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ガンダムシリーズの登場兵器 ウィキペディアから
ジェガン (JEGAN) は、「ガンダムシリーズ」に登場する架空の兵器。有人操縦式の人型機動兵器「モビルスーツ (MS)」のひとつ。初出は、1988年公開の劇場用アニメ『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』。
作中の軍事勢力の一つである地球連邦軍の主力量産機で、それまでの作品に登場する代表的量産機ジムおよび系列機の発展型。『逆襲のシャア』劇中では配備が開始されたばかりの新型機であり、主人公アムロ・レイが所属するロンド・ベル隊の主力機として運用される。劇中ではジムと同じくやられ役だが、主要人物のひとりハサウェイ・ノアが搭乗して活躍する場面もある。1991年の映画『機動戦士ガンダムF91』では「最新鋭の小型MSに蹂躙される旧式機」として再登場するが、このとき「作中年代で30年以上に渡って改修を加えながら運用され続けた信頼性の高い量産機」という設定も付加される。更に後年、『逆襲のシャア』と『F91』の間の時代を描いた小説・アニメ『機動戦士ガンダムUC』では両作の過渡的なバリエーション機が登場した。
本記事では、上記作品やそのほかの外伝作品などに登場するバリエーション機などについても解説する。
当時、出渕は漫画・OVA『機動警察パトレイバー』のデザインも進めており、ちょっと引っ張られて似てしまったことが反省点と述懐している[1]。各部パーツを排除したシンプルなシルエットになっており、ジムのデザインとは別系統の方向に発展している[2]。腰部フロント・アーマーがないのは、ジムと印象を変えたいというプロデューサーの内田健二からの要望による[1]。バックパックは鈴木雅久のデザインを出渕が採用しており、ラフの段階ではスラスターが2基でバックパックも大きめになっているが、決定稿ではスラスター1基に変更された[2]。
『F91』に登場するバリエーション機(ただし、J型の機体デザインは『逆襲のシャア』版とほとんど変わらない)は石垣純哉が担当。体調を崩していた大河原邦男に代わり、サンライズ企画室に所属していた当時の石垣が出渕のデザインをもとにリメイクした[3]。MSの小型化がおこなわれたため、対比のために以前の大きさの機体のジェガンを、旧型で大きい「やられ役」としてアレンジしている[4]。石垣は担当することになった理由として、当時はまだ大河原のラフデザインがなかったため、試しにヘビーガンをベースにジェガンとの中間的なラフデザインを描いてみたところ、最後までやってみろと言われた旨を、Twitterで述懐している[5]。
『UC』に登場するバリエーション機はカトキハジメが担当。作品世界としては後年の時代となる『F91』に登場するバリエーション機への繋がりを意識したものもある。
『閃光のハサウェイ』に登場するバリエーション機は中谷誠一がデザインを担当し、既に発売されていたガンプラ・マスターグレード(MG)ジェガンに準拠したスタイルとなっている[6]。
ジェガン JEGAN | |
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型式番号 | RGM-89 |
全高 | 20.4m[7] |
頭頂高 | 19.0m[8] |
本体重量 | 21.3t[8] |
全備重量 | 47.3t[8] |
装甲材質 | チタン合金セラミック複合材[8] |
出力 | 1,870kW[8] |
推力 | 12,700kg×1[8] / ×2[9] 9,200kg×4[8] / ×2[9] 8,800kg×2[8] 総推力:61,400kg[10] / 48,700kg[7][注 1] |
センサー 有効半径 | 14,200m[8] |
武装 | ビーム・ライフル ビーム・サーベル バルカン・ポッド・システム ハンド・グレネード×3 シールド(2連装ミサイルランチャー×2) |
搭乗者 | ケーラ・スゥ ハサウェイ・ノア ユウ・カジマ ロンド・ベル隊 地球連邦軍一般兵 |
その他 | アポジモーター×19[8] |
宇宙世紀0089年に制式採用された地球連邦軍主力量産型MS[11]。開発・生産はアナハイム・エレクトロニクス (AE) 社が担当した[8]。本機は一年戦争期からのジム、ジムII、ジムIIIといった地球出身者が開発したジムシリーズ[11]と、エゥーゴ由来でAE社が開発・製造したネモ、ネロ系の技術を融合させた機体であり[12]、連邦製標準MSの後継機となる[11]。
頭部には固定式のメインカメラ、額部には長距離用センサーが採用されており[8]、各部の装甲は必要かつ十分な強度と、運動性を両立させた重量バランスでまとめられている[11]。胸部の排熱ダクトは小型化され、耐弾性が向上している[12]。脚部は運動性向上の目的で[13]フロントスカートが省略され、その代わりとして腿部前面に増加装甲が施されている[12]。これによって関節部が露出する結果となったが、脚部の駆動抵抗の低減と軽量化に寄与している[12]。
バックパックは大型1基と小型2基のメインスラスターに加え、ガンダムMk-IIのように[14]上部左右に可動式バーニアアームを装備している。加速性と機動性はグリプス戦役時の高機動機にも匹敵し、燃料搭載量も増加している。さらには、補給時に基部ごと交換することにより、迅速な戦線復帰を可能としている[11]。コックピットには新型の球状操縦桿「アーム・レイカー」が採用されているが、一部の系列機ではのちに従来のスティック式へ戻されている[15][16]。
本来は宇宙用に開発された機体であるが、重力下環境にもほぼ無改造で適応し、オプションの増設や換装で局地戦にも柔軟に対応できる[11]。さらに、サブフライトシステム「ベースジャバー」や、リゼルやアンクシャといった可変MS[17]と連携することにより、長距離移動任務にも対応可能となっている。
主要な部品の製造をタキム重工、サムソニ・シム、モンテレー電子、イオタ工業などの企業が担当しており[18]、改良を重ねたMSの設計コンセプトが統合されていることから信頼性は高く[19]、0088年のハマーン・カーンの蜂起に始まる一連の第一次ネオ・ジオン抗争以降は反地球連邦勢力の活動が鎮静化しつつあったことから新型機の開発予算が削減され、基本性能と生産性に優れる本機のマイナーチェンジが繰り返されていく[20]。
0089年から生産開始された機体は「A型」とも呼ばれる[21]。0093年の第二次ネオ・ジオン抗争までに80機程度が生産され[13]、ロンド・ベル隊をはじめ次第に連邦軍全体へ配備されていく。0110年代初頭には、AE社製のヘビーガンやサナリィ製のFシリーズといった15メートル級の第2期MSの生産が開始されるが、配備の遅れからジェガンタイプは0120年代初頭前後まで生産と配備が継続される。しかし、クロスボーン・バンガード (CV) の小型MSにはまったく対抗できず、主力機の世代交代が加速。0120年初頭までの総生産数は、平時が続いたことから系列機を含めて3000機に満たなかったといわれる[22]。
