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1980年に放送された日本のテレビアニメ ウィキペディアから
鉄腕アトム (アニメ第2作)(てつわんアトム)では、手塚治虫原作の漫画『鉄腕アトム』のアニメ化作品第2作について解説する。
日本テレビとその系列局にて、1980年(昭和55年)10月1日から1981年(昭和56年)12月23日まで放送。全52話。
権利者である手塚プロダクションは放映開始年の西暦表示で『鉄腕アトム(1980)』としている。他に一般では、現在のところ、シンプルに『鉄腕アトム』のタイトルで製作されたカラー作品としては唯一であるため、1963年放映開始のモノクロ作品である第1作とは、カラー版と言い分けられることが多い。また、2003年放送開始の『アストロボーイ・鉄腕アトム』以降の作品はすべて平成以降に製作されたことから、昭和カラー版とも称される[要出典]。
旧虫プロダクションが制作した第1作の内容に不満を持っていた原作者の手塚治虫が[1]、手塚プロダクションで新たにアトムの誕生からリメイクするために制作したシリーズ作品である。第1作が基本的にモノクロ作品であまり再放送がなく、日本国外での放送がないこともリメイクの理由に挙げられている[2]。ただし、本作の放送と同時期においても、KBS京都とサンテレビで第1作の再放送が行われていた。また、本作の放送開始後には中華人民共和国で第1作が放送された。
リメイク企画は1970年[3]、1971年[4]に持ち上がり、1972年3月から小学館の『小学一年生』『小学四年生』4月号から1973年3月号まで実写ドラマ企画と連動した漫画を手塚は連載したが実現に至らなかった[5]。この実写によるリメイク企画は少女がアトムに扮することが予定され、学年雑誌連載版のアトムのデザインも少女が扮することを前提に新しくアレンジされていた。この実写企画は検討用のスチル写真が残されている[6]。
改めて企画が始動したのは1974年の事だった[7]。最初は映画にするという話もあったが、『鉄腕アトム』は技術的にテレビ向けだからやはりテレビアニメでとなり、第1作を放送したフジテレビに企画に持ち込んだ。しかし企画は変更を余儀なくされ、1977年から放送の『ジェッターマルス』になった[8]。同作は手塚プロの制作ではなく、手塚は直接現場に関わらない原作者のポジションでの東映動画の制作だった。
リメイクをなかなか実現できなかったのは、第1作のスポンサーで『鉄腕アトム』のマーブルチョコレートで大ヒットを飛ばした明治製菓[9][10]が菓子の権利を引き続き保持し続けたため[11][12]、他の製菓会社がスポンサーにつけなかったことなどによる[11]。
第1作の終了自体、スポンサーである明治製菓の判断が一因であり[13]、リメイクにあたっても同社がスポンサーにつく必要があるため、当初は『鉄腕アトム』の続編企画だった『ジェッターマルス』もその点がネックとなった。『ジェッターマルス』のチョコレート菓子を販売したのは明治製菓でなくシスコだった[14]。
第1作に不満があった手塚としては『ジェッターマルス』のような形ではなくストレートなリメイクが念願だった[8]。難航していた本作の企画が実現したのは日本テレビが1978年の第1回から『24時間テレビ 「愛は地球を救う」』内で放送していた手塚治虫スペシャルアニメが好評だったためである[15]。当時の日本テレビは『太陽の使者 鉄人28号』や『あしたのジョー2』『新・ど根性ガエル』など旧作をリメイクすることに積極的だったことも後押しとなった[16]。これらのリメイクアニメは全て日本テレビの吉川斌プロデューサーが企画担当である[17]。
1978年から1980年にかけてリメイクに伴う鉄腕アトムの商標は、手塚プロと明治製菓で権利を分散する形で出願と登録がなされた。菓子とパン[18]、調味料と乳製品[19]、それに玩具や生活用品などは手塚プロが出願して登録され、明治製菓はそれ以外の食品や飲料などを商標登録した[20][21]。
そして本作は明治製菓がスポンサーについて放送された[22]。担当の広告代理店は、日立、サッポロビール、タカラが博報堂、明治製菓が第一広告だった[22]。
第1作と同じく、手塚治虫自らが脚本・絵コンテ・演出・原画担当のスタッフとして参加していた。
