マイナンバーカード: Individual Number Card[1])は、数字12桁の個人番号(以降「マイナンバー」と表記)が記載された日本のICカード身分証である[2]。正式名称は、個人番号カード(こじんばんごうカード)[注 1]という。2024年10月末時点で人口の75.7 %に当たる9449万人が保有している。

概要 マイナンバーカード, 種類 ...
マイナンバーカード
マイナンバーカードの表面
種類 身分証明書
交付者 市町村特別区
交付開始 2016年1月
目的
有効地域 日本の旗 日本
受給資格要件 個人番号を有する者
(日本在住の日本国籍を持つ者、在日外国人、および個人番号付番以降に国外転出した在外日本人
有効期間
  • 18歳以上:
    発行の日から10回目の誕生日まで
  • 18歳未満、電子証明書:
    発行の日から5回目の誕生日まで
手数料 無料
閉じる
接触型ICカードリーダライタとマイナンバーカード(裏面)

表面には氏名、住所、生年月日、性別、本人の顔写真、臓器提供の意思表示欄、右上部にPRキャラクター「マイナちゃん」のシンボルマーク頭部、裏面にはマイナンバーの記載、個人認証機能のみ出来るICチップがあり、本人確認における身分証明書、本人が設定したパスワードを用いたe-Tax等の電子証明書を利用した電子申請やコンビニエンスストア等での証明書交付など様々な官民のオンラインサービスに利用できる[3]。マイナンバーカードのICチップ内には電子証明書機能があり、「公的個人認証サービス」が使用できる。利用者証明用電子証明書(りようしゃしょうめいようでんししょうめいしょ)と顔認証(又は暗証番号)を利用し、「マイナ保険証」(マイナほけんしょう)としても用いられている[4][5][6]

概要

マイナンバーカード(個人番号カード)は、日本において「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成25年法律第27号)」(マイナンバー法)に基づき、発行されるプラスチック製のICカード市町村特別区が、住民のうち希望者へ当面の間無料で交付する[7]2016年平成28年)1月に交付が開始された[注 2]。前述のように身分証明書をはじめ、マイナンバー(個人番号)を証明するための書類として利用できる。カードのICチップに格納されている署名用電子証明書・利用者電子証明書は、民間や行政のオンライン手続きなどに利用可能で、幅広いサービスに利用されている( マイナンバーカードの利用 を参照)。

マイナンバーカードを取得するか否かは任意であり、外出の際にマイナンバーカードを携帯する義務はない[注 3]

略称(マイナカード、マイナ保険証)

マイナンバーカードを「マイナカード」、マイナンバーカードの健康保険証としての利用を「マイナ保険証」と省略して表記する場合がある。

マイナカード

メディアにおいては、見出しのみならず記事本文内でも「マイナカード」と表記する事例が存在する[8][9][10]。行政機関では、地方自治体が用いる事例[11][12]はあるが、中央省庁で書面等に「マイナカード」の呼称が使われることは無い。一方、2023年8月4日に行なわれた岸田文雄首相の記者会見では、冒頭発言において「マイナカード」の呼称が複数回使用された[13]。口頭表現としては政府の公式な場でも用いる状況となっている。

マイナ保険証

メディアはもとより、中央省庁においても、正式な書面[14]や、WEBサイト[15]、ポスター・パンフレット[16]、イベント[17]等で「マイナ保険証」の呼称を使用している。

但し、「マイナ」のみを切り取ったり[18][19]、「マイナ○○」と記述すること(マイナ普及[20]、マイナ活用[21][22]、マイナ返納[23]、マイナ反対[24]、マイナ保有率[25]、マイナトラブル[26]、マイナ読み取り[27]、マイナ義務化[28]など)は、その内容がマイナンバー(個人番号)制度を指しているのかマイナンバーカードの事なのかを判別しづらく、#マイナンバーとマイナンバーカードの混同 を招く。

マイナンバーとマイナンバーカードの混同

マイナンバー個人番号)は、2015年に住民票のある全ての国民・外国人に付番が完了した[注 4]12桁の番号そのもので、物理的形態は存在しない。日本国内に住民票を有する全ての住民にはマイナンバーが付されている[注 5]。これに対してマイナンバーカードは、申請して交付されるプラスチック製のICカードである。本人の氏名、住所、12桁のマイナンバー、顔写真などが印刷されている。

マイナンバーとマイナンバーカードとは、しばしば混同されている[29][30][31]マイナンバーの利用範囲は社会保障、税、災害対策に厳しく限定され、これ以外に使用することは違法である[32]マイナンバーカードは、ICチップの中の電子証明書と「空き領域」を活用し、官民の分野を問わず対面でもオンラインでも本人確認手段として幅広く利用されている[32][33][34][35]。本人確認手段としてのマイナンバーカードの利用では、個人番号(マイナンバー)は使用しない。健康保険証機能(いわゆるマイナ保険証)でも個人番号は使用していない[6][注 6][注 7]。個人情報の保護については、マイナンバーおよびマイナンバーを含む個人情報は「特定個人情報」[注 8]として厳格に保護されるが、マイナンバーカードの情報(マイナンバーを含まない部分)には特別の保護規定は存在せず、一般の個人情報として保護される。

大手新聞紙上でもマイナンバーとマイナンバーカードを混同し、意味が通じない記事が見られる[36]。「マイナとひも付け」という表題の記事が、実際には個人番号(マイナンバー)とのひも付けではなくマイナンバーカードを用いた本人確認処理だった事例(2024年2月)[37]、「マイナンバー不使用で300円値上げ」という表題だが個人番号(マイナンバー)は無関係の行政手続きだった事例(2024年6月)[38]も存在する。2024年5月には逆に、個人番号(マイナンバー)とのひも付け誤り事象を「マイナンバーカードのひも付けミス」と報じられた[39]。自治体首長からも、個人番号(マイナンバー)とカードを混同した発言が行われている[40]

さらに見る 項目, マイナンバー ...
マイナンバーとマイナンバーカードの違い
項目マイナンバーマイナンバーカード
形態 12桁の番号そのもの。物理的形態は存在しない12桁の番号と氏名、住所、写真などを記したICカード (プラスチック製)
保有方法 自動的に付番される[注 9][注 10]発行には本人からの申請が必要[注 11]
交付状況 2015年11月に付番完了[注 12]2016年1月から交付開始
保有数 約125百万件(全人口[注 13]約9449万枚 [注 14]
人口に対する保有率 100.0 %75.7 % [注 14]
使用範囲 社会保障、税、災害対策健康保険証e-Tax公的個人認証運転免許証(予定)など( マイナンバーカードの利用 を参照)
上記の使用範囲以外の応用 不可能であり、違法官民・分野を問わず本人確認手段として利用可能。例:対面やオンラインでの契約手続き、図書の貸出利用など( マイナンバーカードの利用 を参照)
個人情報の保護 特定個人情報[注 8]として厳格に保護される一般の個人情報として保護される
閉じる

なお、マイナンバーカードとはICカード型のものだけを指す[注 1]生体認証機能で保護されたスマートフォンへの電子証明書の搭載が2023年からAndroidの主要機種で開始されている。それらはマイナンバーカードの機能のうち電子証明書機能のみを保有するものであって、マイナンバーカードとは呼ばない。2025年春以降、iOS機種へマイナンバーカードの全機能が搭載可能となる予定( #スマートフォン対応 に詳述)。

将来は個人番号を記載しない「ナンバーレス化」も検討されていたが[32]、2026年に発行開始の次期カードの仕様でも、個人番号の裏面記載は継続する方針である( #次期マイナンバーカード を参照)。

カードの保有状況など

多くの住民(日本の住民票に登録された日本人および外国人)が保有し、健康保険証利用や公金受取口座の登録が行なわれている。その保有と登録状況は総務省のWEBサイト[41]、およびデジタル庁「マイナンバーカードの普及に関するダッシュボード[42]」で公開されている。総務省サイトは毎週火曜日に、その週の日曜日時点の件数情報へ更新される(保有枚数情報のみ、月次更新[43][44])。「マイナンバーカードの普及に関するダッシュボード」はサイトリニューアルのため、2024年1月21日時点データを以て更新停止。同年4月に再開予定[注 15]だったが、5月へ延期[注 16]。5月15日更新再開。月次サイクルでの更新となる[注 17]

カードの普及状況

マイナンバーカードの普及状況を示す指標としては、申請件数、交付枚数、保有枚数、健康保険証としての登録数、公金受取口座の登録数がある。

全国

2024年(令和6年)11月10日時点でのカードの有効申請件数(累計)は約1億0567万件。申請率(日本の人口[注 18]に対する割合)は84.6 %交付枚数(累計)は全国で約1億0321万枚。日本の人口に対する交付枚数率は82.6 %

2024年(令和6年)10月31日時点での保有枚数(純保有枚数)は全国で約9449万枚。日本の人口に対する保有率は75.7 %。この枚数は、自動車運転免許の保有者数 約8186万人[45]よりも約15 %多い。

2023年7月14日、総務省は、従来発表していた申請件数・交付枚数は「累計」であり、死亡等による廃止分(2023年〈令和5年〉6月末時点で約500万枚[注 19]。)を含んだものと説明[46]。5月末分より廃止分を差し引いた「純保有枚数」も発表することとした[47]。(廃止・失効の詳細は #廃止・失効 を参照)

2024年7月7日付けの集計で、有効交付枚数(累計)が1億枚を超えた[48][49]

自治体別

2022年(令和4年)6月30日のマイナンバーカード交付率公表にて、全国の「特別区・市」区分で初めて宮崎県都城市が80 %を超え、81.3 %となった[50]。2023年(令和5年)4月末時点の発表で新潟県粟島浦村が全国市区町村で初めて100 %を達成(対象者338名)[51]、都城市も「特別区・市」区分にて95.0 %で1位を継続していた[41]。翌2023年(令和5年)5月末時点で、粟島浦村は計算上の交付率が100 %を超過する見込みとなった。これは分母が2022年(令和4年)1月時点の住民基本台帳の人口であること、粟島浦村で取得した後に他の自治体へ転出した者も「粟島浦村での交付者」として計上していること等によるもの[52]。総務省は2023年(令和5年)5月末分より、自治体別の「交付率」の発表を取り止め、代わりに「保有枚数率」を発表するよう改めた。2023年(令和5年)5月末時点で粟島浦村の保有枚数率は80.5 %であった[53]

発表された保有枚数率は、2024年(令和6年)10月末時点において「特別区・市」区分では兵庫県養父市(92.3 %)、「町村」区分では鹿児島県十島村(91.6 %)が首位である。

健康保険証としての利用登録

健康保険証としての利用登録数(累計)は、約7627万枚。マイナンバーカード保有枚数のうちの81.2 %[42]、全人口のうちの60.3 % を占める。

公金受取口座の登録

公金受取口座の登録数(累計)は、約6341万枚。マイナンバーカード保有枚数のうちの67.5 %[42]、全人口のうちの 50.7 % を占める。

交付金の支給

2022年(令和4年)6月7日、第2次岸田内閣は「デジタル田園都市国家構想基本方針」を閣議決定[54]。交付金の評価にマイナンバーカードの普及状況を用いることを記載した[注 20]。その後、2022(令和4)年度第2次補正予算の中で、『デジタル田園都市国家構想交付金(デジタル実装タイプ)』を創設。地域のデジタル化事業に対し、マイナンバーカードの申請率も支給要件に加味して交付事業を決めるルールを定めた[55][56][57]。あくまでも「デジタル化事業」に対して交付されるものであり、自治体のマイナンバーカード申請率が高いだけで自動的に受け取ることができるものではない。

2022年(令和4年)12月21日、2023(令和5)年度予算の閣僚折衝において、地方交付税交付金内の「地域デジタル社会推進費」に500億円の「マイナンバーカード利活用特別分」を積み増した。マイナンバーカードの交付率に応じて配分する方針[58][59]。2023年(令和5年)7月28日、「令和5年度普通交付税大綱」を閣議決定。「地域デジタル社会推進費」のうち、500億円分はマイナンバーカードの保有枚数率に応じて決定した[60][61]

形態・セキュリティ・ICチップ機能

マイナンバーカードは、クレジットカード、日本の運転免許証と同じ寸法のプラスチック製ICカードである(ISO/IEC 7810 ID-1規格)[注 21]。カードには集積回路が埋め込まれていて、裏面には、ICチップと通信するための端子があるほか、非接触カードリーダーに対応のISO/IEC 14443 Type BのRFID近距離無線通信)が搭載されている。

その様式は「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に規定する個人番号、個人番号カード、特定個人情報の提供等に関する命令(平成26年総務省令第85号)[62]」第25条で規定されている。表面には、法令により、持ち主の「氏名」「住所」「生年月日」「性別」「本人の顔写真」[注 1]「マイナンバーカードの有効期限」「旧姓(住民票に記載がある場合)[63]」「通称名(外国人で住民票に記載がある場合)」[注 22]が印刷される。ほかに法令に記載はないが、写真下左に16桁の「製造番号」[64]、写真下右に4桁の「セキュリティーコード」が記される。裏面は、所有者の「マイナンバー(個人番号)」「氏名」「生年月日」が記される。日本国民の生年月日は戸籍通りに和暦で、在日外国人は西暦で記される[注 23]。有効期間は西暦で記される。表面はサインパネル(追記欄)があり、住所や記載事項などを変更した場合に記入する。

マイナンバーは、法律で規定された場合以外は他人に告知せず[注 24]、本カードを身分証明書として使用する際は、表面のみを相手に提示する。法律で規定された業務を行うために必要な場合以外、マイナンバーカードの裏面の複写を保管したりしてはならない[注 25]

顔写真

2024年12月2日以降、1歳未満の者は顔写真が不要となった[注 26][65]

ICチップ機能

マイナンバーカードのICチップ内には、次の情報が記録されている[7]

  • 「マイナンバー」(数字12桁)
  • 「基本4情報」:「氏名」「性別」「生年月日」「住所」
  • 「顔写真」の画像情報(1歳未満の者は顔写真不要[注 26][65]
  • 「利用者証明用電子証明書」(「シリアル番号」を含む)とその「秘密鍵」[注 27]
  • 「署名用電子証明書」(「シリアル番号」を含む)とその「秘密鍵」[注 28]
  • 「住民票コード」
  • 4種の「暗証番号(パスワード)」
    • 「券面事項入力補助用暗証番号」(数字4桁)
    • 「利用者証明用電子証明書用暗証番号」(数字4桁)
    • 「住民基本台帳用暗証番号」(数字4桁)
    • 「署名用電子証明書用暗証番号」(英数字6 - 16桁)
  • カードアプリケーション機能(ICチップの空き領域の機能)[66]マイナンバーカードの利用#空き領域の活用 を参照

医療情報などその他プライバシー性の高い情報は役所等各機関のデータサーバー側にあり、ICチップ内には保持していない[注 29]。チップ内の情報から「本人である」と認証された後にサーバー側のデータが参照可能となる。マイナンバーカード利用時には、カード実物と共に、顔認証[注 30]または暗証番号による認証も合わせた二要素認証が行なわれる。仮に第三者がカードを得ても、それだけでは医療情報などプライバシー情報を参照することは出来ない[4][7][67]

