世界初の一覧(せかいはつのいちらん)では、現状で確認しうる世界で初めての事物を紹介する。
- 地域固有の文化や行事は除外する。これらは各記事を参照すること。
- 本項は、世界で一番早いという意味で「世界一の一覧」のサブカテゴリーである。
- 世界初でかつ現存している場合は「世界最古の一覧」にも記載する。
- 自然発火利用・発火法 - 原人(南アフリカ北部のワンダーウェーク洞窟)
- 吉野敏行の研究論文によると、最古の火の使用は、南アフリカ北部のワンダーウェーク洞窟で発見された、約100万年前のものである[2]。火の使用は、初期は「野火(火山活動・落雷・山火事などによる自然発火)」の利用だったが、その後、発火技術を発見し、自力で発火するようになった[3]。
- 第一に、最古の道具の作成は、アフリカ大地溝帯のオルドヴァイ峡谷で、約260万年前~約180万年前の打製石器が発見されている[1]。これは「オルドワン石器」と呼ばれ、原人(ホモ・ハビリス、ホモ・エレクトスなど)が作成したとされている[1]。
- 第二に、最古の火の使用は、南アフリカ北部のワンダーウェーク洞窟で発見された、約100万年前のものである[2]。火の使用は、初期は「野火(火山活動・落雷・山火事などによる自然発火)」の利用だったが、その後、発火技術を発見し、自力で発火するようになった[3]。
- 第三に、最古の言葉(音声言語)の使用は、成立年代が諸説ある[3]。言葉自体は遺物として残らないためである[3]。しかし道具の作製、火の使用、言葉(音声言語)の使用という、狩猟採集型文明の発祥の三条件が満たされるのは、約100万年前である[3]。
- 以上を踏まえ、原人以後のホモ属の代謝形態もしくは生活様式を「狩猟採集型文明」と呼び、この最古の文明を創出した人類最初の革命を「人類革命」と呼ぶ[3]。
- 現在知られている限り最古級の集落であるテル・アブ・フレイラ(cf.)にて、集落形成期(11,500年前頃)より後の時期に始まっている。現・シリア、アレッポ近郊。
- 殷代の甲骨文に残されているコイの養殖の記録が最古とされている。
- ナポリ湾でカキの地蒔による養殖が始まったとされる。
- 『武江年表』に貞享の頃に大森(現:東京都大田区大森)で海苔の養殖が始まったことが記されている。
- 香川県東かがわ市引田安戸池(旧・大川郡引田町引田)で野網和三郎がハマチの養殖に初めて成功した。
- 塩の使用 - 不明。有史以前。そもそも動物の中には塩の結晶が出来ている場所を見つけては定期的に口に入れているものも多い。紀元前4700年 - 4200年には(現在のブルガリアの地で)Solnitsata という製塩業を行う街が栄えた。
- 食品の発祥地・発明者・企業
- 教育施設・機関
- 大学(研究・教育機関)- タキシラ僧院
- 西欧の文献で「最古の大学」と一般的に記述されている大学 - ボローニャ大学、1088年頃創立とされる
- 文化施設
- 商業施設
※空港・鉄道・道路・港湾およびそれに付帯する構造物(すなわち交通に関する構造物)は「#交通」の項を参照。
※スポーツに関する施設・構造物は「#スポーツ」の項を参照。
※発電所等プラントに関する施設・構造物は「#工業」の項を参照。
※アミューズメントに関する施設・構造物は「#エンターテインメント」の項を参照。
陸
- 車輪 - おそらく紀元前5千年頃、古代メソポタミアにて
- 馬車 - 不明。インダス文明の遺跡から轍(わだち)の跡が見つかっている。
- 乗合の乗り物(乗合馬車)- 1662年にブレーズ・パスカルが着想し、パリで運用された5ソルの馬車。
- 薬用植物の使用 - 不明。動物は教えられなくても病気になると薬草を口にするので、恐らく人類は人類らしくなる前から、薬草を選択的に口に入れていた。記録としては、(現在でいえばイラク辺りで栄えた)メソポタミア文明の地の北部のアッシリアから発見された粘土板の中に、200種類を超える植物性薬品の名が記録が残っている。