第1作よりもアクションシーンをかなり重視した作品となったが、9回にわたって繰り広げられた「アトム対アトラス」シリーズの回のように、「心を持つロボット」というテーマは本作でも健在である。また、手塚自身が脚本・演出を手がけた最後の鉄腕アトム作品でもあり、手塚らしいユーモアのある物語や演出が随所に見られる。本作では第1話の設定年代は2030年となっており、原作のアトム誕生の年である2003年、およびアニメ第1作の設定2013年のいずれからも変更されている。
声優陣は当時の慣習として放送局が変わる毎に声優を一新するのが定番だったが、手塚の希望でアトム役の清水マリとお茶の水博士役の勝田久のみ前作から続投した[23]。
タイトルロゴは、原作では『アトム大使』第4話(アトム初登場回)のタイトルロゴのイメージの名残として、「ト」の飛び出している画が波線状になっているものとされ、そのまま第1作でも使われていたが、本作では曲線部分を極力排除したデザインにリファインされた。本作以降、手塚自身の著作でもこちらのロゴが使われるようになり、講談社・手塚治虫漫画全集の内扉にもこれが使われている。後の『鉄腕アトム』シリーズのタイトルロゴはこの直線タイプから発展したものになる。
OPは当初樋口康雄に依頼したものの、デモテープを契約交渉していた海外のバイヤーに聞かせた所、「これのどこがアトムなんだ?」とかなりの不評で没になり、前作のOPを現代風にアレンジの上で使用し、本編中にも様々なアレンジで使用したが視聴者からは何故原曲をそのまま使わなかったのかという苦情が原作者の手塚や放送局によせられたという[24]。
日本テレビがプロ野球シーズン中に編成する『NTV水曜ナイター』[25]の影響で放送休止回数は多かったものの、当初から4クール・全52話制作ということで話が進められていたため、休止した分だけ放送期間が延びる形となった。
1981年末に放送の最終回では、手塚治虫本人がメッセージを述べる実写映像が冒頭に流された。この映像は手塚の依頼により、息子の手塚眞によって撮影された。ただし、当該回のエンディングには玉手久也が撮影担当としてクレジットされており、眞は演出担当となっている[26]。
説明のない登場人物については登場キャラクターを参照。
それぞれ原作で設定されたキャラで、第1作の同エピソードにも出ているが、特に巨大ロボットであるモンブラン・ブランドー・ヘラクレスに関してはデザイン変更がされている。
これら3曲を収めたEPレコードがフォーライフ・レコードから発売された。後にCDもリリースされた。
オープニングテーマになる予定だった曲「地球の歌」は、樋口康雄が企画したアルバム『ミュージック・フォー・アトム・エイジ』に収録されている。
話数 | 放送日 | サブタイトル | 脚本 | コンテ | 演出 | 作画監督 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1980年 10月1日 | アトム誕生 | 手塚治虫 | 手塚治虫 安濃高志 | 正延宏三 | |
2 | 10月8日 | アトム対アトラス | 手塚治虫 | 石黒昇 | はしもとなおと | |
3 | 10月15日 | ロボットサーカス | 杉江慧子 | 安濃高志 | ||
4 | 10月22日 | クラスメートを救え! | 山崎晴哉 | 山谷光和 | 出崎哲 | 清水恵蔵 |
5 | 10月29日 | アトム対アトラス・2 アトラス復活 | 荒木芳久 | 樋口雅一 | 安濃高志 | 西村緋禄司 |
6 | 11月5日 | ロボットランド | 高橋良輔 | 横山裕一郎 | はしもとなおと | 吉村昌輝 |
7 | 11月12日 | フランケンシュタイン | 荒木芳久 | 矢沢則夫 | 森田浩光 | |
8 | 11月19日 | 赤いネコ | 杉江慧子 | 永樹凡人 | 小笠原輔則 | 飯野皓 |
9 | 11月26日 | アトム対アトラス 3 砂漠のクリスタル | 手塚治虫 | 山谷光和 | 安濃高志 | 正延宏三 |
10 | 12月3日 | 白い惑星号 | 出崎哲 | 清水恵蔵 | ||
11 | 12月10日 | ロボット大統領 | 金子裕 | 樋口雅一 | 石田晋一 | 飯野皓 |
12 | 12月17日 | ダムダムの首 | 高橋良輔 | 森田浩光 | ||
