日本車輌製造
名古屋市にある鉄道車両メーカー ウィキペディアから
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日本車輌製造株式会社(にっぽんしゃりょうせいぞう、英: NIPPON SHARYO, LTD.[2])は、愛知県名古屋市熱田区に本社を置く、鉄道車両や建設機械、特装車、橋梁、農業用プラントなど、特に「大型」と呼ばれる分野をメインに生産を行う大手企業。長らく、呼称は正式社名と同様の異体字表記を使用していたが、1996年より常用漢字での「日本車両」表記を使用している。略称は「日車」。
名古屋市熱田区の本社ビル | |
種類 | 株式会社 |
---|---|
市場情報 | |
略称 | 日本車両、日車 |
本社所在地 |
日本 〒456-8691 愛知県名古屋市熱田区三本松町1番1号 北緯35度7分41.1秒 東経136度54分44.1秒 |
設立 | 1896年(明治29年)9月18日 |
業種 | 輸送用機器 |
法人番号 | 4180001022575 |
事業内容 | 鉄道車両・建設機械・特装車・橋梁・農業用プラントなどの製造・販売 |
代表者 |
代表取締役社長 田中守 代表取締役専務取締役 子安陽 |
資本金 |
118億1000万円 (2020年3月31日現在)[1] |
発行済株式総数 |
1467万5012株 (2020年3月31日現在)[1] |
売上高 |
連結: 946億3400万円 単独: 927億2600万円 (2020年3月期)[1] |
営業利益 |
連結: 85億3800万円 単独: 83億8500万円 (2020年3月期)[1] |
経常利益 |
連結: 86億4100万円 単独: 85億3500万円 (2020年3月期)[1] |
純利益 |
連結: 79億1000万円 単独: 123億2600万円 (2020年3月期)[1] |
純資産 |
連結: 345億0400万円 単独: 299億0900万円 (2020年3月31日現在)[1] |
総資産 |
連結: 1278億1300万円 単独: 1203億0000万円 (2020年3月31日現在)[1] |
従業員数 |
連結: 2,139人 単独: 1,991人 (2020年3月31日現在)[1] |
決算期 | 3月31日 |
会計監査人 | 有限責任監査法人トーマツ[1] |
主要株主 |
東海旅客鉄道株式会社 50.93% 日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 2.09% 日本カストディ銀行株式会社(信託口) 1.81% 村松俊三 1.80% 日本車輌従業員持株会 1.40% 株式会社三菱UFJ銀行 1.40% 三井住友信託銀行株式会社 1.16% 日本カストディ銀行株式会社(信託口5) 1.02% STATE STREET BANK WEST CLIENT - TREATY 505234 1.01% 日本生命保険相互会社 0.89% (2020年3月31日現在)[1] |
主要子会社 |
株式会社日車エンジニアリング 100.0% NIPPON SHARYO U.S.A.,INC. 100.0% 重車輛工業株式会社 90.9% 株式会社日車ビジネスアソシエイツ 100.0%[1] |
関係する人物 | 中川彰(元社長) |
外部リンク | https://www.n-sharyo.co.jp/ |
1896年に愛知県名古屋で創業[3]。東京、名古屋両証券取引所に上場(証券コード7102)。2008年8月に東海旅客鉄道(JR東海)と業務資本提携契約を締結。JR東海がTOBを実施し、株式の50.1%を取得[4]。JR東海の連結子会社となった[注釈 1][5]。
NHK名古屋放送センタービル内に日車夢工房オフィシャルショップ・「日車"ゆめ"ステーション」を営業していたが、2012年2月26日をもって閉店している[6]。
また、富山県高岡市に本社を置き、鉄道車両や大型バスの解体を行っている日本車両リサイクル(豊富産業グループ)とは人的・資本関係は一切無い。2011年、日本車輌製造のグループ会社だと誤解されるような名称は不正競争防止法違反であるとして、日本車輌製造は日本車両リサイクルに対し社名の使用差し止めと登記抹消を求めて提訴し、一審の東京地裁では棄却されたものの、2013年3月28日の知財高裁での控訴審判決で勝訴した。このため、日本車両リサイクルは2013年5月に「日本総合リサイクル」と社名を変更した[7][8]。
創業以来、官設鉄道(帝国鉄道庁、鉄道院、鉄道省)、日本国有鉄道、JR、私鉄、産業用向けに多くの鉄道車両を製作した実績を持つ。また製造された車両の評価も非常に高く、鉄道友の会のブルーリボン賞やローレル賞を受賞した車両も多数輩出している。