マイナンバーカードのICカードとしてのオペレーティングシステム (OS) は、カードを製造し納品したメーカーによって異なるものが使われており、カードOS間の互換性はない。現在、複数のメーカーがマイナンバーカードを製造し納品しているが、外部インターフェース仕様を規定することで、どのメーカーが製造し納品したカードでも、ICチップ内の動作が異なるにもかかわらず、カードを利用する外部のシステムとの互換性が保たれるようにしている[2]。マイナンバーカードの製造は、地方公共団体情報システム機構 (J-LIS) が「個人番号カード用ICカード製造業務等」として発注しており、随意契約[68]や一般入札[69]で、NTTコミュニケーションズ凸版印刷の2社[70]が契約し、製造している。

シリアル番号

マイナンバーカードの「署名用電子証明書」と「利用者証明用電子証明書」のシリアル番号は、発行番号とも言われ、電子証明書の特定が可能である。マイナンバーカードを活用するサービスにおいて、初回利用時にシリアル番号を記録することで、次回以降のログイン時にシリアル番号を突合せることで利用者を特定することができる。初回の申請時に「署名用電子証明書」を使用した場合でも、地方公共団体情報システム機構を通して、「署名用電子証明書」のシリアル番号から「利用者証明用電子証明書」のシリアル番号を取得することで、ログインで使用する「利用者証明用電子証明書」と突合せることができる。「利用者証明用電子証明書」の有効期限は5年で、「利用者証明用電子証明書」が更新されるとシリアル番号も更新されるが、新「シリアル番号」から旧「シリアル番号」を取得する仕組みがあるため、追尾が可能である[71]。マイナンバーカードを作らない場合や、マイナンバーカードに「利用者証明用電子証明書」を付けない場合は、シリアル番号は発行されない。

マイナンバーカードの「マイナ保険証」の機能では、「マイナンバー」ではなく、「利用者証明用電子証明書」の「シリアル番号」を利用し、マイナンバーカードと健康保険証の紐づけが行われている[72]

地方公共団体情報システム機構(J-LIS)では、民間企業に、マイナンバーカードの「利用者証明用電子証明書」の「シリアル番号」を利用した顧客管理を提案している[73]。総務省自治行政局住民制度課が2015年12月に公表した「個人番号カードの概要及び公的個人認証サービスを活用したオンライン取引等の可能性について」[74]では、

  • シリアル番号を使って、オンラインショップやネットバンクが、個人を長期に渡りモニタリングする構想(23、24ページ)
  • シリアル番号を使って、プラットフォーム事業者が、一人の利用者の情報を、多数の民間事業者との間で集約、発信する構想(29ページ)

が示されている。

マイキーID・マイキープラットフォーム

マイナンバーカードのICチップ内の「公的個人認証部分」(「利用者証明用電子証明書」と「署名用電子証明書」)と「空き領域部分」を合わせて「マイキー部分」と称する[75]

「マイキーID」とは半角大文字英数(AからZまで26種と0から9まで10種の36種)8桁からなる番号[76]で、「マイナンバーカードのマイキー部分のうち、公的個人認証サービスに対応して本システム利用者が任意で作成し、一意性が確保されたID」である[77]。「公的個人認証サービスに対応して」は、具体的には「利用者証明用電子証明書」の「シリアル番号」にマイキーIDが紐づけされることを意味する。「一意性」があるため、マイキーIDにより、個人は特定される。

「マイキープラットフォーム」はデジタル庁が運営するデータベースで[78]、「マイキーID」に対し「事業者ID」と「サービスID」の組を対応させ、「事業者ID」には決済サービス業者、自治体マイナポイントの事業者、各地の図書館、公共施設などの事業者ごとに付けられるID番号が入り、「サービスID」は各事業者が顧客に付けるID番号(会員番号、利用者番号など)が入る[79]。これにより、「マイキーID」に紐づけられた会員番号などが網羅的に把握できることになり、マイナンバーカード1枚で、ポイントカード、図書館カード、施設利用カードなど何枚ものカードの役割りを代替することができる。逆にプラットフォーム側から見た場合、ある個人がどのような決済システムを利用し、どのような施設の会員になっているか、網羅的に分かることになる。

「マイキープラットフォーム」で保有している個人情報の項目は、e-govサイトの「個人情報ファイル簿」で確認可能である[80]。マイキープラットフォームはマイキーIDに「利用者証明用電子証明書」の「シリアル番号」も紐づけされ、マイナンバーカードが更新の場合や、「利用者証明用電子証明書」が更新の場合も追跡可能である[81]。この機能により、本人が「マイキーID」を失効させて後日新たな「マイキーID」を取得した場合も、同一人物の識別が可能である。

暗証番号、パスワード

マイナンバーカードには、ICチップに搭載される4種のアプリケーション (AP) のうち3種に対応するため、以下の4種類の暗証番号パスワード)が使用される[7]

  • 「券面事項入力補助用暗証番号」(数字4桁)
  • 「利用者証明用電子証明書用暗証番号」(数字4桁)
  • 「住民基本台帳用暗証番号」(数字4桁)
  • 「署名用電子証明書用暗証番号」(英数字6 - 16桁)
さらに見る ICチップ内の情報, ICチップ内のAP ...
マイナンバーカードのICチップ内のアプリケーション(AP)と暗証番号の対応
ICチップ内の情報ICチップ内のAP暗証番号アクセスコントロール
基本4情報(氏名、住所、生年月日、性別)の画像、顔写真の画像券面APなし照合番号A または 照合番号B
マイナンバーの画像なし照合番号A
基本4情報(氏名、住所、生年月日、性別)券面事項入力補助AP券面事項入力補助用(数字4桁)暗証番号 または 照合番号B
マイナンバー暗証番号 または 照合番号A
利用者証明用電子証明書[82]JPKI-AP利用者証明用電子証明書用(数字4桁)暗証番号
署名用電子証明書[82]署名用電子証明書用(英数字6 - 16桁)暗証番号
住民票コード(11桁)住基AP住民基本台帳用(数字4桁)暗証番号
閉じる
  • 照合番号Aは、個人番号(マイナンバー)(12桁)である。
  • 照合番号Bは「生年月日」(6桁)、「カード有効期限年」(4桁)、「セキュリティーコード」(4桁)の14桁の数字。「セキュリティーコード」(4桁)は、マイナンバーカード表面の左下に記載された4桁の数字である。照合番号Bは、マイナ保険証の顔認証プロセスや、「個人番号カード対応版券面事項表示ソフトウェア[83]」等で使用されている。( マイナ保険証#偽造対策 を参照)
  • 4種の暗証番号:券面事項入力補助用(数字4桁)、利用者証明用電子証明書用(数字4桁)、署名用電子証明書用(英数字6 - 16桁)、住民基本台帳用(数字4桁)は、全てマイナンバーカードのICチップ内に格納されている[7]
  • 暗証番号(パスワード)の変更は、パソコンとICカードリーダライタがあれば可能である[84]

暗証番号の失念・再設定

暗証番号は一定回数連続して誤るとロックが掛かり、使用不能となる[85]

  1. 利用者証明用電子証明書、券面事項入力補助用、住民基本台帳用(数字4桁) - 連続3回誤ると使用不能。ロック解除(再設定)は住民票所在地の役所または一部の郵便局で手続きが必要[86]。あるいはマイナンバーカードが読み取り可能なスマートフォンとコンビニ端末で実施可能[87]
  2. 署名用電子証明書(英数字6 - 16桁) - 連続5回誤ると使用不能。ロック解除(再設定)は住民票所在地の役所で手続きが必要。あるいは、利用者証明用電子証明書用暗証番号(数字4桁)が分かれば、パソコンとICカードリーダライタによって初期化が可能[88]。パソコンとICカードリーダライタが無い場合も、マイナンバーカードが読み取り可能なスマートフォンとコンビニ端末でも初期化・再設定が可能である[89][90]

2024年1月19日、総務省は能登半島地震 (2024年)被災者に対し、避難先の自治体窓口でも再設定を可能とするよう対応した[91][92]

2024年7月25日、利用者証明用電子証明書暗証番号の初期化・再設定作業が、コンビニエンスストア等で可能となった。マイナンバーカードが読み取り可能なスマートフォンと署名用電子証明書パスワードが必要[87][93][94]

顔認証マイナンバーカード(暗証番号設定無しカード)

2023年7月4日、松本剛明総務大臣は、電子証明書を搭載しつつ暗証番号を設定しない形でのマイナンバーカードを11月頃より発行する計画を発表した[95]。これは、認知症などで暗証番号の管理に不安がある者、福祉施設での一括管理や代理交付の際の代理人の負担軽減を意図したもの。マイナ保険証としての利用時は顔認証にて照合する(顔認証で照合できない場合は医療機関職員が目視等にて確認する)。暗証番号の設定が無いため、その他のマイナンバーカード機能、例えばマイナポータルの利用、コンビニ交付サービス等は利用できない[96][97]。現状、マイナンバーカードの各機能の中で顔認証方式・目視確認方式を採用しているものはマイナ保険証のみであり、事実上、マイナ保険証機能に限定したカードとなる[98]

2023年10月13日、本件を実施するための省令改正について、総務省が意見募集を開始した[99]。名称は「顔認証マイナンバーカード」となり[100][101][102]、12月導入開始見込み[103][104][105]。12月15日省令改正[106]を経て導入開始[107][108]。交付数は2024年2月末時点で9,313件[109]

顔認証

マイナ保険証において、顔認証技術を使用している。これはICチップ内に持つ顔写真情報[注 31]と、端末のカメラから得た顔情報を照合・認証するもの。医療機関向けのカードリーダーは複数のメーカーから製造・出荷されている[110]が、顔認証の精度は厚生労働省が統一的な基準を定めている。具体的には、他人受入れ率(FMR、誤合致率)が0.01%の時に本人拒否率(FNMR、誤非合致率)を0.6%以下とすることを定めている[111]。また、第三者機関(アメリカ国立標準技術研究所 (NIST) 等)における顔認証精度の評価結果か、当該顔認証エンジンの導入実績等の提示も必要となる[112]

  • 他人受入れ率(FMR、False Matching Rate、誤合致率) - 本人と異なる顔で照合した結果の内、“同じ顔”と判断される確率。FAR(False Acceptance Rate)、偽陰性、第二種過誤[113]
  • 本人拒否率(FNMR、False Non-Matching Rate、誤非合致率) - 本人の顔で照合した結果の内、“異なる顔”と判断される確率。FRR(False Rejection Rate)、偽陽性、第一種過誤[113]

一般に、他人受入れ率(FMR、誤合致率)を下げようとする(認証精度を厳格にする)と、本人拒否率(FNMR、誤非合致率)が上がってしまう(本人の顔でも “異なる” と判定してしまう確率が上がってしまう)。医療機関向けカードリーダーでは、他人受入れ率が0.01%(1万人に1人)の精度の中で、本人拒否率を0.6%(1,000人中6人=約167人に1人の割合)以下に抑えるよう求めている。このため、1日の受診患者が167人規模の医院や病院では、毎日のように本人拒否が発生することになる。その場合は顔認証を再実施する。再認証は10回まで可能[114][115]。「本人」であるにも関わらず10回連続で拒否される確率は、もし独立事象と仮定すれば16710=約168垓7192京分の1だが、1度本人拒否が発生すれば、同条件での再試行では再び本人拒否が発生するため、独立事象という仮定は誤りであり、単純な10乗を取る左記の計算は誤りである。顔認証はマスク着用状態でも判定されるが[116]、カードリーダーメーカーは、再認証の際は念のためマスク・眼鏡・帽子等を外すよう呼び掛けている[117]

マイナ保険証の顔認証技術は、ICチップ内に持つ顔写真情報を照合の基礎としており、平面情報のみである。AppleFace IDのような深度も含めた立体構造での照合[118]は行われない。よって顔写真のコピーでも認証されしまうという報道もある[119][120]

磁気ストライプ

マイナンバーカードには、ICチップだけでなく磁気ストライプも実装されている[121]。印鑑登録証カードの登録機や読み取り機等、自治体が従来より所有していた機器の継続利用を可能とすることが主な目的[注 32]。自治体が、必要な情報(印鑑登録証番号や図書館利用者番号等)を磁気ストライプ部へ記録し、印鑑登録証カード、図書館カード等として使用することができる[122]。デジタル庁が公開する「自治体におけるマイナンバーカードの活用事例」のうち「磁」の記号が磁気ストライプを使用したもの。ほとんどが印鑑登録証カードとしての利用である。

マイナンバーカードのセキュリティ対策

  • マイナンバーカードのICチップに格納する情報の限定[7][123]
  • カード内の公的個人認証アプリケーションや券面事項確認アプリケーション、券面事項入力補助アプリケーションなど、それぞれへの条件や暗証番号等のアクセス権情報の設定[7][123]
  • アプリケーションファイアウォールによるカード内のアプリケーションの独立[7][123]
  • 偽造や不正な読み出しを目的とした不正行為に対応するための対抗措置(耐タンパー性[7][123][124]
    • 物理的読出対策 - 光が当たるとメモリ内容消去、メモリ回路素子が表面から観察できない、電圧異常やクロック異常等の検知で動作停止、メモリ素子の物理配置ランダム化&暗号化により解読不可
    • ICチップの電力消費量や処理時間などを測定・解析することへの対策 - 消費電力や処理時間を攪拌(かくはん)することで、読み取った信号の統計的な解析を困難にする
  • 暗証番号の入力試行回数の制限(一定回数連続して失敗すると本人や委任状を持った人が役所にて初期化する必要がある。#暗証番号の失念・再設定 を参照)
  • ISO/IEC15408認証の取得[7][123]
  • レーザーエングレーブやマイクロ文字など、券面の偽変造を防止するための加工[7][123]

その他のセキュリティ対策

  • (紛失等による)マイナンバーカードの一時利用停止が24時間365日できるコールセンターの運営[125]

偽造対策

2023年以降、偽造されたマイナンバーを用いた犯罪が発生している( #偽造 を参照)。河野太郎デジタル大臣は、2024年5月10日の会見でICチップ読取による確認を推奨すると共に、目視による偽造確認のポイントを紹介し[126]、マイナンバーカードを用いて本人確認をする事業者に、券面右上のパールインキで印刷されたマイナちゃんの背景の色が見る角度によって緑色や桃色に変化するチェックポイント等を周知するための事務連絡を関係省庁に通知した[127]。5月14日の会見では、地方公共団体情報システム機構 (J-LIS) が無償提供しているWindows PC用の確認ソフト「個人番号カード対応版券面事項表示ソフトウェア[83]」を紹介すると共に、今後スマートフォンアプリでの提供を検討すると述べた[128][129]

2024年6月26日、アイ・オー・データ機器は自社製のICカードリーダー用に「マイナカードチェッカー」を公開した[130][131]

対面確認アプリ

2024年7月23日、デジタル庁は「マイナンバーカード対面確認アプリ[132]」を発表[133][134]。対面での携帯電話契約等でマイナンバーカードの真贋を確認するスマホアプリ。iOS、Androidに対応。カード券面をスマホカメラで撮影し、照合番号Bに該当する情報をOCR技術にて取得(照合番号Bは #暗証番号、パスワード を参照)。ICチップから券面情報を呼び出す[135][136]。「対面確認アプリ」は偽造対策としてマイナンバーカードの真贋を確認するもの。暗証番号や顔認証は使用せず、多要素認証ではない。従って、本人確認本人認証は目的とされていない。本人確認・本人認証の用途では、別途「デジタル認証アプリ」が提供されている[137]

