新千歳空港
北海道千歳市・苫小牧市にある空港 ウィキペディアから
北海道千歳市・苫小牧市にある空港 ウィキペディアから
新千歳空港(しんちとせくうこう、英: New Chitose Airport)は、北海道千歳市と苫小牧市にまたがって所在している空港。2020年6月1日に運営が北海道エアポートに移管(民営化)された[3]。国際航空輸送網又は国内航空輸送網の拠点となる空港として空港法に基づく区分では第4条第1項第6号に該当する空港として政令で定める空港(国管理空港)に区分されている[4]。通称としては「新千歳」または「千歳」。なお、札幌市の丘珠空港への路線が存在する場合を除いて航空便の行先として「札幌」の表記が使用される。
新千歳空港 New Chitose Airport | |||||||||||||
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国内線ターミナル(上) 国際線ターミナル(下) | |||||||||||||
IATA: CTS - ICAO: RJCC | |||||||||||||
概要 | |||||||||||||
国・地域 | 日本 | ||||||||||||
所在地 | 北海道千歳市 | ||||||||||||
母都市 | 札幌市 | ||||||||||||
種類 | 商業 | ||||||||||||
所有者 | 国土交通省 | ||||||||||||
運営者 | 北海道エアポート | ||||||||||||
運用時間 | 24時間 | ||||||||||||
開港 | 1988年7月20日[1] | ||||||||||||
ターミナル数 | 2 | ||||||||||||
敷地面積 | 726[2] ha | ||||||||||||
標高 | 21.3[2] m | ||||||||||||
座標 | 北緯42度46分30秒 東経141度41分32秒 | ||||||||||||
公式サイト | 新千歳空港 | ||||||||||||
地図 | |||||||||||||
新千歳空港の位置 | |||||||||||||
滑走路 | |||||||||||||
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統計(2022年度) | |||||||||||||
旅客数 | 17,876,335人 | ||||||||||||
貨物取扱量 | 126,530t | ||||||||||||
リスト | |||||||||||||
空港の一覧 |
北海道の経済・文化の中心地であり、国内の三大都市圏以外で最大の都市である札幌市の南東約40kmに位置する国内線の基幹空港。空港法に基づいて国土交通大臣が設置・管理する国管理空港で、国内線や国際線の拠点空港に区分される。2022年(令和4年)の空港の乗降客数は羽田空港についで全国2番目に多い[5]。また、旅客数では羽田(東京)-新千歳線が世界一位になったこともある。鉄道や高速道路もよく整備されており、それぞれ札幌や道内各地を結んでいる。北海道では最大の空港で、実質的に北海道の空の玄関口となっている。
滑走路は2本あり、いずれも長さは3000mで、南北方向にクロースパラレルに配置されている。滑走路西側には国内線の旅客ターミナルビルがあり、JR千歳線新千歳空港駅が地下に乗り入れている。その西側に、千歳基地に面して国際線の旅客ターミナルビルがあり、2つのターミナルビルは商業施設などが入る連絡施設で結ばれている。滑走路北側には国内貨物ターミナルが、その西側には国際貨物ターミナルが位置する。旅客ターミナルビルと連絡施設、国内貨物ターミナルは、北海道などが出資する第三セクターの北海道空港株式会社が所有・運営していたが、2017年7月1日に、100%子会社の新千歳空港ターミナルビルディング株式会社に承継された[6][7]。空港整備特別会計の空港別の財務状況で、数少ない黒字の空港である。
西側には航空自衛隊千歳基地が隣接し、誘導路で接続している。千歳基地は、空港法上の共用空港「千歳飛行場」に位置づけられており、両空港の航空管制(リモート管制、日高・白神進入管制区を除く)は航空自衛隊が一体的に運用している。
オープンスポットが国内線ターミナルビルの南側、国際線ターミナルビル北側と国内貨物ターミナルに設けられており、特に冬季は夜間駐機にも使用されている。
