南海電気鉄道
日本の鉄道会社 ウィキペディアから
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南海電気鉄道株式会社(なんかいでんきてつどう、英: Nankai Electric Railway Co., Ltd.)は、大阪市の難波から関西国際空港や和歌山県北部の和歌山市、高野山までを結ぶ鉄道[4]を経営する会社。総営業キロは154.7 km[注釈 1]。日本の大手私鉄の一つであり、純民間資本としては現存する日本最古の私鉄である。南海グループの中核企業で、一般には「南海」または「南海電鉄」と略され、また「南海電車」の呼称もある[注釈 2]。
南海なんば第1ビル(本社事務所) | |
種類 | 株式会社 |
---|---|
機関設計 | 監査等委員会設置会社[1] |
市場情報 | |
略称 |
南海、南海電鉄 南海電(銘柄略称) |
本社所在地 |
日本 〒556-8503 大阪府大阪市浪速区敷津東二丁目1番41号 南海なんば第1ビル 北緯34度39分26.7秒 東経135度30分6.1秒 |
本店所在地 |
〒542-0076 大阪府大阪市中央区難波五丁目1番60号 南海会館ビル(なんばスカイオ) 北緯34度39分49.6秒 東経135度30分3.1秒 |
設立 |
1925年(大正14年)3月28日 (高野山電気鉄道株式会社) |
業種 | 陸運業 |
法人番号 | 6120001077499 |
事業内容 | 旅客鉄道事業、土地・建物の売買および賃貸、ショッピングセンターの経営、遊園地など娯楽施設の経営 |
代表者 |
代表取締役会長兼CEO 遠北光彦 社長兼COO 岡嶋信行[2] |
資本金 |
729億8300万円 (2024年3月31日現在)[3] |
発行済株式総数 |
1億1340万2446株 (2024年3月31日現在)[3] |
売上高 |
連結: 2415億9400万円 単独: 1092億7700万円 (2024年3月期)[3] |
営業利益 |
連結: 308億2000万円 単独: 182億7000万円 (2024年3月期)[3] |
経常利益 |
連結: 293億1200万円 単独: 177億6500万円 (2024年3月期)[3] |
純利益 |
連結: 245億5800万円 単独: 173億2100万円 (2024年3月期)[3] |
純資産 |
連結: 3071億200万円 単独: 2187億500万円 (2024年3月31日現在)[3] |
総資産 |
連結: 9506億5000万円 単独: 8427億100万円 (2024年3月31日現在)[3] |
従業員数 |
連結: 8,919人 単独: 2,642人 (2024年3月31日現在)[3] |
決算期 | 3月31日 |
会計監査人 | 有限責任あずさ監査法人[3] |
主要株主 |
|
主要子会社 | 南海グループを参照 |
関係する人物 | |
外部リンク | https://www.nankai.co.jp/ |
特記事項:創業は、大阪堺間鉄道が設立された1884年(明治17年)6月16日。 |
本社は大阪市浪速区の今宮戎駅北西側に立地する南海なんば第1ビルに所在し、東京証券取引所プライム市場に上場している[6][注釈 3]。阪堺電気軌道、泉北高速鉄道、南海バス、南海フェリーなどの交通事業者を傘下に置く。高野山への路線を運営していることから全国登山鉄道‰会に加盟している。
社名の「南海」は紀伊国が属する律令制の南海道に由来し、堺 - 和歌山間の出願時に名づけられ、のちに南海道に属する淡路・四国への航路との連絡も果たした。2020年に迎えた創業135周年を機に定めたブランドスローガンは「‘なんかいいね’があふれてる」[8](英: Bound for Good Times.)。
