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日本のエレクトロニクス持株会社 ウィキペディアから
パナソニック ホールディングス株式会社(英: Panasonic Holdings Corporation)は、大阪府門真市に本社を置く、日本の多国籍電機メーカー持株会社。エアコンや洗濯機などといった白物家電分野をはじめ、照明器具・配線器具などの住宅設備分野や、リチウムイオン二次電池などの車載分野などに重点を置く。旧社名は松下電器産業株式会社(まつしたでんきさんぎょう、英: Matsushita Electric Industrial Co.,Ltd.)、パナソニック株式会社。
パナソニック本社(大阪府守口市八雲中町) | |
種類 | 株式会社 |
---|---|
機関設計 | 監査役会設置会社[1] |
市場情報 | OTC Pink PCRFY |
本社所在地 |
日本 〒571-8501 大阪府門真市大字門真1006番地 |
設立 |
1935年(昭和10年)12月15日 (松下電器産業株式会社) |
業種 | 電気機器 |
法人番号 | 5120001158218 |
事業内容 |
食品流通 電気設備 空質・空調 各種電池 ホームアプライアンス オートモーティブ スマートライフネットワーク ハウジング デバイス 現場プロセス 等の製造・販売 |
代表者 |
代表取締役社長執行役員CEO:楠見雄規 代表取締役副社長執行役員:本間哲朗 代表取締役副社長執行役員CRO:佐藤基嗣 代表取締役副社長執行役員CFO:梅田博和 |
資本金 |
2587億4000万円 (2019年度時点)[2] |
売上高 |
連結:8兆4964億2000万円 (2024年3月期) |
営業利益 |
連結:3609億6200万円 (2024年3月期) |
純利益 |
連結:4654億4300万円 (2024年3月期) |
純資産 |
連結:4兆7219億300万円 (2024年3月末時点) |
総資産 |
連結:9兆4111億9500万円 (2024年3月末時点)[3] |
従業員数 |
連結:22万8420人 (2024年3月末時点) |
決算期 | 3月末日 |
会計監査人 | 有限責任あずさ監査法人 |
主要株主 |
日本カストディ銀行(信託口) 7.83% 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 6.91% 日本生命保険 2.96% トヨタ自動車 2.80% 日本カストディ銀行(信託口5) 1.92% JP MORGAN CHASE BANK 385151(常任代理人:みずほ銀行) 1.82% パナソニック従業員持株会 1.77% 住友生命保険 1.60% STATE STREET BANK WEST CLIENT - TREATY 505234(常任代理人:みずほ銀行) 1.48% 日本カストディ銀行(信託口7)1.46% JP MORGAN CHASE BANK 385632(常任代理人:みずほ銀行)1.43% (2019年3月31日現在) |
主要子会社 |
パナソニック(2代目法人) パナソニック オートモーティブシステムズ パナソニック エンターテインメント&コミュニケーション パナソニック ハウジングソリューションズ パナソニック コネクト パナソニック インダストリー パナソニック エナジー パナソニック オペレーショナルエクセレンス →「パナソニックグループ」も参照 |
関係する人物 |
松下幸之助(創業者)[4] 井植歳男(創業補佐役) |
外部リンク | https://holdings.panasonic/jp/ |
日本国内における電機業界では日立製作所・ソニーグループに次いで3位の売上高を誇る。日経平均株価とTOPIX Large70構成銘柄の一つであり、2019年10月まではTOPIX Core30の構成銘柄の一つでもあった。
ブランドスローガンは「幸せの、チカラに。」[5]
社内カンパニー制を採用していたが、2022年4月より持株会社制に移行した(後述)[6]。廃止前の社内カンパニーは、くらし事業本部(くらしアプライアンス社、空質空調社、コールドチェーンソリューションズ社、エレクトリックワークス社、中国・北東アジア社)、パナソニック システムソリューションズ ジャパン株式会社、エナジー社、オートモーティブ社、インダストリー社、パナソニック ハウジングソリューションズ株式会社、パナソニック エンターテインメント&コミュニケーション株式会社、オペレーショナルエクセレンス社の7事業セグメントと1ビジネスプラットフォーム部門で構成されていた。連結対象会社数は523社である。関連会社も含め、家電製品の他にも産業機器・通信機器・住宅設備・環境関連機器などの電気機器を中心に多角的な事業を展開している。松下電工の合併および三洋電機を連結対象に収めた現在は、車載設備・住宅設備・エネルギーマネジメント機器などを核とした成長戦略を進めている。以前はコンシューマー向け製品・サービスに特に力を入れていたが、2013年から企業向け製品・サービス(BtoB)の比率を上げる方向へと転換した。さまざまな分野や製品で国内外企業と競合しつつも、ソニー・東芝・日立製作所・オリンパス・富士フイルムなどと提携・合弁・事業移管も行っている。
日本国内では唯一の総合家電メーカー(全部門を網羅)となったため、家電業界の多くの部門でトップシェアを有し[7]、家電以外の業界(電池、住宅用太陽光発電、照明器具、電設資材、ホームエレベーター、電動アシスト自転車など)でも国内シェア1位を占める。また数々の業界がグローバル展開している(アビオニクス、カーナビなどのIVIシステム、車載用リチウムイオン電池、換気扇、コードレス電話、業務用冷蔵庫)[8]。このうち、アビオニクスは世界シェア約8割と寡占状態が進んでいる[9]。