2008年7月の北海道洞爺湖サミットの開催に伴い、先進各国の要人用の貴賓室や専用駐機場を新設するなどの工事が行われた。各国のVIP機専用の乗降スポット、貴賓室が新設され、駐機場(6機分)や構内駐車場(500台分)が増設されたほか、各国代表団が構内から直接車で移動できるよう、構内道路の補修などを行った。一部施設はサミット終了後に撤去されたが、駐機場などは、2023年現在も夜間駐機などに使用されている。
2020年からの北海道エアポートによる道内7空港民営化に際しては中核となる「グローバルゲートウェイ」型空港に位置づけられ、他の6空港の遠隔管理を担う「北海道オペレーションセンター」・内際両用の第3ターミナルとホテル・情報提供を担う交通観光センター・ビジネスジェット施設の新設、北海道全域の魅力発信を担う「北海道ショーケース」をコンセプトとしたターミナル改装等が計画されている[8]。
1988年、道は新長期総合計画にて国際航空貨物の拠点を目指して「国際エアカーゴ基地構想」を掲げ[9]、1991年から24時間運用体制の実現に向けて地元と協議を開始した。その結果1994年4月に、深夜時間帯(22時 - 翌朝7時)を、1日につき貨物便6便を限度に運用することで合意[10]。日本の空港で初となる24時間運用は同年6月24日から始まり[11]、30日早朝に1番機が到着した[注 1][12]。1998年7月には、深夜発着枠6便の中に旅客便を含める弾力的な運用に変更された[10]。2010年12月時点では、深夜発着枠は国内旅客便(4便)、国内貨物便(2便。運休日あり)によってほぼすべて使用された。
2013年12月、道が地元に深夜発着枠の30便拡大を提案[13]。協議の結果、30便のうち24便は22時から0時と6時から7時の発着、6便は従来通り0時から6時の発着とすること、住宅の防音対策を行うこと、道の駅ウトナイ湖で地域振興策を行うなどの内容で、2015年2月に苫小牧市側[14][15]、同年8月には千歳市側の住民と合意[16]。同年10月から運用が開始された。
現在、技術上の問題で一時的にグラフが表示されなくなっています。 |
元のウィキデータクエリを参照してください.
2016年度は下記の通り[17]で、着陸回数は日本の空港で第6位、旅客数は第5位で、北海道の空の玄関口となっている[18]。
航空機着陸回数 | 航空旅客数 | 航空貨物取扱量 | |
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国内線 | 6万5,041回 | 1882万4,306人 | 19万4,178トン |
国際線 | 7,635回 | 272万726人 | 1万515トン |
合計 | 7万2,676回 | 2154万5,032人 | 20万4,693トン |
行き先 | 旅客数 | 国内線順位 |
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東京国際空港 | 約915万人 | 上位 | 1位
成田国際空港 | 約221万人 | 上位 | 6位
関西国際空港 | 約144万人 | 上位13位 |
中部国際空港 | 約140万人 | 上位14位 |
大阪国際空港 | 約133万人 | 上位16位 |
仙台空港 | 約 | 85万人上位35位 |
福岡空港 | 約 | 77万人上位38位 |
神戸空港 | 約 | 59万人上位47位 |
千歳飛行場(旧:千歳空港)と新千歳空港は、隣接はしているものの法的には別の飛行場である。しかし、航空自衛隊千歳基地でもある千歳飛行場は現在も共用飛行場となっており、新千歳空港とは誘導路でつながっていて航空機の行き来が可能、管制も一括して航空自衛隊が行っている。日本国政府専用機2機の格納庫、および運用を行う航空自衛隊航空支援集団特別航空輸送隊が置かれている。政府専用機が訓練などで新千歳空港の滑走路を使用することや、冬期の除雪作業などで新千歳空港の滑走路運用が難しい時、アクシデント発生時などには、千歳飛行場で民間航空機の離着陸が行われることもある[20]。
千歳飛行場側には、滑走路は平行に2,700mと3,000mの2本がある。後者は900mの過走帯があり、実質4,000m級である。新千歳と併せて4本の滑走路があり、これらはほぼ並行している。2本ずつ同じ方向に隣接した滑走路は、パイロットからも混同される場合がある。大事には至っていないものの、空港北側からアプローチする場合を中心に、千歳飛行場との滑走路の誤認が、2006年までの3年間に11件発生しており、その対策が課題となっている。
