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公共交通機関の運賃の支払いを主とする電子マネー ウィキペディアから
PASMO(パスモ)は、株式会社パスモが発行し、関東地方・山梨県・静岡県東部の鉄道27事業者・バス78事業者(2021年3月16日現在)[2]が発売する、電子マネー機能を備えたサイバネ規格のICカード乗車券である。2007年3月18日サービス開始[1]。「PASMO」の名称は株式会社パスモの登録商標となっている[3]。
ソニーの非接触型ICカードFeliCaの技術を用いた共通乗車カード/電子マネーで、2007年3月18日にサービスを開始した。首都圏の大手私鉄(関東私鉄)を中心とした鉄道事業者が採用していた磁気式ストアードフェアシステム「パスネット」、及び首都圏のバス事業者が採用していた磁気式ストアードフェアシステム「バス共通カード」を中心に導入が始まっており、後にパスネット・バス共通カード未導入の事業者にも拡大している。サービス開始当初より東日本旅客鉄道(JR東日本)が先行導入したICカード乗車券「Suica」と相互利用が可能になっており、Suicaグリーン券、鉄道博物館入館システム、地域連携ICカード導入エリアにおけるICフリー乗車券にも対応している。2013年には交通系ICカード全国相互利用サービスも開始された。2020年にはモバイルPASMOをサービスインした。
事前にチャージ(入金)処理した金額分が使えるプリペイド(前払い)方式を採用し、全国の交通系ICカード対応の商店等における代金支払いで使用できる電子マネー機能を有している。また、クレジットカードに紐付けるオートチャージ(自動入金)機能付きPASMOのほか、私鉄各社からクレジットカード一体型PASMOも発行されている。
「PASMO」の名称の由来は、パスネット (PASSNET) の「PAS」(パス)と「もっと」の意味を表す英語「MORE」(モア)の頭文字「MO」から名付けられた。「モ」は日本語の係助詞でもあり、「電車もバスもPASMO」のキャッチフレーズのとおり、鉄道だけでなくバスやモノレールといった複数の交通機関に対応できることを表している[4]。カード裏面の右下に記載の番号のはじめの文字は、PBであり、このPBは、株式会社パスモの前身である「パスネット・バスICカード株式会社」の頭文字のPASSNET(パスネット) BUS(バス)をとったものである。
カードデザインは、電通のクリエイティブディレクター小塚重信によるデザイン。ロゴ色は「PASMOピンク」と呼ばれる特色(PANTONE 177C、もしくはDIC17版 586)が使用され、特色が使用できない場合はCMYKでM 70%が使用される。ロゴタイプは、Avenir・Bauhaus・Plateletを基に作成された。
PASMOのキャラクターはロボットである。Suicaのキャラクターであるペンギンと同様に名前が付けられていないが、他のロボットと区別するためPASMOのロボットと表記されることが多い。基本色としてはピンクだが、一部鉄道事業者のウェブサイトやパンフレットでは青や赤のロボットも見ることができる。PASMOを取り出すためにお腹の辺りに蓋があるほか、急いでいる時は電車やバスに変身するという設定である。キャラクターデザインは安達翼である[5]。
2013年9月末時点の発行枚数は、約2,364万枚[6] である。2021年時点では約4,000万枚で[7]、約8,700万枚のSuica[8]に次ぐ発行枚数を誇る。
PASMOには以下の種類が存在する。
記名式PASMOは、一定期間利用またはチャージしない場合にロックが掛かり、残額があったとしてもそのままでは自動改札を通過できず、または電子マネーが利用できなくなる[13]。 「一定期間」がどれくらいかは公表されていない。またこのカード一時停止は、次項のカード有効期限とは異なる。解除方法は以下のいずれかとなる。
また、PASMOは最後に機器などでカードを利用した日から10年間利用がない場合、失効となりカードそのものが無効となる。PASMOでは全権利の失効扱いとなり、残高は無効となり再発行はされない(消滅時効の扱いに準じる)[13]。PASMOサービス開始から10周年となる2017年を控え、PASMOのロボットが眠っているイラストとともに「長期間使用していないPASMOは、ございませんか?」「前回ご利用された日より10年間利用しないと、そのPASMOはいっさい使用できなくなります」と書かれたポスターが加盟各事業者の駅構内に貼られ、利用者に注意を促した。
JR東日本をはじめとする関東地方の鉄道バス事業者等の関東ICカード相互利用協議会は、2023年3月18日からの予定で障害者用ICカード[注釈 1]の導入を実施すると2022年9月14日に発表した。
サービス開始に備えて2006年から、導入鉄道事業者の各駅では自動改札機や自動精算機のICカード対応準備が行われ、サービス開始前日までICアンテナ部に蓋がされており、一部の事業者でPASMO導入告知ステッカーや広告を貼付していたほか、投入口の上に貼付しているパスネットの2枚投入ステッカーが従来より小さなものに更新された。
2007年(平成19年)3月18日から5月31日まで、サービス開始を記念して「PASMO GO! GO! キャンペーン」を実施し、購入者の中から抽選で550名に5,500円分チャージされたPASMOが当たった。
2007年(平成19年)上半期に首都圏在住の20 - 34歳の男女の間で流行・話題になったものを表彰する「2007年上半期M1F1グランプリ(M1F1総研/電通・Media Shakers)ではPASMOが男女ともにグランプリを受賞した。受賞の要因には、利便性のみならず、キャラクターや色遣いなどのデザイン面も挙げられた[35]。また、同年末に日経MJが発表した2007年(平成19年)ヒット商品番付で「西の横綱」に選ばれている。
2008年(平成20年)3月には、発売1周年のポスターが加盟鉄道事業者の駅に掲出され、「PASMO おかげさまで800万枚」のメッセージが表記された。
2010年(平成22年)11月1日から、東京都内在住で障害者手帳(身体障害者手帳、愛の手帳(療育手帳)、精神障害者保健福祉手帳)を所持する障害者を対象に発行される紙式の「都営交通無料乗車証」を、PASMOに書き込んで発行できるようになった。ただし、PASMO定期券と1枚にまとめることはできない。
