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1991年に放送された日本のテレビアニメ ウィキペディアから
『トラップ一家物語』(トラップいっかものがたり)は、1991年1月13日から12月22日まで、フジテレビ系列で毎週日曜19:30 - 19:58(JST)に全40話が放送された、日本アニメーション制作のテレビアニメ。「世界名作劇場(ハウス世界名作劇場[注 1])」の第17作目に当たる。
世界名作劇場 | ||
通番 | 題名 | 放映期間 |
第16作 | 私のあしながおじさん | 1990年1月 - 1990年12月 |
第17作 | トラップ一家物語 | 1991年1月 - 1991年12月 |
第18作 | 大草原の小さな天使 ブッシュベイビー |
1992年1月 - 1992年12月 |
原作はマリア・フォン・トラップの自叙伝『トラップ・ファミリー合唱団物語』。世界名作劇場においては『あらいぐまラスカル』以来となる実話がモデルの話で、同時に成人した女性が主人公というシリーズでは異色の作品でもある。原作は映画化[注 2]やミュージカル化がされているが、本作品自体を元にしたファミリーミュージカル(イマジンミュージカル)も上演されている。
序盤は家庭教師の修道女マリアとトラップ家の子供たちとの交流が描かれ、中盤以降は前年の『私のあしながおじさん』に続いて恋愛がテーマになり、トラップ家の父親であるゲオルクの再婚をめぐる家族内の葛藤を中心に物語が展開する。終盤においてはトラップ家の経済的危機やアンシュルス(ドイツによるオーストリア併合)によるナチスの侵攻などが描かれている。特にナチスについては、エピソードの中に数多く織り込まれ、ナチスの脅威に対する当時の一部オーストリア人の苦悩、複雑な心情が色濃く描かれており、一家がオーストリアからの亡命を実行する場面はスリリングに描写されている。
最終回放送後の1991年12月28日には、「世界名作劇場」としては初となる総集編が2時間枠(土曜 10:00 - 12:00)で放送された[注 3]。
実話を元にした作品の中では、放送当時に一部の登場人物が存命中であったことも特徴である。
幼い頃に両親を亡くし、苦労を重ねてきたマリア。師範学校の卒業旅行の帰りに、ふと思い立って修道女を志すことになり、ザルツブルクへとやってきたマリアは、一番厳しい修道院として教えられたノンベルク修道院を訪れて、志願の結果修道女見習いとして迎え入れられる。しかし、しきたりや規律等に無頓着なマリアは、徐々に修道院では問題のある存在としてみなされていくようになってしまう。ある日マリアは、オーストリアの英雄にして貴族であるトラップ大佐の家に、次女マリアの家庭教師として9ヶ月間派遣されることになった。7人の子どもたちは、当初は心を閉ざし反発していたが、次第に天真爛漫で裏表の無いマリアに心を開いていく。そしてゲオルクも、マリアに惹かれるようになっていく。
アニメではルーペント(長男)、ヴェルナー(次男)、マリア(次女)の3人だけが史実通りで、他の4人は生年の順序が入れ替わっている[注 10]。
両親を幼い頃に亡くしたマリアは子供時代を親戚宅で過ごし、後見人の男に時々暴力を振るわれるなど辛い日々を送る。数年後、14歳の頃に手に職をつけるため進学希望するが学費を出してもらえずその家を出た後、友人が暮らす街でバイトで学費を貯めてウィーンの高等師範学校に入学した[21]。
第2話ではマリアがノンベルク学園で教育実習をしているが、これは作中の修道院で正式なシスターになるために教育博士の学位を取得する必要があることから。
元々トラップ家はウィーンで暮らしていたが、アガタが亡くなったことを機にザルツブルクに引っ越してきた[16]。ゲオルクの屋敷は元々さる公爵が狩りのための別荘として建てられた[14]ため、近くには森や川などの自然に溢れ屋敷の前には広大な庭もある。
これまでの経験から家庭教師になつこうとしない7人の子どもがいるトラップ家の26人目の家庭教師として9ヶ月間(翌年の6月末日まで[20])の条件で派遣され住み込み生活を送ることに。当初、マリアが家庭教師をするのは小さいマリアだけだったが、ほどなくして「体力的にまだ幼く通学が大変」との理由で、ヨハンナの家庭教師も頼まれて2人に勉強を教え始める。
本節では史実並びに原作と、本作品との相違点を簡単に述べる。
上に列挙した以外にも細かな相違点はあるものの、基本的には映画版よりは史実に沿って作られている。
