Loading AI tools
ガンダムシリーズの登場兵器 ウィキペディアから
ザクII (ZAKU II) は、「ガンダムシリーズ」に登場する架空の兵器。有人操縦式の人型機動兵器「モビルスーツ (MS)」のひとつ。初出は1979年放送のテレビアニメ『機動戦士ガンダム』。
作中の敵側勢力であるジオン公国軍の主力量産型MSで、後発の公国系MSにも見られる頭部のモノアイ(一つ目)・カメラに、左肩の3本のスパイク、右肩の逆L字型のシールド、および各部の動力パイプが特徴。『ガンダム』放送当時のロボットアニメとしてはまだ珍しかった「量産機」であり、同型の機体が劇中に多数登場する。量産型の標準塗装は緑で、主人公アムロ・レイのライバルであるシャア・アズナブルの機体はツノ飾り付きで赤く塗装されている。なお、名称の "II"(ローマ数字の"2")は『ガンダム』放送終了後の設定で付与された(「名称」を参照)。
本記事ではザクIIの一部バリエーションについても解説するが、機能を特化していない機体群に限定する。ほかの機体群に関しては以下を参照。
ネーミングは総監督の富野喜幸で、「雑魚」と、軍隊の「ザクザク」といういわゆる軍靴の音を組み合わせたもの[1]。放送終了直後のインタビューで、大きい人が歩くと地面が「ザクッザクッ」と音を立てるところからとったと発言している[2]。
『機動戦士ガンダム』劇中では、単にザクとのみ呼ばれる。放送当時の1979年12月に日本サンライズから発行された書籍『機動戦士ガンダム・記録全集1』においても「ジオン公国軍・ザク」とのみ記述される[3]。
機種ごとに様々な名称が生まれたのは放送終了後のこと。書籍『ガンダムセンチュリー』(1981年9月発行)において、いわゆる「旧ザク」を「MS-05 ザクI」、通常型の「ザク」を「MS-06 ザクII」として区別された[4](ただし、"MS-06" は直前に公開された劇場版第1作のパンフレットが初出[5])。この設定は『モビルスーツバリエーション』(1983~1984年)[6]や書籍『ENTERTAINMENT BIBLE』シリーズ(1989年~)[7]でも踏襲された。またOVA『MS IGLOO -1年戦争秘録-』第3話(2004年)では映像作品において本機がザクIとともに「ザク・ツー」と呼称されるに至った。
『機動戦士ガンダム公式Web』では、日本語表記の「ザク」と英文表記の「ZAKU II」が併記されている[8]。
シャア・アズナブルが搭乗する赤いザクの名称は、設定画では「シャアのザク」とされていた[9]。1980年5月発行の『機動戦士ガンダム・記録全集2』では「ザク(シャア専用)」[10]、同年8月発売のプラモデルの商品名は「シャア専用ザク」とされた[11](漫画『プラモ狂四郎』では「シャアザク」と短縮された[12])。またこれに対して通常のザクの商品名は「量産型ザク」(1981年1月)とされた[13]。
『センチュリー』では、『機動戦士ガンダム』の劇中に登場したザクIIがMS-06F、地上で登場した機体がMS-06Jという型式番号であるとも設定された[14]。映像作品でも、『機動戦士ガンダムΖΖ』第12話で宇宙に遺棄されたザクIIを発見したジュドー・アーシタが「ザクだよ、本物のMS-06Fだ」と述べる場面がある。
デザインは大河原邦男が担当した。作画監督の安彦良和による作画参考用の画稿はあるものの、安彦はデザインには関与していない[注 1]。
『機動戦士ガンダム』において、「大量生産の量産型」「搭乗するのはごく普通の人間である一般の兵士」といったモビルスーツが兵器であるというコンセプトを具現化し、それまでの「侵略者の手先である謎のロボット」とは一線を画す作品の斬新さや革新性を担っていたのは、旧来のアニメロボットの伝統の影を色濃く残した主役ロボットのガンダムではなく、敵ロボットであるザクであった[16][17][18]。
デザインのモチーフは背広と防毒マスク[19]。アパレルメーカーの企画室で働いていた頃の経験を活かしてザクのシルエットには「背広」のラインを取り入れている[20][21][22]。また防毒マスクは、大河原が幼少期をすごした戦後間もない頃にはまだ家庭の縁側の下などに放置されていて身近なものだった[19]。
動力パイプはわざとむき出しにしている。パイプが外に出ているのは兵器としてウィークポイントになってしまうというのは分かっていたが、それが「ある」のと「ない」のとでは脳裏に残る形がまるっきり違ってしまうので、あえてそうした[19]。
シールドが右肩にある理由は、アニメの設定上、よく見えるようにするため。大河原のインタビューによると、当初シールドは左肩につくようにデザインをした。しかし、アニメの設定画は左斜めから見たものが当時の形式となっていたため、これに沿って描くと盾の影に腕が隠れて見えないことから、反転して描いた[要出典]。その結果、『機動戦士ガンダムUC』のギラ・ズールに至るまで、ザク系のMSは右肩にシールドがつくというデザインが続いている[注 2]。