鉄道との相乗効果が大きい観光・小売・不動産開発といった方面に事業を多角化しているが、本社やターミナル駅の難波駅がある難波周辺(ミナミ地区)に重点を置く[9]。グループ内に百貨店を持っていない唯一の関西大手私鉄であるが、難波駅の駅ビルである南海ビルディングに系列外の髙島屋大阪店がテナントとして入居している。
かつてはプロ野球球団(南海ホークス、後の福岡ダイエーホークス、福岡ソフトバンクホークス)を保有し、大阪スタヂアム(大阪球場)・中百舌鳥球場(いずれも後に解体)や遊園地(さやま遊園とみさき公園)も経営していたが、球団経営からは1988年、遊園地経営からは2020年に撤退した。
1884年に関西経済界の重鎮であった藤田伝三郎、松本重太郎、田中市兵衛、外山脩造らによって大阪と堺の間を結ぶ鉄道敷設が出願され、大阪堺間鉄道として会社設立が許可されたのが始まりである。同年に社名を阪堺鉄道と改め、翌1885年12月に難波駅 - 大和川駅(後に廃止)間を開業した。日本鉄道(半官半民)、東京馬車鉄道に次ぐ、日本で3番目の私鉄として、また純民間資本としては日本最初の私鉄[10]として設立され、路線は1883年に廃止された釜石鉱山鉄道の資材を用いて敷設された。1898年に新設会社の南海鉄道が阪堺鉄道の事業を譲り受けた。
南海鉄道は以後も合併により営業地域や規模を広げたが、路線は長らく大阪湾沿岸部に集中していた。南海鉄道の『開通五十年』では日露戦争後の鉄道国有化の時(1906年)、「わが社が国有化されなかったのは当時沿岸部にしか路線がないので軍事的立場から除外されたから」としている[12]。1909年には競合路線を有していた浪速電車軌道を、1915年には同じく阪堺電気軌道を合併した。1920年の原内閣時に再度国有化の話が浮上し、前述の阪堺線買収後の赤字気味で今買収されるのは最悪の状態と南海重役の佐々木勇太郎と垂井清右衛門が上京して帝国議会に抗議しに行くほどの事態になったが、彼らの活躍とは無関係に議会が解散してしまい、この話はなかったことにされたという[12]。
そして1922年には根津嘉一郎から譲られる形で初めて内陸に伸びる大阪高野鉄道を、1940年には日中戦争激化に伴う交通統制(陸上交通事業調整法)で競合会社の阪和電気鉄道を、太平洋戦争開戦後の1942年には加太電気鉄道を合併した。
1944年に、元阪和電気鉄道の路線を戦時買収で運輸通信省に譲渡(阪和線となる)した後、前記の陸上交通事業調整法による戦時企業統合政策で関西急行鉄道(関急、1941年に大阪電気軌道(大軌)を母体に設立)と合併し、近畿日本鉄道となり[注釈 4]、鉄道線は難波営業局、軌道線は天王寺営業局の管轄となった。しかしこの合併は、資本面も含めて殆ど接点のない、経緯や社風が全く異なる者同士のものであって、当初から体制に無理が生じていた。当時の関急側の代表者であり、関急成立の立役者である種田虎雄でさえ、「南海との合同だけは、政府から無理強いされたもので、自分が望んだものではなかった」と語っていた。一般利用客の間でも、旧南海鉄道の路線については近畿日本鉄道に併合されていた時期でも従来通り「南海」「南海電車」と呼んでいた。そういう理由もあって、終戦後に難波営業局員主導で分離運動が起こり、1947年に高野下駅 - 高野山駅間を運営していた高野山電気鉄道へ旧・南海鉄道の路線を譲渡する形で、南海電気鉄道が発足した(このため法人としての南海電気鉄道の設立日は高野山電気鉄道の設立日である1925年3月28日となっている)。1961年には、貴志川線(2006年に和歌山電鐵へ譲渡)や和歌山軌道線(1971年廃止)を経営していた和歌山電気軌道も統合している。
なお、浪速電車軌道と(初代)阪堺電気軌道の路線については、1980年に南海子会社の(2代)阪堺電気軌道へ譲渡された。
他の在阪の大手私鉄は2016年4月までに阪急阪神ホールディングス、近鉄グループホールディングス、京阪ホールディングスといった純粋持株会社に移行した。南海はこの時点では在阪の大手私鉄で唯一、持株会社制度を取っていなかったが、2026年4月より、鉄道事業を運営する新事業者に分社化し、現在の同社は統括会社として残した上で、東急・東急電鉄との関係と同じ方式の事業持株会社方式に移行する予定である[13]。
