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ガンダムシリーズの登場兵器 ウィキペディアから
α・アジール(アルパ・アジール、ALPHA AZIERU)[注 1]は、「ガンダムシリーズ」に登場する架空の兵器。有人操縦式の機動兵器「モビルアーマー (MA)」のひとつ。初出は、1988年公開のアニメーション映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』。
作中の軍事勢力の一つネオ・ジオン軍の試作機で、特殊な能力を持つニュータイプの専用機として開発される。歴代の「ガンダムシリーズ」の中でも大型の機体の一つで、無線誘導式のビーム砲台「ファンネル」などの強力な火器を多数搭載している。劇中では、地球連邦政府高官の娘でネオ・ジオン軍に参加したクェス・エア(クェス・パラヤ)が搭乗する。
本記事では、外伝作品などに登場するバリエーション機などについても解説する。
企画当初、このMAの劇中への登場は予定されていなかったが、デザイナーの出渕裕がやはり「ガンダム」の最後の敵はMAのほうがよいのではないかと考え[1]、自身の描いた「サイコ・ドーガ」候補のラフデザインに勝手に「ネオ・ジオング」と名付けてプレゼンした結果、正式に採用された[2]。MAとしての異形感を出すために試行錯誤を重ねた結果、きちんとした腕部を持たず、脚部もないデザインとなった[2]。またスケール感を出すために優美にならないよう部分部分の塊を意識してデザインされ、巨大なプロペラントタンクも付けられた[2]。ファンネルの形状が他のネオ・ジオン軍MSと異なるのは、スカートにトゲが生えているようにしたかったから[2]。胴体はラフ稿からほぼ変わっていないが、頭部に関しては決定稿に到達するまでに幾度もデザインが変更されている[注 2]。
なお、「ネオ・ジオング」の名称はのちにアニメ『機動戦士ガンダムUC』において、シナンジュをコアとした巨大MAに使用されている。
デラーズ紛争期に試作された巨大MA「ノイエ・ジール」の系譜に位置する[注 4]。先行試作機となるのはサイコ・ドーガである[注 4]。当初はシャア・アズナブルの専用機とするプランも存在したが、後に個別のMA開発計画として変遷した[8]。
同じ「NZ」の型式番号を持つ大型モビルスーツ (MS) 「クィン・マンサ」の後継機に位置付けられる[9]。また、エルメス、ジオング、キュベレイといったニュータイプ専用機も参考にされ、その集大成と呼べる機体となっている[5]。100メートル超もの全長のほとんどは、パワージェネレーターと推進剤が占めている[5]。高い推進力を誇る対艦用の機体である一方、MSとの至近戦闘は不得手であるため、ファンネルと有線メガアーム砲によってこれをカバーしている[5][注 5]。なお、本機は強襲用MAに位置付けられるため、脚部を持たない[10][注 6]。その代わり、長大な円筒状の増槽兼ブースターである強襲用シュツルムスラスターユニットを2本接続している[5][注 7]。このユニットは、地球の周回軌道に乗れるほどの推力を機体にもたらし、戦闘空域への迅速な到着を実現させる[10]。燃料を使い切った際はデッドウェイト化を避けるために切り離される[5]。操縦用インターフェースはサザビーやヤクト・ドーガと同系のものが採用され、コクピットは頭部に設置されている。背部にはヘッド・カバー・ブースターを装備しており[10]、輸送時や駐機時には前方に下ろして頭部を覆う。ヘッド・カバーを展開した状態は「戦闘形態」と呼ばれる[4]。
その全長ゆえに通常サイズの艦船には格納できないため、駐機時は外部に係留して曳航される。なお、腰部スカート・アーマー裏側には、前部に1基ずつ、後部に1基、駐機用の着陸脚が装備されている。
プラモデル『1/144 ヤクト・ドーガ(クェス・パラヤ専用機)』付属説明書が初出で、その後は『CCA-MSV』に分類された。
サザビーの開発と同時期に試作された機体[16]。サイコミュの小型化をあきらめ、機体を大型化して十分な機能を持たせている[16]。腰のアーマーにファンネルを6基、両肩のアーマーに有線サイコミュ式ビーム砲を各1基搭載している[16]。この時点でα・アジールの面影がうかがえ、塗装も同じくベージュを基調としているが、腕部の形状はヤクト・ドーガに近い。また、スカートアーマーの内側には三本爪状のランディングギアを備えている。
サザビーの完成を受けて設計が変更され、より大型のMAであるα・アジールが完成している[16]。
なお、小説『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』に登場する「サイコ・ドーガ」とは別の機体である。同小説版のサイコ・ドーガは後年に「サイコ・ギラ・ドーガ」と設定されて区別されていたが、2022年現在ではそちらの機体が(改めて製品化の際にも)「サイコ・ドーガ」と呼称されており、本機体についての言及は見られなくなっている。
プラモデル『1/550 α・アジール』付属説明書が初出であるが、『CCA-MSV』には含まれていない(型式番号:NZ-444)。
α・アジールの発展型で、ナイチンゲールの延長線上にもある可能性も指摘されている[5]。画稿は降着姿勢のみしか発表されていない。基本的にはα・アジールと同様であるが、ヘッド・カバー・ブースター後部にさらにブースターを追加装備しているのが最大の相違点である。このブースターと、腰部アーマーに2連装の砲塔が装備され、ヘッド・カバー・ブースター上部にモノアイが追加されている。塗装は赤を基調に一部白とグレーで塗られている。
2016年発売のゲーム『SDガンダム GGENERATION GENESIS』でシリーズ初のユニット化がなされ、映像にも登場する。ゲーム内では戦闘中もヘッド・カバー・ブースターは下ろしたままである。2連装の砲塔は「2連装メガ粒子砲」とされ、ヘッド・カバー・ブースター側面左右に2連装大型対艦ミサイル、胸部にハイパー・メガ粒子砲を装備。また、サイコフレームも使用されている。
ゲーム『SDガンダム GGENERATION』シリーズに登場。クロスボーン・バンガードのニュータイプ専用MA。(型式番号:XMA-02)
トレーディングカードアーケードゲーム『ガンダムトライエイジ』に登場するオリジナル機体(型式番号NZ-333、頭頂高117.5m、本体重量229.3t[18])。
「BUILD MS IF設定」によれば、重力下での使用を前提としており、ネオ・ジオン軍の地球寒冷化作戦成功後に連邦軍の残存拠点を殲滅するためにα・アジールを改修した超巨大MSとされる[19]。ヤクト・ドーガのものをスケールアップしたようなデザインの四肢をもつ。腕部は無線式のファンネル・ハンド[18]になっており、射出後の基部からはビーム・ハンド[18]を発生させることができる。当初はその外観から「完璧」という言葉を冠する予定であったが、戦況の変化によって開発は中断され、使われなくなったギリシア文字であるディガンマ(ϝ)があてがわれている[19]。
デザイナーの関西リョウジは、ナイチンゲールとの差別化のために同じ時代の機体と違和感が出ないような配色にしたとしている[20]。
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