「対面確認アプリ」は2024年7月29日から8月1日に三井住友銀行[138]等で実証実験を行ない[139][140]、8月下旬リリース予定[141]。8月20日リリース[142][143][144]。金融機関、携帯電話契約、中古品買取、自治体窓口等での利用が想定されている[145]

スマートフォン対応

#スマートフォンへの電子証明書搭載、および #全てのマイナンバーカード機能のスマホ搭載 が順次進められている[146]

スマートフォンへの電子証明書搭載

2023年5月11日、スマートフォンに電子証明書が搭載可能となった。「スマホ用電子証明書」と称する[147]。これは #暗証番号、パスワード で挙げられた4つのアプリケーション(AP)のうちJPKI-APのみをスマートフォン内に持つものであり、公的個人認証法に基づく[注 33]。マイナンバー法の個人番号カード(マイナンバーカード)には該当せず、個人番号(マイナンバー)も利用しない[注 34]。スマホ用電子証明書は、マイナンバーカード内の電子証明書と同等の最高位の身元確認保証レベル (IAL3) を持つ[148]

2023年5月11日、Android OSの認定機種[149]に限って、利用者証明用電子証明書、署名用電子証明書の搭載が可能となった[150]。以下の日程で、各サービスがマイナンバーカード無しで利用可能となる[151]

スマホ用電子証明書のシステム仕様

スマホ用電子証明書は、スマートフォン内の安全領域とされる「GlobalPlatform Secure Elements」(GP-SE)へ格納される[167]。同領域のデータは他のアプリやOSさえもアクセス出来ない強固な安全性を持つ[168][169]。一方でスマホ用電子証明書は、端末の初期化でも削除されない。機種変更等で端末を手放す際は自身で電子証明書の失効手続きを行なうことが、公的個人認証法で義務付けられている[注 35]。失効手続きを行なわなかったとしてもパスワードが分からなければ第三者による悪用は無い[170]が、スマートフォン所持者の法的義務および万全を期すため、デジタル庁[170]や、メルカリ[171]ヤフオク![172]PayPayフリマ[173]ゲオ[174]らは、スマートフォンを売却や出品する際は電子証明書の失効手続きを欠かさぬよう呼び掛けている。

スマートフォン内のGP-SEと外部サーバー(Trusted Service Manage)の間の通信には、国際標準に準拠したセキュアチャネルプロトコル(SCP03、Secure Channel Protocol 3)を使用し、通信経路途中でのデータの盗聴防止対策を講じている[148]

GP-SEへの格納について、総務省が始めに立ち上げた「スマートフォンへの利用者証明機能ダウンロード検討サブワーキンググループ[175]」(2015年11月から2018年6月まで)では、SIMカードのセキュアエレメント (SE) への情報格納を志向していた[注 36]。しかし携帯電話事業者は、SIMカードの第三者への開放を縮小/廃止する方向であった[176]。そのため2020年11月に新たに開始した「マイナンバーカードの機能のスマートフォン搭載等に関する検討会[177]」では、「モバイルFeliCa」のセキュアエレメント (FeliCa-SE) へ格納するよう方針を変更した[178]。その後、FeliCa-SEはGlobalPlatformに準拠したものであることを明確にするため、呼称を「GP-SE」へ変更し[179]、同領域への格納が決定した[180]

iOS端末 (iPhone) への搭載

iOS端末 (iPhone) にもセキュアエレメントは搭載されている[181]。しかしiOS端末のセキュアエレメントは、Apple以外による利用が認められていない[182]。開放にはiOSの改修が必要とされている[183]

2022年12月15日、岸田文雄首相は来日中のApple社ティム・クックCEOへ、iPhoneへの搭載を直接要請した[184][185]。クックCEOは「取り組みたい」と回答したが、搭載時期は未定であり、実現は2024年以降の見通しと報じられた[186]。2023年4月25日、河野太郎デジタル大臣はiOS搭載について「やりますよという話は決まっておりますので、あとは時期の問題だと思います。」と述べた[注 37]。その後、河野大臣は、iPhoneへの対応について8月8日「働きかけをしているところ」[注 38][187]、12月1日「鋭意努力しているところ」[注 39]と述べた。2024年3月1日には「春または6月くらいのタイミングで何らかのアナウンスが行なわれる可能性がある」と報じられた[188]。3月5日、河野大臣は会見で「多くの方がお待ちかねのiPhoneへのスマホ搭載も頑張っているところだ。もうちょっとお待ちいただきたい」と述べた[189]。笑顔で語ったと報じられている[190]。3月22日、河野大臣は会見で、2025年の確定申告時期には間に合わせるよう自らAppleへ念押しした旨を述べた[191][192]。5月10日、iPhoneへの搭載は電子証明書単体ではなく後掲のmdocを用いた実装になり、デジタル庁の公開情報[193]から、リリース時期は10月頃だろうと報じられた[194][注 40]

2024年5月30日、岸田文雄首相とティム・クックCEOがオンライン会談を行ない、iPhoneへマイナンバーカード機能を搭載することを確認した[195]。同日、林芳正内閣官房長官[196]およびApple社[197]から公表された[198]。これは電子証明書のみならず、iPhoneのWallet#全てのマイナンバーカード機能のスマホ搭載 を実現するもの[199]。リリース時期は「2025年春の後半」とされている[197]。河野大臣が従前目処としていた「2025年の確定申告時期」よりは後のリリースとなった[200]

スマホ用電子証明書搭載の経緯

  • 2015年6月30日:第3次安倍内閣にて「日本再興戦略改訂2015」[201]および「世界最先端IT国家創造宣言」(2015年版)[202]を閣議決定。「2019年中の利用者証明機能のスマートフォンへのダウンロード実現」が明記された[注 41][注 42]
  • 2015年11月9日:総務省「個人番号カード・公的個人認証サービス等の利活用推進の在り方に関する懇談会[175]」の配下に「スマートフォンへの利用者証明機能ダウンロード検討サブワーキンググループ」を設置。2018年6月30日まで継続。
  • 2017年5月30日:第3次安倍内閣 (第2次改造)にて「世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」(2017年版)を閣議決定。「利用者証明機能のスマートフォンへのダウンロード実現」を、2016年度から2017年度の実証実験結果を受け、法改正を経て、2019年中に実現を図ると明記された[注 36]
  • 2020年11月10日:総務省にて、「マイナンバーカードの機能のスマートフォン搭載等に関する検討会[177]」が発足。2022年4月15日「マイナンバーカードの機能のスマートフォン搭載等に関する検討会 第2次とりまとめ」を公表[148]。2022年度末(2023年3月末)からのサービス開始が示された[203]
  • 2020年12月25日:「デジタル・ガバメント実行計画」(2020年版)が閣議決定[204]。別添1「マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤の抜本的な改善に向けて(国・地方デジタル化指針)」の中で、下記の日程が示された。
    1. 2020年度末まで:具体的在り方について検討
    2. 2021年の通常国会:公的個人認証法の改正案を提出
    3. 2021年度末まで:技術検証・システム設計
    4. 2022年度中:実現
  • 2021年5月12日:デジタル改革関連法案の一つ「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」にて公的個人認証法(電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律)の改正が可決、成立[205][206]。法律面でスマートフォンへ利用者証明用電子証明書、署名用電子証明書の搭載が可能となった。同法は、2023年4月1日施行[注 43]
  • 2022年10月13日:河野太郎デジタル大臣が、2023年5月11日からAndroidスマートフォンによるサービス提供を開始すると発表。従来より政府が示していた「2022年度末」を超えることについては、提供開始には一度システム停止を伴うためゴールデンウィーク後の日程になったと述べた[注 44]
  • 2023年5月11日:Androidスマートフォンへの電子証明書搭載サービス開始。

全てのマイナンバーカード機能のスマホ搭載

電子証明書のみならず全てのマイナンバーカード機能をスマートフォンへ搭載し、さらに利便性を上げることが計画されている[151][207]。2024年3月5日、政府は「情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律案」[208]を閣議決定し第213回国会へ提出した[209]。左記法案の中でマイナンバー法を改正し、「カード代替電磁的記録」という定義を新設。移動端末設備(スマートフォン)に対してマイナンバーカード記載事項(氏名、氏名の振り仮名(予定)、住所、生年月日、性別)および顔写真情報が搭載可能となる[210][211]。左記法案は5月31日、可決・成立[212]。公布から1年以内に施行。

技術仕様

2023年8月28日、デジタル庁は「マイナンバーカード機能等のスマートフォンへの搭載に係る実証事業(技術検証・要件検討)」の公募を実施した[213]。その調達仕様書には下記の技術を用いることが記されている[193]

  • ISO/IEC18013-5:2021に規定されているmdoc Data modelを活用して、mdocファイルにマイナンバーカードの情報を格納し、発行・管理する
  • ISO/IEC 23220に規定されているモバイルeIDに準拠
  • 合わせて既存のスマホ用電子証明書発行で使用しているSP-TSM (Service Provider - Trusted Service Manager) 等も改修

ISO/IEC18013-5:2021は、モバイル運転免許証 (mDL、en:Mobile driver's license) に関する国際規格[214]。運転免許証に限らず、広くデジタル身分証(デジタルID)の国際規格でもある[215]ISO/IEC 23220はモバイルeIDの国際規格である。

2024年4月16日、デジタル庁は「マイナンバーカード機能等のスマートフォンへの搭載に係る実証事業に伴う暗号方式の委託研究」の公募を実施した[216]。その調達仕様書で、ハイブリッド暗号方式 (HPKE, Hybrid Public Key Encryption) [217]を用いることが記されている[218]

効果・利便性

電子証明書に加え券面記載事項がスマートフォン内へ搭載されることで、カードからデータを読み取ることなく、スマートフォン内の情報(カード代替電磁的記録と電子証明書)のみでできるオンライン手続きが増えると期待されている[219]。例としてオンラインでの口座開設手続きが実物のカード無しで完結する等が挙げられている[220][221]。対面の場でも、カード代替電磁的記録から氏名等を提示し、実物のカード無しでの本人確認が可能となる[222][223]。その他、セルフレジでの年齢確認、マイナ保険証としての利用が例示されている[224]

安全性

スマートフォンへの搭載は、読み出しに生体認証が必要であること、紛失時は「探す」あるいはカードデータの「リモート消去」が可能であることから、物理カードの携行よりも安全性が高いと言われている[225]

デジタル資格者証

全てのマイナンバーカード機能のスマホ搭載後、順次、国家資格を「デジタル資格者証」としてスマートフォンへ搭載可能となる。mdoc形式で[226]マシンリーダブルな方法を採用する[227]

スマートフォンへの搭載状況

全てのマイナンバーカード機能のスマホ搭載の経緯

  • 2020年12月25日 - 『デジタル・ガバメント実行計画(2020年改定)』にて初めて構想を明記[注 45]
  • 2021年11月9日 - 内閣官房行政改革推進本部が開催した令和3年度秋の行政事業レビューにて、デジタル庁が『マイナンバーカードの機能のスマートフォン搭載等について』を公表[注 46]
  • 2023年
    • 6月9日 - 『デジタル社会の実現に向けた重点計画』へ記載[注 47]
    • 8月9日 - 『マイナンバー制度及びマイナンバーカードに関する政策パッケージ』へ記載[注 48]
    • 10月5日 - デジタル庁の有識者会議『マイナンバーカードの機能のスマートフォン搭載に関する検討会[229]』の、第4回会議で議題に掲載
  • 2024年
    • 5月31日 - 全てのマイナンバーカード機能のスマホ搭載を可能とする「情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律[230]」が可決、成立[212][231]
    • 8月2日 - デジタル庁が「デジタル資格者証」の構想を発表[226][227]
  • 2025年春の後半 - iPhoneへ搭載[197]
  • 2025年春以降 - マイナ保険証での利用開始[232]。iPhoneへの搭載以降、一部の医療機関から開始し順次拡大する計画[233](本件は当初は2024年4月開始予定とされていた[注 49][234][235]

沿革

  • 2015年(平成27年)10月23日~11月下旬 - 市区町村から、順次、住民に個人番号の通知書(通知カード)が簡易書留で郵送される[236]
  • 2016年(平成28年)
    • 1月 - マイナンバーカードの交付を開始[236]
    • 1月 - 公的個人認証・ICチップを民間に開放[236]
  • 2017年(平成29年)11月13日 - マイナポータルの本格運用を開始[237]
  • 2019年(平成31年・令和元年)
    • 1月 - e-Taxのログインでマイナンバーカードの利用が可能になる[238]
    • 5月24日 - 第198回国会にて「情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律等の一部を改正する法律案」が可決・成立[239]。5月31日公布[240]。デジタル手続法、デジタルファースト法と呼ばれる[241]。マイナンバーカード関連では、下記の改正が行われた[242][243]
      1. 利用者証明用電子証明書で、暗証番号入力を要しない方式を開始(公布から1年以内に施行)
      2. 通知カードを廃止し、マイナンバーカードへの移行促進を図る(公布から1年以内に施行 → 2020年5月25日施行[注 50]
      3. 国外転出者(在外日本人)に対して、マイナンバーカード・電子証明書の利用を可能とする(公布から5年以内に施行 → 2024年5月27日施行[注 51][244][245]
  • 2020年(令和2年)
    • 5月25日 - 通知カードを廃止[注 50]。以後、マイナンバー新規取得者への通知は、個人番号通知書によって行われる[246]
  • 2021年(令和3年)
    • 3月4日 - マイナ保険証の試行運用を11都府県の19医療機関・薬局にて開始[247]。同年10月20日より本格運用を開始[248]
    • 5月12日 - 第204回国会にてデジタル改革関連法案が可決、成立[249][250]。5月19日公布[251]。マイナンバーカード部分に関する制定・改正内容は下記のとおり
      1. 郵便局での電子証明書更新業務を可能とする[206] → 公布日施行( #マイナンバーカード及び電子証明書の更新 を参照)
      2. デジタル庁を設置。マイナンバーカード、マイナポータルの所管が総務省からデジタル庁へ移管される(9月1日施行)[252]
      3. 公金受取口座登録制度の創設[253]
      4. スマートフォンへの電子証明書搭載[206] → 2023年4月1日施行[注 43]
  • 2022年(令和4年)
    • 4月1日 - 2018年(平成30年)6月に、成年年齢を18歳に引き下げること等を内容とする「民法の一部を改正する法律」が成立し、この日から施行。マイナンバーカードの有効期限等も変更された。
    • 10月13日 - 河野太郎デジタル大臣が、マイナンバーカード関連の今後の計画について、以下の3点を発表した[254]
      1. 2024年秋に、従来の健康保険証を廃止しマイナ保険証へ一本化 (→ マイナ保険証 を参照)
      2. 2024年度末までの早い時期に、運転免許証とマイナンバーカードを一体化(従来の運転免許証は廃止しない) (→ #運転免許証として を参照)
      3. 2023年5月11日から、スマートフォンへの電子証明書搭載を開始 (→ #スマートフォン対応 を参照)
  • 2023年(令和5年)
    • 6月2日 - 第211回国会にて「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律[255]」が可決、成立[256][257]。6月9日公布[258]。左記はいわゆる「束ね法案」であり、マイナンバー法の他、関連する各法が改正された。マイナンバーカード部分に関する制定・改正内容は下記のとおり[259]
      1. 公布日に施行
      2. 公布日から1年3ヶ月以内(2024年9月8日まで)に施行 → 2024年5月27日施行[注 52][244][245]
        • 在外公館でのカード交付を可能とする
        • 暗証番号(PINコード)無しでのマイナンバーカードかざし利用を可能とする
        • 年金受給口座を、公金受取口座として登録可能とする(→公金受取口座 を参照)
      3. 公布日から1年6ヶ月以内(2024年12月8日まで[260])に施行 → 2024年12月2日施行[注 53][261]
        • 保険資格確認を「マイナ保険証」へ一本化し、現行の健康保険証を廃止(医療保険各法から保険証発行に関する記述を削除[注 54]。資格確認書の発行を新設[注 55]
        • 新生児やカードを紛失した者等、速やかに交付が必要な場合を対象に「特急発行・交付」の仕組みを創設[注 56]
        • 乳児に対するカードについて、顔写真を不要とする
      4. 公布日から2年以内(2025年6月8日まで)に施行
        • カード記載事項に「氏名の振り仮名」を追加(戸籍における氏名の振り仮名の追記を受けて。外国人は戸籍を有しないため対象外になる)
      5. 公布日から3年以内(2026年6月8日まで)に施行
        • 電子署名関連の改正
  • 2024年(令和6年)
    • 5月31日 - 第213回国会にて「情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律[230]」が可決、成立[231]。6月7日公布[212]。左記法案の中でマイナンバー法も改正された。改正内容は以下のとおり[262]
      1. 公布日から1年以内に施行
        • マイナンバーカード機能のスマートフォンへの搭載
      2. 公布日から5年以内に施行
    • 6月15日 - 第213回国会にて「出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律[263]」が可決、成立[264][265]。公布から2年以内に施行。左記法案の中で出入国管理及び難民認定法が改正された。マイナンバーカードと一体化した「特定在留カード」が創設された[266][267]