西武鉄道では、キャンペーンやイベント時にプレゼント用として西武鉄道の各駅(小竹向原駅・元加治駅を除く)で1000円分チャージできる「PASMO・Suicaポイント券」が存在した(1ポイント=1円換算、有効期限あり)。また西武鉄道では「SEIBU PASMO ツカイ隊」という男性5人組のPASMO宣伝キャラクターが設定されており、駅構内にキャラクターのイラストが描かれたポスターなどが掲示されている[36]。
運転免許証とPASMO(Suicaや個人番号カードを含む近距離無線通信のICカード)を同じところに入れると、誘導電流の奪い合いとなり、読み取りエラーが起きる。
2007年3月18日のサービス開始から1か月足らずで300万枚を売り上げ、在庫が僅少となったため、2007年(平成19年)4月12日から9月9日までPASMO定期券を除き一時発売を停止していた。また、クレジットカードによるオートチャージPASMOも同年4月13日から9月28日まで一時申し込み受付を停止していた。
当初、株式会社パスモではサービス開始から1年で500万枚の発行を見込んで、サービス開始日の2007年(平成19年)3月18日の段階で400万枚のカードを用意していた。しかし、当初の見込みを大幅に上回るペースでの売れ行きを見せ、23日目の同年4月9日には早々に300万枚を突破した。発行枚数のうち定期券160万枚はほぼ予想通りだったが、非定期券140万枚は想定を100万枚程上回ったという[37]。
そのため、同社は新たなカードを300万枚追加発注したものの、納品が8月以降となるため、在庫が底を突きかねない事態となった。これを受けて同社は同年4月12日の発売分より新たなカードが納品される見込みの同年8月頃までPASMO定期券以外の新規発行を中止することとなった。ただし、バス事業者のうち定期券発行を行わない事業者は現在庫が切れるまで販売を続けていた。販売制限開始後も定期券が1か月間で新規50万枚以上が発行され、累計発行枚数も380万枚を突破していた[37]。また、オートチャージ対応カードの新規受付も4月13日の受付分をもって一時的に中止されたが、対応クレジットカード自体の受付はその後も継続されていた。
この件を受けて、PASMOの代わりとしてSuicaがにわか需要が生じることが予想されていたが、Suica陣営では「在庫を3か月分は確保しており、多少需要が増えたとしても同様の事態に陥ることはない」とした。また、パスネットも当時継続発売していたため、パスネットを購入する人もいたという。
パスモが今回の販売制限を受けて実施した利用者アンケートによれば、75%がSuicaも所持しており、その半数が使い分けのため、残り半分が同カードとの相互利用を知らなかったため、と回答している。この結果、相互利用についての周知不足や併用者・完全移行者のニーズを見誤っていた実態が明らかとなった。また、前記の「2007年上半期M1F1グランプリ」では、単純に機能だけを求める購入層ばかりではなかったことも示された。
2007年(平成19年)8月7日には制限解除についてのプレスリリースが出され、以下の発表がなされた。
これらと並行して、新たに200万枚のPASMOカードを用意したほか、その後も毎月100万枚ずつ追加することになった。またこれらと並行して、Suicaと相互利用できることの周知徹底を目的としたポスター「じつは、1枚でいける。」の掲示や、リーフレットの配布なども行われた。その後も両者が相互利用できることを告知する共同ポスターの製作や掲示が時折行われている。また、JR東日本の東京都内や周辺駅の自動券売機や自動精算機などにSuicaとPASMOのロゴが併記されるようになった[注釈 2]。ただし、現在でも、首都圏以外の地域での利用範囲(この点については今後変わる見込みである。前述の「ICカード乗車券10種類 相互利用開始へ」を参照)や定期券にできる区間・定期券を購入できる駅、紛失時の再発行場所などの違いはある。
販売再開後は再び順調に発行枚数を伸ばしており、9月23日には初年度の達成目標だった500万枚に、約半年、実質的な販売期間は5週間程度で早々に到達した。しかしこの時点では、記名PASMOと無記名PASMOの発売箇所が縮小されていたため、実際の各駅での発売再開日は、事業者により異なることになった。
その後、2023年になり、世界的な半導体不足に伴い、6月8日に無記名カードが、8月2日にモバイルPASMOやPASMO定期券以外のPASMOの販売中止を再度実施する事態となった。2024年9月1日に記名式カードの発売を再開した[34]。
PASMOの公式ウェブサイトで「ご利用可能交通機関」として掲出してある事業者[2]による。なお、ここにない事業者でも、電子マネー決済により乗車券類を購入可能な事業者がある(後述)。
特記無いものは当該事業者の全路線での導入を意味する。
パスネット加盟社局でも導入未定の事業者があり、また導入されていない路線もある。◇印はSuicaおよびパスネットが導入されていなかった事業者。五十音順に掲載。
PASMOを導入しているバス事業者は以下のとおり[40]。
導入事業者であっても高速バス、コミュニティバスなどでは利用できない場合がある。また、PASMO定期券を導入していない事業者もある[41]。
幹事事業者については50音順に掲載。事業者名・営業所名については導入当時の名称を記載。
「首都圏をはじめ全国の鉄道・バスでご利用いただけます」[2]と説明されることが多いPASMOであるが、関東地方にもPASMOが利用できない鉄道・バス事業者が存在する。東京通勤圏でもSuicaを含めた交通ICカード完全導入は達成されておらず、特に新規参入や中小事業者の多いバスでは未導入事業者が存在する。
以下は主なPASMO未導入事業者の一覧。
埼玉県、東京都、神奈川県の鉄道事業者は全てPASMOが利用可能(一部新幹線におけるSF利用、一部特急列車やSuica・PASMOエリアとTOICAエリア間を跨いでのSF利用、鋼索鉄道・索道を除く)。
新規参入事業者が多い。東京23区内でも未導入事業者がある。独自の乗車カードや電子マネー決済を導入した事業者もある。
