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岩手県の市 ウィキペディアから
宮古市(みやこし)は、岩手県の三陸海岸に面する市。本州最東端の地である重茂半島の魹ヶ崎を擁する[2]。
みやこし 宮古市 | |||||
---|---|---|---|---|---|
| |||||
国 | 日本 | ||||
地方 | 東北地方 | ||||
都道府県 | 岩手県 | ||||
市町村コード | 03202-6 | ||||
法人番号 | 6000020032026 | ||||
面積 |
1,259.18km2 | ||||
総人口 |
45,464人 [編集] (推計人口、2024年9月1日) | ||||
人口密度 | 36.1人/km2 | ||||
隣接自治体 | 盛岡市、花巻市、遠野市、下閉伊郡岩泉町、山田町、上閉伊郡大槌町 | ||||
市の木 | アカマツ[1] | ||||
市の花 | ハマギク[1] | ||||
市の鳥 市の魚 |
ウミネコ[1] サケ[1] | ||||
宮古市役所 | |||||
市長 | 山本正徳 | ||||
所在地 |
〒027-8501 岩手県宮古市宮町1丁目1番30号 北緯39度38分23秒 東経141度56分46秒 | ||||
外部リンク | 公式ウェブサイト | ||||
ウィキプロジェクト |
三陸海岸を代表する都市の一つであり、「本州最東端のまち」を掲げ、世界三大漁場の一つ三陸沖の豊かな漁業資源と、三陸復興国立公園・浄土ヶ浜や早池峰国定公園を代表とする森・川・海の豊かな自然環境を背景に、漁業と観光に力を入れている。
1941年に市制を敷き、盛岡市、釜石市に次いで県内で三番目に市制移行した自治体となった。2005年に田老町、新里村と新設合併し、改めて宮古市(2代目)が誕生。さらに2010年の川井村の編入によって県内一の面積を有する自治体となった。市域は旧・宮古市部と、北部の田老地区、山間部の川井・新里地区に大きく分けられる。人口は岩手県の太平洋沿岸部の市町村の中では最も多い。面積は岩手県内で1位の大きさ、全国の市町村でもランキング11位の大きさを有する。
県庁所在地である盛岡市からは北上山地を隔てて約100 km離れているため、盛岡を初めとする北上盆地とは独立した地域圏を形成している。 ただし、旧・川井村の門馬エリアについては地理的な観点から盛岡との結びつきが市内他地域に比べると強い。
2011年3月11日に発生した東日本大震災では津波により大きな被害を受けた。市内中心部の被害はある程度抑えられたものの、沿岸集落は壊滅的被害となった。
宮古市は三陸海岸におけるリアス式海岸の北端に位置しており、宮古を境にして南がリアス式海岸、北が海岸段丘になっている。また、内陸や対岸との位置関係では、盛岡市(北上盆地)と秋田県秋田市(日本海沿岸)から真東に位置している。
2010年1月の川井村の編入により、市の面積は696.82 km2から1,259.89 km2に拡大し、一関市を抜いて岩手県の市町村で最大の面積を有することとなった[3]。これは2015年時点で、日本の市の面積では東北では山形県鶴岡市に次いで2番目、全国でも8番目の大きさである。しかしその9割は山林であるため、可住地面積は約117 km2と、総面積の約9%に止まり、少ない平地に人家が密集している状態である。そのため総面積当たりの人口密度は低いものの、可住地面積当たりの人口密度は約421(人/km2)と県内平均を上回る。
市域中央部を西から東に閉伊川が貫流し、市街地のある宮古湾へと注いでいる。西部の川井地区は平地はほとんどなく、川沿いに人家が密集する地区が多い。周囲には早池峰山と青松葉山がある。北部の新里地区には刈屋川が南へ流れ、茂市(もいち)で閉伊川に合流する。閉伊川と刈屋川に沿って、国道106号(旧・閉伊街道)と国道340号がそれぞれ並走する。市の南東部から北に向かって津軽石川が流れ、宮古湾に注いでいる。
市街地を覆うように重茂半島が南から延び、宮古湾を形成している。重茂半島には、月山(標高455.9 m)があり、市街地への見通しが良い関係から、テレビ・ラジオの中継塔が設置されている。山道口まではバスで行くことができる。太平洋に突き出る重茂地区の魹ヶ崎は本州の最東端であり、観光協会が「本州最東端訪問証明書」を発行するなど「最東端の市」として観光にも力を入れている。南に隣接する山田町との境に位置する十二神山には、航空自衛隊のレーダーサイトがあるため、入山に制限が設けられている。
ケッペンの気候区分では温暖湿潤気候だが、最暖月の平均気温が22.1度と日本ではかなり涼しく、西岸海洋性気候に近い気候である。また、標高734mの区界は藪川と同様に冬の寒さが厳しく、亜寒帯湿潤気候・湿潤大陸性気候に属している。
