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この項目では、200 km/h以上で運行する鉄道について説明しています。日本の都市内鉄道(都市高速鉄道)については「都市鉄道」をご覧ください。 |
高速鉄道(こうそくてつどう、英: high-speed rail)は、200 km/h程度以上の速度で走行できる鉄道を指す。特化した車両と専用軌道とを統合したシステムを用い、従来の鉄道よりも著しく高速で運用される交通機関である。
| この記事には独自研究が含まれているおそれがあります。 |
本稿では、磁気浮上式鉄道(リニアモーターカー)のうち高速輸送を目的としたものも高速鉄道に含める。
列車の営業最高速度は技術革新に伴い常に向上を続けているため、世界で広く適用される一つの標準定義というものはなく[1]、多くの定義が用いられている。
新幹線と高速鉄道
世界で最初の高速鉄道とされる日本の新幹線鉄道は、1970年(昭和45年)に制定された全国新幹線鉄道整備法第2条で「その主たる区間を列車が200 km/h以上の高速度で走行できる幹線鉄道」と定義されている[2]。
現在では「日本の高速鉄道システム」として固有名詞化しているが[注 1]、元々「新幹線」は高速度運行を目的とした「新しい幹線鉄道」を意味する普通名詞である。
日本においてはこの法を根拠に長らく高速鉄道の基準を200 km/hとしてきた。
国際鉄道連合による解釈
国際鉄道連合 (UIC) は、高速鉄道の定義は使われる基準によって様々であるとした上で、いずれの定義でも高速鉄道は
- 専用の高速新線は250 km/hを超える設計速度
- 高規格化された在来線は200 km/hもしくは220 km/hにも至る設計速度
で建設されたインフラ、特別に設計された車両、運用、など「システム」を構成する全ての要素のコンビネーションによってもたらされるものであるとしている[1]。
試験走行(有人)での最高速度
- 磁気浮上式鉄道の速度記録
- 603 km/h 超電導リニア L0系(日本)7両編成 2015年4月
- 鉄輪式鉄道の速度記録
- 574.8 km/h TGV POS(フランス)5両編成 2007年4月
- 1955年に記録して以来、鉄輪式の世界速度記録はほぼ一貫してフランス国鉄が保持してきた。最新の速度記録はTGV POSの特別編成によって、新しく建設されていたLGV東線で達成されたものである。この試験走行は概念実証が目的であり、速度記録は営業編成に大幅な改組・改造を施した車両によって樹立された。
営業最高速度
- (1) 430 km/h
- (2) 350 km/h
- (3) 320 km/h
- (4) 310 km/h
- (5) 305 km/h
高速鉄道は、莫大な建設財源などの問題はあるものの、世界の鉄道業界において中長期的には非常に有望な市場である。特に北アメリカやBRICS、アジア諸国では今後大幅な進展が期待されるほか、高速鉄道網が発達している西ヨーロッパ諸国でも潜在需要は少なくない。各国は、この市場を制覇すべく高速鉄道の売込みにしのぎを削っている。
同時に、特に西ヨーロッパでは、高速鉄道の相互乗り入れ(インターオペイラビリティ)も進展している。
- いくつか新幹線の建設計画が進められている。2034年以降にリニア中央新幹線品川 - 名古屋間[5][6]、2031年春に北海道新幹線新函館北斗 - 札幌間が開業する予定。※詳細は各路線の項目を参照。
- 2007年9月25日に欧州議会は、EU域内の国際旅客鉄道輸送の自由化を可決し、EUの国境を超える国際鉄道旅客輸送は2010年に自由化される。既にイタリアのNTV社が、イタリア国内の高速鉄道輸送に参入することを決定しているほか、航空会社のエールフランス‐KLMも参入を検討している。