PASMOのサービス開始と同時に、JR東日本のSuicaとの間では相互利用が行われ、東京モノレール・東京臨海高速鉄道・埼玉新都市交通など、Suica加盟事業者の利用エリアのうち、首都圏エリアの鉄道やバスでPASMOが利用できるようになった。また、Suicaとの間では独自サービスも共通利用できる仕組みとなっていた。2008年(平成20年)3月29日からは、仙台・新潟都市圏の各Suicaエリア内の鉄道線でも利用可能となり、Suica全エリア鉄道線における相互利用が開始された。なお仙台空港鉄道各駅では、当初は自動改札機がPASMOに対応していなかったため、2009年(平成21年)3月13日まで改札窓口で入出場処理を行っていた。
2001年のSuicaの利用開始を皮切りに、大都市圏のJRや私鉄グループがそれぞれに交通系ICカードを導入し、利便性の観点から相互利用も進んでいたが、おおむね同一エリアのJRと私鉄グループ間か、他エリアのJR相互間に留まっていた。交通系ICカードの全国相互利用について、加盟各社による協議会では2009年(平成21年)2月当時は「検討中」としていた。経営体力のある大手事業者を中心に相互利用拡大を求める意見が台頭した一方、小規模経営のバス会社からは維持費の負担が増加することや費用対効果の面から反対意見があり、結論は未定であった[46]。
その後、PASMO協議会 (PASMO) と北海道旅客鉄道(JR北海道、Kitaca)、東日本旅客鉄道(JR東日本、Suica)、東海旅客鉄道(JR東海、TOICA)、西日本旅客鉄道(JR西日本、ICOCA)、九州旅客鉄道(JR九州、SUGOCA)、名古屋市交通局・名古屋鉄道(manaca:当時サービス開始前)、スルッとKANSAI協議会(PiTaPa)、福岡市交通局(はやかけん)、西日本鉄道 (nimoca) が、それぞれ発行するICカード乗車券の相互利用開始の検討を始め、2010年(平成22年)に検討会を立ち上げた[47]。
その結果、2013年(平成25年)3月23日より上記10種の交通系ICカード相互利用開始が決定し、「IC」を図案化した全国相互利用サービスのシンボルマークが制定された[48][49][50]。なお、全国相互利用サービス開始後も、関東鉄道(鉄道のみ)・千葉都市モノレールは相互利用対象外となっている[51]が、両社が発行するPASMOは他のICカード同様に利用できる。2017年3月31日までは、多摩都市モノレール・(横浜新都市交通→)横浜シーサイドラインも相互利用対象外であった。
10種の交通系ICカード全国相互利用サービスを片利用扱いで利用できるエリアも順次拡大しており、
でも利用可能となっている。
なお、2016年(平成28年)3月23日から2024年(令和6年)11月15日まで熊本地域振興ICカードエリア(熊本県内民鉄・バス各社)でも利用可能だったが[59]、機器更新費が約12億円かかることを理由に翌16日から利用できなくなった[60]。
PASMOは、基本的に自動改札機の読み取り部(一部鉄道事業者では専用改札機も設置)やバス運賃箱のIC読み取り装置などに1秒程度タッチするだけで通過することができる。タッチが不完全であったり、2枚以上のICカードを重ねてタッチするとエラーが起こる。開発当初はIC読み取り装置を浮かせたまま通り通過することが前提であったため、IC読み取り装置から約半径10cm程度であればタッチしなくても反応する。
なお、Suicaとの相互利用に関する特殊な取扱の詳細は首都圏ICカード相互利用サービス参照。
PASMOは、加盟事業者のうち鉄道駅にある自動券売機・窓口・定期券売り場やバスの営業所・案内所などで購入できる。鉄道事業者によっては対応路線の全駅で購入可能だったり、バス事業者によっては車内販売(主に1,000円で販売)も行っている。
PASMO定期券を除く記名PASMOと無記名PASMOの発売額は1,000円、2,000円、3,000円、4,000円、5,000円、10,000円の6種類である(一部事業者では1,000円から20,000円までの1,000円単位)。発売額にはデポジット500円が含まれており、利用可能額は発売額からそれを減算した額となる。デポジットは運賃や電子マネーの金額に充当できないが、PASMOが不要になった時に返却される。
なお記名PASMOの場合、鉄道事業者発売のものには名前が記載されるが、バス事業者発売のものには購入後裏面に名前を記入するスペースがあるので、そこに記載しなければならない。ただしカード自体には名前などのデータが記録されている。
上記の方法で購入した記名PASMOは、2008年(平成20年)3月15日からオートチャージ機能を後から付加することが可能になった。
オートチャージ機能付きのPASMOを購入するには、オートチャージサービスに対応したクレジットカード会社への申し込みが必要である(クレジットカード一体型PASMOも同様)。ただし、すでに対応クレジットカードを所持している場合はこの限りではない(PASMOのみの申し込み)。その上でクレジットカード発行会社にPASMOオートチャージの申し込みを行う。審査後(PASMOのみの申し込みの場合を除く)、通常約1か月程度でPASMOが郵送され、この時のデポジットが後日申し込んだクレジットカード発行会社より請求される。なお、郵送時点でのPASMOのチャージ残額は0円である。また、対応クレジットカードと記名PASMOを所持する場合、記名PASMOにオートチャージ機能を付加する場合は、前述と同様に対応クレジットカード会社にPASMOオートチャージ機能付加の申し込みを行い、約1か月程度で送付される案内はがきを駅に持参して設定を済ませた上で利用可能となる。
PASMO PASSPORTは、券面は2,000円のみ、デポジットはない(ただしPASMOのデポジットに相当する500円は発行手数料として徴収されるため、利用できる金額はPASMOと同額の1,500円である)[12] 発売場所も成田空港駅・空港第2ビル駅(京成)、羽田空港第3ターミナル駅(京急)などに限定され、窓口でパスポートにより外国人旅行者であることを確認の上で販売する。
PASMOへのチャージ(入金)の方法は、鉄道の場合は、加盟事業者および相互利用事業者の駅にあるICカード対応の自動券売機・自動精算機・簡易入金機(一部事業者のみ)・駅窓口、事務室(同)で1,000円、2,000円、3,000円、4,000円、5,000円、10,000円の6種類の金額を選んでチャージすることができる。ただし、上限金額は20,000円である。なお、一部事業者では10円単位でチャージすることもできる。