13 | 12月24日 | 電光人間 | 高屋敷英夫 | |||
14 | 1981年 1月7日 | ウランはおてんば娘 | 金子裕 | 山谷光和 | はしもとなおと | 西村緋禄司 |
15 | 1月14日 | ロビオとロビエット | 永樹凡人 | 宮崎一哉 | 飯野皓 | |
16 | 1月21日 | 火星隊長 | 星山博之 | |||
17 | 1月28日 | スペースシャトルSOS | 松崎健一 | 石黒昇 | 正延宏三 | |
18 | 2月4日 | アトム対アトラス 4 恐怖のすい星 | 山崎晴哉 | 山谷光和 | 出崎哲 | 清水恵蔵 |
19 | 2月11日 | 悪魔の風船 | 五十嵐ひろみ | 永樹凡人 | 宮崎一哉 | 飯野皓 |
20 | 2月18日 | 十字架島のプーク | 山崎晴哉 | 内田薫 | 安濃高志 | 正延宏三 |
21 | 2月25日 | イワンのバカ | 高屋敷英夫 | 森田浩光 | ||
22 | 3月4日 | うそつきロボット | 高橋良輔 | 矢沢則夫 | 森田浩光 | |
23 | 3月11日 | アルソアから来た少女 | 星山博之 | 永樹凡人 | 宮崎一哉 | 飯野皓 |
24 | 3月18日 | 地上最大のロボット・前編 | 山崎晴哉 | 石黒昇 | はしもとなおと | 西村緋禄司 |
25 | 3月25日 | 地上最大のロボット・後編 | 安濃高志 | |||
26 | 4月1日 | アトム対アトラス 5 暴走族ガデム | 手塚治虫 | 出崎哲 | 清水恵蔵 | |
27 | 4月8日 | ブラックジャックの大作戦 | 手塚治虫 | 石黒昇 | 宮崎一哉 | 飯野皓 |
28 | 4月29日 | ちびロボサムの大冒険 | 金子裕 | 石黒昇 吉田浩 | 石黒昇 | 正延宏三 |
29 | 5月6日 | アトム対アトラス 6 氷の中の帝王 | 山崎晴哉 | 山谷光和 | 安濃高志 | 西村緋禄司 |
30 | 5月13日 | ウランちゃんとウランちゃん | 金子裕 | 石黒昇 | はしもとなおと | 正延宏三 |
31 | 6月3日 | 嵐の中を突っ走れ! | 高屋敷英夫 | 出崎哲 | 清水恵蔵 | |
32 | 6月17日 | クレオパトラの謎 | 高橋良輔 | 永樹凡人 | 宮崎一哉 | 飯野皓 |
33 | 7月1日 | アトム対アトラス 7 地下鉄大暴走 | 山崎晴哉 | 石黒昇 | 出崎哲 | 清水恵蔵 |
34 | 7月8日 | 子象プーラ | 城山昇 | 秋山勝仁 | 宇田川一彦 | |
35 | 7月15日 | ミツバチ島の秘密 | 金子裕 | 山谷光和 | 宮崎一哉 | 飯野皓 |
36 | 7月22日 | クラーケンの怪物 | 皿田明 | 石黒昇 | 安濃高志 | 正延宏三 |
37 | 8月5日 | ポチョムポチョム島のルミー | 城山昇 | 西村緋禄司 | はしもとなおと | |
38 | 8月19日 | アトム対アトラス 8 衛星破壊!プロトン砲 | 山崎晴哉 | 石黒昇 | 出崎哲 はしもとなおと | 清水恵蔵 |
39 | 9月2日 | 盗まれた太陽 | 高屋敷英夫 | 永樹凡人 | 宮崎一哉 | 飯野皓 |
40 | 9月16日 | ブラックルックス | 高橋良輔 | 石黒昇 | 吉村昌輝 | |
41 | 9月23日 | 魔神ガロン | 村野守美 石黒昇 | 出崎哲 はしもとなおと | 清水恵蔵 | |
42 | 10月14日 | 進め!ガラクタ三銃士 | 藤川桂介 | 西村緋禄司 | 安濃高志 | 正延宏三 |
43 | 10月21日 | アトム対アトラス 9 アトラスよ永遠に | 山崎晴哉 | 石黒昇 | 出崎哲 はしもとなおと | 清水恵蔵 |
44 | 10月28日 | 宇宙ヒョウ | 金子裕 | 山谷光和 | 宮崎一哉 | 飯野皓 |
45 | 11月4日 | ウランちゃんの神様 | 城山昇 | 石黒昇 | 吉村昌輝 | |
46 | 11月11日 | 宇宙空港R-45 | 手塚治虫 | 手塚治虫 石黒昇 | 正延宏三 | |
47 | 11月18日 | 飛行船 危機一髪! | 藤川桂介 | 永樹凡人 | 宮崎一哉 | 飯野皓 |
48 | 11月25日 | 人面岩 | 杉江慧子 | |||
