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日本の小説家・劇作家・俳優 ウィキペディアから
(つつい やすたか、1934年〈昭和9年〉9月24日 -)は、日本の小説家、劇作家、俳優。ホリプロ所属。身長166cm[注釈 1]。大阪府大阪市出身、兵庫県神戸市垂水区在住。日本芸術院会員。
大阪市に生まれた。天王寺動物園長だった父の影響を受け、幼い頃から博物的な世界に憧れを持つ。同志社大学に入学し、美学・美術史を専攻。
1965年に東京に転居し、本格的な作家活動を展開、第一短編集『東海道戦争』(1965年)を刊行した。同年、『時をかける少女』『48億の妄想』では、現実と非現実をつなぐ幻想のリアリズムによる、無気味なナンセンスSFのジャンルを開拓。『ベトナム観光会社』(1967年)と『アフリカの爆弾』(1968年)で直木賞候補となる。
1972年に神戸へ転居し、『虚人たち』(1981年)や『虚航船団』(1984年)、『文学部唯野教授』(1990年)など、多数の作品を発表。また、メディアの言葉の自己規制に抗して一時的に断筆を宣言、話題となった。
小松左京・星新一と並んで「SF御三家」とも称される[1]。パロディやスラップスティックな笑いを得意とし、初期にはナンセンス文学なSF作品を多数発表。1970年代よりメタフィクションの手法を用いた前衛的な作品が増え、エンターテインメントや純文学といった境界を越える実験作を多数発表している。
戦国時代の武将筒井順慶と同姓であり、その子孫であるとの設定で小説「筒井順慶」を書いている。先祖は筒井順慶家の足軽だったらしい、と筒井は述べている[2]。父は草分け期の日本の動物生態学者で、大阪市立自然史博物館の初代館長筒井嘉隆。実弟の筒井之隆は安藤百福発明記念館 横浜(愛称:カップヌードルミュージアム 横浜)の館長。息子は画家筒井伸輔。 孫がいる[3][4]。
1934年、父・筒井嘉隆と母・八重の長男として、父方の実家である大阪府大阪市北堀江[注釈 2]に出生。生家は住吉区山坂町(現:東住吉区山坂)。筒井は初期に自筆年譜を書き、船場生まれとしていたが、これは複数の勘違いが重なったこと[注釈 3]によるもので、その後修正されている。後に弟が3人(正隆、俊隆、之隆)生まれ、男ばかりの兄弟で育つ。
1941年、南田辺国民学校に入学。幼少期から漫画と映画に没頭し、小学生時代は『のらくろ』、エノケンに熱中。自分でも漫画を描いて他の子供に売りつけるなどしていた。また父が蔵書家であったことから読書好きとなり、小学生の頃は江戸川乱歩を愛読した。1944年、吹田市千里山に学童疎開し、千里第二国民学校に転校。地元の農家の子供から苛烈ないじめを受ける。終戦後の1946年、息子の成績不振を心配した父の計らいで大阪市立中大江小学校に転校。まもなく実施された知能検査で市内トップのIQ187であることが判明し、終戦後、当時大阪市によって設置されていた特別教室[7](政府設置の特別科学学級とは異なる)に在籍した。
1947年、大阪市立東第一中学校(現在は統合で大阪市立東中学校)に入学。この頃から不良少年となり、授業をさぼって映画館に通い詰める。父親の金をくすねたり、父親の蔵書や母親の着物を勝手に持ち出して古書店や質屋に売り映画代を捻出していた[注釈 4]。その一方で手塚治虫に熱中し、赤塚不二夫や藤子不二雄などとともに『漫画少年』誌の投稿欄の常連でもあった。1948年、児童劇団「子熊座」に入団、演劇への興味が芽生える。
1950年、大阪府立春日丘高等学校に入学。演劇部の部長を務めるが学業は不振であった。春日丘高校はもともと女学校であったため女生徒の数が多く、筒井はここで女生徒からいじめを受けて女性への恐怖心を植え付けられたとしている[8]。また、自宅の蔵書だったアルトゥル・ショーペンハウエルの『随想録』も愛読していたという[9]。この頃マルクス兄弟の映画に傾倒。受験勉強への反発から新潮社版世界文学全集を読破し、サルトルやトーマス・マンの作品に影響を受ける。
1952年2月、関西芸術アカデミー研究科に研究生として入学。同年4月、同志社大学文学部文化学科心理学専攻(現在は心理学部)[注釈 5]に入学し、同志社小劇場に所属する。この頃カフカ、アルツィバーシェフ、ヘミングウェイなどを愛読し影響を受けた。また潜在意識について興味を持ち、吹田市の実家から京都市までの電車での通学時間を利用して、日本教文社版のフロイト全集を読破。その後美学および芸術学専攻(現在は美学芸術学科)に転じシュルレアリスムに興味を持つ。
1954年、関西芸術アカデミーを卒業して青年劇団「青猫座」に入団。初舞台は飯沢匡の『北京の幽霊』。同年日活のニューフェイスに応募するも、面接のみの二次試験で落選している。しかし「青猫座」での演技は高評価を受け、1955年、大阪毎日会館で『二十日鼠と人間』の主人公ジョージ・ミルトンを演じた際には、「東の仲代達矢、西の筒井康隆」と新聞に報じられた。1957年、大学を卒業。卒論は「心的自動法を主とするシュール・リアリズムにおける創作心理の精神分析的批判」。
同1957年、『シナリオ新人』創刊号に、「会長夫人萬蔵」を発表する[10]。卒業後、展示装飾などを手がける乃村工藝社に入社し営業部に勤務。サラリーマン劇団「明日」に入団し演劇活動を継続する。
1959年12月に創刊された雑誌『SFマガジン』を読み衝撃を受け、1960年6月、ボーナスをつぎ込んでSF同人誌『NULL』を創刊。父と三人の弟が同人であり、康隆、正隆、俊隆がSF短編を、父嘉隆が家族の紹介文を、四男の之隆がカットを担当、活動初期は「澱口襄」[注釈 6]など複数のペンネームで執筆。同人誌を出したのは当時SF小説を受け入れられるような新人賞がなかったためであるが[11]、うまくマスコミに取り上げられ、「筒井一家」紹介記事がたびたび新聞に掲載、また毎日放送のテレビ番組に家族総出で出演したりもしている。さらに『NULL』創刊号は江戸川乱歩の目に留まり、弟の作品や父による紹介文とともに、短編「お助け」が乱歩主催の雑誌『宝石』1960年8月号に転載。これが実質的なデビュー作となった。以降注文を受けてショート・ショートを各誌に発表しながら『NULL』にナンセンスなSF短編を発表していく。
1961年、4年間務めた乃村工藝社を退社、同志社大美学および芸術学専攻時代の先輩の後を継ぐ形で大阪市北区にデザイン事務所「ヌル・スタジオ」を立ち上げる。事務所の向かいの煉瓦会社で働いていた眉村卓と知り合い、後に小松左京らも加わり、「ヌル・スタジオ」はSF作家、SFファンのたまり場となっていった。また、雑誌『NULL』も筒井家以外のSFファンにも門戸を開き、小松左京、眉村卓、平井和正らのプロデビューしている作家らも参加。創刊翌年の1961年には、高校2年生の堀晃も参加した(『NULL』はのち、筒井が主宰した第三回日本SF大会「DAICON」(1964年)のレポートを兼ねた11号で終刊した)。
