PHCホールディングス株式会社(英: PHC Holdings Corporation)は、グローバルに展開するヘルスケア企業である。略称はPHCHD。医療機器、ヘルスケアIT、ライフサイエンスの3事業において、開発、製造、販売、サービスを行っている。
種類 | 株式会社 |
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機関設計 | 監査役設置会社 |
市場情報 | |
略称 | PHCHD |
本社所在地 |
日本 〒100-8403 東京都千代田区有楽町一丁目13番2号 第一生命日比谷ファースト15階 |
設立 |
2013年8月13日 (オリオンインベストメント株式会社) |
業種 | 電気機器 |
法人番号 | 6010001155349 |
事業内容 | 各種ヘルスケア機器・サービスの開発・製造・販売 |
代表者 |
出口恭子(代表取締役社長兼CEO) 佐藤浩一郎(代表取締役副社長兼COO) |
資本金 |
479億4600万円 (2023年3月31日現在)[1] |
発行済株式総数 | 125,522,074株(2023年3月31日) |
売上高 |
3564億34百万円 (2023年3月期:連結)[1] |
営業利益 |
200億00百万円 (2023年3月期:連結)[1] |
純利益 |
△30億48百万円 (2023年3月期:連結)[1] |
純資産 |
1380億08百万円 (2023年3月期:連結)[1] |
総資産 |
5615億67百万円 (2023年3月期:連結)[1] |
従業員数 |
9,403人 (2023年3月31日:連結)[1] |
決算期 | 3月31日 |
会計監査人 | 有限責任あずさ監査法人 |
主要株主 |
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主要部門 | 糖尿病マネジメント、ヘルスケアソリューション、診断・ライフサイエンス |
主要子会社 |
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外部リンク | https://www.phchd.com/jp/ |
特記事項:2014年3月31日に事業開始。 |
本店 | |
種類 | 株式会社 |
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市場情報 |
(以下は過去のデータ) 大証1部(廃止) 6783 2002年9月25日上場廃止 |
略称 | PHC |
本社所在地 |
日本 〒100-8403 東京都千代田区有楽町一丁目13番2号 第一生命日比谷ファースト15階 |
本店所在地 |
〒791-0395 愛媛県東温市南方2131番地1 |
設立 |
1969年11月21日 (松下寿電子工業株式会社) |
業種 | 電気機器 |
法人番号 | 4500001007246 |
事業内容 | 各種ヘルスケア機器の開発・製造・販売及び関連サービス事業(医療機器、ヘルスケアIT、ライフサイエンス) |
代表者 | 中村伸朗(代表取締役社長) |
資本金 |
79億0700万円 (2023年3月31日現在)[1] |
売上高 | 1097億40百万円(2023年3月期)[1] |
経常利益 | 243億83百万円(2023年3月期)[1] |
純利益 | 165億21百万円(2023年3月期)[1] |
純資産 | 486億27百万円(2023年3月期)[1] |
総資産 | 1734億87百万円(2023年3月期)[1] |
決算期 | 3月 |
主要株主 | PHCホールディングス株式会社 |
関係する人物 | 稲井隆義 |
外部リンク | https://www.phchd.com/jp/phc |
概要
日本の大手医療機器メーカーの一つである。世界的には小さいものの、血糖値センサーや電子カルテなどに強みを持つ。特に超低温冷凍庫(超低温フリーザー)はサーモフィッシャーサイエンティフィックに次ぐ世界2位(国内1位)のシェアを持つ。この超低温冷凍庫は2020年以降のコロナ禍でも医療機関でのワクチン保管用に大活躍した。
四国に拠点を置く、元・パナソニックグループの旧・松下寿電子工業(現・PHC本店、愛媛県東温市)を源流に持つ。それに加え、パナソニックが2011年に買収・解体した三洋電機グループのうち、旧・東京三洋電機に所在した業務用冷蔵庫部門(現・PHC群馬工場、群馬県邑楽郡大泉町)を承継する(なお、パナソニックが同時に承継した旧・東京三洋電機の業務用空調部門はパナソニックAP空調・冷設機器株式会社となり、また旧・東京三洋電機の家庭用冷蔵庫部門はハイアールグループに売却されアクア株式会社となった)。松下寿は、元々パナソニックグループ傘下の頃より独立性が強く、2014年にパナソニックグループを離れて以後は巨額の買収を繰り返して事業を拡大している。
