日本の政治家 (1982-) ウィキペディアから
石丸 伸二(いしまる しんじ、1982年〈昭和57年〉8月12日[1] - )は、日本の政治家。元広島県安芸高田市長(1期)。再生の道党首。
この記事は中立的な観点に基づく疑問が提出されているか、議論中です。 (2025年2月) |
広島県高田郡吉田町(現・安芸高田市)生まれ[2]。吉田町立吉田小学校、吉田町立吉田中学校(現・安芸高田市立吉田中学校)、広島県立祇園北高等学校(16期生)を卒業し、浪人を経て[2]、京都大学経済学部へ進学[3][4]。2006年、同大学経済学部卒業後[5]、三菱東京UFJ銀行に入行[4]、姫路支店に配属[6]。
2014年[5][7]、為替アナリスト[5]として三菱東京UFJ銀行子会社MUFGユニオンバンク[8]初代ニューヨーク駐在として赴任し、以後は4年半にわたってアメリカ大陸の主要9か国25都市で活動[4]。帰国後は東京に住む[2]。2020年7月、同行を退職[9]。
2020年7月3日、第3代広島県安芸高田市長の児玉浩が前年の参院選広島県選挙区をめぐり、衆議院議員の河井克行から現金計60万円を受け取ったことの責任をとり市長を辞職し[10][11][12][13]、7月5日には副市長の竹本峰昭が児玉の辞職に伴う市長選挙に立候補する意向を固めたことを地元新聞社が報道する[14]。
これらを受けて「他に立候補を表明している者はいない」と伝えるニュースを知った石丸は7月7日、立候補を決断した。東京で仕事をしていた石丸は「無投票で市長に選出されそうだな。」と思うも、その直後に「無投票にさせないためには自分が出ればいいと思って飛んで帰った」という[15]。
翌7月8日に退職願を出した[3](7月8日は在宅勤務で、「退職します」と会社に連絡を入れた[5])。
7月22日、正式に出馬表明した[16]。
同年8月9日に行われた市長選挙(当日有権者数:23,696人 最終投票率:56.98%)で8,076票(得票率60.18%)を得て、対抗馬の竹本前副市長との一騎打ちを2,732票差で制して初当選した[17][18][19]。同年8月9日、第4代安芸高田市長に就任[9]。
2023年11月30日には2024年8月の任期満了に伴う安芸高田市長選挙に、藤本悦志(元・郵便局長、旧高宮町職員)が広島県庁で記者会見して立候補を表明したことを受け、石丸は「続けるとも続けないともまだ決めていない。選挙の日の1か月前ぐらい前は検討するかもしれないと思っている」と語った[20][21][22]。
石丸は2024年5月10日午後の臨時記者会見で[23]、任期満了に伴う7月の安芸高田市長選に不出馬を表明した[24][25][26]。安芸高田市長退任後も既存政党に所属せず政治家を続ける意向で[27]、広島県内外の全ての選挙が対象とした[28]。7月の東京都知事選挙への立候補を問われると「前向きに検討する」と語り[29]、「国政選挙に出馬する可能性は低いが、この先の選挙全てが選択肢だ」とも説明した[30][31]。石丸は、衆議院の解散総選挙がある場合、広島1区で出馬する可能性があると述べ[32]、その場合は、市長任期満了日よりも早く辞めることになる。同日の中国新聞の取材に、安芸高田市議会議長の大下正幸は「市長の判断なのでコメントは控えたい」と述べた[33]。同市議の山本優は「対議会で注目は集めたが、政治への関心とは別物。まちづくりの政策は見えなかった」と評した[33]。同市議の南沢克彦は「財政の課題を多くの市民と共有できたのは評価できる」「これだけ話題になったので、市民の審判を仰いでほしかった」とした[33]。
2024年5月20日夕方[34]、石丸は安芸高田市議会議長宛てに、6月9日付けで市長を辞職するとの「退職申出書」を提出した[35][36][37]。翌5月21日、議長の大下正幸が市長の石丸の辞職を安芸高田市選挙管理委員会に通知した[38]。
2024年5月22日、広島県安芸高田市選挙管理委員会は、石丸の市長辞職に伴う市長選の日程を6月30日告示、7月7日投開票と決めた[39][40]。
