フジネットワーク: Fuji Network System、略称:FNS)は、キー局フジテレビジョンを中心に、全国28社が加盟する日本番組供給ネットワークである。

報道取材・編集・放映はFNS全28社の報道部門が構成する「フジニュースネットワーク(FNN)」が担っている。

概説

1959年3月に開局したフジテレビジョンは、同年6月に関西テレビ放送東海テレビ放送九州朝日放送の4社間(締結当初、東海テレビ、九州朝日放送の2社はクロスネット局だった)で「番組交流に関する協定」を締結する[1]1962年4月に名古屋テレビ放送が開局し、東海テレビがフジテレビのフルネット局に移行。これによりネットワーク拡大の歩調が整った[1]。同年10月1日には、フジテレビジョン、札幌テレビ放送仙台放送、東海テレビ放送、関西テレビ放送、広島テレビ放送、九州朝日放送、沖縄テレビ放送[注 1]の基幹都市8社(札幌テレビ、仙台放送、広島テレビ、九州朝日放送はクロスネット局)を結ぶ幹線ネットワークが確立した[2]。効率的な幹線ネットワークは業績面で大きな効果を発揮し、フジテレビは後発局でありながら先行する日本テレビを凌駕し、ラジオ東京テレビ(現:TBSテレビ)に肉薄した[3]

1964年10月、フジテレビの社長に就任した鹿内信隆(のちフジサンケイグループ初代議長)は、UHFの解放に乗じたフジテレビ系列の全国ネットワーク構築を強力に推進した[4]1969年4月、フジテレビ社内にFNS事務局が発足した。1970年1月にはFNSの規約を制定され、6月には『季刊FNS』が創刊された。全国各地にUHF新局が相次いで開局し、1971年には系列局は27社と急増し、民放最大のネットワーク体制となった。同年5月、フジテレビは社内に「ネットワーク局」を新設し、初代局長に郵政省出身の横田隆(のちにテレビ熊本会長を歴任)が就任した[5][6]。1997年4月にさくらんぼテレビジョン高知さんさんテレビが開局し、現在の28社体制が完成した。

現況

FNSには、28社(フルネット局26社、クロスネット局2社[注 2]。基幹局はフジテレビ、北海道文化放送、仙台放送、テレビ静岡、東海テレビ、関西テレビ、テレビ新広島、テレビ西日本の8社で構成される。基幹局各社は日曜16時台の特番枠で、最低年に1回、自社制作による全国ネット特番を放送している(バラエティーに関してはフジテレビを除く)。

系列局数はNNN(日本テレビ系列)JNN(TBS系列)に次ぐ3番目で、全ての系列局がテレビ単営局となっている[注 3][注 4]。FNS系列局の多くはフジ・メディア・ホールディングスの連結子会社もしくは関連会社となっており[7]、開局時よりフジサンケイグループ阪急阪神東宝グループ中日新聞社北海道新聞社西日本新聞社の各社と人的・資本の両面で緊密な関係を有している。

ネットスポンサーが無い一部の番組(特にローカルセールス枠)は、局によっては非ネットの場合がある。また、広域放送各局(特にフジテレビ・関西テレビ・東海テレビ)の都合により放送されない一部の(地方のFNS加盟局制作の)番組は、その広域放送局がある当該地域の地上独立テレビ局がFNSの番組を購入して放送している場合もある。