バスの場合は1,000円単位でチャージすることができる。この場合は乗務員に申し出てからPASMOを読み取り部に置き、その次に紙幣を運賃箱の挿入口に入れる。ただし、残額が10,000円を超えている場合はチャージできない。入金可能な紙幣は、多くの事業者では、千円札のみとなっている。また、二千円札以上の紙幣でのチャージが可能な運賃箱を設置している事業者は少なく、箱根登山バス・伊豆箱根バス・神奈川中央交通グループ・西東京バスなどである。また、硬貨やバス共通カードなどのカード回数券でのチャージはできない。なお、営業所やバスターミナルの窓口では高額紙幣でチャージできる場合がある。
他、JR東日本の駅構内にあるNewDays(ICOCAなどを含め、一部の店舗では対応が可能になった)や、コンビニエンスストアのファミリーマート(旧am/pm店舗を含む)・ローソン・セブン-イレブン・ミニストップ、および全国のイオンやマックスバリュなどイオングループ店舗での店頭チャージが可能である。なお、PASMOが導入されている旧am/pmの店舗でもSuicaのチャージは可能である[61]。
2018年10月15日からは、セブン銀行のATMでもチャージが可能となる。
チャージ残高が一定額未満となった場合に、登録したクレジットカードを経由して自動的に一定金額をチャージするサービスである。サービス開始時点では残額が2,000円以下の場合、自動的に3,000円分チャージされるようになっている。
利用できるクレジットカードは、JCB・三井住友カード・三菱UFJニコスの3社が発行する「Pastown(パスタウン)カード」とPASMOに参加する交通事業者系のクレジットカード、全日本空輸のANAカードのうち、東京地下鉄・JCBと提携して発行するANA To Me CARD PASMO JCBのみで、これら以外のクレジットカードは利用できない。PASMO加盟事業者の中には、サービス開始に併せてクレジットカード事業に新規参入したケースもある。
オートチャージされるのはPASMOまたはSuicaエリア(首都圏・仙台・新潟)の自動改札機を利用した場合である。サービス開始当初は入場時のみチャージされていたが、2018年3月17日からは出場時にも設定金額を下回っていればオートチャージがされるようになった。ただし1ラッチ改札口(乗換専用改札)、バス・路面電車の運賃箱、電子マネー端末、新幹線改札機、オートチャージ未対応の簡易改札機ではオートチャージは行なわれない。一部の事業者にはオートチャージが可能な簡易改札機があり、カードをタッチするモジュールの部分が通常の改札機と同じ青色に点灯しているのが特徴である。
また、本サービスを受けるためのオートチャージ機能付きPASMOはカード会社への申し込み後に送付される専用のカードのみであり、2008年(平成20年)3月14日までは駅発売のものやすでに所持しているPASMOにオートチャージ機能を追加で設定することができなかったが、翌15日から記名PASMOに限りオートチャージを追加できるようになった。
オートチャージ機能付きPASMOを入手する場合は、それに対応するクレジットカード会社に対してPASMOとクレジットカードの両方を申し込み、郵送にて受け取る。ただし、すでに対応クレジットカードを所持している場合はPASMOのみを申し込めばよい。2007年(平成19年)2月3日から申し込み受付を行っている。なお、受け取ったオートチャージ機能付きPASMOは駅窓口などでの手続きにより定期券情報を追加することも可能である。しかし、定期区間内でも設定金額を下回ると、自動チャージされるため注意が必要。また、対応クレジットカードを所持している人で記名PASMOにオートチャージ機能を付加する場合は、対応クレジットカード会社に対してPASMOオートチャージ機能付加の申し込みを行うだけでよい。この場合、約1か月程度で送付される案内はがきを駅窓口に持参して利用開始の手続きを行わなければならない。どちらの方法も、駅窓口などで申し込み用紙を入手し、各クレジットカード会社へ請求する。
対応クレジットカードを発行している加盟事業者は以下の通りである。
対応クレジットカードを発行している加盟事業者以外の提携事業者は以下の通りである。
さらに、Pastownカード加盟事業者のうち東急・東武・京急・東京地下鉄の4社では「クレジットカード一体型PASMO」の発行を2008年(平成20年)3月15日から開始している。そのため、オートチャージ機能付きPASMOカードを発行予告していた際の募集で入会した新規会員のクレジットカードは、有効期限が2008年(平成20年)3月までとなっていた。Pastownカードを除き、カードの裏面左中央に定期券情報を記録することができる。ただし、PASMO定期券を所持している人がクレジットカード一体型PASMOを申し込み、かつ定期券情報を記録する場合は、いったんPASMO定期券の払い戻し手続きを行ってから申し込みを行い、改めて定期券情報を記録しなければならない。また、申し込みから送付までに約1か月間かかるため、その間は別のPASMO定期券か磁気定期券の1か月ものを購入・利用しなければならない。
2012年(平成24年)3月1日からは、全日本空輸・東京地下鉄・JCBの3社が提携したANA To Me CARD PASMO JCB(ソラチカカード)の発行を開始している。このカードはANAカード・Tokyo Metro To Me CARDのサービスが同時に受けることが可能となっている。また、SFポイント乗車サービスやメトロポイントをANAのマイルに交換する条件が、通常のTokyo Metro To Me CARDよりも優遇されている。
すでにオートチャージ機能付きPASMOを所持している場合、それと紐付けられたクレジットカードで新たにオートチャージ機能付きPASMOを申し込むことはできない。また、一部のクレジットカード発行事業者では現金専用のポイントカードも発行しているが、このカードでオートチャージ機能付きPASMOを入手することはできない。
