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JR東日本等が導入している共通乗車カード・電子マネー ウィキペディアから
Suica(スイカ)は、東日本旅客鉄道(JR東日本)・東京モノレール・東京臨海高速鉄道が発行するサイバネ規格準拠のICカード乗車券。後者はそれぞれ「モノレールSuica」「りんかいSuica」の名称で発行。
Suica | |
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通称 | スイカ |
使用エリア |
首都圏エリア 仙台エリア 新潟エリア 盛岡エリア 青森エリア 秋田エリア 札幌エリア(SAPICAエリア) 沖縄エリア その他相互・片利用エリア |
導入 | 2001年 |
規格 | |
運用 | 東日本旅客鉄道(JR東日本) |
通貨 | 日本円 (最高チャージ金額20,000円) |
プリペイド機能 | あり |
有効期限 | 最終利用日から10年 |
自動チャージ | あり |
取扱事業者 | |
販売場所 | |
追加機能 |
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ウェブサイト | https://www.jreast.co.jp/suica/ |
2001年に導入開始。ソニーの非接触型ICカードFeliCaの技術を用いた乗車カード・電子マネーで、プリペイド方式の乗車券の機能をはじめ、定期券、駅売店等全国の交通系ICカード対応商店での支払いに使えるSuica電子マネーの機能を併せ持つ。JR東日本の規約[1]においては「ICチップを内蔵するカード等に記録された金銭的価値等」と定義されている[PR 1]。ソニーの非接触型ICカードFeliCaの技術を用いた交通系ICカードの先駆けであり、その後ICOCA(JR西日本)やPASMO(関東私鉄)といったJR他社や大手私鉄を中心として全国でFelicaの技術を用いた交通系ICカードが拡大導入されていった。2013年には交通系ICカード全国相互利用サービスを開始し、定期券を除く乗車券機能や電子マネーが全国の対応する交通機関・店舗で利用可能となった。
かつてJRグループでは、自動券売機で乗車券などの購入に使用できる磁気式プリペイドカードのオレンジカードを発売していた。またJR東日本ではオレンジカードに加え、カードを直接自動改札機に投入して運賃精算に使用できる磁気式プリペイド乗車カード(ストアードフェアシステム)のイオカードのサービスを1991年から首都圏で実施していたが、これに替わるシステムとして2001年からJR東日本管内のエリアで順次導入されたものである。2021年時点での発行枚数は約8,700万枚にのぼる[2]。2006年にはモバイルSuicaを導入し、2016年にはiOS(iPhone)向けのApple Pay、2018年にはAndroid向けのGoogle Payにも対応した(モバイルSuica発行枚数は2023年時点で2,000万枚にもなる)。2024年6月時点での発行枚数は約1億557万枚にも及び[3]、交通系ICカードの中では最多である[4]。
「Suica」の名称はJR東日本の登録商標(登録番号第4430532号)。名称の「Suica」は「Super Urban Intelligent CArd(スーパー・アーバン・インテリジェント・カード)」に由来し[5][PR 2](頭字語)、同時に「スイスイ行けるICカード」の意味も持たせている[5][PR 3]。
また、親しみやすくするため果実のスイカと語呂合わせし(バクロニム)、カード表面の緑色のデザインもスイカ風としている。ロゴマークも、JR東日本のイメージカラーである緑と線路(旧国鉄路線を表す地図記号)でスイカを表現している。ロゴマークでは「ic」の部分が反転表記されており、ICカードであることをアピールしている。
イメージキャラクターはペンギンで、イラストレーターのさかざきちはるがデザインした。
Suicaカードの裏面右下には「JE」で始まる17桁の英数字が記載されているが、この「JE」はJR東日本の英語表記「JR East」から採られた。モバイルSuica(詳細は後述)にも、この「JE」で始まる個別の番号が振り分けられている。
技術的には、ソニーが開発した非接触型ICカード技術である「FeliCa」を採用している。非接触型のため、パスケースや鞄などから取り出す必要はなく、パスケースごとタッチしても利用できる。なお、読み取り可能範囲が半径10cm程度あるので空中を通しても利用可能な場合があるが、Suicaと改札機との通信時間を確保するため、Suicaやパスケースなどを読み取り機に(かざすのではなく)タッチさせて改札機を通過する使い方、すなわち「タッチ&ゴー」をJR東日本では推奨している。カードを機械に反応させる方法が人によって様々であることは実験段階から判明していたため、その統一を目指す方法として導入当初は「タッチ&ゴー」のキャッチフレーズを宣伝で使用し、正しい使い方の定着を図った。
FeliCaはすべて13.56MHz帯の周波数の無線を使用して通信・発電するため、通信可能圏内にある複数のFeliCaが通信可能となる。アンチコリジョンに対応していれば複数枚のカードを重ねても干渉しないとされており、本カードは対応しているが、電子マネーカードの「Edy」(現:楽天Edy)は非対応で、本カードとEdyを重ねて使用しようとすると相互に干渉することがある。さらに、複数枚のFeliCaが読み取り機からの電波を奪い合い、通信に必要なエネルギーを供給できずにエラーを起こしてしまうことがある。また、IC運転免許証とも相互干渉を起こし、エラーとなる場合もある。
当初はJR東日本の首都圏エリアでのみ利用可能であったが、2007年3月18日から「PASMO」との相互利用が開始され、その後、利用可能区間の拡大並びに日本各地のICカードとの相互利用の開始が行われた。
2013年3月23日には全国10種類の交通系ICカードの相互利用サービスが開始され、PASMO・Kitaca・TOICA・manaca・ICOCA・PiTaPa・SUGOCA・nimoca・はやかけんとの間で相互利用が可能となった[PR 4][PR 5]。相互利用エリアは北海道から九州地方まで日本の広範囲に広がり、前掲のICカードをどれか1種類所有していれば、相互利用サービスを実施している各社局の鉄道・バスに乗車することができる(ただし相互利用カードのエリア内であってもシステムの都合上、一部利用できない鉄道・バス事業者がある[注 1])。
このうちPiTaPaを除く9種類については、電子マネー機能の相互利用サービスも行われている。なおPiTaPaは法律上クレジットカードに準ずる扱いで、加えて相互利用開始時までにシステムの改修が間に合わないため、電子マネー機能の相互利用は当分の間実施されない(詳細は後述)。
