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バスターミナル(英語: :bus terminal)とは、バス停留所のうち大規模なもので、複数のバス路線の発着点・結節点として設置されている施設である。
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バスターミナルの性格や形状は各国の交通事情により、また同一国内でも都市・地域により違いが大きい。国や都市により、あるいはバス会社により、近距離・市内バス(一般路線バス)と中長距離バス(高速バス)が、同じバスターミナルに乗り入れる場合と、それぞれ専用のバスターミナルが設置される場合がある。
中・長距離の移動で鉄道が中心の国では、近距離路線を結節させるため、鉄道駅付近または直結してバスターミナルを設置することがある。一方、中・長距離の移動でバス交通が中心の国や地域[注釈 1]では、都市にあるバスターミナルが中・長距離バス路線の発着場所として設けられ交通の拠点となっており、鉄道中心の国[注釈 2]における鉄道ターミナル駅と同じく「都市の玄関口」としての性格が強い。
バスターミナル内の各乗り場は、特定の路線に固定して割り当てられることもあれば、乗客への情報を提供するシステムを整備した上で、乗り場と路線を固定しないこともある。後者の方式は乗り場のプラットホームを少なくできるが、乗客は前もって乗り場を確認しておく必要が生じる。
バスターミナルの名称の由来は、英語の terminal という語が「終着点」を意味するため、バスの終着点・結節点という意味でこう呼ばれる。
イギリス英語では「coach station」、アメリカ英語では「bus terminal」あるいは「bus terminus」「bus station」などの表現が用いられる。アメリカの公営バス事業者は、地域バスの発着場に「transit center」という名称を与えることが多い。アメリカでは terminal の語が人生の終点を連想させるとして(ターミナルケアなど)、bus terminal という名称を用いない地域もある。
スペインでは「バスの駅」を意味するスペイン語「estación de autobuses(エスタシオン・デ・アウトブーセス)」と呼ぶ。ブラジルではポルトガル語で「Rodoviária(ホドビアリア)」と呼ぶ。インドでは「bus stand」と呼ばれることもある。
なお、日本のバスターミナルには「○○バスセンター」と名乗る施設が数多く存在するが、「バスセンター (bus center) 」は和製英語であり、英語圏では通じない。
日本の旧日本国有鉄道自動車路線(国鉄バス)の場合には、路線バス専用線ないしはそれに類する道路上にあるバスターミナルを「自動車駅」と称し、連絡運輸との兼ね合いで鉄道駅と同等に扱う場合もあることから「○○バスターミナル駅」と称したものも一部にある。国鉄分割民営化後も「駅」と称するJRバスターミナルの沿革を見ると、かつて鉄道駅または駅予定地であったものもみられる。
「bus station(バスステーション)」は、地域路線バスや都市間バスが乗客の乗降を扱うための施設で、バス停留所より大規模な施設であり、多くの場合、各路線の始発・終点や乗り継ぎ拠点として使用される。
世界で最大のバスステーションは、イスラエルのテルアビブにあるテルアビブ・セントラル・バスステーションで、1993年に開設された。敷地面積は4万平方メートル、全てのフロアの面積を合計すると23万平方メートルに及ぶ。ただしこのバスステーションは、住宅地の中にあるという立地条件から失敗とみなされていた。
ヨーロッパで最大の地下バスステーションは、2006年に開設された、フィンランドのヘルシンキにあるカンピセンター (Kamppi Center) で、これはバスターミナルを含む複合施設である。設計・建設には1億ユーロの費用と3年の期間を要した。2万5千平方メートルの広さを持つこのバスセンターは、フィンランドで最も利用者数の多いバスセンターとなっており、1日に700本程度のバスが発着し、およそ17万人の利用者を捌いている。
日本の自動車ターミナル法では、「旅客の乗降のため、バス事業用の自動車を同時に2両以上停留させることを目的とした施設であって、乗合バス事業者が自ら使用することを目的として設置したバスターミナルを専用バスターミナルといい、それ以外のものを一般バスターミナルという」と規定されている[1]。
日本にあるバスターミナルは、違いが非常に大きく、その設備に関しては一概では言えない。鉄道の駅や、空港・港・バスの車庫を起点にして路線バス網を形成している場合が多いため、これらの近くに設ける場合が近・中距離路線に多い。また、都市計画等により一地域で分散しているバス停を一箇所に整理した事例の他、バス会社が中心街や観光地に設置している事例もある。