1962年、『S-Fマガジン』のハヤカワ・SFコンテストで「無機世界へ」(後の「幻想の未来」の原形)が選外佳作となる。入選三席には小松左京、半村良がいた。翌年、同誌増刊号に「ブルドッグ」を発表し初登場[注釈 7]。1964年、第3回日本SF大会・大阪大会(DAICON)を主催、前年に創立されていた「日本SF作家クラブ」に参加し、SF作家たちとの交流を深める。1965年、前年に脚本スタッフとして参加していたテレビアニメ『スーパージェッター』の商品化権料を多額に得て、作家専業のめどが立つ。
同1965年、小松左京夫妻の仲人で光子夫人と見合い結婚。直後に東京へ行き専業作家となる。同年10月、初作品集『東海道戦争』出版。しかし、しばらくは生活が苦しく、1967年頃、心配した小林信彦より『小説現代』などの中間小説誌を紹介され、以後中間小説誌での発表が増えていった。
なお、1966年2月から、平井和正、豊田有恒、伊藤典夫、大伴昌司と共同で[13]、SFプロ作家の評論を掲載する同人誌『SF新聞』を刊行したが、数号で休刊となった[14]。
筒井はそれまでのナンセンス、ブラックユーモアの作風に加え、1970年代から様々な文体を用いた実験的な作品を発表していき、次第に熱狂的なファンを獲得していった。初期のよく知られている作品には、PTAによる悪書追放運動を批判した『くたばれPTA』(1966年)、社会風刺からナンセンスな笑いを引き出した『ベトナム観光公社』(1967年)、痴漢冤罪の恐怖を描いた『懲戒の部屋』(1968年)、SF長編としての総決算的作品『脱走と追跡のサンバ』、高度経済成長期に勃興したウーマンリブ運動やフェミニズムを揶揄した『女権国家の繁栄と崩壊』(ともに1970年)、超能力者・火田七瀬を通して家族の裏側を書く『家族八景』、俗物的な人間を徹底的に風刺した『俗物図鑑』(ともに1972年)、小松左京『日本沈没』のパロディ「日本以外全部沈没」(1974年)など。1970年の第1回星雲賞を長編部門、短編部門で独占してから計8度同賞を受賞した。また1968年から直木賞に3度候補として挙げられたが(1967年『ベトナム観光公社』、1968年『アフリカの爆弾』、1972年『家族八景』)落選。筒井は後にこの経験から、作家志願者が文学賞選考委員を次々に殺していく(単行本の表紙には「張め。殺す。」「この源」「やいやい川〜郎め。死ね。」などの記述が断片的に見られる)スラップスティック作品『大いなる助走』(1979年)を執筆している。
1970年の『脱走と追跡のサンバ』の発表を境に自身の作品からは徐々に純SF的な作品が減っていきながらも、1971年にはジュニア向けながら「SF入門の定番」として長年知られた『SF教室』を編集・執筆。また、1975年から1976年にかけては、各年度のベスト短編を集めたアンソロジー『日本SFベスト集成』シリーズを編集した。
1972年4月には東京から、妻の実家に近い神戸市垂水区に転居。筒井は両親と不仲であり、妻の親族たちと盛んに交際した。
1973年8月には、SFファングループ「ネオ・ヌル」を山本義弘、小笠原成彦、岡本俊弥、大野万紀、水鏡子らと結成(実際のところは、1975年の日本SF大会「SHINCON」の開催の考えが先行しており、その母体となるためSFファングループを結成したのであった[15])。1974年の1月に『NULL』復刊第1号が発行。以降、この雑誌は、スポンサーが筒井、実質編集長を山本義弘[16](のち岡本俊弥)として刊行されることとなる。第2期「NULL」の特色は、「会員から応募されたショート・ショートすべてに、筒井が的確な『寸評』を書いた」ことにあった[注釈 8]。また、筒井が当時編集していた年刊傑作選『日本SFベスト集成』に、筒井は「NULL」掲載作から作品を選んでいる。
この「ネオ・ヌル」グループをスタッフとして、筒井は大会名誉委員長として1975年8月に、日本SF大会「SHINCON」を神戸で開催。この大会のテーマは後に有名になる「SFの浸透と拡散」であり、山下洋輔によるピアノ演奏、舞台『スタア』(劇団欅)の上演、桂米朝による落語「地獄八景亡者戯」など、企画の大半は筒井の人脈によるものであった。なお、「ネオ・ヌル」出身の作家には、夢枕獏、山本弘、牧野修(亜羅叉の沙名義)、西秋生、高井信、水見稜(井沢昭夫名義)、児島冬樹、林巧らがいる。また、すでに「SFマガジン」でデビューしていたかんべむさしや、第1期「NULL」に参加していた堀晃も「ネオ・ヌル」には参加していた。「NULL」は1977年4月発行の号で終刊。
「腹立半分日記」を連載していた雑誌『面白半分』の編集長を、1977年7月号から1978年6月号まで、一年間つとめた。
また、1980年には日本SF作家クラブの事務局長として、徳間書店を後援とした日本SF大賞の創設に尽力。
一方で、1971年より純文学雑誌『海』に作品の掲載をはじめ、純文学の分野にも進出。また同誌の海外作家特集を愛読し、ガルシア・マルケス、バルガス・リョサなど中南米の作家への興味を持った。1978年には大江健三郎の紹介から『海』編集長塙嘉彦の訪問を受け、中南米の文学について教示を受けるなどして大きな影響を受けた。同年、登場人物が自身を虚構内の存在だと意識しているという設定を持つ『虚人たち』で泉鏡花文学賞を受賞。これを皮切りに、擬人化した文房具が乗り込む宇宙船団の混乱した群像・鼬の惑星の歴史・双方の戦乱とその末路を描き「純文学作品として」刊行した『虚航船団』(1984年)、夢と蓋然性をモチーフに独自の文学空間を切り開いた『夢の木坂分岐点』(1987年、谷崎潤一郎賞)、使用できる文字が1章ごとに1つずつ減っていくウリポ的な『残像に口紅を』(1989年)など、メタフィクションの技法を用いた言語実験的な作品を多数執筆。なお、『残像に口紅を』の執筆のためにワープロを導入し[17]、これ以降の作品はコンピュータを使用して書かれている。
1990年代にも、文芸批評と大学機構をシニカルに下敷きにした学問小説『文学部唯野教授』、パソコン通信を使って読者の意見をインタラクティヴに取り入れながら、十八番の虚実錯綜の手法を使って連載された『朝のガスパール』(1992年日本SF大賞)など話題作を発表した。『残像に口紅を』『文学部唯野教授』2作連載時にはストレスで胃穿孔を起こし入院、入院中にハイデガーを読んで影響を受け、以後死や別れをモチーフにした作品も増えていった。