Suicaのサービスエリアについては下記の利用可能エリアを参照。発行3社のSuicaは基本的な機能に変わりはないが、カード・定期券の発売や払い戻しはそれぞれの発行事業者でのみ行う。発行をしない発売事業者については自社でカード・Suica定期券の発売はせず、一部でJR東日本発行のSuicaを発売する。紛失・盗難時の取り扱いにも制限があったり取り扱いのない場合もある。発売しない事業者では導入(チャージ等の取扱)のみ。
ストアードフェア(SF)部分はJR東日本が発行。
カードの呼称と色は発行各社によって異なる。基本的に銀色の地にSuicaのロゴが入ったデザインである。JR東日本発行のカードは黄緑色、東京臨海高速鉄道は水色、東京モノレールの旧デザインカードは橙色のアクセントが入ったカードである。
JR東日本では、2008年(平成20年)11月からペンギンの絵柄と電子マネー対応マークの位置を変更した。モノレールSuicaは2009年(平成21年)4月6日からデザインを一新し、銀地に緑の絵(擬人化したモノレール)が描かれた新デザインのSuicaカードに変更した。りんかいSuicaは2010年(平成22年)10月8日から電子マネー対応マークの位置を右上に変更し、右下にりんかるの絵柄が入ったデザインに変更した。いずれも、電子マネー対応マークの下に、緑色の丸が2個付いている。
Suicaのカードには以下の種類がある。
上記の各Suica乗車券にはリライト機能がついており、Suicaカード(無記名式)に後から個人情報を登録すればMy Suica(記名式)に、さらにMy Suicaに定期券を追加購入してSuica定期券に変更することもできる。また、Suica定期券から定期券部分を払い戻してMy Suicaに変更することも可能だが、Suica定期券やMy SuicaからSuicaカード(無記名式)に変更することはできない。
また、「こども用Suica」には有効期限があり(小学校卒業年の3月31日⇒満12歳に達する日(誕生日前日)以後の最初の3月31日まで有効)、期限が過ぎると使用できなくなる。引き続き、大人用として利用する場合は、取り扱い窓口や多機能券売機で大人用に変更する手続を行う必要がある。
Suicaカード(無記名式)は2007年(平成19年)3月17日までJR東日本ではSuicaイオカードと呼称していたが、翌18日からのサービス変更を機に発売終了となった。なお、同日まで東京モノレール・東京臨海高速鉄道が発行していたSF専用カードは、元々「モノレールSuicaカード」「りんかいSuicaカード」という名称であった。これらのカードは、識別用の切り欠きが2か所あった(当時からの定期券および現行のSuicaカードは記名式Suicaとカードを共用しているため切り欠きが1か所となっている)。
Suicaイオカードおよび2007年(平成19年)3月17日以前に発売したモノレールSuica・りんかいSuica(いずれもカード右側に切り欠きが2箇所ある)は、現在販売されている無記名式のSuicaカードとほぼ同様に利用できるが、リライト機能がないため、My SuicaやSuica定期券などの記名式カードに転用することはできない。
2007年(平成19年)3月17日以前に発行された定期券専用カード(カード右側の切り欠きが1箇所ある)は、定期券情報を消去することでMy Suicaとして使用でき、新たな定期券情報を付加することも可能である。
2003年(平成15年)以前の旧Suicaカード(定期券用・イオカード類共に)は電子マネー機能が無いため、電子マネーサービスは利用できない。このほか電子マネーシステムを使用している事業者(Suicaエリアの佐渡汽船、各ICカードエリアのタクシー事業者等)でも利用できないほか、乗車券システムを使用している事業者の一部(Suicaエリアのジェイアールバス関東等)でも利用できない場合がある。それ以外の事業者においても、機能や取扱いの一部に制限を有する場合がある。なお、2008年(平成20年)4月以降はJR駅の機器でのチャージ、履歴表示、定期券機能追加ができず、機器に挿入すると新カードへの交換を要求する画面が表示される。電子マネー非対応の旧カードに定期券機能を追加する場合は、みどりの窓口で対応可能である。
また、2008年(平成20年)以前の電子マネーマークに緑丸の記載がないカードのうち、記名式カードではSuicaインターネットサービスなどの現行サービスが利用できない。
これらの旧SuicaカードはJRの主な駅の自動券売機、多機能券売機、みどりの窓口で手数料無料で現行のカードに交換できる。
一般向けに発売されているSuicaカードのほか、以下の物も同様に利用可能である。
Suicaカードは、Suicaエリア内・新幹線停車駅の主要駅に設置されたみどりの窓口や多機能券売機、キヨスク、NewDays、一部の指定席券売機で発売されている。Suica定期券は、みどりの窓口、指定席券売機、多機能券売機で発売されている[注 6]。なお、一般向けには「購入」「発売」と表現しているが、規約上Suicaカードの「所有権」はカード発行各社に帰属しており、正確には「貸与」となる[注 7]。
新規購入時にはデポジット(預り金)500円が購入者から徴収され[注 8]、発売額のうちデポジット分を差し引いた分が、乗車券および電子マネーの充当分となる。デポジット制はカードの使い捨てを防止する観点から用いられているもので、カードを返却・払い戻した際には全額返金される(後述)。
SuicaおよびモノレールSuicaの発売額は1,000円、2,000円、3,000円、4,000円、5,000円、10,000円の6種類(デポジット500円を含む、500円を引いた額がチャージ額に入る)が設定されており、新規購入時のチャージ残額が指定可能とされている。なおりんかいSuicaの発売額は窓口では1,000円(チャージ額500円+デポジット500円)、自動定期券発売機では2,000円(チャージ額1,500円+デポジット500円)、地域連携ICカードは各カードによって発売額が異なる。
また定期券を新規購入する場合は、定期運賃とデポジットを合算した額が発売額となるが、既に所持しているSuicaに定期券機能を追加する場合は、デポジットは必要とされない。Suicaエリアからエリア外の区間にまたがる定期券の場合はSuicaではなく、通常の磁気式定期券が発行される。SuicaエリアからTOICAエリアの区間にまたがる定期券の場合はJR東日本側ではSuica定期券の発行が可能[PR 16]。
