Eneloop
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eneloop(エネループ)は、三洋電機が開発、FDK(旧・三洋エナジートワイセル→FDKトワイセル)が製造する、2005年(平成17年)11月14日に発売されたニッケル・水素蓄電池の商品名で、三洋電機の登録商標(日本第4947448号・日本第5062218号)である。また、同商品のコンセプトをベースに2006年(平成18年)以降展開されている商品群「eneloop universe(エネループ ユニバース)」シリーズにつけられたブランドでもある[1]。
なお、三洋電機はパナソニックグループ内の再編に伴い、2012年(平成24年)1月からPanasonicブランドに移行となったが、「eneloop」に関しては2013年(平成25年)4月25日までの間、SANYOブランドのままで継続発売されていた[注 1][2]。そして、同年4月26日より発売された新モデルからPanasonicブランドとなり、「充電式EVOLTA」とのデュアルブランドへ移行したが、2023年(令和5年)4月のリニューアルで単1形・単2形やお手軽モデルの「eneloop lite」が復活し、パナソニック製充電式ニッケル水素電池のブランドとして統一化されることとなった。
従来のニッケル・水素蓄電池の、「自然放電が多い(充電した状態で販売することや、あらかじめ充電しておいて時が来たら使う・非常時の電源にすることは現実的でない)」「メモリー効果がある(充電管理に相応の手間がかかる)」といった欠点を改良。自然放電を極力抑え(気温20度で)1年間放置しても約85%の残存率を持ち、負荷電圧を上げることに成功し、メモリー効果を抑えた。
充電された状態で流通し、二次電池でありながらも「買ってすぐ使え、継ぎ足し充電が可能」な電池として、アルカリマンガン乾電池など一次電池に代わる「21世紀の新電池」として発表された。2009年11月14日発売の新製品では、本製品の製造出荷時の充電に太陽光発電による電力を使用しており、グリーン電力証書を取得している。
「使い捨てない電池」という開発コンセプトのもと環境にも配慮しており、外装パッケージは再生PETを使用、電池保管ケースとしても使用できるように考慮されている。また、eneloop lite以外の電池は、製造を日本国内で行う「Made in Japan」製品である。
発売当初は単3形のみで、2006年1月21日に単4形が発売され、単3形から単1・単2形として使用するスペーサーも発売された。
充電器は単品、および電池とのセットで販売されている。以前はコンセントに接続するタイプのみだったが、2007年5月21日にはUSB接続の充電器が発売された。
初期の単3モデルは、これまでの平均的な乾電池と比べると電池外筒の縦寸法が長めに(⇒相対的にプラス電極の突起が短く)設計されていた。もちろん単3形の規格寸法に従って作られていたが、一部の機器が単3形の規格寸法を守っていなかったため、使えない場合もあった。これを受けSANYO は形状変更を実施。このマイナーチェンジ版は、eneloopロゴの後ろに、ブルーまたはグレーの(R)マークが付く。但し海外版については(R)マークを追加しないままマイナーチェンジとなっている。
2009年11月14日、第2世代の製品が発売された(製品型番がHR-*UTGからHR-*UTGAに変更)。充放電可能回数が第1世代の1000回から1500回へ向上した。製品へ王冠の印が加えられた。
2010年6月には「eneloop」よりも低容量にしたことで、充放電可能回数約2,000回と軽量化・充電時間の短縮・低価格を可能にしたエントリーモデル「eneloop lite(エネループ ライト)」を発売。水色ベースのシンプルなデザインとなっており、低価格仕様であるため、電池のみの商品はブリスターパックとなっている。
2011年6月には、新たなラインナップとして、大容量タイプの「eneloop pro(エネループ プロ)」と過昇温防止機能をプラスした「eneloop plus(エネループ プラス)」の2機種を発表。「eneloop pro」は黒(ダーク系メタリック)デザイン、「eneloop plus」は「eneloop」と同じ白デザインだが、ロゴ文字色をシルバー(「eneloop」のロゴ文字色は青)にすることで区別している。同年7月に「eneloop pro」、11月に「eneloop plus」と言う順番で販売された。