2024年5月16日、石丸は東京都内で行われたセミナー「Climber(クライマーズ)2024[41][42]」(主催:eight・テレビ東京・GOETHE[41])で東京都知事選挙(2024年6月20日告示、7月7日投開票)に出馬する意向を表明した[43][44]。
同年5月17日、広島市内で記者会見を開いて東京都知事選の立候補を正式に表明し、「やらないといけないことがある。地方の衰退、これを止めるという作業だ」と動機を語り、無所属・政党推薦なしで出馬することも明らかにした[45][46][47]。
石丸はこれら出馬会見動画は自身の許可なくネットなどに全編をアップすることは認めないとし、既にアップされたものがあれば削除するようポストしたが、ネット・メディアなどからは、これらの公開は政治上のもので著作権法上は石丸がそのような要求をすることはできない、言論弾圧であるとの批判の声があがった[48]。
2024年6月6日、安芸高田市民文化センター クリスタルアージョ 2階文化ホールで、安芸高田市長退任式が行われ[49][50]、職員約200人のほか、市民や市長の支持者ら約260人の合計約460人が集まった[51][52][53]。石丸、最後の登庁日となった[49]。
2024年6月20日、2024年東京都知事選挙への立候補届け出を実施[54]。
都知事選の選挙資金は、鳥羽博道を中心とする東京ニュービジネス協議会のメンバーなどから5000万円の資金を借り受けた[55]。石丸の後援会長となった鳥羽はもともと政治好きで知られ[56]、鳥羽はかねて日本の少子化や財政破綻に危機感を感じていた中、動画で石丸を知って日本を救える人と直感、都知事選に出るという話を聞いて「あなたこそ日本を変えられる人だ」と手紙を書き、石丸は5月下旬に安芸高田の市役所に届いた手紙に「応援してるから頑張れ」とあったので6月初旬に都内に会いに行ったとされる[57][58]。石丸の選挙決起集会には、第二電電(現・KDDI)を共同創業者の一人でイー・アクセス株式会社やイー・モバイル(現・Y!モバイル)の創業者でもある千本倖生や、彦根市市長の和田裕行も応援にかけつけた[59]。
選挙プランナーは、従来型の伝統的な選挙手法[60]ながら、多数の候補者を当選させる実績をあげ「選挙の神様」の異名を持つ藤川晋之助が務めた[61]。藤川によれば、6月頃に石丸が藤川のもとを訪ねて選挙手伝いの依頼があり、その時は断ったものの、ドトールコーヒー創業者の鳥羽博道名誉会長からあらためて選挙参謀の依頼があり引き受けることになったとする[62]。
都知事選で選挙対策本部長は、TOKYO自民党(当時会長:萩生田光一)のTOKYO自民党政経塾(塾長:深谷隆司)の塾長代行を務めていた小田全宏で[63]、小田は深谷の娘婿でもあった[64]。小田全宏は、もともと石丸の市議会での活動をYouTubeで観て知ってはいたが、2024年6月頃、石丸の著書を発行した出版社から紹介され、その後石丸陣営に入っていた選挙プランナーの藤川晋之助から依頼を受けたという[65]。(自民党自体は都知事選において裏金批判を恐れた小池百合子の意向を踏まえ小池の推薦を見送ったもののその後の国政選への影響を恐れ負けないことを至上課題に各種団体への働きかけといった形で小池の支援に回っていた[66]。)
他党からは、日本維新の会は馬場伸幸代表・藤田文武幹事長、柳ヶ瀬裕文総務会長、音喜多駿政調会長と幹部が揃って石丸に会い自党推薦を申出があったが、かねて政党の支持は受けることはあっても推薦は受けないとしていた石丸は、政党色が付くことを嫌い断った[67][68]。これに怒った柳ヶ瀬・音喜多らは都知事選で維新の地方議員が石丸を支援することを事実上禁じた[69][70]。都知事選後これについて、音喜多駿は石丸側から支援の要請があったとし維新側からは推薦や政策協定とかを結ぶ形でならあり得ると返答、1度持ち帰って検討した石丸側が「政党色はできるだけつけたくない」という理由で断わってきたものと主張している[71][72]。