オートチャージ機能付きPASMOは、通常の記名PASMOと同様にPASMOのみの払い戻しや対応クレジットカードの解約ができる。対応クレジットカードを解約した場合はPASMOが記名PASMOとして引き続き利用できる。また、支払いカードがPastownカードの場合は払い戻しをもってクレジットカードも自動的に解約となる。また、クレジットカード一体型PASMOでもオートチャージ機能付きPASMOと同様の払い戻しや解約ができるが、クレジットカード機能を解約する場合はクレジットカード会社をその旨を申請後一体型PASMOと公的証明書を駅窓口などへ持参してPASMO機能の移し替え手続きを行わなければならない。この場合、通常のPASMOに交換されるが、デポジットは現金で支払わなければならない。
なお、前述の通りPASMOカードが品薄となったことから、2007年(平成19年)4月13日から9月28日まで一時新規受付を中止していた(Pastownカードおよび新銀行東京を除きクレジットカード自体の申し込みは可能)が、同年9月29日に受付を再開した。
導入当初は東京都交通局が対応したカードとして「新銀行東京カード」(JCB・ニコスVISAのみ)もオートチャージ対応カードに指定されていたが、同行が2008年(平成20年)2月8日をもって提携キャッシュカードの申し込み受付を終了したため、現在は該当のカードでオートチャージの申し込みを行うことができない。東京都交通局は現在「ToKoPo」でポイントサービスを行っているが、ToKoPoはクレジットカードを介したサービスではないため、オートチャージはできない。
前述のとおりバスや路面電車利用時はオートチャージの適用外だが、東急電鉄と東急バスでは系列の東急カード会員限定で精算時残高不足になった場合に所定の金額をオートチャージする「ノッテチャージサービス」を実施している。こちらはチャージ残高が精算時に精算金額を下回っていた場合のみ適用され、チャージ金額も1,000円(高速バス・空港連絡バス利用時は3,000円)に固定されている[62]。
PASMOクイックチャージとは、PASMO取扱事業者の駅にある自動券売機で、クレジット決済によるチャージが簡単にできる機能のこと。PASMOクイックチャージは、オートチャージサービスに自動付帯しているサービスである。
但し、クイックチャージが利用可能な場所は東急電鉄線各駅の自動券売機のみである[63]。
また、全国相互利用交通系ICカードの中で、クレジットカードによるオートチャージとクイックチャージ両方に対応をしているのは、PASMOの他にnimocaだけである。
PASMOの普及により、2008年(平成22年)1月10日でパスネットの発売が終了し、同年3月14日でパスネットの自動改札機での利用が終了した。このため、翌15日以降残額があるパスネット所持者のためにPASMOへの残額引き継ぎサービスを行っている。実施事業者は22事業者のうち東武鉄道・西武鉄道・京王電鉄・東京急行電鉄・京浜急行電鉄・新京成電鉄・横浜高速鉄道・首都圏新都市鉄道・東京地下鉄・東京都交通局の10事業者である。
このうち、京王電鉄と東京急行電鉄は3月1日から、西武鉄道は3月5日から先行してサービスを行っている(パスネットを導入していなかった西武多摩川線では残額引き継ぎは行わなかった)。Suicaへの残額の引き継ぎはできない。
パスネット残額の引き継ぎサービスは、2015年(平成27年)3月31日をもって終了した[64]。
鉄道の場合は出場時に乗車区間の運賃分を一括して引き去る。ただし、従来のパスネットと同様に各鉄道事業者線の初乗り運賃以上の残額がないと入場できない。そのため、自動改札機のディスプレイには入場時に引き去り前の残額とSF(定期)利用が、出場時に引去額(定期利用の時は表示されない)と引き去り後の残額がそれぞれ表示される。また、従来のパスネット適用を含む他の鉄道事業者線との連絡割引についてもPASMOで自動的に適用される。ただし、重複する場合は値引き額が大きい方のみの適用となる。なお、一度に精算できるのは4事業者分までであり、途中一度も改札を通らない場合は圏内で最大6事業者までの連続乗車が可能となるが、運賃計算上5事業者以上になる場合は窓口での精算となる。
SuicaについてもPASMOサービス開始時から前述の方法が適用される。自動改札機が設置されていない駅については簡易ICカード改札機を設置して対応している。Suica事業者であるJR東日本線との連絡改札機が簡易ICカード改札機になっている場合の対Suica事業者間の乗り換えは改札機にタッチする(簡易改札機のためタッチしないでも通り抜けることができる場合があるが、実際の乗車経路と異なる運賃分が減額されることになり、当該区間の定期券を所有している場合は定期区間外を利用したものとみなされ、別途SFから運賃が差し引かれる。)。
連絡定期券の発売範囲は従来の磁気定期券の発売範囲に加えて多摩都市モノレール・ゆりかもめ・横浜シーサイドラインにも拡大されている。途中改札を通らない経路で定期券が2枚以上になる場合はIC定期券を含んだ組み合わせでは利用できず、従来通り磁気定期券2枚を使用することになる。この場合、IC定期券とパスネットなど他の乗車券類との同時使用での改札機の通過も不可能である。ただし、JR東日本の自動券売機と自動精算機ではイオカードまたはオレンジカードにPASMOを併用しての乗車券の購入または乗り越し精算が一部の駅で可能である。定期券のうちPASMOで発行可能になるのはPASMO加盟事業者間のみのものとPASMO加盟事業者とSuica加盟事業者に跨る連絡定期券に限られている。Suica・PASMOの両事業者間に跨る連絡定期券は基本的にどちらにも発行できるが、種類によっては発売事業者が限られる場合もある。また、発着駅ともSuica加盟事業者社のみとなる定期券をPASMO定期券として発行することはできず、逆も同様である。2008年(平成20年)3月15日から発売範囲が拡大された。
サービス開始当初は、SuicaとPASMOの双方に対応している駅でも、町田駅(JR・小田急)、JR稲田堤駅 - 京王稲田堤駅、新秋津駅(JR) - 秋津駅(西武)、新八柱駅(JR) - 八柱駅(新京成)などで、JR東日本との間で連絡運輸の協定が締結されていなかったため、連絡定期券の乗り継ぎ駅の対象とされていない駅も存在していた。2008年(平成20年)3月15日に連絡定期券の発売範囲が拡大されたことで多くは解消された。
