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原子力潜水艦シービュー号

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原子力潜水艦シービュー号
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原子力潜水艦シービュー号』(げんしりょくせんすいかんシービューごう、Voyage to the Bottom of the Sea)は、1961年SF映画地球の危機』の監督であったアーウィン・アレンが映画のセットをそのまま活用して1回60分の連続テレビドラマに再構成したものである。

概要 原子力潜水艦シービュー号, 原案 ...
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1964年から1968年まで、アメリカABC系列で4シーズンにわたり110話が放送された。[1]第1シーズンはモノクロで月曜日の夜19時半からの放送だったが、視聴率が良かったため[2]第2シーズン以降はカラー放送で日曜日の19時からの放映になった。日本(関東)では、1964年から1965年まで、NET(現テレビ朝日)で原子力潜水艦シービュー号のタイトルで第1シーズンが放送され、第2シーズン以降は、1967年から1969年にかけて、東京12チャンネル(現テレビ東京)で、原潜シービュー号 海底科学作戦のタイトルで放送された。[3]

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概要

要約
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シービュー号は、ネルソン海洋調査研究所(N.I.M.R:Nelson Institute of Marine Research)の所長、ハリマン・ネルソン海軍提督が設計し建造した、最新の技術を集めた海洋調査を主目的とする原子力潜水艦[4]第1話で暗殺された初代艦長に替わり、若きリー・クレーンが艦長に就任。海洋調査の他、諜報活動を含む軍事的任務から、巨大海洋生物や宇宙人との戦いまで、あらゆる任務に挑む、というのが本シリーズのストーリー。

元となった映画版と本テレビドラマの双方で同名のキャラクターが登場するが、それぞれの配役はほとんど異なっている。例えば、ネルソン提督は、映画ではウォルター・ピジョンが演じた。双方で同じ役を演じたのは、コワルスキー役のデル・マンローのみである。ストーリー自体も連続性はなく、映画と同じ出来事が第2シーズンのエピソード18(The Sky's on Fire 邦題:「燃える南半球」)で起こっているが、経過はかなり異なっている。シービュー号内部のセットは映画で40万ドルをかけて作られたものをそのまま利用しているため、低予算のTV番組でありながら豪華なセットとなった。固定されたセットと登場人物を使い、毎週色々な事件に遭遇していくというスタイルは、スタートレックを始めとする後のSF番組にも影響を与えた。[5]

時代背景は(制作時から見た)近未来が設定されており、登場人物の会話や番組冒頭のテロップで、1973年から1982年までの話であることが確認できる。シリーズは4年間の放送だったが、作中では足掛け10年が過ぎていたことになる。

本ドラマのシービュー号のクルーには近未来の設定であるにもかかわらず女性がいない。これはアーウィン・アレンがリアリティを追求し当時の現実の潜水艦の乗員には女性がいなかったことを反映している[6]。乗員以外でも女性の(準)レギュラー出演者と言えるのはサンタバーバラの研究所のネルソン提督の秘書くらいしかいないため、アメリカのテレビドラマとしては珍しく、女性が全く登場しない回が多くなっている。(当初のターゲット視聴者は男性の20代・30代であったので、TV局側は毎週ゲスト女優を登場させることを要求した。しかしアーウィン・アレンは女優の扱いが上手くなかった。[7])アーウィン・アレン制作の他のテレビ・シリーズでは、全て女性のレギュラー出演者がいるために、このようなことは起こっていない。また、アジア系は登場するものの[8]、全編を通してアフリカ系アメリカ人が登場しない。(ただこれはこのドラマに限ったことではなく、1964年公民権法が成立する前のアメリカのTVドラマではごく普通のことだった。こうした状況が改められるのは公民権法後の1966年スタートの「スパイ大作戦」や「宇宙大作戦」の頃からで、アレン作品では1968年スタートの「巨人の惑星」からである。[9])なお本作品のゲスト俳優には、ジェイムズ・ダレンタイムトンネルのトニー)[10]、ホイット・ビッセル(タイムトンネルのカーク所長)[11] 、ジョン・ザレンバ(タイムトンネルの老科学者スウェイン)[12]ジューン・ロックハート宇宙家族ロビンソンのモーリーン・ロビンソン)[13]など、他のアーウィン・アレンの1960年代のTV作品に登場する俳優が多く登場している。