主題歌「ドレミの歌」は、本放送時に限って使用を許可されていた。契約金も高額だった為にビデオソフトやDVDなど、商売に利用される場合は(著作権)2次使用の関係で再契約が必要になるという事情もあった。この高額な契約金はオープニング・エンディング映像の制作にも影響を与えており、いずれもセル画の枚数を使わず、キャラクターも殆ど動かない演出で構成されている。こうした事情から、後年のソフト化に際しては主題歌の差し替えが行われており、これを見越して「ほほえみの魔法」のTVサイズも放送期間中に録音されていた。有料ネット配信などの全話放送でも同様の扱いとなっているが、再放送では本放送時と同じく「ドレミの歌」が流されるケースもある。
DVD化に際しての主題歌差し替えに伴い、次のような措置も行われた。まず映像の修正やスタッフクレジットのフォント変更など、オープニング映像やエンディングのクレジットにも修正が加えられた。前番組『私のあしながおじさん』の最終回で放送された、本作品第1話の予告編でもドレミの歌が使用されていたが、こちらもソフト化に伴い通常の予告編用の音楽に差し替えられている。この他DVD第10巻(最終巻)の映像特典として、東映が制作したカラオケ映像が収録されているが、他の「世界名作劇場」のDVDシリーズがオープニングテーマを収録しているのに対して、本作品ではエンディングテーマの「両手を広げて」が収録されている。
世界名作劇場のオープニング映像を集めたビデオソフト等では、オープニング映像に音声のみエンディングテーマの曲に差し替えという措置が取られている。この他、東映ビデオから発売されている日本アニメーション主題歌大全集DVDソフトでは、オープニング映像は未収録になっているものの、映像特典でノンテロップ映像という形で「ほほえみの魔法」が収録されている。ジャケット表記では再放送用と明記されているが、本来の契約が初回放送のみだった為に誤表記されている。
話数 | 放送日 | サブタイトル | 絵コンテ | 演出 | 作画監督 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1991年 1月13日 | 私、修道女志願です | 楠葉宏三 | 楠葉宏三 | 入江篤 |
2 | 1月20日 | シスターとしての未来 | 楠葉宏三 中西伸彰 | 加藤裕美 | |
3 | 1月27日 | 艦長と7人の子供たち | 楠葉宏三 | 大城勝 | |
4 | 2月3日 | 26人目の家庭教師 | 関戸始 | 入江篤 | |
5 | 2月10日 | マリアは騒ぎの張本人 | 斎藤次郎 | 加藤裕美 | |
6 | 2月17日 | 迷子とはらぺこ騒動 | 楠葉宏三 | 大城勝 | |
7 | 2月24日 | 大人は信じられない | 加賀剛 | 楠葉宏三 加賀剛 | 加藤裕美 |
8 | 3月3日 | 礼儀作法が大事です!? | 楠葉宏三 中西伸彰 | 楠葉宏三 | 大城勝 |
9 | 3月10日 | トラップ男爵の婚約者? | 斎藤次郎 | 加藤裕美 | |
10 | 3月17日 | ミシンとヴァイオリン | 加賀剛 | 楠葉宏三 加賀剛 | 大城勝 |
11 | 3月24日 | どろんこ遊びは最高! | 楠葉宏三 佐土原武之 中西伸彰 | 加藤裕美 | |
12 | 4月28日 | マリア風チョコレートケーキ | 楠葉宏三 | 田中穣 | |
13 | 5月5日 | ドン・キホーテの初恋 | 楠葉宏三 斉藤次郎 | 楠葉宏三 | 田中穣 |
14 | 5月12日 | オルゴールの秘密 | 加賀剛 | 楠葉宏三 加賀剛 | 加藤裕美 |
15 | 5月19日 | マルティナと熊のニコラ | 楠葉宏三 | 楠葉宏三 | 遠井和也 細井信宏 |
16 | 5月26日 | マリア先生がいない家 | 佐土原武之 中西伸彰 楠葉宏三 | 大城勝 | |
17 | 6月2日 | 傷ついた子鹿 | 楠葉宏三 斎藤次郎 | 田中穣 | |
18 | 6月9日 | 生きとし生けるもの | 楠葉宏三 | 加藤裕美 | |
19 | 6月16日 | イヴォンヌ姫のお土産 | 加賀剛 | 楠葉宏三 加賀剛 | 伊武菜鳥 細井信宏 |
20 | 6月23日 | それぞれの人生 | 楠葉宏三 則座誠 | 楠葉宏三 | 大城勝 |
21 | 6月30日 | トラップ男爵の決断 | 斎藤次郎 楠葉宏三 | 斎藤次郎 | 田中穣 |