知財活動に秀でており、パテント・リザルト社の「特許資産規模ランキング」で2017年度は2位を獲得している[10]。
以下、社章の名称はいずれも通称である。
氏名 | 在任期間 | 出身校 | |
---|---|---|---|
初代 | 松下幸之助 | 1935年12月 - 1961年1月 | |
2代 | 松下正治 | 1961年1月 - 1977年2月 | 東京帝国大学 |
3代 | 山下俊彦 | 1977年2月 - 1986年2月 | 大阪府立泉尾工業学校 |
4代 | 谷井昭雄 | 1986年2月 - 1993年2月 | 神戸高等工業学校 |
5代 | 森下洋一 | 1993年2月 - 2000年6月 | 関西学院大学商学部 |
6代 | 中村邦夫 | 2000年6月 - 2006年6月 | 大阪大学経済学部 |
7代 | 大坪文雄 | 2006年6月 - 2012年6月 | 関西大学大学院工学研究科 |
8代 | 津賀一宏 | 2012年6月 - 2021年6月 | 大阪大学基礎工学部 |
9代 | 楠見雄規 | 2021年6月 - 現職 | 京都大学大学院工学研究科 |
世界展開により、「松下 (Matsushita)」「ナショナル (National)」「パナソニック (Panasonic)」の名称を使い分けるデメリットが年々増大し、ブランドイメージの統一が課題となっていた。創業者松下幸之助も、将来的に社名変更の必要性を感じていたようであり、1975年 - 1984年に「グローバルな経営には松下という社名とナショナルというブランドは分かりにくいんじゃないか」と質問された際に、「いずれそういう時がきて必要であれば、社名を変えるのは意に介さない」と断言していた[39]。幸之助と頻繁に接していた役員OBによれば、「彼は存命中にも社名変更を考えていた」という。そこで、1989年1月に入ってすぐに「パナ (PANA)」への社名変更が検討されたが、松下正治が激怒したため棚上げになった[40]。
その状況が長く続いたが、松下電器は日本国外において自社のブランド名「パナソニック」が浸透していることを考慮し、2008年10月1日をもって社名を松下電器産業株式会社(まつしたでんきさんぎょう)から、パナソニック株式会社 (英称: Panasonic Corporation) に変更し、白物家電に使われてきた「ナショナル (National)」ブランドも2009年度までに廃止し、「パナソニック (Panasonic)」へ一本化する意向を、同年1月10日の記者会見で(当時の大坪文雄社長が自ら)公式発表した[41]。6月26日の2008年度定例株主総会にて採決がなされ、全会一致で社名変更は正式決定した[42]。松下やナショナルが付くグループ会社も基本的にパナソニックを冠にした企業名に変更することを発表した。その後、同年6月26日の株主総会において、社名の「松下電器産業株式会社」から「パナソニック株式会社」への変更と、グループ会社名称の「パナソニック」への統一(一部例外あり)が承認された。
その第一段階として、これまで日本国内向けの松下製白物家電に使われてきた「ナショナル」ブランドは同年6月30日製造・出荷・発売分限りで公式使用を完全終了し、「パナソニック」ブランドへの移行は、翌7月1日発売の新製品から先行実施された。以降製造・出荷・発売の松下製白物家電(松下電工の製品含む)は(以前の「ナショナル」ではなく)全て「パナソニック」ロゴに変更されている(一部の「ナショナル」ブランド製品は品番を変更せずに「パナソニック」ロゴにのみ変更されているものがある。その第1号は電球形蛍光灯「パルックボールプレミアQ(クイック)」シリーズと細環型蛍光灯「スリムパルックプレミア」シリーズである)。同年8月25日に旧来の「ナショナル」製品在庫を9月30日までに完全にゼロとする計画を発表した。「ナショナル」製品は現在全て「在庫・展示品限り」となっており、「ナショナル」製品は完売次第、店頭から完全消滅する予定である。その後、9月16日に社名変更日と同日に発売される白物家電を一斉に公式発表した(製造開始時期の関係から旧社名での表記となった)。松下製白物家電各製品カタログは2008年8月発行分まで表紙ロゴは「National」のままだったが、一部製品(エコキュート・IHクッキングヒーター)は(2008年7月発行分から)索引欄に「ブランド」項が新設され、「Panasonic」も併記され始めた。なお、2008年9月発行分から松下製白物家電カタログの表紙ロゴは全て「Panasonic ideas for life」に変更された(シェーバーカタログは松下製白物家電のトップを切って同年8月発行分から表紙記載の商標を「Panasonic ideas for life」に変更。取扱説明書裏表紙における「松下電器産業株式会社」という社名表記は2008年9月30日製造・出荷・発売分限りで終了。翌10月1日以降製造・出荷・発売分からは「パナソニック株式会社」に変わっている)。ナショナルのブランドで発売されていたものを単にパナソニックのブランドに変更したのみの商品は品番の末尾にPを付けている。パナソニック電工が製造する美容・健康商品も同様だが、同社の他の商品は品番の変更なしにブランドを変更している。
系列店「ナショナルショップ」については(2008年度定例株主総会において)パナソニックへの社名変更が正式決定した2008年6月26日以降、看板・シャッターから「National」の文字を外し、名称を「パナソニックショップ」に変更するとともに「Panasonic」ロゴのみを表記した新デザインへの変更作業を順次開始。2009年度までには廃墟を除く全店舗の看板・シャッターが新デザインに切り替わる。後の2009年3月にパナソニックショップキャラクター「パナ坊」(1994年制定)の公式使用を2010年(平成22年)3月31日をもって完全終了を決定(「パナソニック」へのブランド統一に当たり「パナ坊」作者・五味太郎との契約を解除するため)。パナソニックショップ各店へ配布された同年4月発行のパナソニック各製品カタログにその旨の文書を同封した。