初期に書かれた近未来の管理社会を皮肉るショートショートSF『無人警察』(『科学朝日』1965年6月号所収。のち角川文庫2016年新版『にぎやかな未来』収録)が、1993年(平成5年)に角川書店発行の高校国語の教科書に収録されることになった際、作中のてんかんの記述(脳波測定器を内蔵した巡査ロボットが運転手を取り締まる際、主人公が「てんかん持ちの人が異常な脳波を出していた場合もチェックされるらしいが、おれはてんかん持ちでないしなあ」と独白する)がてんかんをもつ人々への差別的な表現であるとして、日本てんかん協会から抗議を受ける(筒井個人と団体間で数度交渉を行い一時決裂したのち、和解する。後述)。団体の抗議自体にではなく、ことなかれで言い換えや削除を行おうとする出版業界の現状や、安易な批判をする、あるいは真摯な擁護を見せずにただ騒ぎに便乗するだけの同業者などに業を煮やした筒井は、1993年9月、月刊誌『噂の眞相』に連載していた日記「笑犬樓よりの眺望」上で「私、ぷっつんしちゃいました」と断筆宣言に至った[18]。
協会からの抗議が報じられた際、筒井の自宅には嫌がらせの電話や手紙が殺到したという[19]。筒井はのちに内田春菊との対談で「いままで、いろんないやなことがあって、自主規制の問題なんかでも担当者にいやな思いをさせたけど、いちばんいやだったのは僕だったし、家族にまではそれは及ばなかった。でも、今度の場合は、家族や親戚にまで波及した」[20]「今回は家族や親戚を守るためなんです」[20]と語っている。またこの頃、筒井の母が急性心筋梗塞で死去しており、のちの瀬戸内寂聴との対談では「(騒動に関する心労が)亡くなったのにもいささか関係があったんじゃないかと思いますけれども」[21]とも述べている。
そして、「断筆宣言以前から、一方的に新聞にてんかん協会の抗議文が載りましたんで、文芸誌とかミニコミ誌とか読まない近所の人たちの中には、私の家族を犯罪者の家族を見るような目で見る人もいた」[21] と、マスコミが抗議の声におもねって筒井側の言い分をまったく取り上げないことに憤った[22]。
断筆宣言は業界内でも賛否両論を起こした。友人である大江健三郎(息子の大江光は癲癇の症状を持っている)からは、読売新聞紙上で「社会に言葉の制限があるのならば、新しい表現を作り、使っていくのが作家ではないか」との批判を受けている。また大江は、自らを炭坑内の有毒ガスにいち早く反応して危険を知らせるカナリアになぞらえた筒井を「太ったカナリア」と揶揄している[23][24]。この他、吉本隆明[25]、金井美恵子[25]、浅田彰[26]、絓秀実[25]、柄谷行人[25]、渡部直己[25]、村上龍[27]、三田誠広[27]、島田雅彦[27]、田中康夫[27]、志茂田景樹[27]、中野翠[27]などから批判を受けたため、筒井は「断筆して以後、『文壇』というものがある、とよくわかった。去って行く者に追い打ちをかけたり、つばを吐きかけたり、反感がすごい」[28]「ぼくを中傷することによって自分が浮上することだけを考えている。今までぼくを認めるようなこと言っていたやつまでですよ」[29]と慨嘆した。特に絓秀実は『文学部唯野教授』の中にエイズ患者への差別描写があると部落解放同盟に注進し、筒井への糾弾を促した(ただし糾弾には至っていない)。一方、筒井を擁護した側には、曾野綾子、瀬戸内寂聴、安岡章太郎、柳瀬尚紀、平井和正、マッド・アマノ、小林よしのり、石堂淑朗、井上ひさし、内田春菊、柘植光彦、清水良典、井沢元彦、夢枕獏、大岡玲たちがいた[27]。しかし「筒井の尻馬に乗って表現の自由をうんぬんしている作家たち」という岡庭昇や、みなみあめん坊(部落解放同盟大阪連合会池田支部代表の南健司)の発言が出てきたため、小林よしのり以外はみな沈黙してしまったという[27]。
同年10月、断筆に至る経緯を記した『断筆宣言への軌跡』を刊行。同年10月14日にはテレビ朝日「朝まで生テレビ!」特集「激論!表現の自由と差別」にゲストパネラーとして出演し、『無人警察』問題について自らの立場を主張すると共に、かつて『週刊文春』1985年5月9日号のコラム「ぴーぷる欄」における「"士農工商SF屋"というカーストがあるくらいで、SF作家が晴れの舞台を踏むことはまだ稀ですからね」[30][31]との発言をめぐり部落解放同盟から糾弾されかけたことを明らかにした[注釈 9]。これは日本文壇におけるSF作家への差別を自虐的に語った言い回しだが、そもそも「士農工商穢多非人」という熟語は知らなかったので部落を揶揄する意図はなかった、以前「士農工商提灯屋」という表現に接したことがあり、洒落た表現なのでいつか使ってみようと思っていたと、この番組で筒井は小森龍邦に釈明している。
1994年(平成6年)4月1日、中野サンプラザにて山下洋輔らのジャズ演奏からなる「筒井康隆断筆祭」を開催。自身も演奏者として参加した。
1994年(平成6年)8月30日、岡山で開かれた部落解放西日本夏期講座(主催・部落解放研究所)のシンポジウム「差別問題と『表現の自由』」に基調講演者として出席。小林健治によると「これまで、多くの作家がその著作のなかで差別表現を指摘され、抗議を受けたが、抗議された作家が、みずから被差別運動団体の集会に出席して自分の意見をのべるというのは、初めての出来事だった」という[32]。シンポジウムの冒頭の自己紹介で筒井は「差別者の筒井です」と言い放ち、2000人の出席者から万雷の拍手を受けたとされる[32]。
1994年11月7日、日本てんかん協会との間で書簡の往復による「合意」にこぎつけ、記者会見で内容を発表[33]。内容の骨子は
筒井氏が、角川書店に対し『無人警察』を次の版の教科書から取り除くよう申し入れる代わりに、
- 将来の作品で問題があれば、協会は物理的な圧力を含まない公開の言論活動で「批判」をする。
- その場合、要求は削除や書き直しでなく「新たな表現による弁明」とし、結論は筒井氏の判断にまかせる。
- 以上のことは筒井氏だけでなく、すべての表現者に適用される。
というものであった[33]。「差別表現」に対する従来の対処は、被差別者側が気の済むまで糾弾を続け、差別者とされた側がひたすら謝罪し要求を受け入れるという硬直したやり方しかなかったところ、筒井と日本てんかん協会が双方の見解の相違を残しつつ合意と妥協に知恵をしぼった点は高く評価されたが、旧来の部落解放同盟的な糾弾路線を支持する人々からは反発を買った[33]。日本てんかん協会との和解について、朝日新聞社社会部の本田雅和や作家の塩見鮮一郎から『朝日新聞』紙上で激しく糾弾された筒井は、「どんな作品書いたのか誰も知らないような塩見鮮一郎なんて作家」「(日本てんかん協会との間の)往復書簡ろくに読まないでコメントしてる。解放同盟やてんかん協会が『よし』としてることにまで反対して、自社の自主規制を正当化しようとして、被差別団体以上の激しさでぼくを糾弾してくる」[29]と批判している。
