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陸上自衛隊の職種 ウィキペディアから
航空科(こうくうか、英: Aviation)は、陸上自衛隊の職種の一つ。他国軍隊における陸軍航空隊に相当する。職種標識の色は浅葱(あさぎ)。
地上部隊を支援するため各種航空機を用いてヘリ火力戦闘、航空偵察、空中機動、人員輸送などを行なう。方面航空隊に隷属する航空野整備隊にあっては航空機の整備、管制気象部隊にあっては航空機の運航を円滑に行うための航空交通管制・気象予報に関することを行う。また、災害発生時は方面通信群と連携して被災地の近傍または上空から撮影した映像を衛星回線を介して主要司令部に配信することで災害派遣部隊の迅速な編成に寄与する。
航空科における最大の部隊は陸上総隊直属の第1ヘリコプター団(木更津駐屯地)であり、次いで各方面隊に方面航空隊、各師団および旅団に直轄の飛行隊(第12旅団および第15旅団はヘリコプター隊)が置かれている。また、航空管制に関する部隊としては防衛大臣直轄の中央管制気象隊および各方面航空隊直轄の方面管制気象隊があり、方面管制気象隊は管内の航空科部隊が所在する駐(分)屯地に派遣隊を分派している。また、中央管制気象隊の気象要員の一部は自衛隊の気象業務の中枢である航空自衛隊航空気象群に「気象中枢班」を派遣している。
職種学校は三重県伊勢市に所在する陸上自衛隊航空学校で、教育研究支援部隊としては飛行教導隊がある。航空機の整備に関しては特に専門的な技術が要求されるため、後方支援体制の変革に伴う編成替えはされずに方面航空隊の指揮下で運用されている。
陸上自衛隊ではヘリコプターを主力としており職種徽章にも回転翼を配しているが、連絡偵察用に固定翼機も少数配備している。なお固定翼機の操縦教育は海上自衛隊に委託されており、小月航空基地で海上自衛隊や海上保安庁の操縦訓練生と共に教育を受ける。
航空管制については、飛行場管制・航空気象観測を主として行う。特に札幌飛行場・宇都宮飛行場・明野飛行場では進入管制区を有しており、札幌飛行場では軍民共用のため民間機に対する管制も行う。航空管制要員への教育はその特殊性から航空自衛隊第5術科学校で教育を受ける。
航空科又はこれと同種の部隊として、方面航空隊本部及び本部付隊、 方面ヘリコプター隊、対戦車ヘリコプター隊、飛行隊、旅団ヘリコプター隊、方面管制気象隊、航空野整備隊、ヘリコプター野整備隊、中央管制気象隊、特別輸送ヘリコプター隊、輸送ヘリコプター群本部及び本部付隊、 輸送航空野整備隊、輸送航空隊本部及び本部中隊、連絡偵察飛行隊、飛行教導隊が、航空科又はこれと同種の機関として、陸上自衛隊航空学校がある。
陸上自衛隊は、地上の任務部隊を支援することを目的として自前で航空部隊を編成している関係から、操縦士志望者も入隊当初は地上部隊に配属し、数年の勤務の後に志願した陸曹の中から適性のある者を「陸曹航空操縦課程(略称FEC:Flight Enlistedman Course)」に選抜するという方法をとっている。このため空地の連携が良好な操縦士を育成し、航空科の「航空至上化」を防ぐシステムになっている点が海空自衛隊とは最も異なっている。FECは海空の航空学生と比較するとエリミネート率(パイロットになれない学生の割合)が低いのが特徴であるが、近年は不適格者を学生時に排除する傾向が強くなっており、20%程度である。陸上自衛隊の任務における航空科職種の役割が限定されるため、組織内での操縦士の地位が海上・航空自衛隊に比べて相対的に低い点も特色と言える。
