の名義で単発や前後編なども放送する。

なお土曜日はこの時期から、18時5分 - 18時45分「土曜時代劇 → 土曜時代ドラマ」、23時30分 - 24時「よるドラ」と併せて連続ドラマ3枠体制がとられていた。なお、2021年度に「よるドラ」が月曜の22時45分 - 23時15分に移動、2022年度には「土曜時代ドラマ」が「特選!時代劇」に改題の上、日曜の6時10分 - 6時53分に移動したため、以後は1枠のみとなっている。

2022年4月改編で『サタデーウオッチ9』が当該時間帯(20時55分 - 22時)に放送されるため、本枠は放送時間を1時間繰り下げて、22:00-22:50の枠で放送となった[8][9]。これにより、総合のゴールデンタイム帯に放送されているドラマ枠は「NHK大河ドラマ」のみとなった。またこれまで年数回、名古屋放送局製作作品があったが、費用対効果上、出演者に名古屋に来てもらって収録・生放送するのは効率が悪いという理由で、単発作品以外は事実上撤退している[10]

また、従来の日本国外向けの有料衛星放送・NHKワールド・プレミアム(北米向けのテレビジャパン、欧州・アフリカ向けのJSTVも含む)での、日本国内との同時生放送以外に、NHKワールドTVにおいても当枠で放送された作品を中心として「NHK Drama Showcase」と題して、原版のままで英語字幕スーパー入りにしたものと、英語吹き替え版にしたものの2種類(作品によっては字幕版のみ)に再構成した番組が毎週日曜日に各2回放送されている[11]

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放送作品一覧

土曜ドラマ(第1・2・3次)

第1次・1970年代

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1975年
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1976年
さらに見る タイトル, 放映日 ...
1977年
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1978年
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1979年

第2次・1980年 - 1998年

1980年
1981年
  • 向田邦子シリーズ 蛇蠍のごとく
  • 女性シリーズ
    • わが青春のブルース(淡谷のり子の前半生を題材にしている)
    • 踊る(原作:吾妻徳穂「女でござる」)
  • 市川森一シリーズ 君はまだ歌っているか
  • 山田太一シリーズ タクシー・サンバ
  • 城山三郎シリーズ 価格破壊
1982年
  • 松本清張シリーズ けものみち
  • 大阪ドン・キホーテ
  • 五木寛之シリーズ 横浜物語
  • 遠雷と怒涛と
  • 噂になった女たち 佐木隆三レポート
  • わたしの父の反乱
  • 田向正健シリーズ 希望
  • 翔べ! 南十字星号
1983年
  • 追跡〜妻たちの反乱
  • 追跡2〜私にも定年をください
  • 渡辺淳一シリーズ 白き抗争
  • 欲望
  • 松本清張シリーズ 波の塔
  • 話すことはない
  • 華族の女
  • わたしの名は女です
1984年
  • 青春スクランブル
  • 渡辺淳一シリーズ 白夜(『土曜ドラマ』一時休止、1984年4月 - 1988年3月『ドラマ人間模様』に移行)
1988年
1989年
1990年
  • 別の愛
  • 家族の値段
  • 恋愛模様
  • 理想の男性
1991年
1992年
1993年
  • 欅の家
  • 大草原に還る日
  • 私が愛したウルトラセブン
  • 消えた金塊ブリンクス・マット強奪事件
  • パパとアリスの奮戦記
  • ミス・ローズ・ホワイトの秘密
  • 春の一族
  • 系列パート1
  • オバサン、咲いた!
  • 三十三年目の台風
  • がんばらんば〜平成の島原大変〜
  • 勇士たちの帰郷
  • 街角
  • エトロフ遥かなり
  • 愛が聞こえます
  • 聞こえるかい心の歌が
1994年
  • 五右衛門
  • 銀行 男たちのサバイバル(全3回)
  • 否認
  • 幸福の条件
  • 米田家の行方
  • 北山一平 アイラブ人生
  • 黄昏の甘い恋歌 ときめき御用達・おばちゃまは元気印!
  • 系列 パート2
  • 秋の一族
  • 和菓子の味
  • 妻よ
1995年
1996年
1997年
  • 新宿鮫 〜屍蘭〜
  • おごるな上司!
  • うどんとビデオ
  • いのちの事件簿 〜福祉の最前線でケースワーカーは今〜
  • 風のねがい
  • もうひとつの心臓
  • 女たちの帝国
  • 唄を忘れたカナリヤは…
  • 生前予約〜現代葬儀事情
  • スズキさんの休息と遍歴
  • 熱の島で〜ヒートアイランド東京
  • 極楽遊園地
1998年

第3次・2005年 - 2011年

以下、特記がないものはNHK放送センター自社製作。
第3次以後は、一部の作品でNHK関連法人や外部プロダクションに製作を委託するものがある[注 8][要出典]
2005年
2006年
2007年
2008年
2009年
2010年
2011年

土曜ドラマスペシャル:2011年 - 2013年

2011年

2012年

2013年

土曜ドラマ(第4次)

第4次・2013年 -

2013年
2014年
2015年
2016年
2017年
2018年
2019年
2020年
2021年
2022年
2023年
2024年
2025年
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脚注

参考文献

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外部リンク

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