断筆中の1995年(平成7年)に阪神・淡路大震災で神戸市垂水区の自宅が被災する事態に見舞われる[注釈 10]。断筆中は演劇活動に力を入れ、またウェブサイトを開設し未発表作品の公開などを行なった。
1995年11月から新潮社が断筆解除に向けて筒井にアプローチを開始[33]。1996年12月16日、新潮社、文藝春秋社、角川書店と下記のような「覚書」を交わし、1996年12月19日、3年3ヶ月ぶりに断筆を解除すると発表(これと同じ覚書を後に中央公論社や噂の真相とも交わしている)[33]。
- 出版社は従前どおり筒井氏の意に反した用語の改変は行わない。
- 作品の用語に関し抗議があった場合、これに対処する権利と責任は著述者(筒井氏)にあり、出版社にも責任がある。したがって、出版社が用語に関し抗議を受けた場合、著述者と協議し、その意志を充分尊重して対処する。
- 筒井氏が抗議に対処する上で、文書の往復や直接討論が必要になった場合には、出版社が責任をもって仲介し、その内容を発表する。
その後、1997年に『邪眼鳥』で小説家復帰を果たした。執筆再開後はこれまでの作風に加えて、『わたしのグランパ』(1998年、読売文学賞)や『愛のひだりがわ』など、『時をかける少女』以来のジュブナイル小説を発表。還暦を過ぎたこともあり、『敵』『銀齢の果て』といった老いをテーマにした作品も発表している。
断筆解除後はトレードマークであった眼鏡やサングラスをかけるのを止め、口ひげを蓄えている。さらに2000年代に入ってからは公の場では和服を着ることが多くなり、古典的な文士然とした身なりがトレードマークとなった。
東浩紀との交流からライトノベルに興味を持ち、2008年(平成20年)『ファウスト』にてライトノベル『ビアンカ・オーバースタディ』を掲載、宗田理に次ぐ高齢のライトノベル執筆者となった。
断筆解除後も、筒井は各新聞社との間で覚書を取り交わせずにいたが、2009年(平成21年)3月、以前『朝のガスパール』を連載していた朝日新聞社と覚書を取り交わし、同月30日より同新聞読書欄にてエッセイ『漂流―本から本へ』が連載(日曜日のみ)された[34]。
2012年(平成24年)7月13日から2013年(平成25年)3月13日まで、朝日新聞に小説「聖痕」が連載された。
2013年、他のベテラン作家らとともに、日本SF作家クラブの名誉会員になった[35]。
2020年2月、息子筒井伸輔に先立たれた。
喫煙者(銘柄はヴォーグなどを愛煙)であることから、近年の「禁煙ファシズム」を批判し、喫煙者団体「Go smoking[リンク切れ]」に参加している。1987年には『健康ファシズム(当時の呼び名)』を揶揄する短編SF小説『最後の喫煙者』を執筆し、1995年に「世にも奇妙な物語」でドラマ化された際には、台詞ありのカメオ出演をしている。2004年(平成16年)には泉麻人、ダンカンほかが寄稿した本『喫煙者のユーウツ - 煙草をめぐる冒言』を共著として刊行している。2011年には昨今の嫌煙運動について反発するため、すぎやまこういちや西部邁らと共に「喫煙文化研究会」を発足した。
エッセイなどにおける筆鋒は鋭く、批判の際には相手の知性や品性を端的に攻撃し、愚者として印象づけているため、敵も多い[要出典]。この戦闘性は小説にも及び、2007年に発表した『巨船ベラス・レトラス』でも、実名で海賊行為を糾弾された出版社以上に、誰にでもそれと分かるような大手情報企業が手痛い描かれ方をされている。さらに、かつて『堕地獄仏法』で公明党を擬した政党が支配する恐怖の未来を描き、創価学会の猛烈な攻撃を受けるや、『末世法華経』で応酬するという騒ぎを起こした。しかし、井上ひさし、大江健三郎といった政治的発言の多い友人を持ちながら、自らは政治と距離を置いている。この立場を戯画的に描いた『旗色不鮮明』などでも明らかだが、これは意識した上でのことである。ただし1982年の反核文学者声明に名を連ねたこともある。この際に揶揄的な批判に対しては反駁を加えている。
東京での活動が多くなったことから、神戸市垂水区の他に(以前の東京居住時と同じ)原宿にも自宅を構えている。
元衆議院議員筒井信隆、俳優の筒井道隆とは名前が似ているが、縁戚関係はない。
1981年8月9日、東京日比谷野外音楽堂にて、交友のあった山下洋輔らとともに、クラリネット奏者として『ジャズ大名セッション ザ・ウチアゲ コンサート』に出演。このとき観客に混じっていた、アート・プロデュサーの鶴本正三(雑誌「スターログ」発行人でもあった)に原宿ラフォーレでのイベントを依頼され、これをきっかけに劇団「筒井康隆大一座」を立ち上げる。翌年3月に自作『ジーザス・クライスト・トリックスター』を上演、筒井自身が主役を演じ、14日間の全日程すべて満席となった。翌年、名古屋、京都、神戸、大阪を巡業、以降も「大一座」は筒井の作品『スイートホームズ探偵』『人間狩り』などを上演し、1989年(平成元年)まで活動が続いた。
1993年(平成5年)の断筆宣言以降は、執筆による収入が無くなることもあって俳優業に力を入れ、久世光彦演出の単発ドラマやCM出演など、それ以前よりも頻繁に映画、テレビに出演するようになった。断筆解除後の1997年(平成9年)にはタレントとしてホリプロと契約[注釈 11]、執筆活動の傍ら映画やテレビドラマに度々出演している。1999年(平成11年)には蜷川幸雄の依頼でチェーホフの『かもめ』にトリゴーリン役で出演、2000年(平成12年)・2001年(平成13年)にも蜷川演出の三島由紀夫『弱法師』(『近代能楽集』)に主人公の義父役で藤原竜也と共演した。原作者である『文学賞殺人事件 大いなる助走』にもゲスト出演し、SF作家を演じた。
ウィキペディア日本語版の「筒井康隆」の項目は間違いだらけだと、2010年(平成22年)11月23日に開催された『筒井康隆作家生活五十周年記念〜現代語裏辞典ライブ』において、多数の観衆の見る中、ウィキペディアの「筒井康隆」の項目を開き、自身の身長から断筆宣言の経緯に至るまで本項目の間違いを指摘し内容を修正した(あまりに間違いが多いので修正は、後日、改めて行うことになった)[37]。