カードのチャージ(入金)は、自動券売機(緑色)・多機能券売機(黒色、設置されていない駅もある)・チャージ専用機(ピンク色、設置されていない駅もある)・自動精算機・キオスク・NewDaysや一部大手コンビニエンスストア(ファミリーマート、ミニストップ、ローソン、セブン-イレブン、スリーエフ、セイコーマート)•セブン銀行ATM(2019年6月開始)を始めとするSuicaに対応した一部店舗(→「Suicaショッピングサービス」を参照)、PASMOなど相互利用可能な他社局線の駅にある券売機や入金機などで対応している。最大20,000円までの入金に対応し、同じカードの繰り返し使用を可能としている。自動券売機での1回当たりの入金金額は500円・1,000円・2,000円・3,000円・5,000円・10,000円である。乗り越しの場合は自動精算機や改札窓口で10円単位の入金が可能である[PR 17]。なお、JR以外のPASMO事業者の券売機では、10円単位での入金ができるものもある[6]。
みどりの窓口や東京モノレールの一部の駅を除く改札口の窓口、オレンジカード、旧磁気式イオカードでの入金には非対応である。また、ビューカード以外のクレジットカードは多機能券売機(黒色)にて定期券購入時に同時に入金する場合に限り対応しており、また磁気定期券からSuica定期券への発行替え時も可能となっている。以前は西日本旅客鉄道(JR西日本)のICOCA地域内のみどりの窓口において一般クレジットカードでの入金に対応していたが、SMART ICOCAの一般クレジットカード取扱開始に伴い、2008年(平成20年)6月30日をもって取扱終了となった。
利用履歴は、センターサーバに記録されている直近100件の利用履歴と、Suicaカードに記録されている直近20件の利用履歴と3件の詳細履歴がある。このうち、センターサーバに記録されている直近100件の利用履歴は、駅の自動券売機とカード発売機で印字が可能である。この履歴は最大で100件まで何回も印字できる。ただし、センターサーバがメンテナンスなどで停止(定例メンテナンス・毎日0時50分 - 5時)していると印字することができない。なお、一部の駅ではPASMOと同様に直近20件まで印字でき、再印字も可能である。また、Suicaカードに記録されている直近20件の利用履歴も駅の自動券売機とカード発売機で表示できるほか、PASMOエリアの機器では履歴がカードに残っている間は何度でも履歴印字が可能である。ただし、利用から26週間を経過した履歴は印字されない。そのほかにも、FeliCa用リーダライタ(パソリなど)とソニーから提供されたり、または同梱・組み込み済みの専用ソフトを使用したりして読み出すこともできる。カード上の利用履歴を記憶する領域には相互認証不要でリードアクセス可能なサービスファイルがオーバーラップされており、暗号鍵なしで利用履歴の読み出しが可能であるが、ライトアクセスには相互認証が必要である。さらに、一部の有志により履歴表示用フリーソフトも開発・配布されている。
利用履歴には日付・入場駅・出場駅・残額・通番などが記録され、入・出場のほか、入金した時や電子マネーとして物品購入した時にも記録が追加される。
Suicaには、さらに3件の詳細な利用履歴が記録されており、改札通過時刻(時分まで)や金額が記録されている。これは定期券での通過情報も含まれていて、こちらも有志が作成した一部のフリーソフトを利用し読み出すことが可能である[PR 18]。
My SuicaおよびSuica定期券は氏名などの個人情報が登録されているため、取扱駅で本人確認書類を提示した上で紛失したカードのID番号を申告すると、定期券(有効な場合)と入金金額を保証して再発行される。再発行の際には手数料520円と預り金500円の合計1,020円が必要である。紛失したカードが発見された場合は、みどりの窓口に届け出た上で預り金の500円が返却される。一方、Suicaカード(無記名式)には紛失時の残高保証はない。
カードの返却・払い戻しの際には、デポジットが無手数料で返金されるほか、定期券部分の払い戻し可能額やSF部分の残額がある場合、それらの金額から払い戻し手数料として220円を差し引いた額がデポジットとあわせて返金される(10円未満は10円単位に切り上げ)。残額が220円以下の場合はデポジットのみの返金となる [PR 19]。残額が払い戻し手数料より少ないときでも(220円未満であっても)デポジットは全額返金される。返却および払い戻しは各発行会社で行う(例:モノレールSuicaをJR東日本の窓口で払い戻すことはできない)。不正乗車などの不正行為があった場合やSuicaを紛失した場合は、デポジットは返却されない。
記名式Suica・モバイルSuicaは、一定期間利用またはチャージしない場合、ロックが掛かり、残額があったとしてもそのままでは自動改札を通過できず、または電子マネーが利用できなくなる[PR 20]。「一定期間」については公表されていない。このカード一時停止は、次項のカード有効期限とは異なる。
解除方法は、次のいずれか
最後に機器などでカードを利用した日から10年間利用がない場合、失効となりカードそのものが無効となる。
失効したカードは、Suicaエリア内のJR東日本各駅のみどりの窓口において、新しいカードに交換し残額を移し替えるか、手数料を差し引いて残額とデポジットを払い戻すことができる。ただしどちらの方法でも古いカードは記念カードなどであっても回収されることになる[PR 21]。
なお、訪日観光客向けに発売する「Welcome Suica(短期用)」は、「発売から28日間有効」、「Welcome Suica(長期用)」および企業や地方自治体など法人向けに発売する「Suica Light」は、「発行日から最大6ヶ月間のレファレンスペーパーに記載の期日まで有効」と違いがあるものの、いずれのカードも残額の払いもどしは行えない[PR 14][PR 22]。
交通系ICカード全国相互利用サービスに基づくSuicaエリア外での利用は各ICカードの利用条件に従うため、ここではSuicaエリアでの利用について記す。
改札口を通る際には、カード読み取り部にSuicaを軽くタッチする。乗車駅のタッチ時に初乗り運賃相当額がチャージ(入金)されているか、または有効な定期券情報があるかを確認する。この時点でチャージ金額は引き去らない。降車駅のタッチ時に乗車した区間の運賃が全額精算される。徴収金額と残額は、その都度改札機のディスプレイに表示される。2007年3月17日までは、入場時に初乗り運賃が差し引かれ、降車時に乗車区間の運賃と初乗り運賃との差額が差し引かれるシステムを採用していたが、PASMOとの相互利用に伴い現行方法に改められた。
Suica定期券の場合は、定期区間外を利用する場合でも、Suica乗車券としての利用方法を準用する形で使用できる[注 9]。そのため、定期区間外と区間内をまたがる際の精算も、出場駅の自動改札機にタッチすることで自動的に行われる[注 10]。自動精算機におけるチャージ額を利用しての精算は、定期券情報・入場記録のないICカードに限り可能である(基本的には磁気式イオカードやオレンジカードと同様の扱いとなる)。