2008年9月27日、大阪府門真市の本社屋上の「松下電器」の切り抜き文字を完全撤去した。社名変更は、予定通り2008年10月1日に実施、「松下」や「ナショナル」を冠する子会社も、松下電器本体の社名変更と同時に社名を一斉に変更(「松下電工」→「パナソニック電工」など)[注釈 6] し、企業グループも呼称変更した。さらに、パナソニック提供番組についても、社名変更に伴い、2008年10月改編時に、「ナショナル」を冠した番組名称が、「パナソニック」を冠するものへ変更された(「ナショナル劇場」から「パナソニック ドラマシアター」へ)[注釈 7]。
パナソニックでは自社が運営する財団法人(松下政経塾、松下教育研究財団など)や松下記念病院といった関連系列団体の名称は維持し、グループ各社の社名変更後もこれらの関連系列団体の名称は変更しないことを表明していた[41] が、松下教育研究財団をパナソニック教育財団とするなど一部の団体は名称変更した。尚、東京都台東区にある浅草寺の雷門にある大提灯の銘板は松下電器から変更されていない。中国では引き続き、日系企業の一社として「松下電器」の名称を使用している。
社名変更後の2009年に発売したau携帯電話「P001」の製造型番は「CDMA MA001」となっているが、これは松下の「ま(MA)」から取られている。この他、日産自動車の純正カーナビゲーションでは型番の2文字目のアルファベット(製造会社を表す)が、パナソニック製は「M」[注釈 8] となっている。これも、松下のMである。
1955年の輸出用高性能スピーカーに使われたロゴ、PanaSonicからで、「全ての」という意のギリシア語「PAN」と「音」を意味する英語「SONIC」からなる。海外で「National」の商標が登録されていたことと、「ナショナル」という響きが国家主義と取られかねないために海外向けのブランドとして制定。「松下電器の音をあまねく世界へ」という意味が込められている。現在のロゴはヘルベチカでの文字を少し変えたもので、色は1974年に海外向けCIマニュアルの PANTONE293 がそのまま継続されている[43]。
昭和30年代に松下電器のラジオ事業部部品課に勤務していた齋藤醇爾(さいとうじゅんじ 故人、アマチュア無線の草分けの一人、日本の通信技術や音響技術の発展に携わった)が、「米国に輸出の際にナショナル(National)の名称は、米国のラジオ・メーカーのナショナル・ラジオがすでに商標登録していて使用できなかったため、ラジオ事業部の部品課で知恵をしぼってPanasonicのロゴを考えた」 「当時はPANAVISION方式の大型映画スクリーン投射方式が騒がれた時代であり、それをもじってパナソニックとなった」と回想している。なお、テクニクスについても「ドイツのリンホフ社製カメラのテヒニカ(Technika)が由来である」とも言われている[44]。
中国語圏においては社名変更後も「松下」「松下電器産業」の名称を継続して使用している。これは、中国では企業名が法律で漢字表記しか認められておらず、パナソニックにあてる漢字表記が現地で確立していなかったことが大きいが、それに加えて、「松下電器」という名称が中国の近代化に協力した企業として知名度が高いからという理由もある。当社は戦後初めて日本企業として中国に進出するなど、歴史的な経緯から現地で人気が根強く、パナソニックは知らなくても松下を知っているという中国人は多い。したがって、ブランド名はパナソニックを使用しているが、社名は「松下電器」のままなのである[45]。「パナソニック」の音訳は「怕拿索尼客」「怕那索尼克」[46] となるが、「あの(那)ソニー(索尼)を恐れる(怕)」という意味や知名度の問題[47] もあり、中国国内では使われていない。
2014年現在、松下電器の名前を残しているグループ企業は中華人民共和国の現地統括会社である 松下电器(中国)有限公司(英称 Panasonic Corporation of China)と、中華民国(台湾)の現地統括会社である 台灣松下電器股份有限公司(英称 Panasonic Taiwan Co., Ltd. (PTW))などがある。
2004年に松下電器産業は、松下電工に対する友好的TOBを実施し子会社化した。ブランド戦略や経営戦略、研究開発にいたるまで統一的に展開することになり、互いの重複事業の再編と家電の営業部門の統合を行った。その結果、両社の共同経営会社のパナホームも松下電器産業直轄の子会社となり、松下電工とともに松下電器産業の住宅、電気設備のセグメント(松下電工、パナホーム)として組織上の再編が行われた。
2008年11月7日、経営再建中の三洋電機買収交渉を開始すると正式に公表した。パナソニックの三洋買収の狙いは、三洋が持つ世界シェアトップのリチウムイオン電池と、世界7位の太陽電池事業にある。2005年 - 2006年にかけて、三洋電機のメインバンクかつ大株主、三井住友銀行がパナソニックに救済を依頼するも、交渉に至らずにいたが、今回は三井住友の打診に大坪社長自らが動いた。大坪は会見で「世界経済の厳しさは増し、さらなる成長のエンジンが必要だった」と語った。だが、背景には、エネルギー技術の戦略を早期に軌道修正する必要に迫られていたことがあげられる。なお、同年4月28日に、一部報道により、松下と三洋電機が資本提携を検討中と伝えられるが、この当時は否定していた。その後11月1日にも再び報道された。