2017年4月7日に、慰安婦像問題に関して、「長嶺大使がまた韓国へ行く。慰安婦像を容認したことになってしまった。あの少女は可愛いから、皆で前まで行って射精し、ザーメンまみれにして来よう」という記述をブログで発信した[38]。公式ツイッターにも同様の内容を発信したがその日のうちに削除されている[39]。インターネットでは賛否の声が上がり[40][41]、韓国朝鮮日報日本語版は「衝撃的な妄言」と批判している[42]。これについて、筒井は「あんなものは昔から書いています。ぼくの小説を読んでいない連中が言っているんでしょう。本当はちょっと『炎上』狙いというところもあったんです」と明かす一方、「ぼくは戦争前から生きている人間だから、韓国の人たちをどれだけ日本人がひどいめに遭わせたかよく知っています。韓国の人たちにどうこういう気持ちは何もない」とも話している[42]。
作品名 | 出版年月日 | 出版社 | ISBN | 備考 |
---|---|---|---|---|
48億の妄想 | 1965.12.31 | 早川書房→文春文庫 | ISBN 978-4167181017 | |
馬の首風雲録 | 1967 | 早川書房→ハヤカワ文庫 →文春文庫→扶桑社文庫 | ||
霊長類南へ | 1969.10.15 | 講談社→講談社文庫 →角川文庫 | ISBN 978-4041305195 | |
筒井順慶 | 1969.04.15 | 講談社→新潮文庫 →角川文庫 | ISBN 978-4041305065 | 「筒井順慶」「あらえっさっさ」「晋金太郎」「新宿祭」 |
緑魔の町 | 1970.07.20 | 毎日新聞社→角川文庫 | ISBN 978-4041305119 | |
脱走と追跡のサンバ | 1971.10.31 | 早川書房→角川文庫 | ISBN 978-4041305089 | |
家族八景 | 1972.02.20 | 新潮社→新潮文庫 | ISBN 978-4101171012 | 七瀬三部作 Part1 |
俗物図鑑 | 1972.12.05 | 新潮社→新潮文庫 | ISBN 978-4101171029 | |
おれの血は他人の血 | 1974.02.20 | 河出書房新社→新潮文庫 | ISBN 978-4101171081 | |
七瀬ふたたび | 1975.05.10 | 新潮社→新潮文庫 | ISBN 978-4101171074 | 七瀬三部作 Part2 |
エディプスの恋人 | 1977.10.20 | 新潮社→新潮文庫 | ISBN 978-4101171135 | 七瀬三部作 Part3 完結編 |
富豪刑事 | 1978.05.15 | 新潮社→新潮文庫 | ISBN 978-4101171166 | |
大いなる助走 | 1979.03.15 | 文藝春秋→文春文庫 | ISBN 978-4101171166 | |
美藝公 | 1981.02.20 | 文藝春秋→文春文庫 →ミリオン出版復刻版 | ISBN 978-4886722720 | |
虚人たち | 1981.04.15 | 中央公論社→中公文庫 | ISBN 978-4122030596 | |
虚航船団 | 1984.05.15 | 新潮社→新潮文庫 | ISBN 978-4101171272 | 純文学書き下ろし 特別作品 |
イリヤ・ムウロメツ | 1985.12.20 | 講談社→講談社文庫 | ISBN 978-4061843622 | |
旅のラゴス | 1986.09.30 | 徳間書店→徳間文庫 →新潮文庫 | ISBN 978-4101171319 | |
夢の木坂分岐点 | 1987.01.25 | 新潮社→新潮文庫 | ISBN 978-4101171241 | |
歌と饒舌の戦記 | 1987.04.25 | 新潮社→新潮文庫 | ISBN 978-4101171258 | |
驚愕の曠野 | 1988.02.25 | 河出書房新社→河出文庫 | ISBN 978-4309405155 | |
新日本探偵社報告書控 | 1988.04.25 | 集英社→集英社文庫 | ISBN 978-4087497021 | |
残像に口紅を | 1989.04.20 | 中央公論社→中公文庫 | ISBN 978-4122022874 | |
フェミニズム殺人事件 | 1989.10.20 | 集英社→集英社文庫 | ||
文学部唯野教授 | 1990.01.26 | 岩波書店→同時代ライブラリー →岩波現代文庫 | ISBN 978-4006020019 | |
ロートレック荘事件 | 1990.09.25 | 新潮社→新潮文庫 | ISBN 978-4101171333 | |
朝のガスパール | 1992.08.01 | 朝日新聞社→新潮文庫 | ISBN 978-4101171340 | 朝日新聞連載 |
パプリカ | 1993.09.20 | 中央公論社→中公文庫 →新潮文庫 | ISBN 978-4101171401 | |
敵 | 1998.01.01 | 新潮社→新潮文庫 | ISBN 978-4101171395 | |
わたしのグランパ | 1999.08.30 | 文藝春秋→文春文庫 | ISBN 978-4167181116 | |
恐怖 | 2001.01.10 | 文藝春秋→文春文庫 | ISBN 978-4167181130 | |
愛のひだりがわ | 2002.02.21 | 岩波書店→新潮文庫 | ISBN 978-4101171494 | |
ヘル | 2003.11.13 | 文藝春秋→文春文庫 | ISBN 978-4167181154 | |
銀齢の果て | 2006.01.20 | 新潮社→新潮文庫 | ISBN 978-4101171517 | |
巨船ベラス・レトラス | 2007.03.16 | 文藝春秋→文春文庫 | ISBN 978-4163256900 | |
ダンシング・ヴァニティ | 2008.01.31 | 新潮社→新潮文庫 | ISBN 978-4101171524 | |
ビアンカ・オーバースタディ | 2012.08.17 | 星海社→角川文庫 | ISBN 978-4061388376 | |
聖痕 | 2013.05.31 | 新潮社→新潮文庫 | ISBN 978-4103145301 | 朝日新聞連載 |
モナドの領域 | 2015.12.03 | 新潮社→新潮文庫 | ISBN 978-4103145325 |
作品名 | 発行年月日 | 作品 | 出版社 | ISBN | |
---|---|---|---|---|---|
東海道戦争 | 1965.10.15 | 東海道戦争/いじめないで/しゃっくり/トーチカ/ブルドッグ/群猫/チューリップ・チューリップ/うるさがた/お紺昇天/やぶれかぶれのオロ氏/座敷ぼっこ/廃墟/堕地獄仏法