- 2005年6月2日、CTRL国内路線で運行する高速車両において、A-trainで臨んだ日立と契約を結び、2009年に部分開業した。また、HS2と呼ばれるロンドンとイングランド北部を結ぶ高速鉄道が、まず「第1期」として中部の主要都市マンチェスターを結ぶ区間で2029年の開業を目指し建設中。2021年12月9日、日立とフランスのアムストム社がHS2向け車両54編成の製造・保守を受注したと発表した。[7]このほか、2005年からトランスラピッドタイプの磁気浮上式鉄道の導入計画も浮上したが、2007年に却下された。
- 2009年にはオランダのスキポール - ロッテルダム - ブレダ/ベルギー国境までの高速新線オランダ南高速線とベルギーのブリュッセル - アントウェルペン - オランダ国境を結ぶベルギー高速鉄道4号線が完成した。
- バイエルン州ではトランスラピッドの建設が計画されていたが、2008年3月に中止が決定された[8]。
- アルプトランジット計画として、アルプス山脈の地下を南北に貫く高速鉄道計画がある。
- ウメオ - ルレオ間を結ぶ北ボスニア線、ストックホルム - リンシェーピング間を結ぶ東線、リンシェーピング - イェーテボリ間を結ぶイェータランド線、リンシェーピング - ヘルシンボリ間を結ぶヨーロッパ線などが計画されている。
- ワルシャワからウッチを経由しポズナンおよびヴロツワフに至る高速鉄道計画があったが、2011年に白紙になった。
- 2006年5月、モスクワ - サンクトペテルブルク間で建設中の高速鉄道向けの車両において、ドイツ・シーメンス社とICE3ベースの新型車両サプサンの納入契約を交わした。また、日本の新幹線技術にも関心を寄せており、2007年にはモスクワ - ソチ間での新幹線技術導入に向けたトップレベルの交渉が行われている。
- アスタナ - アルマトイ間(約1,011 km)を最高速度250 km/hで結ぶ高速鉄道計画がある。2011年にはカザフスタン鉄道とスペインのタルゴの間で合弁会社が設立されている。
- 2011年に開業した、北京と上海を結ぶ京滬高速鉄道は、日仏独加の受注合戦が熾烈を極め、最終的に全ての国が受注し、得た技術を基に自国生産を開始。2008年8月から、和諧号(中国鉄路高速[9])が一部の車両の設計値を大きく超える350 km/hで営業し鉄輪式の営業最高速度記録を持っていたが、2011年7月以降、高コストと安全性への懸念のため最高速度を300 km/hに落としていた[10]。2017年9月21日より京滬高速鉄道で再び最高速度を350 km/hに引き上げた[11]。
- タイ高速鉄道計画としてバンコク - ナコーンラーチャシーマー間を最高速度200 km/hで結ぶ計画がある。
- ベトナム高速鉄道計画としてハノイ - ホーチミン間を結ぶ計画がある。
- マニラ - アンヘレス間を結ぶ構想がある。
- クアラルンプール - シンガポール間を結ぶ計画がある。
- ジャカルタ - スラバヤ間(約685 km)を最高速度300 km/hで結ぶ高速鉄道計画があり、2008年にインドネシア政府と日本の国際協力機構が事前調査を行っていたが、最終的には予算の都合で見直しになり[12]、結局日本提案のものを断り中国提案のものを採用した[13]。
- ヤンゴン - 昆明間(約1,920 km)を結ぶ高速鉄道が中国主導で計画されていたが、2014年に白紙になった[14]。
- ムンバイ - アフマダーバード間(508.18 km)、バンガロール - ハイデラバード間、アムリトサル - ニューデリー - ラクナウ間、パトナ - コルカタ間、チェンナイ - バンガロール間などで最高速度250 - 300 km/hの高速鉄道計画がある。高速鉄道の事業化に向けて日印両政府が政府間協議に入ることで合意しており、このうち第1号路線として検討されているムンバイ - アフマダーバード間では日本の新幹線方式が採用された[15]。
- ラーワルピンディー - ラホール間(約280 km)を最高速度300 km/hで結ぶ高速鉄道計画がある。
- エスファハーン - ゴム間(約240 km)を最高速度250 - 270 km/hで結ぶ高速鉄道計画があり、テヘラン方面への在来線に直通予定。また、テヘラン - マシュハドをトランスラピッドで結ぶ計画がある。