初代社章は羽車マークと呼ばれ、前身の阪堺鉄道時代の意匠から車輪の向きを変えて継承したものである[59]。車輪に羽根(翼)が生えたデザインはヨーロッパ諸国の国営鉄道の紋章によく見られるものだが、阪堺鉄道がヨーロッパから車両を輸入した際この紋章の「車輪に羽根が生えれば速い」との意匠を気に入り会社のマークとして採用、南海となった後も車輪の向きのみ変えて使用したとされる[60]。1947年6月1日、グレートリングから改称した南海ホークスの球団名も、この「羽根=鳥」にちなんだといわれる[61]。現在でも難波駅の北側入口上には、羽車をかたどったモニュメントが飾られている。
また、南海の各駅に広告が掲示されている「羽車ソース」のマークも、南海の旧社章をモチーフとしたものである[62]。
現行社章(作者・信貴徳三)は会社新発足25周年を記念して1972年(昭和47年)6月1日に制定されたものである[5]。はぐるまと称するその意匠は先代社章の要素を踏襲しており、両翼は南海線・高野線の二大幹線を表すとともに明日への創造・飛躍を、先代よりも記号化された車輪は諸事業における無限の可能性と徹底的追求を象徴している[5]。これらの意匠を囲む円は南海沿線を表現したもので、同時に制定された南海グループの統一社章では二重円となっている[5]。
関西国際空港の開港を翌年に控えた1993年(平成5年)4月1日に、社章とは別にCI導入による「NANKAI」を表したコーポレートシンボルを制定した(作者・レイ吉村)[22][63][注釈 7]。2色のコーポレートカラー(未来を切り開く英知を表す「ファインレッド」、豊かな生活や文化を育む活力を表す「ブライトオレンジ」[63])からなるコーポレートシンボルも翼の要素を引き継いでおり、総合生活企業として未来に向けて力強く羽ばたいていく姿勢を表現している[22][64]。
阪堺電気軌道・和歌山バスなどのグループ会社もこのコーポレートシンボルを追随して導入している[注釈 8]。
南海なんば第1ビルとして2012年12月竣工。設計は大林組、施工は同社と南海辰村建設。地上12階、高さ約55m、延床面積16,838平方メートル [65]。難波再開発地区の南端にあり、ビル低層部には大阪公立大学の生涯学習の拠点があり、ライブハウス・Zepp Nambaに中庭で接続する。内部は無柱なため、フレキシブルなオフィスが可能。またルーバーや小庇による熱負荷の低減、壁面緑化の採用など、環境にも配慮した建物となっている[66]。2016年に第36回大阪都市景観建築賞奨励賞を受賞[67]。
以下の各路線を有し、南海本線とその支線群(本線群扱いである空港線を除く)を南海線と総称している。南海線の各支線は「高師浜支線」というように「…支線」と称していたが、天王寺支線が廃止された1993年から空港線が開業した1994年頃より単に「…線」と呼ばれることが多くなった。なお、国土交通省監修の『鉄道要覧』には「…線」と記載されている。路線の総延長は154.7 km[注釈 1]。南海本線・空港線および高野線が主要路線であり、その路線群ごとにシンボルマークが制定されている。
駅ナンバリングの路線記号はすべて (NK)
他の関西の大手私鉄の路線は、京都市・大阪市・神戸市の京阪神3都市のうち2都市以上を結んでいるのに対し、南海はこのうち大阪市にしか路線を持たない[注釈 10]。
新大阪と難波を結んで関空アクセスの利便性を高める路線として、1980年代からなにわ筋線の計画があった。長らく構想自体が停滞していたが、2017年3月、大阪府と大阪市、JR西日本、南海電気鉄道、阪急電鉄の5者が新たな事業計画で大筋合意したと報じられた[72]。