2011年11月には、第3世代の製品 (HR-3UTGB/4UTGB) が発売された。自然放電抑制性能を向上したことで満充電をして5年を経過しても約70%のエネルギー保持を実現するとともに、電極材料を改良したことで繰り返し回数が約1,800回に向上した(併せて、「eneloop」付の充電器セットもリニューアルされた)。製品に記載されている王冠の印は、下に線が入っているデザインへ変更された。なお、過昇温防止機能付の「eneloop plus(同年6月発表済、同年11月14日発売)」については第3世代「eneloop」と同仕様[注 2]にスペックアップの上発売されることとなった。
2012年10月には大容量タイプの「eneloop pro」の第2世代モデルを発売。容量を50mAhアップして2,450mAhとなり、さらに、第3世代「eneloop」や「eneloop plus」で採用されている自然放電抑制技術を採用し電池設計を最適化したことで自然放電抑制性能を向上。高容量タイプながら1年後のエネルギー残存率約85%を実現した。併せて、ワイヤレスマウスなどでの用途に対応した単4形(定格容量は900mAh)を追加設定。充電器付セットもモデルチェンジした。
2013年4月26日、「充電式EVOLTA」と「eneloop」を同時にモデルチェンジ[3]。これにより、「eneloop」はパナソニックブランドとなった。ラインナップは「充電式EVOLTA」とタイプを揃え、「eneloop pro」はハイエンドモデル、「eneloop」はスタンダードモデル、「eneloop lite」はお手軽モデルにそれぞれ位置づけされ、SANYOブランドで発売されていた「eneloop plus」は廃止となった。また、デザインの変更がインターネット上でも物議を醸した。基本色はSANYO製を踏襲するも、「Panasonic」ロゴが大きく中央に描かれ、ブランド名の「eneloop」はその左下に小さく描かれるようになったためである。尚、海外販売製品はこれまで通りeneloopロゴが大きく描かれている。「充電式EVOLTA」と特長を明確にするため、第4世代となる「eneloop (BK-3MCC/4MCC)」は正極材料の改良により、繰り返し使用回数がスタンダードモデルの充電池としては業界最多となる約2,100回に向上。第2世代の「eneloop lite (BK-3LCC/4LCC)」も繰り返し使用回数が向上され、従来品比2.5倍の約5,000回となった。
併せて、単1形・単2形は一旦廃止(パナソニック充電式ニッケル水素電池 (BK-1MGC/1,BK-2MGC/1) に移行)となり、「eneloop」は単3形・単4形のみのラインナップとなった。また、充電器単品、サイズ変換スペーサー、電池ケースなどは「充電式EVOLTA」と共用になり、ブランド名がつかなくなった。
2015年10月にはハイエンドモデルの「eneloop pro」をモデルチェンジし、第4世代に移行 (BK-3HCD/4HCD)。電池の最小容量をアップし、単3形は50mAh増量して2,500mAhに、単4形は30mAh増量して930mAhとなり、単3形は三洋電機製高容量タイプのニッケル水素電池HR-3UGと同容量となった。
2018年9月のリニューアルに伴って、従来ラインナップされていたお手軽モデルの「eneloop lite」が「充電式EVOLTA e」へ統合される形で一旦廃止され、スタンダードモデルの「eneloop」とハイエンドモデルの「eneloop pro」の2種類に集約された。
2019年3月にJISの改正に伴ってくり返し回数の試験条件見直し(充電のタイミングを約60%放電から100%放電に、流れる電気の量を2倍にそれぞれ変更)に伴ってくり返し回数の表記が変更となり、「eneloop」は約2,100回から約600回に、「eneloop pro」は約500回から約150回となった。電池性能そのものの変更はない。
2023年4月のリニューアル[4]では、スタンダードタイプは外装を包装材量削減のため紙を主体とした「エシカルパッケージ」へ変更するとともに、電池容量が向上され、単3形は100mAh増量して(「充電式EVOLTA」単3形よりも50mAh多い)2,000mAhに、単4形は50mAh増量して(「充電式EVOLTA」単4形よりも20mAh多い)800mAhとなった。「充電式EVOLTA」の特徴であった長持ち性能を電池容量のアップによって実現したことにより、ブランドを「eneloop」へ統一化することとなった。統一化に合わせて、一旦廃止されていたお手軽モデルの「eneloop lite」は「充電式EVOLTA e」に比べて電池容量を向上(単3形:1,000mAh→1,050mAh(旧モデルに比べて100mAh向上)、単4形:650mAh→680mAh(旧モデルに比べて130mAh向上))して「エシカルパッケージ」を採用、2013年4月のモデルチェンジ時に廃止されていた単1形と単2形はSANYOブランド品(HR-1UTG/2UTG)やMGC品番に比べて電池容量を向上(単1形:5,700mAh→6,000mAh、単2形:3,000mAh→3,200mAh)し、短絡防止機能(万が一ショートが発生しても発熱を抑制する機能)の搭載と低温環境下での性能低下抑制の強化(-20℃での使用が可能)を行う改良の上で復活発売される。なお、ハイエンドモデルの「eneloop pro」は外装を「エシカルパッケージ」へ変更する程度となり、電池容量や品番の変更はない。