制作予算の節約のために、シービュー号の航行や戦闘などの特撮シーンは、毎回のように使い回された。映画「地球の危機」からの流用シーンも多い。シービュー号の外観は第2シーズンでフライングサブの登場に合わせて変更されているが(特に目立つのは観測窓で当初は上下2列だったのが1列になった)、流用シーンは当然旧型のままなので、前後のつながりに混乱が生じている。その他の映画からの流用も行われ、中でも同じアレン制作の「失われた世界」の恐竜登場シーンは、たびたび使用されている。[14]

本シリーズは、当初は当時の冷戦の激化を反映し、ソ連や中国や東欧諸国を想定している敵国の陰謀と戦うという話や、核戦争危機に関するシリアスな話が多かった。第2シーズンに入ると007映画のヒットに始まるスパイ・ブームの影響を受け、外国などのスパイが艦内に潜入したり、乗組員が諜報活動に従事したりする話も多く作られた。やがて、同じアレン制作の「宇宙家族ロビンソン」が、子供向きの内容にシフトして成功したのを受けたのと予算の削減もあって、同様の路線転換が行われた[15]。宇宙人や怪物などの登場を増やしたのがそれである。怪物は海洋の巨大生物ばかりでなく、亡霊[16]狼男[17]人魚半魚人[18]、蘇生したミイラ[19]など、さまざまなバリエーションが登場し、潜水艦の中を舞台とする意味がほとんど無い、ほぼ荒唐無稽な物語と化してしまった。クレーン艦長役のデヴィッド・ヘディソンは、例えば映画「失われた世界」の時でも、名優クロード・レインズ(チャレンジャー教授役)にろくな演技もさせないで、恐竜が主体の映画を制作したアーウィン・アレンに批判的であり、こうした「今週の怪物」路線が一時的に視聴率的には成功しても、役者にとっては非常に苦痛であったと述べている。ヘディソンはアーウィン・アレンは良いセールスマン、良いプロデューサーであったが良い監督では無かった(役者の使い方がまるで駄目)としている。[20]。結局、この路線転換は却って視聴率の低下を招き、第4シーズンで特に最終回的なストーリーも無く中止が決定された。

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シービュー号

要約
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諸元

ハリマン・ネルソン提督の設計した、最新鋭原子力潜水艦。艦内は3階構造。正式名称は、S.S.R.N. Seaview (Submarine Ship Research Nuclear Seaview)。[21]全長406フィート(124m)、全幅77.5フィート(24m)、全高64フィート(20m)。[22]潜航時の最高速度は推定で40ノット(74Km/時)超。[23]圧壊深度は4,500フィート(1,372m)程度。(深度計のレッドゾーンは4,000フィート~5000フィートになっている)[24]艦首は透明な観測窓となっているが[25]、非常時には外側の防御シャッターと艦首部と操縦ルーム間の隔壁を閉じる。

所属としては民間の機関であるネルソン海洋調査研究所の所有物である。第1話では「水に浮かぶ最強の兵器(the mightiest weapon afloat)」として紹介されている[26]。またアメリカ軍から軍事的任務の委託を受けており、民間所属の潜水艦でありながら戦略兵器であるポラリス型核ミサイルを装備している。[27]

劇中に出てきた展望室のプレートによると、1972年9月15日建造を開始し、73年6月15日に就航した。

母港は、ネルソン研究所のあるサンタバーバラであり、研究所の地下500フィート(152m)の所に発着ポートがある。

第2シーズンからの番組のカラー化に伴い改修がなされ、上下2列だった観測窓が1列になり、展望室とコントロールルームが直結された。また、艦首下部にフライング・サブの格納庫と、その発着口が作られた。 なお、原子力潜水艦であるので当然原子炉を備えているが、第2シーズンまではエンジンルームのシーンは一度も登場せず、放射線危険の表示すら出てこない。それが第3シーズン以降は一転して何度も登場する。しかしながら、クルーが放射線防護服も着用せずエンジンルームに入ったり、制御棒を素手で扱ったりと、ありえないようなシーンが複数の脚本家によって書かれている。[28]

