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日本のテレビ局TBSのテレビドラマ放送枠 ウィキペディアから
『金曜ドラマ』(きんようドラマ)は、1972年4月から1987年9月、および1989年10月からTBS系列で、毎週金曜日の22:00 - 22:54(JST)に放送されていた、もしくはされているテレビドラマ放送枠およびその冠タイトル。通称「金ドラ」[1]。ステレオ放送、字幕放送、ハイビジョン制作、番組連動データ放送を実施している。
1987年10月から1989年9月まで、この枠をニュース番組(JNNニュース22プライムタイム→ニュースデスク'88→ニュースデスク'89)に充てていたため番組を2年間休止となる。その分水曜21時台に本枠の枠移動して『水曜ドラマ』を放送したが、翌10月から放送が再開されている。
TBSテレビでは、1956年に創設の『日曜劇場』に次ぐ歴史のあるドラマ枠である。2作目以降、TBS制作局の「不変」の看板枠となり[2]、『白い影』(1973年、脚本・倉本聰ら)、『私という他人』(1974年、脚本・ジェームス三木ら)、『悪魔のようなあいつ』(1975年、脚本・長谷川和彦)、『光る崖』(1977年、脚本・山田信夫)、『岸辺のアルバム』(1977年、脚本・山田太一)、『あにき』(1977年、脚本・倉本聰)、『家族熱』(1978年、脚本・向田邦子)などの作品が生まれ[3]、他局のドラマ関係者からも、一目置かれるドラマ枠だった[4]。
しかし、視聴率的しばしば苦戦するようになり、編成的にテコ入れが急務となっていった[2]。そこで、1983年2月、初めて木下プロダクション制作の『金曜日の妻たちへ』がラインナップされる[2]。プロデューサーの飯島敏宏は、TBSとは馴染の薄かった鎌田敏夫とコンビを組み、「金ドラ」枠に「新風」を吹き込んだ[2]。この鎌田の起用が奏功し、『金曜日の妻たちへ』は、平均15%を超える「金ドラ」久々のヒット作となった[2]。
1985年10月、テレビ朝日が『ニュースステーション』をスタートさせる。キャスターがTBS出身の久米宏だったこともあり、TBS社内の関心もひとしおだったが、85年いっぱいは、一ケタの数字で「久米でも(ニュースの)数字はダメか」といった反応だった[5]。ところが、1986年に入るとビッグニュースの連続で、そのたびに数字が上がって来た[5]。ニュース番組も民放テレビの「商品」となる先例となり、TBSにも、そうした動きが出てきた[5]。1987年春、TBSでは『ニュースステーション』対抗して、10月から夜10時スタートでワイドニュース枠を月~金でベルト編成するという計画が持ち上がる[6]。これが本決まりとなれば、夜10時の連ドラ枠はなくなり、ドラマ部にとってはとりわけ大問題となった[6]。経営側から制作局員に対する、22時枠「改編」についての説明会が、テレビ本部長の絹村和夫常務が出席して開かれた[6][7]。質疑応答の段になって「仮借ない」質問が矢継ぎ早に飛んだ[8]。「『ニュースステーション』の真裏にニュースをぶつけて勝算はあるのか?」「視聴習慣を変えてドラマ枠がダメになってしまわないか?」「もし、失敗したら誰が責任を取るのか」。「責任は私が取ります」と絹村常務が言い切ったところで2~3時間続いた説明会はお開きになった[8]。こうして、1972年以来15年間続いた『金曜ドラマ』の枠は消えた[8]。
1987年10月、TBSが「報道のTBS」のプライドを懸けて、『ニュースステーション』挑戦する『JNNニュース22プライムタイム』がスタートする[9]。キャスターには『モーニングEye』のMCを担当していたNHK出身の森本毅郎が起用された[9]。森本とコンビを組むもう一人のメインキャスターは局アナの三雲孝江だった[9]。視聴率は初回こそ、番組宣伝と大物ゲスト(王貞治)の投入で『ニュースステーション』と拮抗したが2日目以降、水をあけられてしまい、結局、TBSの「22時台のニュース」という挑戦は2年で終わる[9]。
