平日朝ラッシュ時では、直通特急、区間特急(上りのみ)、快速急行、区間急行、普通を12分サイクルで運行するのを基本とする。停車駅の多い区間特急や区間急行を設定することで、日中は優等列車が通過する駅にも優等列車を停車させることで利便性を向上させ、きめ細かな通勤需要に応えることを目指している。その他、平日では日中から夜間にかけて、土曜・休日では朝から夕方にかけてそれぞれ10分サイクルで運行しているが、朝や夜間は12分サイクルで運行し快速急行の尼崎駅での連結・切り離し作業時間を確保している。
列車種別
直通特急
1998年に設定された種別で「直特」と略されることがある。「特急」と同様、最上位の種別として扱われており、乗車券のみで乗車可能である。途中停車駅は、尼崎駅・甲子園駅・西宮駅・芦屋駅・魚崎駅・御影駅・神戸三宮駅である。本線内の停車駅は「特急」と同じであるが、例外的に平日朝ラッシュ時の一部の大阪梅田行きが甲子園駅を通過する(代わりにその時間帯は区間特急が甲子園駅に停車する)。
ほぼ終日設定されており(大阪梅田発最終列車は22:36)、日中は1時間あたり4本(10分ないし20分間隔)が運転されている。全列車が山陽方面に直通し、大阪梅田駅 - 山陽姫路駅間で運転されるが、早朝・深夜において本線内では尼崎駅・西宮駅・御影駅を始発、または尼崎駅・御影駅を終着とする列車もある。車両は阪神・山陽の6両編成が用いられる。
特急(阪神特急)
終日にわたって運転される種別[注 18]であり、本線の全区間で通過運転を行い前述の「直通特急」とともに本線の最上位の種別を構成する。日中では前後の「直通特急」に挟まれる形で1時間あたり2本(30分間隔)が運転され、特急系統は「直通特急」と合わせて10分ヘッドのダイヤ構成となっている。
1954年9月のダイヤ改正で登場。登場当初は日中に20分間隔で、途中三宮駅のみに停車し、梅田駅 - 元町駅間を27分で結んだ。1960年9月15日からは西宮駅・芦屋駅・御影駅にも停車し[18]、代わりに急行は基本的に梅田駅 - 西宮駅間に短縮することで、以後現在に続く体系となった(詳細は後述)。
本種別も山陽方面との直通が基本であるが、「直通特急」とは異なり山陽側の終着駅は須磨浦公園駅までであるほか、神戸三宮駅 - 須磨浦公園駅間は各駅停車となるのが違いである。大阪梅田駅 - 須磨浦公園駅間で運転される列車のほか、一部に大阪梅田駅 - 東須磨駅間も設定されている。また、神戸高速線内発着列車として大阪梅田駅 - 高速神戸駅または新開地駅間の列車が設定されているほか、線内運転として深夜の下りには大阪梅田発神戸三宮行きが、土曜・休日早朝上りには神戸三宮発大阪梅田行きが、それぞれ設定されている。原則として阪神の車両を使用するが、一部の特急は直通特急の折り返しによる運用の都合で山陽の車両を使用する。
2001年のダイヤ改正まで、2000系以前の車両による特急運用時に限り専用マークを掲げて運転されていた。現在では、高校野球開催期間中の特急充当車に専用の標識板を掲示している(2013年春までは山陽電鉄の車両の運用による阪神特急を除く)。甲子園球場で阪神タイガースの主催試合が開催される時は、タイガースのマークが描かれた標識板を阪神(直通特急および阪神特急運用時)・山陽電鉄の車両にそれぞれ掲示する。
このほか、2016年3月のダイヤ改正までは、土曜・休日を中心に神戸三宮駅 - 高速神戸駅・新開地駅・東須磨駅・須磨浦公園駅で区間運転する「特急」があった。この特急は折り返しによる運用であり、同区間では各駅に停車するため実質は「普通」であったが、表示幕が対応していなかった[注 19]ため、敢えて「特急」として運転された。
区間特急
平日朝ラッシュ時に「直通特急」とともに運転される種別で、上り方向のみに7本設定されている。全列車が御影発大阪梅田行きで運転され、大阪梅田駅1番線に到着後は回送として折り返す。なお、ラッシュ時に運転される優等列車のため混雑することから、大阪側から4両目に阪神電車で唯一女性専用車両が設定されている。
現行ダイヤでは名前の通り、各駅に連続停車する区間と通過運転を行う区間がある。後者においては上位種別である直通特急・特急の停車駅を通過する「千鳥停車」が見られ、直通特急が停車する西宮駅を通過する。2012年までは野田駅も、2016年までは尼崎駅もそれぞれ通過していた。