主要装備

  • 魚雷発射管:4門。但し各回によって艦前方に発射したり、後方に発射するケースが入り交じっており、発射口の正確な位置は不明[29]。相手の潜水艦の熱を感知して追走する熱感知魚雷[30]や超音波魚雷[31]を備える。第4シーズンのエピソード13では核弾頭魚雷[32]も使用された。敵のエージェントなどによって艦内に仕掛けられた爆発物を艦外に放出するためにも何度か使われている[33]
  • ミサイル発射管:16門。ポラリス核弾頭ミサイルを発射可能。戦略核ミサイルの発射にはまずアメリカ大統領が「戦争」を宣言した後、ネルソン提督とクレーン艦長を含む4人が持つキーで4箇所のロックを解除して、なおかつ発射ボタンを押すのに大統領の最終許可が必要であると説明されている回[34]と、そういうフェイルセーフシステムがまったくなく発射可能な回[35]とが入り交じっている。またこの発射管から宇宙船を打ち上げるという回[36]も存在する。その他、航空機に対する迎撃ミサイルも存在する[37]
  • 高圧電流:シービュー号に海の怪物等が接触した場合には、艦の外殻に原子力エンジンで発電した高圧電流を流して撃退する、というストーリーが数回存在する。[38]
  • レーザー光線:第1シーズンではシービュー号は近接した敵には高圧電流以外には攻撃手段が無い(近距離で魚雷を使用すればシービュー号自身も爆発のダメージを受ける)状態だったが、第2シーズンでフライング・サブが登場すると同時に、艦首から発射できるレーザー光線が装備された。
  • ミニ・サブ:2人乗り小型潜航艇。気密性はなく、潜水服着用で搭乗する。フライング・サブの登場で、あまり使われなくなった。
  • フライング・サブ(FS-1、FS-2):第2シーズンからカラー放送になり、また日曜日の19時からという子供も多く観る時間帯になったため、テレビ局からより一般受けする工夫を依頼され、アーウィン・アレンが考案したもの。気密性を持つマンタ形の小形潜水艇であり、潜水状態から海面に浮上しそのまま飛行出来、また逆に飛行状態からそのまま潜水に移る能力を備える。水中での最高速度は60ノット、空中での最高速度はマッハ2。[39]艦首下部の格納庫から発進する。原則的に2人乗りだが、それ以上の人が乗っているシーンも存在する。シービュー号本体と同様、レーザー光線を発射出来る。シービュー号よりはるかに高速で移動出来るため、ストーリーの幅が拡がった。
  • 潜水球(ダイビング・ベル):主にシービュー号やフライング・サブで潜行不可能な深海の探索用の球形の小形潜水装置。シービュー号本体から、ワイヤーで下ろされる。海底で座礁した潜水艦の乗組員の救助用にも使用される。
  • コンピューター:操舵室に、如何にも1960年代的な汎用コンピューターが装備されている。単純な計算や分析、暗号通信の解読を行うだけでなく、時にはシービュー号の危険を回避する方法をクレーン艦長に教えたりしている[40]
  • エスケープハッチ:ダイビングギアを着用して水中に出るための出入り口。ミサイルルームの中にある。第2シーズンから注水した際の水位計にカラーのボールが追加された。
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登場人物とキャスト

要約
視点
ネルソン海洋調査研究所の所長であり、シービュー号の設計者兼最高責任者。同時にアメリカ海軍で提督でもある。天才的な科学者で、しばしば極めて短時間で新規の装置を作り上げている。科学を重視する余り、時にはシービュー号のクルーを危険にさらしクレーン艦長と議論になるストーリーも存在する。家族は実の妹が一人いるだけである。[41]第2シーズンの最初の方では、ジェームズ・ボンド並みのスパイ活動も行い、女性との濡れ場も演じた。[42]先祖には奴隷貿易で巨利を得た者がいる。[43]ネルソン提督を演じたリチャード・ベースハートは、1956年制作ジョン・ヒューストン監督、グレゴリー・ペック主演の映画「白鯨」にもイシュメイル役で出演した名優である。(なお、第1シーズンのエピソード14は巨大な鯨に自分の息子を殺された科学者がシービュー号を使って復讐しようとする白鯨もどきの内容である。)
第1話でシービュー号の初代艦長ジョン・フィリップが某国により暗殺されたため、ネルソン提督から召喚されアメリカ海軍を離れ、シービュー号の艦長に就任。ネルソン提督とは艦長に就任する前に海軍で一緒に仕事をした経験がある。家族の話は出てこず、おそらく独身ではないかと思われ、ストーリー中では女性とよろしくやっているシーンもある。艦長としてはきわめて有能で、指導力を発揮して数々の危機を乗り越え、クルーから「スキッパー(艦長)」と親しみをこめて呼ばれている。[44][45]
普段はシービュー号の操船指示を担当するが、ネルソン提督とクレーン艦長が不在の際は艦長を代行する。沈着冷静で有能な副官。
  • カーリー・ジョーンズ:ヘンリー・カルキー(声:諏訪孝二)(ヘンリー・カルキーは1965年に死亡しており、第1シーズンのみの登場)
ミサイルルームの責任者で、ミニサブの管理も担当する。演じていたヘンリー・カルキーは元ボンバー・カルカヴィッチというプロレスラー。[46]
  • フランシス・エセルバート・シャーキー:テリー・ベッカー(声:椎原邦彦)(カーリー役のヘンリー・カルキーの死により第2シーズンから登場)
カーリー・ジョーンズの後任として第2シーズンから登場。ミサイルルームの責任者で、チーフと呼ばれており、魚雷やミサイルの発射ボタンを押す役目を担っている。三枚目的性格でしばしば笑いを取るが、正義感と責任感はとても強く、しばしばネルソン提督やクレーン艦長と一緒に行動し、二人をよくサポートしている。
  • ライリー:アラン・ハント(声:市川治
シャーキーと同様、第2シーズンから登場。演じているアラン・ハントがベトナム戦争に従軍することになったため、第2シーズンの16のエピソードのみに登場。[47]
ミサイルルームで実務を担当したり、ソナーやレーダーを担当している。実兄はアメリカ海軍におり、深海ダイビングの専門家。名前からしてロシア系アメリカ人と思われ、ロシア語が出来る。エイリアンや蘇った海賊などに操られるという話が多くある。
  • パターソン:ポール・トリンカ(声:嶋俊介
艦内の様々な実務に従事。父親はTVのカメラマン。致死量の放射線を浴びて死にかけたり、銃で撃たれたりと損な役回りを演じることが多い。
  • スパークス:アーチ・ウィティング(声:緑川稔
無線担当。
  • ドクター(艦医):リチャード・ブル(声:千葉順二
シックベイで、乗組員の怪我や病気の治療を担当するだけでなく、時には新しいウィルスのワクチンまで開発したりする。外部からの侵入者や、何かに操られた乗組員によって暴行を受けることも多い。
  • 日本語吹替版ナレーター:浦野光

