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首都圏ICカード相互利用サービス(しゅとけんアイシーカードそうごりようサービス)[1]は、東日本旅客鉄道(JR東日本)等が発行するICカード乗車券「Suica」と、パスモが発行するICカード乗車券「PASMO」について、お互いのエリア内の交通機関を相互に利用可能とし、合わせて電子マネー機能を含めた、双方が提供する主要なサービスを相互に共通利用できるサービス。2007年3月18日にサービスを開始した。
首都圏の民鉄・バス事業者がパスネット・バス共通カードの後継となるICカード乗車券として「PASMO」を導入するにあたり、当初よりJR東日本が先行導入していたICカード乗車券「Suica」との相互利用を念頭にシステムを構築してきた。この成果として、SuicaとPASMOでは、センターシステム系の仕様を共通化し、両者のシステムを「ICカード相互利用センター」で接続。機器仕様やソフトウエアも両者で共通化し、様々な乗車パターン(機器動作総当たり件数約40万件、運賃判定検証パターン約12億3千万通り)に対応できるよう共通化を進め[2]、2007年のPASMO新規導入日からサービスを始めている。
共通利用可能な内容は以下のとおりで[1]、単なる共通利用だけではなく、双方の独自サービスについても共通化を進めている。利用に当たっての手続きなどは必要ない。
導入当初は、IC乗車券としては、JR東日本ではSuicaの首都圏エリアのみに限って導入され、PASMOは対象事業者99社のうち52業者に導入、その後エリア拡大という手法をとった。このため、Suicaを導入していた仙台・新潟地区で自動改札機の投入口付近などに「PASMOはご利用になれません」と書いたステッカーが貼付されていたが、2008年(平成20年)3月29日より仙台・新潟地区でも導入された。
2008年から2010年にかけ、各地方のICカードと相互利用サービスの拡大を続けていたが、2013年(平成25年)3月23日に交通系ICカード全国相互利用サービスが開始され、Kitaca・TOICA・ICOCA・SUGOCA・PiTaPa・manaca・nimoca・はやかけんとSuica・PASMOとが、それぞれのエリアで一斉に相互利用可能になった。また、PiTaPaを除いて電子マネー機能の相互利用も可能になった。
なお、PASMOエリアのうち関東鉄道(常総線および竜ヶ崎線)と千葉都市モノレールは従来通り Suica と PASMO でのみ利用可能であるほか、「オートチャージ」[3]及び「バス利用特典サービス」[4]もSuica・PASMO限定のサービス(他の8種のカードに非対応、及び他の8種のカードエリアで利用不可)となっており、交通系ICカード全国相互利用サービス開始後も「首都圏ICカード相互利用サービス」のスキームが現存する形となっている。
Suica・PASMOいずれのエリアでも、改札機にSuica・PASMOをタッチすることで、入金(チャージ)残額から自動的に運賃を差し引く。連絡割引等についても自動的に適用される(ただし、重複する場合は最も割引額の大きい方のみの適用となる。また、改札を通る必要のない駅で改札を出場した場合、改札出場後30分以上経過した場合には適用されない)。なお、一度に精算できるのは4事業者分までである。途中一度も改札口を通らない場合は圏内で最大6事業者までの連続乗車が可能だが、運賃計算上5事業者以上になる場合は窓口での精算となる。
SuicaとPASMOはICカードの1枚使用が前提であり、磁気券で可能だった自動改札機への2枚投入や他の乗車券類との併用が自動改札機ではできない。一部事業者間の連絡改札口や新幹線の連絡改札口では磁気券+ICカードの同時使用が可能で、この場合入場時の乗車券に関係なく磁気券を挿入してからICカードをタッチする。なお、自動精算機では定期券情報・入場記録のないものに限り不足賃の支払いに使用可能である(JRでは、入場時のICカードと別のICカードの併用が可能)。
定期券で券面の区間外を利用する場合も出場時に自動精算される。なお、券面区間を経由して区間外の駅同士の相互発着となる場合は、区間外運賃の合計と区間内も含めて通しで計算した場合の運賃を比較して低廉である方の運賃を差し引く。
連絡定期券の発売範囲は、サービス開始時に従来の磁気定期券の発売範囲に加えて多摩都市モノレール・ゆりかもめ・横浜新都市交通(現・横浜シーサイドライン)の3社に拡大された。なお、IC乗車券の2枚同時使用はできないため、途中改札を通らない経路で2枚以上になる場合は従来通り磁気定期券を使用することになる。ただし、町田駅など連絡運輸が締結されていない駅や連絡運輸を行っている場合でも連絡改札口が設置されていない駅(または設置されていても利用者が使用しない場合)などでは2枚のIC定期券を所持することも可能ではある。2008年3月以降、発売範囲は大幅に拡大され、前述の町田駅連絡を含め、多くが発行可能となっている。