旧千歳空港ターミナルビル建物は1995年3月にオープンした輸入促進商業施設「千歳ワールド・マーケット・プレイスNEWS」として再利用されたが、1998年3月に経営悪化のため閉鎖された。その後立地していた場所は空き地となったが、海上保安庁庁舎の隣に日本航空ハンガー、政府専用機のエプロンから南側に、千歳飛行場時代からあるスポットが国土交通省管理のまま残されており、現在も民間機の駐機(通常は夜間駐機用が主体)に使用されている。これらにより、北方圏、アジア・太平洋地域とより利便性の高い輸送体制を確立した。管制業務は千歳飛行場と新千歳空港の両空港で一体運用され、航空自衛隊千歳管制隊が、両飛行場の間にある管制塔およびレーダールームで、航空管制業務を行っている。ただし、管制官の配置のない東日本の空港におけるリモート管制を行う「新千歳対空センター」、道東および東北北部への進入管制業務は国土交通省新千歳空港事務所が行う。
1990年代、冬季に新千歳空港で凍結があった際には、千歳飛行場の滑走路を使用して離陸したこともある。
2017年8月、訪日外国人増加に対応するため、千歳基地の東側滑走路の民間利用について検討が行われることとなった。特に中国や韓国などアジア圏の観光客が増加しており、アジア圏の格安航空会社 (LCC) の新千歳空港発着便の増便に備えるため、2018年度以降に千歳基地の民間利用が可能かどうか調査する[21]。千歳基地の民間利用が実現した場合、新千歳空港は千歳基地の滑走路1本を含めた滑走路3本を実質的に使用することとなる。
ほとんどの内外航空会社のシステムでは空港コードにCTSを使用しているが、唯一日本航空のみ札幌の都市コードであるSPKを当空港用に使用していた[注 2]。現在は、日本航空グループも2017年10月から、CTSに統一している。[22]
前身の千歳空港は軍民共用空港であり、1951年[23]の民間航空再開後、自衛隊機と民間機が共用で使用してきた。しかし、1978年に千歳空港と東京国際空港(羽田空港)間の旅客数が世界最多となるなど旅客数・貨物量が増加。大阪や名古屋、福岡など全国の大都市や、道内各地を結ぶ路線が就航するなど、北海道のハブ空港として機能するようになった。一方で、ソ連機の領空侵犯に対する自衛隊機のスクランブル出動は年間200回にも及び、その間、民間機は地上や周辺空域で待機を余儀なくされ、長い場合は30分にもわたることがあった。そのため、航空機の安全確保と航空需要の拡大に対応するため、新たに新千歳空港が建設されることとなり、1975年(昭和50年)11月20日[23]に着工。1988年(昭和63年)7月20日に、民間専用の空港として開港した。
1922年(大正11年)
1923年(大正12年)
1925年(大正14年)
1933年(昭和8年)
1934年(昭和9年)
1934年(昭和9年)
1935年(昭和10年)
1936年(昭和11年)
1937年(昭和12年)
1939年(昭和14年)
1942年(昭和17年)
1943年(昭和18年)
1945年(昭和20年)
1951年(昭和26年)
1953年(昭和28年)
1957年(昭和32年)
1959年(昭和34年)
1960年(昭和35年)
1961年(昭和36年)
1962年(昭和37年)
1963年(昭和38年)
1964年(昭和39年)
1966年(昭和41年)
1967年(昭和42年)
1969年(昭和44年)
1970年(昭和45年)
1971年(昭和46年)
1972年(昭和47年)
1973年(昭和48年)
1974年(昭和49年)
1975年(昭和50年)
1976年(昭和51年)
1977年(昭和52年)
1978年(昭和53年)
1979年(昭和54年)
1980年(昭和55年)
1981年(昭和56年)
1982年(昭和57年)
1983年(昭和58年)
1985年(昭和60年)
1986年(昭和61年)
1987年(昭和62年)
1988年(昭和63年)
1988年(昭和63年)
1990年(平成2年)
1992年(平成4年)
1993年(平成5年)
1994年(平成6年)
1995年(平成7年)
1996年(平成8年)
1997年(平成9年)
1998年(平成10年)
2000年(平成12年)