宮古市鍬ケ崎下町(宮古特別地域気象観測所、標高43m)の気候 | |||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 年 |
最高気温記録 °C (°F) | 18.9 (66) |
21.3 (70.3) |
24.2 (75.6) |
32.1 (89.8) |
33.0 (91.4) |
35.9 (96.6) |
37.3 (99.1) |
37.2 (99) |
34.3 (93.7) |
30.5 (86.9) |
26.9 (80.4) |
23.2 (73.8) |
37.3 (99.1) |
平均最高気温 °C (°F) | 5.2 (41.4) |
5.6 (42.1) |
9.1 (48.4) |
14.6 (58.3) |
18.9 (66) |
21.0 (69.8) |
24.4 (75.9) |
26.3 (79.3) |
23.5 (74.3) |
18.8 (65.8) |
13.5 (56.3) |
7.7 (45.9) |
15.7 (60.3) |
日平均気温 °C (°F) | 0.5 (32.9) |
0.8 (33.4) |
3.9 (39) |
8.9 (48) |
13.5 (56.3) |
16.5 (61.7) |
20.3 (68.5) |
22.1 (71.8) |
19.1 (66.4) |
13.6 (56.5) |
8.1 (46.6) |
2.9 (37.2) |
10.8 (51.4) |
平均最低気温 °C (°F) | −3.5 (25.7) |
−3.5 (25.7) |
−0.8 (30.6) |
3.9 (39) |
9.0 (48.2) |
13.1 (55.6) |
17.4 (63.3) |
19.2 (66.6) |
15.6 (60.1) |
9.2 (48.6) |
3.0 (37.4) |
−1.4 (29.5) |
6.8 (44.2) |
最低気温記録 °C (°F) | −17.3 (0.9) |
−15.1 (4.8) |
−14.6 (5.7) |
−7.3 (18.9) |
−1.5 (29.3) |
1.6 (34.9) |
4.9 (40.8) |
9.6 (49.3) |
3.7 (38.7) |
−2.9 (26.8) |
−7.0 (19.4) |
−13.4 (7.9) |
−17.3 (0.9) |
降水量 mm (inch) | 63.4 (2.496) |
54.7 (2.154) |
87.5 (3.445) |
91.9 (3.618) |
98.1 (3.862) |
123.4 (4.858) |
157.5 (6.201) |
177.9 (7.004) |
216.4 (8.52) |
166.1 (6.539) |
62.8 (2.472) |
67.6 (2.661) |
1,370.9 (53.972) |
降雪量 cm (inch) | 20 (7.9) |
33 (13) |
28 (11) |
2 (0.8) |
0 (0) |
0 (0) |
0 (0) |
0 (0) |
0 (0) |
0 (0) |
0 (0) |
9 (3.5) |
91 (35.8) |
平均降水日数 (≥0.5 mm) | 5.4 | 6.0 | 8.2 | 9.2 | 10.6 | 11.1 | 13.6 | 12.4 | 12.1 | 9.0 | 6.4 | 5.5 | 109.4 |
平均降雪日数 (≥1cm) | 4.7 | 5.6 | 4.0 | 0.5 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.1 | 1.8 | 16.5 |
% 湿度 | 60 | 62 | 63 | 66 | 74 | 84 | 88 | 87 | 85 | 78 | 69 | 63 | 73 |
平均月間日照時間 | 158.4 | 153.2 | 179.7 | 186.6 | 185.0 | 152.6 | 133.9 | 153.2 | 133.8 | 149.6 | 146.8 | 147.6 | 1,876.2 |
出典:気象庁 (平均値:1991年-2020年、極値:1883年-現在)[5][6] |
川井(1991年 - 2020年)の気候 | |||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 年 |
最高気温記録 °C (°F) | 14.6 (58.3) |
18.6 (65.5) |
21.7 (71.1) |
29.9 (85.8) |
34.3 (93.7) |
35.4 (95.7) |
37.4 (99.3) |
37.5 (99.5) |
35.1 (95.2) |