SuicaエリアでSuica等のICカードを利用して各鉄道路線に乗車した場合は、出場するまで出場駅が確定しないため、基本的に振替輸送を受けることができないが、Suica定期券の有効期間内で券面表示区間内での乗車に限りそれを受けることができる。ICカードで入場後、輸送混乱で出場せざるを得なくなった時は、駅係員の設定で有人改札または自動改札機で入場処理を取り消さなければならない。また、通常時には入場券のような同一駅での入・出場はできない。入・出場駅が同じの場合、実際乗車経路を申告し、相当の運賃を支払わなければならない。2021年3月13日からJR東日本の駅で入場券(「タッチでエキナカ」)としての使用を開始した[PR 23]。ただし、簡易Suica改札機(右写真)および新幹線改札口では、引き続き入場券としての使用はできない[PR 23]。
なお、事業者によっても取扱いが異なる場合がある。
主に使用可能エリアの郊外にある小さな駅では自動改札機が設置されていないことが多いが、この場合は簡易Suica改札機にタッチして入・出場する。タッチしないと入場処理が記録されたままで次回から利用できない。ただし、簡易Suica改札機が設置されている多くの駅では自動精算機が設置されていないため、チャージ金額(残高)が不足の場合は駅係員に申し出て精算する必要があるが、無人駅など一部の駅では改札外の自動券売機・簡易チャージ機(一部の駅のみ)や場合によっては駅近在の交通系IC対応コンビニエンスストアで不足分をチャージし、改めて改札機にタッチすることで精算できる。それも困難な場合、後日別の駅の有人改札で申告し精算となる。なお、有人改札や後日精算の場合は実際の乗車経路の正規運賃を現金で精算となりSF運賃やSF残額の適用はできない。
普通乗車券なら途中下車できる101km以上の利用(東京や新潟・仙台の大都市近郊区間内を除く)であっても、Suicaで入場した場合は、途中駅で下車した時点で運賃計算は打ち切りとなり、再度入場した駅から計算し直す形となる(Suica定期券等の定期券区間内を除く。区間によっては必ずしも割高になるとは限らない)。但し、首都圏エリアと新潟エリア・仙台エリアは、Suica利用区間の在来線全域が大都市近郊区間に当たる為[注 11]、Suicaではなく普通乗車券を利用したとしても原則的に途中下車出来ないことに変わりはない[注 12]。
普通乗車券にある割引制度(学生割引・ジパング倶楽部等)は事前に割引証(大人の休日倶楽部は専用クレジット決済)で割引切符を買うことで成立するので、Suicaのチャージでは割引が効かない。なお障害者割引については下車駅で申告することで対応可能[PR 24]である。
Suicaエリア内の駅から入場し、エリア外の駅にて出場(精算)する際は、駅員が利用履歴等を確認できるSuica用携帯表示器を使って入場記録を確認した上で現金で精算を行う。この場合、Suicaに出場記録を書き込めないため、出場証明書を発行してもらい、次回利用時にSuicaエリア内の駅窓口などで出場処理を行う必要がある。なお、Suicaエリア内でもシステムに対応していない一部の駅や改札口では利用できない場合がある。
また、Suicaエリア内の駅から入場し、他社線に磁気きっぷで乗り換える際には、連絡用自動改札機へ先に磁気きっぷを投入し、その後Suicaをタッチすることで連絡用自動改札機を利用できる(一部改札機を除く)。
入場駅・出場駅の両方がSuicaが使える駅であっても、エリアをまたいだ利用はできない。また、一旦Suicaエリア外を使用する場合でも「Suicaエリア内だけを通過した場合の最短経路」を利用したと見なして計算されるため、実際の乗車経路よりも割高な運賃を差し引かれる場合がある。
Suicaで入場し、東北/上越/北陸/山形新幹線を新幹線乗換改札経由で利用する場合に、運賃自動精算を行う仕組みが、2008年(平成20年)3月に導入された[PR 25]。
具体的には、Suicaで入場し、乗換駅にある新幹線乗換改札機で、新幹線で使用する乗車券を投入、次にSuicaをタッチすると、乗換駅までの運賃が自動精算される。なお、新幹線で使用する乗車券の発駅が特定都区市内(東京都区内・東京山手線内・横浜市内・仙台市内)に該当する場合は、特定都区市内との境界駅までの運賃で自動精算される。また、特定都区市内の駅からSuicaで入場し新幹線に乗り換えた場合は、新幹線乗換駅でSuicaの入場情報が自動的に取り消される(最初から新幹線の乗車券で入場したのと同じ処理がなされる)。なお、新幹線乗車券の発着駅が最初から特定都区市内にある場合は、Suicaを利用しないようアナウンスされている。
Suica定期券で定期区間内に新幹線停車駅が2駅以上含まれている場合は、その区間の新幹線を別途特急券を用意せずに利用できる(新幹線下車駅の乗り換え改札で自由席特急料金相当額がチャージ額から引き去りされる)。
多くの情報を非接触で通信可能なFeliCaの利点を活用し、JR東日本では首都圏エリア内の普通列車グリーン車自由席でSuicaを利用したグリーン車システムを導入している。これは所持しているICカードにグリーン券の情報を書き込み、カード自体をグリーン券として使用するシステムで、磁気グリーン券購入時よりも割安な「Suicaグリーン料金」で乗車できるほか、車内改札が省略されるなど、より快適にグリーン車を利用できる。
このサービスは2020年4月現在、JR東日本の東京近郊各線(湘南新宿ライン・上野東京ライン・宇都宮線・高崎線・上越線・両毛線・東海道線・伊東線・横須賀線・総武本線・成田線・内房線・外房線・常磐線)の普通列車グリーン車自由席で実施されており、Suica(モバイルSuicaはクレジットカード情報登録済みのもののみ)のほかPASMO(モバイルPASMOを除く)、TOICA、Kitacaの4種類のICカードでのみ利用可能である。その他の相互利用可能なICカードとEASYモバイルSuica・モバイルPASMOでは利用できない[PR 26][PR 27][PR 28]。
JR東日本が発行するカード型Suica(My Suica・Welcome Suica含む)・モバイルSuica(Android・iOS)及び定期券情報非搭載の地域連携ICカードでは、特別企画乗車券をSuica等に書き込んで使用することが出来る。Suicaの定期券機能を利用するもので、他社発行のSuica(りんかいSuicaなど)や有効な定期券情報のあるSuica、記念Suica、Suicaイオカードには搭載不可。またモバイルSuicaでは大人用のみ利用できる。
以下の切符が搭載可能[PR 31]。カード型ではフリー区間内駅の指定券・定期券が発行可能な券売機、モバイル型ではモバイルSuicaアプリで購入(Suicaへの書き込み)を行う。カード型では券面にIC企画乗車券の内容が印字される。ただし、Welcome Suicaは券面に印字されずレファレンスペーパーでの対応となる。
これらのIC企画乗車券でフリー区間外にまたがって利用した場合、乗車経路にかかわらず乗車駅または下車駅から最短となるフリー区間出入口駅との区間で精算される。例として、都区内パスまたは東京フリーきっぷを搭載したSuicaで利用当日に大宮駅から上野駅まで利用した場合、大宮駅から最短の出入口駅である浮間舟渡駅までの運賃がSuicaのSF残額から精算される。