2001年(平成13年)
2003年(平成15年)
2006年(平成18年)
2007年(平成19年)
2008年(平成20年)
2009年(平成21年)
2010年(平成22年)
2011年(平成23年)
2012年(平成24年)
2013年(平成25年)
2014年(平成26年)
2015年(平成27年)
2016年(平成28年)
2017年(平成29年)
2018年(平成30年)
2020年(令和2年)
2021年(令和3年)
2022年(令和4年)
2023年(令和5年)
2024年(令和6年)
開港時は長さ3000mのA滑走路のみだったが、1996年に長さ3000mのB滑走路が新たに整備された。2本の滑走路はほぼ南北方向に、クロースパラレルに配置されている。
原則として、ターミナルビルに近いA滑走路 (01L/19R) を離陸用、遠いB滑走路(01R/19L)を着陸用に使用している。ILSはカテゴリーIIIbが19Rに、カテゴリーIが01L、01R、19Lに設置されている。滑走路のターミナル側に1本の平行誘導路を有し、滑走路とは高速脱出誘導路で結ばれている。
新千歳空港では毎年年1回[83]、本格的な冬を迎える前に6日間かけて滑走路のタイヤ痕を大掃除する。掃除には超高圧路面清掃車(1台約2億円)を使用し、その高圧ジェットノズルの直径は0.15mmで一般的な歯ブラシの毛先より細い。以前はポンプ車、バキューム車、タンク車の3種類の車を使用していたが、この特殊車両1台で全ての機能が統合されており、作業時間は以前の1/3となった。
気圧配置や風向きによって大雪となることもあるが、空港が道内で比較的雪の少ない地域にあることや滑走路を2本有していること、20分程度で滑走路1本を除雪できる国内最大規模の除雪体制があることなどから、滑走路を終日閉鎖することはごく稀である。出発機材の除氷液の効果切れ・再塗布(デアイシング)で遅延が生じないよう、2010年12月、国内線ターミナルと滑走路南端 (01L, 01R) の中間地点に、デアイシング専用スポットを1機分設置し、運用を開始した[84]。しかしターミナルビルから離れた位置で資材や人員をデアイシングスポットへ回す余裕がなく移動時間を考えても効率が悪いことや、日本航空の経営破綻で運用に関して航空各社の協力関係を確立できなかったことから使用が敬遠されている。利用実績は滑走路南端から最も遠いANAグループ機のみで、2014年度までに50回使用されたが、2015年度以降は0回である。最大で2機分想定されていたスポットの整備は1機分にとどまり、離陸待機時に防雪氷剤の有効時間が過ぎて駐機場へ戻り遅延・欠航となるケースが年40-50回以上生じており、民営化後のより一層の防除雪氷策が求められている[85]。
終戦後1951年の民間航空就航時に米軍施設内に設けられた旅客施設を使用し、その後1963年に民間航空専用区域へ建設された千歳空港ターミナルビルに代わる施設として、1992年7月1日に供用を開始した[86]。
滑走路北端西側に位置する地上4階建(一部5階建)、地下1階の鉄骨造一部鉄筋コンクリート造で、延床面積は18万2,517平方メートル[87]。日本空港コンサルタンツ・日建設計・クリエート山本設計室・北海道開発コンサルタントが設計・監理を[88]、東急エージェンシーがコンセッション設計監理を[88]、鹿島建設[89]・地崎工業[90]などの共同企業体が工事を担当。国内線貨物ビル・ケータリング施設・事務棟の新築と合わせ直接工事費714億円、総投資額850億円が費やされた[40]。
建設にあたっては「21世紀に向けて北方圏や北海道を代表する建築であること」「動線が長大なため明快であること」「自然光を考慮した大空間や吹き抜けで空間的余裕・安らぎが得られること」「北海道らしさの特徴付けや演出が得られること」といったデザインの指針が示され[91]、上空から見るとアメリカ合衆国テキサス州のダラス・フォートワース国際空港を模した半円周型をしており、円弧を滑走路側に向けた構造とした。外観は空を映し出す青系のガラスカーテンウォールの壁面で北海道らしさを演出しエプロン側の2階待合室の窓際には傾斜したガラス屋根をあしらい3・4階からの眺望を高めており外構には透明感ある庇やモニュメントを配した[88]。館内は航空会社別に動線を分け動く歩道等の移動設備を削減し維持管理費の節減につなげ中央部にはシンボルとなる吹き抜けのアトリウムを設けチェックインロビーにも自然光を取り入れ変化をもたせる形とし、道路も出発用と到着用で乗降場を分ける形とした[88]。