- バグダード - バスラ間(約650 km)を最高速度250 km/hで結ぶ高速鉄道計画がある。
- メッカ - ジッダ - マディーナ間(約440 km)の高速鉄道が既に開業している。
- トルコ高速鉄道としてイスタンブール - アンカラ間(約533 km)とアンカラ - コンヤ間が既に開業している他、アンカラ - スィヴァス間およびアンカラ - イズミル間を結ぶ高速鉄道計画がある。
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- ウィンザーからトロント、モントリオールを経由してケベック・シティーまでを、TGVとフランスのターボトレイン技術を基に製作されたボンバルディア社製の「ジェットトレイン」(最高速度300 km/h)の建設計画がある。その他、エドモントン - カルガリー間を結ぶ構想もある。また、2022年7月、TRANSPOD社が、専用チューブ内を走行し、最高速度1,000km/h超とする電動輸送システム「FluxJet」を発表、アルバータ州のカルガリーとエドモントンを結ぶ路線の建設に向けた取組を開始したいう。[18][19]
- メキシコシティ - グアダラハラ間を最高速度300 km/hの高速鉄道計画がある[20]。
- ブラジル高速鉄道としてリオデジャネイロ - サンパウロ - カンピーナスを高速鉄道で結ぶ計画を進めており、当初は2015年に完成予定であったが、2010年現在、予算の確保等の事情から未定である。シビルエンジニアリング2010年4月号によれば、2009年にブラジル政府から示された入札ドラフトでは、事業費は政府が30%程度出資し、残りの建設費は落札した事業者がPhased Project Planning(段階的プロジェクト計画)等により調達することを前提としている。このため、今後予定される入札は、インフラ全体の建設だけではなく今後40年間の事業権を含めた事業が対象となる見込み。従って、鉄道建設や運用に関する技術力はさほど重視されず、建設及び運営コストの圧縮を重視した企業群が有利となる模様。
- ブエノスアイレス - ロサリオ - コルドバ間(約710 km)を結ぶ高速鉄道計画があり、2007年に行われた入札でアルストム社を中心としたフランスのコンソーシアムが優先交渉権を獲得[21]。TGV Duplexをベースとした車両が採用される予定だが、資金トラブルにより進展は見られていない。
- サンティアゴ - バルパライソ間に高速鉄道計画が存在する。
- タンジェ=カサブランカ高速鉄道が既に開業している他、カサブランカ、マラケシュ、アガディール方面への延伸計画がある。
- ヨハネスブルグ - ダーバン間(約700 km)の高速鉄道計画があり、韓国がKTXの技術供与を申し出ている。
- シドニー - キャンベラ間を結ぶ高速鉄道構想があり、将来的にメルボルンまで延伸することが視野に含まれている。
- 北朝鮮、ラオス、イスラエル、アルジェリア、アイルランド、ノルウェーなどに高速鉄道の建設計画または構想がある。
注釈
日本から技術供与。分岐器はドイツから、運転士はフランスから提供。
厳密には、山形新幹線なる新幹線は存在しない。なぜならば、山形新幹線と呼ばれている区間は、奥羽本線との線路供用区間であるからである。そのため、この区間は、前述の、全国新幹線鉄道整備法の定義である、200 km/h以上の速度で運行することができない。
出典
“HIGH SPEED” (英語). International Union of Railways (UIC). 2016年11月20日閲覧。
「中央新幹線品川・名古屋間の工事実施計画(その3)及び変更の認可申請について」『JR東海 ニュースリリース』2023年12月14日。
“ドイツ 政治動向”. JETRO 日本貿易振興機構 (2008年11月13日). 2009年5月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年2月24日閲覧。
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