- 麻酔と手術 - 特定不可能(検証不可能な記録が紀元前の世界各地にあり)
- 薬草やアルコールを用いた全身麻酔は、古くは紀元前からさまざまな記録が残されており、外科手術や帝王切開に使われたことが分かっている。有名なものでは、200年頃(後漢末期)中国の華陀が「麻沸散」という全身麻酔薬を用いて手術を行ったと『三国志』(280年頃)に記載されている。しかし、これらの記録は時代が古過ぎてもはや事実の検証が不可能である。
- 史料で確認できる、世界初の全身麻酔による手術 - 華岡青洲による乳癌の手術(1804年11月14日)(高嶺徳明による口唇裂の手術(1689年))
- 天然痘の予防接種 - 人痘などを用いて、紀元前200年頃から中国やインドで行われている。
- ワクチン - エドワード・ジェンナーの種痘(牛痘ワクチン)(1796年)
- ヒトに感染する感染症の防疫的制圧 - 天然痘
- 自然感染による最後の罹患者は1977年の1名で、その後、2003年5月8日になって世界保健機関 (WHO) が根絶宣言(自然環境中からの排除達成の宣言)を行った。2012年現在、天然痘は人類が防疫的制圧に成功した唯一の伝染病でもある。
- 世界初の植皮が何であったかは不明であるが、紀元前500年頃の聖者ススルタによる造鼻術(鼻削ぎ刑を受けた患者に応じて発達した整形外科的手術法)などは『ススルタ大医典(英語版)』に詳しい。また、世界初の植皮は皮弁(血流のある皮膚・皮下組織や深部組織を移植する手術方法)による耳垂再建術であったとする説もある。
- 近代科学医療による、ヒトへの臓器移植の成功
- - エドゥアルト・ツィルム(英語版)による角膜移植(1905年)
- これをもって「世界初のヒトへの臓器移植の成功」と見なすのがより一般的な認識であるが、これは近代科学医療を医療の始まりとする現代科学者の捉え方に準じたに過ぎず、古代インドで行われた植皮を「臓器移植でない」とするには無理がある。
- 人への内臓移植の成功 - ヨセフ・マレーによる腎移植(1954年)
- 他の内臓での成功はそれぞれ、膵臓(1966年)、肝臓(1967年)、心臓(1967年)、肺(1986年)、気管(2008年)、顔面(2010年[12])、子宮(2011年)、陰茎(2015年)。
- 人工臓器移植
- 人工気管移植 - パオロ・マキアリーニによる(2012年)
- 子宮移植によって出産された子供 - ヴィンセント(2014年[13])
- ヒトへの着床前診断 - 1989年に成功し1990年に診断された子供が誕生。
生物工学(バイオテクノロジー)、および、それと同じ目的を持った先行的技術分野の世界初。
- 遺伝子改変動物 - ルドルフ・ヤニッシュによるトランスジェニックマウス(enも参照)(1974年)
- 商用遺伝子組み換え作物 - 遺伝子組み換えトマトのFlavr Savr(1994年発売)
- 核移植によるクローン動物 - ロバート・ブリッグス(英語版)とトーマス・ジョゼフ・キング(英語版)が作成したヒョウガエル[注 2](1952年)
- クローン哺乳類 - 1980年代に生み出された、胚細胞の核を使ったクローン哺乳類群
- 種としてヒツジと実験用マウスが報告されている。
- 体細胞クローン哺乳類 - ヒツジの「ドリー」
- 1996年7月5日に誕生した雌の個体。公表されたのは翌1997年2月22日。
- なお、ヒツジ以外の体細胞クローン哺乳類の誕生はそれぞれ、実験用マウス(1997年)、ウシ(1997年)、ブタ(2000年)、ネコ(2001年)、ヤギ(2001年)、ガウル(2001年)、ラット(2003年)、ウサギ(2003年)、シカ(2003年)、ウマ(2003年)、フェレット(2004年)、イヌ(2005年)、ラクダ(2009年)など。