全列車が御影駅で神戸三宮方面からの普通と接続し、青木駅では後続の快速急行と直通特急の待避を行っている。車両は阪神車の6両編成を用いる。
1981年のダイヤ改正で芦屋駅を始発駅として1本が設定されたのが始まりである。その後神戸側の始発駅を三宮駅に変更して運転区間を延長したほか、何度か増発や停車駅変更が行われた。この時期は全区間で通過運転を行い、現在のように連続停車する区間はなく、ほぼ阪神本線全線を走るため、「区間特急」という名称には違和感のある運行形態であった。「特急」とは異なる停車パターンで運転されていたのは変わらず(芦屋駅のみ両方が停車)、特急より停車駅が少なかった時もある。2009年ダイヤ改正では区間特急と直通特急との続行ダイヤから、芦屋駅と甲子園駅で次の快速急行に連絡するダイヤに変更され、始発駅が青木駅となったほか、運転区間が短縮され、連続停車区間が出現した。その後、2012年ダイヤ改正では野田駅にも停車するようになり[19]、2016年ダイヤ改正では運転区間が拡大され始発駅を御影駅に変更、魚崎駅・尼崎駅が停車駅に追加される[20]など、列車の趣旨にも若干の変化が見られる。
平日ではあるが年末のため土曜・休日ダイヤとされた2014年12月29日には、通勤輸送にも配慮して初めて臨時区間特急を4本運転した。
快速急行
神戸三宮駅と阪神なんば線大阪難波駅を経由して近鉄奈良線を結ぶ速達列車であり、早朝・深夜を除きほぼ終日運行されている。
基本的には神戸三宮駅 - 近鉄奈良駅間で運転される。ただ、一部例外もあり、上り(近鉄奈良方面行き)では平日朝と土休日夕方には大和西大寺行き[注 20]があるほか、大阪難波駅にて急行、準急または普通に変更しそのまま近鉄線に直通する大阪難波行きがある。それ以外にも、下り(神戸三宮行き)では平日朝に尼崎始発[注 21]や甲子園始発がある。なお、近鉄線内で障害が発生した場合は、近鉄線内には乗り入れず西九条駅発着に変更されることがある。全列車が尼崎駅から阪神なんば線に入るため本線の大阪梅田駅 - 尼崎駅間には乗り入れないが、ほとんどの列車が尼崎駅で大阪梅田駅発着の急行ないし区間急行と接続することで大阪梅田方面との利便性も確保されており、尼崎駅 - 西宮駅間で本数が減少する急行を補完している。
急行よりも上位で特急よりも下位にあたる列車種別(停車駅数的には区間特急と特急の間)であるが、特急などの上位種別列車に抜かされることはない。阪神の現行種別の中でも時間帯によって停車駅が異なることが顕著である。平日朝ラッシュ時は武庫川駅・今津駅を通過するほか、ホームの問題(詳細は各駅記事参照)から特急停車駅である御影駅と平日朝ラッシュ時を除いて芦屋駅を通過しており、事実上の千鳥停車となっている。
平日は朝ラッシュ時から日中にかけてが6両編成で、平日夕ラッシュ時以降と土曜・休日はほぼ全ての列車が8両編成で運行されている。一方、阪神なんば線や近鉄方面へ直通する列車は尼崎駅から最長である10両編成で運行することもあるため、近鉄線乗り入れ開始当時と比べると数は減ったものの尼崎駅で連結・切り離し作業を行うことがあり、この作業中に大阪梅田方面発着の列車が後から追いついて先に発車することがある。
先述の車両数の違いのほか、車両に関しても阪神車両(18m・3扉)、近鉄車両(21m・4扉)ともに運用に入るため、列車によりホームでの乗車位置(阪神車は青色○、近鉄車は赤色△で案内)が異なる。ただし、阪神車か近鉄車かの運用は固定されている(車両形式までは固定されていない)ため、どちらの車両を使用するかは、駅の発車標または2018年3月17日より配信を開始したスマートフォンアプリ『阪神アプリ』で確認が可能である。
種別自体は1983年12月のダイヤ改正にて、梅田駅 - 西宮駅間の急行を延長する形で登場。当初は休日日中のみの運行で、また西宮駅 - 三宮駅間ノンストップであった(梅田行きに限り、当初は青木駅に停車して特急を待避するダイヤで運行)。1987年12月より平日日中にも拡大、同時に梅田行きの青木駅待避がなくなった。その後、1998年2月のダイヤ改正で直通特急の運転開始・日中10分間隔の実施により、日中は梅田駅 - 西宮駅間の急行に置き換えられ、代わりに平日夕方ラッシュ時間帯(17 - 19時台)に本線全般で運転される通勤時間帯の直通特急を補完する中長距離速達種別という位置付けとして存在した。