2009年6月未明、経営再建中の三洋電機を、同年9月1日からパナソニックグループの傘下に収める(パナソニックの子会社とする)方針が明確化した。2009年11月4日に三洋電機株のTOB開始。三洋電機も賛同し、同年12月28日までに三洋がパナソニックグループに入る事がほぼ確定、パナソニックは(売上高では日立製作所を上回る)世界有数の巨大電機メーカーとなることとなった。12月21日にTOBが終了し、三洋の50.27%の議決権(株式)を取得。三洋はパナソニックの連結対象子会社となり、同社の太陽電池や蓄電池技術を生かした、環境に優しいエネルギーマネジメントを実現する商品開発に力を入れる体制が整った。
2010年5月7日、大坪文雄社長が「子会社化した三洋電機の白物家電事業を将来的に統合する」と同年3月期決算発表記者会見の席上で公式発表。さらに7月28日には、パナソニック、パナソニック電工、三洋電機の3社合同でパナソニックグループの抜本的再編を発表した。まずパナソニックが2011年4月を目処に、発行済み株式の半数超を所有する上場子会社である電工、三洋の全株式を友好的TOBと株式交換によって取得し完全子会社化、翌2012年1月までに事業再編を実施する方針。3社がそれぞれ一定の独立性を持った現状の経営形態では、アジア系電機メーカーとの競争を勝ち抜くには不十分で、競争力強化と意思決定の迅速化を図るには、経営統合、細かく重複の多い既存事業の大胆な整理集約といった抜本的な再編が必要であるとパナソニック側から電工、三洋両社に打診し合意した。さらに、海外の一部製品を除いて三洋の「SANYO」ブランドを原則廃止して「Panasonic」ブランドに統一する方向で検討する旨を発表した[48]。
その後2010年8月23日に電工、三洋に対する友好的TOBを実施。どちらも同年10月7日に成立して同月14日に決済を開始、電工83.93%・三洋80.98%の株式を取得。さらに2011年4月1日付で、TOBで取得できなかった両社の株式を株式交換によって取得し完全子会社化した。そして2012年1月1日付で電工を吸収合併し、パナソニックグループ全体で「コンシューマ」「デバイス」「ソリューション」の3事業分野を核とする事業再編を実施した。事業再編後のパナソニックには、合併した電工を含む3社の主な本社機能を統合したグループ本社やグローバル商品マーケティング本部といったパナソニックグループの中核組織が設置され、テレビ・ブルーレイレコーダーなどのAVCネットワーク機器やエアコン・冷蔵庫などの冷熱機器など当社が持つ強みは主に「コンシューマ」事業で活用される。
同年10月22日、2012年3月31日をもって日本国内の「SANYO」商標公式使用を終了、三洋系列店「スマイるNo.1ショップ」をパナソニックショップへと転換・統合する旨が決定。まず「SANYO」ブランドでの新製品発表は2011年3月31日付で終了。翌4月1日以降三洋が生産・出荷する製品には原則として「Panasonic」ブランドを冠することとなり、「SANYO」ブランドを冠する既存製品の生産・出荷は1年後の商標公式使用終了に向けて縮小、2012年4月以降「SANYO」ブランド製品は「在庫・展示品限り」となり、完売次第市場からは消滅する運びとなる。三洋系列店では、2011年4月以降三洋のブランド変更品を含むパナソニック製品の取扱を本格的に開始。同年10月1日からはかつてのナショナルショップと同様に、三洋系列店の看板から「SANYO」ロゴを外して「Panasonic」へ掛け替える(パナソニックショップへの転換)作業を開始、翌2012年3月末までに作業が完了した。
なお、パナソニックと三洋を合わせたニッケル水素電池事業のシェアが高いため、三洋は車載用以外のニッケル水素電池(eneloopを含む)を製造する三洋エナジートワイセル(現・FDK)などをFDK(古河グループの富士通子会社)に譲渡した[49]。パナソニックも、車載用ニッケル水素電池事業を中国の湖南科力遠新能源に譲渡[50]。
非中核事業としているパナソニック ヘルスケア株式会社については、2014年1月1日に超音波診断装置事業をコニカミノルタへ譲渡、2014年3月末に補聴器事業をパナソニック システムネットワークスに移管した[51]。投資ファンドコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)が設立する持株会社PHCホールディングスに1650億円で売却し、PHCホールディングスが第三者割当増資をパナソニックが引き受ける形で20%の株式を保有する形となった[52]。
2020年11月13日、開催された取締役会において、2021年10月(予定)に現行の社内カンパニー制を廃止し以下のような事業再編を実施する[6]。
上記法人のうち、5以外の各社は各吸収分割における分割準備会社として、当社完全子会社を設立する。このうち1については、設立時点では商号を「パナソニック分割準備株式会社」とし、持株会社体制移行と同時に商号を変更する。5は、当社完全子会社である(現)パナソニック システムソリューションズ ジャパン株式会社が吸収分割承継会社であり、2022年4月1日付で同社の商号を「パナソニック コネクト株式会社」に変更する。なお、商号変更後の同社を存続会社として、パナソニック スマートファクトリーソリューションズ株式会社およびパナソニック モバイルコミュニケーションズ株式会社を同日付で吸収合併する予定である。上記に加え、スポーツマネジメント事業強化を目的として、当社の完全子会社として「パナソニック スポーツ株式会社」を設立する。その上で、2022年4月1日付で会社分割により当社のスポーツマネジメント事業をパナソニック スポーツ株式会社に承継する。
