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兵庫県の市 ウィキペディアから
尼崎市(あまがさきし)は、兵庫県の南東部に位置する市。中核市[注釈 1]および中枢中核都市に指定されている。1916年(大正5年)に市制施行。
兵庫県の南東端に位置する市。大阪府の自治体を除いて大阪市に隣接する唯一の自治体で、市外局番も大阪市と同じ「06」(大阪MA)である(後述)。
尼崎藩の城下町を中心に、阪神工業地帯の工業都市へと発展した。神戸市・姫路市・西宮市に次いで兵庫県下第4位の規模の人口を有しており、人口密度では県内市区町で最も高い。
臨海部および名神高速道路・JR西日本福知山線(JR宝塚線)沿いの工業地域、阪神尼崎駅・JR尼崎駅周辺の商業地域の他は住宅地が大半を占め、大阪のベッドタウンと工業都市の両面の性格をあわせ持つ。
近年は、JRや阪神沿線を中心に、高層マンション群やショッピングセンター・巨大物流施設がみられるようになった。JR尼崎駅北側では大規模な再開発地域(アミング潮江、あまがさき緑遊新都心)が整備されている。また昭和初期以降、工場の地下水汲み上げによる地盤沈下により市域の3分の1が海抜ゼロメートル地帯となり、高潮による浸水被害に見舞われたが、その対策で1954年に建設された防潮堤は、東日本大震災後から補強工事が行われている。
「尼崎」は、漁業など海に関わる仕事に就く人々を表す「尼」に地形を表す「崎」を合わせた地名で、元は現在の阪神大物駅以南周辺の臨海部を指していた[1]。俗に「
南は大阪湾に面し、西は西宮市、北は伊丹市、北東は豊中市、東は大阪市(西淀川区及び淀川区)海上を隔てて此花区に接しており、市域は大阪平野に含まれる。市南部臨海エリアには、地面が海水面よりも低い海抜0メートル地帯があり、度々洪水に悩まされてきた。
尼崎は、猪名川・神崎川の河口に12世紀ごろ形成された砂州が陸地化した土地である(地名にも「
室町時代、川辺郡南部の尼崎を拠点として西摂津を支配した赤松氏が配下とした武士団を「難波七姓」と称した。7家の数え方は文献により若干相違があるが、概ね小寺氏、広岡氏、奥島氏、高岡氏、加島氏、木島氏、大江氏、上村氏、行本氏等のことをいう。江戸時代を通して同地域に勢力を保つ尼崎市の旧家である。
かつては神戸市に次いで県下2位であったが、人口減により姫路市および西宮市に抜かれ、現在は4位である。ただし人口密度は兵庫県内の市町村で最も高く、日本国内においても30位以内に入る。
1971年の55万4155人から減少を続けていたが、徐々に減少傾向は緩やかになり、2008年は37年ぶりに人口増加を記録した。
尼崎市と全国の年齢別人口分布(2005年) | 尼崎市の年齢・男女別人口分布(2005年) | |||||||||||||||||||||||||||||||||
■紫色 ― 尼崎市
■緑色 ― 日本全国 | ■青色 ― 男性 ■赤色 ― 女性 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
尼崎市(に相当する地域)の人口の推移
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総務省統計局 国勢調査より |
市内は旧町村域をもとにした6地区に分けられている。御園町(中央地区)と御園(園田地区)という似た地名がある。
おおむね旧尼崎町域。かつては市役所があり、本庁地区とも称した。阪神尼崎駅を中心とした南中部。
おおむね旧小田村域。JR尼崎駅を中心とした南東部。
おおむね旧大庄村域。武庫川駅などを含む南西部。
おおむね旧立花村域。立花駅を中心とした北中部。現在の市役所は立花地区に所在。阪急塚口駅は北側が含まれる(南側は園田地区)。
おおむね旧武庫村域。武庫之荘駅を中心とした北西部。
おおむね旧園田村域。園田駅から塚口駅にかけて広がる北東部。
市制施行の翌年である1917年(大正6年)4月26日の市会において、尼崎藩の槍印を基に工業都市の「工」と片仮名の「アマ」を組み合わせた初代の市章が制定された[15]。隣接する大阪市の市章(澪標)とデザイン面の類似性が指摘されることがある。1936年(昭和11年)に小田村と新設合併した際、小田村の「小」を現すため左右に2つの点が加えられて現在の形となった。市旗は白地に市章をマルーンで染め抜いたものが使用されている。
