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日本の男性声優、俳優 (1959-) ウィキペディアから
飛田 展男(とびた のぶお、1959年11月6日[3][4][5][13] - )は、日本の声優、舞台俳優。茨城県水戸市出身[5][7]。アーツビジョン所属[9]。既婚[10]。
水戸市立三の丸小学校、茨城中学校・高等学校卒業[15]。
子供の頃から、学年誌の記事を読んだことで清水マリ、高橋和枝、白石冬美といった声優のことは意識していたほか、本を音読することが好きであった[6][16]。一方で、中学生までは学校の教師になりたいと言っていた[17]。
中学生の頃、父が買ってくれたカセットレコーダーでアニメソングを録音していたといい、テレビで流れるオープニング、エンディングを片っぱしから録っていたが、ある時、誤ってテレビドラマの音声を録音してしまう[3][15]。最初は「しまった」と思いながらも、それを聴いていくうちにセリフなど覚えてしまい、真似たりするうちに「こういうの面白いな」と思うようになった[3]。このころ、好きな声優は特にいなかったが、「すごいなあ」と思ったのは小山田宗徳、若山弦蔵だったという[3]。
高校2年生の頃、漫画の台詞を声に出して読むことを友人とするようになり、休み時間に色々な漫画を読み合っていくうちに漠然と声優になってみたいという気持ちが出始める[16]。
高校卒業後、茨城から上京して駒澤大学文学部歴史学科に進学[15]。在学中は放送研究会に所属していた[16]。だが、通ってもサッパリ張りが出ず、勉強の意欲が湧かず、ただ毎日機械的に大学に通う生活にイヤ気がさしていたという[15]。
大学在学中のある日の夕方、下宿でボンヤリとテレビアニメを見ていた際に「そうだ!せっかく東京に出て来たんだ。声優になってみよう!この仕事はオレの性に合っている。やりがいもありそうだ。」と思い、声優を志す[15]。その後、映画雑誌『SCREEN』で掲載されていた若山弦蔵、野沢那智といった吹き替えの主演を務めていた声優のインタビュー記事を読んで声優が多く所属していた劇団の養成所を目指し[6]、大学2年生の時に大学を中退。両親の猛反対を押し切って声優の世界に飛び込んだという[17]。
劇団NLT付属俳優教室の出身[9]。ボイス・アーツを経て[15]、アーツビジョン所属となった[9]。
洋画『暗闇にベルが鳴る』吹替版の警察無線の声で声優デビューし、『サイボットロボッチ』(1982年)のボブ役でアニメ初出演[12]。その後『キャプテン翼』(1983年)の若島津健役で初レギュラーを獲得し、1985年『機動戦士Ζガンダム』のカミーユ・ビダンで初主演した[18]。
アニメ、ドラマCD、ゲーム、外国映画や海外ドラマ吹き替え、舞台俳優などの各分野で活動[13]。
声質や演技を使いわけて様々な役を表現する[13]。明るく若者らしいさわやかなナレーション[19]や内面に狂気を隠したキャラも演じることが多い[5]。アニメ版『星のカービィ』ではコックカワサキ役など、10キャラクター以上の役を担当していた[14]。
一人っ子である[3]。父は地方公務員[15]。父は当初声優になるのを猛反対したが、2022年時点のインタビューでは「今でも『ちびまる子ちゃん』など自分の出演作を見てくれている」と発言している[20]。妻は養成所で知り合った女性[10]。
正統派な主人公タイプよりもひと癖あるキャラクターの方が好きだといい、自身の中ではカミーユのような役がぴったりという印象だという[21]。また、丸尾くんを演じてから本人曰く「屈折した変な役」というイメージが業界内で定着したという[20]。2021年時点では「元々はかっこいい影のある少年役が主流だと思っていたが、コックカワサキ役など癖のある役が主流になった」とも語っていた[10]。
役を演じる際、「どうして彼はそういう風に言うんだろう」と食い込んでいくやり方をしているという[21]。
『ちびまる子ちゃん』のオーディションでは当初、飛田が花輪くん役、菊池正美が丸尾くん役で決まっていたが、原作者のさくらももこから「丸尾くんと花輪くんは逆の方が良いんじゃないか」と言われて今の形になった[10][20][22][23]。
