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ジェットカーとは、阪神電気鉄道(阪神電車)の所有する主に普通列車に供する鉄道車両につけられた愛称。
本項では車両性能面のほかに、「青胴車」との呼称の由来となった車両塗色についても記述する。
ジェットカーは、日本で初めての高加減速車両である近畿日本鉄道の「ラビットカー」に次いで、日本で2番目の高加減速車両である[注釈 1]。
阪神本線の普通列車は停車する駅の数が多く、また駅間距離も非常に短いため、後続の優等列車から逃げ切るために、加減速性能が高いジェットカーが採用されている。
愛称は、『従来の車両をプロペラ機に例えるならこの車両はジェット機に匹敵するぐらいの加速・減速の良さである』という比喩から名付けられた。
5001形は起動加速度4.5km/h/s(5500系、5550系、5700系は4.0km/h/s)だが、この数値は日本の鉄輪式の鉄道車両の中で阪神が唯一である[注釈 2]。減速度も日本の鉄道車両ではトップクラスであったが、こちらはJR東日本E233系電車および相鉄12000系電車に並ばれている。
阪神では、駅間が非常に短いため古くから普通用と急行用を区別して車両を運用していたが、車両の大型化に際し1950年代前半から、車両関係者・技術者や電機メーカーなどと高加減速度車両の開発を行っていた。最も路線環境に適した普通列車の専用車両を試作し、各種試験を行い量産され現在に至る(旧型車時代の普通専用車両1001形なども起動加速度3.0km/h/s、減速度3.3km/h/sと高かった)。
ジェットカーに類する高加減速車は京阪電気鉄道(京阪電車)の2000系(「スーパーカー」)、近畿日本鉄道(近鉄)の6800系(前述の「ラビットカー」)などが存在したが、いずれも沿線人口の増大に車両増備が追いつかなくなり、通常の加減速度を有する車両と併結されたり付随車を連結されるなどして高加減速運用を解除された。
阪神のみ高加減速車が生き残ったのは、元々沿線が成熟しており沿線人口の増大が緩やかであったことや、普通列車の運用本数が少なく普通専用車両の維持がしやすかったこと、本線の平均駅間距離が短いことなどが理由とされる。
旧塗装車はクリームとウルトラマリンブルー、5500系原型車と5550系はアレグロブルーとシルキーグレイ、5500系リノベーション車はラピスブルーとモダングレー、5700系はカインドブルーを基調とした塗装となっており、このように青色を基調とした塗色から「青胴車」とも呼ばれる。
ジェットカーは1965年9月15日実施のダイヤ改正から1968年4月6日まではダイヤの関係で休日ダイヤでの梅田 - 甲子園間の一部の不定期準急に使用された以外は、一貫して普通列車として運用されている。一方特急・急行に使用される車両は「赤胴車」と呼ばれており、車体色で列車種別が識別できるという実用性も兼ねたカラーリングとなっている。
車体では乗降時間の短縮を図るため、すべての車両が両開き扉を設置しており、扉幅1,400mmは5500系まで一貫して引き継がれた。
5500系までは伝統的に全車電動車であったが、5550系ではジェットカーで初めて付随車(厳密にはTc車であり制御車)が編成内に1両挿入された(5561形)。5700系では再び全車電動車に戻されたが、それぞれの先頭車の片側台車(運転台より)には主電動機を装備していないため、実質的なMT比は5550系と同じく3M1T相当である。
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