上記再編を実施後、当社はパナソニック ホールディングス株式会社へ社名変更するとともに、持株会社として上場を継続する。そして、上記新体制への再編に併せて、2021年4月1日付で現在、代表取締役社長兼CEOを務める津賀一宏がCEOを退任し現在、AM社プレジデント兼当社常務執行役員を務める楠見雄規が、新CEOに就任する。さらに、6月24日に津賀社長は取締役会長[注釈 9] に、楠見常務は代表取締役社長兼CEOとなる[53][54][55]。
他
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他
他
パナソニックが有する製品カテゴリごとのサブブランドおよび商標の一覧。
この他、会社の黎明期には松下から「マーツ」(MURZ)[62] や、所在地の門真市と最大の英語読みを引っ掛けて「KADOMAX」のブランド名なども使用されていたことがある。社名変更以前には、トランジスタやLSIのようにスペース的にブランドロゴを入れられない商品・部品には、過去には社章であった三松葉を入れたり、その後は「M」を四角囲みにしたマークが入れられていた。
以下のブランドは松下電工→パナソニック電工からの製品。
いずれも、かつては松下電工(のちパナソニック電工)の事業領域に属していた商品である。
企業スローガン(松下電器産業時代)
Nationalブランド
Panasonicブランド
2012年から会員サイト「CLUB Panasonic」から新マスコットキャラクター「ぴこりん」が登場しているが、2017年3月現在までテレビCMには登場していない。
1955年 - 1974年には、松下電器産業(現:パナソニック)の一社提供番組で流れた三木鶏郎作のCMソング『明るいナショナル』で一世を風靡した。
カンヌライオンズやアジア太平洋広告祭(ADFEST)、広告電通賞、フジサンケイメディアミックスグランプリなど、数多くの広告賞を受賞している企業としても有名である。
企業スポーツや国内外のスポーツ大会への協賛に比較的積極的である。夏季・冬季オリンピックの公式スポンサーで、1988年カルガリーオリンピックから始まり、同年のソウル以降、2024年までの夏季・冬季の20大会連続・36年連続でAV機器カテゴリーのTOPスポンサー[注釈 22](ワールドワイドパートナー)として、放送機器などの各種商品が使われることで決まっている。パラリンピックにおいても、1998年の長野以降、AV機器のカテゴリーにて支援してきたが、2020年までの6年間、福祉関連機器のカテゴリーを含めたワールドワイドパートナーとして新たに締結している[69]。
「松下電器産業」として存在していた頃に企画した広報映画のうち、1960年代以降に製作された9作品が、2019年4月16日現在、『科学映像館』において無料公開されている。制作者はいずれも東京シネマ(『マリン・フラワーズ』のみ同社の後継会社である「東京シネマ新社」)。
当企業の本社内に、コミュニティ放送のエフエムもりぐち(通称:FM HANAKO)の送信所が置かれている。大阪府守口市と門真市を放送対象地域とする西日本で最初のコミュニティ放送局でパナソニックも出資しており、門真・守口市境にまたがるパナソニック本社敷地内に送信所を設置している。その関係もあり、パナソニック野球部が都市対抗野球大会に出場する場合は実況生中継する。
放送局名 「愛称」 | コールサイン | 周波数 | 空中線電力 | ERP | 放送対象地域 | 放送区域内世帯数 |
エフエムもりぐち 「FM HANAKO」 | JOZZ7AA-FM | 82.4 MHz | 10W | 31W | 守口市及び周辺地域 | 約6万世帯 |
「きれいなおねえさんは、好きですか。」シリーズについては当該記事を参照。
1985年から1992年まで製造されたFF式石油暖房機を使用したユーザーに、一酸化炭素中毒事故による死亡事故が2005年1月5日に発生[82][83][84]。その後も事故が続発した[83]。
事故原因はバーナーに外気を送るゴムホース(2次エアホース)の亀裂により不完全燃焼を起こしたこととされた[83]。また、事故に至った現場に設置されていた当該石油温風機には、燃焼用送風機の異常による送風量低下や吸排気筒の変形、動物の巣が形成されるなどの異状があり、それら複合的な要因が重なることで一酸化炭素がさらに多量に発生したことが実証されている[84][85]。ゴムホースにはアクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)が用いられており、また2次エアホースはS字状に湾曲した形状であり、取り付け時にねじれた状態になることでホース表面にストレスがたまる状況となっており、さらにバーナーのある燃焼筒の直下にあることで燃焼による熱の影響を常に受け酸化がさらに進行するという構造上の欠陥を抱えていた[84]。
製造は奈良県大和郡山市にあった松下住設機器(松下電器産業に吸収合併の後、現在は社内カンパニーのアプライアンス社)で、152,132台が販売された。
事故発生直後の2月10日、松下電器は石油暖房機だけでなく石油給湯機なども含む石油機器からの完全撤退を決めた(合理化のための撤退という説もある)。以降、ナショナルショップ(松下製品取次店)に供給される石油暖房機器はコロナ製品に変更された[86]。また、事故との関連は不明であるが、石油機器からの完全撤退に合わせ、2005年から過去20年間に製造されたFF式石油温風機・ふく射ヒーター全機種97機種に対して、無償での点検活動を行う「ご愛顧御礼キャンペーン」なる活動が展開された。点検対象となった機種の中には、のちにリコールの対象となる事故当該機種も含まれていた[87]。