29.3 (84.7) |
25.2 (77.4) |
20.9 (69.6) |
37.5 (99.5) |
平均最高気温 °C (°F) | 2.9 (37.2) |
3.8 (38.8) |
8.0 (46.4) |
14.8 (58.6) |
20.5 (68.9) |
23.5 (74.3) |
26.8 (80.2) |
28.0 (82.4) |
24.1 (75.4) |
18.3 (64.9) |
12.3 (54.1) |
5.7 (42.3) |
15.8 (60.4) |
日平均気温 °C (°F) | −1.1 (30) |
−0.6 (30.9) |
2.9 (37.2) |
8.7 (47.7) |
14.1 (57.4) |
17.8 (64) |
21.5 (70.7) |
22.4 (72.3) |
18.4 (65.1) |
12.2 (54) |
6.6 (43.9) |
1.4 (34.5) |
10.4 (50.7) |
平均最低気温 °C (°F) | −4.9 (23.2) |
−4.8 (23.4) |
−1.8 (28.8) |
3.0 (37.4) |
8.3 (46.9) |
13.0 (55.4) |
17.5 (63.5) |
18.4 (65.1) |
14.4 (57.9) |
7.5 (45.5) |
1.7 (35.1) |
−2.3 (27.9) |
5.9 (42.6) |
最低気温記録 °C (°F) | −15.4 (4.3) |
−17.7 (0.1) |
−12.4 (9.7) |
−5.0 (23) |
−1.5 (29.3) |
1.7 (35.1) |
8.6 (47.5) |
8.8 (47.8) |
2.5 (36.5) |
−2.3 (27.9) |
−6.7 (19.9) |
−12.6 (9.3) |
−17.7 (0.1) |
降水量 mm (inch) | 46.0 (1.811) |
40.7 (1.602) |
74.9 (2.949) |
85.1 (3.35) |
94.0 (3.701) |
104.9 (4.13) |
158.8 (6.252) |
176.7 (6.957) |
168.1 (6.618) |
131.3 (5.169) |
70.6 (2.78) |
61.0 (2.402) |
1,221.2 (48.079) |
平均降水日数 (≥1.0 mm) | 7.1 | 6.5 | 9.4 | 10.2 | 10.7 | 9.4 | 12.6 | 11.3 | 12.0 | 9.4 | 9.4 | 8.0 | 115.7 |
平均月間日照時間 | 122.1 | 124.8 | 158.2 | 183.0 | 199.0 | 168.9 | 148.3 | 155.0 | 132.1 | 141.9 | 127.0 | 112.2 | 1,775.5 |
出典1:Japan Meteorological Agency | |||||||||||||
出典2:気象庁[7] |
区界(1993年 - 2020年)の気候 | |||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 年 |
最高気温記録 °C (°F) | 8.0 (46.4) |
12.7 (54.9) |
15.5 (59.9) |
24.0 (75.2) |
28.6 (83.5) |
28.0 (82.4) |
30.9 (87.6) |
31.6 (88.9) |
28.6 (83.5) |
23.4 (74.1) |
19.9 (67.8) |
14.0 (57.2) |
31.6 (88.9) |
平均最高気温 °C (°F) | −2.7 (27.1) |
−1.6 (29.1) |
2.3 (36.1) |
9.5 (49.1) |
16.1 (61) |
19.7 (67.5) |
23.1 (73.6) |
24.1 (75.4) |
19.9 (67.8) |
13.6 (56.5) |
6.9 (44.4) |
0.3 (32.5) |
10.9 (51.6) |
日平均気温 °C (°F) | −6.1 (21) |
−5.4 (22.3) |
−1.8 (28.8) |
4.5 (40.1) |
10.7 (51.3) |
14.8 (58.6) |
19.0 (66.2) |
19.8 (67.6) |
15.5 (59.9) |
8.8 (47.8) |
2.8 (37) |
−3.0 (26.6) |
6.6 (43.9) |
平均最低気温 °C (°F) | −11.2 (11.8) |
−10.8 (12.6) |
−7.1 (19.2) |
−0.9 (30.4) |
4.7 (40.5) |