2010年前半から、国際線ターミナルビルとの接続部付近を中心とした増築工事が行われ、2011年7月15日に第1期施設がオープンし、2012年3月16日に全面オープンした。事業費は約200億円で、増築面積は約2万9,330平方メートル。出発ロビーや商業施設などが拡大し、温浴施設や映画館などが新設された[92][93]。
就航便数の拡大や旅客数の拡大に伴い、混雑の解消と機能の向上を目指して2015年3月16日から施設整備工事に着手。約200億円をかけて、約4万7,000平方メートルを整備し、2018年8月に再整備を完了。LCCや全日空団体用カウンターを1階から2階への移設[94]のほか、出発ロビー出発口の拡充・再配置、手荷物検査にインライン方式を導入する[95]。(スカイマークを除く)
円弧上に18基のボーディングブリッジが等間隔で並んでおり、その大部分はボーイング777やエアバスA350クラスの大型機も使用可能である。1階が到着ロビー、2階が出発ロビーで、北半分の0 - 10番ゲートを全日空、AIRDO、ピーチが、南半分の11 - 19番ゲートを日本航空、フジドリームエアラインズ、ジェットスター・ジャパン、スプリング・ジャパン、スカイマークが使用している。
空港側1階から水平部分が18.3mもある特徴的なエスカレーター[96]に乗り、地下1階にはJR新千歳空港駅が直結。2階から4階には飲食店や土産物店、ホテルなどが軒を連ねる。天然温泉付温浴施設の「新千歳空港温泉」[注 4]は、空港ターミナルビルの閉館後を含む午前10時から翌9時まで、23時間営業。宿泊機能もあり、入浴や休息のほか、道内遠隔地からの早朝便の利用や、悪天候などでの夜間の欠航の際に一時待機先として選択できるようになった。ただし、定員を超えるとホテル宿泊者を除く一切の入場は無条件で断られる。ほかにも千歳市内では27年ぶりとなる映画館「新千歳空港シアター」は、大規模な欠航が発生した場合に空港側の判断により乗客に開放されることがある。 また、長野県を中心に展開するゲームセンター「アピナ新千歳空港店」があり、飛行機を待つ時間に暇を潰せるスポットとなっている。
着陸料以外の非航空系の収入では、地方空港の中でトップクラスの収入を記録し続けている。そのため、他の地方空港の関係者による視察が絶えず、中部国際空港も開港時には経営モデルとして参考にしたと言われている。
2018年4月1日より、京成電鉄が成田空港駅又は空港第2ビル駅からのスカイライナーと都内の東京メトロ、都営地下鉄に乗り放題のチケット、「スカイライナーバリューチケット」の自動券売機が、国内線搭乗待合室内に設置された。
国際線は、当初現国内線ターミナルビルのうち北側11,255平米の部分[40](0 - 2番ゲート)を使用していたが、国際線旅客の急増に加え、航空自衛隊(防衛省)との空域調整により発着便が特定曜日・時間帯に集中し、チェックインカウンターや出発ロビーの混雑が顕在化していた。こうした状況を解消するため、2008年5月に国際線ターミナルビルの建設に着工。2010年2月24日に竣工し、同年3月26日に供用を開始した[97]。
建物は、千歳基地に面した地上4階建、地下1階の鉄骨造一部鉄筋コンクリート造で、延床面積は5万9,155平方メートル[87]。総工費は206億円[97]。日建設計、アラップなど[98]が設計を、荒井建設[99]、鹿島建設[100]などが工事を担当した。
約300 m東側の国内線ターミナルビルとは連絡施設で結ばれ、2階が到着ロビー、3階が出発ロビー、1階はバスやタクシーとのアクセス施設、4階には搭乗客向けのフードコートやラウンジが設けられている。5基のボーディングブリッジを有しており、1時間あたり530人、年間100万人の利用客にも十分対応可能な処理能力を持ち、将来的には1時間あたり730人程度まで対応可能となっている。
供用開始後は台湾や香港、タイなどのアジア圏を中心とした路線が増便され、海外観光客の増加が見られた。また、アジア系LCCの定期便就航・チャーター便運航の動きも活発になっている他、ターミナル内案内表示板にはロシア語が併記され、将来的なロシア路線拡張も見込まれている。2017年夏季からは1時間当たり42便への発着枠拡大に伴い一層の増便が見込まれているが、出発カウンターや保安検査場の不足による特定時間帯の混雑といった課題も生じている[49]。