1月に発生した死亡事故の直後、松下電器は一般家庭などから同機種31台を回収して調査したところ、9台にゴムホースが劣化し亀裂が生じており、一酸化炭素を含む燃焼排気ガスが逆流することが判明した[85]。石油温風機に不具合が生じていたことは公表されていなかったが、2月と4月にも負傷者を発生させる事故が立て続けに発生したことから、4月20日に松下電器は記者会見を実施し、ゴムホースを銅製ホースに交換するリコール(製品の無償修理)を発表した[85]。翌4月21日には新聞紙面上において『謹告[注釈 31]』と題した社告を出し、無償での部品交換をすると公表したが、その内容には当該製品を未点検のまま使用した場合、「室外に排出される一酸化炭素を含む排気ガスが、ごく稀にエアホース内に逆流し、室内に漏れ出す恐れがある」と死亡事故に至る危険性があることは明記されておらず、また使用の中止要請に関しても「異臭・異音・運転停止等の異常にお気づきの場合」に室内の換気と使用を中止するように呼び掛けるに留まっていた[88]。しかしながら、この時点では徹底した市場対策はなされておらず、有効な対策を打てぬまま2度目のシーズンを迎え死者を増やす結果につながった[89]。
11月21日、修理漏れの対象製品を使っていたユーザー宅で新たに死亡事故が発生した。経済産業省は対象機種の生産から13年から20年が経過していることも影響して修理対応が進んでいないと見ていたため、11月29日の夕方に同日付けで消費生活用製品安全法第82条に基づく緊急命令(現:同法第39条に基づく危害防止命令)を発出した[90][91][92]。本件事故を踏まえ、松下電器は11月30日に新聞紙面上において4月以来となる『謹告[注釈 32]』を行ったが、内容は4月21日の『謹告』と変わり当該製品について「場合によっては、死亡事故に至る恐れがある」と、事故に至る危険性がある旨を明記し、また未点検品を使用しているユーザーに対して直ちに製品の使用中止を求めるようになった[93]。
しかし、緊急命令発出後の12月5日に交換した銅製ホースが機械から脱落、ユーザー宅で家人が意識不明の重体となる中毒事故が発生[83]。経済産業省は同月、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)に原因究明を依頼した[83]。
このため松下電器は対応を変更し、12月6日に対象製品の無料での点検修理から対象製品の1台5万円での引き取り[注釈 33] を決め、松下電器(National/Panasonic)だけでなく松下グループ全社の一般テレビ・ラジオCMを全て「ナショナルFF式石油暖房機を探しています」と題する対象製品のリコール告知CM(お詫びCM)へ差し替える(内容は後述)、ガソリンスタンドや店舗、新聞折り込みなどでチラシを配布するローラー作戦を決行するなど対策を強化した[89]。松下提供のラジオ番組『歌のない歌謡曲』でも12月8日から松下のCM放送を急遽中止、一時は公共広告機構(現:ACジャパン)のCMに差し替えられ、その後、12月12日からはお詫びCMを流した。TBS系列で放送の『ナショナル劇場』のCM[注釈 34] も、発生当時(12月12日放送分:『水戸黄門』第35部の第10話)は公共広告機構と並行してお詫びCMの長編(30秒が1回、それ以外は60秒)を放送した。12月8日(地方紙では12月9日)には、当時の松下電器産業の代表取締役社長であった中村邦夫名義で『お詫びと、大切なお知らせ』と題した新聞全面広告を打ち、新たな事故が発生したことや経済産業省からの緊急命令が下されたことへの報告と謝罪をした上で、「なんとしてもこれ以上の事故は防がなければならないと考えております。広告をご覧になり、お心当たりのある方は、どうか速やかにお申し出くださいますよう切にお願い申し上げます。」とユーザーに対して再度回収への協力を呼び掛けた[94]。
交換した銅製ホースが機械から脱落する事故は全国で13件にも及んだため、急遽12月10日 - 12月19日までの10日間は放送でのコマーシャルを全てお詫びCMに差し替えた。通常の松下CMが再開された12月20日以降も、対象製品が多数出回っている北海道・東北などの一部地域と民放BS・一部のCS放送局ではスポットCM中心にお詫びCMを集中させた。ラジオ番組『歌のない歌謡曲』でも継続してお詫びCMを放送した(TBSラジオの場合、番組内1回と終了直後1回)。
2006年1月12日には約6万台の所在が確認できていないとして、宛先を特定せず指定地域の全戸に郵便物を送付できる日本郵政公社(現:日本郵便)のサービス「配達地域指定郵便物(タウンメール)」を利用し、「松下電器より心からのお願いです」と題する、対象製品の修理・回収を呼びかけるはがきを送ることを発表。2月中旬から全国の全世帯4900万(前年度国勢調査速報値による)と宿泊施設1100万箇所、計約6000万箇所に送付した[95]。はがきには回収対象の石油暖房機(石油温風機と石油フラットラジアントヒーター)の写真と、24時間体制で受け付けるフリーダイヤルの電話番号(0120-872-773)が印刷されている。
2006年11月、リコール開始当初から対象製品としてリスト入りしていた寒冷地仕様の煙突付き機種[注釈 35] の写真を追加した。この頃、ファクシミリのフリーダイヤル回線(0120-870-779)も開設された。
2007年5月末時点で、テレビのお詫びCMを4万2,000本放映、チラシ6億9,000万枚を配布し、費用249億円をかけて回収を呼びかけたが[83]、回収率は70%余りに留まり[83]回収が難航する中、いつでも使用できる「危険な状態」のケースや使用しないままで放置されているケースの修理・回収を進めており、既に廃棄処分(買い替えに伴うものも含む)された情報も集めている。