初代の市歌は1926年(大正15年)に歌詞を一般公募して制定された[16]。作詞・福武周夫、作曲・小部卯八。
現行の2代目市歌は小田村との新設合併後、1940年(昭和15年)の皇紀2600年記念事業の一環で作詞を土井晩翠、作曲を東京音楽学校に依頼して制定され、タイヘイレコードがSP盤(M1730)を製造した[17]。大時代的な歌詞だが、戦後もしばらく歌詞の一部を省略して小学校の運動会などの行事において演奏されていた[16]。
この他、1969年(昭和44年)に市政広報番組の主題歌として作成された「きょうちくとうの願い」、1986年(昭和61年)に市制70周年を記念して作成された「ああ尼崎市民家族」[18]、地元の女性デュオあまゆーずが制作した2015年(平成27年)発表の市制100周年記念PRソング「あまがすき」[19] などの愛唱歌が存在する。
市の木はハナミズキ、市の花はキョウチクトウ、市の草花はベゴニアが選定されている。市の花は1952年(昭和27年)選定で、市の木と草花は1991年(平成3年)に選定された[20]。市の鳥は選定されていない。
マスコットキャラクター(ゆるキャラ)は「あまっこ」ちゃんであり、尼崎市交通局のマスコットとして2003年に登場したものを廃止後の2016年に「尼崎市シティプロモーション推進キャラクター」の肩書きかつ本庁所属[注釈 2]としたうえでそのまま制定したものである。
かつては阪神工業地帯の中核を担う工業都市として「工都」と号し、立ち並ぶ煙突が町の誇りとされる一方、公害の都市として有名であった。近年では、工業用排水・生活排水による汚染が著しかった市の中心部を流れる庄下川が、魚の住める状態にまで改善されたとして、2000年度の建設大臣賞「蘇る水100選」を受賞するなど、美化事業に力を入れている。
2010年まで行われた、NGO主催の「持続可能な地域社会をつくる日本の環境首都コンテスト」には2001年開催の第1回より毎年参加しており、特に2004年開催の第4回においては総合で4位、人口規模別で1位、地球温暖化防止部門の人口規模別で1位[21] となるなど、総合ランキングでトップ10の常連として名を連ねた。2013年には国により環境モデル都市に選定されている。
また、尼崎市では1986年(昭和61年)から、景観に対する優れた取り組みを表彰する「まちかどチャーミング賞」を実施している。歴史的建造物の保存のみならず、新規建造物も対象としており、2021年度(令和3年度)まで計10回行われた[22]。
尼崎市内の国道43号以南の約1,000ha を対象区域とし、21世紀を時間軸とした長期的な取り組みで行なう一大プロジェクトとして、兵庫県は、水と緑豊かな自然環境の創出による環境共生型のまちづくりをめざして、平成14年3月に「尼崎21世紀の森」構想を策定した。市民をはじめあらゆる主体の参画と協働により尼崎21世紀の森づくりを進めるために、2002年(平成14年)8月に「尼崎21世紀の森づくり協議会」が設置されている[23] ほか、パイロットプロジェクトとして尼崎の森中央緑地(わんがんの森)の整備が進められている。また、構想区域内にある尼崎運河は、国土交通省が支援する「運河の魅力再発見プロジェクト」の第1次認定を受けている。
尼崎市は2007年(平成19年)5月21日、正式に中核市への移行を表明し、同5月23日に白井市長を本部長とする第1回中核市推進本部会議を開催した。
過去、人口要件は満たしていたものの、市域面積が約50km2と要件(人口50万人に達していない都市は面積100km2以上)に満たなかったが、第28次地方制度調査会で「面積要件については廃止することが適当」とされ、2006年(平成18年)6月7日に地方自治法の改正・施行により正式に中核市都市候補となった。のちに2008年(平成20年)10月16日付けの官報により政令の公布がなされ、2009年(平成21年)4月1日に中核市となった。
隣接する西宮市は2008年4月1日に中核市に移行しており、兵庫県下では姫路市と合わせ3市が中核市である。中核市への移行で県から多くの権限が委譲されたことに伴い、2014年(平成26年)には兵庫県の出先機関である阪神南県民局(尼崎市・西宮市・芦屋市を管轄)が規模を縮小した阪神南県民センターに改組された。