通常、交通系ICカードは入場券として使用することは出来ない(券売機で入場券を購入する必要がある)が、JR東日本のSuicaエリアのうち、自動改札機を有する在来線駅では、同一駅の自動改札機で入場後2時間以内に出場した場合、当該駅の入場券相当額を差し引いて出場出来るIC入場サービス「タッチでエキナカ」を行っている。
利用に際しては、以下の条件がある[PR 32]。
Suicaエリアのバスはジェイアールバス関東とジェイアールバス東北の一部路線のみである。
運賃前払い方式の区間では、乗車時に乗車口のカードリーダーにSuicaを軽くタッチするとチャージ金額から運賃が引き去られ、精算が完了する。降車時にはカードリーダーにSuicaをタッチする必要はない。運賃後払い方式の区間では、乗車口のカードリーダーにSuicaを軽くタッチする。初乗り運賃相当額がチャージ(入金)されているか、または有効な定期券情報があるかを確認する。この時点でチャージ金額は引き去らない。降車口のタッチ時に乗車した区間の運賃が全額精算される。いずれの場合も支払金額と残額が、その都度運賃精算機のディスプレイに表示される。
また、Suicaには、PASMOエリアのバス定期券機能やバスIC一日乗車券の情報を搭載することもできる。これらの扱いについての詳細はPASMO#バス・路面電車での利用を参照。
SAPICAとの共通利用に当たってはSAPICAエリアが「Suica札幌エリア」として設定されている[PR 33]が、本項では割愛する(SAPICA#利用可能な事業者・路線参照)。
「首都圏エリア」「仙台エリア」「新潟エリア」「盛岡エリア」「青森エリア」「秋田エリア」の6エリアに分けられる。原則としてエリア内完結の乗車(事業者間を跨ぐ利用を含む)のみ利用可能[PR 34]。それぞれ中心駅(東京駅・仙台駅・新潟駅・盛岡駅・青森駅・秋田駅)からおおむね 100 – 200 km 程度の範囲に設定されている。この他、「沖縄エリア」(沖縄都市モノレール)、「札幌エリア」(SAPICAと並行導入)がある。
このエリアのJR東日本線はおおむね東京近郊区間と一致する[PR 37]。「関東地方と周辺県の1都9県にわたる。ただし、JR東日本の烏山線、久留里線では利用できない。
このエリアのJR東日本線はおおむね仙台近郊区間に一致するが[PR 39]、エリアの縁部では利用可能駅が絞られている。宮城県、山形県、福島県の3県にわたる。
首都圏・仙台・新潟エリアとは異なり大都市近郊区間には指定されていない[PR 42]。全て青森県内。
首都圏・仙台・新潟エリアとは異なり大都市近郊区間には指定されていない[PR 43]。全て秋田県内。
出張や観光などで来訪するSuica所持者向けサービスの色彩が強く、チャージやSF乗車は可能であるもののSuica定期券を発売しないなどサービスの制限がある。全て沖縄県の沖縄本島内。
ジェイアールバス関東の以下の高速路線・一般路線にSF残額で乗車可能。高速路線は共同運行他社便でも利用可(一部の臨時便、みと号の茨城交通運行便、新宿 - 本庄・伊勢崎線の群馬中央バス運行委託便を除く)
Suicaと以下のカードを発行する事業者のエリアで相互利用・片利用が可能になっている。また、各ICカードと完全互換仕様で別名で発行されるICカード(例:nimocaに対するめじろんnimoca、でんでんnimoca、ICAS nimoca)も利用可能である(詳細は各ICカードの頁を参照)。ただし、一部事業者が発行している特割用カードは各社とも相互利用の対象外となっているほか、それ以外にも取扱いに制限がある[注 13]。
カード | 発行者 | 利用 可能 範囲 |
乗車運賃払い 相互利用開始 |
電子マネー 相互利用開始 |
備考・典拠 |
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PASMO | パスモ加盟各社局 | ◎ | 2007年(平成19年)3月18日 | 2007年(平成19年)3月18日 | |
Kitaca | JR北海道 | ◎ | 2009年(平成21年)3月14日 | 2009年(平成21年)3月14日 | |
TOICA | JR東海 | ◎ | 2008年(平成20年)3月29日 | 2010年(平成22年)3月13日 | [備考:1][PR 49] |
ICOCA | JR西日本 | ◎ | 2004年(平成16年)8月1日 | 2008年(平成20年)3月18日 | [8] |
SUGOCA | JR九州 | ◎ | 2010年(平成22年)3月13日 | 2010年(平成22年)3月13日 | [PR 50][PR 51] |
nimoca[注 1] | ニモカ加盟各社 | ◎ | 2010年(平成22年)3月13日 | 2010年(平成22年)3月13日 | [PR 50][PR 51] |
はやかけん[注 1] | 福岡市交通局 | ◎ | 2010年(平成22年)3月13日 | 2010年(平成22年)3月13日 | [PR 50][PR 51] |
PiTaPa | スルッとKANSAI加盟各社局 | ○ | 2013年(平成25年)3月23日 | — | [備考:2][PR 4][PR 52] |
manaca[注 1] | 名古屋交通開発機構 エムアイシー加盟各社局 | ◎ | 2013年(平成25年)3月23日 | 2013年(平成25年)3月23日 | [PR 4][PR 53] |
りゅーと | 新潟交通 | △ | 2013年(平成25年)3月23日 | — | [備考:3] |
LuLuCa | 静岡鉄道 | △ | 2013年(平成25年)3月23日 | — | [備考:4] |
SAPICA | 札幌総合情報センター加盟各社局 | △ | 2013年(平成25年)6月22日 | — | [備考:5] |
熊本地域振興ICカード | 肥銀コンピュータサービス加盟各社 | × | 2016年(平成28年)3月23日 | — | [備考:6][PR 54][備考:10] |
icsca[注 1] | 仙台市交通局 | △ | 2016年(平成28年)3月26日 | — | [備考:7][PR 55] |
emica | 三重交通 | △ | 2016年(平成28年)4月1日 | — | [備考8][PR 56] |
IruCa | 高松琴平電気鉄道 | △ | 2018年(平成30年)3月3日 | — | [備考9][PR 57] |
PASPY | 公益社団法人広島県バス協会 | △ | 2018年(平成30年)3月17日 | — | [備考9][PR 58] |
エヌタスTカード | 株式会社エヌタス | △ | 2020年(令和2年)2月16日 | — | [備考6][PR 59] |