ザクのデザインが生まれたのは、主役ロボットに対する「もっとカッコイイものを作ってやる」という大河原の反骨精神から[23][24]。主役ロボットにはスポンサーやアニメ制作会社の意向など色々な人間の意見が入ってくるので、デザイナーとしては大変な面も多く、フラストレーションもたまった[23]。一方、当時は「敵(のメカ)を売る・売れる」という時代ではなかったので、メインのロボットのデザインさえ決まればスポンサーからは何も言われなかった[23][25]。『ガンダム』で言えば、商品化を前提としたマーチャンダイジングの対象は主人公側のガンダム、ガンキャノン、ガンタンクの3体であり、ジオン側のメカへのデザインの制約はほとんどなかった[23][24]。総監督の富野からも「モノアイだけは守ってくれ」という指示があっただけで[注 3]、それ以外は自由にやらせてもらえた[24][注 4]。
『機動戦士ガンダム』第1話から、ほぼ全編にわたって登場する。記録上では宇宙世紀史上初めて実戦でMS同士が相対したのが、ガンダムと本機である[注 5]。しかし、序盤でこそ(特にシャア・アズナブル少佐の駆る赤いS型は)圧倒的な力を見せるも、本機を凌駕する性能をもつガンダムを有するホワイトベース隊に中盤まではやられ役となり、終盤では連邦軍MS隊によって次々と撃破される。テム・レイが住み込むジャンク屋周辺にも、頭部が放置されている。
テレビアニメ『機動戦士ガンダムΖΖ』では、「ネオ・ジオン軍」が自軍の戦力として使用している。この時点ではかなりのロートル機であり、敵機と遭遇する確率の低い哨戒などの任務に使用されており、第39話で運悪くガンダム・チームとの交戦を余儀なくされた部隊は新鋭機のΖΖガンダムの前にことごとく撃墜される。基本性能に変化はないが、コクピットはリニアシートに換装されている。一方、第12話ではマニアに人気があり、高く売れることが描写されている。宇宙空間に放棄されて浮遊していた機体がアーガマに回収され、その機体の頭部を当時破損していたΖガンダムの頭部の代用として緊急的に取り付けて出撃する場面もある。この時の機体は便宜上「Ζザク」と呼ばれる。なお、その際の視界映像はモノアイラインそのままにしか映らず、支柱の影すら映っていた。
テレビアニメ『∀ガンダム』では、ルジャーナ・ミリシャによってザクIIとザクIに容姿が酷似した機械人形が多数発掘され[28]、「ボルジャーノン」(一部の登場人物からは「ザク」とも[29])と呼ばれている。また、そのボルジャーノンのパイロットたちは「黒歴史」の記録映像に登場したザクを見て歓声を上げている。
漫画『機動戦士クロスボーン・ガンダム ゴースト』では、サイド3のズム特別戦争博物館(かつての公王庁舎)に稼働状態を保って収蔵されていたザクに、主人公フォント・ボーが搭乗し、木星の最新鋭機と交戦する。『ゴースト』の時代設定は宇宙世紀0153年であり、ザクの就役から実に70年以上を経ての実戦であるため、もはや性能面では勝負にならないうえに丸腰であったが、あまりにも古い機体ゆえに最新MSのOSにはデータがなく、機体のサイズ差からセンサー系を誤認させて敵を撹乱することには成功する。サイド3からの脱出に使用された後はそのままフォントの乗機となり、ザンスカール帝国のアドラステア級からデータを奪取する作戦にも投入された。ミート オブ トゥーンではフォントを追いかけるためにベルが搭乗し、敵による発見を防ぐために一旦機体は放棄されて戦闘終了後に回収され、最後はマリア・シティでの作戦においてファントムの偽装に外装を流用する目的で解体されている。
ジオン公国軍はMS-05 ザクIを開発して実戦投入を行った後、熱核反応炉を更新[30]してパイプを利用した冷却システムを導入した新型機としてMS-06 ザクIIを開発した[31][注 6]。MS-06はMS-05から全面的な再設計が行われており、完成時の形状が異なったことから新たな型式番号が与えられた[34]。MS-06 ザクIIの初の量産型はA型であり、さほど生産されなかった同機を引き継ぐ形でC型が生産され、開戦初期の主力として運用される。そしてC型と同様の外観を持ちながらも、もっとも生産された機種がF型 (MS-06F) である[34]。
U.C.0079年1月からの一年戦争開戦後、ブリティッシュ作戦を敢行した一週間戦争時点でMS-06はA、C、F型が運用されていた[35]。また、開戦時にブリティッシュ作戦に従軍した本機の部隊は、長時間の冷却剤タンクを背負っての作業にあたって次々と連邦軍に撃墜され、優秀なパイロットを同時に多数失っている[31]。
MS-06 ザクIIの一年戦争中の生産機数は、派生機を含めた連邦・ジオン両軍を通して最高の生産数とされる[36]。総生産数については諸説あり、『GUNDAM CENTURY』ではザクIを含めて約8,000機、そのうちF型は3246機で最多としている[31]が、バンダイ発行のB-CLUB70号では派生機を含めた総生産数を4,000機としており、それに次ぐのが派生機を含めた総生産数3800機となるジムとしている[36]。
ザクが使用するMS用マシンガンの総称'[54][注 12]。通称はザクマシンガン[55]であるが、ライフルと表記した資料も見られる[注 14]。接近戦用の装備とも称され、単発と連射の切り替えが可能[56]。弾薬は主に薬室上部の円盤型弾倉(パンマガジン。ただし、設定上の呼称は「ドラムマガジン」)から供給される[57][注 15]。状況に応じて破壊力を重視した榴弾や徹甲榴弾を使用する[58]。