PHCホールディングス株式会社の完全子会社であるPHC株式会社(英: PHC Corporation)は、2005年3月31日までは、松下寿電子工業株式会社(まつしたことぶきでんしこうぎょう、英: Matsushita-Kotobuki Electronics Co., Ltd.)、2005年4月からはパナソニック四国エレクトロニクス株式会社(パナソニックしこくエレクトロニクス、英: Panasonic Shikoku Electronics Co., Ltd.)、2010年10月からはパナソニック ヘルスケア株式会社(英: Panasonic Healthcare Co., Ltd.)という商号だった。
2014年3月31日にパナソニック ヘルスケアホールディングス株式会社(英: Panasonic Healthcare Holdings Co., Ltd.)が設立された。2018年4月に、パナソニック ヘルスケア株式会社及びパナソニック ヘルスケアホールディングス株式会社は、それぞれPHC株式会社、PHCホールディングス株式会社へと商号変更した。
2021年10月14日、東京証券取引所市場第一部に上場している(2022年4月4日、東京証券取引所プライム市場へ移行)。
歴史
松下寿電子工業
松下幸之助に育てられ、松下グループ(現・パナソニックグループ)内で「四国の天皇」とも呼ばれた稲井隆義(赤外線電気コタツの考案者[要出典]・後に松下電器産業株式会社副社長)が四国で創業した会社である。グループ内での稲井の発言力の強さもあり、独自指向が強い企業であったため、1975年には家庭用ビデオ規格VX方式の立ち上げに走ったほどであった。
PC/AT互換機が国内で広く一般に認知された1990年代には、ソニー・ミツミ電機と並んで外部記憶装置メーカーの御三家の一角を占めていた。Creative Labs.のSound Blasterに同社のCD-ROMドライブインターフェースが搭載されていた。また、Quantum社向けのHDDも生産していた。CD-RW/DVD-RW/DVD+RW/DVD-RAM全てが使用可能なスーパーマルチドライブの中で、同社製品だけがカートリッジタイプのDVD-RAMに対応していた。
2005年4月1日、パナソニック四国エレクトロニクス株式会社に商号変更。2007年、パナソニック コミュニケーションズ(現・パナソニック コネクト)にPC用光ドライブ事業を譲渡するとともに、松下電器の社内分社であるヘルスケア社の事業を譲受した[2]。それ以前から自己血糖測定器用センサーは業界標準ともいえる高いシェアを獲得しており、また、持田シーメンスメディカルシステムからも製品の製造を受託するなど、医療機器は主力製品となっていた。
パナソニック ヘルスケア
2010年10月1日、パナソニック ヘルスケア株式会社に社名を変更。本社・松山地区(愛媛県東温市)に工場を増設し、2011年4月からは同所にて主力商品の自己血糖測定器用センサーの製造を開始した[3][4]。
2014年1月1日、超音波診断装置事業をコニカミノルタへ譲渡した[5]。
2014年3月31日、パナソニックはパナソニック ヘルスケアの全株式を投資ファンドコールバーグ・クラビス・ロバーツ(以下、KKR)が設立した持株会社パナソニックヘルスケアホールディングス(以下、PHCHD)に約1,650億円で売却。パナソニックはPHCHDが実施する第三者割当増資を引き受ける形で同社の20%の株式を保有した[6][7]。同時に補聴器事業をパナソニック システムネットワークス(現・パナソニック システムソリューションズ ジャパン)へ譲渡[5]。
PHCホールディングス
2018年4月1日、パナソニック ヘルスケアホールディングス株式会社はPHCホールディングス株式会社に社名変更。併せてコーポレートブランドを「PHC(ピー・エイチ・シー)」に変更し、ブランドタグラインを「Healthcare with Precision」と制定。子会社の名称もこれにあわせて変更された[8]。
2020年よりCOVID-19の流行が始まった。当時のPHCは超低温冷蔵庫で世界2位であり、製薬業界などからの需要で群馬工場は2交代制の盛況となる。ワクチンの普及が始まった2021年以後は、PHCはワクチン保管用の特殊な超低温冷凍庫を製造できる世界で数少ないメーカーということもあって、群馬工場は3交代制のフル稼働となった[9]。この状況で上場が承認された。
上場企業に