鉄道での輸送障害が起きた場合の振替輸送については、Suicaと同様に基本的には対象外だが、PASMO定期券の有効期間内で券面表示区間内での乗車に限り受けることができる。切符を買った乗車券では振替輸送が受けられるが、ICカードでのSF乗車の場合についてはパスネットと異なり対象外となる。各鉄道事業者でもその旨、ポスターやリーフレットなどで告知している。
なお、鉄道(路面電車は除く)の利用の場合、クレジットカードつきのものを除いて、これまでは利用によるポイントの類はつかなかった(これはSuicaも同じである)。そのため、回数券などを利用した方が割安になる場合もある。一方で、2011年8月に東京都交通局が「ToKoPo[65]」サービスを、2018年3月には東京地下鉄が「メトポ」サービスを開始するなど、一部では変化も見られる。ただし、還元率は回数券に比べると大幅に低い。
複数の事業者の路線にまたがる区間を1枚の定期券で発行する「二区間定期券」[66]は、Suicaでは「Suica連絡定期券」として発行可能であるが[66]、PASMOでは下記の一部区間を除いては対応していないため、それ以外の区間でJR線との乗り継ぎ定期を利用する場合はSuicaが必要となる。
一部の鉄道事業者では企画乗車券(一日乗車券)を手持ちのPASMOに書き込む(搭載)形式にて発売している。
紙式(磁気式)乗車券と比較して、PASMOに何度も繰り返し搭載できる、自動改札機や運賃箱にタッチすれば利用可能、IC専用改札を利用可能、乗り越しや追加精算が発生した場合もチャージ残高から自動改札機でそのまま精算可能(利用区間によっては有人改札で精算が必要)などのメリットがある。
なお、これらの乗車券は、クレジットカード一体型PASMOや、PASMO以外の交通系ICカード全国相互利用サービス対象カードには搭載できない。また、購入時に定期券が搭載されているPASMO(定期券が期限切れの場合を除く)には追加で搭載できない[70][71]。PASMO新規購入と同時に乗車券を搭載することも可能な事業者もあるが、その場合はデポジット500円が乗車券の発売料金に上乗せされる。
2024年4月現在、以下の乗車券が発売されている。発売額の記載がないものは購入内容や購入場所によって発売額が異なる。
バスにおけるPASMO(Suicaを含む。以下同様)の使用方法は、バス共通カードのものをおおむね踏襲している。
PASMO対応車両には、運賃箱にPASMO読取機(PASMOリーダー)が設置されており、これにタッチすることにより運賃分が引かれる。運賃前払い方式の車両では、乗車時に運賃箱のPASMOリーダーにタッチして運賃を支払う。運賃後払い方式の車両では、乗車口の整理券発行機の横にもPASMO読取機が設置されており、整理券を取る代わりに乗車時と降車時にPASMOをタッチし、降車時に運賃を支払う。
運賃支払い時に、運賃箱のディスプレイには、支払額と残額が表示される。バス利用特典サービス(後述)の利用時には、その利用額も表示される。
駅の自動改札機の更新により一斉に対応する鉄道とは異なり、バスでは搭載する運賃箱を車両1台ごとにPASMO対応のものに交換しなくてはならなかった。そのため、バスでのPASMOサービスは対応準備が順次進められ、サービス開始当初は加盟事業者の中でも、営業所ごとに対応時期が異なったり、対応済み車両と未対応の車両が混在していた。
バス共通カードなどのバスカードでは、回数券として購入金額に特典金額(プレミアム)を加えた金額分の利用ができた。バス共通カードでは購入時に特典額が付与されるが、カードを使用しない場合に特典金額分が死蔵されるというプリペイドカード特有の問題があった。
そこで、PASMOではこれに代わるサービスとして、利用額に応じたポイント還元式の「バス利用特典サービス」(略称「バス特」)を採用した[73]。これは、SFによって支払った運賃に応じてバスポイントを加算し、1,000ポイント貯まるごとに「特典バスチケット」を付与し、次回のバス乗車時にバスチケット分をSFから優先して差し引くことで割引する仕組みである。ポイントやチケットの付与はバス特取扱事業者で共通に行われ、付与されたバスチケットはどの取扱事業者でも使用できる。
PASMOを運賃箱にタッチした際、特典バスチケットが付与されると「チケットが付きました」、付与されたバスチケットが差し引かれると「チケットを使いました」と、それぞれ自動音声で知らせる。利用者が累積バスポイントや特典バスチケット残額を直接確認することはできないが、モバイルPASMOでは確認可能となった。
名称は「バス利用特典サービス」であるが、東京都電車(都電荒川線)[74]と東急世田谷線[75]でも「バス特」ポイントとバスチケットが付与される。
PASMO加盟事業者が導入したサービスであるが、Suicaで利用した場合もポイントがたまる[76]。PASMO・Suica以外の交通系ICカードはバス利用特典サービスに対応していない。
2010年(平成22年)4月1日からは、バスポイントと特典バスチケットの付与額が変更された。
2010年3月31日まで | 累計バスポイント | 2010年4月1日から | ||
---|---|---|---|---|
特典バスチケット 付与額 | バスチケットの 累計額 | 特典バスチケット 付与額 | バスチケットの 累計額 | |
100円 | 100円 | 1,000バスポイント | 100円 | 100円 |
100円 | 200円 | 2,000バスポイント | 100円 | 200円 |
100円 | 300円 | 3,000バスポイント | 160円 | 360円 |
100円 | 400円 | 4,000バスポイント | 160円 | 520円 |
450円 | 850円 | 5,000バスポイント | 330円 | 850円 |
170円 | 1,020円 | 6,000バスポイント | 170円 | 1,020円 |
170円 | 1,190円 | 7,000バスポイント | 180円 | 1,200円 |
170円 | 1,360円 | 8,000バスポイント | 180円 | 1,380円 |
170円 | 1,530円 | 9,000バスポイント | 180円 | 1,560円 |
170円 | 1,700円 | 10,000バスポイント | 180円 | 1,740円 |