FECの他に、幹部自衛官が陸上自衛隊航空学校明野本校(過去には霞ヶ浦校でも実施されていた)で教育が実施されている「幹部航空操縦課程(略称POC:Pilot Officer Course)」を経て操縦士となるコースもある[1]。
2016年からは、女性の操縦士からも本人の希望と適性により攻撃型ヘリコプターの操縦教育を受けることが可能になり、翌2017年7月に初めて女性自衛官(輸送ヘリコプターの操縦経験がある42歳の3佐)が幹部戦闘操縦課程を修了して対戦車ヘリコプターの操縦資格を得た[2][3]。
航空科では、警視庁航空隊など都道府県警察航空隊のヘリコプター操縦士の養成を受託しており、派遣された警察官も共に訓練を受けている。なお陸上自衛隊は固定翼の練習機を有していないため、LR-2のパイロットは海上自衛隊の航空学生と共に山口県にある小月教育航空群で訓練を受ける。
回転翼機
固定翼機
陸上総隊直轄部隊
方面航空隊
師団・旅団直轄部隊
防衛大臣直轄部隊
防衛大臣直轄機関
第1ヘリコプター団(だいいちヘリコプターだん)は、陸上総隊直轄の航空科部隊であり、隷下には計10個飛行隊を有する航空科最大規模の部隊である。木更津駐屯地に主力が、隷下の輸送航空隊の一部の第109飛行隊が高遊原分屯地に駐屯し、機動運用部隊として日本全国を担当範囲としている。第1輸送ヘリコプター群及び輸送航空隊を中心に、VIP輸送にもあたる特別輸送ヘリコプター隊を有している。陸将補が指揮を執る。
方面航空隊(ほうめんこうくうたい)は、各方面隊直轄の航空科部隊であり、各方面隊に1個づつ置かれている。対戦車ヘリコプター隊及び方面ヘリコプター隊を主力に、支援部隊として方面管制気象隊及び方面航空野整備隊を組み入れている。方面航空隊長は1等陸佐。
方面ヘリコプター隊(ほうめんヘリコプターたい)は、陸上自衛隊の航空科部隊の一つ。方面ヘリコプター隊は、各方面航空隊の隷下にあり、多用途ヘリコプター等を装備している。2023年2月時点で5個隊が編成されている。
北部方面ヘリコプター隊(ほくぶほうめんヘリコプターたい)は、丘珠駐屯地に駐屯する多用途ヘリコプターを運用する北部方面航空隊隷下の航空科部隊である。
東北方面ヘリコプター隊(とうほくほうめんヘリコプターたい)は、霞目駐屯地に駐屯する多用途ヘリコプターを運用する東北方面航空隊隷下の航空科部隊である。
東部方面ヘリコプター隊(とうぶほうめんヘリコプターたい)は、立川駐屯地に駐屯する多用途ヘリコプターを運用する東部方面航空隊隷下の航空科部隊である。
中部方面ヘリコプター隊(ちゅうぶほうめんヘリコプターたい)は、八尾駐屯地に隊本部が駐屯する多用途ヘリコプター、輸送ヘリコプターを運用する中部方面航空隊隷下の航空科部隊である。
西部方面ヘリコプター隊(せいぶほうめんヘリコプターたい)は、目達原駐屯地に駐屯する多用途ヘリコプター、輸送ヘリコプターを運用する西部方面航空隊隷下の航空科部隊である。
詳細は、「対戦車ヘリコプター隊」を参照。
太字は、廃止部隊。
第1対戦車ヘリコプター隊(だいいちたいせんしゃヘリコプターたい)は、帯広駐屯地に駐屯する対戦車ヘリコプターを運用する北部方面航空隊隷下の航空科部隊である。
第2対戦車ヘリコプター隊(だいにたいせんしゃヘリコプターたい)は、八戸駐屯地に駐屯する対戦車ヘリコプターを運用する東北方面航空隊隷下の航空科部隊である。
第3対戦車ヘリコプター隊(だいさんたいせんしゃヘリコプターたい)は、目達原駐屯地に駐屯していた戦闘ヘリコプター、対戦車ヘリコプターを運用する西部方面航空隊隷下の航空科部隊である。2021年(令和 3年)3月17日に廃止された。