今後も更なる航空需要の拡大が見込まれることから、2017年11月17日、施設を増築する再整備計画が発表された。増築部分は地上8階建約6万3,000平方メートル、増築後の延床面積は12万4,000平方メートルとなり、出発・到着ロビーや搭乗橋3か所などの増設、ホテルの新設などが予定されている。事業費は650億円。2016年11月13日に着工[101]。
2019年8月30日より旅客設備部の供用を開始し出発ロビーを南側に200m拡張し560m、搭乗カウンターを19増設し74か所とし保安検査場は1レーン増設した6レーンとし最終的に同年10月末までに9レーンとし内7レーンに高性能の「スマートレーン」を設置。また税関部は検査台を13増の24台、入国審査は9増の30ブース、検疫は1増の3ブース、手荷物ターンテーブルを1増の3台、搭乗橋を3基増設とした[102][103]。その後同年11月に多目的ホールと2020年2月にホテルを開業、3月に延床面積約6万平方メートルの増築部が竣工した[69][102][104]。
国内線と国際線のターミナルビルの間に位置する地上4階建、地下1階の鉄骨造一部鉄筋コンクリート造の施設で、延床面積2万1,128平方メートル[87]。国際線ターミナルビルの供用開始に伴い、2010年3月26日に2階の連絡通路部分が先行オープン。2011年7月15日に全面の供用が開始された。
2階と3階で国内線と国際線のターミナルビルを結んでおり、2階はムービングウォークのある通路やぬいぐるみと触れ合えるコーナー、3階はスマイル・ロードと名づけられ、飲食店・土産物店のほか、ドラえもんやハローキティのエンターテインメント施設が設けられている[92]。
国内線ターミナルビル | 連絡施設 | 国際線ターミナルビル | |||
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制限区域 | 一般区域 | 制限区域 | |||
4階 |
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3階 |
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2階 |
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1階 |
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地下 1階 |
国際線旅客ターミナル北側にプライベート機専用ターミナル施設「Hokkaido Business Aviation Center」(HBAC)を2023年12月より設置。鉄筋コンクリート造平屋建て約550平米、ユニバーサル・アビエーションが運営し、北海道の自然をコンセプトにした内装のラウンジやCIQ施設等を設ける[105]。
北海道空港傘下の碧雲堂ホテル&リゾート(旧・丸瀬布観光公社)が空港敷地内で2軒のホテルを運営しており、国内線ターミナルビル内「エアターミナルホテル」は現国内線ターミナルビルの開業時に三井観光開発(現・グランビスタ ホテル&リゾート)が「三井アーバンホテル新千歳空港」としてオープンし2008年から「ホテルコムズ新千歳空港」に名称を変更、2011年度いっぱいまで営業した後一時閉鎖し[106]、同年4月28日から丸瀬布観光公社が引き継ぎ現在の「エアターミナルホテル」として営業している。また国際線ターミナル内には富裕層向け171室の「ポルトムインターナショナル北海道」が2020年2月から営業を行っている[107][108]。
空港敷地内の2軒の他、車で10分程度の千歳市内にも複数のホテルがある。近年の空港利用者の急増により宿泊施設の需要も増加し、千歳市内でホテルの建設が進んでいる。
環境と人に優しい「エコエアポート」を目指して、貯蔵した雪を冷房に活用するシステムを2010年3月に整備。同年5月から運用を開始した。世界最大規模となる高さ8 m以上、縦200m、横100mの雪を貯蔵して、5月から9月までの間、旅客ターミナルビルや連絡施設などの冷房に活用している。計画では、従来の重油使用量の3割を賄い、将来的には年間2100トンの二酸化炭素削減を目指している[109][110]。
ハブ空港
焦点都市
