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東海旅客鉄道の事業用気動車 ウィキペディアから
キヤ97系気動車(キヤ97けいきどうしゃ)は、東海旅客鉄道(JR東海)が所有する事業用気動車である。
JR東海キヤ97系気動車 JR東日本キヤE195系気動車 | |
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JR東海キヤ97系R3編成・定尺レール運搬用 (2008年6月・袋井駅) | |
基本情報 | |
運用者 | 東海旅客鉄道・東日本旅客鉄道 |
製造所 | 日本車輌製造 |
製造年 |
キヤ97系:2007年 - キヤE195系:2017年 - |
主要諸元 | |
編成 |
キヤ97系 R1-4編成:2両固定(2M) R101編成:最大13両(8M5T) キヤE195系 ST-1 - 17編成:2両固定(2M) LT-1 - 4編成:最大11両(8M3T) |
軌間 | 1,067 mm(狭軌) |
最高運転速度 |
キヤ97系: 110km/h(空車) 95 km/h(積車) キヤE195系: 95 km/h(空車・積車とも) |
起動加速度 | 本文参照 |
減速度 | 本文参照 |
車両定員 | 非営業車両(事業用) |
車両重量 |
定尺レール運搬用:29.3 - 30.1 t ロングレール運搬用:18.9 - 31.5 t |
全長 | 18,200 mm(連結面間) |
車体長 | 17,400 mm |
全幅 |
2,800 mm(運転室基準幅) 2.700 mm(荷台幅) |
全高 |
定尺レール運搬用:3,610 mm(屋根部) ロングレール運搬用:4,080 mm |
床面高さ | 1,150 mm(荷台部) |
車体 |
普通鋼 運転室部はステンレス |
台車 |
軽量ボルスタレス台車 キヤ97系 * C-DT66形(動力) * C-TR254形(付随) キヤE195系 * DT86形(動力) * TR269形(付随) 軸箱支持:ウイング円筒積層ゴム+コイルばね 枕ばね:空気ばね |
動力伝達方式 | 液体式 |
機関 |
キヤ97形・キヤ96形: C-DMF14HZC×1 / 両 キヤE195形・キヤE194形: DMF14HZD×1 / 両 |
機関出力 | 360PS |
変速機 |
キヤ97系:C-DW19A キヤE195系:DW19B |
変速段 | 変速2段・直結3段 |
制動装置 |
電気指令式ブレーキ 機関ブレーキ・リターダブレーキ 自動空気ブレーキ |
保安装置 |
共通:EB装置・TE装置 キヤ97系:ATS-ST・ATS-PT キヤE195系:ATS-P・ATS-Ps |
本項では、東日本旅客鉄道(JR東日本)で導入された事業用気動車のキヤE195系気動車についても記述する。
在来線のレール輸送は、日本国有鉄道(国鉄)時代からレールを長物車に積載して機関車牽引で輸送する方法がとられてきたが、貨車や機関車が製造から30年以上経過して老朽化が進行していた[1]。JR東海ではこれらの置き換えを行うにあたり、同社の所属車両の大多数が電車と気動車であり、機関車は少数であったこと、技術継承の観点や検査周期の違いなどの保守管理の観点や、機回しなどの運用の煩雑さをなくすことを念頭に検討した結果、自力走行が可能な気動車方式による動力分散構成のレール輸送車として開発されたのが本系列である[2]。
鉄塔ならびに25 mの定尺レール運搬用の2両編成4本と、200 mのロングレール運搬用の13両編成1本があり、それぞれR1 - R4、R101の編成番号を称する。いずれもメーカーは日本車輌製造で、前者が2008年(平成20年)4月、後者は同年7月に運用を開始している。前者が名古屋車両区、後者が美濃太田車両区に配置されている。
2024年(令和6年)4月に名古屋港線が廃止される前までは毎週火・木・土の週3日、定尺レール運搬用車両が稲沢駅とJR東海名古屋資材センターのある名古屋港駅の間を1往復していた。名古屋港線は日本貨物鉄道(JR貨物)の路線であるため本車両は自走できず、貨物列車扱いとしてDE10形またはDD200形ディーゼル機関車1両に牽引される「JR旅客会社所有の気動車を使用して運転される貨物列車」という極めて珍しい列車であった。
JR東海が保有していた電気機関車・ディーゼル機関車を全廃したことにより、2009年(平成21年)11月1日に閉館した「佐久間レールパーク」の展示車両の一部を「リニア・鉄道館」(2011年(平成23年)3月14日開館)に展示する準備のために、日本車輌製造豊川製作所へ輸送する際の機関車代わりとして、長尺レール運搬用車両のR101編成を3両編成に短縮し[注 1]、その間に輸送車両を挟み込む運用が行われた[3][4]。また、2012年には、踏切事故で日本車輌に入場していたクモハ213-5002が、4両編成となったR101編成による牽引で出場したことがある[注 2][5]。