2009年3月の阪神なんば線開通に伴い現在に似た運行形態に変更され、梅田駅 - 尼崎駅間の運行は取り止められ、青木駅と岩屋駅を通過し芦屋駅と魚崎駅に停車する形になった。
2012年3月20日ダイヤ改正で、土曜・休日のみ上りは初発から3列車が神戸高速線新開地発近鉄奈良行きへと変更された(いずれも阪神の車両で運転)。
2016年3月19日ダイヤ改正より、神戸三宮駅到着後は回送として尼崎車庫へ折り返していた列車を営業列車化して神戸三宮発尼崎行き[注 22]・大阪難波行き[注 23]・大和西大寺行き[注 24]をそれぞれ増発した。
2019年3月20日より、基本的に7時から20時までの間に限り、車掌が携帯するタブレット端末を使用して、日本語と英語、一部は中国語と韓国語でも多言語自動放送を行っている[22]。
2020年3月14日ダイヤ改正より、朝と夜間で増発を行い、上りは全ての列車を大阪難波駅まで快速急行として運転する[注 25]。また、土曜・休日は殆どの列車が8両編成となり[注 26]、併せて殆どの列車で連結・切り離し作業を省略したため所要時間も短縮された一方で、ホーム有効長の問題から芦屋駅は土曜・休日に限り通過に変更した[注 27]。また、この改正で平日日中のうち武庫川駅に停車する列車は今津駅にも停車となった[23]。なお、8両編成での運転に備えて、近鉄との直通運転開始後、西宮駅と芦屋駅以外の快速急行停車駅では近鉄8両編成が停車できる170m程度へのホーム延伸工事を行った[注 28]。
2022年12月17日のダイヤ改正で、平日夕ラッシュ時も8両編成となったため、芦屋駅の停車が平日朝ラッシュ時のみとなり、平日日中にあった武庫川駅・今津駅・芦屋駅の全てに停車する列車は消滅した。また平日は日中時間帯の運転が、毎時2本に削減された。土曜・休日ダイヤにあった朝の新開地発近鉄奈良行きは全て神戸三宮始発に変更され、新開地駅 - 神戸三宮駅間での運転は再び消滅した[24]。
急行
大阪梅田駅 - 尼崎駅・甲子園駅・西宮駅間に設定される種別である。平日の日中と土曜・休日の19時すぎまでは大阪梅田駅 - 西宮駅間の列車と大阪梅田駅 - 尼崎駅間の列車を交互に運転し、そのうち尼崎駅発着の列車が同駅で快速急行と接続する。基本は大阪梅田駅 - 西宮駅間の運転だが、土曜・休日の夜間は主に大阪梅田駅 - 甲子園駅間の運転となる。
毎年8月に行われるなにわ淀川花火大会開催当日の終了時間後に急行が姫島駅に臨時停車する。また、土曜・休日夜間の甲子園駅発着の列車は、西宮えびす開催日や甲子園球場でのイベント開催日において西宮駅発着に変更されることがある[注 29]。
2009年3月20日改正前は、平日の昼間と深夜時間帯は梅田駅 - 西宮駅間(一部は梅田駅 - 甲子園駅間)、朝ラッシュと夜間では梅田駅 - 三宮駅間で運転されていた。朝ラッシュの一部列車は神戸高速鉄道線、山陽電鉄線内にも乗り入れをしていた(下り一部は東須磨駅、須磨浦公園駅まで、上り一部は東須磨駅、新開地駅から)。当時は、平日下り早朝に三宮発、神戸高速鉄道線新開地・山陽電鉄線東須磨行きの急行が合計5本あった。この急行は通過駅がなく各駅停車であるが、終着駅で折り返し梅田行き急行として運転される列車であり、急行系車両を使用しているため種別を「急行」として運転していた。平日下り三宮方面へ向かう急行は直通特急に追い抜かれることなく、三宮駅まで先着していたが、平日朝ラッシュ時の上りの急行は青木駅で区間特急と直通特急に、夜間の上りの急行は甲子園駅で直通特急に追い抜かれていた。土曜・休日については日中は梅田駅 - 西宮駅間、夜間は梅田駅 - 甲子園駅間のみの運転で、西宮駅以西の運用はなかった。
2006年10月28日のダイヤ改正では、従来の上りに加え、下りのすべての急行も大石駅に停車するようになった。
