1967年のテレビ (日本)

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1967年のテレビ(1967ねんのテレビ)では、1967年昭和42年)の日本におけるテレビジョン放送全般の動向についてまとめる。

主なできごと

要約
視点
民放UHF新局に予備免許交付開始

民放UHF新局にこの年初めて予備免許が交付された。これにより、地方の多くの県で民放テレビが1局しか視れなかったのが、翌1968年から2局に増えるようになる。(「#予備免許」の項も参照)

全面カラー化に向け、カラー番組が増加し始めた年

この年は先ず、NET及びその系列局(毎日放送九州朝日放送)が、漸くカラー放送を開始。又、前年のTBSに続き、フジテレビ中部日本放送(現:CBCテレビ、TBS系)、関西テレビ(フジ系)、朝日放送(当時TBS系)、静岡放送が、スタジオカラーカメラを使ったカラー番組の制作・放送を開始。更に、今までカラーテレビ中継車を使った番組制作はNHK日本テレビ読売テレビだけだったのがこの年からTBS、フジテレビ、関西テレビ、静岡放送で開始され、特にTBSは、ボクシングの世界タイトルマッチを中心としてカラー中継番組が一気に増加、フジテレビと関西テレビは、この年の終わり頃から競馬中継のカラー制作を開始(NHKでは前年からカラー化)、静岡放送は、大都市ではない地方局で初導入、同社の15周年記念番組を皮切りにそれを使ったカラー番組制作を開始した。

NHKでも、午後9時と正午のニュース、そして天気予報(いずれも全国放送の部分)を秋からカラー化。NHK大阪放送局でも、11月1日からローカルニュースのカラー放送及びカラーフィルムによる報道取材を開始した。更に、カラー番組の増加に伴い、この年、全トランジスター化の最新型スタジオカラーカメラを導入、8月に稼働を開始している。同カメラは、NHKが今まで使用していた真空管式のそれらに比べ、色彩感・解像度・S/N比等画質を改善し、安定度を向上させ、従来のモノクロスタジオカメラ並に小型・軽量化させたことから、このカメラはその後NHKにて数多く導入され、NHKテレビの全面カラー化への大きな礎の1つとなった。

放送用2インチVTRでも、1964年に発表された、従来(ローバンド)より高画質録画・再生ができる新規格のハイバンドVTRが、前年のNHK、中国放送、TBSに続き、この年数多くのテレビ局で導入を開始、カラー録画・編集に於いて性能と実用性の高さも、カラー放送の増加に貢献した(「2インチVTR」の項を参照)。

尚、この年からは、1971年にほとんど全部の番組がカラー化されるまで、毎年のようにカラー番組の増加が目立っていく様になる。全体的な傾向から見ると、先ずは、ゴールデンタイムやスポーツ中継、海外のフィルム制作番組を中心に、カラー化が進んでいる。又、全面カラー化される以前は、普段はモノクロ放送の番組でも、一部の回のみカラー放送となるケースもあった。更に民放では、カラーテレビを製造・販売している会社がスポンサーになっている番組が、いち早くカラー化されるケースが多かった。この年の一社提供番組でも、TBS『東芝日曜劇場』が一部の回にてカラー制作を開始、フジテレビ『ズバリ!当てましょう』(松下電器提供)が毎回カラー放送となっている。複数社提供番組でも、関西テレビの特撮ドラマ『仮面の忍者 赤影』のスポンサーの一社に同製造・販売会社があり、その会社の存在が番組をカラー制作にする決め手となった経緯がある(「仮面の忍者 赤影#企画経緯」の項を参照)。