Thumb
フジテレビ系列のリモコンキーID地図 水色:8 :1 :3 :4 白:なし

地上デジタル放送リモコンキーIDは、東海テレビ・サガテレビ・クロスネット局を除き、各局8で統一されている。

沿革

  • 1959年(昭和34年)6月1日 - フジテレビ(CX)、東海テレビ(THK)、関西テレビ(KTV)、九州朝日放送(KBC)の4社で「番組交流に関する協定書」を締結。
  • 1962年(昭和37年)10月1日 - フジテレビ、仙台放送(OX)、東海テレビ、関西テレビ、広島テレビ(HTV)、九州朝日放送の6局基幹ネットが完成。
  • 1964年(昭和39年)10月1日 - 福岡地区が九州朝日放送からテレビ西日本(TNC)にネットチェンジ
  • 1966年(昭和41年)10月3日 - フジニュースネットワーク(FNN)協定成立。
  • 1969年(昭和44年)
    • 4月1日 - FNS事務局創設。
    • 10月1日 - フジネットワーク(FNS)発足。加盟20社[注 5]。その中でも秋田テレビ(AKT)、福井テレビ(FTB)がこの日開局。
    • 12月10日 - テレビ愛媛(EBC)が開局し加盟。
  • 1970年(昭和45年)
  • 1971年(昭和46年)10月1日 - 福島テレビ(FTV)が加盟[注 8]。福島中央テレビがネット離脱。
  • 1972年(昭和47年)
  • 1973年(昭和48年) - シンボルマーク制定(制作:永井一正)。
  • 1974年(昭和49年) - FNSチャリティキャンペーンスタート。
  • 1974年(昭和49年)12月 - 第1回FNS歌謡祭を開催。
  • 1975年(昭和50年)
    • 10月1日 - テレビ新広島(TSS)が開局し加盟、広島テレビが離脱。
  • 1979年(昭和54年)4月1日 - 岡山放送(OHK)がFNN・FNSに完全一本化[注 11]
  • 1983年(昭和58年)
    • 4月1日 - 福島テレビがFNN・FNSに完全一本化[注 12]
    • 10月1日 - 新潟総合テレビ(NST)がFNN・FNSに完全一本化[注 13]
  • 1987年(昭和62年)
  • 1989年(平成元年)10月1日 - テレビ熊本(TKU)がFNN・FNSに完全一本化[注 15]
  • 1990年(平成2年)3月31日 - テレビ山口がFNS離脱[注 16]
  • 1991年(平成3年)4月1日 - 岩手めんこいテレビ(mit)が開局し加盟。また、テレビ長崎(KTN)がFNN・FNSに完全一本化[注 17]
  • 1993年(平成5年)3月31日 - 山形テレビがネット離脱、翌日4月1日からANNにネットチェンジ。
  • 1994年(平成6年)4月1日 - 鹿児島テレビ(KTS)がFNN・FNSに完全一本化[注 18]
  • 1997年(平成9年)4月1日 - さくらんぼテレビ(SAY)と高知さんさんテレビ(KSS)が開局し加盟。過去最大の28社体制となる。
  • 2001年(平成13年) - 公式ホームページ開設。