2009年3月20日ダイヤ改正で西宮駅以西の運転が一旦廃止され、運転区間は終日梅田駅 - 西宮駅間に短縮された。併せて福島駅が通過駅、今津駅が停車駅となり、朝のラッシュ時の運転は区間急行に置き換えられる形で休止された。平日夕方 - 夜間の上り急行は甲子園駅で直通特急や快速急行と接続する。
2016年3月19日のダイヤ改正で、平日の深夜に運転されていた最終の梅田発御影行き特急が急行に変更されたため、平日深夜の下り1本のみだが西宮駅 - 御影駅間で定期の急行が復活した(西宮駅 - 御影駅間停車駅は特急と同じ)[20]。
2020年3月14日のダイヤ改正で、平日朝ラッシュの西宮発大阪梅田行きの2本が青木発大阪梅田行き区間急行に置き換えられた。
2022年12月17日のダイヤ改正では、平日日中の快速急行が毎時3本から毎時2本に削減されることに伴い、同時間帯では大阪梅田駅 - 尼崎駅間の急行のうち毎時1本が西宮駅まで延長された(平日日中の尼崎駅 - 西宮駅間は1時間あたり快速急行2本・急行4本)。また、平日朝7時台の下り2本が区間急行に変更されたほか、2016年に設定された平日深夜の大阪梅田発御影行きが廃止された(これにより急行は再び大阪梅田駅 - 西宮駅間のみとなった)[24]。
区間急行
平日朝ラッシュ時、急行に代わって大阪梅田駅 - 甲子園駅間および青木駅 → 大阪梅田駅間に設定される種別である。停車駅は、急行の停車駅に福島駅、千船駅、鳴尾・武庫川女子大前駅が加わる[注 30]。青木発大阪梅田行き2本以外は全て甲子園駅発着である。上りは大阪梅田駅まで先着する。下りは尼崎駅で快速急行と接続し、尼崎駅から快速急行を利用することで後続の直通特急よりも神戸三宮駅へ先着できる。また、終着の甲子園駅では直通特急と接続する。
区間急行の種別自体は2001年3月10日のダイヤ改正で一度廃止されたが、2006年10月28日のダイヤ改正で復活したものである。
阪神なんば線開業直前は平日朝ラッシュ時に甲子園発梅田行きが8本運転されており、途中で鳴尾駅・武庫川駅・尼崎駅・野田駅に停車し、一部を除いて尼崎駅で区間特急に、野田駅で直通特急に追い抜かれるダイヤを組んでいた。また、2001年に一度廃止されるまでは、姫島駅にも停車していた。同時間帯に走っていた急行とは少し異なり、鳴尾駅に停車した代わりに福島駅は通過していたが、朝の通勤時間帯における上り急行の混雑緩和と甲子園駅からの着席サービスを図る、他社でいう「通勤急行」の様な位置付けであった。
2009年3月20日のダイヤ改正で福島駅・千船駅が停車駅に加えられ、当該区間の急行を置き換える形で梅田発の下りも設定された。
2020年3月14日のダイヤ改正で、平日朝ラッシュ時の上り大阪梅田行き急行2本が区間急行に置き換えられ青木駅始発となり、停車駅に芦屋駅、西宮駅、今津駅が追加された[23]。
2022年12月のダイヤ改正では、平日朝ラッシュ時の大阪梅田発急行2本が区間急行に置き換えられた。
普通(阪神普通)
各駅に停車する種別。車両は原則として加減速性能の高い4両編成の「ジェットカー」が使用されるが、一部時間帯に運転される神戸三宮駅 - 新開地駅・東須磨駅・須磨浦公園駅間の列車には急行系車両が使用される。これらの急行系車両を使う列車は前述の通り特急の折り返し運用によるもので、長らく各駅停車の「特急」として運転されていたが、2016年3月19日のダイヤ改正に合わせて急行系車両にも新たに『普通 神戸三宮』などの表示幕を追加し、「普通」に統一された[注 31]。
終日、原則として大阪梅田駅 - 高速神戸駅間で運転されているが、日中の一部列車は尼崎駅で車両交換を行う。かつては元町駅にて折り返し運転を行っていたが、1998年2月15日のダイヤ改正で高速神戸駅まで延長された(ただし、それ以前の1991年改正から既に夕方ラッシュ時に高速神戸駅で折り返す運用も設定されていた)。延長された理由は、運行本数の増加により元町駅での折り返し時間に余裕がなくなったこと、そのダイヤ改正で運行開始した直通特急の一部が西元町駅を通過扱いとしたこと、高速神戸駅で新開地方面の列車接続をするため等である。また、時間帯によっては途中の尼崎駅・西宮駅・御影駅・神戸三宮駅・元町駅を始発・終着駅とする列車も設定されている。石屋川駅行きは2022年12月ダイヤ改正で廃止された。
