『思い出のメロディー』(おもいでのメロディー)は、1969年から2019年までの51年間、毎年8月に放送していたNHKの大型公開音楽番組である。初年度からカラー放送[注 1]。
概要
本番組はNHKの主要な音楽番組特番のひとつで、「夏の紅白」[2][3]とも俗称された。
平年は、8月の第2ないし第3土曜日の19:30から概ね年度によりニュースによる中断を挟み、21-22時前までNHK総合[注 2]、ラジオ第1[注 3]と海外向けのNHKワールド・プレミアム[注 4]、NHKワールド・ラジオ日本の各チャンネルで同時放送していた。
総合テレビは字幕放送を実施している[注 5]。ステレオ放送開始は第12回(1980年)から実施していた。
番組開始当初は渋谷公会堂[注 6]を会場としたが、NHKホールが完成した第5回(1973年)以降は原則同所で開催していた[注 7]。
司会は1 - 3人の体制で、うち1人はNHKアナウンサーが起用されることが恒例であった。現職のNHKアナウンサーが一切起用されなかったケースは第25回(1993年)、第26回(1994年)の2回のみ[注 8]である。NHK関係者は本番組の司会選出基準について、「原則として同年のNHK番組に貢献していること」と語っている[4]。民放のアナウンサー出身者が司会に選出されたケースは、紅白では実例があるが、本番組では1人もいない。
各年、テーマに沿った昭和の名曲・懐メロを中心に、視聴者から寄せられたリクエストやエピソード[注 9]などで構成される。
元々は放送開始が1969年ということもあり、昭和一桁(1920年代後半)から30年代(1955年から1965年)までの流行歌がメインで取り上げられている[注 10]が、時代の流れによる視聴者の世代交代に合わせてアイドル歌謡曲やロック、平成の楽曲の割合が増えてきている[注 11]。
『NHK紅白歌合戦』では忌避される傾向にある任侠ものの演歌も、本番組では歌われることがある。1960年代から70年代前半にかけて、性的表現などを理由にNHKが規制していた楽曲が2000年代以降に本番組で歌われることがあった。
第6回(1974年)から第19回(1987年)までのオープニングでは、かつてラジオ第1で放送されていた歌謡番組『今週の明星』のテーマソングが歌われていた。
番組のラストでは、全出演者が登場して大合唱した。
2020年は東京オリンピックと開催時期が重複するために当初は放送を予定しなかったが、新型コロナウィルス感染症の影響でオリンピック開催が延期され、同年8月8日に代替番組として『ライブ・エール 〜今こそ音楽でエールを〜』が放送された[5]。翌年以降も同番組が放送されていることから、本番組は2019年をもって事実上終了し『ライブ・エール』に引き継がれた。
2001年以降は本番組の近畿地方版『わが心の大阪メロディー』が放送されている。
放送が開始される9年前の1960年11月26日に、午後1:00から午後2:00にかけての放送枠で同名の番組が放送されていた。出演者は藤山一郎や渡辺はま子、内海一郎らがいた。
放送リスト
主な出来事
- 第2回(1970年)
- 第4回(1972年)
- 本番組最高の36.7%の視聴率を記録。
- 第6回(1974年)
- 第10回(1978年)
- この年の7月25日に死去した古賀政男のコーナーを放送。
- 第13回(1981年)
- 昭和30年代のヒット曲を中心に放送。
- 第16回(1984年)
- 第17回(1985年)
- 現役を引退したばかりの近江俊郎(のち活動復帰)が「湯の町エレジー」を歌唱。また、「有楽町で逢いましょう」を歌唱したフランク永井は放送の2か月後、不慮の出来事(自殺未遂)により事実上引退、生前最後のテレビ出演(2008年10月27日死去)となった。
- 第19回(1987年)
- 第21回(1989年)
- 第25回(1993年)
- 第27回(1995年)
- 戦後50年特集として、1946年のヒット曲特集を放送。
- 第28回(1996年)
- 『ニッポン歌謡黄金時代』をテーマに昭和40年代の曲を中心に放送。
- 第30回(1998年)
- この年の6月10日に死去した吉田正を偲び、吉田メロディー特集を放送。
- 第32回(2000年)
- この年の5月30日に死去した井上大輔を偲び、ジャッキー吉川とブルー・コメッツが再結成。「ブルー・シャトウ」を歌唱。
- 第33回(2001年)
- 第34回(2002年)
- ヴィレッジ・シンガーズが再結成。「亜麻色の髪の乙女」を歌唱。ヤング101の歴代メンバー26名も再集結。途中で石野真子、柏原芳恵らによる「ムーンライト・カーニバル」(『レッツゴーヤング』OPテーマ)が披露された。