加盟局

現在の加盟局

この表は、地域や都道府県の配列に際し、日本民間放送連盟公式サイト「会員社」ページ の表記に準じて記載している(一部に例外あり)。

さらに見る エリア, 略称 / ID ...
エリア略称 / ID社名開局日FNS加盟日備考
北海道UHB 8北海道文化放送1972年4月1日基幹局。
青森県なし[注 19]
岩手県mit 8岩手めんこいテレビ1991年4月1日
宮城県OX 8仙台放送1962年10月1日1969年10月1日発足時[注 20]基幹局[注 21]
秋田県AKT 8秋田テレビ1969年10月1日[注 22]
秋田県はJNN系列局が存在しないため、同県内のGガイド[注 23] の番組データの配信を行っている[注 24]
山形県SAY 8さくらんぼテレビジョン1997年4月1日
福島県FTV 8福島テレビ1963年4月1日1971年10月1日[注 25][注 26]
関東広域圏CX 8フジテレビジョン[注 27]1959年3月1日1969年10月1日発足時キー局、基幹局。
山梨県なし[注 28]
新潟県NST 8NST新潟総合テレビ[注 29]1968年12月16日1969年10月1日発足時[注 30]
長野県NBS 8長野放送1969年4月1日
富山県BBT 8富山テレビ放送旧略称:T34(1993年12月31日まで使用)
石川県ITC 8石川テレビ放送
福井県ftb 8福井テレビジョン放送1969年10月1日福井県はJNN系列局が存在しないため、同県内のGガイド[注 23] の番組データの配信を行っている[注 24]
静岡県SUT 8テレビ静岡1968年11月1日1969年10月1日発足時基幹局。
中京広域圏THK 1東海テレビ放送1958年12月25日1969年10月1日発足時[注 31]
近畿広域圏KTV 8関西テレビ放送1958年11月22日1969年10月1日発足時[注 31]準キー局、基幹局。愛称:カンテレ。大災害等によりフジテレビが機能不能となった場合、当局を発局とした上で全国ネット関東ローカル向けの放送を行うことがある[10][11][12]。詳細はフジニュースネットワーク#災害時の対応を参照。2007年4月、「発掘!あるある大事典II」の捏造(ねつぞう)事件で民放連から除名処分を受けた(2008年10月に復帰)[注 32]
島根県TSK 8山陰中央テレビジョン放送1970年4月1日愛称:さんいん中央テレビ。1972年3月31日まで局名は島根放送株式会社。
1972年9月21日の山陰相互乗り入れまでは島根のみが対象エリアだった。
鳥取県
岡山県OHK 8岡山放送1969年4月1日1969年10月1日発足時[注 33]
香川県
広島県tss 8テレビ新広島1975年10月1日基幹局。
山口県なし[注 34][注 35]
徳島県[注 36]
愛媛県EBC 8テレビ愛媛1969年12月10日
高知県KSS 8高知さんさんテレビ1997年4月1日
福岡県TNC 8テレビ西日本1958年8月28日1969年10月1日発足時[注 37]基幹局。
佐賀県STS 3サガテレビ1969年4月1日1969年10月1日発足時[注 38]
佐賀県唯一の地元民放テレビ局のため、同県内のデジタルGガイド[注 23] の番組データの配信を行っている[注 24]。なお、かつてのアナログGガイド[注 23] の番組データの配信はJNN系列局のRKB毎日放送[注 39] が対応していた。
長崎県KTN 8テレビ長崎1969年4月1日1969年10月1日発足時[注 40]
熊本県TKU 8テレビ熊本1969年4月1日1969年10月1日発足時愛称:テレビくまもと。[注 41]
大分県TOS 4テレビ大分1970年4月1日NNN/NNSとのクロスネット局[注 42][注 43]
宮崎県UMK 3テレビ宮崎1970年4月1日1972年4月1日NNNとANNとのクロスネット局[注 9]
鹿児島県KTS 8鹿児島テレビ放送1969年4月1日1969年10月1日発足時[注 44]
沖縄県OTV 8沖縄テレビ放送1959年11月1日1972年5月15日[注 45][注 46]
NNN/NNS系列局が存在しない沖縄県において同系列との提携関係があり、同系列の番組を一部時差ネットをしている他、毎年夏放送の24時間テレビ全国高等学校クイズ選手権および年末年始の全国高等学校サッカー選手権大会にも参加している。
閉じる

過去の加盟局

●印は加盟当時メインネットであった。

さらに見る エリア, 略称 ...
エリア略称社名FNS加盟期間備考(脱退の理由など)現在の所属系列
北海道STV札幌テレビ放送1969年10月1日発足[注 20] - 1972年3月31日北海道文化放送開局に伴い脱退。同局はFNSでは唯一のラテ兼営局だったが[注 47]、FNNに非加盟だった[注 48]NNN/NNS
山形県YTS山形テレビ1970年4月1日開局 - 1993年3月31日[注 49][注 50]

経営難の影響と他系列(日本テレビ系列)とのクロスネット編成解消を理由に、ANN(テレビ朝日)フルネット局へネットチェンジ[13][注 51][注 52][注 53]

ANN
福島県FCT福島中央テレビ1970年4月1日開局 - 1971年9月30日[注 49]新聞資本の意向による[注 54] ネット整理のため、福島テレビに譲る形で脱退[注 25][注 26]
ただし、脱退後も福島テレビで未放送の番組を個別に番販購入した例があった。
NNN/NNS
広島県HTV広島テレビ放送1969年10月1日発足[注 20] - 1975年9月30日[注 49]テレビ新広島開局に伴い脱退。NNN/NNS
山口県tysテレビ山口1970年4月1日開局 - 1990年3月31日フジテレビからのFNN加盟要請を拒否したことにより1987年9月30日を以て事実上のFNS離脱。以後も番組販売・個別交渉の形で一部の番組のネット受けを行っていた。なお、フジテレビはこの前後にも系列外ではあるが当時資本関係があり、スポーツニュース番組のネット受けも行うなど関係が深かった山口放送(当時は日本テレビ系列とテレビ朝日系列のクロスネット)にFNN加盟を打診していた[14]JNN
閉じる