同年5月には、JR難波駅 - (仮称)西本町駅 - (仮称)中之島駅 - (仮称)北梅田駅(現・大阪駅)[注釈 11]間および、(南海)新今宮駅 - (仮称)南海新難波駅 - (仮称)西本町駅 - (仮称)中之島駅 - (仮称)北梅田駅(現・大阪駅)間を第三セクターが整備(建設)し、南海新難波駅、西本町駅、中之島駅および北梅田駅の4駅を新設すること、JR難波 - 北梅田間をJR西日本、新今宮 - 北梅田間を南海が営業主体となって営業(西本町 - 北梅田間はJR西日本・南海が共同営業)すること、2031年春の開業を目標としていることが5者から発表された[73][74]。大半が地下線で、南海は新今宮駅から南海本線に乗り入れる[73]。阪急も大阪駅 - 十三駅間を結ぶなにわ筋連絡線の新設を調査・検討するとしており[74]、なにわ筋線と直通運転する協議を進める[73]。
2019年7月には鉄道事業法に基づく鉄道事業許可、2020年8月には都市計画法に基づく鉄道路線としての事業認可をそれぞれ受け、2021年10月に本格着工しており、関西高速鉄道が事業主体となり整備が進められている[69][70]。
なにわ筋線計画が具体化したことにより、悲願であった「梅田進出」が達成される。過去3度、梅田までの延伸を申請していたが、いずれも大阪市に却下されている。また競合するJR西日本が難色を示したことで断念していた[75]。同時に阪神と同じく難波と梅田の両方に拠点駅を置く2社目の関西私鉄となる[注釈 12]。
全線がJRの在来線と同じ軌間 1,067 mmの狭軌であり、関西の大手私鉄では唯一標準軌(軌間1,435 mm)の路線を有していない。なお、標準軌の路線を持つ近畿日本鉄道に統合されていた時期を除くと、過去には阪堺線・上町線(1980年に阪堺電気軌道へ譲渡)、平野線・大浜支線(廃止)の各軌道線が標準軌であった。
軌間が国鉄・JRの在来線と同一であることから、総合車両製作所横浜事業所(旧・東急車輛製造)で製造した新製車両をJR線を走行して搬送(甲種輸送)[注釈 13]することや、空港線のりんくうタウン駅 - 関西空港駅間でJR西日本の関西空港線と、また建設中のなにわ筋線でJR西日本と同一の線路を共用する、といったことが容易に可能である。1985年までは当時国鉄の紀勢本線にも直通運転していた。その一方、狭軌であるがゆえに、標準軌である大阪市営地下鉄堺筋線(現・Osaka Metro堺筋線)への相互乗り入れ計画が頓挫した(後述)。
南海電鉄における列車種別は以下の通りである。
上記以外の路線では普通車のみの設定である。-急行-は急行の停車駅の他に、春木駅に追加で停車している。南海本線では空港急行と-急行-および区間急行は行先が違うだけで難波駅 - 泉佐野駅間の停車駅は同じである[注釈 15]。
方向幕・種別幕などの案内表示では、快速急行は「快急」、区間急行は「区急」、準急行は「準急」、普通車は「普通」、各駅停車は「各停」と略して表示される。また一部の案内では空港急行も「空急」と略される。
南海本線系統各線が「普通車」、高野線が「各駅停車」となっているのは、両線の列車が複々線の線路を並行して走る南海本線難波駅 - 天下茶屋駅間において、高野線の列車が走る東側2線の線路にしか今宮戎駅・萩ノ茶屋駅のホームがなく、西側2線を走る南海本線の列車はこの2駅を全て通過するためである。1970年以前は南海本線からの各駅停車(東線ローカル)や高野線からの普通車も存在した。
詳しくは各列車種別および路線の記事を参照。
車両先頭の方向幕・種別幕の表示のほか、列車識別灯(通過標識灯)でも大方判別できる。
列車種別の案内色は快速急行以外京阪と同じだが、区間急行と準急行の停車駅の方式が京阪とは逆転している。区間急行が南海の準急行の停車駅方式に準じ、準急が南海の区間急行の停車駅方式に準じている。英語表記も京阪の準急と南海の区間急行が「SUB EXPRESS」、京阪の区間急行と南海の準急行が「SEMI EXPRESS」というように逆転している。
