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原動機の一つ ウィキペディアから
内燃機関(ないねんきかん)とは、シリンダーなど機関内においてガソリンなどの燃料を燃焼させ、それによって発生した燃焼ガスを用いて直接に機械仕事を得る原動機をいう[1]。内燃機関では燃焼ガスを直接作動流体として用いて、その熱エネルギーによって仕事をする[1][2]。これに対して、蒸気タービンのように燃焼ガスと作動流体がまったく異なる原動機を外燃機関という[1]。
内燃機関はインターナル・コンバスチョン・エンジン(internal combustion engine, ICE)の訳語であり、内部(インターナル)で燃料を燃焼(コンバスチョン)させて動力を取り出す機関(エンジン)である。「機関」も「エンジン」も、複雑な機構を持つ装置という意味を持つが、ここでは発動機という意味である。
なお、動力を取り出すことが目的の内燃機関ではあるが、特殊な用途としてパルスジェットによるフロンガスの分解や4サイクル機関による天然ガスの改質などが研究された[3]。
内燃機関は熱エネルギーを機械エネルギーに変換する熱機関の一種であり、レシプロエンジン(ピストンエンジン)やロータリーエンジン(ヴァンケルエンジン)といった容積型内燃機関とガスタービンエンジンやジェットエンジンなどの速度型内燃機関に分けられる[1]。
容積型内燃機関とは、燃焼ガスの容積変化(膨張)を利用するもので、クランク機構などにより回転軸出力として機械仕事に転換する内燃機関をいう[1]。レシプロエンジンの場合、シリンダー(気筒)の内部で燃料を燃焼させ、燃焼ガスがピストンを押す力を利用する。このピストンの往復運動をクランクにより回転運動に変換し軸動力を得る。また、ロータリーエンジンの場合は、作動室内での燃焼後のガスの膨張によるローターの公転が、エキセントリックシャフトを回転させて軸動力を得る。
これに対して速度型内燃機関は燃焼ガスの高速の流れを利用するもので、タービン翼車の回転運動等を通じて機械仕事に転換する内燃機関をいう[1]。ガスタービンエンジンの場合、燃焼器で燃料を燃焼させ、燃焼ガスが出力タービンを回転させることで軸動力を得る。軸動力ではなく推力を直接得るために、出力タービンを省き燃焼ガスを一方向に噴出させるとジェットエンジンとなる。
容積型機関は「間欠燃焼」、速度型機関は「連続燃焼」という燃焼形態の違いはあるが(パルスジェットエンジンは間欠燃焼式速度型機関という例外)、ともに燃焼熱により高圧となった燃焼ガスそのものを作動流体とすることは共通する。これに対し蒸気機関などの外燃機関では、機関外部の熱源(燃料の燃焼など)により、燃焼ガスとは別の作動流体(水など)に熱エネルギーを与え、機関により動力を得る。
現代の内燃機関では主に熱効率を高めるために、燃焼には出力の一部を利用して圧縮した空気を使用する。ディーゼルエンジン(レシプロエンジンの一種)のように、原理的に圧縮なしでは動作しない内燃機関もある。
積極的にデトネーションを利用する事で高効率化が期待され[4][5][6]、パルス・デトネーション・エンジンの開発が各国で進められている。
内燃機関に限らず、燃焼プロセスを経る装置では、熱効率においてカルノー効率を超えるものは、理論上ありえず、また効率を最大限向上させると出力が殆ど無になる[7]。
19世紀より前から様々な内燃機関が発明されてきたが、19世紀に入り都市ガスが普及し始めるとこれを燃料とする内燃レシプロエンジンの開発が活発となった。1860年代には様々な形式のガスエンジンが定置式の産業用原動機として普及し始め、ニコラウス・オットーらの4ストローク機関により完成の域に達した。同じ頃石油の採掘と精製が産業として確立し、ガスエンジンをガソリンで運転する試みが始められたが、ガソリンを継続的に気化する仕組みの開発がネックとなり、ガソリンエンジンの実用化はガスエンジンに多少遅れている。さらに少し遅れて、これら予混合燃焼の機関とは別のアプローチからディーゼルエンジンが発明された。
貯蔵と運搬が容易な液体燃料を使用する内燃機関の登場は、自動車の商業実用化や飛行機の発明を可能にし、特に輸送の分野に大きな発展をもたらした。
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