※ 航空連合は右記の通り。OW:ワンワールド、SA:スターアライアンス、ST:スカイチーム
※ 語末の★は、格安航空会社 (LCC)
※ COVID-19の影響により、長期運休となっている路線もある。詳細は航空各社のホームページを参照。
道外から北海道に入るには空路が最も効率的な交通手段であることから、季節運航も含め30路線以上の国内線ネットワークを持ち、北海道の空の玄関となっている。とりわけ羽田 - 新千歳線は羽田 - 福岡線と並び、日本の国内線の2大巨頭であり、日本航空、全日本空輸、スカイマーク、AIRDOの4社が競合し、国内最多の旅客数を記録している[111]。また、Peach Aviationが運航する新千歳 - 那覇線は国内最長距離路線であり、その片道マイル数は1,397マイル、所要時間は約4時間とこれは国際線における東京(羽田、成田)- ソウル(仁川、金浦)線の758マイル、約2時間30分に比べてはるかに長くなっている。
国内線を運航する全ての格安航空会社 (LCC)が就航しており、成田国際空港や関西国際空港、中部国際空港との間を結ぶ国内線が運航されている。なお、札幌市内には丘珠空港があるが、こちらは主に道内路線を中心に運航されている。
航空会社 | 目的地 |
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日本航空 (JAL)(OW)[注 5] | 東京/羽田、大阪/伊丹、大阪/関西、名古屋/中部、女満別、青森、花巻、仙台、新潟、広島、出雲(8月限定運航)、徳島(8月限定運航)、福岡 |
全日本空輸 (ANA)(SA)[注 6] | 東京/羽田、東京/成田、大阪/伊丹、大阪/関西、名古屋/中部、利尻(6月〜9月限定運航)、稚内、中標津、釧路、女満別、函館、青森、秋田、仙台、福島、新潟、富山、小松、静岡、大阪/神戸、岡山、広島、福岡 |
スカイマーク (SKY) | 東京/羽田、名古屋/中部、茨城、大阪/神戸、福岡 |
AIRDO (ADO)[注 7] | 東京/羽田、名古屋/中部、大阪/神戸、仙台、福岡 |
Peach Aviation (APJ)★ | 東京/成田、大阪/関西、名古屋/中部、仙台、福岡、那覇 |
ジェットスター・ジャパン (JJP)★[注 8] | 東京/成田、大阪/関西、福岡 |
スプリング・ジャパン (SJO)★ | 東京/成田 |
フジドリームエアラインズ (FDA)[注 9] | 山形、松本、静岡 |
アイベックスエアラインズ (IBX)[注 10] | 仙台 |
チャーター便を含む利用者は2007年に年間80万人、2012年には年間100万人を突破している。またアジア諸国の経済成長を受けた海外旅行者数の増加や、台湾や香港、大韓民国やタイ王国などアジア諸国や、ヨーロッパにおける「北海道ブーム」により、既存路線の増便や新路線開設の動きが活発になっていた。
これにより、ハワイやヨーロッパへの中長距離路線復活や、中華人民共和国、東南アジア各国への新路線開設や新規乗り入れ航空会社の増加など活発な動きを見せている。なお、格安航空会社は2018年9月現在で海外拠点11社が就航している。
しかし、近年軍拡を進める中華人民共和国とロシアの軍用機が日本の防空識別圏を窺っている(東京急行など)ほか、民間機による諜報活動を行っているとみられることもあって、冷戦時代より防衛上の観点から軍事的緊張関係にある国の航空会社の乗り入れ時間帯制限が行われている。このため自由なダイヤが組めないなど課題も多いが、その後2016年10月末からは、中ロの航空会社について従来禁止されていた月曜日と木曜日の発着を一部認め、毎日発着可能とする規制緩和も行われている[47]。
2017年夏季からは1時間当たり42便への発着枠拡大に伴い一層の増便が見込まれているが、出発カウンターや保安検査場の不足により特定時間帯に混雑がみられるといった課題も生じている[49]。また2020年3月からは昼間発着枠が50回に拡大された一方で、人員不足により地上支援業務の態勢が整わない事を理由として運航の継続や増便等を見送る動きも生じている[112]。2020年の新型コロナウイルスによる旅客便全面運休を経て2022年に韓国・台湾・東南アジア方面の路線から再開されたが[113]、その後2024年時点では地上要員の人員不足を主要因として中国本土便を中心に回復が進まず2019年比で6割程度の発着数に留まっている[114]。
航空会社 | 目的地 |