2021年(令和3年)2月以降、首都圏の多数のバス事業者が相次いで「バス利用特典サービス」を廃止している[77][78][79][80]。口火を切ったのは国際興業バスで、同年2月7日、同サービスを2月28日をもって終了すると発表[77][78]。以降はそれに続き、多くのバス事業者が次々と廃止を発表した[79][80]。理由としては各社とも揃って「交通系ICカードの普及促進という当初の目的を果たした」としているが[77][78][79][80]、伊豆箱根バスは「昨今の公共交通が直面する急激な事業環境の変化に対応するためには、次なる施策が必要と考え事業内容の見直しを行っている」と述べており[81]、新型コロナウイルス感染症の影響による経営上の理由を示唆している。
2022年(令和4年)3月31日の日立自動車交通・関東鉄道バス・関越交通でのサービス終了を最後に、同サービスのバスポイント・特典バスチケットの付与は完全に終了となった。
なお、バスポイント・特典バスチケットの付与対象だった路線では、付与終了後も付与済のバスチケットは有効期限内(通常10年間)であれば利用可能となっており、他事業者で付与されたバスチケットでも対象路線で利用できる。
かつてバス利用特典サービスを取り扱っていた事業者は以下のとおり[82]。掲載順は同サービスの終了日順、終了日が同じ場合は発表日順。
路線バスでのPASMO定期券(IC定期券)発行は、加盟事業者のうち一部の事業者で実施されている。
2007年3月18日のサービス開始と同時に東京都交通局が対応。東京都(23区内中心)および川崎市・横浜市の均一運賃区間から普及が始まり、2011年には京王電鉄バスグループ(京王電鉄バス・京王バス東・京王バス中央・京王バス小金井・京王バス南)で、初の多区間運賃区間での金額式IC定期券が発売された。以降は多区間運賃区間でも普及が進んでいる。
バスIC定期券の取扱事業者は以下のとおり[82]。
一部のバス事業者ではバス一日乗車券を購入してPASMO・Suicaに搭載できる。サービス開始以降、当初は均一運賃区間のみの事業者から普及し、2010年代には多区間運賃地域にも拡がった。都電荒川線の一日乗車券もあり、バスまたは都電の車内で発売されている。
バスIC一日乗車券では、コミュニティバスや深夜急行バスは対象外となっている場合が多い[152]。一般路線バスの深夜帯に運行される「深夜バス」の場合は、割増運賃のみがSF残高から引き落とされる[152]。
すでに他社発行分を含めバス一日乗車券情報が書き込まれているPASMO・Suicaで、有効期限内に別のバス一日乗車券を購入すると、前のものが上書きされて無効となるため注意が必要である[152]。
バスIC一日乗車券の取扱事業者は以下のとおり[82]。
PASMOとSuicaのSF残額および利用履歴を、表示・印字することができる[156]。PASMO定期券の区間内での乗降については表示・印字できない[156]。
PASMO加盟事業者の駅の自動券売機やバス営業所などでは、Suicaも含めて直近20件までの履歴を表示・印字できる[156]。一部の鉄道事業者(後述)では直近100件までの履歴印字に対応している[156]。それ以前の利用履歴については、株式会社パスモに対し個人情報開示請求を行うことによって取得することができる[157][158]。開示請求手数料は1000円(消費税込)[158]。
2010年(平成22年)2月以降は、東京急行電鉄や東京地下鉄の自動券売機で、PASMOに限り100件の履歴を印字することが可能[159]となった(東京地下鉄の一部の駅では100件の表示も可能)。2012年(平成24年)5月18日のインターネット履歴照会サービス(後述)終了時点では、都営地下鉄、小田急電鉄、京王電鉄、西武鉄道、東武鉄道、京成電鉄、京浜急行電鉄、相模鉄道、つくばエクスプレスでは、駅窓口に限り100件の履歴印字が可能であった[159]。その後は京王電鉄も自動券売機での100件の履歴印字に対応した[157]。
Suica加盟事業者の駅でも、PASMOの直近20件までの履歴を表示できる。Suicaでは履歴表示は直近20件、履歴印字は直近100件まで可能で[160]、26週間を超えた履歴は印字できない[160]。カードに履歴が残っている間は何度でも再印字ができる。PASMOを再発行した場合は再発行前の履歴は表示・印字できなくなる[156]。
サービス開始当初は、PASMOエリアで印字する場合はSuicaも含めてカード番号がすべて表示されていた。JRのSuicaエリアで印字する場合は個人情報保護のためカード番号の下4桁しか表示されない仕様となっている(チャージや定期券購入などの領収書も同様)。なおその後は、PASMOエリアでもカード番号の下4桁しか表示されない仕様に変更された事業者もある。
印字時の事業者名・駅名の表示については、首都圏ICカード相互利用サービスを参照のこと。電子マネーとしての利用ではすべて「物販」と表示・印字され、店舗名は表示・印字できない[156]。
2007年(平成19年)3月18日のサービス開始から、2012年(平成24年)3月1日までは[159][161]、PASMO定期券を含む記名PASMOの場合は、PASMO公式サイト内の「マイページ・PASMO履歴照会サービス」で3か月前までの履歴と定期券情報・バスポイントを照会できた[159][161]。Suicaにはない独自のサービスとして開始されたもので[162]、このサービスではSuicaの履歴照会はできなかった。
この「マイページ・PASMO履歴照会サービス」では、記名PASMOのカード番号と氏名・生年月日・電話番号を「マイページ会員登録」画面に入力し、任意のIDとパスワードを設定して、以降はそのIDとパスワードでログインする[159][161][163]。すなわち、それらの情報を知っていれば、誰でもアカウントが登録できてしまう仕様となっていた[159][161][163]。さらに「ID・パスワード忘れ対策」として、すでにアカウント登録しているPASMOであっても、カード番号と氏名・生年月日・電話番号さえ分かれば、マイページの登録情報を上書きしてIDとパスワードを書き換えることすら可能であった[159][161]。希望により「マイページ・PASMO履歴照会サービス」を停止することも可能となっていたが[159]、その場合は「マイページ停止センター」に平日9時半から17時の間に電話で申し込む必要があった[163]。また、このような仕様であることが利用者に十分周知されていないという問題もあった[163]。