『ポケットの中の戦争 フィルムブック 2巻』によると[54]、当初は従来式の大砲に発射スイッチを仕掛けた単純な物を想定していたが、重量や反動での損傷、宇宙空間での姿勢制御など多数の問題点から方針を変更。続いて1G下で400-500m/秒程度で曲射弾道の射撃を行うことを目指したが、MSが戦艦に肉薄できると判明したことで初速への要求値が100m/秒に引き下げられる。さらに断続的な射撃より連射が有効と判断され、低反動低初速で榴弾を連射すると言うコンセプトで開発が進行した。作動機構はガス圧式や反動利用式などが挙がっていたが、最終的に電気作動式が採用されている。
元々対艦用に開発された[79]、口径280mm[60](型式番号:H&L-SB25K/280mmA-P[80])、または240mm[81]の、バズーカである。最初のテレビシリーズ劇中での対艦戦闘における核兵器発射の明確な描写はないが、ムック『ガンダムセンチュリー』では、時限作動にセットした核弾頭で戦艦を一撃で沈めた、とあり、連邦軍の戦艦もまた核ミサイルで対抗していたとも記されている。ただし映像作品『MS IGLOO -1年戦争秘録-』のルウム戦役では、核バズーカや核弾頭の使用描写はなく、通常弾頭であった。南極条約の締結後は核兵器の使用ができなくなり威力が落ちたため、さまざまな改良型が開発されることとなる。ザクII以外のMSでは、ヅダ、『0083』第4話のドム・トローペン、オッゴ(モビルポッド)などがザク・バズーカを装備している。
装弾数は単発説と5発説[81]がある。劇中ではバズーカへ再装填する描写はないが、連射する描写はあった。『機動戦士ガンダム MS IGLOO 2 重力戦線』第2話に登場したエルマー・スネル大尉の陸戦型ザクIIは、左の腰アーマーに筒状の予備弾収納ケースをぶらさげている。劇中に装填シーンはないが、スネル大尉は1回の戦闘で弾倉無しのザク・バズーカを6発以上発射した。『第08MS小隊』では、5発入りバナナ型弾倉式のバズーカも登場した(第2話など)。砲尾には、バーニー式無反動砲のような4本の分散式ガス噴出ノズルが設けられている。
シャア少佐は対ガンダム戦でもザク・バズーカを用い、大気圏突入直前の戦闘ではガンダムの盾を貫通する威力を見せる(テレビ版第5話)。ア・バオア・クーでは、本武装による攻撃でガンキャノンが膝から下を吹き飛ばされる。
刃の部分に高熱を発生させる事で敵を切り裂く兵装[56][注 21]。ザクI用ヒートホーク(型式番号:HEAT HAWK Type3)の発展型[85][注 22]。F型やJ型に装備されたものをHEAT HAWK Type5とする資料も見られる[55]。実体刃がないビームサーベルと刃を打ち合わせ、鍔迫り合いすることが可能だった[注 23]。この原理については諸説があるが、IH説「刃の加熱に電磁誘導を用いているため、周囲に強力な磁場が発生している。そのためビームを磁力で封じ込めているビームサーベルとは反発しあう」というものが有力となっている[85][注 24]。刃は4、5回の戦闘で駄目になってしまう使い捨て兵器である[88]。
テレビ版作中では第4話でシャアが使用し、名称はテレビ版第5話で言及される[注 25]。作中ではグフやヅダも装備している姿が見られる[注 26]。ルナチタニウム製のガンダムのシールドを叩き割り[注 27]、ガンダムNT-1を大破させる描写も見られた。第10話のザクが使用した動力パイプのないタイプや、両刃にした「ヒートトマホーク」など、生産形態は明確ではない。
機種固有の武装は、各機種の項目を参照。
「MS-06」(えむえすぜろろく)という型番や「ザク・マシンガン」「120ミリマシンガン」「ザク・バズーカ」「クラッカー」「超硬スチール合金」といった単語、「走行速度時速85キロ」「出力55000馬力」といったスペックの類は、RX-78ガンダムの「ルナチタニウム」等と同様、日本サンライズ(当時)側が『機動戦士ガンダム』オンエア中の1979年からその後1981年前半にかけて講談社[100][101]、ケイブンシャ[102]等の発行する出版物向けに用意し提供したもので、映像作品の劇中で明言はされない。ザクII以外のジオン側モビルスーツ、モビルアーマーの型番が生み出され、旧タイプのザクに「ザクI」というペットネームと「MS-05」という独立した型番が与えられたのは1981年9月27日発行の『ガンダムセンチュリー』が初出となる。
メディアミックスが多数存在するガンダムシリーズにおいて、サンライズの堀口滋は模型雑誌の対談に際し「フィルム化されたものがオフィシャル」という立場を説明している[103]。
ザクII (『ガンダムの常識』より) | |
---|---|
型式番号 | MS-06(MS-06F[104]) |
全高 | 17.5m(18.0m[104]) |
頭頂高 | - (17.5m[104]) |
本体重量 | 56.2t(58.1t[104]) |
全備重量 | 67.1t(73.3t[104]) |
装甲材質 | 超硬スチール合金 |
出力 | 976kW(951kW[104]) |
推力 | 43,300kg (20,500kg×2、1,000kg×2[105]、 総推力43,000kg) |
センサー 有効半径 | 3,200m(3,200m[104]) |
最高速度 | (88km/h[105]) |
武装 | 120mmライフル 弾数100 280mmバズーカ ヒートホーク |
搭乗者 | ジオン公国軍一般兵士 |
