由利高原鉄道株式会社(ゆりこうげんてつどう)は、秋田県で鳥海山ろく線を運営する第三セクターの鉄道会社。
国鉄再建法施行により第1次特定地方交通線に指定され、廃止されることになった日本国有鉄道(国鉄)矢島線を引き継ぐため、秋田県および沿線地方自治体である本荘市・由利町・矢島町(現・由利本荘市)などの出資により設立された。本社は秋田県由利本荘市矢島町に所在。
沿線の観光
路線は子吉川に沿っており、支流では秋に鮭の遡上を見られることがある。晴れた日には車窓より鳥海山が望める。終点の矢島駅からは猿倉温泉(由利本荘市鳥海町猿倉)の宿泊施設による送迎がある(要予約)。
「まごころ列車」として、秋田おばこ姿のアテンダントが1日1往復(矢島駅発9:40、羽後本荘駅発10:43)乗務し、旅客への案内や乗降補助、乗車証明書の配布、車内販売を行っている。アテンダントはイベント列車の企画や営業も行っており、団体列車にも乗務している[10]。
現有車両
2015年現在、2形式5両の気動車が在籍する。
- YR-2000形(2001,2002 2両)
- YR-2001は2000年(平成12年)11月[11]、YR-2002は2003年(平成15年)3月に製造された[12]。由利高原鉄道で初めて冷房装置、トイレを装備し、車体長も18 mに延長された[13][14]。
- YR-3000形(3001-3003 3両)
- 後述のYR-1500形の置換用として2012年(平成24年)3月から2014年(平成26年)3月にかけて3両が製造された[15][16][17]。白を基調とするが、車両ごとにアクセントカラーと内装色が変更され、YR-3001は緑、YR-3002は赤、YR-3003は青となっている[18]。
過去の車両
- YR-1000形・YR-1500形(1001-1005 5両->1501-1503,1505 4両)
- 1985年(昭和60年)の転換時に1001 - 1004の4両[19]、1988年(昭和63年)に1両 (1005) が製造された車体長14.8 mの気動車である[20]。YR-1004は2003年(平成15年)12月に廃車された[21]。残る4両は2000年(平成12年)から2004年(平成16年)にかけてエンジン交換、冷房化などの改造を受け、YR-1500形1501-1503、1505に改番された[22][12][21]。2011年(平成23年)から2014年(平成26年)にかけて廃車され、形式消滅した[15][16][23]。
遠藤卓之「由利高原鉄道 踏切装置 譲渡に感謝 臨海鉄道廃線で不要に 秋田市の2社、無償で」『秋田魁新報』2021年11月20日、24面。
- 『鉄道ファン』通巻295号(1985年11月・交友社)
- 鉄道ファン編集部「9番目のマイレール 由利高原鉄道 YR-1000 完成」 pp. 58-59
- 「付図 RF24006 由利高原鉄道 ディーゼル動車 形式 YR-1000」
- 『鉄道ピクトリアル』通巻464号「新車年鑑1986年版」(1986年5月・電気車研究会)
- 藤井 信夫、大幡 哲海、岸上 明彦「各社別車両情勢」 pp. 84-96
- 由利高原鉄道(株) 技術部長 葛西 栄三「由利高原鉄道 鳥海山麓線YR-1000形」 pp. 99
- 「民鉄車両諸元表」 pp. 161-162
- 「竣工月日表」 pp. 162-172
- 『鉄道ピクトリアル』通巻512号「新車年鑑1989年版」(1989年5月・電気車研究会)
- 藤井 信夫・大幡 哲海・岸上 明彦「各社別車両情勢」 pp. 93-123
- 「竣工月日表」 pp. 232-242
- 『鉄道ピクトリアル』通巻708号「新車年鑑2001年版」(2001年10月・電気車研究会)
- 「魅力のNEW FACE 2000年度民鉄車両編」 pp. 13-20
- 藤井 信夫、大幡 哲海、岸上 明彦「各社別車両情勢」 pp. 93-109
- 由利高原鉄道(株)運輸課長 高橋 博「由利高原鉄道 YR-2000形」 pp. 111
- 「車両諸元表」 pp. 173-174
- 「2000年度 車両動向」 pp. 175-183
- 『鉄道ピクトリアル』通巻723号「鉄道車両年鑑2002年版」(2002年10月・電気車研究会)
- 由利高原鉄道(株)運輸課 高橋 博「由利高原鉄道 YR1500形」 pp. 124
- 「民鉄車両諸元表」 pp. 164-166
- 「2001年度車両動向」 pp. 190-200
- 『鉄道ピクトリアル』通巻738号「鉄道車両年鑑2003年版」(2003年10月・電気車研究会)
- 「車両データ 2002年度」 pp. 208-219
- 『鉄道ピクトリアル』通巻753号「鉄道車両年鑑2004年版」(2004年10月・電気車研究会)
- 「車両データ 2003年度」 pp. 216-227
- 『鉄道ピクトリアル』通巻862号「【特集】東北のローカル私鉄」(2012年5月・電気車研究会)
- 服部 朗宏「現存 東北ローカル私鉄の気動車 現有車と少し昔の在籍車」 pp. 40-45
- 『鉄道ピクトリアル』通巻868号「鉄道車両年鑑2012年版」(2012年10月・電気車研究会)
- 「民鉄新造車」 pp. 12-15
- 由利高原鉄道(株)代表取締役社長 春田 啓郎「由利高原鉄道 YR3000形」 pp. 124-125
- 岸上 明彦「2011年度民鉄車両動向」 pp. 86-119
- 「民鉄車両諸元表」 pp. 194-198
- 「各社別新造・改造・廃車一覧」 pp. 220-231
- 『鉄道ピクトリアル』通巻881号「鉄道車両年鑑2013年版」(2013年10月・電気車研究会)
- 岸上 明彦「2012年度民鉄車両動向」 pp. 100-133
- 「各社別新造・改造・廃車一覧」 pp. 217-228
- 『鉄道ピクトリアル』通巻896号「鉄道車両年鑑2014年版」(2014年10月・電気車研究会)
- 岸上 明彦「2013年度民鉄車両動向」 pp. 114-145
- 「各社別新造・改造・廃車一覧」 pp. 224-235
- 『鉄道ピクトリアル』通巻909号「鉄道車両年鑑2015年版」(2015年10月・電気車研究会)
- 岸上 明彦「2014年度民鉄車両動向」 pp. 119-151
- 「車両データ 2014年度」 pp. 237-248