ウェブ企画『A.O.Z Re-Boot』では、下半身の構造はバーザムやガンダムTR-1・ガンダムTR-6からの技術的影響を受けているとされる[14]。
初出作品である1988年のアニメ映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』では、第二次ネオ・ジオン抗争時におけるロンド・ベル隊の主力MSとして活躍。同じくAE社製であるネオ・ジオン軍の主力機ギラ・ドーガとは対等に位置する機体とされているが、映画公開当時の書籍記事の中には、ギラ・ドーガなどと比較して性能の低い機体であると紹介しているものもあり[25]、敵MSを圧倒するような活躍は少ない。
νガンダム受領のために不在のアムロ・レイ大尉に替わり、リ・ガズィのパイロットはケーラ・スゥ中尉となったが、5thルナにおけるシャア・アズナブルとの戦闘で負ったダメージによる修理が完了しておらず、ケーラはやむをえずジェガンで出撃する。ケーラはネオ・ジオンのレズン・シュナイダーが搭乗する指揮官用ギラ・ドーガに追い込まれ、ラー・カイラムとの機銃に挟まれるが、間一髪のところで駆けつけたアムロのνガンダムに救われる。
物語後半ではハサウェイ・ノアが無断で本機に搭乗して出撃し、大型モビルアーマー (MA) 「α・アジール」に搭乗するクェス・パラヤの説得を試みる。そこへチェーン・アギが搭乗したリ・ガズィが現れ、α・アジールは攻撃する。これに反撃する形でリ・ガズィも攻撃するが、ハサウェイのジェガンはα・アジールのメガ・ビーム砲を操作し、攻撃を阻止する。結局、ハサウェイの説得はチェーンの二度目の攻撃によって中断させられたうえ、クェスはα・アジールでハサウェイのジェガンを庇って機体を撃墜され、戦死する。クェスの死を目の当たりにしたハサウェイは逆上してビーム・ライフルを乱射し、リ・ガズィのコックピットに直撃したことによってチェーンは戦死する。
物語終盤では、地球へ落下するアクシズをνガンダムの推力で押し返そうとするアムロの無謀な試みに、予想外の加勢というかたちで無数のジェガンやジムIIIはおろか、敵機であるはずのギラ・ドーガまでもが次々と駆けつけ、アクシズに取りついて協力している[注 2]が、摩擦熱やオーバーロードに耐えきれず爆発する機体が続出する[27]。しかし、自身とシャア以外の犠牲を嫌ったアムロのνガンダムが、サイコフレームの共振によって発生させた光(サイコ・フィールド)により、最終的に残存機体はすべてアクシズから弾き飛ばされる。
2007年の小説および2010年のOVA『機動戦士ガンダムUC』では、第二次ネオ・ジオン抗争直後の時代を舞台として、D型をはじめ多数が主要キャラクターこそ搭乗しないものの、これまでの作品とは異なる勇戦ぶりを見せる。当時における最新の主力機であることが緻密な描写によって強調されており、ネオ・ジオン残党「袖付き」が使用するガザDなどの旧型MS相手には性能差を見せる場面もある。当時の標準仕様であるD型だけでなく、後述のスタークジェガンやエコーズ仕様などさまざまなバリエーション機や、上位機種となる[28]ジェスタおよびジェスタ・キャノンが登場する。配備先は宇宙が優先されていた模様で、地上ではepisode7の冒頭でシャイアン基地に数機配備されているのみである[注 3]。なお、『UC』に登場する各種バリエーション機はデザインの際に頭部や胴体を中心にパーツバランスが見直され、『逆襲のシャア』時よりも高頭身となっている。HGUCのプラモデル各種も『UC』版をベースに造形されているが、これはOVA版『UC』の製作開始に合わせて商品化が企画されたためである。
2018年の映画『機動戦士ガンダムNT』では、登場人物であるイアゴ・ハーカナの回想としてアクシズの落下を阻止しようとするνガンダムと無数のジェガンの映像が挿入されているが、大森倖三による同作の漫画版では、アクシズに取り付いて押し返そうとしていたジェガンたちの1機がイアゴの乗機であったと言及されている。
2021年公開の劇場版『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』では、物語冒頭でサブフライトシステムに搭乗したA型2機が、ハサウェイやギギ、地球連邦の関係者たちを乗せたシャトル「ハウンゼン」356便の護衛として登場する。また、空襲に遭ったダバオ空軍基地では、背部に消火剤のタンクを装備してスプレーを両手で保持した特殊仕様のA型2機が消火作業に当たる。なお、小説版に本機は登場せず、主力量産機はグスタフ・カールに交代している。
1991年のアニメ映画『機動戦士ガンダムF91』では、第二次ネオ・ジオン抗争から30年後を舞台として、マイナーチェンジを重ねた最終改良型J、R、M型がフロンティアI守備隊として多数がまだ現役で稼動しているものの、CV軍の小型MSによってR型が一撃で首を蹴り飛ばされるなど一方的に撃墜されており、戦果を挙げているシーンはほぼない。まったく歯が立たないことから、途中で戦闘を断念したパイロットたちが避難民を巻き添えにしながら逃走するなど、立ち位置は完全に時代遅れのロートル機として描かれているほか、ベテランパイロットと思わしきキャラクターから「奴らは素早い。この大型ジェガンタイプではだめだ」と酷評されるなど、大型MSの時代はすでに終焉を迎えていたことが決定づけられている。
宇宙世紀の次の時代を描いた2014年のテレビアニメ『ガンダム Gのレコンギスタ』では、「前世紀のクラシック・コレクション」として本機が他の宇宙世紀時代のMSと共に展示されている場面がある[30]。
『逆襲のシャア』の小説版とも言える『ベルトーチカ・チルドレン』では、クェスがνガンダムごとアムロをα・アジールの巨躯で押しつぶそうとした際、ハサウェイがジェガンのビーム・ライフルの一撃をα・アジールのコックピット部分に誤って直撃させ、クェスを殺害してしまう。このことが、後年の小説版『閃光のハサウェイ』においてハサウェイのトラウマとなっている。
1990年の漫画『機動戦士ガンダムF90』では、第二次ネオ・ジオン抗争から27年を経てなお連邦軍の主力機として運用されている。第13独立機動艦隊の艦載機として多数が参戦し、初の地球外惑星での戦闘に臨んだ。敵である火星独立ジオン軍の用いるRFシリーズとの交戦を、しばしば苦戦するものの互角以上に渡り合い、最終的にはRFシリーズと老兵による火星独立ジオン軍を殲滅する。