発行対象・方法

発行対象、申請方法

マイナンバー(数字12桁の番号そのもの)は2015年11月までに、住民票があるすべての者(国民と外国人)に付番されている。マイナンバー(個人番号)を持つ者は、年齢にかかわらず誰でも、マイナンバーカードを持つことができる[268]在外日本人は国内に住民票が無く、マイナンバーカードを持つことができなかったが、2024年5月から交付可能となった。

2020年5月24日までに発行された「通知カード」、または2020年5月25日以降に発行された「個人番号通知書」から申請することで、マイナンバーカードの交付を受けることが出来る[269]新生児は、出生届を届けて住民票が作成されてから約1か月後に、世帯主あてに個人番号通知書が届けられる[270]。これを用いて新生児のマイナンバーカードを申請することができる。既に「通知カード」や「住民基本台帳カード」を所持している場合は、マイナンバーカードの交付を受ける際に市区町村へ返納する必要がある。

発行者、交付者

マイナンバーカードは住民が、直接または地方自治体を介して地方公共団体情報システム機構 (J-LIS) へ申請し、J-LISが作成・発行する[注 11]。作成者・発行者は地方自治体ではない。その上で、交付は地方自治体が行なう。交付者はその自治体の市町村長である[注 57]

交付方法

対面交付の原則と身元確認保証レベル

マイナンバーカードは、法令により、申請者本人が役所等へ来庁し、自治体職員が対面で本人確認の上で交付することが定められている[注 58]。これによってマイナンバーカードは、「行政手続におけるオンラインによる本人確認の手法に関するガイドライン」(2019年2月15日、各府省情報化統括責任者 (CIO) 連絡会議決定)が規定する身元確認保証レベル (Identity Assurance Level) において3段階中最高位 (IAL3) の身分証明書に位置付けられている[271]

具体的には、「行政手続におけるオンラインによる本人確認の手法に関するガイドライン」の最終ページ「別表C」にあるように、

  • 対面で登録すること
  • 公的な写真付き身分証明書1種の提示
  • 申請情報の公的な台帳(住民票など)照合
  • 重複登録ではないことの確認

を行えば、身元保証レベルは最高位(IAL3)となる。

同ガイドラインはアメリカ国立標準技術研究所 (NIST) のガイドライン「Digital Identity Guidelines (NIST Special Publication 800-63-3)」とも整合性を持ったもの。そこから、マイナンバーカードの電子証明書を用いたオンライン手続き(公的個人認証サービス)もIAL3相当の行為と見なされている[272]。また、マイナンバーカードの電子証明書から生成されたスマートフォン用電子証明書も、同様にIAL3相当である[148][272]

対面確認の種類

交付を受けるためには、運転免許証日本国旅券(パスポート)などの公的身分証明書を市町村・特別区の窓口に持参し、窓口で対面による本人確認を受ける必要がある。後掲の通り、デジタル学生証等も認められている。この本人確認を申請時に行なう「申請時来庁方式」と、交付時に行なう「交付時来庁方式」がある[273]。申請時来庁方式の場合はその段階で本人確認が済んでいるため、カードの交付は郵送であることが多い[274]。申請時来庁方式は必ずしも庁舎での受付に限らず、出張申請受付も多用されている[275]。一方で申請時来庁方式は、顔写真を取り違えてカードを発行(郵送)するといった単純ミスも発生している。(→「#顔写真取り違え・誤交付」を参照)

交付時来庁方式の場合は、発行されたマイナンバーカードを受け取る際に、役所の専用端末で各種の暗証番号・パスワードを登録する[7]。申請時来庁方式の場合は、申請した暗証番号・パスワードをあらかじめ設定された状態で本人へカードが届けられる。利用者電子証明書や署名用電子証明書については、申請時に「利用しない」にチェックを入れた場合は発行されない。15歳未満の者に署名用電子証明書は原則発行されない[276]

本人確認は、従来は「書類」を提出することとなっていたが、施行規則を改正し[277]、2024年5月20日からデジタル学生証等、「電磁的記録に記録された事項を移動端末設備(スマートフォン)の映像面に表示したもの」でも可能となった[278][279]

特急発行

新生児や急を要する者へ、1週間以内(最短5日)にJ-LISから申請者へ直接送付する制度[280][注 56]。2024年秋までに開始する[281] → 2024年12月2日施行[注 53][261]。特急発行の対象者は以下の者。

  1. 1歳未満の新生児
  2. 転入や出生等以外の理由で住民票に新たに記載された者
  3. 新たに住民票に記載された中長期在留者等
  4. 個人番号又は住民票コードの変更により個人番号カードが失効した者
  5. 個人番号カードが焼失し若しくは著しく損傷し、又は個人番号カードの機能が損なわれたことにより個人番号カードの再交付を求める者
  6. 追記欄の余白がなくなったことにより個人番号カードの再交付を求める者
  7. 刑事施設に収容されていた者

マイナンバーカードの申請や交付が困難な者への対応

多くの住民にマイナンバーカードを交付すべく、下記の取り組みが行なわれている。

  • 代理交付 - 2023年3月31日、事務処理要領を改訂し、代理交付の要件と疎明資料の範囲を大きく拡充・明確化。柔軟に交付できる体制に変更した[281]
  • 施設での管理など - 2023年8月7日、デジタル庁・厚生労働省・総務省は、合同で「福祉施設・支援団体向けマイナンバーカード取得・管理マニュアル」を作成[282][283][284]。自治体職員が福祉施設へ赴く出張手続、代理人申請の方法、施設でのカードの管理方法等を列記した。厚生労働省にて推進中[285]。地方自治体の中には、施設でのカードの一括申請に対して謝礼金を支払うところも存在する[286]
  • 認知症や管理困難者への対応 - 2023年11月から、#顔認証マイナンバーカード(暗証番号設定無しカード) の発行を開始する
  • 郵便局での交付 - 指定された郵便局を役所とオンラインで接続し、自治体職員の本人確認の上で交付を可能とする[281]。2023年6月2日、「地方公共団体の特定の事務の郵便局における取扱いに関する法律」(郵便事務取扱法)が改正され対応可能となった(公布・施行6月9日)[注 59]。2024年2月21日、イオンモール都城駅前内郵便局で全国初実施[287][288][289][290][291]。同郵便局は2022年に電子証明書更新業務でも、全国で初めて実施した。(#マイナンバーカード及び電子証明書の更新 を参照)

過去には、自治体職員以外の者が本人確認行為を実施する案も検討されたが、いずれも制度化は見送られている(下記)。

  • 郵便局員 - 2022年10月、総務省が検討していることが報じられた[292]。郵便局員を非常勤の公務員とする方法。検討の結果、上掲のとおり郵便局と役所をオンラインで接続し、本人確認はあくまでも自治体職員が行なう事を維持した[293][294]
  • 高齢者施設の施設長やケアマネージャー - 2022年12月、政府内において検討していることが報じられた[295][296]。「マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会 専門家ワーキンググループ」で検討されるとしていた。検討の結果、上掲のとおり代理交付や自治体の出張手続を拡充することとし、施設長やケアマネージャーが本人確認行為をする案は見送られた

受刑者への交付

2023年9月、収監中の受刑者へのマイナンバーカードの交付に制約があることが報じられた[297]。マイナンバーカード発行開始前の2015年9月28日付けで法務省矯正局[298]が全国の刑務所へ発信した事務連絡において、「釈放後に取得すれば足りる」「便宜を図る必要は無い」と書かれていたことが原因。長期の受刑者の場合、運転免許証は失効することがあり、健康保険証も廃止予定であることから、特に釈放予定者が出所前に公的な身分証明書をあらかじめ取得しておくことは、円滑な社会復帰において重要な要素とされている[299]

2023年10月31日、法務省矯正局は通知を改め、希望する者に対して刑務所は必要な支援をするよう求めた[300][301]。住民票が消除[注 60]されている受刑者は、刑務所の所在地を当人の住所とすることも可能[303]。申請では自治体職員が刑務所を訪問し出張受付することや、交付では家族らによるカードの代理受領が困難な場合は刑務官らが受け取ることを示している[304]

在外公館での交付

従来、海外赴任等により日本国内での住民票登録が無くなると、マイナンバーカードも連動して失効する扱いであった。2024年5月27日より、日本国籍とマイナンバーを有するが日本国内に住民票登録が無い海外在住者も、在外公館でマイナンバーカードの申請・交付が可能となった[305][306][307]。この場合の住所地は、戸籍の附票に基づいて設定される[308][309]

利用

カード等の有効期限

日本国籍を有する住民の場合

さらに見る カードの有効期限, 利用者証明用電子署名書 ...
マイナンバーカード等の有効期限
カードの有効期限利用者証明用電子署名書署名用電子証明書
18歳以上 10回目の誕生日5回目の誕生日5回目の誕生日
15歳以上18歳未満 5回目の誕生日
15歳未満 ×(原則なし)
閉じる

マイナンバーカードの有効期間は、18歳以上の者の発行の日から10回目の誕生日まで、18歳未満の者は容姿の変化が大きいことから、顔写真を考慮して5回目の誕生日までとなっている[注 61]。2つの電子証明書の有効期間は、発行の日から5回目の誕生日までである[注 62]

外国籍(非日本国籍)住民の場合

永住者・高度専門職第2号・特別永住者

外国人住民のうち、永住者、高度専門職第2号および特別永住者は、日本国民の場合と同じである[7]

それ以外の外国籍者

一方、永住者、高度専門職第2号以外の中長期在留者や一時庇護許可者、仮滞在許可者などの者は、在留資格や在留期間があることから有効期間も異なるが、申請に基づき、マイナンバーカードの有効期間を変更することが可能である[7]。在留期間の延長を行った場合は、券面記載事項の変更が必要である[7]

マイナンバーカード及び電子証明書の更新

マイナンバーカード更新手続きにはマイナンバーカード自体の更新と電子証明書のみの更新の2種類がある。期限を迎える者に対し、有効期限の2~3ヶ月前を目途に有効期限通知書が送付される[310]

更新手続きは無料である[310](紛失、破損、顔写真変更希望等による再交付は有料[311]。カード本体800円[312]、電子証明書200円[313])。2024年1月11日、J-LIS(地方公共団体情報システム機構)は、能登半島地震 (2024年)の影響でカードを紛失・破損し再発行する場合、または電子証明書の有効期限までに来庁できず失効し電子証明書を再発行する場合は手数料を徴収しないと発表した[314][315]

マイナンバーカード自体の有効期限が近づいた場合は、有効期限通知書の案内に沿って申請を行い新たなカードの交付を受けることで、電子証明書のみの有効期限が近づいた場合には、有効期限内のマイナンバーカードもしくは本人確認書類と有効期限通知書を持って役所で手続きをすることで、それぞれ更新手続きが完了する[310]

2021年5月12日、「地方公共団体の特定の事務の郵便局における取扱いに関する法律」(郵便事務取扱法)が改正され(公布・施行5月19日)[251][249][250]、郵便局で電子証明書の更新が可能となった[注 63][注 64]。その後、2022年5月10日、宮崎県都城市の「イオンモール都城駅前内郵便局」において、全国で初めて電子証明書の更新業務を開始した[317][318]。同郵便局は2024年に本人確認・交付業務でも、全国で初めて実施した。(#マイナンバーカードの申請や交付が困難な者への対応 を参照)

廃止・失効

交付されたマイナンバーカードが廃止・失効するケースは以下のとおり。

  • 有効期限満了(マイナンバー法第17条6項)
  • その他政令で定める場合(マイナンバー法第17条6項、法施行令第14条)
    • 国外転出し継続利用手続きをしないとき(法施行令第14条1項)
    • 転出届提出後、転入届を14日以上未提出(法施行令第14条2項)
    • 転出届を提出し、転入届提出後、マイナンバーカードの継続利用手続きを90日以上未実施(法施行令第14条3項)
    • 住民票が消除されたとき(法施行令第14条4項)[注 65]
    • 住民票コードの修正が行われたとき(法施行令第14条5項)[注 66]
    • 個人番号を変更した場合における、変更前のマイナンバーカード(法施行令第14条6項)
    • 国外居住でマイナンバーカードを所持していた者が国内へ転入し、転入届を14日以上未提出(法施行令第14条7項)
    • 国外居住でマイナンバーカードを所持していた者が国内へ転入し、マイナンバーカードの継続利用手続きを90日以上未実施(法施行令第14条8項)
    • 国外居住でマイナンバーカードを所持している者の戸籍の附票が消除されたとき(法施行令第14条9項)
    • 国外居住でマイナンバーカードを所持している者が券面記載事項のために一旦国内の市区町村(戸籍の付票の所在自治体)へ提出し、変更後のカードを期日までに受け取らなかったとき(法施行令第14条10項)
    • 本人の死亡(法施行令第14条11項)[注 19]
    • 住民基本台帳法の適用を受けない者となったとき(法施行令第14条12項)
    • 本人の意思による返納(紛失・破損の届出を含む)(法施行令第14条13項)
    • 錯誤等が判明し、返納を命じたもの(法施行令第14条14項)