基本的には鉄道中心の国ではあるが、高速道路網の発達と、精力的にバス事業を拡大・発展させてきたバス会社が幾つも存在することから、鉄道(鉄道駅)に取って代わるほどの利用客があったり、都市玄関口としての性格が強い中・長距離バスターミナルが存在する都市(熊本、福岡、広島、札幌、北海道の諸都市など)もある。また、本州でもバスが鉄道並みに交通の中心的な役割を果たす都市では概ね近・中距離バスが発達しているが、中・長距離利用にあわせて鉄道(駅)と結節させることが多いため、鉄道駅に設置され、独立した施設を持たない事例も少なくない(宇都宮、水戸、仙台など)。
例外的ではあるが、高速路線バスのバス停について、他の路線バスが発着し、かつ高速バスと路線バスが連携している場合、この停留所自体をこう呼ぶ場合がある。また、利便性を高めるために路線バス会社や地方公共団体などがこの近くに営業所や案内所を設けている場合が多い。
沖縄本島は第二次世界大戦後、長らくバスのみの地域であり、本州・九州などとは事情が異なる。那覇市には那覇バスターミナルが設置され、島内諸都市からの玄関口として、本州における鉄道駅のように機能してきた。那覇には現在沖縄都市モノレールが存在するが、同市内と浦添市の一部を通るのみなので、市外方面に関して基本的に変わっていない。
バスターミナルの形状としては、それ自体が建物になっているもの(熊本の熊本桜町バスターミナルや福岡の西鉄天神高速バスターミナル、広島の広島バスセンター、名古屋の名鉄バスセンター、北海道中央バス札幌ターミナル)や、単に広場状で旅客部分にのみ屋根がついているもの(鉄道駅バスターミナルに多い)などさまざまである。
仙台では、広場上で旅客部分にのみ屋根が付いているものを「バスプール」と称し、「バスターミナル」を称する停留所は旭ヶ丘バスターミナルなど一部に限られる。
また大規模なバスターミナルの場合、バース間の移動通路を兼ねた地下街を持つ場合も少なくない。
1949年12月6日、岡山県岡山市に「セントラル・バス・ステーション」(現在の「天満屋バスステーション」)が開業した[2][3][4][5][6]。次いで1950年代には、1951年2月1日、新潟県新潟市に「新潟交通バスステーションビル」(通称「バスビル」。後に移転して現在の万代シテイバスセンターとなる)が開業。この頃は百貨店などの商業施設がターミナルデパート[6]となるために、商業施設に隣接または一体化したバスターミナルが地方各所に見られ、1954年4月に大分トキハ1階[6][7][8]、1954年7月1日に鹿児島の山形屋バスセンター[6][9]、1957年7月29日には広島県広島市に広島そごうと一体化した「広島バスセンター」が開業した。
1959年4月15日には「自動車ターミナル法」が施行された。1959年2月1日現在では、全国で822のバスターミナルがあり[10]、このうち一社専用のものが721あった[10]。1952年2月1日現在で現存した主要都心バスターミナルとして、以下の9か所が挙げられている[11][10]。
2006年4月30日現在、日本国内の専用バスターミナルは175箇所、一般バスターミナルは24箇所あり、そのうち11以上のバースを持つ大規模なものは専用が9箇所、一般が10箇所であった[12]。
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バスの駅(バスのえき)とは、鉄道駅に代わる地域の交通の結節点として、高速バスを中心とした交通ネットワークの結節点としての役目を果たすべく、建設省が1999年に整備の方針を打ち出し、国土交通省が整備を進めているバスターミナル施設である。
高速バスのバスストップを中心として商業施設や公共施設を周辺に統合することにより、地域の新しい中心にするというもので、パークアンドライドの機能を持たせた上で、市街地から外れた場所に施設を設置することにより市街地への自家用車の流入を減少させ、市街地道路の混雑緩和を図る目的も含まれている。
設備の概要としては、概ねバス3台分以上の乗降スペースを設置し、駐車場・駐輪場・公衆便所・案内標識などを国土交通省が整備し、待合室・公共施設・商業施設を地方自治体や民間企業が整備するというものである。計画では日本全国で50箇所程度を想定し、2003年には徳島県で徳島とくとくターミナル、2006年には熊本県で山鹿バスの駅が整備された。
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バスタプロジェクトとは、道路管理者が主体となり、鉄道駅・バスターミナル・タクシー乗り場などを集約し、官民が連携して交通結節点を整備するプロジェクトである[13]。国土交通省が「バスタプロジェクト推進検討会[14]」で「交通拠点の機能強化に関する計画ガイドライン」を策定し、バスタ新宿をモデルに全国展開を開始した[13][15]。