選対本部長を務めた小田全宏が、自身が真言宗大本山弘法寺の管長を務める仏教徒であるものの[73]、統一教会の機関紙である「世界日報」に寄稿したことがあったこと[74]、旧統一教会系新聞『世界日報』[75]が運営するYouTubeチャンネル「Viewpoint公式チャンネル」の企画の一つ、「パトリオットTV」[76][77]で長らくキャスターを務めていた田村重信[78][79][80]が、2024年6月20日の石丸の事務所開きで挨拶したり[81]、石丸の街頭演説で選挙カーに乗って応援演説を行ったこと[82]から、石丸の選挙活動に旧統一教会が関係しているのではないかとの疑念を招いた[83]。
西村博之は田村重信が石丸の選挙カーに乗っていたことから旧統一教会との関係性について批判、西村と石丸との間でX上での応酬が見られた。当初、石丸は田村が選挙カーに乗ったことを否定したものの、結局、SNS上にその写真があり、その事実を認めた[84]。その後、石丸自身は、統一教会との関係性はないと自身の公式X上で述べているが、選挙カーに乗った経緯や、後援会のXで述べられた、田村が初日に選挙カーに乗ったことはないという誤った情報発信についての釈明はなされていない。「ReHacQ(リハック)」の公式ユーチューブチャンネルに生出演した際にあらためて統一教会との関係を問われ、田村の登壇について自分が全部チェックできてたわけじゃないのでいつ間にかいらっしゃったっていう感じだと否定している[85]。なお、石丸自身は、2022年夏に中国新聞が 広島県内の首長と県議、広島市議を対象に旧統一教会との関係性について取材を行った際には、回答を行っていない[86]。
選挙演説の動画は、ウェブ会社の経営者らで作る「ネット選対」が指揮を執ってボランティアによって組織的に拡散された[87]。さらに動画を見た人からの支援や寄付が集まり、ボランティア数は4000人とも5500人に達したともいわれる[87]。こうして集めたボランティアはビラ配りなどに投入され、1日15万枚のビラを配る態勢が構築されたという[87]。実際に、北海道・沖縄のような遠方から来た人もいたようだとの証言もある[88]。一方で、藤川晋之助によれば、彼らの中には指示もされない内に始めから自身らでポスター貼りの地域分担を決め手際よく進めていく者もいたという[89]。通常の選挙演説の聴衆と異なり、石丸の聴衆は早めに大量に集まる特徴が見られたという。有田芳生は、蓮舫に帰れコールを浴びせていた百人ほどのグループが蓮舫の街宣車が去ると石丸の聴衆に合流するのを見たといい、彼らの正体に興味を持っている[90]。ただし、統一教会の事実上の機関紙である『世界日報』の選挙後の7月中旬頃の寄稿記事であるが、週刊新潮の石丸特集記事の内容を追う形で決して手放しで石丸支持ではない[91]。
藤川のプランに基づいて17日間の選挙期間中に都内200か所以上で街頭演説を行う選挙戦を展開した。通常は1日2~3か所で1日10か所のペースとなるが、藤川によれば、石丸はトライアスロンをやっていたため体力があり夕方になっても疲れていなかったといい、街頭演説を行った地域では得票数が蓮舫に負けなかったとしている[92]。小さな問題はどうでもいいとして政策は語らず「政治を変える」という話ばかりをして、演説は15~20分程度で短く済まし、また、本人は演説は決してうまくない、中身がない、との評価もあったという[93]。しかし、聴衆は石丸の話にウォーと歓声をあげ、ネットなどに石丸をアップすることを目的にスマホやカメラで撮影していた、のちに石丸信者と評されるような人々が「石丸はスゴい」と騒いで帰っていき、マスコミの注目が集まるに連れ、街頭演説の場には動員をかけずとも千人程度の聴衆が集まっていった[92][94]。石丸陣営は自ら録画配信する他、聴衆やボランティアスタッフに動画を撮りSNS上で拡散することを呼びかけ、また、街頭演説を生配信する者も居た[95][96]。もともと石丸動画の切り取り編集をしていたとみられる者も多く録画に来てユーチューブなどに公式以外にも多数の応援サイトが立ち、公式を超える再生回数のものもあり、総計視聴回数は1億5千万回越え、全候補者中で最大の視聴数を記録した[97][98]。選挙本部や街宣車には「SNS投稿OK」「撮影・拡散OK」といったステッカーや貼り紙がされていた[99]。さらに、安芸高田市長時代以来の石丸の切抜き動画を作成し再生回数が伸びることを期待していると思われる者らが撮影に来て彼らは編集動画をSNS上にアップ、それらの再生回数もともすれば公式アカウント以上に伸びた[100][101]。