車体長は、従来のロングレール輸送用長物車(チキ)とほぼ同じ18.2 mとしている[2]。台枠側梁は、床下の機器艤装スペースを確保しつつレール積載荷重に対応した強度を有する構造とするため、従来の長物車を天地逆向きにしたような形である逆魚腹構造とした[2]。乗務員室(運転台)は定尺レール用(キヤ97形0・100番台)とロングレール用(キヤ97形200番台)で構造が異なり、0・100番台はキヤ95系に準じた、前面のみ普通鋼製の軽量ステンレス構造となっている[2]。対して200番台は、レール取卸し作業の際にレール方向に下ろすことになるため、乗務員室を高床構造とすることでレールを通すスペースを確保している。そのため、乗務員室上部は車両限界に沿って丸い形状となっており[2]、作業者が乗務員室へ出入りする為に前面貫通式を採用。車体色はどちらもキヤ95系と同様、普通鋼部分が黄色、ステンレス鋼部分は無塗装で、青の太帯とスカイブルーの細帯が引かれている。
駆動機関、充電発電機、蓄電池、空気圧縮機などの主要機器は、動力車に集中搭載されている。
エンジンは電子燃料制御方式のC-DMF14HZC(カミンズ製N14E-Rと同型)を動力車1両あたり1基搭載する[6][7][8]。定格出力は360馬力、定格回転速度は2,100 rpm[9]。液体変速機はリターダ機能を内蔵したDW19-Rを、加速性能を高める目的で変速2段・直結3段に変更し、レール卸し作業の効率化を図るために定低速機能を付加したC-DW19Aを採用した(日立ニコトランスミッション製)[注 3][6][7]。ブレーキシステムはキハ75形・キヤ95系と共通の電気指令式空気ブレーキで、常用(増圧制御有)・非常(増圧制御有)・直通予備・耐雪ブレーキの4系統を備える[10]。機関車などに連結され、無動力扱いで牽引時に使用する自動空気ブレーキ機能を搭載し、常用・非常ブレーキのみが作用する[10][9]。
台車には、円錐積層ゴムによる軸箱支持機構を備える日本車輌製造製のボルスタレス台車であるC-DT66(動台車)・C-TR254(付随台車)を採用する[6][8][11]。レール積空差によらない走行安定性や積載レール横圧に対応した強度と横圧低減、旅客車レベルの走行安定性を目標として設計され、軸ばねには最大荷重15 t、積空差30 t/両に対応するために上下非線形の二重コイルばねを使用する[8]。枕ばねには、積載荷重に対応した有効径560 mmの空気ばねを使用する[8]。台車旋回抵抗を低減し、曲線通過時の横圧低減を図るために空気ばね前後剛性を左右剛性の50〜60 %に低減させている[8]。
空車時の最高速度は110 km/h、レール運搬時は95 km/h[8]。
最大レール積載量は、定尺レール運搬用が50Nレール25m×46本、ロングレール運搬用が60kgレール200m×16本となっている[2]。鉄塔(高圧送電線用)輸送も行う。
加速度 | 減速度(常用) | 減速度(非常) | |||||
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(空車) | (積車) | (空車) | (積車) | (空車) | (積車) | ||
JR東海キヤ97系 | 定尺レール用運搬車 | 2.4km/h/s | 1.2km/h/s | 4.0km/h/s | 3.1km/h/s | 4.0km/h/s | 3.1km/h/s |
ロングレール用運搬車 | 1.5km/h/s | 1.0km/h/s | 4.0km/h/s | 3.1km/h/s | 4.0km/h/s | 3.1km/h/s | |
JR東日本キヤE195系 | 定尺レール用運搬車 | 1.1km/h/s | 3.8km/h/s | 4.8km/h/s | |||
ロングレール用運搬車 | 1.4km/h/s | 3.8km/h/s | 5.0km/h/s | ||||
JR東日本キヤE195系気動車は、JR東日本が導入した、キヤ97系のカスタマイズモデル[12]。
JR東日本では、老朽化したレール輸送用の機関車と貨車の置き換えに際し、気動車方式による効率的な輸送システムを検討した結果、JR東海キヤ97系と同型の車両を導入するに至った。
東海車と同様、日本車輌製造豊川製作所にて製造。2017年冬に量産先行車として150mロングレール運搬用LT-1編成11両、25m定尺レール運搬用ST-1編成2両の合計13両を新製し小牛田運輸区に配属[13][14]。各種性能試験と各地での訓練を行ったのち[15][16]、2020年より量産と本格運用を開始。小牛田運輸区のほか尾久車両センターにも配備された[17][18]。
定尺レール運搬用の編成記号はST。ST-2編成からST-7編成までは小牛田運輸区に[19][20]、ST-1編成とST-8編成以降は尾久車両センターに所属。
ロングレール運搬用の編成記号はLT。LT-2編成、LT-3編成は尾久車両センターに所属。LT-1編成は本格運用開始前に尾久に転属した。2021年にはLT-4編成が落成し、小牛田運輸区に配置された[21]。
車体及び主要機器は、基本的に東海車と変更はない。改良点として、耐寒・耐雪構造の強化や、東日本側の信号システムに合わせるためのATS機器類の変更などを実施。
ロングレール運搬用は小型の作業灯を4基備え、前照灯の左右に保安装置用アンテナを設置。編成の組替が容易にできるよう積付装置の配置を変更した。
帯はJR東日本のコーポレートカラーである緑の太帯と黒の細帯が引かれ、JRマークが添付されているほか、前照灯や作業灯はLED化した[注 4]。レール運搬用設備はグレーで塗装されている。
東海車・東日本車とも2両固定編成を組成する。
東海車は200mのレールが積載可能な13両編成(8M5T)、東日本車は150mのレールを積載する為、2両短い11両編成(8M3T)で組成する。
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