第4対戦車ヘリコプター隊(だいよんたいせんしゃヘリコプターたい)は、木更津駐屯地に駐屯する対戦車ヘリコプターを運用する東部方面航空隊隷下の航空科部隊である。
第5対戦車ヘリコプター隊(だいごたいせんしゃヘリコプターたい)は、明野駐屯地に駐屯する対戦車ヘリコプターを運用する中部方面航空隊隷下の航空科部隊である。
第1戦闘ヘリコプター隊(だいいちせんとうヘリコプターたい)は、目達原駐屯地に駐屯する対戦車ヘリコプターを運用する西部方面航空隊隷下の航空科部隊である。
独立飛行隊(どくりつひこうたい)は、第1ヘリコプター団隷下の航空科部隊。
※太字は廃止部隊。
第101飛行隊(だいいちまるいちひこうたい)は、沖縄県那覇市の航空自衛隊那覇基地(那覇飛行場)に駐屯していた陸上自衛隊第1混成団隷下の航空科部隊である。2010年(平成22年)3月25日に廃止された。
詳細は、「第101飛行隊」を参照。
第102飛行隊(だいいちまるにひこうたい、だいひゃくにひこうたい)は、木更津駐屯地に駐屯する第1ヘリコプター団隷下の航空科部隊である。
詳細は、「第102飛行隊」を参照。
第103飛行隊(木更津駐屯地)第1輸送ヘリコプター群
第104飛行隊(木更津駐屯地)第1輸送ヘリコプター群
第105飛行隊(木更津駐屯地)第1輸送ヘリコプター群
第106飛行隊(木更津駐屯地)第1輸送ヘリコプター群
第107飛行隊(木更津駐屯地)輸送航空隊
第108飛行隊(木更津駐屯地)輸送航空隊
第109飛行隊(高遊原分屯地)輸送航空隊
師団(旅団)飛行隊(しだんひこうたい・りょだんひこうたい)は、各師団・旅団隷下の航空科部隊。飛行隊長は2等陸佐。
※太字は廃止部隊。
第1飛行隊(だいいちひこうたい)は、立川駐屯地に駐屯する多用途ヘリコプターを運用する陸上自衛隊第1師団隷下の航空科部隊である。
詳細は、「第1飛行隊」を参照。
第2飛行隊(だいにひこうたい)は、旭川駐屯地に駐屯する多用途ヘリコプターを運用する陸上自衛隊第2師団隷下の航空科部隊である。
詳細は、「第2飛行隊」を参照。
第3飛行隊(だいさんひこうたい)は、八尾駐屯地に駐屯する多用途ヘリコプターを運用する陸上自衛隊第3師団隷下の航空科部隊である。
詳細は、「第3飛行隊」を参照。
第4飛行隊(だいよんひこうたい)は、目達原駐屯地に駐屯する多用途ヘリコプターを運用する陸上自衛隊第4師団隷下の航空科部隊である。
詳細は、「第4飛行隊」を参照。
第5飛行隊(だいごひこうたい)は、帯広駐屯地に駐屯する多用途ヘリコプターを運用する陸上自衛隊第5旅団隷下の航空科部隊である。
第6飛行隊(だいろくひこうたい)は、帯広駐屯地に駐屯する多用途ヘリコプターを運用する陸上自衛隊第6旅団隷下の航空科部隊である。
第7飛行隊(だいななひこうたい)は、丘珠駐屯地に駐屯する多用途ヘリコプターを運用する陸上自衛隊第7師団隷下の航空科部隊である。
第8飛行隊(だいはちひこうたい)は、熊本県上益城郡益城町の高遊原分屯地に駐屯する陸上自衛隊第8師団隷下の航空科部隊である。
詳細は、「第8飛行隊」を参照。
第9飛行隊(だいきゅうひこうたい)は、八戸駐屯地に駐屯する多用途ヘリコプターを運用する陸上自衛隊第9師団隷下の航空科部隊である。
第10飛行隊(だいじゅうひこうたい)は、明野駐屯地に駐屯する多用途ヘリコプターを運用する陸上自衛隊第10師団隷下の航空科部隊である。
詳細は、「第10飛行隊」を参照。
第11飛行隊(だいじゅういちひこうたい)は、丘珠駐屯地に駐屯する多用途ヘリコプターを運用する陸上自衛隊第11旅団隷下の航空科部隊である。