- 第35回(2003年)
- ザ・ゴールデン・カップスが再結成。「長い髪の少女」など3曲を歌唱。
- 第36回(2004年)
- 「スパーク3人娘」として人気だった園まり、中尾ミエ、伊東ゆかりが再結成。中尾と伊東で「ザ・ピーナッツメドレー」を歌唱。また「レッツヤン同窓会」として、『レッツゴーヤング』歴代司会者の鈴木ヒロミツ・平尾昌晃・太川陽介・榊原郁恵・石川ひとみが出演した。
- 第37回(2005年)
- C-C-Bが再結成。ロックテイストにアレンジした「Romanticが止まらない」を披露した。田原俊彦、南野陽子が初出演。
- 第38回(2006年)
- 第39回(2007年)
- 森田健作が出演し、代表曲で同年8月1日に死去した阿久悠が作詞の「さらば涙と言おう」を歌唱した。また他にも阿久作詞の曲ではあべ静江がにみずいろの手紙」を、岩崎宏美が「思秋期」をそれぞれ歌唱。また、同年3月27日に死去した植木等の追悼コーナーも設けられた。
- 第40回(2008年)
- 松坂慶子と番組の女性司会最多記録を保持する森光子が歌手として出演。交友の深かった美空ひばりの「東京キッド」をトリで歌唱(森は過去に司会を務めた回でも歌を披露している)。これが森自身生涯最後の本番組出演となった(2012年11月10日、92歳で死去)。
- 第41回(2009年)
- 「開港150年〜横浜の名曲特集」コーナーにて、いしだあゆみが13年ぶりにステージに立ち、自身の代表曲に「ブルー・ライト・ヨコハマ」を熱唱。また、『第1回NHK紅白歌合戦』再現コーナーが設けられ2006年末でプロ歌手を引退していた菅原都々子が3年ぶりに出演し、一夜限りの特別出演で第1回紅白歌唱曲『憧れの住む町』を披露。
- 第42回(2010年)
- いずみたくの生誕80周年「いずみたくメモリアル」コーナーを実施。熊倉一雄(『ゲゲゲの鬼太郎』アニメ版第1シリーズの主題歌歌手)と、連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』にヒロインとして出演中だった司会の松下奈緒が、『ゲゲゲ』つながりで共演した。
- 第43回(2011年)
- 河島英五の阪神・淡路大震災復興支援イベントの10年について『チャリティーコンサート"復興の詩"』について紹介し、河島アナム(河島の次女で歌手)と、長男の河島翔馬、を河島に楽曲提供された加藤登紀子が、「生きてりゃいいさ」を歌った。
- 第44回(2012年)
- 第46回(2014年)
- 西城秀樹が二度目の脳梗塞公表後初の出演を果たし、「情熱の嵐」、「YOUNG MAN (Y.M.C.A.)」の2曲を披露。しかし、今回以降4年後に死去するまでの間に出演は叶わず、生前最後の本番組出演となった。
- 第47回(2015年)
- 当時大相撲力士で元大関・若嶋津との結婚を機に1985年6月を以って芸能界を引退、放送当時は二所ノ関親方夫人(おかみ)として二所ノ関部屋(現・放駒部屋)を切り盛りしていた高田みづえが生出演。音楽番組への登場は30年ぶり(NHKホールの出演は1984末の『第35回NHK紅白歌合戦』以来31年ぶり)で『硝子坂』と「私はピアノ」の2曲を披露した[14]。
- 第49回(2017年)
- ゲストにはこの年の6月に引退した将棋棋士・九段の加藤一二三が登場[15]したほか、女性デュオのあみん(岡村孝子・加藤晴子)が約9年ぶりに一夜限りのテレビ復活出演を果たし「待つわ」を披露した[16]。第1回NHK紅白歌合戦出場歌手最後の存命者となっている菅原都々子が3年ぶりに出演し、「月がとっても青いから」を披露。菅原は放送翌日に90歳を迎えた。
- 第50回(2018年)
- この年の5月に逝去した西城秀樹を偲んで、オープニングでは4年前の第46回での歌唱映像を使用する形で、生前の西城と出演歌手全員で「情熱の嵐」を歌唱。追悼コーナーでは、司会の氷川きよしが「傷だらけのローラ」を歌唱し、野口五郎が「ブルースカイ ブルー」を西城の歌声音源とコラボレーションする形で歌唱した[17]。またかつて一世を風靡したアイドルデュオコンビ・Winkが2008年12月の『第50回日本レコード大賞』(TBS系)以来、9年8か月ぶりに一夜だけのテレビ復活を果たした[18]。90歳を迎えた菅原都々子が前回に引き続き出演し、「連絡船の唄」を披露。90代の出場歌手は当番組史上初。
- 第51回(2019年)
各局の夏の大型音楽番組
脚注
関連項目
外部リンク
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