9.7 (49.5) |
15.3 (59.5) |
15.8 (60.4) |
11.1 (52) |
3.5 (38.3) |
−2.1 (28.2) |
−7.4 (18.7) |
1.7 (35.1) |
最低気温記録 °C (°F) | −24.1 (−11.4) |
−22.9 (−9.2) |
−20.3 (−4.5) |
−11.5 (11.3) |
−4.3 (24.3) |
0.4 (32.7) |
4.7 (40.5) |
2.7 (36.9) |
−1.6 (29.1) |
−6.3 (20.7) |
−13.5 (7.7) |
−18.9 (−2) |
−24.1 (−11.4) |
降水量 mm (inch) | 59.3 (2.335) |
48.6 (1.913) |
98.2 (3.866) |
111.1 (4.374) |
127.6 (5.024) |
130.7 (5.146) |
218.7 (8.61) |
208.8 (8.22) |
177.3 (6.98) |
133.5 (5.256) |
112.9 (4.445) |
89.4 (3.52) |
1,517.7 (59.752) |
降雪量 cm (inch) | 142 (55.9) |
134 (52.8) |
125 (49.2) |
33 (13) |
0 (0) |
0 (0) |
0 (0) |
0 (0) |
0 (0) |
0 (0) |
21 (8.3) |
114 (44.9) |
571 (224.8) |
平均降水日数 (≥1.0 mm) | 13.8 | 12.2 | 14.8 | 13.3 | 13.1 | 11.8 | 15.6 | 13.6 | 13.8 | 13.3 | 14.9 | 15.0 | 165.2 |
平均月間日照時間 | 64.0 | 75.1 | 107.2 | 146.4 | 174.3 | 148.9 | 121.9 | 139.8 | 123.7 | 132.8 | 100.0 | 64.2 | 1,403.2 |
出典1:Japan Meteorological Agency | |||||||||||||
出典2:気象庁[8] |
現在の宮古市の発祥は、盛岡藩主・南部利直によって盛岡藩(盛岡城下町)の外港として宮古の町が開かれたことに由来する[9]。また現在の普代村から山田町豊間根までの行政を管轄する代官所[注 1]が置かれ、周辺地域の政治、経済の中心地であった。江戸時代に三陸沿岸と江戸・関東とを結ぶ海運が盛んになると、沿岸漁村で産出される諸色や俵物を集荷し江戸へ移出するための拠点となり、前川善兵衛や鍬ヶ崎の和泉屋などの長崎俵物を扱う御用商人や、盛合家などの三陸の水産物を扱う有力商人や交易に携わる廻船問屋の活動が活発となった。また宮古は東廻海運の要港であり、海産物などの交易船や松前・東北諸藩が江戸へ参勤交代で必要な物資や米などを輸送するための廻船の重要な寄港地として、料亭や遊廓が軒を連ねる奥州でも有数の商港として賑わった。
戊辰戦争においては、蝦夷地にて独立を図る榎本武揚・土方歳三らの旧幕府海軍艦隊(蝦夷共和国軍艦隊。総司令官:荒井郁之助。旗艦「回天丸」[艦長:甲賀源吾])が、宮古湾の鍬ヶ崎湊(くわがさきみなと。現在の宮古港の前身)に停泊する新政府軍艦隊の主力艦である装甲艦「CSS Stonewall」(ストーンウォール[日本名:甲鉄艦]。1871年12月に「東艦」と改称)を奪取すべくアボルダージュ(接舷攻撃)作戦を決行した、いわゆる宮古湾海戦が勃発した[10]。
古代の宮古地域は、須賀古麻比留のような村長達により治められていたと考えられている。平安時代には、遺跡の出土品から奥州藤原氏との関連があったことが判明している。鎌倉時代には鎌倉御家人の閉伊氏一族が土着し勢力を広げるが、室町時代以降は南部氏一族が勢力を拡大。九戸政実の乱終結後は宮古地域の村々はそれぞれ南部氏配下の武将による地方知行となり、近世に至る。
近世の宮古は北上山地に阻まれ、盛岡城下町など内陸部との往来や輸送が滞ることの多い土地柄であった。陸の孤島になりがちな当地の交通網の整備に尽力した僧・牧庵鞭牛らの功績は今もって賛えられている。宮古はまた、V字型の湾の両岸が奥に進むにつれて狭くなるリアス式海岸地形の特殊性によって津波の被害も大きく、古来より大規模な被害の出る津波に襲われている。
昭和時代に入ると国鉄山田線の開通とラサ工業の進出により近代港湾都市として発展。山間部では閉伊川筋の電力資源の開発に伴い、窯業・鉱業・木材工業関連の企業が相次いで設立された。第二次世界大戦後の高度経済成長期には北洋漁業やサンマ漁船の基地として賑わった。また木材港の整備により合板企業の集積が進んだ。1970年代には国道45号・国道106号線の全線開通と、宮古港の公共埠頭の整備により三陸海岸の拠点都市としての地位を高め、1980年代にかけてゴルフ場や国民休暇村・グリーンピアの設置などレジャーや観光業の発展が見られた。また1974年のヒロセ電機の進出により、コネクタ関連の日本有数の産業集積地となった。1984年には第三セクターの三陸鉄道が開業した。