全長・全高をはじめとした数値的な諸元は資料・媒体によって一定しない。1989年には伸童舎が編集・構成を担当した『MS大図鑑 PART.1 一年戦争編』[104]で、一覧表として掲載されていたが、「ザクII(ザク)」の項目の下にまた数値の異なる「ザク」の項目があった。実は下の項目は「FZ型」の数値であったのだが、流通しているザクIIの諸元はこの2つの項目が(さらに一部『ガンダムセンチュリー』の数値なども)ないまぜになってしまっている。
『MSV』の文字設定が初出[109]。外観は、『ガシャポン戦士』でSDとしてイラスト化・写真シール化(塩ビ人形の改造)され、『MSV』の続編企画『MSV-R』で大河原によって通常の頭身で設定画が描かれた。名称は、『ガシャポン戦士』では「先行量産型ザク」、『MSV-R』では「ザクII初期生産型」[110]あるいは単に「ザクII」[107]、その後は「先行量産型ザクII」[111]、「ザクII A型」[112]と一定しない。
宇宙世紀0077年8月に試作機がロールアウト[113]。C型以降と異なり、ザクIと同様のスパイクのない球状のアーマーを両肩に装備しているのが特徴である[114][注 29]。また、重力下での運用には対応していないとする資料もある[115]。本来はザクI(A型、B型)に続く "MS-05C" として計画されたといわれるが、新たな型式番号が与えられている[116]。これは、構造自体の抜本的な変更以外にこれ以上の性能向上は望めないためとされるが[116]、一説には開発費の高騰から別の兵器の予算枠を割譲されたためともいわれる[117]。なお、型式番号末尾の "A" は開発当時にはなく、のちにバリエーションが増えたために[116]便宜上付けられたものである[117]。
0078年1月から[118][119]ジオニック社のズム・シティ工廠で[120]製造開始、パーツをサイド3内に輸送してのノックダウン生産で[121]量産が開始されるが[118][119]少数の生産に留まり、生産ラインはC型に引き継がれている[109][注 30]。ただし、C型が本格的量産体制に移るまでの[116]約半年は量産が続けられており[117]、試作機を含む91機[107](84機とも[117])が生産されている。第1次・第2次生産の計72機は[107]完成と同時に実戦配備され、開戦前までに[123]両肩の装備をC型と同様にレトロフィット、さらにFCSなどアビオニクスも改修されていることから、外観や運動性能からA型を識別することは難しいとされる[121]。また、これらはすべて実戦参加している[107]。
コックピットはザクIから大幅な変更点はなく、機種転換はスムーズにおこなわれている[123]。また、初期のMSパイロット錬成における本機の功績は大きい[110]。索敵から艦船などへの効率的な攻撃手順、また整備・稼働機の確保など、錬成と同時に問題点の洗い出しも教導機動大隊で徹底的におこなわれている[110]。中でも、C3Iの活用が不可能なミノフスキー粒子散布下において、あえて最前線の指揮官を「選良」と位置付け、より多くの責任と権限を与えることにより、現場の判断で臨機応変な意思決定が迅速におこなわれるようになる[110]。開戦当初の電撃作戦をおこなったほとんどのパイロットが本機で操縦技術や練度を磨いており、前線指揮官としての能力を身に着けている[110]。本機はその後、機体の不足からC型やF型に改修されているが、最終的には同大隊に配備された機体のみが残されたというが[110][86]、戦後にその姿を見ることは非常に稀である[121]。
サイド3宙域で本機を使用してあらゆる運用試験がおこなわれ[121]、ザクIIの基本性能の高さが実証されることにより、汎用性を活かした[107]発展型の開発が進められる[121]。2機の試作機はジオニック社内で発展型のテストベッドとして運用され、それぞれJ型とS型の試作型に改造されている[107]。
カラーリングは、月の裏側での[121]試験運用時はデモンストレーション用にザクIに近い緑と青を基調としているが、実戦配備機はC型以降と同じ濃淡グリーンを基調とする[123][注 31]。また、教導機動大隊所属機[107](「サイド3宙域仕様」とも呼ばれる[110])は青と白を基調に、胸部などが濃淡グレーで塗り分けられている。
『ガンダムセンチュリー』の文字設定が初出(型式番号:MS-06C)。同書にA型は登場せず、本機が「初期生産型」とされた[44]。外観は『ガシャポン戦士』でSDとして写真シール化され、ゲーム『機動戦士ガンダム ギレンの野望』シリーズで通常の頭身でCG化されたが、いずれもF型と変わらない。名称は『ガシャポン戦士』では「第1次量産型ザク」、『ギレンの野望』では「ザクII初期型」(A型は登場しない)とこちらも一定しない。なお、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』に登場する機体は後述。
A型の量産はすぐに決定されるが、キシリア・ザビ大佐(当時)から連邦軍がMSを開発した場合を想定した装備の見直しを命じられ、急遽量産を一時中断して再設計がおこなわれる[113]。その結果、左肩にスパイク・アーマー、右肩にシールドが装備され[113]、外観はのちのF型と同じになっている[114]。また、コックピットの開閉システム[109]など内部構造の改善や設計変更、実働データのフィードバックなどにより、工業製品としても高い完成度を達成している[117]。比較的簡易な調整や装備の換装によって重力下での戦闘にも対応可能な高性能機であり、ザクが「名機」と呼ばれる所以となる[117]。