49 | 12月2日 | ウランは殺し屋が好き | 城山昇 | 安濃高志 | 笠原達也 | 樋口善法 |
50 | 12月9日 | オーディンの大魔境 | 手塚治虫 山崎晴哉 | 西村緋禄司 | 出崎哲 はしもとなおと | 清水恵蔵 |
51 | 12月16日 | スフインクスの怒り | 手塚治虫 石黒昇 | 石黒昇 | 宮崎一哉 | 飯野皓 |
52 | 12月23日 | アトムの初恋 | 手塚治虫 | 石黒昇 | 正延宏三 |
熊本放送、宮崎放送と個別に出典が提示されているもの以外は1981年11月中旬 - 12月上旬時点のものを使用[37]。 系列は放送当時のもの。遅れネット局含む。
放送対象地域 | 放送局 | 放送日時 | 系列 | 備考 |
---|---|---|---|---|
関東広域圏 | 日本テレビ | 水曜 19:00 - 19:30 | 日本テレビ系列 | 製作局 |
北海道 | 札幌テレビ | |||
岩手県 | テレビ岩手[38] | |||
宮城県 | ミヤギテレビ[39] | |||
新潟県 | テレビ新潟 | サービス放送開始の1981年3月25日から[40] | ||
山梨県 | 山梨放送 | |||
静岡県 | 静岡第一テレビ | |||
中京広域圏 | 中京テレビ | |||
近畿広域圏 | 読売テレビ | |||
鳥取県・島根県 | 日本海テレビ | |||
広島県 | 広島テレビ | |||
香川県 | 西日本放送 | 当時は岡山県内中継局未設置 | ||
愛媛県 | 南海放送 | |||
高知県 | 高知放送 | |||
福岡県 | 福岡放送 | |||
青森県 | 青森放送 | 日本テレビ系列 テレビ朝日系列 |
||
山口県 | 山口放送 | |||
大分県 | テレビ大分 | フジテレビ系列 日本テレビ系列 テレビ朝日系列 |
||
福島県 | 福島中央テレビ | 木曜 17:00 - 17:30(第26話まで)[41] 水曜 19:00 - 19:30(第42話から)[42] |
日本テレビ系列 | 1981年11月から1982年5月までの再放送枠で全話放送[43]。1981年9月まではテレビ朝日系列とのクロスネット |
秋田県 | 秋田放送 | 木曜 17:30 - 18:00 | ||
富山県 | 北日本放送 | 木曜 17:00 - 17:30 → 水曜 17:00 - 17:30 |
1980年10月9日ネット開始。一旦中断を経て1982年6月16日まで放送[44]。 | |
福井県 | 福井放送 | 金曜 18:00 - 18:30[45] | 1980年10月17日より放送開始[46]するも1981年4月24日打ち切り[45] | |
徳島県 | 四国放送 | |||
山形県 | 山形放送 | 木曜 17:00 - 17:30 → 日曜 7:00 - 7:30 |
日本テレビ系列 テレビ朝日系列 |
|
新潟県 | 新潟総合テレビ | 木曜 17:20 - 17:48 | フジテレビ系列 日本テレビ系列 テレビ朝日系列 |
1981年3月まで |
鹿児島県 | 鹿児島テレビ | 月曜 17:45 - 18:15 | ||
長野県 | 信越放送 | 金曜 17:25 - 17:55 | TBS系列 | テレビ信州では放送せず[47]。 |
石川県 | 北陸放送 | 木曜 17:00 - 17:30[48] | 1981年2月5日[49]から1982年2月11日[50]まで放送。 | |
長崎県 | 長崎放送 | |||
熊本県 | 熊本放送 | 木曜 19:00 - 19:30 | 27話で打ち切り | |
宮崎県 | 宮崎放送 | 木曜 19:00 - 19:30 | ||
沖縄県 | 琉球放送 |
2019年7月26日からYouTubeの「手塚プロダクション公式チャンネル」で、本作の期間限定無料配信が行われていた。その後2020年4月7日から同年5月7日まで同チャンネルで全話が再配信、2021年4月1日から同年6月23日まで同チャンネルで4話まとめて配信、2023年4月8日・2024年10月17日から前回と同じ形式で配信されている。
2021年5月9日からは、YouTubeの「アニメログ」からも毎日1話ずつ配信されている。
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