2021年10月14日、東京証券取引所市場第一部に上場。公募株数 6,611,700株(国内:2,975,200株 海外:3,636,500株)。公募価格の3250円をやや下回り、初値は3,120円、初値天井で終値は2651円となったものの、それでも時価総額は3260億円となる同年最大の巨大IPOとなった。
典型的なファンドの出口案件で、KKR傘下となった後に巨額の事業買収を繰り返したことによる有利子負債比率やのれんなどにより財務内容も悪かったことから、その後も株価は下落[10]。なお、本上場については市場関係者が2021年のIPOで「ワースト・ディール・オブ・ザ・イヤー」と指摘する報道もある。
コロナ特需のおかげもあって本業は好調で、営業利益・当期純利益こそ黒字ではあるものの、国際会計基準による連結最終損益は2022年3月期には病理事業で約180億円ののれん代を計上するなどして84億6000万円の赤字、2023年3月期には病理事業で約87億円ののれん代を計上するなどして33億円の赤字となるなど[11]、巨額ののれん代を背負いつつも、他社を買収するなど戦略的な事業拡大を続けている。
2023年3月、富士フイルムから電子カルテ事業を100億円で買収[12]。
営業拠点
製造・開発拠点
- 本店・松山地区(旧・寿録音機、後の松下寿電子松山工場) - 愛媛県東温市南方2131-1。1968年操業。
- 脇町地区(旧・寿電機脇町工場) - 徳島県美馬市脇町大字猪尻字西上野110。1969年操業。
- 群馬地区(旧・三洋電機東京製作所の一部) - 群馬県邑楽郡大泉町坂田1丁目1-1。
かつて存在した拠点
- 西条工場(旧寿電機) - 愛媛県西条市福武字持田甲247(主力工場。閉鎖時の生産品目:超音波診断装置、医療用モニター等)
- 大洲工場 - 愛媛県大洲市東大洲1220-1(閉鎖時の生産品目:電源ユニット等、流体軸受モーター)
- 1973年操業。2010年3月31日閉鎖、西条工場・松山工場にそれぞれ集約。
- 一本松工場 - 愛媛県南宇和郡愛南町広見2500-1(閉鎖時の生産品目:ハードディスクドライブ)
- 1985年操業。2005年3月31日閉鎖。2008年に隆祥産業(現・レクザム)が買収、同社愛南工場となった。
- 坂出工場(旧寿電工) - 香川県綾歌郡宇多津町2419(閉鎖時の生産品目:玄関テレビドアホン、カメラシステム、電気コタツ等)
- 1967年操業。2002年3月31日閉鎖、西条工場に集約。跡地はマルナカスーパーセンター宇多津店となる。
- 須崎工場 - 高知県須崎市妙見町378(閉鎖時の生産品目:ハードディスクドライブ半製品)
- 1972年9月操業。2002年3月31日閉鎖、一本松工場に集約。
- 香川松下寿電子工業 - 香川県三豊郡豊中町(現・三豊市)本山甲22(閉鎖時の生産品目:プラスチック成型品、リサイクル木質素材MK-MWood、金型等)
- 2002年3月31日閉鎖、大洲工場に集約。跡地は当初三豊市庁舎の建設が予定されていた(残存建物には合併協議会の事務局があった)が撤回され、その後ゆめタウン三豊が建設された。
- シンガポール松下寿電子工業(Matsushita Kotobuki Electronics Industries Singapore Pte. Ltd.)(閉鎖時の生産品目:ハードディスクドライブ)
- 2002年8月閉鎖
沿革
- 1948年(昭和23年)11月 - 稲井隆義により前身となる企業(大新鉱業株式会社)が設立される。
- 1960年(昭和35年)12月 - 寿電工株式会社(坂出工場の前身、赤外線式電気コタツを生産)を設立。
- 1964年(昭和39年)6月 - 寿電機株式会社(西条工場の前身、輸出用カラーテレビを生産)を設立。
- 1967年(昭和42年)10月 - 寿電機株式会社テープレコーダー事業部が分離し、寿録音機株式会社(松山工場の前身、輸出用テープレコーダーを生産)を設立。
- 1969年(昭和44年)11月 - 大新鉱業株式会社が商号を松下寿電子株式会社に変更した上で、寿電工、寿電機、寿録音機の3社と対等合併して松下寿電子工業株式会社を設立。
- 1975年(昭和50年)9月 - 松下寿電子工業がビデオ事業を開始(VX方式)。
- 2002年(平成14年)
- 2003年(平成15年)1月1日 - 松下電器産業内に社内分社「ヘルスケア社」を設立[15][16]。
- 2005年(平成17年)4月1日 - パナソニック四国エレクトロニクス株式会社に商号変更。
- 2007年(平成19年)4月1日 - 「ヘルスケア社」をパナソニック四国エレクトロニクスに統合。同時に当社のPC用光ドライブ事業をパナソニック コミュニケーションズへ譲渡[2]。
- 2009年(平成21年)6月 - ファンコム株式会社の事業を移管。