1989年10月、ニュース戦争では「一敗地にまみれた」形となったTBSは、念願の筑紫哲也をキャスターに据え、『筑紫哲也 NEWS23』をスタートする[10]。TBSのポーラテレビ小説『おゆう』で主演を務めた浜尾朱美が筑紫とコンビを組んだ[10]。『ニュースステーション』とは、時間が1時間遅れてスタートすることになった[10]。このため、『ドラマ23』枠がなくなり、『金曜ドラマ』枠が2年ぶりに復活した[10]。再開第1作は、木下プロダクションの『雨よりも優しく』[10]。
再開後は3か月交替で年間4本のドラマが放送されている。例外として、『3年B組金八先生』第7シリーズが2004年10月から翌年3月までの半年間、『セーラー服と機関銃』が2006年10月から11月の2か月間(全7回)、『笑える恋はしたくない』が同年12月の1か月間(全3回)の番組編成が取られている。
2004年春に水曜22時枠ドラマが、2008年春に木曜22時枠ドラマがそれぞれ廃枠になると、『金曜ドラマ』はTBSにとって唯一の22時枠ドラマとなったが、2014年春の改編でかつて『刑事コジャック』『刑事スタスキー&ハッチ』などの海外ドラマを編成していた火曜22時枠に、国産1時間ドラマ枠となる『火曜ドラマ』枠を設置し[11]、6年ぶりに22時枠ドラマが2枠体制となった。また2018年春の改編で、月 - 木の22時台の番組(『火曜ドラマ』を含む)が22:00 - 23:07に拡大(13分延長)されたが[12][注釈 1]、『金曜ドラマ』は引き続き22:00 - 22:54枠での放送となっている。
※ただし、作品によって初回および最終回には拡大あり。まれに21:00から放送開始となる作品もある。
1989年以降の代表的な作品には、冬彦さんブームを巻き起こした『ずっとあなたが好きだった』(1992年)、および同じスタッフで制作された『誰にも言えない』(1993年)、野島伸司脚本による『高校教師』(1993年)、『人間・失格』(1994年)、『未成年』(1995年)、『聖者の行進』(1998年)、手話ブームを牽引した『愛していると言ってくれ』(1995年)、続編が作成された『青い鳥』(1997年)、田村正和、木村拓哉、宮沢りえの共演で話題を呼んだ『協奏曲』(1996年)、スペシャル版や映画版も制作された『ケイゾク』(1999年)などがある。
2000年以降は、続編・映画化までされ、続編は平均20%を超える高視聴率をマークするなどの人気を博した『花より男子』、ベストセラー小説をドラマ化した『世界の中心で、愛をさけぶ』(2004年)、映画化された『クロサギ』(2006年)、若手俳優が多くブレイクした『ドラゴン桜』(2005年)、アラフォーが流行語にもなった『Around40〜注文の多いオンナたち〜』(2008年)などがある。
2012年に放送された全4作品すべてが一桁台と低迷し、2008年10月期の『流星の絆』最終回から2013年7月期の『なるようになるさ。』初回[13]まで、単回で15%を超える作品がなかった。また『木更津キャッツアイ』(2002年)、『タイガー&ドラゴン』(2005年)、『歌姫』(2007年)、『魔王』(2008年)、『SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜』(2010年)(以下、『SPEC』)などの視聴率は低かったものの、後にDVD販売でヒットしたというケースも見られる[注釈 2]。同様にこの時期から「オリジナルドラマ」だけではなく、「漫画作品をドラマ化」、「海外ドラマを日本版にリメイク」などを取り入れ始め他のドラマ枠と同様、年々増加傾向にある。放送される作品は基本的に現代劇だが、2012年10月期の『大奥〜誕生[有功・家光篇]』で初めて時代劇の作品が登場した[14][注釈 3]。
順位 | タイトル | 放送年 | 平均視聴率 |
---|---|---|---|
1位 | 協奏曲 | 1996年 | 23.9% |