番組関係のできごと

1月
2月
  • 11日 - フジテレビが、自社制作において初のスタジオカラーカメラ(&カラーVTR使用)による番組を放送。第1弾はクイズ番組ズバリ!当てましょう』で、同番組カラー放送第1回にちなんで、「カラーで当てましょう」という題が付けられた。[8][9][10]
  • 26日 - TBS系、カラー放送の報道特別番組『中国核実験の記録』(中国国営八一映画製作所撮影)を放送。[11]
3月
  • 1日 - この日、フジテレビの開局8周年記念の1つとして、この日の同系列の朝のワイド番組『小川宏ショー』が特別にカラーで生放送。これが、同局制作に於いて初のカラー生放送となった。この日は、1967年のパリのニューモードのファッションショーや、絵による子供の性格や知能テストの紹介等が放送された。[12]
  • 3日
  • 20日 - NHK総合、『新日本紀行』がこの日の放送「南房総」にて、初のカラー放送[17]。2週後の4月3日「五島列島」からは、毎回カラー放送となる[18]
  • 21日 - NHK総合、放送記念日特集番組の1つとして、カラーによるフィルムリレー『移りゆく国土』を放送。北は深い雪に覆われている北海道の宗谷岬から、鹿児島県奄美群島の沖永良部島まで、各地の春の模様やそこに生きていく人々の姿を描いた、全国20の放送局で全編カラー取材を行った番組。[19]
  • 27日 - NHK総合で、1956年4月14日から放送されていたクイズ番組『私の秘密』(当時はクイズコンプレックス枠クイズアワー』内で放送)が、この日の放送をもって10年の幕を下ろす。なお『クイズアワー』もこの日の放送をもって廃枠になったため、残った『ジェスチャー』は4月よりバラエティコンプレックス枠『ファミリーショー』に内包され、1968年3月25日まで継続。
  • 29日4月7日 - 東京12チャンネル毎日放送からの同時ネットで、第39回選抜高等学校野球大会の全試合を中継。[20]
4月
  • 2日 - フジテレビ系でタツノコプロ制作のカラーテレビアニメマッハGoGoGo』放送開始( - 1968年3月31日)。
  • 3日
    • NHK、新年度の番組編成を開始。
    • 九州朝日放送で月~金曜帯枠のローカルニュースショー『ティータイムショー』開始(1975年3月28日に一旦終了[24]し1980年10月6日に再発足。1983年8月5日まで続く) [25]
  • 5日 - 関西テレビ・フジテレビ系で、東映制作によるカラー特撮ドラマ『仮面の忍者 赤影』(横山光輝原作)が放送開始。日本初のカラー製作によるテレビ時代劇となった( - 1968年3月28日)。
  • 8日 - NHKの園芸番組『趣味の園芸』放送開始(2022年現在も継続)[21][26]
  • 9日 - TBS系「タケダアワー」のカラー特撮ドラマ『ウルトラマン』(円谷プロダクション制作)がこの日最終回(第39話)。ウルトラ兄弟の長兄・ゾフィー(CV:浦野光)が初登場。
  • 10日 - 東京12チャンネル(現・テレビ東京)、この日から平日18:45に海外アニメ再放送枠『マンガのくに』を開始、当初は15分枠だったが、1977年4月から30分枠に拡大、1980年3月限りで一旦休止、同年10月から国産アニメ再放送枠に変更し再スタート、1989年9月28日まで22年続く人気番組となった。
  • 16日 - NETで放送していた医療情報番組『話題の医学』(NET:1960年6月 - 1967年3月31日)が放送局を東京12チャンネルへ移籍しこの日放送開始、50年近く続く長寿番組となる( - 2016年12月25日)。
  • 26日 - TBSが初代6号中継車(カラー仕様)を導入(カメラには、前年Gスタで導入されたフィリップス社製(型番:PC-60)のカラーカメラを4台使用。)。導入日当日にこの中継車を使い、自系列で、川崎球場からのプロ野球ナイター中継「大洋 対 巨人」をカラーで放送。これを機に、自社でのカラー中継車を使った番組制作を、本格的に始める。[6][27][28]
  • 30日 - TBS、前述の初代6号中継車の導入を受け、プロボクシング中継のカラー放送を本格的に開始。この日は自系列にて、世界ジュニアウェルター級タイトルマッチ「サンドロ・ロポポロ藤猛」の試合を、蔵前国技館からカラーで中継[7][29]。関東地区にて39.9%の視聴率を記録(ビデオリサーチ調べ)[4]
6月
7月
9月
10月
11月
12月

