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日本のアニメ『ガンダムシリーズ』に登場する架空の人物 ウィキペディアから
アムロ・レイ (Amuro Ray[注 1]) は、ガンダムシリーズに登場する架空の人物。初出のアニメ『機動戦士ガンダム』および劇場アニメ『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』における主人公である。
デザインは、『機動戦士ガンダム』のキャラクターデザイン全般を担当した安彦良和により、7年後を描いた続編の『機動戦士Ζガンダム』も同様である。さらに6年後を描いた『逆襲のシャア』では、同作のキャラクターデザイン全般を担当した北爪宏幸による。
後年の安彦のインタビューによれば、「赤毛の縮れ毛にして、ニンジンのようなキャラクターにしよう」とアイデアを描いたとのこと[5]。また、安彦のイメージでは赤毛で青い瞳の「外国人」であるが、妥協により茶髪で黒い瞳の「日系2世」という設定になったという[6][7]。安彦が監督を務めた劇場アニメ『ククルス・ドアンの島』では、青い瞳になっている。
『機動戦士ガンダム』の企画案である『フリーダム・ファイター』は、宇宙版『十五少年漂流記』として企画が進められた[注 2]。企画を立案した日本サンライズ企画室デスク(当時)の飯塚正夫によれば、主人公を設定するに当たり同作のリーダー格であるブリアンやライバルのドニファン(ドノバン)がモデルでは面白みに欠けるため、ブリアンの弟[注 3]で一時内向的になるジャックを参考にし、それがアムロの原型となった。当時はコンピューターがようやく一般的になり始めた頃であり、そういったハイテクの申し子ならいろいろできるだろうと、ちょっと内向的な少年を主人公に据えたという[8][注 4]。
名前は、1978年11月作成の「テレビ・アニメーション企画書 宇宙戦闘団ガンボーイ(仮称)」や[9]安彦によって描かれた初期稿では[10]「本郷東(あずま)」であった。アムロ・レイという名前は総監督の富野喜幸が語呂合わせで1か月かけて考案したものであり[11][12]、11月以降に富野によって書かれた企画メモでの名前は「テムロ・アムロ」であった[13]。その後の富野による「機動戦士ガンダム設定書・原案」では「アムロ・嶺(レイ)」と表記されており[14]、テレビ放送中に『アニメージュ』に掲載されたインタビューでも富野は「本当は漢字の嶺です」と答えている[11][12]。一方で、脚本を担当した星山博之は後年のインタビューで、レイは零式艦上戦闘機の「零」であると述べている[15]。
宇宙世紀0063年11月4日[2]、父テム・レイと母カマリア・レイの一人息子として生まれる。日系人であり[16](出生地はモンゴリアとも[2])、生誕から幼少まで過ごした地域は日本の山陰地方[17](テレビアニメ版設定)、あるいはカナダ・ブリティッシュコロンビア州の太平洋沿岸地域の町プリンスルパート(劇場版設定、ここからアングロサクソン系とする資料もある[18])、メキシコ北部のロサリトまたは鳥取県[19][注 5](『THE ORIGIN』設定)などがある。好物はハンバーガー。趣味は機械いじり[11]。茶色の縮毛が特徴で、続編でも受け継がれている。
0068年に[2]母と離別し父と共に宇宙へ移民。このとき、母ではなく父についていった心境については、富野が後年にアニメ『ファースト・ガンダム』そのもののダイジェスト版として著した[20]小説『密会〜アムロとララァ』において、母を間男にとられながらも何も言えない父に対して「父さんは、情けない男だ……」と感じつつも、同時に自分がついていなければ父親がダメになるだろう、と感じていたという子心があったことが語られている[21]。
宇宙のどこで暮らしていたかは定かではないが、サイドを転々としていたと言われる[17]。『THE ORIGIN』の設定では、父の赴任先であるグラナダ、サイド6、そしてサイド7と転居を繰り返したとされる[22]。
父が仕事で家を空けることが多いため、自宅では1人で過ごすことが多く、コンピューターや機械いじりが好きな内向的傾向を有するものの、連邦の新型MSを開発する技術者としての父の存在のおかげで、“ふつうの少年”としての自尊心をはぐくめていた[23]。内向的性格の表れとして爪を噛む癖が指摘されており、成人した宇宙世紀0087年の時点でもこの癖は直っていない。また、興味のあることには熱中する反面、使用した衣類や食器や本などの身の回りの物を片付けない、女の子(フラウ)が来てもシャツとパンツ姿のままで着替えないなど、興味の無いことには無頓着である。サイド7移民後は、隣家に住んでいた少女フラウ・ボゥとその家族によく面倒を見てもらっているが、内心はそれを“自立を目指す男がこのようなことでは不甲斐ない[24]”と感じていた。また、この時期にペットロボット市販品のハロを自分で改造している。
階級は、テレビ版ではジャブローで曹長に任命される。劇場版ではオデッサ作戦前の時点でセキ技術大佐が「アムロ曹長」と呼んでおり、ジャブローでは少尉に任官される。戦後は大尉に昇進するが、士官学校を卒業していないため、以後は階級が上っていない[注 6]。