22 | 7月7日 | 1人で生きてゆける? | 加賀剛 | 楠葉宏三 加賀剛 | 加藤裕美 |
23 | 7月14日 | 天使への願い事 | 楠葉宏三 | 伊武菜鳥 細井信宏 | |
24 | 8月4日 | クリスマス・キャロル | 佐土原武之 中西伸彰 楠葉宏三 | 大城勝 | |
25 | 8月11日 | 白銀のアルプスにて | 則座誠 楠葉宏三 | 則座誠 | 田中穣 |
26 | 8月18日 | オレンジと花の苗 | 楠葉宏三 | 加藤裕美 | |
27 | 8月25日 | 昨日・今日・明日 | 斎藤次郎 | 細井信宏 | |
28 | 9月1日 | いたずらアガーテ | 加賀剛 | 楠葉宏三 加賀剛 | 大城勝 |
29 | 9月8日 | 妻になる人、母になる人 | 楠葉宏三 | 加藤裕美 | |
30 | 9月15日 | 結婚してくれますね!? | 斎藤次郎 | 斎藤次郎 則座誠 楠葉宏三 | 田中穣 |
31 | 9月22日 | 神様の思し召し | 楠葉宏三 | 細井信宏 | |
32 | 9月29日 | 七月の花嫁 | 中西伸彰 | 楠葉宏三 中西伸彰 | 大城勝 |
33 | 10月20日 | 本当の家族 | 楠葉宏三 | 加藤裕美 | |
34 | 10月27日 | ファミリー合唱団誕生 | 加賀剛 | 楠葉宏三 加賀剛 | 細井信宏 |
35 | 11月3日 | 歌声は風にのって | 則座誠 | 楠葉宏三 則座誠 | 田中穣 |
36 | 11月24日 | ナチス侵攻 | 斎藤次郎 | 大城勝 | |
37 | 12月1日 | あたらしいご挨拶 | 加賀剛 | 楠葉宏三 加賀剛 | 伊藤広治 |
38 | 12月8日 | ハンスの秘密 | 楠葉宏三 | 細井信宏 | |
39 | 12月15日 | 誇りと信念 | 楠葉宏三 | 則座誠 | 田中穣 |
40 | 12月22日 | さようならわが祖国 | 楠葉宏三 | 大城勝 | |
年末スペシャル:総集編 | - |
総集編は昭和の劇場版シリーズの後継という面からテレビシネマとして扱われており、再放送される際には新聞欄に映画として分類される。
※放送日時・系列は本番組終了時(1991年12月)のもの[31]。
放送地域 | 放送局 | 放送日時 | 放送系列 | 備考 |
---|---|---|---|---|
関東広域圏 | フジテレビ | 日曜 19:30 - 20:00 | フジテレビ系列 | 制作局 |
北海道 | 北海道文化放送 | |||
岩手県 | 岩手めんこいテレビ | 1991年4月開局から | ||
秋田県 | 秋田テレビ | |||
宮城県 | 仙台放送 | |||
福島県 | 福島テレビ | |||
新潟県 | 新潟総合テレビ | |||
長野県 | 長野放送 | |||
静岡県 | テレビ静岡 | |||
富山県 | 富山テレビ | |||
石川県 | 石川テレビ | |||
福井県 | 福井テレビ | |||
中京広域圏 | 東海テレビ | |||
近畿広域圏 | 関西テレビ | |||
島根県・鳥取県 | 山陰中央テレビ | |||
岡山県・香川県 | 岡山放送 | |||
広島県 | テレビ新広島 | |||
愛媛県 | 愛媛放送 | [注 40] | ||
福岡県 | テレビ西日本 | |||
佐賀県 | サガテレビ | |||
長崎県 | テレビ長崎 | |||
熊本県 | テレビ熊本 | |||
沖縄県 | 沖縄テレビ | |||
山形県 | 山形テレビ | 月曜 19:00 - 19:30 | [注 41] | |
山梨県 | 山梨放送 | 水曜 16:30 - 17:00 | 日本テレビ系列 | [注 42] |
高知県 | 高知放送 | 金曜 16:30 - 17:00 | [注 43] | |
大分県 | テレビ大分 | 水曜 16:00 - 16:30 | 日本テレビ系列 フジテレビ系列 テレビ朝日系列 | [注 44] |
宮崎県 | テレビ宮崎 | 日曜 18:00 - 18:30 | [注 44] | |
鹿児島県 | 鹿児島テレビ | 日曜 18:30 - 19:00 | 日本テレビ系列 フジテレビ系列 | [注 45] |
テレビシリーズのDVDは2002年3月25日から7月25日にかけて、全10巻が発売された。
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