子安武人は、声優業界での恩人に飛田の名を挙げている。若手時代の子安は演技の幅が狭いことに悩み、「いつ声優をやめてやろうか」と毎日のように悩んでいたところ、当時とある作品で共演していた飛田がとても優しくフレンドリーに接してくれたことが嬉しく、救いになっており、「もう少しだけ頑張ってみよう」と思って声優業を続けた結果、「辞める機会を失って今に至る」と、冗談交じりに語っている。また飛田の自分に対する接し方から、子安は相手のことを思って厳しくアドバイスしてくれる先輩もありがたいが、自分は純粋に優しい先輩でいたいと考えるようになった[24]。
テレビ版『機動戦士Ζガンダム』(1985年)において、主人公のカミーユ・ビダンに抜擢される[25]。
元々初代の『機動戦士ガンダム』が好きだったことから、オーディションでは台詞を一通り喋った後の1分間ほどのフリートークで「あんなに素晴らしい終わり方をしているのになぜ続編なんか作るんですか」と衝動的に言ってしまった。後日、主役に決まった際は驚き「フリートークをスタッフは聞いてなかったんだろうな」と安心していたが、キャストやスタッフの顔合わせの場で監督の富野由悠季は、作品に対する思い入れや続編を作ることになった理由を懇切丁寧に話し、一通り話し終わった富野は飛田の方を向いて鋭い目つきで「あなた、納得しましたか!?」と言ったという[21][20][26]。
監督が富野であることに加え、シャア・アズナブル役の池田秀一、アムロ・レイ役の古谷徹と共演することも分かっており、存在感のあるキャラクターが次々に出てくるため、主人公といえど途中で交代になるかもしれないというプレッシャーが常にあったという。またクレジットではカミーユよりシャアが上であり、当時は疑問に思っていたが、一方で「こうなったら絶対に最終回まで生き残ってやるぞ!」というモチベーションにもつながったという。また、最初の脚本ではカミーユは物語終盤に死ぬ予定だったが、実際はそうならなかったため「多少なりとも頑張った甲斐があったのかな」と思ったという[21]。
本人のカミーユへの印象は「思ったらすぐに手が出ちゃうような、そういう意味ではアムロ・レイとは対照的な人物」だといい、「素直に黙ってればいいのにと思いながらも共感することはできました」と語っている[21]。セリフが日常的な言葉というより文語的な感じであり、戦闘シーンより日常の会話シーンの方が演じていて大変だったという[21]。
最終話でカミーユの精神が壊れるラストは3ヶ月前から知っており(どんな感じで壊れるかは知らなかった)、それまで凄まじいシーンが続いたため音響監督の藤野貞義から「最後にちょっとおかしくなっちゃうけど、あまりやりすぎないでね」と芝居じみた演技にならないよう言われていた。シロッコを倒した後にファに声をかけられ答えるシーンは実際にやってみると楽にでき、一年を通して一番気負いなく言えたため自分でも驚いたという[21]。
続編の『機動戦士ガンダムΖΖ』でカミーユが出演する際は藤野から「モビルスーツに乗っているテンションではなく、耳元で囁くような優しい感じで」、「肉体ではなく、心と心で話しているような感じ」と言われ演技していた。続編が作られると知った当初は「カミーユがあんな目に遭っているのに明るくなるの!?」と驚いたというが、実際に現場に入ってみて、『Ζ』はカミーユの物語で『ΖΖ』はジュドーたちの物語だと実感し収まりがついたという[21]。
放送終了後もカミーユを演じる機会があり、「いい加減まともの僕に戻りたい」と発言したこともある[27]。また、カミーユの声は地声よりかなり高くテンションも上げなくてはいけないため、「なんでこんな高い声で役作りしてしまったのか今になって後悔している次第ですよ(笑)」と語ったこともある[28]。