その後も対象製品の全台数が回収に至っていないため、現社名に変更後も引き続き、規模を大幅に縮小しつつもお詫びCMの放送(2009年頃からは、暖房機器の使用が始まる冬場や、暖房機器の使用が終わる春先を中心に流される)およびチラシの配布を行っている。連絡先についてはフリーダイヤルの電話番号はそのままであるが、高齢者などのユーザーに現社名が周知されていない懸念があるため、社名は必ず「パナソニック株式会社(旧社名:松下電器産業株式会社)」[注釈 36] と併記されている。ただしフリーダイヤルの受付時間は24時間体制から平日のみに縮小され、時間外や休日は留守番電話での受付へと移行した(ファクシミリは24時間のまま)。社名変更以降、パナソニックが「今でも見つかっています」としてチラシやウェブサイトで挙げている発見事例は以下の通り。
パナソニックではお詫びCMの「全台数の把握に向けて、引き続き、探しております」とのテロップや、チラシの「いまだ全数把握には至っておりません」等の記載、ウェブサイトの「依然として全台数を確認するには至っておらず、」の記載等で、最後の1台が発見されるまでFF式石油暖房機市場対策活動を継続する意向を明らかにしており、長期化は決定的なものとなった。
2021年11月現在お詫びCMは放送されていないが、企業公式サイトのトップページには通年で「ナショナルFF式石油暖房機を探しています」[注釈 37] とこのお詫びを掲載し続けている。また、暖房シーズン前後にはチラシ(その他のリコール事案を集約したチラシも含む)配布や公式SNSアカウントへの投稿も継続している。全ての対象製品が製造を終了してから30年以上、最初の死亡事故が発生してから18年以上が経過した現在もパナソニックは松下電器産業時代のFF式石油暖房機を「探し続けて」いる。
対象製品は2023年3月時点で、152,132台のうち118,432台分の利用者が判明(廃棄・買い替え、回収・修理)しているが、差し引いた残り33,700台が発見に至っていない 。
CMの秒数や放映時期等により差違があるが、内容は概ね以下の通り。
これは余談だが、このお詫びCMは後のお詫びCMのテンプレート、デファクトスタンダードとなった。
その後、同社は2007年5月30日に電子レンジや冷蔵庫、衣類乾燥機の一部機種で部品の不具合による発火などの恐れがあるとして、28機種、推定約300万台を無料で点検・修理すると発表した[83]。同社の製品回収規模としては過去最大となる。
当初は偶発的な事故として見ていたが、FF式石油暖房機による一酸化炭素中毒事故で死傷者を出した反省から、各製品の点検を行ったところ共通した欠陥が見つかった。火災やそれに関連した死者は出なかったものの、一酸化炭素中毒事故がなければそのまま放置されていた可能性が強いため、安全意識の欠如が問われる形となった。
2007年2月19日、パロマ湯沸器死亡事故、リンナイの湯沸かし器死亡事故を受けて、日本ガス石油機器工業会は加盟企業の事故データを発表した。
発表によると、パロマは事故件数7件・死亡人数9人、リンナイは件数5件・死亡10人、松下は件数27件・死亡48人(1986年以降)と、松下の数字はパロマ、リンナイの数字を大幅に上回っていた。27件の死亡事故が起きていた松下製湯沸かし器は、室内で空気を取り入れ室内に排気する開放式と呼ばれるタイプ。いずれも不完全燃焼防止装置は付いておらず、「GW-525」「GW-5D」など少なくとも9機種が確認されている。
年代別では、1986年 - 1989年に17件の事故が起き、計30人が死亡。その後は、1990年 - 1999年が8件(死者16人)、2000年以降が2件(死者2人)となっている。1989年2月には5件の事故が集中的に起き、1992年3月には1度に4人が死亡する事故もあった。1番新しい事故は2006年3月の発生だった。同工業会が開示した事故データによると、27件の大半は「換気扇を回していなかった」など使用者側の誤使用に原因があったとされている。
日本ガス石油機器工業会からの発表があるまで、松下はこれらの事故について公表しておらず、死亡事故発生も公表していなかった。使用者へ注意を呼びかけることもせず、事故原因を「使い方に問題があった」として片付けてきた。同社はFF式石油温風機による一酸化炭素中毒事故の際には「製品に問題がある」として直ちにリコールを行ったが、湯沸かし器ではこうした対応をとらなかった。その理由について、同社広報は「製品に起因するものではないので必要ないと判断した」としている。
ただし同社公式ウェブサイト内で、ガス湯沸かし器の死亡事故に関する記述はある[97]。
機器の経年劣化による事故多発を受け、2007年11月に消費生活用製品安全法(消安法)が改正、石油温風暖房機、ガス瞬間湯沸し器、風呂釜、石油給湯器、電気食器洗い乾燥機、浴室用電気乾燥機の9品目について、メーカーに対し製品寿命の表示と点検通知が義務付けられた[83]。
2013年1月、兵庫県内でエコキュートのヒートポンプユニット内にある圧縮機が破裂。圧縮機が収まった鉄製カバーを突き破って部品やカバーの一部が飛散し、周囲にあった物を破損させる事故が発生。翌2014年5月までに同様の破裂事故が合わせて5件相次いだ。製品のみが破損する事象も9件発生しており、パナソニックで原因を調査したところ、ヒートポンプユニットのドレン(排水パイプ)が詰まり、下に塩分を含んだ水が溜まった場合、圧縮機に巻かれている防音材が水を吸い上げ、水分が蒸発する事で塩分が濃縮。これにより圧縮機の腐食が異常に進み、破損に至るケースが判明したという。
いずれも発火や人的被害は確認されていないものの「破裂事故で周辺物を破損させたのだから、放置すれば人的被害が発生する恐れがある」と判断し、パナソニックは2014年7月24日、エコキュートのリコールを届け出る旨を正式決定。翌7月25日には自社ウェブサイト上でエコキュートのリコールを公式発表、7月26日にはパナソニックショップはじめ全国の販売店・住宅メーカーなどへ「エコキュートリコール告知リーフレット」を一斉配付すると共に、新聞紙上にもエコキュートのリコール社告を掲載した。