- 絶滅危惧種のクローン - ガウル(2001年)
- 絶滅種のクローン - ピレネー・アイベックス (en)(2009年)
- 商用ペット・クローン (en) - ネコのリトルニッキー(2004年)
- ウイルスのゲノム解読 - φX174(1977年)
- 真核生物のゲノム解読 - 出芽酵母(1996年)
- 多細胞生物のゲノム解読 - Caenorhabditis elegans (線虫の一種)(1998年)
- ヒトゲノムの全塩基配列解読 - ヒトゲノムプロジェクト(2003年)
- ヒトES細胞(ヒトの胚性幹細胞)作成技術の確立 - ジェームズ・トムソン(英語版)率いる研究グループ(2001年)
- ヒトiPS細胞(ヒトの人工多能性幹細胞)作成技術の確立 - ジェームズ・トムソン率いる研究グループと山中伸弥率いる研究グループがそれぞれ独自に成功し、同じ2007年(平成19年)11月20日に公表。※出典および詳細については該当記事を参照のこと。
コンピュータゲーム
- ジャンル
- 表示形式
- ゲーム機
- アーケード用ゲーム機
- コンシューマー用ゲーム機
郵政
- また郵便制度を世界で初めて創設し、世界中に広めたため、万国郵便条約が定める「切手に発行国名を記す義務」を世界で唯一、特権的に免除されている。国名表記がない切手はイギリスのみ。
音楽・映像
- メディアへの記録
- 売上げ
- 作曲・演奏
- その他
武術[要曖昧さ回避]・武道、フィジカルトレーニング等々を含む運動全般、および、フィジカルスポーツ(マインドスポーツ[頭脳スポーツ]と区別される肉体スポーツ)全般に関する世界初。
- - 紀元前21世紀頃、古代エジプト中王国時代のベニ・ハッサンに所在する墳墓の壁画に描かれた、当時のスポーツ数種(レスリング、重量挙げ、跳躍運動、弓矢による狩猟、ボールを伴った儀礼など)[25]
- :弓矢による狩猟やボールを伴った儀式は現代の概念ではスポーツではないが、当時の認識を現代的常識で計ることは正しくない。これらをスポーツと呼べない可能性はあるが、そうであるなら、槍投げ競技もまた、古代のそれはスポーツと呼べない。
- 史料で確認できる、本格的なスポーツイベント - 紀元前776年のオリュンピア大祭(第1回古代オリンピック)
- :古代ギリシアのオリュンピアにて紀元前9世紀から開催されていたと考えられるが、初期のオリュンピア大祭(古代オリンピック)は記録に残っておらず、紀元前776年のものを第1回と数えるのが通例となっている。なお、上述の通り、スポーツイベント自体は古代エジプトや古代ギリシアでさらなる以前から行われていた。
- 近代スポーツによる国際スポーツイベント - 1851年5月3日に開始されたアメリカスカップ
- 「en:America's Cup#1851 America wins the Cup」も参照。
- - ルールブック「ブロートン・コード」(Broughton's Rule) に則って1743年にイングランドで行われたボクシング競技
- :中世ヨーロッパの都市や農村では暴力的で混沌としたスポーツが様々に行われていたが、この時代になって初めて厳格なルールが整備された。ただし、厳格なルールの整備を一条件とする「近代スポーツ」の定義は、近代ヨーロッパを定義上の基準とした概念であって、厳格なルールを持ったスポーツがそれ以前に存在しなかったという意味ではない。上述の古代エジプトで行われていたスポーツにそれが無かったとする決め付けはできないし、古代オリンピックともなると間違いなくあった。また、ヨーロッパ以外の地域に、例えば日本の相撲(そのうち、17世紀に始まる江戸相撲と大坂相撲)のように、より早い時代に「近代スポーツ」の諸条件を整えていたものがあっても、近代ヨーロッパの合理主義[要曖昧さ回避]から生まれたものではない以上、除外されていることを特筆しておく。