2024年7月7日に2024年東京都知事選挙の投開票が行われ、現職東京都知事の小池百合子が当選、同じく都知事有力候補であった元立憲民主党参議院議員の蓮舫を得票数で上回り、得票数2位の成績を残す[102]。
都知事選で石丸の支持が増えた背景には、公式YouTubeやTikTokの「切り抜き動画」をはじめとする支持者発信のショート動画での露出度や、既成政党への不信感を抱える、主に無党派層へのSNSを通じた訴えかけが奏功したことが指摘されている一方で、SNS動画を背景にした支持の広がりに対しては、ネットのマーケティングを鵜呑みにした短絡的な投票行動として捉える懸念の声も寄せられている[103]。
都知事選投開票日の7月7日夜、報道陣から今後の政治活動として国政挑戦の可能性を問われた石丸は「まだ決めていない。(国政進出については)選択肢としては当然考える。例えば衆院広島1区。岸田文雄首相の選挙区です」と述べ、自身の新党結成についても「可能性はあるんじゃないですか」と含みを見せた[104][105][106]。一方で都知事選後の7月20日・21日に毎日新聞が行った世論調査では、石丸の国政進出について、「期待する」が28%、「期待しない」は53%だった[107]。
7月22日午後、石丸はユニクロを運営するファーストリテイリングの会長兼社長の柳井正と、都内の商業ビルで小一時間ほど会談を行った。これまで柳井は政治と距離を置いてきたが、第二電電創業者の千本倖生の仲介で会うことになったという[108]。柳井が日本経済の今後などについて質問し、石丸がこれに応じていたという[109]。しかし、週刊文春によれば、内容は柳井の期待に沿うものではなかったようで会談後の記念撮影さえ柳井は断ったとされる[110]。しかし、この点については、同じく出席していたドトールの鳥羽博道は、記事が出た後、柳井から電話があり、『自分はそんな風に言ってもいなければ思ってもいない。誤解されたくないから石丸さんに伝えてほしい』と言われたので、その言葉を石丸に伝えたと主張する[111]。
2024年8月2日、滋賀県彦根市の「一日市長」に就任し[112]、彦根市役所に登庁し取材を受け、庁内や彦根城を視察した[113]。同日石丸は次期衆院選について、「各党の党首の選挙区に行って(出馬し)、一騎討ちを申し込むのも選択肢としてはありだ」と述べ、具体的な選挙区として立憲民主党の泉健太代表が地盤とする京都3区と、維新の馬場代表の大阪17区を挙げた[114]。
同月18日には自身のYouTubeチャンネルで改めて次期衆院選に言及。9月に立憲民主党代表選挙が行われることから、新たな立民代表の選挙区から出馬するアイデアを披露した。「自分の政治生命をかけて国民に訴える姿勢をみせないと思いは伝えられない。そのときは自民も公明党も協力して(候補を)立てないで」と述べ、衆院選は立民候補と一騎打ちで臨みたい考えを示し、「立民の代表に勝ったら僕を(立民の)党首にしてください。乗っ取ります」と語った[115]。同月27日配信の経済ニュースメディア「NewsPicks」のYouTubeチャンネルに立民の江田憲司元代表代行と共に出演し、江田から、“立民乗っ取りプラン”についてテロップを通じて大歓迎の意向を受け取った。また、江田は石丸の“立憲乗っ取りプラン”の説明に、理解を示すようにうなづきながら聞いていた[116]。