《初出》「トーチカ」「群猫」「廃墟」「座敷ぼっこ」1960年「宝石」、「ブルドッグ」1964年「SFマガジン」8月増刊号、「しゃっくり」「お紺昇天」1964年「SFマガジン」、「東海道戦争」「うるさがた」「堕地獄仏法」1965年「SFマガジン」 |
早川書房→ハヤカワ文庫→中公文庫 | ISBN 978-4122022065 | |
時をかける少女 | 1967.03.20 | 時をかける少女/悪夢の真相/果てしなき多元宇宙 | 盛光社→角川文庫 →角川つばさ文庫→ハルキ文庫 |
ISBN 978-4041305218 ISBN 978-4894563063 | |
ベトナム観光公社 | 1967.06.15 | 火星のツァラトゥストラ/ベムたちの消えた夜/トラブル/最高級有機質肥料/マグロマル/くたばれPTA/末世法華経/時越半四郎/ハリウッド・ハリウッド/カメロイド文部省/血と肉の愛情/タック健在なりや/お玉熱演/猫と真珠湾/産気/会いたい/赤いライオン/ベトナム観光公社 | 早川書房→ハヤカワ文庫→中公文庫 | ISBN 978-4122030107 | |
アフリカの爆弾 | 1968.03.01 | 台所にいたスパイ/脱出/露出症文明/メンズ・マガジン一九七七/月へ飛ぶ思い/活性アポロイド/東京諜報地図/ヒストレス ヴィラからの脱出/環状線/窓の外の戦争/寒い星から帰ってこないスパイ/アフリカの爆弾 | 文藝春秋→角川文庫 | ISBN 978-4041305027 | |
アルファルファ作戦 | 1968.05.31 | アルファルファ作戦/近所迷惑/慶安大変記/人口九千九百億/公共伏魔殿/旅/一万二千粒の錠剤/最後のクリスマス/ほほにかかる涙/かゆみの限界/ある罪悪感/セクション/懲戒の部屋/色眼鏡の狂詩曲(ラプソディ) | 早川書房→中公文庫 | ISBN 978-4122025165 | |
にぎやかな未来 | 1968.08.01 | 《Part1 どたばた・ファンタジィ》(解説 人間すべて),超能力/帰郷/星は生きている/怪物たちの夜/逃げろ/事業/悪魔の契約/わかれ/最終兵器の漂流/腸はどこへいった/亭主調理法,(どたばた・ファンタジィ/あとがき)
《Part2 風俗・ファンタジイ》(解説 現代と寝て),我輩の執念/幸福ですか?/人形のいる街/007入社す/踊る星/地下鉄の笑い/ながい話/スペードの女王/欲望/パチンコ必勝原理,(風俗・ファンタジイ/あとがき) 《Part3 ファンタジイ・ファンタジイ》(解説 ある女性がぼくに),マリコちゃん/ユリコちゃん/サチコちゃん/ユミコちゃん/姉弟/ラッパを吹く弟/きつね/たぬき/コドモのカミサマ/ウイスキーの神様/神様と仏さま/池猫/飛び猫/衛星一号/ミスター・サンドマン/時の女神,(ファンタジイ・ファンタジイ/あとがき) 《Part4 SF・ファンタジイ》(解説 どうせファンタジイだ),模倣空間/お助け/疑似人間/白き異邦人/ベルト・ウェーの女/火星に来た男/差別/到着/遊民の街/無人警察/にぎやかな未来 ≪初出≫「お助け」1960年「宝石」8月号、「帰郷」「超能力」1960年「宝石」、「きつね」1960年「ヒッチコック・マガジン」 |
三一書房→角川文庫 | ISBN 978-4041305034 | |
幻想の未来・アフリカの血 | 1968.08.30 | 幻想の未来/ふたりの印度人/アフリカの血 | 南北社→角川文庫 | ISBN 978-4041305010 | |
ホンキイ・トンク | 1969.07.20 | 君発ちて後/ワイド仇討/断末魔酔狂地獄/オナンの末裔/雨乞い小町/小説「私小説」/ぐれ健が戻った/ホンキイ・トンク | 講談社→角川文庫 | ISBN 978-4041305058 | |
わが良き狼(ウルフ) | 1969.07.31 | 地獄図日本海因果(だんまつまさいけのくろしほ)/夜の政治と経済/わが家の戦士/わが愛の税務署/若衆胸算用/団欒の危機/走る男/わが良き狼(ウルフ) | 1969年、三一書房→角川文庫 | ISBN 978-4041305041 | |
心狸学 社怪学 | 1969.12.20 | 《心狸学篇》条件反射/ナルシシズム/フラストレーション/優越感/サディズム/エディプス・コンプレックス/催眠暗示
《社怪学篇》ゲゼルシャフト/ゲマインシャフト/原始共産制/議会制民主主義/マス・コミュニケーション/近代都市/未来都市 |
講談社→講談社文庫→角川文庫 | ISBN 978-4041305188 | |
欠陥大百科 | 1970.05.10 | (はじめに)(凡例),悪魔/悪口雑言罵詈讒謗/アングラ/安保/悪戯/一問一答/犬/イラストレーター/インタビュー/宇宙/午・馬/運動会/映倫/S・F/越後つついし親不知/大袈裟/おこらないおこらない/お喋り/音楽/女/90年安保の全学連(漫画)/紙・髪・神/カラーテレビ/癌/観光/歓待/機械/貴様/ギター/ギャグ・マンガ/恐竜/銀座/クイズ/経口避妊薬/軽薄/欠陥/国会/CM(コマーシャル)/作家経営学/サラリーマン/産院/自己変革/ジャズ/週刊誌/就職/乗車拒否/蒸発/食道楽/深夜族/スキャンダル/ストーリイ・マンガ/性器/生殖器/精神病院/西部劇/セックス/接着剤/セミ・ドキュメント/前衛/浅学非才/全集/騒音/創作/竹取物語/タテカン/駝鳥/狸/父親/蝶/筒井順慶(漫画)/月/筒井順慶/D・J/デパート/テレビ/同人誌/読書遍歴/とっておきの話/突拍子/ナンセンス/日記/日本列島/発言力/2001年のテレビ(漫画)/パラダイス/ハント・バー/美女/ヒッピー/船酔い/編集者/ペンパル/法螺話/麻雀/マイ・ホーム/末世/モータリゼーション/モデル/UHF/よろめき/落語/流行/レジャー/肋骨/論争/猥語/ん,(オビ= この大百科の欠陥) | 河出書房 | ISBN 978-4309000923 | |
『母子像』→『革命のふたつの夜』[注釈 12] | 1970.07.12 | 母子像/くさり/となり組文芸/巷談アポロ芸者/コレラ/泣き語り性教育/深夜の万国博/革命のふたつの夜 | 講談社→角川文庫 | ISBN 978-4041305072 | |
馬は土曜に蒼ざめる | 1970.07.15 | 横車の大八/息子は神様/空想の起源と進化/混同夢/逃げろや逃げろ/人類の大不調和/肥満考/馬は土曜に蒼ざめる | 早川書房→ハヤカワ文庫→集英社文庫[注釈 13] | ||
発作的作品群 | 1971.07.10 | 《発作的ショート・ショート》客/自動ピアノ/正義/ブロークン・ハート/訓練/夫婦/帰宅/タバコ/見学/特効薬/墜落/涙の対面