ガンダムシリーズには多数の派生作品があり、いくつかの諸説や異同があるが、ここでは特に断りのない限りテレビアニメ『機動戦士ガンダム』『機動戦士Ζガンダム』、アニメーション映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』及びOVA『機動戦士ガンダムUC』における事蹟を基準に記す。
第一次ネオ・ジオン抗争を描いた『機動戦士ガンダムΖΖ』においてはまったく姿を見せていないが、アーガマが地上に降りた際のブライトとハヤト・コバヤシとの会話から、この時すでに宇宙に上がっていたことが語られる[31]。
「アムロシャアモード」では、ジュドー・アーシタらがアクシズに潜入した頃に、ハヤトとの会話の中で宇宙に戻る考えがあることを述べている。その後、ネオ・ジオンによるコロニー落としからジュドーとハマーン・カーンの最終決戦前の間の時期にシャトルで宇宙に上がり、ロンド・ベル隊の一員としてラー・ザイムに乗艦。用意されていたリック・ディジェに搭乗し、ジムIIを率いた小隊でレジスタンスのザクIII 2機を殲滅する。なお、小説版『逆襲のシャア』や後述の『ムーンガンダム』と異なり、0092年のシャアのスウィートウォーター占拠までジェダではなくリック・ディジェ(「改」でもない)に乗り続けている。
アムロは外郭新興部隊「ロンド・ベル」の組織作りに奔走する[32]。ロンド・ベル設立後はそのMS部隊隊長の任に就いて、シャアの動向を探るため地球圏各所の調査を行っている[33]。
この時期のアムロを取り扱った作品は複数あるが、それぞれで描写が異なる。
宇宙世紀0096には、ネオ・ジオングのコックピットに現れたシャアの像に対して、アムロ、ララァのものとおぼしき像が迎えにいくかのような描写が存在している[注 13]。
宇宙世紀0105年において、地球連邦政府の粛正を掲げる秘密結社マフティー所有の機動兵器Ξガンダムにはアムロ・レイが最後に使用したガンダムであるνを引き継ぐ意図で “ξ”(Ξ) の文字が冠されている。また、そのパイロットである秘密結社の主導者マフティー・ナビーユ・エリンことハサウェイ・ノアは初めてΞガンダムに乗り込んだ後、機体や武装ごと格納しているカーゴ・ピサがペーネロペーの狙撃を受けた際に「身構えている時には、死神は来ないものだ。ハサウェイ」と語るアムロの声が突然聞こえたことに対し、息を呑む一幕が存在する。
アムロ・レイ本人は登場しないが、宇宙世紀0110年、サナリィにおいてガンダムF90が開発され、その1号機にはアムロの戦闘データがプログラムされた疑似人格コンピューター[36] "TYPE A.R" が搭載されている。これはパイロットの行動を確実にサポートし、時にはパイロットの行動を先読みして独自の判断で動くこともあるという[37][36]。そしてF90をテストベッドとした実験は、宇宙世紀0122年までの長きにわたり繰り返されている。
このほか、影武者や戦闘データをコピーしたものが登場する作品がある。
アムロの専用機に描かれるパーソナル・マークは、『逆襲のシャア』のνガンダムよりイニシャルの "A" をモチーフとしたもの(左肩)、およびこれとユニコーンの頭部を組み合わせたもの[38](シールド)が設定され、前者は『ガンダム・センチネル』のΖプラスなどにも(作中の時系列的には前だが)踏襲されている。また、Ζプラスの左肩に「Aタイプ」の意として描かれていたものを、アムロが気に入って自分のものにしたことを示唆する資料もある[39]。一方で「アムロシャアモード」では、ふたたび宇宙に上がった直後に専用機として配備されたリック・ディジェの前部スカートに描かれた "A" マークを見て、自分にこのイニシャルが書かれた服を着たことがあるかと自問する場面がある。
古谷は『機動戦士ガンダム』の音響監督だった松浦典良の薦めでオーディションを受けた[要出典]。内向的な少年を演じることについては、キャラクターへの共感だけでなく、アニメ『巨人の星』以来、熱血キャラの演技を求められ続ける状況を打破するためにもチャンスと考えたこと、そしてお手本がいないために役作りに苦労したことなど、当時のエピソードを多くのインタビューで語っている[要出典]。アムロとしての最初のセリフが「ハロ 今日も元気だね」だが、それで自分が演じるアムロが決まるのではないかと思ってすごく考えたとインタビューで答えている[40]。
続編の『Ζガンダム』や『逆襲のシャア』でも、古谷は成長したアムロを演じている。『逆襲のシャア』上映に合わせて放送されたテレビ特番では、古谷は同作のアムロを「大人として成長したアムロ」ということで「アダルトアムロ」と呼び、これを演じることを当初は難しいと感じたが、劇中のアムロと自分の実年齢が近くなったので、今の自分を重ねる感じで演じるとうまくいったという。ただし、戦闘のシーンでは少年の頃のアムロの声に戻ってしまったとも語っている。
『愛と戦いのロボット 完全保存版』で発表されたアンケート「みんなで選ぶロボットアニメーションベスト100」では、「一番カッコイイヒーローは?」で第1位にランクインした[42]。
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