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陸軍が平時に駐在する軍事基地 ウィキペディアから
駐屯地(ちゅうとんち、英: Camp, Fort, Garrison)は、陸軍や陸上自衛隊が平時に駐在する[1]軍事基地である。
空軍においては、平時より常設された、飛行場を持つ空軍基地(Air base)が作戦行動の拠点となる事が多いのに対し、陸軍は移動した先々が作戦行動の拠点となり、平時の駐屯地が作戦行動時に基地とならない事から、特に区別する。なお、海軍では艦隊が行動の中心であり、港湾・陸上施設などに基地の名称は使わず「海軍施設」「軍港」と称するが、航空機を常設する部隊では「航空基地(Naval air station)」の名称を用いる場合がある。
ローマ帝国ではイベリア半島やアルプス以北の地域にある属州に都市が建設されたが、それらの都市の多くは軍隊の駐屯地から発達したと考えられている[2]。
軍隊の駐屯地には付随して商人や職人の集落が形成され都市の核となった[2]。これらの地は道路や河川といった交通路への近接性から、軍事拠点として好適であっただけでなく都市としての立地条件にも優れていたため、後の時代に政治的あるいは宗教的な中心都市として発展した例が多い[2]。
大日本帝国陸軍(帝国陸軍)軍隊が永久に一つの地に配備駐屯する場合は衛戍地と言った[3][4]。日本の法令上での表記は、帝国陸軍、警察予備隊では「駐屯地」であったが、保安隊発足時に当用漢字の制限から「駐とん地」となり陸上自衛隊に継承、1982年4月30日の自衛隊法施行令等の改正[5]で再び「駐屯地」となった。なお、陸上自衛隊では訓令で定められている駐屯地の略号はStaである。
陸上自衛隊では、陸上自衛隊の部隊または機関が所在する施設を「駐屯地」と称し、通常一つの駐屯地に複数の部隊・機関が所在する。各駐屯地には、その駐屯地の警備及び管理、駐屯地における隊員の規律の統一等を司る職として駐屯地司令が置かれる。駐屯地司令は通常その駐屯地に駐屯する部隊の中の最上位者が充てられるが、師団・旅団等の主要司令部所在駐屯地においては原則を厳格に適用すると最高位の陸将が担当することになってしまうため、一部例外も存在する。(詳細は駐屯地司令を参照)。2022年(令和4年)3月17日現在、分屯地(駐屯地とは別の場所に所在するが駐屯地の一部となる施設)も含めた駐屯地の総数は164(駐屯地135[6]、分屯地29[7])である。
隊員が課業(業務)を行う場である以外に、各駐屯地司令が定める細則等に基づき営外居住を許可された者を除いた独身の陸曹以下にとっては生活の場である為、隊舎や日々の訓練を行う営庭(グラウンド)、体育館、射撃場、車両倉庫など以外に、営内舎(寮)、食堂、売店、医務室、浴場など生活に必要な施設が整備されている。
中隊内で営内班を組織し、班ごとに営内での居住区が割り当てられる。営内班長たる曹は営内士の教育、指導に当たる。
売店は通常“PX”(Post Exchange)と呼ばれ、被服装備品、食料品、衣類、文具などの生活雑貨、自衛隊グッズなどが販売されている。売店には民間委託の書店、菓子屋、薬局、電器店、食堂なども含まれ、駐屯地によっては、ゲームセンターやパチンコ店、営舎内での飲酒は禁じられているので居酒屋なども設けられている。また近年では大手チェーン系コンビニエンスストアが続々参入している駐屯地(主に総監部・師団等司令部所在や連隊規模が複数駐屯する駐屯地)も散見される。これら売店を総括して厚生センターと言う。
陸上自衛隊の各駐屯地では、大災害や有事[注 1]の勃発に備え、常に一定人数の隊員が寝泊りをしながらスクランブル体制で待機している。陸上自衛隊の場合、防衛出動・治安出動もしくは災害派遣命令が下ってから1時間以内に一定の規模の部隊が駐屯地を出発できる状態をスクランブル体制と規定している。佐藤正久(参議院議員、元陸上自衛官)によれば、日本国内の殆どの地域には出発から4時間以内に派遣隊員が到着可能とされる[注 2]。
基本的に駐屯地内における写真撮影は原則禁止となる事が多く(駐屯地開放日でも式典会場周辺や会食会場等に限られる)、特に駐屯地正門等で広報への事前申請等で許可を受けた取材等の正当な理由がない写真撮影は適時必要に応じて所轄警察署・公安委員会への通報の原因に繋がるため注意が必要である。但し、敷地外からの撮影の禁止には法的根拠はない為、正門前自衛官に撮影の禁止を通達されてもあくまでも「撮影禁止の協力をお願いしている。」と防衛省では説明しており法的に禁じられているわけではない。同時にこれらの要請を撮影者に対して強制してはならないと明言している[8][注 3][注 4]。
陸上自衛隊では、駐屯地の形態は多岐にわたるが、一般的な駐屯地の場合、次のような部隊も同時に置かれる。規模はほとんどが大隊。
これ以外に、陸上自衛隊の編成ではないが、駐屯部隊の持ち回りで、警衛隊(敷地内守衛と警備。当直制)、消防隊(班)などが構成される[注 5]。
駐屯部隊には不測の事態(主として執務時間外に飛び込む災害派遣要請)に備え、待機要員と当直が置かれる。駐屯地当直司令及び部隊当直司令には補佐役として当直副官(駐屯部隊の人員の掌握・鍵の管理等)と当直伝令(主に当直司令のベッド取りや電話番、運転手等。軍で言う当番兵、従卒)が設けられる。
駐屯地当直
部隊当直
大隊・中隊等部隊当直
師団・旅団・団等部隊当直
基本的には関係者以外[注 6]立入りできないが、多くの駐屯地で広報や地域住民との交流などを目的として年に1~2回一般公開を実施している。一般公開の際は装備品展示・試乗、資料館開放、観閲式、音楽隊の演奏、訓練展示、業者や隊員による模擬店・グッズ売店の設置などが行われる。
特に訓練展示ではその駐屯地に駐屯する部隊の特色を活かした展示がおこなわれる。基本的には偵察~火砲による敵陣地射撃~戦車と普通科部隊協同での敵陣地への攻撃奪取という流れで行われるが施設科部隊の駐屯地では架橋や地雷除去、航空科部隊の駐屯地では空中消火の展示などが行われることもある。
一般公開時以外にも、地方協力本部等に申し込む等すれば体験入隊や見学が可能で、休日に駐屯地内のグランドを近隣住民に開放[注 7]していることもある。また、近隣の中学・高等学校の職業・職場体験学習を積極的に受け入れている駐屯地もあり、施設、装備品、用途廃止装備等の見学、車両装備等への体験乗車、徒歩行進訓練やレンジャー訓練、高さ15メートルのタワーから命綱を付けて飛び降りる降下訓練等の体験等が行われる。
※駐屯地名(所在地):駐(分)屯地司令名(階級)、業務隊等名(長の階級)、管理演習場等、隷属分屯地名の順に記述。
北海道[9]
5個駐屯地、5個分屯地、5個業務隊。
北海道[10]
5個駐屯地、2個分屯地、5個業務隊。
北海道[11]
9個駐屯地、2個分屯地、6個業務隊。
島松駐屯地、安平駐屯地、白老駐屯地には、北海道補給処等が駐屯地業務を行っており業務隊が編成されていない。2個の分屯地も補給処の支処が主に所在する。
北海道[12]
8個駐屯地、1個分屯地、8個業務隊。※苗穂分屯地は島松駐屯地に隷属
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