《発作的エッセイ》公的タブー・私的タブー/凶暴星エクスタ市に発生したニュー・リズム、ワートホッグに関する報告及び調理法及び見通しについて/仕事と遊びの”皆既日食“/肺ガンなんて知らないよ/まったく不合理、年賀状/大地震の前に逃げ出そう/都会人のために夜を守れ/いたかつただらうな/恰好よければ/わが宣伝マン時代の犯罪/可愛い女の可愛らしさ/犯・侵・冒/人間を無気力にするコンピューター/アナロジイ/情報化時代の言語と小説 《発作的伝記》モーツァルト伝/ナポレオン対チャイコフスキー世紀の決戦 《発作的講談》岩見重太郎/児雷也 《発作的雑文》当たらぬこそ八掛──易断(昭和○○年各界気運/昭和○○年十二支の気運/黒子疵の吉凶/人相・手相の運勢判断/一月の吉凶暦)/悩みの躁談室(第一日/第二日/第三日/最終日)/レジャー狂室(パラダービー(障害ダービー)の馬券作戦/レジャー用語の解説/インディアン麻雀の打ち方)」 《発作的短篇》悪魔を呼ぶ連中/最初の混線/最後のCM/蜜のような宇宙/2001年公害の旅/遠泳/傷ついたのは誰の心/差別/猛烈社員無頼控/女権国家の繁栄と崩壊/レモンのような二人/20000トンの精液 《発作的戯曲》荒唐無稽文化財奇ッ怪陋劣ドタバタ劇-冠婚葬祭葬儀編 《発作的座談会》山下洋輔トリオ・プラス・筒井康隆 (発作的あとがき)筒井康隆作品集一覧 |
徳間書店 | ||
日本列島七曲り | 1971.11.15 | 誘拐横丁/融合家族/陰悩録/奇ッ怪陋劣潜望鏡/郵性省/日本列島七曲り/桃太郎輪廻/わが名はイサミ/公害浦島覗機関(たいむすりっぷのぞきのからくり)/ふたりの秘書/テレビ譫妄症 | 徳間書店→角川文庫 | ISBN 978-4041305096 | |
将軍が目醒めた時 | 1972.09.30 | 万延元年のラグビー/ヤマザキ/乗越駅の刑罰/騒春/新宿コンフィデンシャル/カンチョレ族の繁栄/註釈の多い年譜/家/空飛ぶ表具屋/将軍が目醒めた時 | 河出書房新社→新潮文庫 | ISBN 978-4101171043 | |
農協月へ行く | 1973.11.03 | 農協月へ行く/日本以外全部沈没/経理課長の放送/信仰性遅感症/自殺悲願/ホルモン/村井長庵 | 角川書店→角川文庫 | ISBN 978-4041305140 | |
暗黒世界のオデッセイ 筒井康隆一人十人集 |
1974.02.20 | レオナルド・ダ・ヴィンチの半狂乱の生涯/神戸の文化/神戸に帰る/東京→神戸引越し騒動/新しい部屋で/とろを食べる/神戸港24時間/新しいことはええことや 田辺聖子との対談/神戸『井戸のある家』/中山手・山本通り/フラワー・ロード/垂水・舞子海岸通り/トア・ロード/須磨離宮道/三宮高架商店街/傷ついたのは誰の心(漫画)/冠婚葬祭葬儀編(漫画)/カンニバリズム・フェスティバル(漫画)/サイボーグ入門(漫画)/乱調人間大研究/食事論断片/ソ連東欧への旅その一/急流(漫画)/客(漫画)/色眼鏡の狂詩曲(漫画)/ワイド仇討(漫画)/アフリカの爆弾(漫画)/アフリカの血(漫画)/わが名はイサミ(漫画)/近所迷惑(漫画)/たぬきの方程式(漫画)/超能力(漫画)/星新一論/二○○一年暗黒世界のオデッセイ/モケケ・バラリバラ戦記/『直木賞落選の弁』を書くについての弁/突然の空白/ああ青春、走り抜けた三年/記憶の断片/人間滅亡への道 筒井嘉隆との対談/映画館が私を作った! 淀川長治との対談/<われら>狂気に生きる 山下洋輔との対談/ソ連 東欧への旅その二 | 晶文社→新潮文庫 | ISBN 978-4101171142 | |
おれに関する噂 | 1974.06.15 | 蝶/おれに関する噂/養豚の実際/熊の木本線/怪奇たたみ男/だばだば杉/幸福の限界/YAH!/講演旅行/通いの軍隊/心臓に悪い | 新潮社→新潮文庫 | ISBN 978-4101171050 | |
男たちのかいた絵 | 1974.06.30 | 夜も昼も/恋とは何でしょう/星屑/嘘は罪/アイス・クリーム/あなたと夜と音楽と/二人でお茶を/素敵なあなた | 徳間書店→新潮文庫 | ISBN 978-4101171067 | |
ウィークエンド・シャッフル | 1974.09.24 | 佇むひと/如菩薩団/「蝶」の硫黄島/ジャップ鳥/旗色不鮮明/弁天さま/モダン・シュニッツラー/その情報は暗号/生きている脳/碧い底/犬の町/さなぎ/ウィークエンド・シャッフル | 講談社→講談社文庫→角川文庫 | ISBN 978-4041305164 | |
ミラーマンの時間 SFジュブナイル | 1975.02.15 | 暗いピンクの未来/デラックス狂詩曲(ラプソディ)/超能力・ア・ゴーゴー/白いペン・赤いボタン/ミラーマンの時間 | いんなあとりっぷ社→角川文庫 | ISBN 978-4041305133 | |
メタモルフォセス群島 | 1976.02.20 | 毟りあい/五郎八航空/走る取的/喪失の日/定年食/平行世界/母親さがし/老境のターザン/こちら一の谷/特別室/メタモルフォセス群島 | 新潮社→新潮文庫 | ISBN 978-4101171128 | |
あるいは酒でいっぱいの海 | 1977.11.25 | あるいは酒でいっぱいの海/消失/鏡よ鏡/いいえ/法外な税金/女の年齢/ケンタウルスの殺人/トンネル現象/九十年安保の全学連/代用女房始末/スパイ/妄想因子/怪段/陸族館/給水塔の幽霊/フォーク・シンガー/アル中の嘆き/電話魔/みすていく・ざ・あどれす/タイム・カメラ/体臭/善猫メダル/逆流/前世/タイム・マシン/脱ぐ/二元論の家/無限効果/底流/睡魔のいる夏/「ケンタウルスの殺人」解決編 | 集英社→集英社文庫→河出文庫 | ||
バブリング創世記 | 1978.02.10 | バブリング創世記/死にかた/発明後のパターン/案内人/裏小倉/鍵/上下左右/廃塾令/ヒノマル酒場/三人娘 | 徳間書店→徳間文庫 | ISBN 978-4195773925 | |
宇宙衞生博覧会 | 1979.10.15 | 蟹甲癬/こぶ天才/急流/顔面崩壊/問題外科/関節話法/最悪の接触(ワースト・コンタクト)ポルノ惑星のサルモネラ人間」 | 新潮社→新潮文庫 | ISBN 978-4101171159 | |
エロチック街道 | 1981.10.15 | 中隊長/昔はよかったなあ/日本地球ことば教える学部/インタヴューイ/寝る方法/かくれんぼをした/遍在/早口ことば/冷水シャワーを浴びる方法/遠い座敷/また何かそして別の聴くもの/一について/歩くとき/傾斜/われらの地図/時代小説/ジャズ大名/エロチック街道 | 新潮社→新潮文庫 | ISBN 978-4101171173 | |