バズーカによる核弾頭の使用も前提とされており、装甲は核爆発の放射線をほぼカットする3重複合装甲となっている[124]。そのため、本体重量は72トンに達する[124]。
A型のロールアウトの翌月である0077年9月には先行量産を開始[125]、本格的な量産はA型と同じ0078年1月から[113]生産拠点を拡大しつつ、6月にはA型から完全に移行している[117]。236機が生産され[117]、開戦時の主力機となっている[114]。
アニメ『機動戦士ガンダム』に登場する「ザク」に、『ガンダムセンチュリー』や『MSV』などの設定が付加されたもの。その後OVA『MS IGLOO』[127]などに登場する。前期型、中期型とも呼ばれるほか、型式番号の「MS-06F」からF型とも呼ばれる。単純にザク、あるいはザクIIと言った場合は本機を指すことが多い[116]。
初期量産型(C型)は耐核装備が施されているため重量が72tに達し、機動性に難があった。このため核弾頭使用の必要がなくなった南極条約後に製造されたのが、C型から耐核防備用三重複合装甲と放射線遮蔽液を取り除いたF型である[7]。熱核融合ジェネレータをジオニック社とM&Y公社が開発した「F56-MYFG-M3ES」に刷新[38]、コクピットの緩衝装置も前型と比較し強化されている。また、腕部には武器搭載用システムが追加されている[31]。姿勢制御用ロケットが必要最低限しか装備されておらず、熱線の放出を抑え、敵の索敵を回避する処置を施している。これによって艦船の照準をかいくぐり、開戦初期に戦果を挙げた[46]。
グラナダやジオン本国で製造され[128]、ルウム戦役時点でA、C型とともに運用されていものの、生産数はさほど多くなかったことから、一週間戦争後に接収したコロニーの工業ブロックにおいて増産が行われている[35][注 32]。生産された時期・工場によって細部は異なり、S型の登場以前には頭部に中隊長のマークをつけた機体も存在した[128]。後にパイロットの要望に合わせ、F型から発展したS型が開発されている[129]。
『MSV』が初出であるが、それ以前に大河原が本機に酷似したザクIIの頭部イラストを発表している(白を基調とする)[139]。名称は「ザクII FS型」[138]とされることもあるが、単に「ザクII(○○専用機)」と表記されることが多い[140][141]。なお、書籍『MS大全集』シリーズでは型式番号が長らく "MS-06S" とされていたが[142]、2013年版で修正された[143]。
F型の頭部に30ミリ機関砲4門を増加装備し、白兵戦における火力を強化した[114]マイナーチェンジ版[144]。F型の生産ラインから一定の割合で改装されるが[145]、「出来」の良い完成機を選り抜いてベース機とすることが多く、生産数はそれほど多くない[138]。ランドセルはF型をベースに、S型に近い意匠が盛り込まれている。別の機体のために開発された新型のロケット・モーターを搭載した機体もあり、カタログスペック上はスラスター推力も向上しているが、スペック自体に幅が設けられている[138]。
S型が登場するまでの間[145]、上位機種のひとつとして[141]部隊指揮官に配備されており[145]、通信機能強化のためブレード・アンテナは標準装備となっている[146]。また、地上での運用に重点が置かれており、防塵処理をはじめとして[146]機体各所に陸戦向けのカスタマイズがほどこされている[147]。そのため、S型の配備が始まるとその能力を活かした格闘機として[147]、接近戦を主任務とする部隊に配備されている[145]。ただし、実戦参加記録はほとんどない[138]。
指揮官用ザクII ZAKU II COMMANDER MODEL[52] | |
---|---|
型式番号 | MS-06S |
全高 | 18.0m[155] / 17.5m[5] |
頭頂高 | 17.5m[155] |
本体重量 | 56.2t[156] / 56.5t[155] |
全備重量 | 74.5t[5] / 75.2t[155] |
装甲材質 | 超硬スチール合金[52] |
出力 | 976kW[156] / 986kW[155] 65,000馬力[157] |
推力 | 51,600kW[156] / 56,000kg[155] |
センサー 有効半径 | 3,200m[155] |
最高速度 | 120km/h(地上走行)[157] |
武装 | 120mmマシンガン 280mmバズーカ ヒート・ホーク ほか |
搭乗者 | シャア・アズナブル ほか (「パーソナルカスタム機」を参照) |
アニメ『機動戦士ガンダム』に登場する「シャア専用ザク」に、『センチュリー』で設定が付与されたもの。型式番号は同書発行の直前に公開された劇場版第1作のパンフで "MS-06(S)" または "MS-06s" と表記されたのが初出である[5]。「シャア専用ザク (II)」「ザクII(シャア・アズナブル専用機)」のほかに名称は、「指揮官用ザク」[158]「指揮官型ザクII」[52]があり、単に「ザクII」とも呼ばれる[159]。ただし、本機に限らずF型やF2型、FZ型などにブレード・アンテナを装備した機体も「指揮官機」とされるため、本項では括弧書きで型式番号に由来する「S型」を付与して区別する。