電車の行先表示に方向幕が普及した高度経済成長以後も、車両先頭に掲出して列車種別や運行区間を示す方向板を、関西の大手私鉄では後世まで好んで使用し、駅の売店でもミニサボが発売されている程であった。これらは列車の種類によって丸い板と四角い板を使い分けていたが、南海は本線が丸板、支線が支線内折返列車も本線からの直通列車も角板で表示するのが基本であった。大阪軌道線は丸板と角板を使い分けていたが、貴志川線や泉北高速鉄道は支線という定義により角板である。普通車に使用していた方向板は、他の関西大手私鉄4社は角板だったが、南海のみは前述の理由により、丸板も使用していた。
新造時からの方向幕の設置は、特定の種別に限らず幅広く使用される汎用通勤車の正面という条件に限定すれば、1969年に登場した7100系と22000系で、高野線平坦区間用も翌年6100系が登場している。これは戦後に正面方向幕を採用した例としては、関西の大手私鉄で初である。比較的製造年度の若い車両も、同じ位置に同じ方向幕が比較的容易に後付けできたため(関西の大手私鉄では、阪急以外の4社がこのケースである)、設置が行われていった。
南海電鉄では優等列車として特急列車を運行しており、系統に応じて下記の愛称がある。
大人料金(小児は特記のない限り半額・10円未満切り上げ)。2019年10月1日改定[76]。
料金 | 金額(円) | 備考 | |
---|---|---|---|
特別急行料金 | 泉佐野 - 関西空港間 | 100 | 「ラピート」レギュラーシートにのみ適用 |
上記以外で 乗車キロ45 kmまで |
520 | 「ラピート」「こうや」「りんかん」「泉北ライナー」に適用 | |
46 km以上 | 790 | ||
座席指定料金 | 520 | 「サザン」「天空」の座席指定車に適用(自由席車は料金不要) | |
特別車両料金 | 210 | 「ラピート」のスーパーシートに適用し、特別急行券と合わせて1枚で発売。小児も同額 | |
なお、乗り継ぎ料金制度はなく、座席指定特急同士を乗り継ぐ場合(例:天下茶屋駅、新今宮駅または難波駅で「りんかん」から「ラピート」に乗り継ぎ)は、各列車の料金がそれぞれ必要となる。
前述の通り、南海の特急は「サザン」の自由席車を除き、すべて全車座席指定なので、乗車には乗車券(PiTaPa/ICOCAそれらと相互利用できる交通系ICカードを含む)のほかに特急券(座席指定券)が必要になる。
「ラピート」「こうや」「りんかん」の特急券、「サザン」の座席指定券は以下の場所で購入可能[77][78]。原則として1か月前の10時から発売している。
「天空」の座席指定券は上記各列車とは異なり、乗車希望日の10日前から前日まで「天空予約センター」で電話のみの予約受付となっている。
特急列車の号車番号は、関西空港・和歌山港・高野山・和泉中央方の先頭が1号車で統一されている。
座席番号は数字のみで付番されている。関西空港・和歌山港・高野山・和泉中央方面を向いて左側の窓側を1番として、窓側を奇数、通路側を偶数とする(2013年3月ダイヤ変更までの近鉄特急と同様のルールだが、近鉄とは異なり一部の座席を欠番として、車椅子スペースを設置している)。
南海線検車区
高野線検車区
工場
南海線列車区
高野線列車区
大人普通旅客運賃(小児半額・10円未満切り上げ)。2023年10月1日改定[80][81]。
キロ程 | 運賃(円) | キロ程 | 運賃(円) | |
---|---|---|---|---|
1 - 3 | 180 | 55 - 59 | 880 | |
4 - 7 | 240 | 60 - 64 | 930 | |
8 - 11 | 290 | 65 - 69 | 970 | |
12 - 15 | 370 | 70 - 74 | 1,010 | |
難波駅 - 中百舌鳥駅間内 | 350 | |||
16 - 19 | 420 | 75 - 80 | 1,060 | |
20 - 23 | 490 | 81 - 86 | 1,090 | |
24 - 27 | 540 | 87 - 92 | 1,140 | |
28 - 31 | 610 | 93 - 98 | 1,190 | |