串刺し教授 | 1985.12.10 | 旦那さま留守/日本古代SF考/通過儀礼/句点と読点/東京幻視/言葉と「ずれ」/きつねのお浜/点景論/追い討ちされた日/シナリオ・時をかける少女/退場させられた男/春/妻四態/風/座右の駅/遥かなるサテライト群/串刺し教授 | 新潮社→新潮文庫 | ISBN 978-4101171227 | |
原始人 | 1987.09.20 | 原始人/アノミー都市/家具/おもての行列なんじゃいな/怒るな/他者と饒舌/抑止力としての12使徒/読者罵倒/不良世界の神話/おれは裸だ/諸家寸話/筒井康隆のつくり方/屋根 | 文藝春秋→文春文庫 | ISBN 978-4167181079 | |
薬菜飯店 | 1988.06.15 | 薬菜飯店/法子と雲界/イチゴの日/秒読み/ヨッパ谷への降下/偽魔王/カラダ記念日 | 新潮社→新潮文庫 | ISBN 978-4101171289 | |
夜のコント・冬のコント | 1990.04.20 | 夢の検閲官/カチカチ山事件/魚/レトリック騒動/借金の清算/上へ行きたい/箪笥/巨人たち/鳶八丈の権/火星探検/のたくり大臣/「聖(セント)ジェームス病院」を歌う猫/冬のコント/夜のコント/最後の喫煙者/CINEMAレベル9/傾いた世界/都市盗掘団 | 新潮社→新潮文庫 | ISBN 978-4101171326 | |
最後の伝令 | 1993.01.25 | 人喰人種/北極王/樹木法廷に立つ/タマゴアゲハのいる里/近づいてくる時計/九死虫/公衆排尿協会/あのふたり様子が変/禽獣/最後の伝令/ムロジェクに感謝/二度死んだ少年の記録/十五歳までの名詞による自叙伝/瀕死の舞台 | 新潮社→新潮文庫 | ISBN 978-4101171357 | |
家族場面 | 1995.02.25 | 九月の渇き/天の一角/猿のことゆえご勘弁/大官公庁時代/十二市場オデッセイ/妻の惑星/家族場面/天狗の落し文 | 新潮社→新潮文庫 | ISBN 978-4101171371 | |
ジャズ小説 | 1996.06.10 | ニューオーリンズの賑わい/葬送曲/はかない望み/ソニー・ロリンズのように/ラウンド・ミッドナイト/懐かしの歌声/恐怖の代役/陰謀のかたち/チュニジアの上空にて/ムーチョ・ムーチョ/ボーナスを押えろ/ライオン | 文藝春秋→文春文庫 | ISBN 978-4167181109 | |
邪眼鳥 | 1997.04.25 | 邪眼鳥/RPG試案-夫婦遍歴 | 新潮社→新潮文庫 | ISBN 978-4101171388 | |
満腹亭へようこそ | 1998.05.30 | あるいは酒でいっぱいの海/最高級有機質肥料/薬菜飯店/蟹甲癬/アル中の嘆き/顔面崩壊/肥満考/定年食 | 北宋社 | ISBN 978-4894630185 | |
エンガッツィオ司令塔 | 2000.03. | エンガッツィオ司令塔/乖離/猫が来るものか/魔境山水/夢/越天楽/東天紅/ご存知七福神/俄・納涼御摂勧進帳/首長ティンブクの尊厳/附・断筆解禁宣言 | 文藝春秋→文春文庫 | ISBN 978-4167181123 | |
魚籃観音記 | 2000.09.30 | 魚籃観音記/市街戦/馬/作中の死/ラトラス/分裂病による建築の諸相/建物の横の路地には/虚に棲むひと/ジャズ犬たち/谷間の豪族 | 新潮社→新潮文庫 | ISBN 978-4101171456 | |
細菌人間 ジュブナイル傑作集[注釈 14] | 2000.09. | 細菌人間/10万光年の追跡者/四枚のジャック/W世界の少年/闇につげる声 | 出版芸術社 | ISBN 978-4882931942 | |
天狗の落し文 | 2001.07.30 | 全356編+∞ | 新潮社→新潮文庫 | ISBN 978-4101171463 | |
壊れかた指南 | 2006.04.27 | 漫画の行方/余部さん/稲荷の紋三郎/御厨木工作業所/TANUKI/迷走録/建設博工法展示館/大人になれない/可奈志耶那/遠蘇魯志耶/優待券をもった少年/犬の沈黙/出世の首/二階送り/空中喫煙者/鬼仏交替/ショートショート集(虎の肩凝り/春の小川は/長恨/恐怖合体/おれは悪魔だ/秘密/便秘の夢/土兎/取りに来い/便意を催す顔)/狼三番叟/耽読者の家/店じまい/逃げ道 | 文藝春秋→文春文庫 | ISBN 978-4167181161 | |
繁栄の昭和 | 2014.09.29 | 迷宮入りした殺人事件と謎の小人……………「繁栄の昭和」
女装の美少年が魔都・東京をさまよう………「大盗庶幾」 人工臓器を体内に入れた名探偵………………「科学探偵帆村」 新劇の老役者がミュージカルに挑戦?………「リア王」 古い屋敷にうごめく人間たち…………………「一族散らし語り」 華やかなパーティが終わると彼女は…………「役割演技」 筒井康隆、映画で大活躍!……………………「メタノワール」 愛妻の入院中、男は……………………………「つばくろ会からまいりました」 所詮この世は欲と色、男の野望渦巻く………「横領」 これぞショート・ショート!…………………「コント二題」 戦前の女優に魅了されて………………………「高清子とその時代」 | 文藝春秋 | 文藝春秋→文春文庫 | ISBN 978-4163901268 |
世界はゴ冗談 | 2015.04.28 | ペニスに命中/不在/教授の戦利品/アニメ的リアリズム/小説に関する夢十一夜/三字熟語の奇/世界はゴ冗談/奔馬菌/メタパラの七・五人/附・ウクライナ幻想 | 新潮社→新潮文庫 | ISBN 978-4103145318 | |
ジャックポット | 2021.02.17 | 漸然山脈/コロキタイマイ/白笑疑/ダークナイト・ミッドナイト/蒙霧升降/ニューシネマ「バブルの塔」/レダ/南蛮狭隘族/縁側の人/一九五五年二十歳/花魁櫛/ジャックポット/ダンシングオールナイト/川のほとり | 新潮社 | ISBN 978-4-10-314534-9 | |
カーテンコール | 2023.11.01 | 深夜便/花魁櫛/白蛇姫/川のほとり/官邸前/本質/羆/お時さん/楽屋控/夢工房/美食禍/夜は更けゆく/お咲の人生/宵興行/離婚熱/武装市民/手を振る娘/夜来香/コロナ追分/塩昆布まだか/横恋慕/文士と夜警/プレイバック/カーテンコール/附・山号寺号 | 新潮社 | ISBN 978-4-10-314536-3 |
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