中隊長クラスの[160]優秀なパイロットの要請に応じて開発されたタイプ[109]。当初はC型を発展させた高機動型(R型)を開発・生産する予定であったが、開戦前の時点では改良箇所が多く生産効率が悪いため見送られ、替わって開発される[155]。「R型の設計思想にもとづいた機体をF型の設備で生産する」という、先行試作型とも呼べる機体であり、機動性向上のための技術開発の実戦投入試験機としての側面をもつ[50]。
F型をベースに[148](C型説もあり[155])推進エンジンの出力を30パーセントアップし[148][注 33]、機体の構造材に特殊材料を用いた高性能タイプ[44]。外観上はF型とほとんど替わっていないように見受けられるが、内装部品は特殊なものが多く[118]、機体性能は2割ほど向上している[44]。ただし、基本的に各部のユニット規格を維持したままでの高性能化であり、部品単位で歩留まりのよいものが厳選されているものの[53]、F型との部品共有率は80パーセントとも[50]90パーセントともいわれ、代用が可能となっている[53]。また、装甲材の組成や構造も改善されている[161]。高性能であるものの非常に扱いにくい機体となっており[155]、初心者が搭乗した場合はまともな作戦行動すらできなかっただろうとされる[161]。機動性は向上するものの稼働時間はF型より短いといわれるが[66]、これは数値上の誤解であり、戦闘時のスラスターの使用頻度を上げないことで各自によって戦闘時間は拡大されており、本機を乗機とするパイロットからは高評価を得ている[162]。また、ノンオプションで大気圏内外の環境に対応可能であり、高級機としての側面ももっている[115]。
おもにグラナダの実験場においてテストがおこなわれるが、その内容には対MS戦を視野に入れた模擬戦闘も含まれている[53]。2週間のトライアルののち、いくつかの工廠の使用許可を取り付け、各部品のチューンナップおよび改装を開始[53]。生産ラインから抜き出したフレームに実装され、実証テストが繰り返されている[53]。A型から少し遅れて生産が開始されるが[161]、数機生産された俗に「初期タイプ」と呼ばれる機体は、脚部のシルエットはそのままに、ユニット側面にサブ・スラスターを増設した仕様となっている[53]。しかし、ベテランパイロットによる実働データにより、脚部のスラスターは姿勢制御のみならず、機動そのものにも充当したほうが総合推力が向上することが判明する[53]。本機の開発開始から1か月ほどで、専用のロケット・モーターが完成[53]。ただし、限られた容積で目標のスペックを達成するのは困難であり、外装形状にも若干の手直しがおこなわれている[53][注 34]。この改装を基本構造として本格的な生産が開始され[53]、0078年の後半に(一年戦争勃発前後の4-5か月間とも[53])集中して実戦配備されている[161]。FS型とともに、新鋭機の秘密保持のためすべてジオン本国で生産され、開戦初期までF型として運用されるなどの情報操作もおこなわれている[163]。最終的に約100機が生産され[148]、一年戦争の緒戦で目覚ましい戦果を挙げている[161]。おもに指揮官向けに配備されているため[44]、「指揮官用ザク」と呼称されることもあるようだが、あくまで通称であり制式名称ではない[162]。
ザクII(F2型) / ザクII後期型 ZAKUII F2 TYPE[188] | |
---|---|
型式番号 | MS-06F-2[189][188] MS-06F2[190] |
所属 | ジオン公国軍 / 地球連邦軍 |
製造 | ジオニック社[191] ジオン公国軍グラナダ工廠[70] |
全高 | 17.5m[192] |
本体重量 | 49.9t[192] |
全備重量 | 70.3t[192] |
装甲材質 | 超硬スチール合金[52] チタン・セラミック複合材[193] |
出力 | 986kW[192] |
推力 | 20,500kg×2[192] 3,100kg×4[192] 総推力:53,400kg[191] |
武装 | 120mmMMP-78マシンガン 90mmMMP-80マシンガン ザク・バズーカ ヒート・ホーク シュツルム・ファウスト ハンド・グレネード ロケット弾ポッド |
搭乗者 | コウ・ウラキ チャック・キース ノイエン・ビッター 他(「劇中での活躍」を参照) |
OVA『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』に登場。「ザクII F2型」[189]あるいは「ザクII後期型」[194]とも呼ばれるが、単に「ザクII」とされることが多く、また「F2型」は「エフにがた」と発音する[188]。メカニックデザインはカトキハジメで、ベースとなったのは雑誌企画『ガンダム・センチネル』のラストとして1990年に模型誌『モデルグラフィックス』に掲載された「ガンダム・センチネル0079」でカトキがリファインしたザクII (MS-06F) である[195]。カトキによれば、打ち合わせでは「FZ型にとらわれないザク」というコンセプトであったが、なぜか下半身がFZ型に酷似してしまったという[195]。F2型では、腰部スカートを中心に一部ディテールが省略されている。