市内に指定暴力団の本部事務所などがあることから、2019年、市は独自に「市暴力団排除活動支援基金条例」を制定。同年、暴力団追放兵庫県民センターが、暴力団事務所の使用差し止め請求を神戸地方裁判所に行った際に、条例による基金から一部援助を行った[24]。
2021年に職員と市民向けに啓発用の冊子「性の多様性への理解を深めるサポートブック」を作成し、カミングアウトしても安心できる職場環境づくりを促した[25]。しかし、市保健所の幹部が保健所に所属するバイセクシュアル(両性愛者)の職員に対し、「不快に思う市民がいる」との市民団体の指摘を理由に「性的指向を市民に明かすことは公務員として不適切」と指導し、結果その職員は退職に追い込まれていたことが2019年にあったと2021年12月に報じられた[25]。
松本眞(2022年12月2日 - 現任(現在1期目))
尼崎市消防局が管理する。中・東・西・北の4消防署と、中署に三和分署、東署に常光寺出張所、西署に武庫分署と大庄出張所、北署に園田分署と塚口出張所がある。
尼崎市公営企業局が管理する。市役所近くに別の庁舎を設けている。
尼崎市経済環境局環境部の管理で、市湾岸部に2つの清掃工場(クリーンセンター)を設置し、処理を行っている。
2002年より家庭系ごみでは指定袋制を採用している。指定ゴミ袋制度の4つの根拠は次のようなものである。
ゴムや皮革類・プラスチック類を含む「燃やすごみ」、主に食品系の缶を含む「びん・缶・ペットボトル」、「紙類・衣類」、小型家電・刃物類・ガラス類・スプレー缶などを含む「金属製小型ごみ」、溝の泥、
市内は鉄道網・道路網ともに充実しており、港湾も有するほか、近隣には空港も立地している。
阪神バス尼崎市内線・尼崎交通事業振興・伊丹市営バスは乗降方式が「前乗り後降り・料金先払い」[注釈 8]、阪急バス・阪神バス(尼崎市内線を除く阪神線)は「後乗り前降り・後払い」である。市内の停留所は同じ箇所でも事業者で異なる場合も見られたが、2009年(平成21年)に一部停留所の名称統一を行うなど改善を行った。
隣接する伊丹市・豊中市は大阪国際空港を擁する。尼崎市は空港地元自治体連合の大阪国際空港周辺都市対策協議会(10市協)の一員である。
ただし、市内からの交通アクセスは、阪急伊丹線やJR宝塚線で阪急伊丹駅・JR伊丹駅まで移動して空港行の伊丹市営バスに乗車するか、阪急電車で大阪市内の十三を経て蛍池まで行き大阪モノレールで空港に入る大回りを強いられるなど、全般に不便である。一時期、JR尼崎・阪神尼崎と空港を結ぶリムジンバスもあったが廃止された。リムジンバス利用の場合は、甲子園駅・西宮北口駅(いずれも西宮市)または大阪駅(梅田)まで出る必要がある。
なお、関西国際空港へはJR尼崎駅・阪神尼崎駅から直通のリムジンバスがある。
尼崎市は、神戸ナンバー(兵庫運輸支局)を割り当てられている。
尼崎市に本社を置く企業
尼崎市に事業所を置く企業
尼崎市に縁のある企業
外郭団体など
2004年(平成16年)に尼崎計算教育特区(そろばん特区)の認定を受けた。1953年(昭和28年)から2007年(平成19年)まで公立高校入試において総合選抜を実施。
伊丹市の兵庫県立阪神昆陽高等学校はバスでのアクセスは本市側の方が容易となっている。
伊丹市の兵庫県立阪神昆陽特別支援学校はバスでのアクセスは本市側の方が容易となっている。
兵庫県に属するが、市全域が大阪市、豊中市、吹田市、守口市及び東大阪市(旧布施市域のみ)、門真市(一部地域除く)などと同じ、市外局番「06」になっていて、通話料金も大阪府扱いである。ただし、西日本電信電話(NTT西日本)の事業区域では兵庫県扱いになっている。この理由は、大阪市との経済的な結びつきが強い尼崎市が、1954年(昭和29年)に市外局番が適用された際に、尼崎市も大阪市内と同じ通話料金で利用できるようにとの配慮で、尼崎市が日本電信電話公社に、工事費の一部として約2億円の電信電話債券を引き受け、大阪市と同じ市外局番になったという経緯がある。当時は市外局番が同じ場所へ通話をする際の料金(市内通話)が、市外局番が違う場所の半分で済んでいたことから、尼崎市は大きな恩恵を受けた[44]。また、かつて大阪市までしか通っていなかった電話を、どうしても尼崎まで通してほしいということで、有限責任尼崎紡績会社(現在のユニチカ)が1890年に自費で尼崎市まで電話線をひいたという逸話もある[45]。
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