地域の事業者の場合、地域独自サービスと全国の相互利用を両立させることは導入費用や運用面(独自サービスの改廃の必要など)の問題があり、上記のように相互利用に制限が多かった。このため、地域のバス事業者が運行するバスの定期券や各種割引などの地域独自サービスの機能に加えて、Suica エリアおよび Suica と相互利用を行っているエリアで利用可能な乗車券や電子マネーなどのSuica サービスが1枚で利用可能な 2in1 カードとしての地域連携ICカードが開発された。Suica カードとして完全な機能があるため、Suicaとして上記の相互利用が可能。2021年3月より、栃木県で「totra」、岩手県で「Iwate Green Pass」がそれぞれサービスを開始し、2022年2月から5月にかけて、さらに関東・東北地方の5県で新たに9種類の地域連携ICカードのサービスが開始される[PR 65]。
カード | 発行者 | 相互利用開始 | 備考・典拠 |
---|---|---|---|
AOPASS(アオパス) | 青森市企業局交通部、青森市 | 2022年(令和4年)3月5日 | |
ジェイアールバス東北 | 2022年(令和4年)3月12日 | ||
MegoICa(メゴイカ) | 弘南バス | 2023年(令和5年)2月25日 | |
Iwate Green Pass(イワテグリーンパス) | 岩手県交通 | 2021年(令和3年)3月27日 | |
ハチカ | 八戸市交通部、岩手県北自動車 | 2022年(令和4年)2月26日 | |
Towada SkyBlue Pass(トワダスカイブルーパス) | 十和田観光電鉄 | 2022年(令和4年)4月29日 | [備考:11] |
iGUCA(イグカ) | 岩手県北自動車 | 2022年(令和4年)2月19日 | |
ジェイアールバス東北 | 2022年(令和4年)3月12日 | ||
odeca(オデカ) | 東日本旅客鉄道 | 2023年(令和5年)7月1日 | [備考:12] |
AkiCA(アキカ) | 秋田中央交通、秋田市 | 2022年(令和4年)3月26日 | |
Shuhoku Orange Pass(シュウホク オレンジパス) | 秋北バス | 2022年(令和4年)3月12日 | |
yamako cherica(ヤマコウ チェリカ) | 山交バス、山交ハイヤー、米沢市 | 2022年(令和4年)5月14日 | |
shoko cherica(ショウコウ チェリカ) | 庄内交通 | 2022年(令和4年)5月14日 | |
LOCOCA(ロコカ) | 新常磐交通、ジェイアールバス関東 | 2024年(令和6年)5月18日 | |
nolbé(ノルべ) | 上信電鉄、群馬中央バス、日本中央バス、日本中央交通、群馬バス、矢島タクシー、永井運輸 | 2022年(令和4年)3月12日 | |
totra(トトラ) | 関東自動車、ジェイアールバス関東 | 2021年(令和3年)3月21日 | |
宇都宮ライトレール | 2023年(令和5年)8月26日 |
Suicaを電子マネーとして利用するサービスは、2003年(平成15年)11月よりVIEW Suica会員限定でSuica電子マネーモニターを実施した結果、これが好評だったため、翌2004年(平成16年)3月22日より正式にSuicaショッピングサービス(後に、Suica電子マネーに改称)としてスタートした[10]。この電子マネーサービスについても、2013年(平成25年)3月23日の交通系ICカード全国相互利用サービス開始に伴い、PiTaPaを除く全国9種類のICカードが利用できる。
JRバスグループをはじめとする高速バスチケット予約サービスのWebサイト「高速バスネット」では2010年(平成22年)11月24日から、チケット購入にSuicaネット決済が利用できるシステムを、当時取り扱っていた120路線のうち90路線を皮切りにサービスを開始した[PR 66]。
決済には、後述のSuicaインターネットサービスもしくはモバイルSuicaが利用できる。
なお、この事前予約制高速バスの利用方法は電子マネーによるネット決済で予め乗車券を購入するものであり、バス車内での精算は利用できない。ただし一部の路線・便では事前予約制の指定席と、当日精算の自由席の2種類の座席を設置している場合があり、後者では路線バスの細項で前述の通り、ICカードが利用できる場合がある[11]。
本カードの機能を搭載したクレジット機能付きのカードには、VIEWカードの機能にSuica定期券の機能を追加した標準のVIEW Suicaを筆頭に、駅ビル・旅行商品・航空会社などのポイント・会員管理機能とSuicaイオカードの機能を統合したダブルフェイスカード、銀行キャッシュカードとビューカード機能、Suicaイオカードを一体化したジョイントカードがある。
VIEW Suicaカードでは500円の預かり金(デポジット)は不要である。チャージ(入金)は現金のほか、クレジットカード機能を用いて現金を使わずにチャージすることも可能で、2006年(平成18年)10月1日からは自動改札機を通過する時に自動入金される「オートチャージ」サービスも開始されている。2009年(平成21年)7月27日からはインターネットに接続されたパソコンからPaSoRiを用いてチャージできる「Suicaインターネットサービス」を開始した。
JR東日本では多様な情報を搭載できるICカードの特性を活用し、身分証明書(IDカード)にSuica機能を付加した学生証・社員証のサービスを行っている。
通常のSuicaと同様に乗車券や電子マネー、定期券として利用できるだけでなく、学校では証明書発行認証や出欠席確認、図書館システム等、企業ではビルの入退館管理、勤務実績管理等、法人ごとの独自機能を搭載することができ、電子マネーシステムによる校内・社内の物販や飲食の決済などにも活用することができる。またIDカードの管理を一括して外部へ委託することで、法人側はコスト削減などのメリットを得ることができる。
JR東日本はまず自社の本社入館証としてSuicaの実証試験を実施した上で、2005年(平成17年)11月7日、三菱電機を皮切りにSuica付社員証の提供を開始した。これは同社の本社移転に合わせて導入したもので、同社が入居する東京ビルディングの入退館管理システムに対応している。またカードフェイスには顔写真もプリントされているが、個人用に顔写真を印刷したSuicaを発行するのはこれが初めてであった。
また明治大学では2008年(平成20年)11月から、Suica付学生証の発行を開始した。学生証のサービスはその後も東京造形大学などで順次開始されている。
一方、東急電鉄ではこのサービスと同様の「PASMO機能付ICカード」のサービスを2010年(平成22年)3月から開始し、さらに2011年(平成23年)3月からはSuica付学生証・社員証とPASMO付学生証・社員証の相互提供サービスが開始され、ひとつの法人でSuica付かPASMO付のどちらかを学生・社員が自由に選択できるようになるなど、利便性が高まっている[PR 67]。