なお、Suica・PASMOのチャージ残額を使っての振替輸送には対応しておらず(定期券券面区間を利用した場合にのみ対応)、実際に乗車した交通機関の運賃が引き落とされる[5]。
普通運賃は、実際の乗車経路に関わらず最も安くなる経路を自動計算する(ただし、下記のような例およびすでに購入時に経路が指定されている定期運賃を除く)。
チャージ残高が一定額未満となった場合に登録したクレジットカードを経由して自動的に一定金額をチャージするサービスで、Suica・PASMO双方で展開されているが、双方の駅の青い読み取り機が付いた自動改札機で、対応したカードであれば、Suica事業者・PASMO加盟事業者の別なくオートチャージが可能である。
このサービスは Suica 及び PASMO のエリア内でのみ有効であり、Suica / PASMO エリア外での全国相互利用サービス利用時は対象外となる。また、タッチでGo!新幹線利用時は Suica / PASMO を問わずオートチャージに対応しない。
利用可能なバスには、出入口に「バス特 PASMO Suica」または「PASMO Suica ご利用いただけます」というステッカーを貼付している[7]。初期のSuicaカード(電子マネー非対応のもの)は利用できないため、読み取り機に注意書きステッカーを貼付している。なお、バス車内でのチャージはSuica・PASMOの別なく可能である。
「バス特 PASMO Suica」のステッカーが掲出されたバスではSuica・PASMOいずれの利用でも『バス利用特典サービス』に対応する。PASMO・Suicaのチャージ額を利用してバスに乗ると自動的にバスポイントがたまり、一定ポイント以上貯まると自動的に「特典バスチケット」が付与され、次回バス利用時にバス運賃としてPASMO・Suicaのチャージ額に優先して10円単位で自動的に使用される。Suica / PASMO 以外の交通系ICカードは『バス利用特典サービス』に対応しない。
1回ICカードをリーダ/ライタに触れて運賃精算が完結すると、誤タッチで二重に運賃が引き落とされないように、そのバスが終点に到着するまで運賃が差し引かれないようになっているところもあるため(「処理済カードです」の表示が出る)、複数人で使用する場合は、あらかじめ申告しなければならない。
当初からSuicaショッピングサービス(現・Suica電子マネー)とPASMO電子マネーとは共通運用がなされており、Suica・PASMOの各対応店舗の別なく相互に利用可能となる。店頭でのチャージについては、Suica加盟店でのPASMOへのチャージとPASMO加盟店でのSuicaへのチャージができない例が多かったが、解消されつつある。
なお、Suica・PASMOの加盟店では、JR北海道のKitaca・JR東海のTOICA・名古屋鉄道と名古屋市交通局等のmanaca・JR西日本のICOCA・JR九州のSUGOCAと、西日本鉄道等のnimoca・福岡市交通局のはやかけんの電子マネーサービスも相互利用可能である。
SuicaおよびPASMOのSF残額履歴を印字および表示することができる。
Suicaの残額履歴を印字する場合は、
PASMOの残額履歴を表示・印字する場合は、Suica加盟事業者の駅も含めて直近20件までの履歴を表示・印字でき、カードに履歴が残っている間は何度でも印字できる。
ただし、Suica・PASMOともに利用から26週間を経過した履歴は表示・印字できない。
PASMOエリアで印字する場合はSuicaの場合も含めてカード番号がすべて表示されるが、Suicaエリアで印字する場合はカード番号の下4桁しか表示されない(チャージや定期券購入などの領収書も同様)。
また、記名PASMO(PASMO定期券を含む)の場合はインターネットを通じて3か月前までの履歴を照会できる。これは記名PASMO・PASMO定期券利用者向けの会員登録制サービスであり、Suicaの履歴照会はできない。会員登録と照会方法については公式ホームページの履歴照会サービスを参照のこと。
履歴印字は、カードの種類や印字した事業者に関わらず、ほぼ同一の内容が印字される。内容は利用月日・利用種別(入場・出場・バス等・物販など)・利用駅(バス利用時は事業者名)・残額である。このうち利用駅名と利用事業者名は4文字の略称で印字される。利用駅名の印字は、乗り換え駅や同名の駅が存在する場合に限り事業者名が駅名に冠される。この方式はパスネットの裏面印字(乗車時)と類似している。
関東ICカード相互利用協議会は、2022年9月14日に首都圏ICカード相互利用エリア[注釈 2]内で使用可能な「第一種身体障害者・第一種知的障害者本人とその介助人用ICカードサービス」の導入を行うと発表し、2023年3月18日からサービスを開始している[8][9][10]。
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