2023年7月7日、総務省は、マイナンバーカードの交付開始以降、2023年6月30日時点までの総廃止枚数は492万枚だったと発表[321]。総務省は内訳を「1.死亡」、「2.有効期限切れ」、「3.紛失」、「4.更新に伴うもの」、「5.国外転出」、「6.本人希望・その他」に分類している。その中の「6.本人希望・その他」には、「A) 本人の希望」、「B) 転入届出から90日経過後も継続利用処理が行われていない」、「C) 外国人住民が在留期間満了前に在留期間の短縮によりカードを廃止」、「D) 引っ越しを重ねたことにより、マイナンバーカード追記欄の余白が埋まったための再発行」が挙げられる。「6.本人希望・その他」は左記のAからDを合わせて3月末時点で42万枚、5月末時点で45万枚[322]。6月末時点で47万枚だった(いずれも交付開始以降の累計)[321]

2023年7月18日、総務省は立憲民主党からのヒアリングの場で、6月1ヶ月間における全国12市町の抽出調査結果を発表(個別の自治体名は非公開。総人口は230万人余り)。上掲の「6.本人希望・その他」全247件のうち、「A) 本人の希望」に該当するものは97件(39%)だった[323][324]。7月21日、松本剛明総務大臣は、このサンプル調査について対象の拡大や継続をするつもりは無いと述べた[325]

他のカード等との違い

個人番号通知書や通知カード

住民基本台帳カード

券面

マイナンバーカードは、顔写真入りの住民基本台帳カード「Bタイプ」には記載されなかったマイナンバーが記載されている。住民基本台帳カードの場合、氏名のみが表示され、住所、生年月日、性別、顔写真を券面に表示しない「Aタイプ」を選ぶことができたが、マイナンバーカードにそのようなタイプはない。

証明写真の規格は日本国旅券と同じ基準とサイズが適用され、証明写真に使える写真基準も、旅券申請用の写真規格と同じ基準となり、申請出来る写真規格が厳格化された。

住民基本台帳カードは市区町村により様式が異なり、第三者は真贋の見分けが困難であったが、マイナンバーカードは全国共通の仕様である。

利用

マイナンバーカードの電子証明書は、住民基本台帳カードと異なり、都道府県や行政機関、民間などで利用が可能になった。住民基本台帳カードにはなかった利用者証明⽤電子証明書がICチップに格納されている。

発行手数料

マイナンバーカードは、住民基本台帳カードと異なり、希望者に無料で交付される[7]日本国政府は、多くの市区町村が交付手数料を徴収したことが、住民基本台帳カードの普及を妨げた要因の一つと分析している[326]。そのため、マイナンバーカードの発行に要する費用は、日本国政府の予算で手当てし、本人の金銭負担を解消させた。

交付事務の区分

通知カードの作成業務は、全国の市町村・特別区が地方公共団体情報システム機構へ委託した[327]。マイナンバーカードは住民が直接または地方自治体を介してJ-LISへ申請し、J-LISが作成・発行する[注 11]。作成者・発行者は地方自治体ではない。

交付は地方自治体が行なう。住民基本台帳カードの交付事務は市区町村の自治事務であったが、マイナンバーカードの交付事務は法定受託事務である[注 57]

有効期限

日本国籍を持つ住民の場合、住民基本台帳カードの有効期間は一律、発行日から10年であった[注 67]。マイナンバーカードの有効期限は、18歳以上は発行日からその後10回目の誕生日まで、18歳未満は発行日からその後5回目の誕生日までとなる[注 61]。電子証明書の有効期限は年齢にかかわらず発行から5回目の誕生日まで[注 62]である。

さらに見る 住民基本台帳カード, マイナンバーカード ...
住民基本台帳カードとマイナンバーカードの比較
 住民基本台帳カードマイナンバーカード
AタイプBタイプ
交付開始 2003年平成15年)8月
2015年(平成27年)12月交付終了)
2016年(平成28年)1月[注 2]
保有者 希望者
交付方法 市区町村の窓口で本人確認・手交
交付事務の区分 自治事務法定受託事務
発行手数料 有料・無料(市区町村による)当面は無料(紛失再発行は有料)[7]
有効期限(日本国籍の場合) 発行日から10年後発行日から10回目(18歳未満は5回目)の誕生日
材質 プラスチック
ICチップ あり
記録される情報氏名 券面のみ券面&IC
外国人の通名
住所 なし
生年月日
性別
個人番号 なし券面&IC
カードの有効期限 券面&IC
顔写真 なし券面&IC
住民票コード ICのみ
公的個人認証の証明書
点字 券面(希望者のみ)
閉じる

今後の活用予定

2024年6月21日、第5回「デジタル社会推進会議[328]が開催され、2024年版の『デジタル社会の実現に向けた重点計画』を決定した[329]。同日閣議決定[330]。以下は、2024年版重点計画に記載されているマイナンバーカード関連のロードマップである[331]

  • 2024年12月2日 - 従来の健康保険証を廃止[注 53][261]
  • 2024年度末までの早い時期 - 運転免許証との一体化
  • 2024年度内
    • 優良運転者に対するオンラインでの運転免許証更新時講習を全国展開
    • 運転免許証との一体化後、警察への住所変更届け出が不要
  • 2025年度
  • 2026年 - #次期マイナンバーカードの導入[332][333]
  • 時期未定
    • 障害者手帳との連携の強化
    • 技能士資格情報や、技能講習修了証明書、建設キャリアアップカードなどの情報を、マイナンバーカード・マイナポータルへ取り込む
    • 在外選挙人名簿登録申請手続におけるマイナンバーカードの活用
    • 手ぶら観光やオンラインチケットなどに使うための基本的な利活用システムの開発と廉価な提供
    • モバイル運転免許証の実現
    • #携帯電話契約での公的個人認証の必須化

次期マイナンバーカード

導入から10年目となる2026年に、マイナンバーカードを刷新することが計画されている。2023年2月に一部で報道され[332][333]、2023年6月、上掲の2023年版『デジタル社会の実現に向けた重点計画』にて正式に掲げられた[注 68][334][335]。2023年9月7日、デジタル庁内に「次期個人番号カードタスクフォース」が組成された。2024年3月18日に最終とりまとめを決定・公表した[336]

更改の項目・論点

タスクフォース第1回資料[337]では、新カード導入に向け、多岐にわたる論点が掲げられた。

  1. 券面記載事項:氏名、生年月日、性別、住所、マイナンバー(個人番号)の表記要否。通名旧姓の扱い、氏名の振り仮名の扱い、ローマ字表記、生年月日の表記(西暦和暦の併記か西暦のみなど)、追記欄の記載領域拡大など
  2. 技術仕様:公開鍵暗号方式の変更(RSA暗号から楕円曲線DSAへ変更)、電子証明書有効期間の10年化、現在3つある暗証番号(数字4桁)の一本化など
  3. 発行体制:#特急発行 の体制整備、身元保証レベル IAL3 を維持した中でのカード更新オンライン化(来庁不要化)の可否検討、現行電子証明書(有効期間5年)のオンライン更新の可否検討など
  4. 公証名義:現行カードの発行者名は市区町村長であることに対し、国や総務大臣の表記を加えるか
  5. その他:ICチップ空き領域の容量増加、磁気ストライプ廃止の可否、PIN UNLOCK KEY (PUK) の導入、 電子証明書失効理由の細分化(「死亡」を判別できるようにする)、「マイナンバーカード」(個人番号カード)の名称変更検討など

次期カードの変更内容

2023年11月21日、次期個人番号カードタスクフォースの第2回会議にて中間とりまとめ骨子が示された[338][102]。11月27日から12月8日までの期間にパブリックコメント(意見募集)を行ない[339][340][341]、12月26日、公募結果を公表した[342][343]。同12月26日、第3回会議にて中間とりまとめを決定[344]、2024年3月18日、第4回会議にて最終とりまとめを決定した[345]。合わせて新しいカードのデザイン案も公表された[346]。5月31日、マイナンバー法に明記されている券面記載事項の部分について、法改正が可決成立(#沿革 を参照)[262]。現カードと次期カードの比較は下表のとおり。

さらに見る 現行カード, 次期カード ...
次期カードの変更点
現行カード 次期カード 備考
券面記載事項 氏名、生年月日、住所、顔写真を記載 同左 官民様々な場面で利用されるため
性別を記載 記載しない ICチップ内には格納。マイナンバー法改正案を国会へ提出した[347][210][211]
マイナンバーを裏面に表記 同左 官民様々な場面で利用されるため
通名・旧姓を記載 同左 旧姓は本人が希望する場合のみ
氏名振り仮名を追記欄に記載 追記欄ではなく券面記載へ変更 現カードでの左記項目の追記欄記載は、今後実施予定
希望者のみ氏名ローマ字を追記欄に記載 追記欄ではなく券面記載へ変更 現カードでの左記項目の追記欄記載は、今後実施予定。氏名ローマ字はパスポートの表記と一致させる
生年月日は和暦表記。西暦による表記は希望者のみ追記欄に記載 生年月日の表記を西暦化。和暦表記廃止 現カードでの左記項目の追記欄記載は、今後実施予定
追記欄と臓器提供意思表示欄 追記欄を拡大し臓器提供意思表示欄を裏面へ移動 追記欄が小さく記載が一杯になってしまうことを考慮
券面デザイン 見直しを検討。デザイン案を公表[348]
技術仕様 RSA 2048ビットによる暗号化 楕円曲線DSA (ECDSA 384 - 192ビットセキュリティ) を採用 RSA-2048は2030年末までの利用終了が求められている[349][350]
電子証明書の有効期限5年 有効期限の10年化
4種のAPが存在(#暗証番号、パスワード を参照)。パスワードも4種存在 AP・パスワードとも2種に再編 「認証AP」と「券面等AP」の2種へ再編
発行体制 有効期限の3ヶ月前から更新申請可能。有効期限は10回目の誕生日 有効期限の1年前から更新申請可能。有効期限は10回目の誕生日の1ヶ月後 混雑緩和のため。また、更新忘れ防止のため
自治体職員による対面交付 同左 IAL3を維持するため( #対面交付の原則と身元確認保証レベル を参照)
公証名義 住民票の属する市区町村長名義 「日本国 JAPAN」の記載を加える 国の保証の下に発行されていることを明確化するため
その他 磁気ストライプを実装 同左 図書館カードや印鑑登録証として使用している自治体が存在するため
PUK (PIN UNLOCK KEY) 無し PUKを新設 暗証番号ロック時に自治体窓口へ来庁する手間を無くす
電子証明書失効理由「affiliationChanged」に「死亡」と「海外転出」が混在している 同左。国際標準に準ずる 2024年5月27日から海外在住者もマイナンバーカードの継続所持が可能となったことから[305]、実質的に「海外転出」を理由とした失効は無くなると見られる
呼称「個人番号カード(マイナンバーカード)」 変更を検討。広く国民へ公募する “マイナンバー” を使用しない用途でも、マイナンバー(個人番号)を用いていると誤認されるおそれ
閉じる

切替日

次期マイナンバーカード導入は “2026年” としているが、タスクフォース第1回資料では切替日を “2026年10月(仮)” と仮置きした[337]。仮に10月1日を切替日とした場合、2017年9月までに交付を受けた者は、ケースによって有効期限が2026年9月までの誕生日となり、現行仕様のカードで更新することになる。

さらに見る 交付日, 有効期限 ...
マイナンバーカード交付日と有効期限
交付日 有効期限 更新カードの仕様
2016年9月以前 2026年9月以前 現行仕様
2016年10月以降2017年9月まで、かつ、当年の誕生日到来前に交付
2016年10月以降2017年9月まで、かつ、当年の誕生日到来後に交付 2026年10月以降 新仕様
2017年10月以降
閉じる

2026年9月以前に現行仕様でカード更新を行なった場合も、さらに10年後まで待たず、5年後(2030~2031年)の電子証明書更新時に新仕様のカードへ切り替える運用が計画されている[注 69]

周知・広報

  • 2022年12月20日から翌年3月31日 - 『SPY×FAMILY』とのコラボレーションキャンペーンを実施[351][352]
  • 2024年2月16日から - 『できます。が増えてます。マイナンバーカード』キャンペーンを実施。テレビCM、デジタル広告、屋外広告等を展開[353][354]

事件・不祥事

特に断りがない限り、通知カード→(マイナンバーの)通知カード、ポイント→マイナポイント、コンビニコンビニエンスストア、コンビニ交付(サービス)→マイナンバーカード利用公的証明書コンビニ交付(サービス) の事である