機体の軽量化とジェネレーター出力の向上を目的に、F型を改修した[196]後期生産型[70]。F型の地球降下作戦以降の[68]実働データが反映されており、基本スペックを「対MS戦闘」まで引き上げることを目標にしていたともいわれる[197]。F型の弱点であるコックピット・ハッチ周辺の装甲の脆弱性を解消するために[198]仕様変更され[197]、胸部に増加装甲が取り付けられており[188]、ほかの同系機との最大の差異となっている[197]。コックピットはドムから採用されたダイレクト・イン方式の改良型で[70]、左右どちら側からも搭乗可能となっている[199]。推進器と姿勢制御用スラスターも増設され[52]、F型よりも推力や出力がアップしており、S型ほどではないが総合性能向上型としての側面ももつ[200]。また、F型よりも重力下戦闘への適応能力にすぐれ、ほぼ無改造で標準的な軍事行動に投入可能であるという[68]。
当時は新型機の開発などが急ピッチで進められており、生産ラインの確保は難航したともいわれるが、いくつかの生産拠点において製造されており[197]、同時期に生産された連邦軍の初期型ジムをしのぐ性能を誇る[198]。統合整備計画の実施以降に生産された機体は「第2期生産型」と呼ばれ、コックピットや一部内装品、一部部材のスペックが異なる仕様となっている[197]。同機は既存の機体と比較して操作が簡便で、新兵や学徒動員兵などにも歓迎されている[201]。実際の運用に関しては、公国軍の縦割り構造や補給路の寸断などから思うようにいかず[197]、陥落後の[68]ソロモン周辺域やアフリカ戦線などの一部地域・宙域にかたよった形でのみ配備されている[197]。未納品在庫としてバックヤードに残されていた機体も相当数にのぼり、一年戦争終結後の公国軍残党の戦力とされた事例が多数報告されており、デラーズ紛争に関連するほとんどの局面において本機が関与するという事態も起きている[68]。また、戦後に多くの機体が連邦軍に接収され、そのまま使用されたケースも多い[196]。新兵にも扱いやすいことから、訓練や演習のアグレッサーとしても多用され[201]、本機で一人前になったことを自認する連邦軍パイロットも少なくない[202]。なお、本機の生産設備のほとんどは戦争によって失われている[202]。また、連邦軍が本機を再考察することにより、のちにハイザックを生み出すことになる[196]。
デラーズ・フリートは、本機の胴体部と腕部を流用したドラッツェを製造している。
ザクII改 ZAKU II FZ / ZAKU FZ | |
---|---|
型式番号 | MS-06FZ |
開発 | グラナダ[209] |
全高 | 17.5m[210] / 18.0m[211] |
頭頂高 | 17.5m[211] |
本体重量 | 56.2t[210] |
全備重量 | 74.5t[210] |
装甲材質 | チタン・セラミック複合材[52] |
出力 | 976kW[211] |
推力 | 24,500kg×3[210] 3,000kg×2[210] 総推力:79,500kg[212] |
センサー 有効半径 | 3,200m[156] |
最高速度 | 103km/h(地上)[211] |
武装 | 90mm(120mm)マシンガン ハンド・グレネード×3 シュツルム・ファウストほか |
搭乗者 | バーナード・ワイズマン |
その他 | アポジモーター×14[212] |
OVA『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』およびアニメ版『機動戦士ガンダムUC』に登場。メカニックデザインは出渕裕。設定画には「MS-06/F《ザク》」の名称が記されており[213]、『0080』の制作発表直後の雑誌では「MS-06F ザク」と紹介され[213]、出渕も当時のインタビューで「リファイン」であると述べている[214]。これは書籍『ENTERTANMENT BIBLE』シリーズでも踏襲されており、リック・ドムIIやゲルググJと異なり名称や型式番号が変更されていないのは、生産数が多くすべて改修機として扱われたためと解説されている[215]。プラモデル発売以降は別の機体と設定されたが[210]、『アウターガンダム』をはじめとする同時期の『サイバーコミックス』などに掲載された漫画では、本機のデザインを通常のザクIIのリファインとして描くことが流行し、『0080』のリリース終了後に同作品のスタッフによって制作された書籍『MS ERA 0001〜0080 ガンダム戦場写真集』でも同様の手法がとられている。出渕は『0080』のMSのデザインの中でも、ザクは完成されているためアレンジが難しかったと述べており[216]、後年にはこのデザインはさすがにやりすぎだったと述べている[217]。なお、プラモデル発売以降の名称は「ザク改」あるいは「ザクII最終生産型」とされていたが[210]、模型雑誌『ホビージャパン』で「ザクII改」とされ[218]、以降はほぼこれに統一されている。