1997年のゲーム『機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY』では、3部作すべてをAランクでクリアした際のエンディングにおいて、同作の主人公であるユウ・カジマが大佐となって第二次ネオ・ジオン抗争に参加したとの後日談が語られる。ゲーム中ではユウの乗機が明言されなかったが、皆河有伽による同作の小説版では、アクシズの地球落下阻止に赴いたMSたちのうち、途中で弾かれたギラ・ドーガの手を掴んだジェガンがユウの乗機であったとするなど、『逆襲のシャア』のクライマックスに絡めた描写が盛り込まれている。以降のユウが登場する関連作品でも、小説版での言及を踏襲した描写がされる場合がある。なお、2022年10月にはららぽーと福岡内の「GUNDAM SIDE-F」限定で、胸部のみ「蒼」に塗装されたプラモデル『HG 1/144 ジェガン(ユウ・カジマ専用機)』が発売されている[31]。
1997年の漫画『機動戦士クロスボーン・ガンダム』では、最終話において木星側MA「ディビニダド」の破壊を行った連邦軍とスペースコロニーの連合部隊に、参戦した本機が確認できる。
2014年に刊行された、『逆襲のシャア』と『機動戦士ガンダムUC』の間を描いた漫画『機動戦士ガンダムUC 虹に乗れなかった男』では、ハサウェイが搭乗したジェガンは電装系のトラブルのために帰還していたと設定されている。また、本機は終戦後に連邦軍へ収容され、ハサウェイはクェスの死とチェーンを殺害したショックで立ち直れない状態となっていたことが、ブライト・ノアの回想場面で語られている。
2024年公開予定のVR映画『機動戦士ガンダム:銀隊の幻影』にも登場予定[32]。
これらの派生機と区別する場合、初期型のジェガンはジェガンA型と表記される場合もある[33]。
ジェダ JEDDAH[34] / JEDA[35] | |
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型式番号 | RGM-88X[36] RGM-90[36] |
全高 | 21.8m[35] |
全備重量 | 50.8t[35] |
装甲材質 | チタン合金セラミック複合材[35] |
出力 | 1,930kW[35] |
武装 | 頭部バルカン砲 腰部ハンド・グレネード×6 ビーム・サーベル×2 ビーム・ライフル シールド 2連腕部グレネード×2 |
搭乗者 | アムロ・レイ ジョー・セイ カニンガム・ショー オルヤン・ブルムクイフト |
ジェダ(アムロ・レイ大尉機) JEDDAH (AMURO RAY USE) | |
全高 | 21.8m[37] |
全備重量 | 55.8t[37] |
装甲材質 | チタン合金セラミック複合材[37] |
出力 | 1,930kW[37] |
武装 | 頭部バルカン砲 腰部ハンド・グレネード×6 ビーム・サーベル×2 ビーム・ライフル 小型ビーム・ライフル シールド |
搭乗者 | アムロ・レイ |
ジェダキャノン〈ジェダブル〉 JEDA Cannon 〈JEDA BULL〉 | |
型式番号 | RGC-90XC |
全高 | 22.5m[38] |
装甲材質 | チタン合金セラミック複合材[38] |
出力 | 1,930kW[38] |
武装 | 頭部バルカン砲 腰部ハンド・グレネード×6 ハイパー・ビーム・サーベル ダブル・ビーム・ライフル 背部ビーム・キャノン ショルダー・シールド×2 6連装ショルダーミサイルポッド×2 |
搭乗者 | ウバルド・モリーナ |
『逆襲のシャア』の小説版のひとつ『機動戦士ガンダム ハイ・ストリーマー』、および『逆襲のシャア』の1年前を描いた漫画『機動戦士ムーンガンダム』に登場。ジェガンのプロトタイプに相当し、製造年度的には1、2世代前の機体であるとされている[39]。
第一次ネオ・ジオン抗争時にAE社が主体となって計画され[35]、開発は同社が連邦軍から委託されている[34]。当初はジムIIIでの成功をもとに[35]、バックパックなど各部にガンダムMk-IIのパーツや技術を多用した試作機 (RGM-88X) が6機製造される[36]。しかし、連邦軍の予算削減によってさらなるコストダウンが要求され、途中から本機をベースにしたマイナーバージョンが製造される[36]。
試作機のうち1機はテスト中に大破し、2機は解体され、残りの3機がロンド・ベル隊に試験配備される[36]。おもな武装は、ガンダムMk-IIのXBR-M87D並みの性能をもつ、複合センサー装備のビーム・ライフルと[注 4]、同じくMk-IIのスライド伸縮式シールドを発展させつつ、先端に打突用の硬質素材を採用したシールド[35][注 5]。
小説『ハイ・ストリーマー』において形状上不完全ながらも材質と塗装によるかなりのステルス性能を持っている。(一巻P27)
小説『ハイ・ストリーマー』に登場するジェダ3番機に相当する機体で、『機動戦士ムーンガンダム』に登場した際、同作に合わせた設定がなされた。メカニックデザインは形部一平。
アムロ・レイが、ラー・ギルス救援時の戦闘で破壊されたリック・ディジェ改に次いで搭乗するジェダの3番機。通常のジェダから紺や黄色が足された機体色となっており、ややガンダム的な印象が強くなっている。頭部右側には指揮官用のアンテナ、胸部には武装の増設ラックとスラスターを兼ねたプレート状の増加装甲を追加。「攻撃を当てられに行きつつ回避する」というアムロのスタイルに合わせた急速離脱や、装備を切り離しての反撃が可能となっている。胸部の増設ラックは、肩の増設ラックと合わせることでより大型の装備を追加することも可能であるが、ジェガンの登場によってジェダ自体の計画が縮小されるため、存在は確認されていない[37]。
漫画『機動戦士ムーンガンダム』に登場。メカニックデザインは形部一平[38]。
ジェダをベースとした中距離支援機。MS開発黎明期から続くキャノンタイプMSの系譜に属する機体で、ジム・キャノンIIやジムIIIパワードFA〈ブルドック〉の特性を受け継いでいる。「ジェダブル」とは「ジェダキャノン・ブルドック」の略称で、パイロットであるラー・ギルスMS部隊のウバルド・モリーナ隊長が、以前に搭乗していたジムIIIパワードFAに続く機体として命名している[38]。
ジェダ自体は各部にアタッチメント装備用のハードポイントを有しているため、「キャノンタイプに改造する」というよりは「キャノン用の装備を盛る・着る」というフルアーマーの延長的な方向性となっている。頭部には背部キャノンの放熱からセンサーを保護するマスク、胸部ハードポイントには増設装甲、前面スカートには装備バランス向上を目的としたスラスターアーマーが追加されている[38]。
武装は、バックパックのサーベルラックに代わり追加されたビーム・キャノン2門、キャノンの可動域を妨げないように増設された両肩の6連装ショルダーミサイルポッド、前腕左右のショートシールド裏面にそれぞれ追加されたハイパー・ビーム・サーベルとダブル・ビーム・ライフル[38]。
漫画『機動戦士ガンダム U.C.0096 ラスト・サン』に登場。