- 2010年(平成22年)10月1日 - パナソニック ヘルスケア株式会社に商号変更。
- 2011年(平成23年)3月 - 血糖値測定センサーの工場を本社・松山地区に新設。
- 2012年(平成24年)4月 - 三洋電機株式会社のヘルスケア事業部門を統合。
- 2013年(平成25年)
- 8月13日 - 投資ファンドKKR PHC Investment L.P.(以下、KKR)がオリオンインベストメント株式会社(現当社)を設立。
- 9月 - オリオンインベストメント株式会社からPHCホールディングス株式会社に社名変更。
- 10月4日 - 主力工場の西条工場(900人規模)を2016年3月末までに閉鎖することを発表[5]。
- 2014年(平成26年)
- 2015年(平成26年)9月1日 - 代表取締役社長に小谷秀仁が就任[19]。
- 2016年(平成28年)
- 2018年(平成30年)4月1日 - パナソニックヘルスケアホールディングス株式会社がPHCホールディングス株式会社に、パナソニック ヘルスケア株式会社がPHC株式会社にそれぞれ商号変更[24]。
- 2019年(平成31年/令和元年)
- 2020年(令和2年)
- 2021年(令和3年)
- 3月31日 - 米プライベートエクイティ投資会社L キャタルトンが200億円を投資してPHCHDの株主に加わる[33]。
- 6月23日 - 2021年度~2024年度の中期経営計画「Value Creation Plan」を発表[34]。
- 10月14日 - 東京証券取引所市場第一部に上場[35]。
- 2022年(令和4年)
- 2023年(令和5年)
- 2024年(令和6年)
- 4月1日 - PHCHD及びPHC株式会社の本社機能を、東京都千代田区有楽町一丁目13番2号 第一生命日比谷ファースト15階へ移転[44]。
主な製品・サービス
三洋電機より移転した事業[45]を含め、以下の三領域で構成される。
- 糖尿病マネジメントドメイン
- ヘルスケアソリューションドメイン
- メディコム事業部(医科医事システム・電子カルテシステム・電子薬歴システム等医療IT製品の開発販売)、LSIM事業部(臨床検査事業、日本で唯一の世界アンチ・ドーピング機構公認のドーピング検査の提供)
- 診療所ソリューション・病院ソリューション(電子カルテ・医事コンピュータなど)
- 保険薬局ソリューション(電子薬歴システムなど)
- 健康管理ソリューション
- 臨床検査事業
- メディコム事業部(医科医事システム・電子カルテシステム・電子薬歴システム等医療IT製品の開発販売)、LSIM事業部(臨床検査事業、日本で唯一の世界アンチ・ドーピング機構公認のドーピング検査の提供)
- 診断・ライフサイエンスドメイン
- 保存機器や培養機器等の研究・医療支援機器、病理診断機器等の開発製造販売
- 保存機器(超低温フリーザなど)
- 培養機器(CO2インキュベータなど)
- 実験環境機器
- 乾熱・乾燥機器
- 再生医療機器
- 薬局関連機器(自動錠剤包装機など)
- デリカート(適温配膳車)
- 保存機器や培養機器等の研究・医療支援機器、病理診断機器等の開発製造販売
過去の製品
- 電気コタツ、スポット暖房用赤外線ヒーター、ハロゲンランプヒーターなど暖房機器
- トイレ消臭器
- テレビ(輸出用主体。松下電器テレビ事業部の宇都宮工場と分担で生産)
- テレビデオ
- ビデオムービー(輸出用。国内用も生産した時期がある)
- ビデオデッキ(輸出用。1975年に独自規格のVX方式も発売していた)
- DVDプレーヤー(輸出用のみ)
- DVDレコーダー(輸出用のみ)
- ハードディスクドライブ(米国Quantum社製品を生産)
- PC用光ドライブ(2007年にパナソニック コミュニケーションズに譲渡)
- フロッピーディスクドライブ/スーパーディスクドライブ
- デジタルスチルカメラ
- 無収縮セラミック多層基板/LTCC
- 無停電電源装置
- テレビドアホン
- これに関してはパナソニック システムネットワークス(旧松下通信工業→パナソニック コミュニケーションズ、VL品番)とグループ内で競合していた(HA品番)が、2006年にカタログから消えた(VL品番と同じカタログに載っていたが部材の互換性はない)。
- 超音波診断装置
- 歯科材料(ジルコニア)
- 注射薬払出ロボットシステム
- 人工歯一次加工システム
- 手術・内視鏡用モニター
- 補聴器
- 携帯型拡大読書器
- 携帯用会話補助装置/意思伝達装置
脚注
関連項目
外部リンク
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