劇場版『機動戦士Ζガンダム A New Translation -星を継ぐ者-』でのカミーユ役は、再びオーディションを受け役を勝ち取ったという逸話がある[14]。監督の富野からは「新しい作品として『機動戦士Ζガンダム』を作りたいため、カミーユもこれまでやってきたものではない演技を求めたい。それを確認したいので声を聞かせてほしい」と手紙をもらい、富野とマンツーマンで1時間ほど試行錯誤を繰り返し役を作っていった[21][28]。用意されたセリフはテレビ版と全く同じもので、「とにかくピュアなカミーユにしてください。以前のは全部忘れていいです」と言われ焦ったという[21]。答えが出ないままやってみたが「あなたがやってきたカミーユや、これまでしてきた仕事は分かるし、身につけてきたものもあるでしょうけど、今はそれが邪魔になっている。それを全部捨ててください」と言われた。「いわゆる方法論とか慣れたやり方でやってくれるな」ということだと思い、もうなるようになれと何度も試して、何度目かでついにOKが出たという[21]。台本を読んだ際はテレビ版とほぼ同じ内容で駆け足で話が進むと感じ、カミーユの印象が変わったという。アフレコ当日は自分の中で新しいカミーユ像が決められずにいたが、富野の「これは舞台の再演のようなものです。確かにリメイクで昔の画を使って編集して作っていますけど、いわゆる懐かし番組の集まりではありません。あくまで今の新しい『Ζガンダム』を作りたいと思っています」という言葉を聞いて妙に納得し、「舞台の再演は同じ台本で初演の時よりパワーがいる、さらに初演のメンバーや演出自体が変わる可能性にも対応しなければいけない、それが嫌なら自分はやりませんと降りるしかない。やるかやらないかの世界で、やる以上は誰がどうなろうがやるしかない」と開き直れたという。「一番プレッシャーをかけてきたのが監督なら、一番力を与えてくれたのも監督だった」と思い、打ち上げの際にそのことを富野に伝えると、富野の妻から「見事にハマったってことね」と言われた[21]。収録に入って間もない頃は自分の声が使われているか不安であり、テレビ版の先行上演会を見に行ったといい、そこで自分の声がちゃんと流れているのを聞いてようやく安心したという[21]。
劇場版をやるまではいつでも少年役OKという気持ちだったが、劇場版を終えて、声優の世界も世代交代が進んでいる時期だったため「このあたりがタイムリミットかな」と感じたという。一方で、それまでは役柄が落ち着いてチームの中でも落ち着いたポジション役になっていくと思っていたが、劇場版で再度カミーユを演じたことで、その未来図を完全にぶち壊されたという。「自分から役柄を絞り込んでも意味がない、どんな年齢のキャラでもピュアに臨めばそれでいいんじゃないか」と思ったといい、「どのみちパターンでやっちゃったら、一時期は通じるかもしれませんが、いつかは飽きられるし、代わりはいっぱいいるわけですから。サバイバルとまでは言いませんが、どこまで続けていけるか、生き残っていけるか。貴重な機会は逃さずに、お客さんやスタッフの方、一緒にやっている方々に、何か残るようなものをやる。それが大事なんだと思うようになりました」という[21]。カミーユ役は誰にも譲りたくない反面、「そろそろいいんじゃないかという気がしないでもない」と言っているが、「自分のようにカミーユをやれる人はそういない、地で持っている人はあまりいないんじゃないかなぁと思いますね」とも語っている[21]。
『Ζ』、『ΖΖ』以外のガンダムシリーズ作品でも、OVA『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』のカリウス、テレビアニメ『機動武闘伝Gガンダム』のウルベ・イシカワといった重要な役を担当している[21]ほか、『機動戦士Vガンダム』、『機動新世紀ガンダムX』、『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』などでゲスト出演しており、ゲーム作品では『機動戦士ガンダム ギレンの野望』(フランシス・バックマイヤー)、『機動戦士ガンダムSEED ASTRAY』(ロンド・ギナ・サハク[注釈 1])にも出演している。
太字はメインキャラクター。
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