ゆうちょ銀行では2009年(平成21年)4月20日から、キャッシュカードにSuica機能を搭載した「ゆうちょICキャッシュカードSuica」を発行している[PR 68]。
クレジット機能のないカード型Suicaとしては初の採用例で、新規入手時のデポジットは必要ない。2009年(平成21年)開始時、新規もしくは磁気カード(日本郵政公社名以前に発行されたカード)からの変更の場合、手数料は無料だが、既に使用しているICキャッシュカード(日本郵政公社時代のカードを含む)から切り替える場合は手数料が1,030円(2014年4月現在)必要となっている。またキャッシュカードに搭載されているSuica機能はMy Suicaと同じ扱いとなるため、紛失時には再発行が可能である。届け出は、Suica対応駅のみどりの窓口とゆうちょ銀行の双方に行う必要がある(後者の書類提出は、郵便局の貯金窓口でも対応可能)。新カードは、みどりの窓口への紛失届出時点での残高がチャージされた状態で届けられる。
通常のSuicaと同様、現金をチャージすれば乗車券や電子マネーとして使用できるが、定期券情報は搭載できない。またキャッシュカードの残高からSuicaへの銀行チャージはできない。
当初、Suica付キャッシュカードの申し込みを受付できるのはSuicaエリア内のゆうちょ銀行および郵便局の貯金窓口に限られていたが、2011年(平成23年)1月4日からJR東日本の営業エリアに含まれる各都県全域[注 14]に拡大している。なお、同行ではICキャッシュカードとしてEdy搭載カードも発行していたが、これについては2010年(平成22年)2月26日受付分をもって発行を終了した[PR 69]。
Suipoは、2006年(平成18年)7月から2010年(平成22年)6月まで実施された、Suicaとポスター、携帯電話の3つを組み合わせた広告システムである。
ポスターに付属するリーダにSuica、モバイルSuica、PASMOをタッチすると、事前に登録した携帯電話のメールアドレス宛てにキャンペーン情報などのメールが配信され、商品の詳細情報をWebサイトで閲覧したり、プレゼントの抽選などができるもので、2006年(平成18年)7月31日から新宿駅の松下電器(現・パナソニック)のキャンペーンより展開が開始され、翌2007年(平成19年)4月2日からは池袋駅、上野駅、東京駅、新橋駅、渋谷駅の5駅を加えた計6駅に設置箇所が拡大された。
このSuipoの情報提供システムに関する計算機間の情報転送等の技術はNECなどが特許を取得しており、特許庁は2008年(平成20年)3月7日付で「情報提供システム、広告センター、および情報提供方法」の名称で登録している(出願番号2001-094507、登録番号4089166)。
その後、表示灯が運営する駅周辺地図「Navita」と組み合わせたサービス「Navita with Suipo」も実施されたが、Suipoのサービスは2010年(平成22年)6月下旬に終了した[PR 70]。
JR東日本・JR東海でのモバイルSuica会員のみのサービスとして、アプリから所定の操作を行うことで、乗車時に携帯電話を、東北・北海道・山形・秋田・上越・北陸の各新幹線の自動改札機にタッチするだけのチケットレスで利用することが可能である。
なお2020年3月14日からはえきねっとおよびe5489の新サービス「新幹線eチケットサービス」が利用可能となる。こちらはモバイルSuicaの他、カードタイプのSuicaや交通系ICカード全国相互利用サービスの対象カードでも利用できる[12]。
ほかに、JR東海の「エクスプレス予約」への入会・登録を行えば、東海道・山陽新幹線のネット予約・チケットレスサービス(EX-ICサービス)が利用できる。この場合は、モバイルSuicaをVIEWカード〈TypeIIおよび法人カードを除く〉で登録・決済しており、エクスプレス予約の決済もVIEWカードで利用する、という条件の会員が、事前にモバイルSuicaで操作し「ビュー・エクスプレス特約」へ登録するか、JR東海エクスプレスカードまたは「J-WESTカード・エクスプレス」に入会し、モバイルSuicaを乗車用の交通系ICカードに登録することが必要である。いずれの場合も、モバイルSuicaの年会費とは別に、ビュー・エクスプレス特約(VIEWカードでの決済)、またはエクスプレスカード等の年会費が別途徴収される(1,000円+消費税)。
なおJR東日本の各新幹線と、東海道・山陽新幹線(EX-ICサービス)では、予約・乗車時に行うモバイルSuicaの操作が異なる。
2017年9月30日に、東海道新幹線・山陽新幹線(東京-博多)(九州新幹線-鹿児島中央=2022年6月25日延伸予定)でSuicaなどのIC乗車カードで乗車するシステムスマートEXを導入、ただし新幹線はSFではなく、ネット予約でカード番号を登録して・クレジットカードでの決済[注 15]になる。年会費無料で利用でき、EX-ICと同様(ただし、EX-IC自体は、従来通りの提供を継続)な利用方法になる[PR 71]。
また2018年4月1日よりJR東日本の新幹線一部区間(東京-盛岡・新潟・上越妙高・ガーラ湯沢間、盛岡-新青森・盛岡-秋田・福島-新庄の相互間)で新幹線自動改札機にタッチすることでSF残高を利用して新幹線の普通車自由席(盛岡以北は指定席の空席)に乗車できる「タッチでGo!新幹線」のサービスが開始された。このサービスはSuicaおよびSuicaと相互利用可能なICカードであれば利用可能である。
首都圏主要駅を中心に、現金対応の鍵ロッカーから現金だけではなくSuica(または相互利用可能な全カード)にも対応したキーレスロッカーへの置き換えが進んでいる。操作はタッチパネルで行い、レシートも発行される。で鍵を使うときの取り出し方法と同様に、預けるときにタッチしたカードで引き出す時にタッチすると取り出せる仕組み。Suicaのみでレシートが出ない筐体もある。
埼玉県さいたま市大宮区にある鉄道博物館では、2007年(平成19年)10月14日の開館からSuica電子マネーサービスを利用した入退館システムを導入していたが、入館ゲートの更新に伴う入館方法の変更により当サービスは2019年(令和元年)12月10日をもって終了した[13]。
このシステムは入館時に入館チケット販売機でSuica等のICカードで入館料を決済し、入館情報をカードに登録する。ICカードをそのまま入館チケットとして使用し、改札機にタッチして入館する。また退館時には、改札機に入館時に登録したICカードをタッチして退館する。同館は入場や体験展示の予約のほとんどがICカードによる登録制となっているため、Suica等を所持していない入館者には入館券の代わりに、電子マネー非対応の貸出用入館ICカードが貸与され、退館時に有人窓口で返却する方式をとっていた。システム変更後は、券売機で現金またはSuica等を使用して入館チケットを購入し、入館ゲートで係員にチケットを見せて入館する方式に改められた[13]。