緩急接続は、基本的に尼崎駅で急行・快速急行(平日朝の大阪梅田行きは区間急行、早朝・深夜時間帯は直通特急・特急)に、千船駅と尼崎センタープール前駅で特急・直通特急の、御影駅で快速急行の、それぞれ通過待ちを行う。西宮駅では早朝・深夜の一部列車を除いて直通特急・特急と快速急行または西宮駅発着の急行に、御影駅と高速神戸駅でそれぞれ直通特急・特急に接続する。加えて下りは野田駅で急行(平日朝ラッシュ時は千船駅で区間急行)に接続するほか、早朝・夜間に甲子園駅で直通特急・特急に接続する列車、大阪梅田駅発甲子園駅止まりの急行から接続を受ける列車もある。
2009年3月20日実施のダイヤ改正で、2006年10月28日改正時から実施されていたジェットカーによる山陽電鉄東須磨駅までの乗り入れ運用が廃止された。ただし新開地駅までの運転は継続している(早朝から朝にかけて平日3本、土休日2本と土休日夜に1本)。
5700系や5500系リノベーション車両には乗降扉の横に自動ドアボタンが設置されており、これらの車両で運用する列車のうち緩急接続や通過列車の待避で長時間(2分以上)停車する駅においては、車内温度維持のため乗降客がドアを開閉する半自動扱いとしている[注 32]。なお、半自動扱いをした場合は、発車直前に自動扱いに切り替えて一旦ドアを全開閉する。
S特急
阪神本線内は神戸三宮駅 - 元町駅間のみの運転で、上りは朝に、下りは深夜に運転されている。下りは神戸三宮発山陽姫路行きが、上りは高砂発神戸三宮行きが運転されている。山陽の車両のみで運転されている。
普通(山陽普通)
阪神本線内は神戸三宮駅 - 元町駅間のみの運転で、朝・夕以降(土曜・休日は僅かだが日中にも)に神戸三宮駅 - 山陽姫路駅間で運転されている。神戸三宮発ではほとんどが山陽姫路行きだが、東須磨行き、東二見行き、飾磨行きもわずかに設定されている。なお、ごく一部の列車を除いて大石駅まで回送され同駅で折り返している。須磨浦公園以西へ直通する列車は山陽の車両のみで運転されている。
準急(休止)
準急は、2009年3月20日改正によって本線では運行が休止された種別である。
休止直前は、平日の朝夕ラッシュ時間帯に運転される種別となっていた。朝ラッシュ時は主に下りは梅田発の尼崎・甲子園行き、上りは石屋川駅・御影駅・西宮駅・甲子園発の梅田行きが運転され、夕ラッシュは梅田駅 - 尼崎駅・甲子園駅間で運転が行われていた。それ以前には下り大石駅始発もあったが、こちらは大石駅から東須磨駅までの各駅停車であり、急行系車両使用という理由で準急の種別表示で運転されていた。
朝夕ラッシュ時間帯の普通を補完する種別で、ジェットカーよりも加減速性能の低い急行系車両での運転のため、一部の駅を通過としたが、乗車機会の確保のため停車駅が多く、梅田駅 - 西宮駅間では淀川駅・大物駅・尼崎センタープール前駅(但し平日朝の梅田行きは停車)・久寿川駅・西宮東口駅(のち廃止)以外の駅には全て停車しており、2駅連続で通過する区間はなかった。西宮駅以遠はダイヤ改正時に停車駅が見直されることがあり一定していなかったが、ホーム有効長が4両分のみであった住吉駅は通過していた。急行系種別と千鳥停車を行っていた。
2006年10月28日のダイヤ改正より、上り準急が打出駅に停車し、香櫨園駅が通過となった(打出駅のホームが延伸され6両編成対応になったことと、香櫨園駅に区間特急が停車するようになったため)。この時の通過駅は淀川駅、大物駅、尼崎センタープール前駅(上りは停車)、久寿川駅、香櫨園駅、芦屋駅、青木駅、住吉駅のみであった。また、同改正前は最長で山陽電鉄東須磨駅まで運転されていた下り準急は、すべて尼崎駅・甲子園駅までに運転区間が縮小された。
停車駅が多い上に特急などの待避も多く所要時間がかかるため乗車率が低迷していたことから、2009年3月20日の阪神なんば線開業に伴う改正で休止とし[25]、準急種別は阪神なんば線 - 近鉄奈良線間の相互直通列車に限定して用いられる(同時に阪神なんば線には「区間準急」が登場)ことになり、本線における準急は消滅した。準急が停車していた深江駅・打出駅・今津駅では、代替で区間特急が新規で停車するようになった。