顔写真取り違え・誤交付

  • 2021年4月16日、宮城県利府町で、町役場の窓口に事前予約しマイナンバーカードを取りに来た人に、別人のマイナンバーカードを渡す特定個人情報の漏洩事件が発生した。町では謝罪の上、カードを回収し、カードの本来の持ち主にマイナンバーの変更について説明している[355]
  • 2022年11月17日、新潟県加茂市で、顔写真が別人のものであるマイナンバーカードが発行され交付された。カードを受け取った本人より、顔写真が違うと連絡があり発覚した。マイナンバーカードの発行申請を代理した行政書士が、別人の写真データを添付したことが、誤発行、誤交付の発端であった。市は謝罪し「より一層注意を払う」としている[356]
  • 2023年
    • 1月17日、島根県安来市は、同姓同名の別人の顔写真が付いたマイナンバーカード1枚を誤って発行し交付したと発表した。同じ日に同姓同名の2人から申請があり、両者を取り違えたもの。顔写真以外の個人情報(住所、生年月日、性別)は正しく、顔写真のみが入れ替わっていた[357]
    • 2月17日、広島県江田島市の能美市民センターの窓口で、マイナンバーカードを受け取りに来た人に、別人のマイナンバーカードを交付する特定個人情報の漏洩事件が発生した。誤交付されたマイナンバーカードは2月18日に回収された。江田島市では、再発防止策として「本人とマイナンバーカードが同一かどうか確実に照合」などを公表した[358]
    • 5月19日、埼玉県美里町が、マイナンバーカード申請者2名の写真取り違えを発表[359]
    • 6月1日、三重県松阪市が、申請者の顔写真を取り違えてマイナンバーカードを作成・交付していたことを発表[360]。申請が行なわれたのは2023年2月3日(申請時来庁方式)、申請者が郵送で受領したのは同年3月末[361]
    • 6月6日、岐阜県古田肇知事が、県下の8自治体でマイナンバーカード関連の不備があったことを公表した[362][363]。顔写真を取り違えてのカード発行が岐阜市、各務原市、大垣市、中津川市、岐南町。マイナポイントの誤付与が美濃加茂市[364]、瑞穂市[365]。公金受取口座の誤登録が北方町[366]
    • 6月9日、京都府京都市[367]と静岡県浜松市[368]が、顔写真の取り違え事案を発表。京都市の事案は申請時来庁方式で申請し、後日郵送で受領した際に、自分の顔写真ではないことに気付いたもの。浜松市の件は市内総合病院の出張申請サポート会場で申請し、交付時来庁方式で区役所へ訪れた際に顔写真が異なっていることに気付いた。
    • 6月13日、北海道旭川市が、マイナンバーカードの顔写真取り違え事案を謝罪[369]。本人はオンライン申請をしたにも関わらず、市の担当者が別の申請と取り違えた。
    • 6月15日、兵庫県市川町が、マイナンバーカードの顔写真取り違え事案を発表[370]
    • 6月15日、山梨県富士吉田市が、3件のマイナンバーカードの顔写真取り違え事案を発表[371][372]
    • 6月16日、兵庫県神戸市が、夫婦の顔写真を取り違えてマイナンバーカードを作成するミスを発表[373][374]
    • 6月20日、大分県佐伯市が、誤った写真で作成したマイナンバーカードを申請者に交付した事案2件(3人)と、誤った写真でマイナンバーカードを作成し、交付前に間違いが判明した事案2件(3人)を発表[375]
    • 6月20日、宮城県大崎市が、マイナンバーカードの顔写真取り違え事案4件を発表[376][377]
    • 6月21日、大分県臼杵市が、マイナンバーカードの顔写真取り違え事案2件(4名)を発表[378]
    • 6月21日、兵庫県加西市が、マイナンバーカードの顔写真取り違え事案3件を発表[379]
    • 6月21日、福井県福井市が、マイナンバーカードの顔写真取り違え事案5件(7名分)を発表[380][381]
    • 6月22日、奈良県桜井市が、マイナンバーカードの顔写真取り違え事案を発表。40代女性の申請に対し、70代女性の顔写真を使ってカードを作成した[382][383][384]
    • 6月23日、石川県金沢市が、マイナンバーカードの顔写真取り違え事案3件を発表[385]
    • 6月23日、大分県日田市が、マイナンバーカードの顔写真取り違え事案を発表。4歳の子のカードに対し、2歳上の姉の写真を使用してしまった。家族はマイナポイントの対象となる最終日の2月28日に市役所で申請し、混雑の中で確認ミスが生じたもの[386][387]
    • 6月28日、熊本県八代市が、マイナンバーカードの顔写真取り違え事案を発表[388]。2022年12月12日にイオン八代店の出張窓口で本人から発行申請を受け付け、市がJ-LISへ代理申請した際に顔写真を別人と取り違えた。すぐに気付いて取り消したが、正式受理前であったため取消申請が受け付けられずそのままカード発行に至った。2023年2月に本人から顔写真が異なるとの申し出があり再発行申請を行なうが、3月に市の担当者が異動して本人への交付連絡が途絶え、最終的に5月25日に交付した[389]
    • 7月5日、広島県神石高原町が、マイナンバーカードの顔写真取り違え事案を発表。窓口で申請者の顔写真を撮影した際は通常、その場で印刷し裏面に申請者本人から署名を得ていたが、当日はプリンターを町役場外へ持ち出しており、後に町職員がデータを取り違えたもの[390]
    • 7月6日、沖縄県久米島町が、マイナンバーカードの顔写真取り違え事案2件4名分を発表[391]
    • 7月10日、岩手県盛岡市が、マイナンバーカードの誤交付を発表[392]。原因として、交付通知書のハガキなど各種照合書類の確認が不十分であったこと、マスクを取り外しての本人確認を行わなかったことを挙げた。
    • 10月3日、北海道登別市が、申請者2名の顔写真取り違え事案を発表。30代女性2名の顔写真を続けて撮影し、職員がオンライン申請した際に取り違えた[393][394]
    • 10月17日、沖縄県南風原町が、マイナンバーカードの写真添付錯誤を発表。これにより対象者は、マイナポイントの申請に間に合わなかった[395]。対象者は2022年9月27日に町役場でマイナンバーカードを申請。その後、カードを自宅へ郵送したが受取人不在で町役場へ差し戻され、2023年9月26日になって本人が来庁し受け取り時に錯誤が判明した。町はマイナポイント相当額の1万5千円を対象者へ賠償した[396]
    • 10月20日、福島県大熊町が、発行されたマイナンバーカードを郵送する際、2名のカードを取り違えて封入し送付した[397]。内、1名はマイナンバー変更の手続を取った[398]
    • 10月24日、静岡県小山町が、マイナンバーカードの顔写真取り違え事案1件を発表[399]。当日は窓口が混み合い、写真へ氏名を裏書きするルールが徹底されていなかった[400]
  • 2024年
    • 4月2日、鳥取県大山町が、マイナンバーカード交付の通知書1通を誤送付。他者の住所・氏名を封入していた[401]
    • 4月10日、島根県益田市が、マイナンバーカード交付受付票26名分を誤送付[402][403]
    • 5月14日、佐賀県唐津市が、マイナンバーカードの誤発送を発表[404]。2人分のカードを互い違いで封入し送付していた[405][406]
    • 8月14日、千葉県柏市が、マイナンバーカード交付申請書の誤交付を発表[407]。市職員が交付申請書を市内の別人氏名で印刷し手渡した[408]
    • 8月16日、茨城県かすみがうら市が、1世帯5名分のマイナンバーカード申請手続きを失念していたと発表。2023年2月26日に受け付けたが市が代理申請をしていなかった。2024年8月5日に申請者からの問い合せで不備が判明。市はマイナポイント相当額10万円(2万円×5名分)を申請者へ支払った[409]
    • 9月25日、千葉県千葉市が、中央区役所の窓口で[410]マイナンバーカードの交付申請書1名分を他人へ誤交付[411][412]

その他、地方自治体の単純ミス

  • 2023年
    • 3月15日、東京都練馬区役所で、再発行のマイナンバーカードの受け取りに来た同区在住の20代男性に対し、同カードを申請した50人(含、当人)の個人情報が記載された紙名簿(帳票)を誤って渡してしまう事件が起きた[413][414][415][416]。→個人番号#事件・不祥事参照
    • 4月6日、栃木県那須塩原市が、申請時来庁方式によって受理し発行したカード347枚の内、34枚に設定不備があったと発表[417]。暗証番号が正しく設定されておらず、ICチップを用いた手続きが全く出来なかったもの[418]
    • 6月22日、新潟県新潟市が、マイナンバーカード交付事務に関する国からの補助金(マイナンバーカード交付事務費補助金)約470万円を計上し忘れ、国へ申請していなかったと発表[419]。不足分は全額、新潟市の一般財源で負担する[420]
    • 6月23日、滋賀県竜王町が、名字や住所の変更でマイナンバーカード内の電子証明書を再設定する際、本来無料のものに手数料200円を徴収していたと発表。誤徴収は2018年度から2022年度の期間で、225件、4万5千円[421]
    • 6月27日、総務省は、誤交付防止を図るべく、13項目のチェックリストを全ての自治体へ通知した[422]
    • 6月29日、熊本県菊陽町で、他の自治体から同町へ転入し、マイナンバーカードの追記欄へ新しい住所を印字した際、印字内容が不鮮明で読み取れない事案が発生。所有者は証券口座開設のためインターネット証券会社へカード画像を提出したが、内容が読み取れないとしてオンラインでの口座開設を拒絶された。市は改めて印字し解消[423]
    • 8月17日、東京都台東区は、廃棄対象のマイナンバーカード13枚と住民基本台帳カード1枚の計14枚を、シュレッダーによる裁断が不十分でカード券面情報が読み取れる状態のまま廃棄場所へ搬出した[424][425]
    • 10月20日、山口県柳井市で、転入者の手続きの一部を市が実施せず、カードが失効。対象者はマイナポイントを申請出来なかった[426]。ポイント相当額を市が賠償する[427]
    • 10月20日、横浜市中区が、2種類の手続き不備を公表[428]。1) カード発行申請時にJ-LISから市への問い合わせを放置し、計48枚のカード発行が大きく遅延。18名がマイナポイント申請に間に合わず、市が独自に補てんする[429][430]。2) 市外から横浜市中区へ転入した者2名について、ICチップ内の住所データを書き換えなかった。これにより90日後にカードが失効した。
    • 11月8日、滋賀県守山市が、カード交付時の手続きミスを発表。5月下旬、家族2名対してカードを交付した際、暗証番号の設定をせず、電子証明書が利用不能な状態であった。9月下旬、本人がマイナポイントの申請を試みた際にミスが判明。対象者は期限までにマイナポイントを申請出来なかった。ポイント相当額を市が賠償する[431]
    • 11月17日、新潟県新発田市が、加治川支所においてマイナンバーカードの申請ミス1件を発表。2月に加治川地区在住の男性から交付申請を受けたが、住民福祉係の担当職員が関係機関への送付手続きを失念した。これにより対象者は、マイナポイントの締切に間に合わなかった[432]
    • 11月29日、宮城県石巻市で、4月に市内へ転入した者に対し、マイナンバーカードの住所情報の更新を怠った事象を発表。同人が11月6日に市外へ転出した際に不備が判明し、カードは失効。再発行が必要となった[433]
    • 12月5日、栃木県真岡市は、マイナンバーカードの交付手続き誤り事案を公表。9月28日に電子申請等に使えるよう設定せぬままカード1枚を市民へ交付。同市民はマイナポイントの申請ができなかった。10月16日、市が2万円を賠償した[434]
  • 2024年
    • 1月18日、山口県岩国市で、市職員が手続きミス。2023年2月28日に市民へ交付したマイナンバーカードで磁気不良を検知。再交付手続きをするところ市職員が失念。再交付が11月になった。マイナポイント申請の締切に間に合わず、市が対象者へ現金2万円を賠償する[435]
    • 3月28日、山形県酒田市は、マイナンバーカードの電子証明書を再発行する際、本来不要な手数料200円を徴収していたと発表[436]。誤徴収は2019年2月から2024年1月まで5年間。対象者は46名、計9,200円[437]
    • 9月2日、東京都の子育て支援事業「018サポート」にて重複支給が判明[438]。マイナンバーカードを用いた新規申請とその他の方法での新規申請(WEB・郵送)、両方からあった一部について重複支給した。対象は1694人、総額1億2141万円[439]。9月20日、追加の重複支給を発表[440]。新たに判明した重複支給は134人、計415万円[441]
    • 10月11日、石川県七尾市が、マイナンバーカードを取得した小中学生へ商品券を進呈する市独自の促進事業について、312名への商品券送付を1年間怠っていた[442][443]
    • 10月29日、新潟県佐渡市が、真野行政サービスセンターにおいて死亡届の取扱い時に取り違いを起こし、生存している親族の住民票を消除した。同時にマイナンバーカードも失効した[444][445]
    • 11月5日、香川県坂出市が、「マイナンバーカード納入通知書兼領収書」を別人へ交付した。カード自体の誤交付は無かった[446]

地方自治体における紛失・盗難事件

  • 2017年9月、神奈川県横浜市は、神奈川区戸籍課で保管していた交付前のマイナンバーカード21枚を紛失した。マイナンバーカード交付の準備作業をしている段階で紛失に気づいたとされる。[447]
  • 2018年2月21日、横浜市鶴見区役所において、既に市民のデータ(含、顔写真)が記録・記載されているマイナンバーカード78枚と同カードの交付、暗証番号の設定・確認が可能なノートパソコン1台が盗まれた。22日午前8時15分、紛失に気付き各所を探したが見つからず、23日に所轄の鶴見署に盗難の被害届を出す事態となった[448][449]。職員は同市の保安ルールに従わず使用していた。同市は同年12月7日、男性副区長 (59) を戒告、当時課長だった女性職員 (58) を10分の1の減給6ヶ月間、担当係長だった男性職員 (57) を10分の1の減給3ヶ月間の懲戒処分にすると発表した[450]
  • 2020年10月15日、千葉県茂原市は、交付前のマイナンバーカード2枚の紛失を発表[451]
  • 2021年
    • 2月17日、神奈川県横浜市は、青葉区役所が返戻された本人限定受取郵便(マイナンバーカード1件)を紛失したと発表[452]
    • 8月3日、神奈川県横浜市は、鶴見区役所戸籍課で保管していた交付前のマイナンバーカード1枚を紛失したと発表[453]
    • 10月12日、千葉県八千代市は、交付前のマイナンバーカード1枚の紛失を発表[454]
    • 12月17日、神奈川県横浜市は、1931人分のマイナンバーカード交付関連書類を紛失したと公表した。15年間保存すべき書類だったが、誤って廃棄した可能性が高いとしている。[455][456]
  • 2022年
    • 5月10日、茨城県つくば市は、交付前のマイナンバーカード1枚を紛失したと発表[457]。5月25日に庁舎内で発見[458]。該当の市民は既に再発行の申請をしており、発見したカードは交付せず廃棄する[459]
    • 6月10日、秋田県湯沢市で、市が保管していた交付前のマイナンバーカード1枚を紛失したことが分かり、6月20日に謝罪した[460]。その後、10ヶ月近く経過した2023年4月中旬に、秋田県横手市の横手警察署にそのマイナンバーカードが「拾得物」として届けられ、2023年5月11日に湯沢市役所に返還された。湯沢市は、横手警察署管内で発見されたことから横手警察署に対して発見されるまでの経路等について調査を依頼している[461]
    • 7月29日、北海道室蘭市で、交付前のマイナンバーカード1枚を紛失したことがわかり、室蘭市はマイナンバーカードを交付予定だった市民に8月2日に謝罪した。マイナンバーカードを交付する準備のために確認作業をしていたところ、紛失に気づいたとされる[462]
    • 9月27日、大分県佐伯市は、交付前のマイナンバーカード1枚を紛失したと発表[463]
    • 10月20日、熊本県熊本市で、交付前のマイナンバーカード1枚が紛失していることが判明した。[464]
    • 11月15日、千葉県四街道市は、市役所で保管していた交付予定のマイナンバーカード1枚を紛失したと発表した。11月7日に交付のために取り出そうとした際に、紛失に気づいたとされる。[465][466]
    • 11月15日、北海道江別市は、交付予定のマイナンバーカード1枚を紛失したと発表[467]
    • 11月21日、北海道遠軽町がマイナンバーカード1枚を紛失。保管用のケースごと廃棄した可能性が高い[468]
    • 12月15日、大阪府四条畷市は、市民課で保管していた交付前のマイナンバーカード2枚を紛失していたと公表した。本人たちが受け取りに来た際、保管場所にマイナンバーカードがないことで紛失が発覚した。[469]
  • 2023年
    • 2月27日、三重県鈴鹿市は、マイナンバーカード申請書類67人分を一時紛失したと発表。後に市民から届けられた[470]
    • 2月28日、京都府木津川市は、イオンモール高の原内の市民課マイナンバーサービスセンターで、交付前マイナンバーカード1枚を紛失したと発表[471]
    • 3月2日、千葉県富津市は、交付前のマイナンバーカード1枚を紛失したと発表[472]
    • 3月3日、福岡県北九州市は、携帯電話ショップで受け付けたマイナンバーカード申請書類(23名分)を紛失したと発表[473]
    • 3月27日、千葉県木更津市は、交付前のマイナンバーカード1枚を紛失したと発表した[474]。受取予定の人のマイナンバーカードを確認中に、紛失に気づいたとしている[475]
    • 4月14日、神奈川県横浜市は、保土ケ谷区で交付する前のマイナンバーカード3枚を紛失したと発表[476]
    • 4月24日、熊本県山鹿市は、交付前のマイナンバーカード11枚を紛失したことを発表した。交付予定のカードの準備中に2枚の紛失に気づき、カードの在庫確認を行ったところ、全部で11枚の紛失が判明した。市は、暗証番号の設定前であることから悪用される恐れが低いことを説明し、本人の了解を得て個人番号の変更はしないとした[477]
    • 4月27日、徳島県美波町は、交付前のマイナンバーカード1枚を紛失したと発表[478]
    • 5月10日、埼玉県上尾市は、交付前のマイナンバーカード1枚を紛失したと発表した。同年2月8日、申請者が受け取りのため来庁した際、同カードが見当たらず、紛失した事が判明。その紛失カードには既に申請者の顔写真などが記載されてしまっていたが、暗証番号設定がまだ設定されておらず有効な状態では無い為、各種行政サービスを受ける事は出来ない。本人の了解を得て再発行した[479]
    • 5月29日、東京都葛飾区は、交付前のマイナンバーカード1枚を紛失したと発表[480]
    • 6月2日、神奈川県真鶴町は、交付における郵送の過程でマイナンバーカード1枚を紛失したと公表した[481]
    • 6月13日、福島県いわき市は、四倉支所でマイナンバーカード交付申請書を紛失したと発表した。通常、支所で受理した申請書は市役所本庁市民課で集約の上、特定記録郵便を用いて地方公共団体情報システム機構(J-LIS)へ送付する。しかし四倉支所は支所から普通郵便で直接J-LISへ送り、21件中1件が所在不明となったもの[482]
    • 7月28日、神奈川県横浜市は、泉区で交付する前のマイナンバーカード1枚を紛失したと発表[483]
    • 8月22日、佐賀県佐賀市が、マイナンバーカード申請書1通を紛失[484]。申請者が支所窓口で申請書を記入・提出後、市が申請書を本庁へ送付。市が本庁内で紛失した[485]
    • 9月28日、広島県広島市が安佐南区役所祇園出張所にて、交付前のマイナンバーカード1枚を紛失したと発表[486]。7月24日にJ-LISから市へ届いたカードを、9月27日に本人が受け取ろうとした際に紛失が判明した。
  • 2024年
    • 2月15日、鹿児島県鹿児島市が、交付前のマイナンバーカード2枚を紛失したと発表[487][488]
    • 4月5日、新潟県新潟市が、中央区役所・窓口サービス課内で交付前のマイナンバーカード1枚を紛失したと発表[489][490]