2024年10月15日、同月27日投開票の第50回衆議院議員総選挙が公示されたが、石丸は立候補を届け出なかった[117]。投票日前日の10月26日には東京駅前で国民民主党の選挙カーに登壇し、聴衆に投票に行くよう呼びかけた。登壇理由については偶然通りかかったと述べ、「国民民主の応援ではない」とも説明した[118]。
11月12日、自身のYouTubeチャンネルで翌年に予定される東京都議会議員選挙に向け、地域政党を立ち上げると表明[119]。19日に国民民主党の玉木雄一郎代表とYouTube番組で対談し、石丸は「(国民民主は)参院選に集中するのがお互いのためだ」「うまく歩調が合わせられるなら、僕が国民民主に(参院選で)何かお手伝いをしたい」と述べ、都議選と同時期に予定される第27回参議院議員通常選挙で互いに候補者をすみ分けるなどの連携を提案。玉木はこれに対し「石丸新党を見定めたい」として、明確な回答を避けた[120]。
再生の道(さいせいのみち、英語: The Path to Rebirth)は2025年1月に石丸が設立を発表した東京都の地域政党(政治団体)[123][124]。石丸自身は立候補せず、候補者を公募し、2025年東京都議会議員選挙で42の選挙区に候補者擁立を目指す考えを示した[124][125]。
2024年11月12日に、自身のYouTubeチャンネルでライブ配信を行い[126]、2025年夏の都議選に向する方針け地域政党を結成を表明し[127][128]、候補者を募る考えも示した[129]。
2025年1月15日に会見を開き、同年1月10日付で新党「再生の道」を設立したと明らかにした。党議・党則は設定しないとし、多選の制限として2期8年の上限を設ける。
党としての政策は特に設けず、党員の他党との掛け持ちも認める。
設立発表後の1月18〜19日に朝日新聞社が行った世論調査では、「再生の道に期待する」と回答した人は36%で「期待しない」と回答した人の50%を下回った。なお、18~29歳の男性では「期待する」が6割を超えるなど若年層の男性ほど期待する人が多い結果となった。また、政治に関するSNSや動画サイトの情報を重視している層では、「期待する」が51%と過半数を占め、SNSなどを重視しない層では、「期待する」は29%にとどまった[130]。
また、1月24〜26日に日本経済新聞社とテレビ東京が合同で行った世論調査では、「再生の道に期待する」と回答した人が33%、「期待しない」と回答したのは58%であった[131]。また、国民民主党支持者に限れば「期待する」と回答した人が53%と過半数を超えた[132]。
石丸は2020年9月の所信表明の基本方針において、財政健全化と行政改革を掲げ、市政において「政治再建」「都市開発」「産業創出」の3つを政策の柱とし、「世界で一番住みたいと思える街」を目指し推進してきた[133]。
2023年10月12日には市長任期が残り1年を切った中で、就任時に掲げた政治再建に関し「ほぼ達成した」との見解を、市議会定例会で議員の一般質問に答えて示した[134]。
2023年10月22日、市民に対し行われた市の『財政説明会』では日本の少子化問題について、自ら市民に安芸高田市の財政状況とともにこの先20年〜50年先の未来における人口減少に伴う日本の危機について説明を行った。市長が予算や補助金をみな削減しようとしている、市長と議会がもめていると聞いて、それを憂慮して参加したとする市民の一人は、今のような話を聞けば市民は削減も理解するだろう、しかし理解できていない市民も多い、市長は市民にそれを正しく伝えなければならない、そのために一番大事だと自分が思うことは市長が議員ともめないこと、議員も年輩ばかりで市長についていけないのだろう、「20年〜50年先がこうなる」といったことを言った市長はいない、今まではいい加減だった、市民も議員も削減の必要性を理解していないため市長はそれを理解させなければならない、一番先に市長は議員に説明しなけれならないと、石丸に訴えた[135]。
これに対し、石丸は自分は思ってないことは言わないし、思っていることはストレートに言う人間だとしたうえで、自分は財政状況を説明しているしこれほど説明している自治体は自分は知らない、である以上あとは知らない、知らない市民がいるとか理解していない議員がいるといったことは自分の責任ではない、自分がやるべきことはやっていると主張した[135]。