なお、1980年代までは休日の昼間、梅田駅 - 甲子園駅間(一部は尼崎駅まで)に設定されていた。これらは「不定期列車」としての運転であり、冬季(12月 - 2月)は運休となっていた。また、1963年2月から1968年4月まではダイヤの関係で梅田 - 甲子園間の一部の不定期準急にジェットカーを使用していた列車もあった。
1990年頃まで準急は5両編成で運転されていた。このため、準急にはR車や両運転台車両だった3301型が多く充当されていた。普通の終日4両編成化を機に、これまで特急・急行は6両編成、区間急行・準急は5両編成だった優等列車をすべて6両編成に統一したことから、準急にも8000系が充当されるようになった。
臨時列車
臨時特急
臨時特急は、阪神甲子園球場でのイベント開催当日(主に春・夏の高校野球大会、プロ野球試合によるもの)に、大阪梅田駅 - 甲子園駅間で運転される。大阪梅田発はイベント開催直前のみ、甲子園発は原則として同終了後のみの運転で、いずれも定期の直通特急・特急の直前に発車するよう予め運行時刻が設定されており、現在では、ウェブサイトで一部の大阪梅田発のみ発車時刻を公表している[26]。
阪神なんば線開業までは、上り・下りとも途中無停車の直行列車だった。阪神なんば線開業後は甲子園発大阪梅田行きのみ尼崎駅に停車し、大阪難波方面へのアクセスにも配慮しているが、大阪梅田発甲子園行きは現在も終点の甲子園駅まで無停車で運転されている[26]。甲子園発は、阪神甲子園球場の観客数に合わせて大阪梅田行きのみ最大4本[注 33]が運転される。
特に、甲子園発の運転本数と発車時刻は、いずれも甲子園駅駅長が当日のイベントの動向と想定される乗客数を見計らった上で決定し、運転指令に指示を出している。球場の入場者数や試合の展開などもチェックしており、例えばタイガースが大差で負けているような展開では「試合中でも7回ぐらいから帰宅ラッシュが始まる」ため早めに臨時特急を動かすが、一方でタイガースが勝利した場合は「ヒーローインタビューや六甲おろしの合唱などが終わってから多くの観客が動く」ため、臨時特急の発車時刻も少し遅めにするといった細かい調整を行っている[27][28]。
2023年11月23日には、神戸と大阪で阪神タイガースとオリックス・バファローズの優勝パレードが同時開催されたことに合わせ、元町発大阪梅田行き臨時特急を運行した。当日は阪神タイガースの優勝パレードが午前に神戸で、午後に大阪でそれぞれ開催された(オリックス・バファローズの優勝パレードはその逆の行程で開催)ため、神戸から大阪へと移動する阪神ファンのために臨時特急もそれに合わせて12時台に上り1本のみ運行した。この列車は途中、神戸三宮駅のみに停車し、それ以降は終着の大阪梅田駅までノンストップで運行された[注 34]。車両は1000系1201F「日本一特別ラッピングトレイン」を使用し、車内も特別装飾とした[29]。なお、車両は臨時特急と表示されたが、駅での表示は『貸切』であった。
なお、阪神なんば線方面へ直通する臨時列車については、「甲子園駅に押し寄せる数万人の乗客を効率的に捌かなければならない」ことを理由に運行されない[30][注 35]。
臨時快速急行
臨時快速急行は、近鉄との相互直通運転を開始した2009年の12月に、当時毎年12月上旬から中旬にかけて行われていた神戸ルミナリエに併せ、開催期間中の土曜・日曜の夜間に神戸三宮駅発尼崎行きが設定されたのが最初である。のち、毎年神戸ルミナリエ開催期間中の土曜・日曜の夜間に限り同様に運転されていたが、2015年からは毎年8月上旬のみなとこうべ海上花火大会の開催日にも設定された[31][32]。
定期列車では最終の近鉄奈良行き快速急行が発車後に、尼崎駅始発の阪神なんば線の定期列車(区間準急・普通も含む)を延長する形で、本線は臨時快速急行として運転した。なお、駅の発車標、阪神車両・近鉄車両いずれも『臨時快速急行』の表示は用意されていなかったため、定期列車同様に『快速急行』または『快急』と表示して運用した。停車駅は、当時の土曜・休日における定期列車の快速急行と同一(芦屋駅にも停車)であった[33][32][34]。以降、新型コロナ感染症が流行する前まで継続されたが、2020年以降はいずれも開催休止となったため運行されていない[注 36]。