32 - 35 | 650 | 99 - 104 | 1,230 | |
36 - 39 | 690 | 105 - 110 | 1,280 | |
40 - 44 | 740 | 111 - 116 | 1,320 | |
45 - 49 | 790 | 117 - 122 | 1,360 | |
50 - 54 | 850 | 123 - 128 | 1,400 |
郊外型に近い路線体形で、京阪神間を走る大手私鉄と比べ利用客が少なめのため、中距離以上の運賃は近鉄などと同じように高めに設定されている。
かつて南海の路線であった貴志川線とそれ以外の鉄道線は運賃体系が別々で、乗車キロの通算制度がなかったため、貴志駅 - (南海貴志川線)→和歌山駅 - (JR紀勢線) - 和歌山市駅 - (南海線) - なんば、のように利用するとかなり高くなってしまうという問題があった(この区間の例では、和歌山電鐵移管直前の2006年3月時点で貴志川線(14.3 km)360円+JR紀勢線(3.3 km)180円+南海線(64.2 km)890円=1,430円。仮に運賃体系が同じで通算制度があれば当時の運賃額で南海(78.5 km)970円+JR紀勢線(3.3 km)180円=1,150円となる)。
また、相互直通運転している泉北高速鉄道線の各駅と南海の各駅(中百舌鳥駅除く)間を中百舌鳥駅を経由して利用する場合の普通運賃はそれぞれの普通運賃を合算したものから100円(大人)を割り引いた額である。泉北高速鉄道線の運賃体系は南海と別であるが、割引額が大きいことから、乗車キロを通算して南海の運賃体系に当てはめた場合とほぼ変わらない。ただし、通勤定期運賃は南海に比べ割高である。乗継割引額引き上げ前は、泉北高速線の通学定期運賃も割高であり、通学1か月は中百舌鳥 - 和泉中央間 (14.3 km) が泉北7,910円に対し、同じ距離に相当する南海(難波 - 白鷺間14.4 km)の通学1か月は5,290円と約1.5倍の開きがあったが(普通運賃は泉北が320円、南海が330円)、2015年3月1日に南海・泉北高速線間の乗継割引額の20円から100円への引き上げと、泉北高速線内の通学定期旅客運賃の値下げが行われ、中百舌鳥駅 - 和泉中央駅間の通学1か月は5,940円となった[82]。
さらに分岐駅通過の特例として、南海本線と高野線との分岐駅である岸里玉出駅と、南海本線と加太線の分岐駅である紀ノ川駅には、いずれも優等列車が停車しないため(ただし後者は普通のほかに区間急行も停車する)、天下茶屋駅 - 岸里玉出駅間(天下茶屋駅#南海電気鉄道の項も参照)と紀ノ川駅 - 和歌山市駅間(南海加太線#運行形態の項も参照)ではそれぞれ、重複(折り返し)乗車が認められている。
2023年10月1日の運賃改定で、高野線の一部区間において特定運賃を設定した[80]。
回数乗車券は、利用者数の減少およびICカードの利用の定着に伴い、2023年3月31日をもって身体障がい者・知的障がい者用を除き販売を終了した[54]。
以下の各項目を参照。
過去に発売されていたもの。「→」で後継の乗車券を示す。
2021年4月より、16駅(当初)に専用改札機を設置し、Visaのタッチ決済またはQRコードによる入出場の実証実験を開始した[49]。約1年8か月の実験ののち、2022年12月12日以降も同サービスを継続している[88]。
入出場時にタッチ決済対応のクレジットカードを専用改札機にかざすことで乗車区間の運賃を決済するもので、2021年4月3日よりVisaで実証実験を開始した。駅の改札でのVisaのタッチ決済による利用区間の運賃支払いは日本国内初である。また公共交通機関全体でも早い段階での導入となる[89][注釈 16]。その後、グループ会社の南海りんかんバス[90]、南海フェリー[91]、泉北高速鉄道[92]での導入や、JCB、American Express、Diners Club、Discoverのタッチ決済の導入[93]など、規模を拡大している。