実際の財政状況については、就任以前の2016年度から2019年度決算までは実質単年度収支は赤字となっていったが、2020年度、2021年度決算では黒字、2022年度決算では再び赤字に転じている[136][137][138]。同様の収支推移は近隣の同規模の自治体(庄原市や大竹市)でも見られ、2020年度、2021年度はコロナ禍にかかる支援措置の影響で一時的に黒字に転じたのみである[136]。
2020年10月、元市長が2017年に開始した田んぼアート事業を、事業採算の見通しが立たないことなどを理由に中止した[139]。
2021年2月、行政が関与し男女の結婚を後押しする婚活事業を、当年度限りで打ち切りを決めた[140]。安芸高田市では、同事業を開始した2009年からの12年間で計約4,600万円をかけ、59組が結婚に至っていた[140]。
中止の理由として石丸は「行政が関わることで結婚しないといけない、子どもを持たなくてはいけないという強迫観念が助長されかねない」と指摘[140]。「異性婚を前提とし、LGBTの方々への配慮も欠いている。今の時代では公共性が損なわれている」と述べ[140]、X(旧Twitter)においては以下の3つを挙げ、最も重要なのは3番目の理由であると述べた[141]。
市議会において「強迫観念の助長について、そのような事実があるか」と問われた際には「助長しないと断言する理由を探すのが難しい。事実、私はそのように思っている」と答えた[142]。毎日新聞の取材に対しては、子どもの権利保障や経済支援を充実させるべきであり、結婚奨励は必ずしも少子化対策にならず、多様性の流れに逆行し時代錯誤との持論を述べた[143]。
2023年度の予算編成の際に、安芸高田市観光協会が800万円もの繰越金を保有していたため[要出典]、同協会への補助金を半減する方針となった[144]。協会は2023年3月に解散、事業は市が引き継ぐことになった。無印良品出店については#無印良品出店計画の専決処分と否決を参照。
安芸高田市公共施設等総合管理計画を改定し、公共施設の廃止計画を作成した[145]。これに従い、八千代の丘美術館[146]や吉田老人福祉センター[147]が廃止、あるいは廃止予定となった[145]。
2022年11月28日、石丸は生徒数の減少を理由に、市内にある6校ある公立中学校を1校に統合する方向で、保護者に説明していく意向を表明[要出典]。市は2校に統合しても、統合してから6年後にはクラス替えが難しくなる見通しであるとして、1校に統合して生徒数を確保しながら新たな校舎を建てる方向で検討を進めたいとしているが、保護者を対象にしたアンケートでは、校数については2校が4割と最も多く、3校案と1校案がそれぞれ3割と意見が割れている[148][149]。
2023年12月23日、市民文化センターにおいて「スーパーボンバーマンR2(コナミ)」を競技種目としてeスポーツ大会を開催。小学生から高校生までの33人が熱戦を展開した[150]。
2021年10月1日、希望者を対象とした宣誓及びパートナーシップ宣誓受領証等の交付を開始した[152]。制度趣旨としては性別等に関わらず、日常生活において協力し合うことを約束した二人がパートナーシップの関係にあることを宣誓できる制度である[152]なお従来の婚姻制度とは異なり法律上の効果はなく、誰もが安心して暮らせるよう安芸高田市が応援する制度として導入したものである[152]。
2024年4月、パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度をスタート[153]。
市長記者会見、および市の広報紙「広報あきたかた」において、地元メディアである中国新聞・中国放送(RCC)に対し、「偏向報道」「取材不足」「印象操作」などと度々批判している[154][155][156][157][158][159]。