このほか、平日ダイヤでは初めての臨時快速急行として、天理教教祖誕生祭に合わせて、2011年4月18日に神戸三宮8時53分発天理行きが1本運転された[35][36]。この列車は8時50分頃に神戸三宮駅に到着する定期列車の快速急行の折り返しであり、通常は回送として尼崎車庫へ向かう列車であったが当日は客扱いとした。列車側の方向幕では天理行きの表示がなかったため、種別表示のみの「快速急行」[36]とし、正面に「大阪難波経由天理行」と書かれたヘッドマークが取り付けられた[35][36]。駅の案内表示では「快速急行 難 波」とし、「難波から臨時急行天理行きになります」の注意表示が併記されていた。2012年以降も、この神戸三宮8時53分発天理行き臨時快速急行は継続して運転され、天理教の月次祭(毎月26日)に合わせ、毎年3月から年内にかけての毎月26日のみ、当日が平日ダイヤ適用日である場合に限り運転された(当日が土曜・休日ダイヤ適用日の場合は運転せず)。また2011年同様、特製ヘッドマークを装着している。なお、この神戸三宮8時53分発は2016年3月のダイヤ改正で定期列車化され、快速急行大和西大寺行きとして運転されている[20]ほか、平日の天理教祭典日に限り大和西大寺駅から天理行き臨時急行に変更して天理駅まで延長運転する「天理臨」も継続された(専用のヘッドマークも用意)[37]。さらに、この列車は2021年7月3日の近鉄のダイヤ変更により大和西大寺駅から天理行き急行に変更して天理駅まで運転されるようになり[21]、天理教祭典日に限り専用のヘッドマークを装着して運行されている。
臨時急行
臨時急行は、臨時特急や臨時快速急行と同じように、阪神甲子園球場でのイベント開催日のほか、神戸ルミナリエやみなとこうべ海上花火大会、十日えびすといった沿線での大きなイベント開催時の土曜・休日にも運転される。甲子園駅を境に、臨時特急が大阪梅田方面のみに運転されるのに対し、臨時急行は神戸三宮方面のみに運転される。停車駅は、大阪梅田駅 - 西宮駅間は定期の急行と同じで、西宮駅 - 神戸三宮駅間は直通特急・特急と同じである[34]。
阪神甲子園球場でのイベント開催日には、イベント終了後に甲子園発神戸三宮行きが運転されることがある。なお、この神戸三宮行きは定期列車の運転区間延長ではなく、臨時特急と同じく定期列車とは別立てでの運行(尼崎車庫から当駅までは回送)である。また、既に「急行」の節で述べた通り、球場でのイベントが土曜・休日のプロ野球のナイター試合であった場合、線路容量の関係で試合終了前後の定期の大阪梅田駅 - 甲子園駅間の急行を延長して西宮駅発着としている。
一方、神戸ルミナリエなどほかの沿線での大きなイベント開催時の土曜・休日の夜間に運転される臨時急行は、大阪梅田駅 - 甲子園駅間の急行[注 37]を、神戸三宮駅発[32][34]または西宮駅発着[38]として延長した区間が臨時急行として運転される。
大阪梅田発西宮行きは、大阪梅田駅から西宮駅までそのまま『急行』として運転される。一方、神戸三宮発に関しては、2009年3月のダイヤ改正までは、梅田駅 - 三宮駅間で定期運行されていた急行の停車駅から大石駅を抜いた駅(西宮駅以西は芦屋駅・青木駅・御影駅・岩屋駅)に停車していたが、同改正で西宮駅以西における急行の定期運行は無くなったため、現在は大阪梅田駅 - 西宮駅間は定期の急行、西宮駅 - 神戸三宮駅間は定期の特急の停車駅(芦屋駅・魚崎駅・御影駅)に停車する形で運行されている[注 38]。神戸三宮発または西宮発は、甲子園駅(定期運行時の始発駅)到着直前に、列車の方向幕はそれまでの『臨急 梅 田』から『急行 梅 田』(LED表示車は『臨急 大阪梅田』から『急行 大阪梅田』)へと変更される。また、甲子園駅では定期列車と同じく直通特急・特急の発車後の出発であるため、甲子園駅までは先着するものの、尼崎駅・大阪梅田駅へは後続の直通特急・特急が先着する[34][38]。