- - 1879年のウィーンでのフィギュアスケートの夜間競技会。当時発明間もない白熱電球が照明として用いられている。
- - 2020年東京オリンピック
- 新型コロナウイルス感染症拡大のため2021年に延期の上、無観客での開催となった。
ロケット・宇宙船
- 宇宙ステーション
- 動物ミッション
- 宇宙に行った動物 - V2ロケットに乗ったミバエ(1947年2月20日打ち上げ)
- 地球に生還した初の動物でもある
- その後、サル、イヌ、ウサギ、カエル、モルモット、ネコ、カメ、カダヤシ目の魚、クモ、イモリ、寄生バチ、コクヌストモドキ、クマムシ、アメーバ、植物、菌類、ニワトリの受精卵、カイコ、マダガスカルゴキブリ、メキシコトビマメ、チョウ、アルテミア、サバクオオゴミムシダマシ、コオロギ、カタツムリ、コイ、メダカ、ウニ、クラゲ、チンパンジーなどが宇宙に行っている。
- 宇宙に行った哺乳類 -V2ロケットに乗ったアカゲザル(1949年6月14日打ち上げ)
- 地球軌道を周回した動物 - スプートニク2号に乗ったライカ犬(1957年11月3日打ち上げ、ソ連)
- 深宇宙に行った動物 - ヨツユビリクガメ、チーズバエ、ミールワームなどが月軌道を周回(1968年9月14日打ち上げ)
- 宇宙空間に直接曝されて生き残った動物 - フォトンM3に乗ったクマムシ(2007年9月)
- 宇宙で卵を身ごもった動物 - フォトンM3に乗ったゴキブリ(2007年9月)
- 宇宙で生まれた(孵化した)動物 - 不明
- 有人ミッション
宇宙探査機
- ローバー
- 衝突・着陸
- 軌道周回(地球軌道以外)
- サンプルリターン
海
- 世界初の装甲浮き砲台(世界初のデヴァステーション級装甲浮き砲台)として、4番艦「トナンテ (Tonnante)」、1番艦「デヴァステーション (Dévastation)」、3番艦「レーヴェ(英語版) (Lave)」、2番艦「フォードロヤンテ (Foudroyante)」[注 4] がクリミア戦争中に建造され(※並びは完成順)、同戦争中のキンブルンの戦い(英語版)で戦果を挙げたレーヴェがよく知られている[28]。
- 北軍のモニターと南軍のバージニアによる。双方相手を撃沈できず、引き分けに終わった。
- 缶詰関連
- ブリキ自体は古代から工業的に製造されていた。工場制手工業生産が始まる以前はボヘミア地方が長らくヨーロッパにおける独占的生産地であった。同じ1620年代、ボヘミアからザクセン王国へ産地は広がったが、家内制手工業生産であった。
- 遠征における食料補給問題に悩まされていたナポレオン・ボナパルトによる画期的な保存食技術を募る懸賞に応える形で開発された。
- ブリキ製の缶詰 - 1860年代に発明された。
- Wikipedia関連
注釈
ウニの胚を分割すると、それぞれが完全なウニに成長することを発見。細胞核移植以前のクローン技術と位置付けられる。
出典
吉野敏行「文明の代謝史観序説」『人間と環境』第6巻、2015年、60頁。
吉野敏行「文明の代謝史観序説」『人間と環境』第6巻、2015年、60-61頁。
吉野敏行「文明の代謝史観序説」『人間と環境』第6巻、2015年、61頁。
細野英夫「里山の基礎的研究―南那須―」『白鷗大学論集』第19巻第1号、2004年、109頁。
高阪章「私たちはどこから来て、どこへ行くのか──人類史から見た暮らしの変化──」『国際学研究』第6巻第1号、2017年、42-43頁。
Andrew Lih 著The Wikipedia Revolution