ロック・ホーカー大佐麾下の新生「フレスベルク」隊が運用する改修機。通常型の頭部にエコーズ仕様機と同じセンサーが追加されており、紫と白を基調に塗装されている[43]。
矢立文庫のウェブ小説および配信アニメ『機動戦士ガンダム Twilight AXIS』に登場[44]。
ブッホ・ジャンク社傘下の私設部隊「バーナム」が運用する独自改修機。通常型の頭部バイザーの左側にセンサー・アイが追加されており、その形状は機体によって異なる。主武装の新型ビーム・ライフルはビーム・ランスの射出機構をもち、射出後はサブマシンガンとしても使用可能[45]。塗装は薄紫色を基調とする。
スマートフォンゲームアプリ『機動戦士ガンダム U.C. ENGAGE』に登場するゲームオリジナルMS。
アムロの発案によるフィン・ファンネルは、サイコフレームとの併用によるニュータイプ能力の増大により良好な戦果が観測される[46]。しかし、サイコミュ兵装の開発におけるデータとしては十分とは言えず[46]、量産型νガンダムの採用に先駆けてフィン・ファンネルのデータ収集用に先行生産された実験機が本機である[47]。ジェガンA型をベースに、コックピット・ブロックの一部にサイコ・フレームを搭載している[47]。本体は両肩アーマーと肩口へのユニットの追加や、胸部インテーク以外は通常のジェガンと大差ないが、バックパックは頭部より大きく張り出したものに換装され、両側面にフィン・ファンネルを2基ずつ重ねる形で装備する。
実用試験ではνガンダムの実戦参加記録にはおよばないものの、従来のサイコミュ兵装を凌駕する結果を示し[47]、偶発的なものと思われていた[46]Iフィールド・バリアの展開にも成功[47]。これらのデータは、AE社のIフィールド関連の研究に大きな前進をもたらす[46]。
劇場アニメ版『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』に登場。設定画(カラー)や型式番号はムック『グレートメカニックスペシャル 機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ メカニック&ワールド』が初出(型式番号:RGM-89G[48])。A型の小改修機で、両肩口にサーチライト、腰部前後にアーマー(前部は小型)、背部には陸戦型ガンダムのようなコンテナ・ラックを装備する[48]。0105年の連邦軍ダバオ空軍基地で運用されており、マフティーによる空襲の際には消火活動や救助活動にも投入されている[48]。劇中では、背部に消火装備を備え、放水銃で消火活動にあたる機体が1カットのみ登場する。
劇場アニメ版『閃光のハサウェイ』に登場。同作品のメカニカルスーパーバイザーである玄馬宣彦によれば、当初マン・ハンターの機体としては『UC』と同様にロトでいいのではという案もあったが、『UC』における「マンハンター」は連邦軍特殊部隊「エコーズ」の通称であり、『閃光のハサウェイ』のマン・ハンターは刑事警察機構でありまったく関係ないため、戦車にもなるロトの軍隊のイメージを払拭するためジェガンになったという[51]。
地球上の不法居住者を摘発する連邦政府下の警察組織「マン・ハンター」が運用する機体。連邦軍内で旧式化して民間に払い下げられた陸戦用ジェガンA型を改修している[52][49]。市民への示威が主目的であるため、ビーム兵器などの対MS兵装は撤去され[49]、股間部に12.7ミリ対人用機銃と銃座を装備し、機関銃手が直接ここに立って機銃掃射を行う。人間目線でもっとも目に止まる脚部のみを黒く塗装しており、これも抑止力のひとつとして機能している[49]。背部には展開式のキャリアーを装備する[50]。すでに軍属の機体ではないが、虎の威を借る狐のごとく軍を模倣した制圧力と威圧感で人狩りを行う姿に対し、劇中ハサウェイから「軍のつもりでいる!」と非難される。
OVA版『機動戦士ガンダムUC』、および劇場用アニメ『機動戦士ガンダムNT』に登場。
第二次ネオ・ジオン抗争時の初期型ジェガン(A型)をベースに総合的な基本スペックの強化を目的として開発された機体で[53]、ジェガンD型とは開発経路が異なっている[54]。基本的なシルエットは初期型と変わらないが[54]、推進機能を中心に改良されており、初期型と比較して4t以上の推力向上に成功している[53]。脚部やバックパックの形状が後述のR型に似ているほか、肩部がやや大型化し、バルカンポッドがセンサー付きのものに変更されている。基本的な武装は初期型から引き継がれているが、『ガンダムF91』で登場するジェガン系の装備するものとほぼ同型の大型かつ火力が増強されたシールドを装備している[53]。この先のジェガンシリーズの行く先を示すような正常進化型で、設計的余裕があらかじめ確保されていることを証明した機体といえる[55]。
地球軌道艦隊所属のゼネラル・レビルに配備された機体のカラーリングはサンドイエローとオレンジのツートンで、同艦所属を示す特有のものとなっている[53][56]。控えめな機体色とは対照的に、イジェクション・ポッドは派手なカラーリングとなっている[54]。
「ラプラス事変」期における最新型[53]だが、部隊単位でもシナンジュには対抗できなかった[53]。
漫画『機動戦士ガンダム U.C.0096 ラスト・サン』に登場。
地球連邦地上軍が「ある技術検証計画」のため、ガンダムGファーストやGFタンクとともにAE社に開発を発注した機体で、ジェガンA2型をもとに中距離支援用として製作されている。サイド7でおこなわれる式典用にそのまま転用され、ガンキャノンを想起させる[57]赤を基調に塗装されている。正規パイロットはゾーイ・ヤンソン中尉だが、サイド1コロニー「シャングリラ」での非合法のMS対戦試合「バトレイヴ」に、成り行きで元ガンダム・チームのエル・ビアンノと子供たちが搭乗して参加する。
頭部のバイザー・ユニットを降ろしてメイン・カメラを伸長することにより、広域モードに切り替わる。主兵装は両肩のメガ・ビーム・キャノンで、砲身を折りたたむことによってスプレー・ビーム・ランチャーとしても使用可能となる。両腕の大型マニピュレーターは人差し指と中指にビーム・ライフルを内蔵しており、左前腕部にはナイフ型の格闘戦用兵器ビーム・ジャック(柄の端部から瞬間的にビーム刃を発生可能)が装備されている。
漫画『機動戦士ガンダム U.C.0096 ラスト・サン』に登場。
キャノンガンとバックウェポンモードのGFタンクが合体した状態。総合性能が向上するほか、超長距離の射撃能力も向上し、圧倒的な火力を発揮する。エクス・キャノンの追加によって4門の同時射撃が可能になるほか、エクス・キャノンの砲身先端(エクス・カートリッジ)をメガ・ビーム・キャノンに接続することにより、超長射程かつ長時間のビーム連続照射が可能なハイパー・ラッシュ・キャノンとなる。
漫画『ダブルフェイク アンダー・ザ・ガンダム』に登場。メカニックデザインは福地仁で、「百式系のスマートなサポートMS」という要望による[62]。