事前に「南海デジタルきっぷ」[94]を購入し、スマートフォン上に表示されたQRコードを専用改札機にかざすことで改札通過を可能とするもので、2021年4月15日より実証実験を開始した。その後、取り扱うきっぷの種類の増加など、規模を拡大している。
南海では元来、標準語ではなく大阪弁(泉州弁や河内弁)、もしくは和歌山弁のアクセントや発音による車内放送が行われていた。ところが関西国際空港の開港を控えた1990年代初頭から、これらの放送が空港連絡鉄道として相応しくないとの批判が増え始めたため、アナウンサーによるイントネーション講習会の開催や手本となるカセットテープの配布、社内の「案内放送用語例」の改訂などを行い、現在のスタイルの原型を作り上げた[95]。
さらに2004年6月1日からは、「もてなしの気持ちを表現しながら、より簡潔・明瞭な情報をお伝えする」[96]ため、車内案内放送が一部変更されている。また、これに伴い、車掌などアナウンスに関わる業務に携わる全従業員を対象に、発声等に関する全社的な研修が行われた[97]。
近年ではインバウンド効果による外国人観光客の増加の影響で多言語による旅客案内も強く要求されるようになった。2014年の8300系を導入を皮切りに自動放送を導入。2017年以降全ての特急列車と南海本線・空港線のほとんどの列車に導入された。日本語と英語の2か国放送が基本ではあるが関西空港駅への旅客案内やマナー啓発放送は中国語・韓国語を加えた4か国語での案内が行われている。
南海電鉄の駅では、CIを導入した1993年より、非常に多種多様なピクトグラム(図記号)を用いた案内サイン看板を使用し始めるようになった。その見易さや分かり易さから、社団法人日本サインデザイン協会が主催するコンテストで表彰を受けるなど、高い評価を受けている。近年設置されている駅サインのうちの一部のピクトグラムは、財団法人交通エコロジー・モビリティ財団が制定した「一般案内用統一図記号ガイドライン」に準拠したものも使われ始めているが、一方で、独特の斬新なデザインを取り入れた矢印の記号などは現在でも使われている。これらの駅サインに関するマニュアルは、1989年に同社内で制定されたが、このマニュアルに沿った駅サインが設置されている駅は、2010年代前半までは同社の厳しい財政事情が影響し、主要駅を中心にまだ少数に留まっていたが、その後はプリンタで出力するという安価に更新できる方式で駅サイン(特に駅名標)を更新している。南海が2008年3月28日に発表した『2010年までの3か年事業計画(堅進126計画)』において、提供するサービスの品質向上の一環として「案内サイン及び放送等の多言語化の推進」に取り組むとしている[98]。韓国語・中国語を併記した案内表示や交通エコロジー・モビリティ財団の標準案内記号の導入に関しては、バリアフリー等の改良工事が終わった駅から順次導入されている。また2013年度から難波駅を皮切りにLED照明への切り替えを随時進めている。
駅名標などにおける、固有名詞のローマ字表記については、多数の鉄道事業者で小文字混じりの表記方法(例:「Ōsaka」「Umeda」など)が採用されている中、2022年5月現在でもすべて大文字表記(例:「NAMBA」「WAKAYAMASHI」など)の、旧・国鉄などが採用していた鉄道掲示規程に準じた表記方法となっている。
最新の駅名標のデザインは1993年にCIを導入した際にリニューアルしたものがベースとなっている。このため、1994年に開業した空港線では最新タイプのみしか存在していない。
2012年4月1日に駅ナンバリングが全駅で導入されたが、大部分の駅では駅名標の改修は行われず既存のものにシールで貼り付ける形になっていた。しかし2013年以後は大半の駅で駅名標の交換が行われており、旧式の駅名標は数を減らしている。