統合整備計画によって改善された、第2期生産型MSのひとつ[215]。連邦軍MSの登場や、自軍の新型機の開発によりザクII自体の性能が劣り始めており、そのため新型機のデータをフィードバックし、チューンナップがほどこされている[210]。また、F2型の改修結果を踏まえて、装甲形状・材質や機体バランスのさらに徹底した見直しにより、それまでのザクIIとはかなりかけ離れた外観をもつに至っている[219]。もっとも大きな改修点はコックピットで[210][215]、訓練不足の新兵でも十分に扱えるほど良好だったとされる[52]。ほかに、機体各所のアポジモーターやバックパックのスラスターを増設・大型化しており、総推力は前期型(F型)と比較して70パーセント増となっている[215]。その反面、推進剤の総量は変わっておらず、戦闘最大推力時の限界時間は半分に落ちている[215]。装甲もかなり強化され[212]、武装も一新されており、連邦軍のジムに遅れを取ることはなく[215]、かなりの高性能を実現している[210]。S型やR型に匹敵するジェネレーター出力やスラスター推力をもちながら、F型に匹敵する素直な操作性は[220]、ドムや[221]ゲルググに匹敵する運動性能を引き出したとされる[220]。ロールアウトは終戦の1か月前であり[220]、本機がザクの一年戦争における最終生産型となるが[210]、生産数は少ない[219]。宇宙艦隊の一部の部隊(特に学徒兵や新兵からなる急造部隊[220])が使用したのみで地球上に降りることはなく、実戦参加回数も少ない[210]。
なお、頭部のバリエーションとして「Bタイプ」と呼ばれる[215]フリッツヘルムをかぶったような外観のものもある。これは、現地での修理あるいは改造の際に、パイロットなどの要請を受け入れ[215]、頭部に増加装甲をほどこしたものである[219]。
宇宙世紀0096年を舞台とするVR映画『機動戦士ガンダム:銀灰の幻影』に登場。(型式番号:ZK-005)。傭兵組織「アージェント・キール」が保有するザクIIの近代化改修機で、同組織の象徴である銀色に塗装されている。定期的な改修を受け続けた結果、0096年時点ではネオ・ジオン軍のギラ・ドーガにも匹敵する性能を得ている[225]。
原作者富野由悠季の小説『機動戦士ガンダム』に登場する「ザク」(旧型ザクは登場しない)は、外見は基本的にアニメその他のF型を踏襲するが、以下のような違いがある。
漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』連載に当たって、大河原邦男によって従来のものとは一部が異なるザクIIの設定画が描かれ、おもに物語の前半に登場した。
従来のザクIIと大きく異なる部分は胸部で、コックピット・ハッチの形状が異なり、右胸に3連装バルカン砲が内装されている。また、左前腕部甲に2門の機銃を内装したユニットも取り付けられている。携行するマシンガンはベルト給弾式に変更され、弾倉はランドセル下部に設置されている。バズーカは弾倉を上部からセットする(武装についての詳細は後述)。
ほかに原作版と同様の機体や、上記との中間的な機体も登場している。また、ア・バオア・クーで叛乱部隊鎮圧のため出撃するキシリア部隊機は、頭頂部に鷄冠状のクレストを有し、黒とグレーを基調に塗装され、シールドに三日月とジオン公国章からなるマークが描かれている。
OVA化の際には、カトキハジメによってデザインのリファインが施され、上記の大河原版など漫画版に登場したさまざまな機体を踏まえて型式番号や武装に関する設定の追加・整理がおこなわれた。
漫画・OVA『機動戦士ガンダム サンダーボルト』に登場(型式番号:MS-06)。
大型のランドセルを装備しており、機動性と運動性の向上を目的とした4基のスラスターと10基のアポジモーターのほか、プロペラントタンクや軽作業用の1対のサブアームなどを備えている。このランドセルは通常のランドセルの上から装着し、作戦途中でパージすることも可能[241]。また、関節部と動力パイプはシーリング処理されており、姿勢固定用クローが足底部に追加されている。
武装はザク・マシンガン、ヒート・ホーク、マガジン式に改良されたザク・バズーカで、これらはすべてランドセルに装着することができる。また、機体以上のサイズを持つ長距離ビーム砲「ビッグ・ガン」を運用することも可能。
かつてサイド4であった暗礁宙域「サンダーボルト宙域」で活動する「リビング・デッド師団」に配備されているが、ア・バオア・クー防衛戦や、『サンダーボルト外伝』に登場する別のエリアに配備されているザクIIもすべて同じタイプである。
現実世界では2016年以降、3月9日が3(ザ)9(ク)の語呂合わせでザクの日とも称されている[242][243][244][245]。
Seamless Wikipedia browsing. On steroids.
Every time you click a link to Wikipedia, Wiktionary or Wikiquote in your browser's search results, it will show the modern Wikiwand interface.
Wikiwand extension is a five stars, simple, with minimum permission required to keep your browsing private, safe and transparent.