平成時代の1992年にはJAPAN EXPO(地方博覧会)として三陸・海の博覧会が開催され、藤原地区にパビリオンが設置された。2011年には東日本大震災の津波により甚大な被害を受け、被災した市街地の再開発と、復興道路として三陸沿岸道路や宮古盛岡横断道路の高速交通インフラの整備が進められている。2018年には北海道室蘭市とのフェリー航路が開通したが、2020年に運航休止となった。
宮古市と全国の年齢別人口分布(2005年) | 宮古市の年齢・男女別人口分布(2005年) | |||||||||||||||||||||||||||||||||
■紫色 ― 宮古市
■緑色 ― 日本全国 | ■青色 ― 男性 ■赤色 ― 女性 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
宮古市(に相当する地域)の人口の推移
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総務省統計局 国勢調査より |
平成22年国勢調査から平成27年調査にかけての人口増減率は4.63%の減少で、岩手県全体の3.80%減を少し上回った。なお平成の大合併以前の区分では旧宮古市が東日本大震災に伴う津波で甚大な被害を受けながら2.23%減と県全体を下回った一方で、同じく津波被害を受けた旧田老町が26.27%減と、平成27年時点の自治体区分で県内最大である大槌町の23.02%減も上回る対照的な結果となった。また直接津波被害を受けていない旧川井村は10.62%減と、田老町ほどではないにしろ大きく減少した[21]。
漁業やその水産資源を活かした海産物加工業で知られ、南部藩(盛岡藩)唯一の藩港に指定されていたことから海運業さらに商業の町としても発展してきた[2]。工業は第二次世界大戦前には国策企業による銅の精錬や肥料製造が行われ、戦後、1960年代からは港湾整備と関連した合板産業、1970年代からは超精密コネクター製造とそれを支える金型の産地となった[2]。
平成26年度の一人当たり市町村民所得は276万円(県調査統計課)で、復興需要により震災前より急上昇しており、県南を上回り盛岡市などの県央部に匹敵する額になっている。平成28年の観光客入込数は1,117,932(単位・人回、県観光統計概要)で、県沿岸部の市町村ではトップの数字となっている。
沖合は世界三大漁場の三陸漁場で、漁業を中心に鮮魚出荷業者、水産加工業者、ミール業者、冷凍・冷蔵庫業者などの水産流通加工業者、漁船に物資やサービスを提供する製氷、製函、造船、鉄工(エンジン)、漁具(漁網やロープ)、燃油、食料、船舶機器(無線や魚群探知機)、トラック運送業者などが集積的に立地している[2]。
宮古市魚市場の主な水揚魚種は、鮭、サンマ、マダラ、イカ、スケソウダラなどである[2]。
工業では、ヒロセ電機や関連企業などによる電子部品の製造、ラサ工業宮古工場によるガリウムの生成、製造と同NCRI事業部による石油精製触媒の再生事業、片倉コープアグリ宮古工場による化学肥料製造やホクヨープライウッドによる合板加工などが主産業である。宮古税関管内(宮古港)の平成28年の輸出入貿易額は、輸出が387億9千6百万円で、ドイツやベルギー、アメリカ向けのポンプ、遠心分離機等の一般機械がその8割を占める。輸入は食料品や木材が多く、貿易額ではロシアがその半分を占める。平成26年の製造品出荷額は7,475(千万円)で、岩手県内で8位である。
田老漁港と重茂漁港は第2種漁港、他は全て第1種漁港である。
県立
※岩手県立杜陵高等学校の宮古分室が宮古高等学校内に設置されていた。
現在は宮古高等学校通信課程となっている。
私立
※以下は廃校(新制 宮古市以降)
※以下は廃校(新制 宮古市以降)
※以下は廃校(新制 宮古市以降)
宮古市は三陸沿岸の交通の拠点であり、2021年度には三陸沿岸道路の開通により、北は青森県八戸市から南は宮城県仙台市まで接続された。公共交通機関では県庁所在地である盛岡市への急行バスが発着しており、鉄路ではJR東日本山田線が宮古駅 - 盛岡駅間を運行しているとともに気仙沼市を経由して仙台市まで直通する高速バスも発着している。また三陸鉄道リアス線が盛駅(大船渡市) - 久慈駅(久慈市)間を運行している。海路では2018年に北海道室蘭市へのフェリー航路が就航したが、2020年4月から運航休止中となっている。
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