詳細は、「第11飛行隊」を参照。
第12飛行隊(だいじゅうにひこうたい)は、北宇都宮駐屯地に駐屯していた陸上自衛隊第12師団隷下の航空科部隊である。
第13飛行隊(だいじゅうじゅうさんひこうたい)は、防府分屯地に駐屯する多用途ヘリコプターを運用する陸上自衛隊第13旅団隷下の航空科部隊である。
第14飛行隊(だいじゅうじゅうよんひこうたい)は、北徳島分屯地に駐屯する多用途ヘリコプターを運用する陸上自衛隊第14旅団隷下の航空科部隊である。
詳細は、「第14飛行隊」を参照。
旅団ヘリコプター隊(りょだんヘリコプターたい)は、陸上自衛隊の第12旅団、第15旅団隷下の航空科部隊。空中機動能力を強化している第12旅団及び離島配備部隊である第15旅団のみがヘリコプター隊となっている。ヘリコプター隊は2個飛行隊編制であり、1等陸佐が指揮を執る。
方面管制気象隊(ほうめんかんせいきしょうたい)は陸上自衛隊の航空科部隊の一つ。方面管制気象隊は、各飛行場における航空管制・航空気象及び航空機の運航支援と野外における飛行部隊等の支援を主任務とする。
各種通信器材、電子器材等を装備し、陸上自衛隊駐屯地内の各飛行場における飛行の統制、調整及び援助に係わる業務並びに航空気象支援業務(気象観測および気象監視、飛行隊に対するウェザーブリーフィング)や野外における飛行部隊等の支援を行う。方面管制気象隊の隊長は2陸等佐であり、同基地隊、派遣隊の隊長は3等陸佐または1陸等尉である。
航空野整備隊(こうくうやせいびたい)は陸上自衛隊の航空科部隊の一つ。方面航空野整備隊は方面隊に展開している飛行部隊および、各方面隊が保有する航空機等の航空野整備および航空補給を担任する専門部隊で、高度の技術をもって航空器材や航空機搭載の通信電子器材の整備・補給・回収等を行う。
第1ヘリコプター野整備隊(だいいちヘリコプターやせいびたい)は、第1ヘリコプター団隷下の航空科部隊。第1ヘリコプター団の保有する航空機等の航空野整備および航空補給を行う。
中央管制気象隊(ちゅうおうかんせいきしょうたい)は、東京都新宿区の市ヶ谷駐屯地に駐屯する、陸上自衛隊の防衛大臣直轄部隊である。
詳細は「陸上自衛隊中央管制気象隊」を参照。
特別輸送ヘリコプター隊(とくべつゆそうヘリコプターたい)は、木更津駐屯地に駐屯する第1ヘリコプター団隷下の航空科部隊である。
詳細は「特別輸送ヘリコプター隊」を参照。
第1輸送ヘリコプター群(だいいちゆそうヘリコプターぐん)は、第1ヘリコプター団隷下の航空科部隊。
詳細は「第1輸送ヘリコプター群」を参照。
輸送航空野整備隊(ゆそうこうくうやせいびたい)は第1ヘリコプター団輸送航空隊隷下の航空科部隊。保有する航空機等の航空野整備および航空補給を行う。
輸送航空隊(ゆそうこうくうたい)は、千葉県木更津市の木更津駐屯地に駐屯する、陸上自衛隊第1ヘリコプター団隷下の航空科部隊である。
詳細は「輸送航空隊」を参照。
連絡偵察飛行隊(れんらくていさつひこうたい)は、第1ヘリコプター団隷下の航空科部隊。
飛行教導隊(ひこうきょうどうたい)は、三重県伊勢市の陸上自衛隊明野駐屯地に駐屯する、陸上自衛隊航空学校隷下の教育支援部隊である。
詳細は「飛行教導隊」を参照。
陸上自衛隊航空学校(りくじょうじえいたいこうくうがっこう、JGSDF Aviation School)は、三重県伊勢市小俣町明野の明野駐屯地に所在する陸上自衛隊防衛大臣直轄機関のひとつ。
詳細は「陸上自衛隊航空学校」を参照。
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