その他テレビに関する話題

  • 2月20日 - NHK徳島放送局UHF大電力放送の技術上の諸問題について実験、調査を行うため徳島教育テレビジョン実験局開局。日本初のUHF大電力局(第38チャンネル、映像出力最大30kW、空中線は双ループ16面3段、全方向、水平偏線)[55]。7月26日、電波技術審議会は実験結果のデータを総合して大電力のUHFの送受信とも技術的には可能、と答申。UHF親局免許を可能とした。翌年2月20日に本放送開始[56]
  • 2月 - 高知放送がカラー放送を開始。[57]
  • 3月27日 - NETが、1週間後に正式なカラー放送を開始する前に、翌週にカラー化する番組予告のみに於いて同放送を行う。[注 10][58]
  • 4月1日
  • 4月3日 - NET、正式にカラー放送を開始(在京民放局では4局目)。[注 10][58][64]
  • 4月10日 - 経営悪化のため前年から放送時間を5時間半に短縮していた東京12チャンネル(現・テレビ東京)が営業活動を再開、放送時間を9時間に拡大。番組は在京キー局やNHKから調達。翌日からはプロ野球ナイター中継を開始。6月5日には11時間40分、10月2日には15時間となる[63]
  • 6月10日 - 任意団体民間放送教育協議会(当時、NETの学校放送をネットする13社が加盟。1961年6月21日設立)が、文部省(現・文部科学省)の認可により、財団法人民間放送教育協会(民教協。現在は公益財団法人)として再発足(事務局はNET内に置く。加盟32社に)。[注 12]
  • 6月20日 - 山陰放送がカラー放送を開始。[66]
  • 8月1日 - NHK、カラー番組の増加に伴い、全トランジスター化の最新型スタジオカラーカメラの初運用を、先ず放送センターのT-605スタジオにてこの日から開始。最新型のそれは、今までの真空管式のそれらに比べ、色彩感・解像度・S/N比等画質を改善し、安定度を向上させた。[67]
  • 9月13日 - 琉球立法院沖縄放送協会設立法案を与党単独で可決。23日、初代会長に琉球放送常務川平朝清の任命を決定。10月2日、沖縄の公共放送として正式発足。12月22日に宮古、12月23日に八重山で放送開始。[68][69] [注 13]
  • 10月1日 - 山口放送がカラー放送を開始。東京12チャンネルと沖縄2社(沖縄テレビ放送琉球放送)を除く民放全社でカラー放送実施[37]
  • 11月1日 - 郵政省、テレビ1640局に再免許、UHF新局15社16局に予備免許。
    • この日をもって札幌テレビ、読売テレビ、毎日放送が準教育局から総合局となる[41]
    • 総合番組局には教育・教養番組を30%以上、又、主要な会見・イベント等は、NHKが民放と共に代表取材として編成するよう、電波法により条件付ける。
  • 11月14日 - 郵政省、東京12チャンネルに従来認めなかった娯楽番組を認める(全体の20%)[41]

商号変更

  • 4月1日 - ラジオ中国→中国放送(ラテ兼営局で正式社名に“ラジオ”を付けていた最後の局。)[63]

既成局のカラー放送開始

予備免許

要約
視点

当時の郵政省による「テレビジョン放送用周波数の割り当て計画」の大幅修正により、UHFのうち、従来中継局のみ使用している第45チャンネルから第62チャンネルに加え、親局用として第33チャンネルから第44チャンネルの使用が新たに開放された(10月13日)。これによりUHF第1次チャンネルプランで新規UHF局の予備免許が下りる。なおこの時のテレビ単営民放については、“JO*H”のパターンで揃えられた。

予備免許が下りた日及び主な局は、以下の通り[70][71]。同一市区町村内で移転した場合は現所在地の記述を略す。

さらに見る 放送対象地域, 呼出符号 ...
11月1日付で予備免許を受けた局(全て民放)
放送対象地域 呼出符号 交付時社名 本社所在地 備考
北海道 JOHH-TV 北海道テレビ放送株式会社 札幌市豊平区 現所在地:同市中央区
長野県 JOLH-TV 株式会社長野放送 長野市
新潟県 JONH-TV 株式会社新潟総合テレビ 新潟市中央区[注 14] 現社名:株式会社NST新潟総合テレビ
富山県 JOTH-TV 富山テレビ放送株式会社 富山市
石川県 JOIH-TV 石川テレビ放送株式会社 金沢市
静岡県 JOQH-TV 株式会社静岡ユー・エッチ・エフテレビ 静岡市駿河区 現社名:株式会社テレビ静岡
JORH-TV 同上、浜松局に対する交付
中京広域圏 JOCH-TV 中京ユー・エッチ・エフ・テレビ放送株式会社 愛知県名古屋市昭和区 現社名:中京テレビ放送株式会社。

現所在地:同市中村区

岐阜県 JOZF-TV 株式会社ラジオ岐阜 岐阜市 現社名:株式会社岐阜放送
三重県 JOMH-TV 三重電波放送株式会社 津市 現社名:三重テレビ放送株式会社
京都府 JOBR-TV 株式会社近畿放送 京都市中京区 現社名:株式会社京都放送。