現在の主な非加盟局

※加盟の意思があったものの、結局加盟しなかった主な局を掲載。
さらに見る エリア, 略称 ...
エリア略称社名備考(加盟しなかった理由など)現在の所属系列
北海道HTB北海道テレビ放送フジテレビ(FNN・FNS)系列となることが有力視されていたが、当時NNN・FNSクロスネットの札幌テレビ放送(STV)の反発や、NETテレビ(現・テレビ朝日)のバックアップ、そして北海道第4局の割り当ても確定したことから最終的にテレビ朝日(ANN)系列を選択したため。ANN
青森県
(開局順)
ATV青森テレビ開局準備期間にフジテレビと協定を結ぶが、開局直前にテレビ朝日(ANN)/TBS(JNN)系列主体に変更[注 55]JNN
ABA青森朝日放送青森県に民放テレビ第3局の周波数が割り当てられた際はフジテレビがキー局の候補として挙げられていたが、1991年10月1日にANNフルネット局で開局。FNN・FNSのネット化(フルネット・クロスネットとも)は実現せず。ANN
山梨県UTYテレビ山梨開局準備期間にフジテレビと協定を結ぶが、開局直前にTBS(JNN)系列主体に変更[注 56]JNN
山口県KRY山口放送テレビ山口のフジテレビ系列を脱退した当時、フジテレビが山口放送の上位株主になるなど関係が深かったため、テレビ山口のネットチェンジに合わせて山口放送にフジテレビ系列(FNN/FNS)加盟による3系列クロスネット化を打診したことがあった[14]NNN/NNS
高知県KUTVテレビ高知開局準備期間にフジテレビと協定を結ぶが、開局直前にTBS(JNN)系列主体に変更[注 57]JNN
閉じる

シンボルマーク等

  • 1973年に制定されたシンボルマークは、地球にひろがる電波のイメージと、和の力を大切にするネットワークの意味が込められている。
  • 1990年代頃は、カラフルなCGを使用したジングル・アイキャッチを用いた(フジテレビ、仙台放送、長野放送、関西テレビ、テレビ西日本など)。
  • 本来は正しくない用法だが、単に「FNS」と言った場合は『FNS歌謡祭』やその派生番組を指す場合がある。

広報誌

  • 毎年3月・9月下旬に広報誌「FNS」(FNS PR委員会)を発行している。
    • FNS系列全局が関わる「春高コーチングキャラバン」や「FNSの日」の特集や新社長の紹介及びインタビューなどを紹介している。
  • 同様にFNS九州・沖縄8社は「FNS九州・沖縄」を(別途)発行している。

キャンペーン・プロジェクト

主な共同ネット番組・企画

一般的な全国ネット番組についてはフジテレビ番組一覧関西テレビ番組一覧を参照。

共同制作番組

その他の番組

ブロックネット番組

東北(青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島・新潟)

中部(中京・富山・石川・福井・長野・静岡)

  • 狙え!キテレツひっと(東海テレビ制作、2002年4月 - 2003年3月)
  • ダシヌキ!(東海テレビ制作、2002年7月14日 - 2004年9月25日)
  • 物語の始まりへ(石川テレビ制作、2003年10月9日 - )

近畿・中四国

九州・沖縄

  • ヒューマン九州21(共同制作、九州・沖縄全域)
  • 郷土の偉人シリーズ(テレビ熊本制作、1993年 - 、九州)
  • Qでん百科(テレビ西日本制作、九州)※終了
  • ミレニアム2000〜きらめいて九州〜(共同制作、九州)※終了
  • We Love 九州(共同制作、九州)※終了

イベント

映画

他系列とのキャンペーン

ここでは、2020年時点において日本放送協会(NHK)の地域放送局や他系列の放送局との共同キャンペーンを記載する。特記がないものはすべて新型コロナウイルスの感染防止や啓発に関するものである。

番組販売協力局

● - フジテレビの日曜競馬中継を同時ネットする場合あり。

過去(フジテレビ系列新局の開局による縮小・解消を除く)
  • 和歌山県
    • テレビ和歌山(WTV) - 独立局。関西テレビで(編成の都合上)放送されない一部番組を放送していたが、2022年1月時点ではテレビ東京系列以外の他系列番組の放送が減少したことから、フジテレビ系列番組の放送が途絶えている。
  • 山口県
    • 山口朝日放送(yab) - テレビ朝日系列。編成によりバラエティなどの遅れネット番組を購入したことがあるが、2022年1月現在は再放送番組のみとなっている。

脚注

参考文献

関連項目

外部リンク

Wikiwand in your browser!

Seamless Wikipedia browsing. On steroids.

Every time you click a link to Wikipedia, Wiktionary or Wikiquote in your browser's search results, it will show the modern Wikiwand interface.

Wikiwand extension is a five stars, simple, with minimum permission required to keep your browsing private, safe and transparent.