2位 | 誰にも言えない | 1993年 | 23.8% |
3位 | 高校教師 | 1993年 | 21.9% |
4位 | 花より男子2 | 2007年 | 21.6% |
5位 | 愛していると言ってくれ | 1995年 | 21.3% |
6位 | 聖者の行進 | 1998年 | 20.9% |
7位 | 未成年 | 1995年 | 20.0% |
8位 | ずっとあなたが好きだった | 1992年 | 19.9% |
9位 | 花より男子 | 2005年 | 19.8% |
10位 | ふぞろいの林檎たちII | 1991年 | 19.2% |
10位 | 人間・失格〜たとえばぼくが死んだら | 1994年 | 19.2% |
順位 | タイトル | 放送年 | 最高視聴率 | 該当話 |
---|---|---|---|---|
1位 | ずっとあなたが好きだった | 1992年 | 34.1% | 最終話 |
2位 | 誰にも言えない | 1993年 | 33.7% | 最終話 |
3位 | 高校教師 | 1993年 | 33.0% | 最終話 |
4位 | 人間・失格〜たとえばぼくが死んだら | 1994年 | 28.9% | 最終話 |
5位 | 協奏曲 | 1996年 | 28.2% | 第一話 |
6位 | 愛していると言ってくれ | 1995年 | 28.1% | 最終話 |
7位 | 花より男子2 | 2007年 | 27.6% | 最終話 |
8位 | ふぞろいの林檎たちII | 1991年 | 23.8% | 第一話 |
9位 | 未成年 | 1995年 | 23.2% | 第八話 |
10位 | 美しい人 | 1999年 | 22.7% | 第一話 |
以下の制作プロダクション記号のないものはTBS(東京放送 → TBSエンタテインメント → TBSテレビ)の局制作[注釈 4]。
放送対象地域 | 放送局 | 系列 | 放送時間 | 提供 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
関東広域圏 | TBSテレビ(TBS)[注釈 6] | TBS系列 | 金曜日 22:00 - 22:54 | ネットワークセールス | 制作局 |
北海道 | 北海道放送(HBC) | 同時ネット | |||
青森県 | 青森テレビ(ATV) | ||||
岩手県 | IBC岩手放送(IBC) | ||||
宮城県 | 東北放送(TBC) | ||||
山形県 | テレビユー山形(TUY) | ||||
福島県 | テレビユー福島(TUF) | ||||
山梨県 | テレビ山梨(UTY) | ||||
長野県 | 信越放送(SBC) | ||||
新潟県 | 新潟放送(BSN)[注釈 7] | ||||
静岡県 | 静岡放送(SBS) | ||||
富山県 | チューリップテレビ(TUT) | ||||
石川県 | 北陸放送(MRO) | ||||
中京広域圏 | CBCテレビ(CBC)[注釈 8] | ||||
近畿広域圏 | 毎日放送(MBS)[注釈 9] | ||||
鳥取県・島根県 | 山陰放送(BSS) | ||||
岡山県・香川県 | RSK山陽放送(RSK)[注釈 10] | ||||
広島県 | 中国放送(RCC) | ||||
山口県 | テレビ山口(tys) | ||||
愛媛県 | あいテレビ(itv) | ||||
高知県 | テレビ高知(KUTV) | ||||
福岡県 | RKB毎日放送(RKB)[注釈 11] | ||||
長崎県 | 長崎放送(NBC) | ||||
熊本県 | 熊本放送(RKK) | ||||
大分県 | 大分放送(OBS) | ||||
宮崎県 | 宮崎放送(mrt) | ||||
鹿児島県 | 南日本放送(MBC) | ||||
沖縄県 | 琉球放送(RBC) |
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