サラミス改級巡洋艦「アラハス」所属のファクトリー・チームが開発した、ジェガンの高性能版[64]。百式の設計を再検討し、量産機に[64]そのクオリティを[65]導入可能なように試験的に採用した実験機でもあり、原型機とは比較にならないほど性能の向上がみられる[64]。コックピット周りなどを改修して[66]新型のジャイロ・フレーム・シートを搭載[62]、全面モニターではないものの立ち上がりと操作性は向上している[66]。
主兵装はDガンダムと同系統の専用ビーム・ライフルで、銃身下部に接近戦用の2連装のニードル・ショットパックを装備可能[62]。ほかに、側面に小型シールドが付いた3連装のミサイル・ガンも用意されている(設定画で携行している)[62]。また、ロケット弾ポッド[67](装弾数9発)を2門装備したオプション・バックパックにも換装が可能となっている[64]。原型機と同様のシールドとバルカン砲も装備する。
カラーリングは白とライト・グレーを基調に、一部が青で塗り分けられている。タケシ・カザキ中尉が搭乗し、宇宙世紀0090年にサイド2宙域のコロニー再建の護衛機のひとつとして配備される。サイド2におけるテロ組織「カラード」の迎撃や、宇宙での新生ネオ・ジオン陽動部隊との戦闘に参加する。
ゲーム『SDガンダム GGENERATION-ZERO』および『同-F』にも登場。ミサイル・ガンをビーム・ライフルとして使用している。
スマートフォンゲームアプリ『機動戦士ガンダム U.C. ENGAGE』に登場するゲームオリジナルMS。
「シャアの反乱」の際に対艦攻撃機のひとつとして検討・急造されたプランで、スタークジェガン完成までの繋ぎと想定されている。短期決戦用として、ロンド・ベル隊が保有するストックの使用が考慮されているため新規パーツや兵装は少ないが、実戦データから導き出されたコンセプトとなっている。バックパックは百式改のスラスター・ユニットを組み合わせて機動性と推力を強化、胸部はジェダのパーツをベースとした増加装甲が設けられている。主兵装は専用に調整されたハイパー・メガ・ランチャーで、本機のジェネレーターもジェガン改と同規格に換装されている。ビーム・サーベルはボックス・ユニット化されて左前腕部甲に装備、ビーム・ライフルはマウント位置を変更し、取り回しが向上している[注 7]。
『機動戦士ガンダムUC』に登場。デザイン担当のカトキによれば、後述のスタークジェガンとの互換性を考案して生まれた通常型の亜種とのこと[68]。
ジェガンの拡張性強化型[70]。カタログ上こそA型との性能差は少ないが、通常装備でもギラ・ドーガを圧倒可能とされる[70]。
スタークジェガンへの換装を前提として、追加装備を装着するために各部がマイナーチェンジされている[68]。コックピットはアームレイカーが廃止されてオーソドックスなスタイルに戻され[71]、タッチパネルを備えた[70]「94式型」と呼ばれる規格に更新されている[72]。外部装置の拡張に対応できるよう、センサー・デバイスはバージョンアップされて機能性が向上している[72]。増加装甲類による加重を考慮し、スラスター推力を増加し、腰部前面と肩部上面にマウント・ラッチを増設[72]。バックパックは汎用性に優れ評価の高いA型のものの概念はそのままに、背面オプション装備の脱着を事前に想定してレイアウトが一部見直されている[24]。レガース・アーマーも形状変更されている[72]。基本的な武装については初期型から引き継いでいるが[73]、本機専用のオプション装備はペーパープランを含めれば数多く存在し、至るところで発生したという突発的な小規模戦闘に即時対応できる利便性の高さは上層部で大いに評価され、その後の長きに渡る主力MSの足掛かりを得る[74]。
宇宙世紀0094年から配備が進むが[70]、当時は初期型のジェガンの配備も滞っている状況であり、アグレッサー部隊の隊長機などごく一部への特例措置が確認できるのみである[72]。
ゲーム版『UC』のダウンロードコンテンツおよび追補小説「戦後の戦争」、さらにこれらのコミカライズ版に当たる『機動戦士ガンダムUC バンデシネ Episode:0』に登場(型式番号:RGM-89D)。
カラーリングはジムと同様の赤と白を基調とするが、性能面での違いは一切ない。0094年6月15日に2基のコンテナ(中身はシナンジュ・スタイン)の運搬任務に就くクラップ級巡洋艦「ウンカイ」と「ラー・デルス」に多数配備されるが、最終的には強奪されたシナンジュ・スタインによる攻撃で全滅する。
『UC バンデシネ Episode:0』では、モノクロでしか確認できないものの標準塗装のように見えるが、ネオ・ジオン残党からは「このグレーの」と呼ばれている。
アニメ版『UC』に登場。小説版には登場しない。
連邦宇宙軍特殊作戦群「エコーズ」が、任務においてMSとの直接戦闘が想定される際に用意される機体[24]。D型のオプション装備のひとつであるが、特殊部隊用であることから存在は秘匿されている[24]。バイザー(追加センサー)と胸部増加装甲板が追加され、特殊任務に即した機能性と戦闘時のサバイバビリティを高めている[24]。バイザーは中・長距離の狙撃精度を高めるほか、複数のセンサーにより作戦域の局地的な範囲に限定した高い情報収集能力により、索敵・偵察時に真価を発揮する[24]。同時期に配備されたロトを作戦本部とし、完璧な連携と与えられた性能を完全に使いこなす隊員による運用で、本機は幾多の作戦行動で高い戦績を(陰ながら)示している[24]。カラーリングは部隊カラーのダーク・ブラウンを基調に、一部グレーと黒で塗り分けられている。
ジェガン(エコーズ仕様・コンロイ機) JEGAN (ECOAS TYPE / CONROY USE) | |
---|---|
型式番号 | RGM-89De |
重量 | 23.0t[79] |
武装 | ビーム・サーベル ビーム・ライフル ハンド・ガン ダガー・ナイフ ファイア・ナッツ ボックスタイプ・ビーム・サーベル[80] |
搭乗者 | コンロイ・ハーゲンセン |
エコーズ920隊の指揮官コンロイ・ハーゲンセンの搭乗機。スペック表のうち、型式番号を除くエコーズ仕様と同一の項目は省略。『UC』総作画監督の玄馬宣彦によれば、同作品ではカットインしてキャラクターを見せるといった描写はやらないため、外観でコンロイ機であることが分かる要素を入れたかったとのこと[81]。
頭部バイザーには狙撃用のユニットが追加され(「スナイパー・バイザー・ユニット」とも呼ばれる[80])、長距離からの精密射撃や遠距離からの支援砲撃などが可能となっている[79]。これはメガ・バズーカ・ランチャー運用のための装備であり[82]、狙撃時にはカメラが前方に展開する[83]。コンロイの得意戦法から[78]、武装は近接戦闘用のものを装備している[79]。
劇場用アニメ『機動戦士ガンダムNT』に登場。