2013年から一部の駅を除いて改札口に16:9サイズのディスプレイを設置、通常時はCMを流している。各線で運行支障があった場合はこのディスプレイで運行情報が表示(主要駅では路線図で)される。また南海各線の運行情報のみならず、徳島航路や金剛山ロープウェイ(オフシーズンは除く)の運行情報、また沿線の海水浴場の遊泳禁止情報(夏場のみ)も流している。
関西の大手私鉄では、京阪神の起点・終点となる駅は大阪難波駅、大阪上本町駅、大阪阿部野橋駅、大阪梅田駅、京都河原町駅、神戸三宮駅など、大阪、京都、神戸などの都市名が頭に付いている駅があり、それが正式な駅名となる[注釈 17]前から都市名を付けて案内されていたが、南海のターミナル駅である難波駅は「大阪」を付けていない。単に「なんば」と案内している[注釈 18]。なにわ筋線開業後は南海の起点・終点駅で「大阪」と付く駅に大阪駅が加わる。
また、他社の同名駅と区別するために「南海」を頭に付けた駅名も存在しない。ただし、過去には山手線(元阪和電気鉄道、現在の阪和線)の南海天王寺駅・南海鶴ケ丘駅・南海東和歌山駅の事例があった。また、なにわ筋線に設置される仮称・南海新難波駅が仮称通りの駅名に決定すれば、約90年ぶりに南海の冠名が復活することとなる。
地下駅がなく、地下鉄にも乗り入れておらず、地下鉄乗り入れ対応車両も保有していない[注釈 19]。大手私鉄でこの3点が該当するのは、南海のほかには西日本鉄道のみである[注釈 20]。
将来的には、計画中の地下線であるなにわ筋線(前述)が完成すれば、南海新難波駅(仮称)が自社管理の地下駅となる。なお、なにわ筋線に設置される予定の駅のうち西本町駅と中之島駅(いずれも仮称)については、JR西日本・南海のいずれの管理駅とするのか、あるいは関西空港駅と同様に2社での共同管理[注釈 21]とするのかは未定であるが、大阪駅(地下ホーム)は、梅田貨物線との分岐駅となる関係上、JR西日本の管理駅となり、なにわ筋線に設置する予定の駅では最も早く2020年に駅名が決定している。車両面では50000系の置き換えおよびなにわ筋線末端区間の南海新難波駅(仮称) - 新今宮駅間にある44‰の急勾配にも対応できるズームカー並の登坂能力を持つ地下線対応・大阪駅 - 新大阪駅の乗り入れに対応する一般車両を計画している。
1963年の大阪市交通事業基本計画で策定された[99]大阪市交通局高速電気軌道6号線(現在のOsaka Metro堺筋線)と相互乗り入れを行う計画があった。6号線には、京阪神急行電鉄(現在の阪急電鉄)も天神橋付近での相互乗り入れ希望し、それぞれの規格が異なっていたことから激論となった。
大阪市は御堂筋線などの既設路線で1,435 mm軌間(標準軌)・直流750 V 第三軌条方式を採用していたことから、6号線についても当初はトンネル断面を最小限に抑えられ、また自局他線との車両融通が容易なこの規格による路線建設を希望していた。そのため、それぞれ規格の異なる両社との相互乗り入れには消極的で、特に軌間・集電方式・電圧(当時は直流600 V。ただしこの当時既に1500 Vへの昇圧が決定していた)の規格が全く異なる南海との乗り入れに対しては、当初から消極的であった。
最終的には、日本万国博覧会の開催決定や千里丘陵の宅地開発を考慮し、当時の運輸省大阪陸運局長の裁定によって、堺筋線を軌間1,435 mm、直流1,500 V 架空電車線方式で建設し、阪急千里線などからと相互乗り入れとすることで決定。南海への乗り入れは実現しなかった。
1971年12月8日都市交通審議会第13号答申では、堺筋線の動物園前 - 天下茶屋間が緊急整備区間に挙げられた[100]。この区間の計画時にも大阪市と南海の協議が続けられ、南海は大阪市から標準軌に改軌して相互直通運転を行うことと、天王寺支線の廃止を求められた[101]。南海はいずれも困難として交渉が難航したが、両者の歩み寄りにより南海が天王寺支線を廃止し、大阪市が南海との相互直通運転を断念することで合意した[101]。
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