かつて、2009年3月ダイヤ改正から2012年3月ダイヤ改正までは、土曜・休日の夕方の梅田駅 - 尼崎駅間の急行(尼崎駅で快速急行と接続)は、引上げ線の容量の都合から尼崎駅で折り返さず、回送列車として甲子園駅まで送り込まれた上で同駅構内の引き上げ線で折り返していた。特に阪神甲子園球場での催事がある日に限り、この折り返し回送列車のうち一部を客扱いさせた上で尼崎駅まで臨時急行として運行させることがあった(下の画像参照)。この臨時急行は、尼崎駅から先は定期の急行として運用されるが、甲子園駅 → 尼崎駅間は元々回送列車のスジをそのまま利用していたため、武庫川駅は通過した。また、尼崎駅到着直前に、列車の方向幕はそれまでの『臨急 梅田』から『急行 梅田』へと変更した。
このほか、2015年の夏の高校野球開催期間中には、前もって早朝から混雑が予想された特定の日に限り、朝5時台から6時台にかけて梅田発甲子園行きの臨時急行を例外的に増発した[39]。2016年も同様に、公式ウェブサイトでは夏の大会開催期間中の当日が準決勝戦・決勝戦である日を除く土曜・日曜・祝日に限り朝6時台に梅田発甲子園行きを2本増発するとアナウンスされた[31]が、実際には15日以降も閉幕まで平日でも主に朝5時台に増発が行われた。2017年からコロナ禍となる直前までの2019年にかけても、開催期間中はお盆休みの土曜・休日ダイヤ運転日を中心に始発前の4時58分から6時25分までの間に6本の増発が行われた[40][41][42][43]。なお、この梅田発甲子園行きの臨時急行は、列車・駅での表示はともに『臨急』とせず『急行』として運行した[44]。2020年以降はコロナ禍で高校野球でも指定席が設けられたこともあり、早朝の臨時急行は運行されていない。
かつてあった、休日夕方の臨時急行梅田行き(甲子園駅)
同列車の車体側面の方向幕(甲子園駅)
甲子園駅2番ホームにあった反転フラップ式発車標(現存せず)。武庫川駅は通過扱い
尼崎駅到着後の同列車は、急行梅田行きに変更(尼崎駅)
同列車の車体側面の方向幕(尼崎駅)
らくやんライナー
阪神では初となる、有料座席定員制列車。『夜間有料臨時列車(らくやんライナー)』と称する。
2022年12月23日と2023年1月6日・13日・20日(いずれも金曜日)に、大阪梅田発青木行き臨時列車として、大阪梅田駅20:19発(1号)、21:43発(3号)の計2本を試験運行した。停車駅は野田・尼崎・武庫川・甲子園・西宮・香櫨園・打出・芦屋の各駅で、うち大阪梅田駅と野田駅のみ乗車専用とし、尼崎駅以遠の停車駅は全て降車専用とした。1号は千船駅に運転停車し(通過扱い)、3号は尼崎駅にて直通特急に追い抜かれるダイヤであった。終着の青木駅には4番線に入線し、3番線を特急列車(1号は姫路行き直通特急、3号は高速神戸行き特急)が通過したのちに引き込み線に入り、1番線を経由して回送で折り返した(1号はそのまま大阪梅田駅まで回送され、駅到着後に改めて3号として運用された。3号は尼崎車庫まで回送)。車両は各日とも9300系を使用。定員は各車両とも30名で1列車180名(うち大阪梅田駅で150名、野田駅で30名の発売枠をそれぞれ設定)とし、必ず着席できるようにした[注 39]。なお、神戸三宮寄り先頭車である6号車は野田駅乗車客専用とし、大阪梅田駅では1 - 5号車のみ乗車可能(但し車両間の移動は禁止)とした。乗車整理券は1乗車200円で支払いは現金のみとし、大阪梅田駅では1番ホームで乗車前に係員が、野田駅では発車後に車内で乗務員が、それぞれ料金を徴収した。駅の発車標や車両では『貸切』と表示し(駅では発車時刻も表示。先頭車両には『らくやんライナー』の副標も掲出)、ドアは各車両とも最後尾(大阪梅田寄り)のみ開閉させ、各車両に1名ずつ開閉ドア付近に乗務員を配置した。なお、運行初日であった2022年12月23日は、1号では早くから乗車希望の行列ができたため当初発車10分前からとしていた乗車整理券の発売を急遽繰り上げ20:00前から発売した[45]。
今後に向けた参考とするため、乗車整理券裏面の二次元コードを読み取るかたちで利用客へのアンケートを実施した[46]。
“交通アクセス”. 阪神甲子園球場. 2023年1月18日閲覧。
“元町駅”. 阪神電車. 阪神電気鉄道. 2023年1月24日閲覧。
「阪神でダイヤ改正」『交通新聞』交通協力会、1960年9月14日、2面。
== 使用車両 ==