[48]

原語版スタッフ

[49]

日本語版スタッフ (東京12チャンネルでの放送分[50])

  • 翻訳:木原たけし/宇都木道子(日本語版第57話~)
  • 効果:東北新社
  • 特殊音響効果:中村忠康
  • 録音:市ヶ谷スタジオ/三栄スタジオ(日本語版第57話~)
  • 調整:前田政信/前田仁信(日本語版第27話~)/笹岡栄太郎(日本語版第57話~)
  • 録音担当:中里勝範(日本語版第19、20、54話)/伊藤敏弘(日本語版第30話)/栗原秀人(日本語版第31、32、53、64、67話)
  • 演出:旭谷暘
  • 監修:福島正実
  • 制作:毎日放送/東北新社/東京12チャンネル(日本語版第57話~)

[51]

全放映リスト

要約
視点

出典[52]

さらに見る 全シリーズでの通算番号 ()内は日本での放送順, 各シリーズでの 通算番号 ...

上記以外に、第1話のカラーのパイロット版(放送されたものとは別テイク)が存在し、英語版DVDに収められている。

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関連作品

  • 『原子力潜水艦シービュー号』 : シオドー・スタージョン著、井上勇訳、創元推理文庫(東京創元社) - 映画『地球の危機』のノベライズ版。絶版。
  • 『深海の宇宙怪獣』(SF名作シリーズ[55] ; 13):スタージョン 作、福島正実 訳、伊藤展安 絵、偕成社、 1968年、 - TV版の「Monster from the Inferno 地獄の使者」と「The Cyborg サイボーグ」のノベライズ。絶版。[56]

目次: 南太平洋の怪物 6 シービュー号出動! 11 ひかる隕石 20 ヘビのような光線 24 クレーン艦長の心配 30 宇宙生物の命令 34 地球人ヲ奴隷ニ! 38 勝ちほこる怪物 46 せまりくるわな 51 もうごめんだ! 58 提督の決意 63 すくわれた艦長 70 成功か蒸発か? 77 ナゼ人間ハ戦ウノカ? 83 サンターバーバラヘ 88 授賞式 94 国際生体工学研究所 99 ウルリッヒの陰謀 105 ふたりのネルソン提督 111 新型電子計算機 116 いがいな味方 120 こちら太平洋艦隊司令部 126 ミサイル発射暗号 130 狂気のトリック 139 さいごの手段 147 あかるい笑い 164 「深海の宇宙怪獣」について(解説) 168

  • 『シービュー号と海底都市』 : ポール・W・フェアマン英語版著、高橋泰邦訳、創元推理文庫(東京創元社) - 本作のノベライズ版(映画版ともTV版とも違うオリジナルストーリー)。絶版。
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脚注

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関連項目

外部リンク

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