現所在地:同市上京区

兵庫県 JOUH-TV 兵庫テレビ放送株式会社 神戸市長田区 現社名:株式会社サンテレビジョン。

現所在地:同市中央区

岡山県[注 15] JOOH-TV 岡山放送株式会社 岡山市北区
香川県[注 15] JOVH-TV 株式会社新日本放送[注 16] 高松市 現社名:株式会社瀬戸内海放送
佐賀県 JOSH-TV 佐賀放送株式会社 佐賀市 現社名:株式会社サガテレビ
鹿児島県 JOKH-TV 鹿児島テレビ放送株式会社 鹿児島市
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さらに見る 放送対象地域, 呼出符号 ...
11月14日付で予備免許を受けた局
放送対象地域 呼出符号 業態 交付時社名 本社等所在地 備考
徳島県 JOXB-TV NHK 徳島教育テレビジョン 徳島市 実験局を減力して実用化
香川県 JOHP-TV NHK 高松(総合)テレビジョン 高松市
JOHD-TV 高松教育テレビジョン
佐賀県 JOSP-TV NHK 佐賀(総合)テレビジョン 佐賀市
JOSD-TV 佐賀教育テレビジョン
長崎県 JOWH-TV 民放 株式会社テレビ長崎 長崎市
熊本県 JOZH-TV 民放 熊本中央テレビ株式会社 仮事務所:熊本市中央区[注 17] 現社名:株式会社テレビ熊本
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視聴率

(関東地区、ビデオリサーチ調べ)[4]

  1. 第18回NHK紅白歌合戦(NHK総合、12月31日)76.7%
  2. プロボクシング・世界バンタム級タイトルマッチ「ファイティング原田×ベルナルド・カラバロ」(フジテレビ、7月4日)57.0%
  3. 連続テレビ小説 おはなはん(NHK総合、1月19日)55.7%
  4. プロボクシング・世界バンタム級タイトルマッチ「ファイティング原田×ジョー・メデル」(フジテレビ、1月3日)53.9%
  5. 連続テレビ小説 旅路(NHK総合、10月7日)52.9%
  6. ゆく年くる年(NHK総合、12月31日)49.0%
  7. プロボクシング・世界ジュニアライト級タイトルマッチ「フラッシュ・エロルデ×沼田義明」(TBS、6月15日)48.5%
  8. プロボクシング・世界ジュニアウェルター級タイトルマッチ「藤猛×ウイリー・クワルトーア」(TBS、11月16日)47.9%
  9. ニュース台風22号関連)(NHK総合、9月13日 7:00-7:20)44.4%
  10. スタジオ102(NHK総合、9月13日)43.2%
  11. ウルトラマン(TBS、3月26日)42.8%
  12. プロボクシング・世界ジュニアライト級タイトルマッチ「沼田義明×小林弘」(TBS、12月14日)41.9%
  13. ザ・ガードマン(TBS、9月22日)40.5%
  14. てなもんや三度笠(TBS、1月1日)40.4%
  15. プロボクシング・世界ジュニアウェルター級タイトルマッチ「藤猛×サンドロ・ロボポロ」(TBS、4月30日)39.9%
  16. 即日開票当選者当確者写真紹介(第31回衆議院議員総選挙)(NHK総合、1月30日 7:20-8:00)39.0%
  17. メキシコ国際スポーツ大会フラッシュ(NHK総合、10月28日 8:05-8:13)38.1%

テレビ番組

テレビドラマ

NHK
日本テレビ系
TBS系
フジテレビ系
NETテレビ系

子供向けドラマ

NHK
日本テレビ系
TBS系
フジテレビ系
NETテレビ系

テレビアニメ

特撮番組

バラエティ番組

クイズ番組

音楽番組

芸能番組

  • 古典芸能鑑賞(カラー)(NHK教育)[89]

トーク番組

ドキュメンタリー番組

紀行番組

  • 瀬戸内海・観光編シリーズ(カラー)(中国放送)- 中国放送初のカラーフィルムによる自社制作番組[90]

趣味・教養番組

報道・情報・ワイドショー番組

子供向け番組

映画番組

単発特別番組枠

特別番組

既存番組のカラー化

ローカルニュースのカラー化(兼:カラーフィルムによる報道取材開始)
  • 11月1日:NHK大阪放送局(当初は、午後7時と9時のニュースでの大阪ローカル部分のカラー化から開始。)[111]

参考文献

など

脚注

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