システム障害

マイナンバーカード関連障害

  • 2019年11月11日、マイナンバーカードICチップ内の電子証明書を更新できない障害が発生[491]。11月12日、システムを運用する地方公共団体情報システム機構 (J-LIS) は各自治体へ、電子証明書更新を求める利用者にはカードを一旦自治体窓口にて預かり、更新後に本人限定郵便で返送することを指示[492]。11月13日、システム復旧[493]
  • 2020年5月、この年に行われた特別定額給付金の支給により、マイナンバーカードの電子証明書の暗証番号の再設定や電子証明書の新規発行・更新が急増した。それにより、地方公共団体情報システム機構のシステムの処理能力を超えた負荷が発生し、市区町村の窓口において、混雑や処理遅延が生じた。問題に対処するため、J-LISはシステムの処理能力増強等の対策を実施した[494]
  • 2023年10月10日、全国多数の自治体において署名用電子証明書の「更新・再発行(住所変更、氏名変更、利用停止からの復旧など)」が不能となった[495][496]。発行済み証明書の「利用」は可能。原因は、地方公共団体情報システム機構 (J-LIS) のシステム障害[497]。翌10月11日復旧[498][499]
  • 2023年10月17日、京都府京都市の住民基本台帳ネットワークサーバーで障害が発生[500]。終日マイナンバー関連業務が利用不能となった[501]。翌10月18日復旧[502]

コンビニ交付サービス関連障害(富士通Japan関連)

地方公共団体情報システム機構によると、コンビニ交付サービスは2022年度は2,100万通の利用があり、2023年度は3,000万通[503]を見込む。2023年5月7日時点でカードの申請件数は約9,671万件[41]である。

  • 2023年
    • 3月27日、神奈川県横浜市のマイナンバーカードを使用したコンビニ交付サービスにおいて、別人の公的書類が連続して発行された[504]。河野太郎デジタル大臣は、3月31日の定例記者会見[505]において「個人情報漏えいにもあたる事案です。大変重要な問題であり、遺憾に思っております」と前置きしたうえで、「マイナンバーカードの信頼性に影響するものではありません」と発言した[506][507]。3月30日、ベンダーの富士通Japanはホームページに謝罪文を掲載した[508]
    • 5月1日、東京都足立区及び富士通Japanは、同区のマイナンバーカードを使用したコンビニ交付サービスにおいて、別人の公的書類が連続して発行された事を公表した[509]。2023年3月27日に横浜市で起きた事態を受け富士通Japanが調査し判明した。同年3月22日、住民票の写し1件3人分、同年4月18日、印鑑登録証明書1件1人分が区内コンビニにおいて誤交付された。報道によれば、横浜市の誤交付の原因とは別のバグで、コンビニ交付の印刷処理が2件以上同時に実行された為、起きたとの事である[510][511][512][513]。同日、富士通Japanは謝罪文を掲載[514]
    • 5月2日、神奈川県川崎市宮前区のコンビニにおいて、男性が同市のマイナンバーカードを使用したコンビニ交付サービスを利用し戸籍証明書を取得しようとしたところ、別人の同書が発行される障害が発生した。同市は同日午後1時30分ごろよりシステムを停止。3日6時30分より、今回誤発行された戸籍関係を除き、住民票、印鑑証明、非課税証明関係のコンビニ交付は再開[515][516][517]、同月9日午前7時30分より、すべてのサービスを再開した[518]。5月9日、富士通Japanは謝罪文を掲載[519]
    • 5月9日、一連の不祥事を受け、河野大臣は富士通Japanに対し、採用している約200の自治体の「MICJET マイナンバーカード利用公的証明書コンビニ交付サービス」の一時停止と再点検を要請した[520][521][522][523]
    • 5月11日、徳島県徳島市は2023年3月27日に、同市のマイナンバーカードを使用したコンビニ交付サービスにおいて、別人の公的書類が発行された事を公表した。徳島市に住民票を置いている者が同県小松島市内のコンビニで自身の同カードを使用し住民票の発行申請したところ、同時刻に香川県高松市のコンビニでこちらも自身の同カードを使用し戸籍証明書を申請した人(本籍 徳島市)の戸籍証明書が誤って発行された。徳島市役所は、同市に新たに設置された証明書の発行端末が原因で、コンビニの交付システムが不具合を引き起こしたと発表した。当該発行端末を撤去し、富士通Japanによるメンテナンスも完了した[524]と発表したが、横浜市などで富士通Japanが提供するシステムによる証明書の誤発行が相次いだことを受け、点検のため一時停止する予定である[525][526]。5月12日、富士通Japanは謝罪文を掲載[527]
    • 5月16日、コンビニ交付サービスにおいて、抹消されたはずの印鑑証明書が発行される事象が、熊本市で5件、さいたま市で3件、新潟市で3件、全国で計11件発生したと総務省が発表した[528]。いずれも、富士通Japanのシステムを使用した際のトラブルであった[529][530]。富士通Japanは謝罪文を掲載[531]

現在(2023年5月18日)までに公表されているコンビニ交付サービス関連障害はすべて、富士通Japanのシステムが原因となっている。一連のシステム障害を受け、親会社の富士通は、5月19日、本件を謝罪すると共にシステム品質改善策を発表した[532]。5月24日、富士通の時田隆仁社長は同社の経営計画説明会において、行政の信頼を損ねたとして謝罪した[533][534]

一方、同様に自治体へコンビニ交付サービスを提供する富士フイルムシステムサービス[注 70]は総点検を実施し[535]、不具合事象は無いことを報告した[536]

  • 6月1日、埼玉県さいたま市で、住民票に旧姓を併記する申請をしたのに、併記されずに発行される事象が発生。システム総点検で検知。誤発行日は2021年9月27日。原因はデータ修正漏れ[537]
  • 6月20日、総務省[538]、デジタル庁[539]と富士通[540]は、富士通Japanが関与していた全国123自治体のシステム点検が完了したと発表した[541][542]。6月26日、富士通の時田隆仁社長は同社の株主総会において、富士通Japanの誤交付問題が一連のマイナンバー不安の発端になったと、改めて謝罪した[543]
  • 6月28日、福岡県宗像市で、住民票の誤交付が発生(市役所庁舎内のセルフサービスコーナー)[544]。同市の交付システムは富士通Japan製。一斉点検は行なったものの、2019年当時のバグを改修できていなかった[545][546]。富士通は改めて全国123自治体のシステムを再点検する[547]
  • 7月7日、個人情報保護委員会が、富士通Japan、および横浜市、東京都足立区、川崎市、徳島市の4自治体に行政措置を検討していると報じられた[548]
  • 7月11日、河野太郎デジタル大臣は、富士通Japanのシステム再点検結果を発表した[549]。全国123自治体のうち、47自治体は全ての改修を適用済み。44自治体(福岡県宗像市を含む)は別人の証明書を誤交付するバグが残存。32自治体は左記バグは改修済みだが他の改修が未適用[550]
  • 7月14日、富士通は、コンビニ交付システムの再改修計画を公表した[551]

富士通Japanが提供するコンビニ交付システム「Fujitsu MICJET コンビニ交付」は、請負契約ではなくクラウドサービスとして1年単位の利用契約であり、自治体側は請負契約のような精緻な検収試験が出来る状況になかったとされている[552]

  • 9月14日、新潟県上越市は、富士通Japanに対して損害賠償請求を検討していることを表明した[553]。9月29日、新潟県新潟市も損害賠償請求・委託料の減額請求を行なう方針を表明した[554]
  • 9月20日、個人情報保護委員会は第254回定期会議[555]を開催。コンビニ交付サービスに関し、富士通Japan、宗像市、足立区、川崎市への行政指導を決定した[556][557]。富士通Japanに対しては、個人情報保護法146条[注 71]に基づく報告を10月31日までに提出するよう指示した。同9月20日、富士通Japanは謝罪文を掲載[558]。足立区もコメントを発表[559]
  • 2024年4月16日、香川県高松市がコンビニ交付の誤交付を発表[560][561]。同市のコンビニ交付システムは富士通Japan製。2024年1月4日に導入したもの[562]。同社は前年に総点検をしていたにも関わらず誤交付を発生させたことに対し、総務省は富士通へ行政指導を実施[563][564]。同日、富士通は謝罪文を掲載[565]。富士通Japanも謝罪文を掲載し[566]、その中で障害の原因として単一サーバー用のプログラムを適用したと述べた(高松市は複数のサーバー構成であった)[567]。4月25日、富士通の決算説明会の場で、時田隆仁社長が陳謝した[568]

コンビニ交付サービス関連障害(富士通Japan以外)

  • 2020年
    • 7月14日、全国20の自治体でコンビニ交付サービスが停止した。原因は富士ゼロックスシステムサービスの不備[569]
  • 2023年
    • 5月19日、愛媛県今治市は、コンビニ交付サービスにおいて、抹消されたはずの印鑑証明書が発行される事象2件が、2023年2月と2023年3月に発生したと発表した。今治市に住んでいた人が、市外に転出すると印鑑登録は抹消されるが、その後、今治市内に転入した際に、有効な印鑑登録がないにもかかわらず印鑑証明書が発行された。今治市のコンビニ交付システムは、株式会社IJC(本社:愛媛県今治市)が受託運営しており、5月16日に修正対応し、同日今治市に報告した。富士通Japan以外が手掛けるコンビニ交付システムで、トラブルが報告されたのは初めて[570][571]
    • 6月1日、徳島県板野町で、町内で引越した住民が同年5月3日・5日にコンビニ交付サービスを利用したところ、引越前の住所が記載されたものが発行された[572]。別の自治体から町内へ引越した者が、5月18日に住民票が発行されない事象が発生。いずれも原因はシステムの設定誤り[573]。5月18日に設定を改修。19日以降は正常稼働している。
    • 9月25日午前8時過ぎ、京都府京都市にてコンビニ交付サービスが利用不能となる。同市のコンビニ交付システムは富士通Japan製ではない[574]。同日午後3時25分頃復旧[575]。原因はネットワーク障害[576]
    • 11月7日、コンビニ交付サービスにおける誤表記が、2022年度に10件(すべて2023年3月発生)、2023年度4月から6月に49件、7月以降に7件の計66件あったことを発表[577]。主に古い住所が記載されるケースや字体の誤り。衆議院総務委員会にて鈴木淳司総務大臣と山野謙自治行政局長が答弁した[578]
  • 2024年
    • 4月30日、約210の自治体でコンビニ交付サービスが最大3時間停止した。原因は富士フイルムシステムサービスの設定ミス[579]

デジタル認証アプリ

  • 2024年6月27日、13:40頃から翌28日3:19頃まで、利用できない状況となった[580][581]

その他の関連システム障害

  • 2024年9月2日、東京都の子育て支援「018サポート」事業において、給付金を重複給付する誤りが発生[582][583]。マイナンバーカードを用いた申請で、東京都側の受付システムに不備があった[584]。誤給付は申請者1205名(対象児童数1694名)、1億2141万円。全て、返還または次回給付での相殺を求める[585]

成り済まし

  • 2020年7月8日、石川県珠洲警察署は、他人になりすまして石川県能登町の家族5人分の新型コロナ給付金を不正に申請・詐取した容疑で、愛知県名古屋市在住の無職50代男性を逮捕した。被害者家族が給付金が入金されないことを不審に思い、町役場に問いあわせて発覚した[586]。男は自身の氏名と同姓同名の人物を、生年月日・住所と共にインターネットで検索し、発見した人物になりすまして新型コロナ給付金をオンライン申請した。オンライン申請は自身のマイナンバーカードを用いて行なったが、当時の申請システムは生年月日と住所を書き換えることができる仕様であった。被害者の家族5人はマイナンバーカードを所持していなかった[587]。男は北海道と福島県でも同様のなりすまし申請をしていたが[588]、能登町以外の自治体では別人からの申請であると判断し、入金されなかった[589]。11月25日、金沢地方裁判所は有印私文書変造・同行使、詐欺などの罪で懲役2年6ヶ月、執行猶予4年(求刑懲役2年6ヶ月)の判決を言い渡した[590]
  • 2023年2月7日、新潟県新潟西警察署新潟県警察本部生活保安課は、新潟市在住の別人に成りすまし、その名前で自分の顔写真入りのマイナンバーカードを新潟市西区役所に発行させたとして、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律違反などの容疑で、東京都豊島区在住で会社役員の男性(40歳)と、長野県上田市在住で建設作業員の男性(69歳)を逮捕した。不正なマイナンバーカードは発行され、2020年7月27日に交付されていたが、成りすまされた人物が同カード発行時に既に死亡していた為、事件が発覚した[591]
  • 2023年2月26日、大阪府南警察署が窃盗容疑でタイ国籍の17歳少女(以下、少女)を緊急逮捕した際、少女は本人及び他人名義の複数の身分証を所持していた[592]。警察での取調時に、少女は自身の物であると風俗店従業員20代女性(以下、成人女性)のマイナンバーカードを示したが、捜査員はその偽りを見抜けず[593]、検察の確認にも不備が有り、少女が成人女性として起訴された。政府は24時間365日のカード紛失受付コールセンターを運営していて[594]カードの盗難届は26日の少女逮捕時点、既に成人女性本人から提出されていたが[595]、確認作業がなされる事は無く、捜査員は専ら、同カードの内容と供述が一致し顔写真も少女の顔と似ている事から少女を成人女性本人と断定[595]、同年3月17日[596]大阪地方検察庁もそのまま成人女性として起訴した。起訴後のやり取りの中で疑問を感じていた担当弁護士が少女に再確認すると、自らの名前・年齢、国籍等を告白した為[595]、同年4月5日[593][597]、同弁護士が担当検事に身元に関する補充捜査を要請[595]、別人と発覚[593][597]した。大阪地検は刑事裁判を打ち切る公訴棄却を大阪地裁に申し立て、同年4月12日の初公判において裁判官は検察側の請求通り、公訴棄却の判決を言い渡し、地検は改めて少女を大阪家裁に送致した。今回の捜査(人定)について、同府警の刑事総務課長は「身分証明書をうのみにしており、家族にあたるなどより緻密な捜査を尽くすべきだった」[593]と発言している。
  • 2023年9月26日、新潟県上越警察署と新潟県警察本部サイバー犯罪対策課は、上越市の無職男性 (52) を、私電磁的記録不正作出・同供用、およびマイナンバー法違反の容疑で逮捕した[598]。容疑者は2021年3月11日、他人の申請書ID[599]に自身の顔写真を添付してマイナンバーカードの発行を虚偽申請。同年5月10日に不正取得した。2022年4月に不正取得された本人からの発行申請があり、既にマイナンバーカードを発行済みであったことから事件が判明した[600][601]。10月19日、不正取得したマイナンバーカードを用いて上越市へ「臨時特別給付金兼灯油購入費助成金支給要件等確認書」を提出し、臨時特別給付金10万円、灯油購入費助成金5千円の計10万5千円を不正受給したとして、有印私文書偽造・同行使と詐欺の疑いで再逮捕した[602][603]。容疑者は、成りすました人物の住所を自己の居住地へ移したり、銀行口座を開設するなどの余罪もあると見られている[604]。2024年1月19日、不正作成のマイナンバーカードを用いて「金融機関で口座開設」「ネット銀行で口座開設」「クレジットカード作成」「住民票の不正取得」「自動車登録の不正変更」「携帯電話契約」の6件を行った容疑で新潟地方検察庁高田支部へ送致した[605]
  • 2024年3月、短期滞在ビザで入国していたフィリピン国籍の女性 (30) が、親類の日本国籍女性 (32) に成りすまし、マイナンバーカードを取得していたことが判明。旅券法違反罪などで逮捕・起訴された。被告は2020年1月にマイナンバーカードを不正取得後、その日本国籍女性名義で、日本国のパスポート取得、生活保護受給、フィリピン国籍男性との婚姻を行なった。婚姻は、相手男性の在留資格取得が目的だったとみられている。2024年3月、成りすましを受けた日本国籍女性本人が旅券手続きを行なおうとした際に、不正交付が判明した[606]