サイバーセキュリティの専門家である高木浩光は、株式会社パスモに対し、このような仕様はセキュリティやプライバシー上の大きな問題があると強く指摘した[163][164]。高木の指摘を受けて、この件について取り上げたインプレス「Internet Watch」の記事は「(PASMOの)カード番号を他人に知られることのリスクを認識し、自身のカードをしっかり管理する必要がある」と結ばれていたが[161]、高木はそれに対し「PASMOのカード番号はクレジットカード番号とは異なるのだから、利用者に自己責任を押し付けるのではなく、事業者側が責任を持ってセキュリティ上の脆弱性を修正すべき」という趣旨の反論をしている[164]。
高木が懸念していたのは、PASMOの利用履歴情報が利用者自身も気づかぬうちに、鉄道・バス事業者以外の第三者を含む企業のビッグデータとして収集されるという点であった[165]。また顔も知らない赤の他人が、FacebookやTwitterなどのSNSに投稿した写真や文章などを見て、PASMOのカード番号と氏名・生年月日・電話番号を知って悪用する可能性も指摘していた[163][165]。
しかし実際には、アカウント登録に必要な情報は家族など親しい者であれば容易に知りうることから[163][161]、夫婦や恋人の浮気調査に利用できるとの情報がインターネット上で広まった[161][162][166][167][168]。
PASMO協議会はこの点について、家庭内で情報を見られるという可能性は認識しており、そのために「マイページ停止センター」を設置したと述べている[159][161]。またPASMO協議会は、2012年2月下旬には実際に乗車履歴を使った「浮気調査指南」を解説するウェブサイトも「発見」したと言うが[162]、「実際に浮気調査に使われた報告や苦情は今のところありません」とも述べている[162]。
PASMO協議会と株式会社パスモは、こうしたセキュリティ上の脆弱性に対する批判を受け、「マイページ・PASMO履歴照会サービス」の仕様が個人情報漏洩につながるおそれがあるとして、2012年(平成24年)3月1日16時10分[161]よりシステムリスク調査のため同サービスを一時停止し[159]、調査の結果セキュリティが担保できないとして[159]、同年5月18日のプレスリリースで同サービスの終了を発表した[159][169][166][167]。その後はバスポイントについては、バス利用特典サービス取扱事業者の営業所にPASMOを持ち込んで確認する以外の照会方法がなくなった[159]。
その後、2020年3月18日に開始されたモバイルPASMO内においてバス利用特典サービス確認が実装され、累計バスポイントおよび特典バスチケット残高の確認が可能となった。
PASMOはサービス開始当初からSuica電子マネーとの共用がなされ、基本的にはSuicaが使える店舗でも利用可能である。利用開始日はPASMOサービス開始日と同じ2007年(平成19年)3月18日(Suica電子マネーも参照)。
利用できる店舗や施設には、交通系ICカード全国相互利用サービスのステッカーが貼付されており[170]、サービス自体はSuica電子マネーとほぼ同様である。ただし、PASMOではSuicaのJREポイント(2017年11月27日までは、Suicaポイントクラブ)に登録できない[171]。また、Suica・PASMOは2013年(平成25年)3月23日より、Kitaca・TOICA・manaca・ICOCA・SUGOCA・nimoca・はやかけんの電子マネー相互利用を行っている。PiTaPaはポストペイ方式のため電子マネーとしては相互利用できない。
PASMO加盟鉄道事業者では、サービス開始時点では小田急電鉄・京浜急行電鉄・西武鉄道・東急電鉄・東京地下鉄・東京都交通局・東武鉄道の7事業者が、2008年(平成20年)3月15日からは京王電鉄・京成電鉄・相模鉄道・首都圏新都市鉄道の4社を加えた11事業者が電子マネー加盟店の募集および管理業務を行っている。この開拓・管理事業者を「アクワイアラ」という。
駅構内や周辺の売店、飲料水の自動販売機、コインロッカーなどへ展開しており、一部事業者については系列のスーパーマーケットなどの街中の店舗でも使えるケースもある。逆に東武沿線のトウブドラッグ(東武グループを離脱しマツモトキヨシグループに加盟)のように、駅構内の店舗でも楽天Edyなどの他の電子マネーが使えるのにPASMOが使えないケースもあった。
交通機関のうち、首都圏の主なタクシー事業者では電子マネー決済の一つとしてPASMO決済を導入している。小田急交通では2011年12月7日より[172]、京王自動車では2015年12月10日より[173]、タクシー運賃の支払いにPASMO決済を導入した。
ケーブルカー・索道事業者では、京王グループの高尾登山電鉄、小田急グループの箱根ロープウェイ、筑波観光鉄道[174]では、駅での決済手段に電子マネー決済を導入しておりPASMOも利用できる。
当地の鉄道事業者が電子マネーを導入するより以前にSuica電子マネーに対応した事例もあり、これらの店舗では相互利用でPASMOも使用できた。福岡地区のビックカメラ天神1号館・2号館、名古屋地区のイオン・マックスバリュ・ミニストップなど、イオングループが該当する。マックスバリュ中京、マックスバリュ東海運営の店舗よりマックスバリュ中部運営店舗は利用開始が遅れたが全店舗で利用可能。ピーコックストアも使用可能になった。
鉄道利用と同様、電子マネーとして利用したときのポイントサービスはない。ただし、各事業者で独自のポイントサービスを設けている例は存在する[175]。また、2019年10月から2020年6月まで行われたキャッシュレス・消費者還元事業に参加し、対象店舗での利用時にポイントを付与したが、ただしポイント還元方法は他の電子マネーと比べて煩雑であった[176]。
上記事業者やそのグループ企業以外の参入状況(予定を含む)は以下のとおり。記載は「企業名:開拓・管理事業者」の順。
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