頭部は60ミリバルカン砲を省略した新規デザインに変更され、胸部にはエコーズ仕様機と同様に追加装甲が施されている。主武装として、90ミリショート・マシンガンを新たに装備する[86]。
劇中では、拘束されて護送中のマーサ・ビスト・カーバインの護衛を務めており、フェネクスの情報を欲するルオ商会のディジェと交戦し、撃破される。
『機動戦士ガンダム U.C. ENGAGE』に登場するゲームオリジナルMS(型式番号:RGM-89H[87])。通称は「ダッフル・ジェガン」[87]。
ジェガンD型をベースに、特殊部隊用に強化した機体[87]。ムーバブル・フレームはD型と同じであるが、頭部および各部外装はほぼ新造となっている[87]。大型化したバックパックのスラスターはモビルアーマー並みの加速力を誇り、SFSなしでの高速戦闘を可能としている[21]。また、メイン・スラスターに可動域を設けることで推力偏向機能も強化されている。主兵装のビーム・ライフルは継戦能力の強化が図られ、腰部左右のウェポン・ラックには予備のEパックを装備する[21]。脚部にはマルチ・ミサイル・ポッドを装備し、スラスターの性能を活かしたヒット・アンド・アウェイを主戦法とする[21]。両前腕部甲には、ジム・スナイパーカスタムのようにビーム・サーベルを固定装備する。リゼルの制式採用により少数の生産のみに留まったといわれるが、本機の系譜はR型へと繋がっている[21]。
『UC』に登場。後述の明貴美加版(プロト・スタークジェガン)をもとに、カトキによって追加装備類が着脱可能な形状に整理され、特別な機体ではなく「選択式装備のひとつ」という意味合いが明確に打ち出されている[88]。
D型に追加装備をほどこした強化仕様[75]または特務仕様[88]。「シャアの反乱」以降の連邦軍の[75]軍縮の機運もあり、現場からの各種要求には新規MSの開発より優秀なジェガンの仕様変更によって対応する基本方針が採られたことによって生まれたバリエーション機のひとつ[88]。
プロト・スタークジェガンの実戦データから、改良して単一の目的に特化させるのではなく、追加装備の換装をもってさまざまな戦局に対応できるよう、武装の見直しを含めた再設計がおこなわれる[75]。各部増加装甲とスラスターの追加によって生じるD型との機体バランスの変化は徹底して調整され、一部パーツを排除しても[75]OSにより[90]自動的に最善な推力調整がおこなわれるようになっている[75]。専用のバックパックは推力増強だけでなく、上下に可動式のスタビライザーが伸びており、ミサイル発射時の反動を中和するほか[76]、最大限に活かすことで高速機動が可能となっている[90]。結果としてジェガンの性能を総体的に向上させることとなり、特殊任務の遂行が困難な状況下において、小隊長機として優先的に配備されることとなる[75]。
プロト・スタークジェガン PROTOTYPE STARK JEGAN | |
---|---|
型式番号 | RGM-89S |
頭頂高 | 19.2m[76] / 19.0m[95] |
本体重量 | 29.1t[76] / 22.1t[95] |
全備重量 | 69.8t[89] |
装甲材質 | チタン合金セラミック複合材[95] +一部ガンダリウム合金[76] |
出力 | 1,870kw[89] |
推力 | 78,500kg[76] / 62,000kg[95] |
センサー 有効半径 | 20,700m[89] |
武装 | ビーム・サーベル[89] ビーム・ライフル[76] 60mmバルカン砲[89] ハンド・グレネード×3[76] 大型対艦ミサイル×4[89] 3連装ミサイル・ポッド×2[95][注 11] 対艦ミサイル×4[96][注 12] (大型対艦ミサイルとミサイル・ポッド+ 対艦ミサイルは選択式) ハイパー・バズーカ[95][注 13] マシン・キャノン×2[89][注 14] |
搭乗者 | アルバ・メルクルディ(操縦手) メルツ・マーレス(砲手) ドリット・ドライ(砲手) ダコタ・ウィンストン(操縦手) カルロス・クレイグ(砲手[注 15]) |
アニメ版『UC』に登場。もともとは『逆襲のシャア』公開直前に明貴美加が「劇場版オリジナルMSV」のひとつ「スターク・ジェガン(中黒が入る)」としてデザインしたものである[76]。小説版『UC』でカトキが追加装備着脱式の「スタークジェガン」を考案した際には、本機も "ORIGINAL VERSION" としてリファインされ[95]、のちに『スタークジェガン (CCA-MSV Ver.)』としてプレミアムバンダイからHGUCでキット化された。プロトタイプとしてアニメ版『UC』に登場する際には明貴本人によってリファインされ、両肩に3連装ミサイル・ポッドほかに替わり大型対艦ミサイルが2基ずつ装備された[注 16]。明貴は当初から複座型と想定してデザインしていたが、リファイン時まで公表していなかった[97]。複座は前後式を想定していたが、後述の『星月の欠片』用のデザインで左右並列式を提案され、それを採用した[97]。
ジムIIIのコンセプトである長距離支援用[75]としての実績を特化させ、あらゆる状況下での対艦攻撃を可能とすることを目的に基本設計がおこなわれる[96]。初期型(A型)をベースに[75]量産性を度外視した大改修をおこない[96]、少数が生産される[75]。
コックピットは異形全天周囲モニターを採用した[98]左右並列の複座型となっており、右が火器管制用となっている[99]。操縦桿はアームレイカーを使用し、コックピット上面には攻撃・狙撃時の情報を集中表示する砲手専用の拡張モニターが設置されている[96]。頭部は改造されて太めのロッド・アンテナが2本突き出しており、バルカン・ポッド・システムは搭載されていないとされるが[99]、スペック表には「60mmバルカン砲」が記載されている。胸部ブロックの大幅な改修を含む各部装甲の更新にはガンダリウム合金が使用されており、シールドを必要としない堅牢な耐弾性を有する[96]。
両肩には生産型に採用される3連装ミサイル・ポッド(側面に対艦ミサイル2基を装備可能)、または大型対艦ミサイル2基のいずれかを選択装備する。対艦ミサイルと大型対艦ミサイルは、いずれも核弾頭の装備(後者は戦術級[99])が可能となっている[76]。これは開発の前年の「シャアの反乱」において核ミサイルが使用されたことに起因するといわれるが、本機で核弾頭が使用された記録はない[96]。
数機が小規模なネオ・ジオン残党軍の制圧に投入されるが、その際の実戦データから[75]最適化された形でD型およびスタークジェガンの開発が進められる[99]。データ収集後は博物館に保管されるが、のちにネェル・アーガマに配備されてふたたび実戦投入される[100]。
また、コロニー公社は飛来するスペースデブリや隕石からコロニーを防衛するため、ジム・コマンドをベースに本機の3連装ミサイル・ポッドを装備したスターク・ジムを配備している。