なお、鉄道車両以外の分野、特に橋梁構造物、水門などの事業は近年の公共事業削減の影響を受け売上が減少、営業赤字となっている。
新分野への進出を目指しPCBの処理プラントを愛知県半田市内で試験運転していたが、トラブルが相次いだため事業化を断念。2007年度に特別損失として35億7600万円を計上し、中間期(2007年9月)は大幅な赤字決算となった[17]。
鉄道車両部門でも原材料の高騰の影響を受け、JR東海・JR西日本の「N700系特需」などにより受注残は過去最高となっているものの採算は低下しており、2008年3月の通期決算でも54億7300万円の当期純損失を計上する結果になった[18]。
今般JR東海が当社を子会社化した[注釈 1]背景には同社の超電導リニアモーターカー開発強化策に当社を組み込むことが挙げられている。三菱重工業と共に、中央新幹線の営業車両となるL0系を製作[19][20]していたが、2017年度に三菱重工業がリニアモーターカー車両の製造から撤退したため、製造は2018年度に日本車両と日立製作所に変更された。 イリノイ州の工場では、通勤電車・客車等の製作を計画し、将来的にはシカゴ周辺の高速鉄道への供給も想定していたものの、納期遅れによるキャンセルとそれに伴う赤字が相次いだことで、2018年に工場閉鎖に追い込まれた。
など
過去には以下の事業も行った。
戦前のガソリンカー製作では黎明期の「軌道自動車」(井笠鉄道ジ1形)での参入以降、日本車輛製造本店と東京支店が日本国内市場において大きなシェアを占めていた。
基本的には本店が中部地方以西、東京支店が中部地方以東の各鉄道向けを担当したが、例えば耶馬溪鉄道キハ100形(東京支店製)のように本店担当地域に東京支店製車両が納品されたケースや、その逆のケースも存在する。
戦前期においては名古屋の本店と東京支店の間では設計手法に大きな差異が存在しており、特に車体設計については本店が同時期設計の電車に準じた明朗かつ軽快なデザインで、外部に現れるリベット本数も少ない構体構造としていたのに対し、東京支店は愛好者の間で「戦車形」などと呼ばれる無骨で鈍重なデザインで、外板に打たれたリベット本数の多い構造を採用していた。
この内、本店では、両運転台式気動車の開発過程で若干の迷走も見られたが、1920年代末には鉄道省に先駆けて軽量車体を備える18 m級機械式ガソリンカーを製作し、簡易式連結器や軽量自動連結器、形鋼を組み合わせた軽量で乗り心地のよい軸ばね台車、それに逆転機と最終減速機を一体として台車枠とリンクで結んで転動を抑止する簡潔な駆動システムを独自開発するなど、技術面で業界をリードする体制を確立、それらを組み合わせた標準化設計に従う低コストかつ高品質の車両を、新規開業線や蒸気動力からの転換を図る地方私鉄、あるいは各社に迅速に供給することで、大手を含む他の車両メーカー各社を圧倒した。
さらに、鉄道省が設計したキハ36900形(=キハ41000形)・キハ40000形・キハ42000形の3形式も、前述の各機構をはじめとする各部について日本車両製造の標準設計を鉄道省の標準規格に適合させる形で基本設計を実施されている。また、戦後の国鉄が設計した液体式気動車各形式においてもDMH17系エンジン搭載各形式については、特に駆動系についてはそれらの設計が踏襲されたため、最大で5,000両以上を数えた日本の国鉄制式気動車群の大半は、この日本車輌製造の技術を標準設計として採用していたことになる。
昭和30年代に、地方私鉄の老朽化していた木造車や初期の半鋼製車の車体を更新する際に、日本車両が設計した標準車体を採用した私鉄が全国に存在した。これらの車両のことを総称して「日車標準型」とも呼ばれる。
日本車両で開発された、名鉄5000系電車 (初代)に準じた車体や設備を持つ地方私鉄向けの車両をこう呼ぶことがある。
JR東海315系[注釈 4]、小田急新3000形、京王9000系、京成新3000形とその同型車、名鉄300系、名古屋臨海高速1000形、横浜市営地下鉄3000R形・3000S形・3000V形、名古屋市交通局N1000形など、日本車両が設計幹事会社となって導入された通勤型電車では、側窓とドア上にわたる長い幕板を廃止し、構体のドア部分とそれ以外の部分を別々のブロックとして製作して結合するという工法で作られたものが多い。これらの低コスト軽量ステンレス車体は、鉄道ファンの間で“日車ブロック工法”などと呼ばれているが、正式名称ではなく、正しくは“日車式ブロック工法”[21]あるいは“日車式SUSブロック構体”[22]である。
なお、前述の315系より本工法に新たに「N-QUALIS」[23]というブランド名がつけられた。