リコール対象となるのは、パナソニックなどが2003年11月 - 2013年1月までに製造したエコキュートのヒートポンプユニット計208機種・103万1587台(自社生産&販売の「ナショナル及びパナソニック」ブランド98万台、他社への供給ブランド「コロナ」・「積水ホームテクノ”ユーリッチ”」計5万台)。作業ではヒートポンプユニット内にあるドレン排水処理部と圧縮機の腐食状況点検を行い、(底板内に水が溜まっても防音材が吸水しないよう下端をカットした)対策済み防音材と交換するか、ヒートポンプユニットを本体ごと対策済み製品と交換する(ヒートポンプユニット本体の対策品準備が整うまでの応急処置として、現在使用中のヒートポンプユニット本体に対策金具を取り付ける場合あり)[98][99]。
点検・修理の申込は、専用フリーダイヤル(0120-871-381)とパナソニック公式サイト「エコキュートリコール社告」項にある専用申込フォームから受け付ける。住宅メーカー・量販店・工務店・パナソニックショップ経由で販売された場合は販売店などからもユーザーへ連絡が入る場合がある。
同社が製造した共同住宅用インターホン数十万台のうち、少なくとも2005年以降から2,142件について、インターホン工業会の審査において不正があったことが2020年6月12日に報じられた[100]。
不正の内容は、現場の担当者が手続を周知することなく、音圧を実際に計測しないまま想定値を入力していたとみられ、2020年3月に従業員からの指摘で発覚。同社は「再発防止に努める」とした[100]。
2020年6月21日現在、同社公式ウェブサイト上などではこの件について一切触れていない。
取引先からの部品の仕入れ価格について、割引があったにもかかわらず原価のまま経費計上していたとして、大阪国税局から2008年3月期までの数年間で計約1億5000万円の所得隠しを指摘されたことが、2010年6月に発覚した。差額分は取引先にプールされており隠蔽に当たると判断された[101]。
同社は2009年3月期から2011年3月期までの3年間においても、部品の在庫の売却代金などについて同国税局から約118億円の申告漏れを指摘されたことが判明している。ただ、リーマン・ショック直後に当たる2009年3月期に生じた赤字決算との間で相殺が行われ、追徴課税されることはなかった[102]。
2011年3月から2013年3月までの2年間の所得申告についても、海外子会社との取引などをめぐり約100億円の申告漏れを指摘された(うち約3000万円は所得隠しと認定)[103]。
パナソニックが2016年11月1日付で、調達部門などの社員90人超が、部品納入メーカーの担当者から、社内規定で原則禁止となっている接待を繰り返し受けていたとして、一斉に懲戒処分となっていたことが同月5日に判明した[104]。
2017年3月15日、富山県の工場の従業員に労使協定の上限を超える違法な時間外労働をさせていたとして、富山労働局砺波労働基準監督署から労働基準法違反の疑いで、法人としてのパナソニックと工場で労務管理を担当していた幹部2人が書類送検された[105]。これを受け同月18日、大阪労働局から厚生労働省による税制上の優遇制度「プラチナくるみん」の認定を取り消された[106]。
パナソニック子会社でグループの主要会社の一つであるパナソニック産機システムズにおいて、2019年4月入社予定であった内定者が、当時の人事課長から内定者SNS「エアリーフレッシャーズ」[107])を通してさまざまなパワーハラスメント行為を受け、それを苦に同年2月に自殺した[108][109][110]。
2020年3月にオーストラリア戦略政策研究所(ASPI)が出した調査報告書『UYGHURS FOR SALE, ‘Re-education’,forced labour and surveillance beyond Xinjiang(日本語: 売り物のウイグル人–新疆地区を越えての「再教育」、強制労働と監視)』で、ウイグル族を強制労働させている疑いのある中国の工場がサプライチェーンの中に含まれている可能性のある、世界の有力企業80社超のうちの1社として名前を挙げられている[111][112]。ただし、調査報告書の中でパナソニックは、アディダス、ボッシュなどとともに、強制労働に関与するサプライヤーとの直接の契約関係はないと述べている企業として報じられている。パナソニック側は、2021年6月24日の株主総会において「サプライチェーンで強制労働が行われているという認識は持っていない」と表明している一方[113]、人権団体ヒューマンライツ・ナウと日本ウイグル協会が2020年4月30日に出した公開質問状に対しては、名指しされた日本企業11社の中で唯一回答していない[114]。2021年4月8月にヒューマンライツ・ナウと日本ウイグル協会の両団体が出した報告書では「2 回の書面での質問状に加えて電話での問い合わせにも完全に無視を続けるパナソニックの対応には絶望的な思いがする」と記載されている[115]。
同社や子会社、関連会社の520人強の技術者が、施工管理技士などの資格を取得する際に、実務経験の条件を満たしていなかったことが、2021年8月に明らかになった。2020年に同社が第三者委員会を設置し調査していたもので、同社は、社員に資格を返上させると共に、処分を検討している[116][117]。
2024年5月、同年6月に発売予定のデジタルカメラ「LUMIX」のサイトにおいて、同製品のオートフォーカス機能などを説明する際に外部の画像提供サイトから許諾を得た画像を使用していたとして謝罪した[118]。
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