ゲーム版『機動戦士ガンダムUC』に登場し、「UC MSV」として分類されるが[106]、のちにアニメ版『UC』にも登場。
D型の換装バリエーションのひとつで[105]、早期警戒ユニットを装備した仕様[55]。前線での観測や索敵が主任務であるため[108]必要最小限の武装しか有していないが、それをおぎなって余りあるセンサー能力を誇る[105]。頭部に接続される大型センサー・ユニットは[109]左右と後ろに大きく張り出したボックス状となっており、各種センサーをはじめ通信装置も搭載されていると考えられている[108]。こちらのセンサーは通常の電子戦に対応していると見られており、ミノフスキー粒子下の戦闘に対応するための装備として[55]左前腕部にセンサー・ユニット、右前腕部にカメラ・ユニットが装備されている[105]。センサー・ユニットには収集したデータを後方の味方に送るためのレーザー通信装置を装備している[107]。カメラ・ユニットはさまざまな波長の光を写し取り、この映像とセンサー・ユニットによって収集したデータなどを分析・照合することでかすかな敵の存在も察知できる[107]。ビーム・ライフルはジムIIなどと同型のタイプを使用する[107]。
腕部ユニットの装着位置はアニメ版とゲーム版では異なり、前者は前腕部側面、後者は前腕部甲になっている。センサーの発光色は前者が黄色、後者が青[注 17]。
『UC』以前に発表された漫画『機動戦士ガンダム デイアフタートゥモロー ―カイ・シデンのメモリーより―』では、上記とは形状の異なるEWACジェガン(型式番号:RGM-89E)[111]が登場する。こちらのデザインは作者のことぶきつかさによるもので、頭部と一体化するかたちでEWACネロのものと同型のデータポッドを装備している。
近藤和久の漫画『機動戦士ガンダム ジオンの再興』が初出で、PC-98用ゲーム『機動戦士ガンダム アドバンスド・オペレーション』や『機動戦士ガンダム リターン・オブ・ジオン』にも登場(型式番号:RGM-89T)。「陸戦用重装型」の名称は『ホビージャパン別冊 機動戦士ガンダム「新世代へ捧ぐ」』より。
ジェガンの陸戦型で、腰部前面に装着された装甲が大きな特徴。バックパックもガンダムMk-IIのものを小型化したようなスラスター4発のものに換装されている。ジムII、ジムIII、ネモといった旧型機との機種転換が逐次おこなわれているが[113]、アフリカ戦線にはわずか3機しか配備されていない[114]。塗装は各戦線でさまざまなバリエーションが見られる[113]。
プラモデル『1/144 ジェガン』付属説明書が初出で(名称は「ジェガン重装甲またはジェガン・キャノン」、「ジェガン重装改[115]」)、その後『CCA-MSV』に分類された。
ジェガンの高い汎用性を活かし、砲撃戦に重きを置いた局地戦仕様として火力や防御力を強化した[116]再設計機[34]。設計はジェダをベースとしており、型式番号も制式採用後のジェダと同じとなっている[34]。ジェガンのムーバブルフレームを流用しているが、ジェネレーターの換装によって[8]出力が大幅に向上している[117]。両肩(バックパックではなく肩アーマー側面)にビーム・キャノンを装備し、腰部前面にアーマーが追加されている[8]。宇宙戦にも対応できるが、陸戦を主眼に置いており[8]、脚部は重力下用に換装・強化されている[117](ジム・キャノンのように防御力や射撃時の安定性向上が図られたともいわれる[116])。メインカメラは固定式で、額に長距離レンジ用のセンサーを備えている[8]。専用のバックパックは推力が強化されているが、運動性は重視されておらず、バーニア・アームは短くなっている[8]。またバックパック下部には腰部後面のアーマーと側面に装備されるミサイル・ポッド(装弾数3発、使用後は排除可能)が一体になっている[8]。試作機によってデータが収集され、量産の準備が進められているとされる[8]。塗装はジム系に近い白と赤を基調に、腰部などがグレーで塗り分けられ、あたかも往年のジム・キャノンを彷彿させるカラーリングが施されている。
なお、漫画『機動戦士ガンダム ムーンクライシス』には、本機とは別の「ジェガンキャノン」が登場する。こちらは通常のジェガンの両肩にキャノン砲などを装備した機体で、海兵隊によって運用されている[118]。
雑誌『B-CLUB』29号にジェダとともに掲載された(型式番号:RGM-91S)。ジェダ同様、画稿はジェガンの初期稿のひとつである。名称は便宜上のものであり、設定では型式番号のみ。
生産ライン上にあったジェガンの一部を、一部ガンダリウム合金を使用して装甲強化し、メイン・エンジンにも改良をほどこした機体[36]。原型機とはバックパックや、脚部・股間部にアポジモーターが追加されている点などが異なる。生産数は20機とされるが、正確な数は上層部が知るのみで定かではない[36]。その後廃案となっている[119]。
『B-CLUB』第29号に文字設定のみ掲載された。名称は『データガンダム』による[120]。
リ・ガズィと同様に、ジェガン用のバック・ウェポン・システム (BWS) の研究も進められている[36]。しかし、リ・ガズィでもBWS離脱時の危険性がシミュレーターの結果で指摘されており、ジェガンに装備された場合は特攻兵器と言っても過言ではないとされる[36]。
漫画『機動戦士ガンダム ムーンクライシス』に登場。
名称の「ESM」が示すような電子情報索敵機ではあるが、光学観測を重視しており、両肩にミノフスキー粒子散布下で用いられるステレオカメラを、バックパックに各種電子センサーを内蔵する有線での遠隔展開が可能な[121]円筒形のポッドを2基装備しているほか、大型の超望遠光学レンズを携行することも可能。その他、腕部は振動を抑制するタイプのものに変更されており、頭部の形状も通常のジェガンとは異なる[122][123][124]。
ビッグアイ級情報収集艦の艦載機として運用されており、非戦闘時にはデブリ観測に用いられてもいる[124]。作中には環月方面軍のビッグアイ級「雷眼」所属機が登場しており、ヌーベルエゥーゴとネオ・ジオンの共同軍によって制圧された月面のシッカルド発電基地を偵察する[125]。
劇場用アニメ『機動戦士ガンダムF91』および漫画『機動戦士ガンダムF90』などに登場。
宇宙世紀0110年以降に運用が開始された[20]機体。初期量産型からバックパック、ビーム・ライフル[注 19]およびシールドが変更されており(シールドはA2型と同型CITEREFMSバイブル82019)、「ノーマルタイプ」とも呼ばれる[128]。スペックが劇的に向上し、センサーや駆動系などにチューン・アップがなされている[128]ものの、クロスボーン・バンガード(C・V)侵攻の宇宙世紀0123年の時点で機体設計は30年が経っており[129]、C・V軍の小型MS(第二期MS)にまったく対抗できない[128]。改良によってジェネレーター出力が向上しており、ヘビーガンも同系統のジェネレーターを搭載しているといわれる[130]。操縦方式は宇宙世紀0120年代においてはスティックタイプが主流となっているものの、本機では引き続きアーム・レイカー機構を採用しており、事実上本機構が採用された最後のMSと考えられる[16]。本機をベースにしたバリエーション機も多い[129]。フロンティア・サイドにおいては本機の配備数が圧倒的に多かった[16]。