詐取

  • 2023年4月25日、奈良県奈良西警察署は、交付前のマイナンバーカードを盗み、暗証番号を設定し、マイナポイント7500円分を不正取得したとして、奈良市の職員(懲戒免職)を占有離脱物横領電子計算機使用詐欺罪などの容疑で逮捕した。その職員はマイナンバーカードの申請や交付を担当していた[607][608]
  • 2023年5月2日、埼玉県川口市のマイナンバーカードのポイントの申し込み支援窓口で働いていた、人材派遣会社 フルキャスト所属のアルバイト男性職員(32)(以下、同社、同職員)が、市民に付与される筈のポイントを詐取する事件が起きた。同社は同市から支援窓口の業務委託を受けていた。市民2人が1カ月以上経っても付与されない事を不審に思い、同市などに相談。同市が調査を行ったところ、市民2人への付与先はnanacoカードで、共にポイント付与の行われた同カードの番号データと市民2人が所有する同カードのそれが違う事が判った。セブン・カードサービス等への問い合わせの結果、同職員がコンビニなどで不正付与ポイントを消費した疑いが浮上、同社の方で事情を聴いたところ、盗みを認めた。ポイント申込手続き中に、市民の用意した同カードと自らの用意したそれをすり替え、不正にポイントを付与した[609][610][611]。2023年5月11日、埼玉県八潮市は、同職員が同市においても市民2人・4万円分を詐取していた事を公表した[612][613]。同社は、全国29自治体から同様の窓口業務を受託、埼玉県内では川口市、八潮市、狭山市、日高市、草加市、白岡市より引き受けている。同職員は他のアルバイトを指導する立場であり、同市のみならず県内の別の自治体でも同様の業務を担当、作業に精通していた[610][611]
  • 2023年12月5日、長崎県佐世保市が、同市の戸籍住民窓口課に勤務する会計年度任用職員の女性 (24) を懲戒免職処分とした。同職員は交付前のマイナンバーカードのパスワードを専用端末で書き換え、マイナポイント7,500円相当を詐取した[614]。交付を受けた市民が、既にマイナポイント申請済みであることを問い合わせ、職員の不正が判明した。他に数件の類似行為があると述べている[615]。他にも通勤手当177,840円の不正受給、市営高砂駐車場無料サービス券の不正使用も行なっていた[616]。不正受給分は全額弁済済み[617]。2024年2月29日、長崎県佐世保警察署は同職員をマイナンバー法違反、電子計算機使用詐欺罪などの疑いで書類送検した[618]。不正取得したマイナポイントは7人分52,500円相当[619][620]
  • 2024年3月8日、北海道札幌方面厚別警察署は、70代女性の詐欺被害事件を発表。被害者はスマホのビデオ通話機能を用いて、マイナンバーカードの画像や本人の容貌画像を詐欺グループへ送信。詐欺グループがその情報でeKYCを認証させ、ネット銀行へ被害者名義の口座を作成した[621][622][623]

偽造

  • 2023年
    • 3月3日、警視庁亀有警察署は、偽造したマイナンバーカードを使って携帯電話のSIMカードを不正購入しようとしたとして、偽造有印公文書行使と詐欺未遂の疑いでベトナム国籍の男性 (22) を逮捕した[624]
    • 12月4日、警視庁国際犯罪対策課は、大阪市大正区の無職で中国籍の女性 (26)を、出入国管理及び難民認定法違反と有印公文書偽造の疑いで逮捕した[625]。直接の容疑は、マイナンバーカード9枚と在留カード13枚の偽造。家宅捜索では白紙のプラスチック板が約750枚が押収され[626]、パソコンには偽造用データが約3,000件あった[627]。各種証明書の偽造は1万枚に及ぶ可能性がある[628]。偽造は券面のみで、電子証明書は偽造されていないと見られる[629][630]。12月8日、河野太郎デジタル大臣は、本事件でICチップ・電子証明書の偽造は無かったと発表した[注 72][631]。容疑者は一審にて懲役3年の実刑判決[632]。被告によると偽造は簡単で1枚5分で作れる[633]
  • 2024年
    • 4月18日、風間穣東京都議会議員が、また5月2日に松田憲幸八尾市議会議員が、偽造マイナンバーカードを用いたSIMスワップ詐欺に遭った[634]。両議員とも政治活動のため氏名・生年月日・住所・電話番号を公開していた[635]。それを元にマイナンバーカードが偽造され、名古屋市のソフトバンクショップでSIMカードを不正再発行された。SIMの乗っ取り後、両議員はYahoo! IDを乗っ取られ、PayPayYahoo!ショッピングで不正利用被害を受けた。偽造カードは券面だけを似せたものでICチップ内には情報が無いものだった。ソフトバンクショップでは、犯人が提示したカードに対して機器による真贋チェックやICチップを用いた認証を行なっていなかった[注 73]。6月26日、愛知県警察大阪府警察の合同捜査本部が松田市議に対する詐取で名古屋市東区の男性 (39) を逮捕した[637]。最新機種のiPhoneを246,180円で購入し、同日、166,000円で売却している[638][639]。8月7日、別の男性弁護士名義のマイナンバーカードを偽造しクレジットカードを作成・使用したとして再逮捕した[640]。他にもマイナンバーカード偽造の余罪があると見られている[641]。また、偽造に加担したとして内縁の妻 (29) も逮捕した。
    • 5月15日、警視庁池袋警察署警視庁丸の内警察署は、千葉県船橋市の中国籍の男2名を、有印公文書偽造と出入国管理管理及び難民認定法違反の疑いで逮捕した。直接の容疑はマイナンバーカード6枚と在留カード36枚の偽造。容疑者らは30枚から60枚程度を偽造・販売し、9千万円の売り上げがあったと見られている[642][643]。また押収したパソコンからは、2千人分以上のデータが見つかっている[644]
    • 5月16日、岐阜県多治見警察署は、偽造マイナンバーカードを用いて携帯電話を購入しようとした女 (18) を、偽造有印公文書行使と詐欺未遂の疑いで逮捕した[645]。4月17日午後、多治見市内の携帯電話販売店で携帯電話を購入しようとしたが、店の従業員が偽造を疑い110番通報した[646]
    • 7月17日、埼玉県警察組織犯罪対策2課などは、上尾市内の郵便局で、偽造したマイナンバーカードを提示して局留めの郵送物を引き取ろうとし、どちらも中国籍の男2名 (26歳) (33歳) を偽造有印公文書行使容疑で逮捕した[647]。提示したカードが日本人名義であるにも関わらず日本語がカタコトであり、不審に思った郵便局員が110番通報した[648]
    • 7月23日、富山県砺波市で、家電量販店にて他人のマイナンバーカードに自身の顔写真を貼り替えたものを使用し携帯電話機1台を購入しようとしたとして、住所不定の男 (48) が詐欺未遂の疑いで逮捕された[649][650]
    • 9月25日、岡山西警察署は、偽造したマイナンバーカードを用いて消費者金融と50万円の融資契約をしたとして、岡山市の会社員男性 (35) を偽造有印公文書行使と詐欺などの疑いで逮捕した[651]。消費者金融との契約はスマートフォンアプリから、偽造マイナンバーカードの画像を送信する形式で行なった[652]

世論調査・報道の動向

世論調査

2023年7月実施のNHK世論調査では、マイナンバーの利用範囲を拡大する政府の方針に対し、全体では賛成:35%、反対:49%だったが、18歳から39歳の世代では賛成:53%、反対:35%と賛成が過半数であった。従来の健康保険証を廃止しマイナンバーカードへ一体化させる政府の方針についても、若い世代(18歳-31歳)ほど「予定どおり廃止すべき」との回答(全世代平均22%に対し、若い世代33%)が多い傾向があった。しかし、若い世代でも「廃止の方針を撤回すべき」との回答(全世代平均35%、若い世代34%)の方が1%多かった[653]

この傾向は2023年6月実施の朝日新聞の全国世論調査でも同様で、健康保険証とマイナンバーカードの一体化(賛成/反対)、マイナンバーの利用範囲拡大(期待/不安)、政府のトラブル対応(適切/不適切)のいずれも、若い世代ほど好感を示し、高齢世代は反発している[654]

2023年7月実施の共同通信社全国世論調査もマイナンバーカードの保有意向を調査した。他の調査結果と同様に、若年層(30代以下)は73.5%が保有・所持する意向を示すが、高年層(60代以上)は58.4%に下がっている[655]。ジャーナリスト佐々木俊尚は、高齢層のこの傾向はテクノフォビアであろうと分析している[656]


政争化や報道への批判

ICPF情報通信政策フォーラムでのシンポウジムによると、マイナンバーカードの登録ミスは0.07%であること、住基ネットの最高裁判決のために「データ分散管理」する複雑なシステムが作られた。しかし、国民には最高裁判決による制限など関係ないので、「マイナポータルは使いにくい」と批判する流れなっている。日本経済新聞の大林尚記者はこれを解きほぐす責任の一端はメディアにもあると述べている[657]。日本経済新聞はコロナ禍の「デジタル敗戦」を受けて、デジタル庁をつくった日本で、マイナカードが政争の具になっていることを報道している[658]

アメリカ人経済アナリストのジョセフ・クラフト[659]は、欧米の感覚からすると、1億数千万人へ普及しようとすると当然トラブルは起こるものとし、カードの総数に対する僅かなミスへの過度な批判はおかしいと指摘している[660]ノーミス前提社会[661](ノーミス社会)はイノベーションを阻害し、日本社会の弱点であると問題視している。

アメリカ人タレントパックンは、マイナンバーカードを持っていると住民票が必要なときに役所に取りに行かずにコンビニで発行出来るなど、「マイナカードあれば、結構便利になってきてるんですよ」と語っている。彼は2023年7月時点で9730万枚のマイナンバーカードが発行されているため、ミス0は難しく、アメリカなど海外ではミスは起こるものの、発生ごとに訂正することでより良いシステムにしていると語っている。そして、日本がノーミス主義のままでは、「全部ちゃんとならないとダメというと日本のデジタルは遅れていく」と批判している。制度移行中なので様々なタイプのミスが発生自体はしているものの、「日本はノーミス主義が高まり過ぎている」と指摘し、国際弁護士山口真由も「そう思います」と同意している[662]

石川智久日本総合研究所上席主任研究員[663]は、「日本のメディアの報道では旧来の制度の問題が報道されず、政治闘争の道具にされている。マイナンバーカードのメリットとデメリット、改善状況などを判断する必要がある」とし、報道に偏りがあると指摘している[664]

経済学者高橋洋一によると、2023年5月末時点でマイナンバーカード関連のトラブルは以下の4つに類型化され、1-2は利用者のミス、3は健康保険組合のミス、これらは作業の自動化で減らせるタイプの人為的ミスだとしている。そして、4は「システムに負荷がかかったときに、エラーが出ずに前の情報で処理される」とシステム問題でマイナンバー所有者には何の落ち度もなく、システム会社が責任を負うべきミスだと分類している[665]

  1. 公金受取口座における家族(親)の口座登録・(他人の)誤登録
  2. マイナポイントの誤付与
  3. マイナ保険証の誤登録
  4. コンビニにおける別人の証明書の発行(システム問題)[666]

(1)の申請者が子女のマイナカード登録口座を家族名義口座で登録してしまったケースは13万件であり、公金受取口座全体5400万件中の0.2%である。デジタル庁は「登録者本人と異なる名義の口座を公金受取口座として登録することはできません」と案内しているものの、子供の銀行口座を作っていない親が代わりに自分の口座を登録したこと、マイナンバーカード情報の氏名登録は「漢字のみ」で金融機関は「カタカナふりがなのみ」でシステムでの照合が出来ないために起きている[667]

そして、家族ではない者による誤登録は748件で0.001%である。家族ではない者の誤登録は、自治体の支援窓口の共用端末で発生している。原因としては、マイナポータルの利用者が自分の手続きを終えた後にログアウトしなかったこと、同端末で次に手続きした利用者がそのまま手続きしたこと、これらによって前の利用者のアカウントに次の利用者の口座情報が上書きされたことにある。(2)も前の利用者が共用端末でログアウトせず、次の利用者がそのままマイナポイント付与の登録をしたことで起きている。

(3)は7000件あり、マイナカードへの登録全体の0.0056%である[668]こちらの原因は、健康保険組合が健康保険証とマイナンバーカードをひも付けする際に、同姓同名の他人や生年月日が同じ他人を登録したことで起きたものである。高橋は「ミスが無い方が良いものの新しいことを始める時には避けられない」とし、「マスコミは全体からするとレアなミスを大きく報道して煽る」と批判している。新制度移行時における一時的なミス、移行しないときの永続的なデメリットの双方を比較考慮すると良いと述べている[669]


脚注

関連項目

外部リンク

Wikiwand in your browser!

Seamless Wikipedia browsing. On steroids.

Every time you click a link to Wikipedia, Wiktionary or Wikiquote in your browser's search results, it will show the modern Wikiwand interface.

Wikiwand extension is a five stars, simple, with minimum permission required to keep your browsing private, safe and transparent.