立体道路制度の活用、MaaS・スマートシティとの連携、他の交通拠点との連携、新たなモビリティとの連携などの未来志向の取組や、防災拠点・観光拠点としての機能強化を行った都市再開発を進めるとしている[13]。
このための法整備として、2020年度(令和2年度)の道路法改正で、道路の付属物として設けるバスターミナルである特定車両停留施設の規定が設けられた。これは特定の種類の事業用自動車(すなわちバスターミナルにおいてはバス)だけを駐停車することのできる施設の規定を追加するものである。現状、国土交通省が推進する事業であり、事業主体は道路管理者となるため、以下のプロジェクトは全て直轄国道の一部となっている。
交通拠点 | 名称 | 事業名 | 事業主体 | 道路 | 事業段階 | 進捗[13] |
---|---|---|---|---|---|---|
新宿駅 | バスタ新宿 | 新宿駅南口地区基盤整備事業 | 関東地方整備局東京国道事務所[16] | 国道20号 | 供用中 | 2016年(平成28年)4月に開業した。 |
品川駅 | 未定 | 品川駅西口基盤整備事業 | 関東地方整備局東京国道事務所[17] | 国道15号 | 事業中 | 2019年(平成31年)4月に事業化された。 |
新潟駅 | 未定 | 新潟駅交通ターミナル整備事業 | 北陸地方整備局新潟国道事務所[18] | 国道7号 | 事業中 | 2020年(令和2年)4月に事業化された。 |
三ノ宮駅・三宮駅 | 未定 | 神戸三宮駅交通ターミナル整備事業 | 近畿地方整備局兵庫国道事務所[19] | 国道2号 | 事業中 | 2020年4月に事業化された。 |
追浜駅 | 未定 | 追浜駅交通ターミナル整備事業 | 関東地方整備局横浜国道事務所[20] | 国道16号 | 事業中 | 2021年(令和3年)4月に事業化された。 |
近鉄四日市駅 | 未定 | 近鉄四日市駅バスターミナル整備事業 | 中部地方整備局三重河川国道事務所[21] | 国道1号 | 事業中 | 2021年4月に事業化された。 |
呉駅 | 未定 | 呉駅交通ターミナル整備事業 | 中国地方整備局広島国道事務所[22] | 国道31号 | 事業中 | 2021年4月に事業化された。 |
札幌駅 | 未定 | 札幌駅交通ターミナル整備事業 | 北海道開発局札幌開発建設部[23] | 国道5号 | 事業中 | 2023年(令和5年)3月に事業化された。 |
大宮駅 | 未定[注釈 3] | 大宮駅西口交通結節点事業 | 関東地方整備局大宮国道事務所[24] | 計画中 | 2021年4月に事業計画の検討が始まった。 | |
松山駅 | 未定 | 未定 | 四国地方整備局松山河川国道事務所[25] | 構想中 | 2022年(令和4年)5月に事業化の検討が始まった。 | |
長崎駅 | 未定 | 未定 | 九州地方整備局長崎河川国道事務所[26] | 構想中 | 2024年 (令和6年) 7月に事業化の検討が始まった。 | |
名護漁港 | 未定 | 未定 | 内閣府沖縄総合事務局北部国道事務所 [27] | 構想中 | 2024年 (令和6年) 7月に事業化の検討が始まった。沖縄鉄軌道の終着駅の案がある[28]。 |
ガイドラインにある先行事例としてはバスタ新宿の他、
が挙げられている。
2023年(令和5年)4月時点で、下記の交通拠点も「バスタプロジェクトマップ」に載っており、必要性の調査が行われている[29][30]。
以下、日本における代表的なバスターミナルを列挙する。
自動車ターミナル法で規定する一般バスターミナル[31][32] については、☆印を付している。
韓国は、鉄道網が発達している一方で、長距離バス網も発達しており、ソウルや釜山など大都市には、長距離バス(高速バス)の拠点となるバスターミナルが幾つも設置されている。
台湾も、韓国と同様に高速バス網が発達しており、バス事業者同士や鉄道(台湾鉄路管理局)との競争が激しい。近年では高速鉄道の開通により、さらに競争が激化している。
公路客運(市外バス)・国道客運(高速バス)用のターミナルは轉運站(転運站)、轉運中心站(転運中心站)、客運站(客運站)、總站(総站)と呼ばれる。
台湾のその他の都市では、各バス会社が独自にバスターミナルを設置している。近年では、駅周辺の区画整理事業とともにバスターミナルを建設し、そこに集約する傾向にある。
タイでは鉄道網よりもバス網が広く発達している。
ベトナムでは鉄道網よりもバス網が広く発達している。ベトナム語でバスターミナルのことを「Bến Xe(ベン・セー)」と言う。
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