『機動戦士ガンダムF91』に登場。
「Bタイプ」とも呼ばれる[128]。火力強化型[128]あるいは接近戦型[132]とされ、近距離~中距離での戦闘用として改修されている[16]。ベース機に外装オプション武器を搭載することで火力の増強を図っており[133]、腰部武装を5連ロケット・パックに換装、ビーム・サーベルを左前腕部甲に2基装備している。ビーム・ライフル[注 20]や本体の一部もJ型と異なり、頭部アンテナおよび胸部のダクト(インテーク)が大型化している。スラスター配置はベース機から大きく変わっていないが、アポジモーター数は増加している。強化の大半は実弾系オプション兵器に頼ったものとなっており、機体設計そのものにはほとんど干渉していなかった[134]。
『機動戦士ガンダムF91』に登場。
「Aタイプ」とも呼ばれる[128]。スラスターの増設された大型バックパックを採用したほか、脚部スラスターを2基に増設し[133][129]、さらにアポジモーターも増設した高機動型[133][132]。肩部スラスターは装甲を省略したバーニア基部の露出した大型のものに換装されている[133]。頭部バルカン砲が2門になり、センサーポッドも増設、腰部にはビーム・サーベルを左右2基装備、左前腕部甲には2連グレネード・ラックが増設され、M型と同型の大型ビーム・ライフルを標準装備する。機体構造はベース機から変更されていないが、高出力ジェネレーターを搭載しており[133]、ジェガン・シリーズの最優秀機とも評される[135]。数が揃っていないFシリーズの穴を埋めるべく生産され、おもに指揮官が搭乗する[135]。
漫画版『機動戦士ガンダム シルエットフォーミュラ91』に登場。
機体本体はR型とほぼ同型だが、バックパックが大型スラスター2基、中型2基、バーニア・アームもスラスターが2基ずつになっている。また、両前腕部に2連装グレネード・ランチャーとうかがえる装備が確認できる。宇宙世紀0112年2月、ウィリアム・C・オーランド大尉が北米でテスト・パイロットとして搭乗するが、テスト中にバックパックが暴走して大破し、パイロットも死亡する。
なお『シルエットフォーミュラ』の小説版では、ウィリアムはMSA-0120のテスト中に事故で死亡したとされており、設定が異なる(漫画『機動戦士ガンダムF90 ファステストフォーミュラ』でもこちらを踏襲している)。
漫画『機動戦士ガンダムF90』に登場。機体デザインは中原れい。
ガンダムF90のデータ収集および随伴機として、サナリィがAE社から譲渡された[137]J型をベースに改装した機体[22]。フォーミュラ計画の副産物でもある[137]。名称の "ST" は、"Sensor Turret"[138] と "Strategik Treaner"[59] のダブルミーニングであるとされる[112]。
頭部ゴーグルセンサーが大型化しているほか、大型のレドームや各種センサー、カメラを追加している。採用されているセンサーは電波式を中心に、諸方式のセンサーを満載しており、大容量メモリーバンクやデータ処理用の大規模プロセッサを内装している[137]。F90に随伴するためにスラスター推力を大幅に増強し、高出力のジェネレーターに換装しているものの、ほとんどが探査機材の稼働に回されるため、機体自体のパワーは低い[137]。強襲偵察機と異なり戦闘を目的としていないうえ、各種センサーへの影響と戦闘に振り分けられる出力を考慮して武装は護身用のマシンガンとハンド・グレネードが採用されるにとどまっており、ジェガンに比べると火力は貧弱なものとなっている。ただし、サナリィによる大改修の結果、単純なMSとしての性能で見た場合でも当時の戦闘用として通じるだけの高いスペックをもつ[22]が、センサーなどを満載したカスタムメイドゆえ、製造コストは通常のジェガン8機分と高価である[22]。なお、コックピットはジェガンと同一で、操縦桿もアームレイカータイプとなっている。
本機の性能は教導団に高く評価され、宇宙軍からリゼルに代わる強攻偵察MSとして採用の案が挙がるが、上記のコストの問題から立ち消えになった、あるいは特殊部隊にのみ採用されたともいわれる[112]。
漫画『機動戦士ガンダムF90 ファステストフォーミュラ』に登場。デザインはSD-CLUB版『機動戦士ガンダムF90』(1990年8月号掲載)に登場したSTガンに準拠している。
F90のテストに当たって、同機に追随でき撮影・観測を十全におこなえる観測機が必要となり、サナリィが自主開発した機体。当初はリゼルのディフェンサー・ユニットを観測機器に換装することも考えられたが、可変による機動特性の変化を考慮し、より単純で扱いやすいジェガン(J型)の基本フレームが流用される。肩部装甲はD型に差し戻される形で改修され、両肩には大型の長距離光学センサー、さらに右肩にはメイン・センサーと一体化した全周管制ユニットを、左肩にはレーザー・センサーをそれぞれ搭載したターレットを装備している。コックピット周辺は大きく改修され、音響・赤外線センサーおよびミノフスキー干渉波計測装置を追加。サブ・シート搭載により複座運用も想定されている。ジェネレーターはR型のものを採用し、大量のセンサーを運用するために余裕のある出力を確保している。頭部にはスペクトルおよび熱分析センサーを追加、腰部にはアポジモーターを兼ねる切り離し可能なサブ光学センサーを装備する。バックパックはのちのF91に近い複合スラスター・ベーン式のものに換装され、バックパック単体での総推力は152,500kgにおよぶ。固有の武装は用意されていないが、実際の作戦では通常型のビーム・ライフルやEWACジェガン用のカメラガンを携行している[112]。
0116年に特殊部隊「ファステストフォーミュラ (FF)」に随行するリー・シャオメイ少佐が搭乗し、F90 2号機のデータ収集をおこなう。また、FF隊の前線戦闘管制もおこなっている。その後のF90のテストには、最低限の自衛能力をもたせて運動性を装甲を改良し、不要と判断された光学センサーをオミットしたST2型を投入する[112]。
PCゲーム『SDガンダムウォーズ』に登場したアースサイド軍所属のゲームオリジナルMS。アクアジムの上位機体である。偏向ビームライフルとビームサーベル、対艦ミサイルを装備している。
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