2013年4月26日にパナソニックブランドの製品が発売された為、SANYOブランドの全製品は生産終了となり、同時に「充電式EVOLTA」と品番が統一された。
2018年9月のリニューアルでは、それ自身が電池ケースを兼ねていたパッケージが廃止され、電池ケースが付属品として同梱されるようになったが、2023年4月に紙パッケージに変更されたことに伴い、電池ケースの同梱が廃止された。
セットになっている充電器は全機種、充電池によって異なる特性に合わせた充電制御を備えているため、従来品の「eneloop」はもちろん「充電式EVOLTA」も充電可能。さらに、乾電池を誤って入れた場合でも自動で検出する乾電池誤充電防止機能を備えるほか、セット品に同梱の充電器には過充電防止機能を備えているためつぎ足し充電も可能。
なお、製造終了済みの三洋電機製充電器・パナソニック製充電器は互換使用による充電(三洋電機製充電器を「充電式EVOLTA」に、パナソニック製充電器を「eneloop」にそれぞれ充電)不可なので使用の際は注意が必要である。パナソニック製充電器で「eneloop」にも充電可能な製品にはパッケージに「eneloop・充電式EVOLTA両対応充電器」の表記がある。
電池単体の本数の後に記載した括弧内は各製品型番の枝番号で、全世代共通である。
以下はeneloopブランドではないが、充電に対応している。一部は後述するセットにも含まれた。セットではeneloopブランド扱い。
三洋はかつてTOY CELLという任天堂ライセンス品の玩具向け充電乾電池を発売したことがあり、その後継[注 3]として、WiiやニンテンドーDS向けに任天堂ライセンス品の充電池を発売していたが、2012年に製造を終了した。
eneloop universeとは、eneloopのコンセプトを発展的に反映・展開した商品群のことである。これらは2007年度のグッドデザイン賞大賞(内閣総理大臣賞)を受賞した。2012年3月をもって日本国内における「SANYO」商標の公式終了を受け、「eneloop universe」はラインナップが徐々に整理され、「eneloop」そのもののフルモデルチェンジに伴って全製品の販売を終了した。ただし、一部の製品は「Panasonic」にブランド変更(もちろん「eneloop」ブランドを使用しなくなった)し、性能を向上して現在も発売されている。
製品名の末尾の◆印は、市販eneloop対応(出力対応も含む)、◇印は発熱機能によるマイコンメーター(過熱防止機能)搭載、◎印は自社開発の高効率ソーラーパネル「HIT太陽電池」搭載を指す。
「三洋電機の環境教育 小学校ENERGY EVOLUTION PROJECT」と題した、環境教育を行っており、その教材としてeneloopが利用されている。小学生たちに地球環境の大切さを教える目的で、三洋電機は全国の小学校にeneloopと充電器を寄贈する取り組みを進めている。
NTTドコモが発売する「FOMA 補助充電アダプタ 01/02/03」および「ポケットチャージャー 01/02/03」には、「Powered by eneloop」のロゴが表記されている(ただし「FOMA 補助充電アダプタ 01」のうち、旧ドコモロゴのロットを除く)。いずれも製造元は三洋電機である。なお「ポケットチャージャー 02/03」はQi規格に対応している。
事実上、上記「ポケットチャージャー 02」のau版にあたる「ポータブル充電器02」(FDKトワイセル→FDK製)にも、同様に「Powered by eneloop」のロゴが表記されている(ちなみに「ポータブル充電器01」は、当時の松下電池工業製[注 4]であるため、eneloopと直接の関連はない)。ただし「ポータブル充電器02」はQi規格に対応していない。
かつてイオンのプライベートブランドである「トップバリュ 共環宣言」の充電池がエネループのOEMで互換性があった。のちの「eneloop lite」に近い仕様で容量と最大充電回数に違いがあったが、併用が可能である。
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