---|---|
チャイナエアライン (CI) (ST) | 台北/桃園 |
エバー航空 (BR) (SA) | 台北/桃園 |
スターラックス航空 (JX) | 台北/桃園 |
タイガーエア台湾 (IT)★ | 台北/桃園 |
大韓航空 (KE) (ST) | ソウル/仁川 |
アシアナ航空 (OZ) (SA) | ソウル/仁川 |
ジンエアー (LJ)★ | ソウル/仁川、釜山 |
ティーウェイ航空 (TW)★ | ソウル/仁川 |
チェジュ航空 (7C)★ | ソウル/仁川、釜山 |
エアプサン (BX)★ | ソウル/仁川、釜山 |
エアソウル (RS)★ | ソウル/仁川 |
イースター航空 (ZE)★ | ソウル/仁川 |
エアロK (RF)★ | 清州(2024年11月28日より就航予定) |
中国国際航空 (CA) (SA) | 北京/首都 |
中国東方航空 (MU) (ST) | 上海/浦東 |
吉祥航空 (HO) (SA) | 上海/浦東 |
深圳航空 (ZH) (SA) | 深圳 |
海南航空 (HU) | 西安(2024年12月27日より就航予定) |
春秋航空 (9C)★ | 上海/浦東 |
キャセイパシフィック航空 (CX) (OW) | 香港 |
香港航空 (HX) | 香港 |
セブパシフィック航空 (5J)★ | マニラ(2025年1月16日より就航予定、季節運航) |
タイ国際航空 (TG) (SA) | バンコク/スワンナプーム |
タイ・エアアジア X (XJ)★ | バンコク/ドンムアン(季節運航) |
タイ・ベトジェットエア (VZ)★ | 台北/桃園(2024年12月17日より就航予定)、バンコク/スワンナプーム(2024年12月17日より就航予定、台北/桃園経由) |
エアアジア X (D7)★ | クアラルンプール(季節運航) |
シンガポール航空(SQ) (SA) | シンガポール(2024年12月1日より運航再開予定、季節運航) |
スクート (TR)★ | 台北/桃園、シンガポール(台北/桃園経由) |
航空会社 | 目的地 |
---|---|
スプリング・ジャパン (IJ) [注 11] | 東京/成田、東京/羽田、北九州 |
就航空港 | 2015年旅客数 | 2015年冬季ダイヤ便数 |
---|---|---|
台湾桃園国際空港 | 551,682人 | 週7便 (CI)、週7便 (BR)、週7便 (GE) |
仁川国際空港 | 488,893人 | 週13便 (KE)、週7便 (LJ)、週7便 (TW) |
香港国際空港 | 358,770人 | 週5便 (CX)、週5便 (HX) |
スワンナプーム国際空港 | 169,783人 | 週7便 (TG) |
上海浦東国際空港 | 144,589人 | 週5便 (MU)、週5便 (9C) |
高雄国際空港 | 103,546人 | 週5便 (CI) |
北京首都国際空港 | 51,977人 | 週5便 (CA) |
ダニエル・K・イノウエ国際空港 (ホノルル国際空港) |
38,381人 | 週3便 (HA) |
ドンムアン国際空港 | 33,792人 | - |
金海国際空港 | 28,795人 | 週3便 (KE)、週3便 (BX) |
クアラルンプール国際空港 | 26,269人 | 週5便 (D7) |
天津浜海国際空港 | 26,138人 | 週2便 (GS) |
グアム国際空港 | 16,123人 | 週2便 (UA) |
ホムトヴォ空港 | 8,303人 | 週2便 (HZ) |
東京国際空港、成田国際空港、大阪国際空港、関西国際空港、仙台空港、中部国際空港、福岡空港便などは、コードシェア便として国外航空会社便名が付与される便がある。利用は国際線乗継旅客に限られ、国内区間のみの利用は国内航空会社便名での利用となる。
○は丘珠空港便もあり
航空会社名は休廃止時点
※ 航空会社は休廃止時点
新千歳空港からの路線バス、高速バスの行き先、のりば等の詳細情報は運行会社に関係なく「バスでのアクセス」に記載されている。
札幌市内路線(定山渓温泉行を除く)の紙の乗車券は、共通乗車制度により路線・発行会社に関わらず使用可能[126][127]。
詳細は、北都交通は事業者記事を、北海道中央バスは千歳線 (北海道中央バス)を参照。
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