以前と同様に館内のレストラン・ミュージアムショップ・自動販売機でもSuica等の電子マネーによる決済が利用できる。なお相互利用しているICカードのうちPiTaPaは電子マネー相互利用対象外なので、電子マネー決済の利用ができない。また、しばらく使えなかったmanacaは利用できるようになった。
2009年(平成21年)シーズンから、JR東日本が株式を保有するJリーグ・ジェフユナイテッド市原・千葉のシーズンチケットとして使用が開始された[PR 72][PR 73]。
シーズンシート購入者には、ジェフ千葉オリジナルのカードフェイスがプリントされた「Suica機能付ワンタッチパスICカード」と席種・席番が記載された「情報カード」が配布される。フクダ電子アリーナ開催のホームゲームでは、入場ゲートでカードリーダーにワンタッチパスをタッチして入場を認証し、入場後はシート位置のスタンド入口で係員に情報カードを提示して自席へ入場する流れとなる。このため入場の際にはワンタッチパスと情報カードの両方を携行する必要がある。なおワンタッチパスは現金をチャージすれば、通常のSuicaと同様に乗車券機能や電子マネー機能を利用できる。「シーズンチケットの価格+デポジット(500円)」で発売されるが、カードは継続使用するため、次シーズンもシーズンシートを継続購入すればデポジットは不要である。小中学生用は発売されていない。
なおJR東日本は2009年(平成21年)から、ジェフ千葉のユニフォームの背中部分スポンサーを務めており、Suicaのロゴタイプがプリントされている。2018年(平成30年)からは鎖骨部分スポンサーも併せて勤めている(表記は「JR東日本」)。
インターネットを経由してクレジットカードから手持ちのSuicaへチャージしたり、インターネットでの物品購入にSuica決済が利用できるシステムで、2009年(平成21年)7月27日にサービスが開始された。
このサービスを利用するには利用登録が必要で、チャージ・決済にはパソコンにFeliCaポート/パソリなどのカードリーダライタを接続することが必要である。
サービスで利用できるSuicaは記名式カード(Suica付きビューカード、My Suica、Suica定期券、Suica付学生証・社員証、ゆうちょICキャッシュカードSuica)のみで、無記名式カードは利用できない。このうちMy SuicaとSuica定期券については、電子マネーマーク下に緑色の丸の記載がある2008年(平成20年)11月以降に発行されたもののみ利用可能で、それ以前に発行された旧カードでは利用できない。またモバイルSuica、モノレールSuica、りんかいSuica、相互利用を実施しているICカードでも利用できない。なお、決済に使用できるクレジットカードはビューカードのみである。
このサービスでSuicaにチャージできる金額は、1,000円以上であれば1円単位で指定可能である。また、チャージ上限の20,000円まで一度にチャージする「満タンチャージ」機能もある[PR 74]。
2019年(令和元年)5月、JR東日本は同サービスについて同年8月から2021年2月頃にかけて順次終了していくことを発表した[PR 75]。そして2021年2月9日、Suicaインターネットサービスの提供を完全に終了した。
日立製作所が、2013年(平成25年)7月1日より、JR東日本のSuicaの利用履歴をビッグデータ解析技術で活用し、駅エリアのマーケティング情報として企業に提供するサービス「日立 交通系ICカード分析情報提供サービス」を開始した[PR 76][PR 77][14]。首都圏のJR東日本・私鉄約1800駅を対象として、Suicaの利用履歴や記名式Suicaに登録された年齢・性別から駅の利用者の性別・年代別構成、乗降時間帯などの各種利用情報を平日・休日別に集計・分析し、可視化したリポートを毎月提供する。PASMOなど相互利用カードのデータは集計・分析の対象にならない。
しかし、日立製作所側からはこのサービスが開始前に発表されたものの、JR東日本側が公式に何も発表しなかったため、国土交通省が個人情報保護法に抵触しないか事情を聞き、「事前に利用者に説明すべきだった」と注意したことが全国紙に報道された[15]。
JR東日本では、日立への提供時にSuicaのIDを他の番号に振り直しSuicaIDとの紐づけができないようになっていること、利用者の氏名・電話番号や、電子マネーでの購買履歴を提供していないことなどから、「個人情報には該当せず、法的に問題はない」としているが[16]、7月25日に「よくいただくお問い合わせ」として、この件に関するプレスリリースを発表し、説明が不十分だったことを謝罪し、希望者を売却対象から除外(オプトアウト)することを発表した[PR 78][17]。
その後、有識者会議を設置して今後の対応を検討し、結論が出るまでは社外へのデータ提供は行わないことを発表した[PR 79]。
JR東日本は2022年5月から個人が特定されない形で首都圏を中心とした利用客が多い約600駅のデータを自治体や企業などに提供する「駅カルテ」のサービスを開始することを同年3月16日に発表した[18][19]。
JR東日本は2034年までに、電子マネーの送受信や改札にタッチせずに通過できる「ウォークスルー改札」などの機能の実現を図り[43][44][45]、更に将来的にはクレジットカードや銀行口座とSuicaをひも付け、事前にチャージすることなく利用できる後払い方式に対応する[43]。また、マイナンバーカードとの連携により、給付金の受け取りといった行政サービスでも利用できるようにするなど、Suicaのデジタルプラットフォーム化を目指すとしている[43]。
JR東日本の全路線でSuicaを使えるようにし、そのために必要な磁気券のIC化を行い[PR 122]、Suicaの東日本管内全国展開を目指すとしている。これに関連して、2023年5月27日からセンターサーバー方式を採用した上で北東北3県(青森県・秋田県・岩手県)の一部路線でSuicaが利用可能となった[注 19][PR 119][PR 120]。同年夏以降首都圏・仙台・新潟エリアおいても従来方式との併用の上導入し、2026年度中に完全移行予定。完全移行後はJR東日本管内のSuicaエリアの統合などを計画していることも発表されている。
2023年6月20日に首都圏エリアとして長野県内の篠ノ井線の松本駅 - 篠ノ井駅間と信越本線の篠ノ井駅 - 長野駅間、大糸線の松本駅 - 穂高駅間各駅のSuica対応が2025年3月15日と発表された[PR 123][PR 124][46]。また、信越本線と直通運転するしなの鉄道はSuicaの導入について2026年3月を目指して調整していると報じられた[47]。
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