東日本旅客鉄道・東急車輛製造(→総合車両製作所)・川崎重工業(現・川崎車両)を中心としたE231系グループのステンレス製通勤電車や、日立製作所が開発したA-train(新工法のアルミ製電車)、川崎重工業のefACE(アルミ車とステンレス車が存在するが根本的な思想は同じ)、東急車輛製造→総合車両製作所のsustina(新工法のステンレス製電車)とともに、標準化された通勤電車の製造法である(通勤・近郊電車の標準仕様ガイドラインの項を参照)。
豊川製作所は1971年に名古屋の本店工場と埼玉県の東京支店工場を統合して発足した、同社唯一にして日本でも屈指の鉄道車両生産工場で、数々の鉄道車両を生み出してきた。正門付近には上野動物園のモノレールや新幹線0系、8620形蒸気機関車等が展示されている。
新製車両の出荷である甲種輸送を行う際は、豊川製作所から専用線を通り豊川駅からJR飯田線を走り日本全国へ輸送される。甲種輸送は火曜日が多い[要出典]。
JR東海在来線車両は、豊川製作所から専用線を自走し[注釈 8]、豊川駅から試運転を兼ねて、各車両区へ自力回送される[注釈 9]。名鉄車両、名古屋市営地下鉄鶴舞線・桜通線向け車両の輸送は笠寺駅までJR線、笠寺駅から名古屋臨海鉄道東港線・東築線経由で名鉄築港線東名古屋港駅に取り込む形で行われている(「名古屋臨海鉄道#名鉄新車搬入」「名古屋鉄道#車両の輸送」を参照)。
JR北海道向け車両、日本国外向け輸出車両(大型車両を除く)は同様のルートで東名古屋港駅に送った後、その先の専用線を使って岸壁に横付け、船積みされる(「名電築港駅#車両・資材の搬入例」を参照)。
京成電鉄および北総鉄道向けはJR横須賀線逗子駅まで甲種輸送した後、京浜急行電鉄逗子線・神武寺駅 - 六浦駅 - 金沢八景駅間に三線軌条方式で敷設されている狭軌の線路を使って総合車両製作所(J-TREC)本社・横浜事業所に取り込まれ、台車の付け替え、最終整備を行った後、自力または京成から迎えに来た電車に牽引されて京急本線・都営地下鉄浅草線経由で京成線内に入る[注釈 10]のが慣例だが、例外もある。2009~2010年納車の有料特急専用車2代目AE形は車体長がやや長く、起動加速度2.0km/h/sで、京急で乗り入れが禁止されているボルスタレス台車装着車であるなど、京急線内の自力走行に必要な基準を満たさなかったため、京葉臨海鉄道臨海本線千葉貨物駅まで甲種輸送し、そこから陸送で宗吾車両基地に送られた。2019年8月納車のAE形第9編成と、2021年10月納車の2代目3100形では、JR武蔵野線越谷貨物ターミナル駅まで甲種輸送した後北総鉄道印旛車両基地まで陸送された(「京急逗子線#その他」「逗子駅#総合車両製作所横浜事業所専用鉄道」、「総合車両製作所#横浜事業所回送線」、「川崎車両#完成車両の輸送方法」の各記事を参照)。
新京成電鉄向け車両(例:80000形・N800形)は京成と基本設計が共通であっても、運転台等の細かな差異があり、京急線や都営浅草線を通過できない。このため豊川から千葉貨物駅または越谷貨物ターミナル駅まで甲種輸送し、そこから北総鉄道印旛車両基地まで陸送、整備した後、京成高砂駅、京成津田沼駅にある連絡線経由で新京成のくぬぎ山車両基地まで回送されていた[注釈 11]。(「京浜急行電鉄#仕様」、「印旛車両基地#歴史」、「京成電鉄の車両検修施設#宗吾車両基地」の各記事も参照)。
長野電鉄に譲渡された小田急10000形電車(HiSE)については豊川製作所において1000系電車への改造工事が行われたが、改造後の甲種輸送は本系列の車両限界の関係で篠ノ井線を通過できないため、最短経路となる東海道 - 中央西 - 篠ノ井線経由ではなく、東海道 - 武蔵野 - 高崎 - 上越 - 信越 - しなの鉄道線を経由した。
新幹線など大型車両の場合は、トラック・トレーラーなどで陸送される。また、これ以外でも名鉄瀬戸線用の4000系や名古屋市営地下鉄東山線・名城線用、遠州鉄道の車両も深夜にそれぞれの車両基地までトレーラーで陸送される。陸送は主に日本通運が担当している[24]。なお、東海道新幹線用電車の国鉄・JR東海浜松工場までの輸送には2004年まで鉄道による甲種輸送が実施されていた(「東海旅客鉄道浜松工場#引込み線」を参照)。
過去にはスクレープドーザ、パワーショベル、バケットホイールエクスカベーター、坑内用ディーゼル機関車[25]・バッテリーロコ、自走式高所作業車など多彩な製品を手掛けたが、近年は基礎施工機に特化したラインナップとなっている。
過去には可搬式コンプレッサー等も手掛けた。
高圧タンク関連製品は、同じく高圧となる蒸気機関車のボイラーを製作した技術が基となっている。
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