端緒は2022年10月、地元紙記者が市議会の9月の定例会の休憩中に他の傍聴者へ「市長があんな態度だから議会が反対するんですよね」と語っていたと市民から知らせがあったとして、石丸は、記者が市長を非難する、しかもその話が第三者に伝わるのは一般的に不適切なことだと主張して、本来は石丸への取材をするはずの記者会見の席上において、石丸はその記者を延々と非難し続けた[160]。それまでも石丸は議場で議員たちを罵倒するのが常態であったが、この対立を報じる新聞社に対しても「偏向報道だ!」「社会の公器に相応しくない!」と記者会見の場できつい言葉を浴びせ始める[161]。
特に、2023年7月の記者会見での中国新聞とのやりとりは多くの反響を呼んだ[154][155]。記者会見の席はこのようなことを論じる場ではないと述べる中国新聞の記者らに対し、石丸は、記者が石丸を「あなた」と呼んだことを不躾だとあげつらったり、言葉尻を延々と捉えてそれに対する説明責任を取材者のほうが果たせと語ったり、記者にとどまらず新聞社自体が偏向報道をしているといった主張を行い、1時間以上にわたって罵り続けた[162][154](#YouTube等SNSの活用で後述)。このように石丸が議員や新聞記者を罵倒する映像はSNS上でネット愛好家らに話題を呼んだ[161]。これらのメディア批判について、石丸は注目を集めるために意図的に行なったと語っている[154]。また、石丸自身は評判となった理由についてYouTube上の市の公式動画のコメント機能をオンにして動画に感想や意見を書き込んだり、それらを閲覧できるようにしたことが効いたとしている[155]。この結果、これらの公式動画は8月には百万回再生、切り抜き動画も50万回再生を達し、この現象についてジャーナリストの赤石晋一郎は、YouTubeで受けるマスゴミ論の象徴的なものとして拡散したものだと説明する[163]。
市や市議会が公開する市長記者会見や市議会一般質問のYouTube映像を使った動画が、ネット上に多数投稿されている。このことについて、著作権は市に帰属するとしながらも、「知名度が高まるのは莫大なメリット」と強調し、許容した。市公式チャンネルの動画再生回数の伸びを踏まえ、広告で収益を図るとした[164]。また、市は出所記載等のわずかな条件の下に自由に利用編集できる素材として認めている[165]。
2024年1月18日、「安芸高田市YouTube公式チャンネル」登録者数が20万人を突破し、自治体のYouTube公式チャンネルとして全国最多となった[166]。安芸高田市が記録更新するまでは、神戸市Youtube「kobecitychannel」登録者数が19万人あまりで最も多かったが、それを抜いて安芸高田市が日本一となった[166]。石丸によると「YouTubeの市公式チャンネルで毎月200万円の広告収入が市の歳入として入るようになった」という[15]。2024年5月、YouTubeから銀の盾が届いた[167]。
また、市が公開動画の自由な編集を認めた結果、切抜き動画がユーチューブに投稿されるなどSNS上に多数氾濫、朝日新聞がこれらの運営者数人を取材したところ、全員が石丸とは面識もなく安芸高田市に行ったことがない人ばかりで収益目的と答え、月数百万円の収益をあげると答える者もいた[168]。ネットの求人サイトでは編集作業の手伝いを求める募集が一時あふれ[169][170]、なかには固定報酬30-50万円とし月間収益140万円も可能とするものもあった[171]。 石丸はこれらの切り抜き動画を通じて若者を中心に広く支持を集めたとされる。支持が広がった理由として、支援者の一人である鳥羽博道は「若者の正義感」に訴えかける力が強いとゆえと見做している。石丸の「断じて妥協せず、自分の主義主張を通し、そして論破する」姿勢には池井戸潤の小説シリーズを原作とする『半沢直樹』的な痛快さがあるとしており、メガバンクに勤務した経歴を持ち、海外経験も豊富な人物が、反発に対して妥協せずに論破していく姿には揺さぶられるものがあるという[172]。 これら非公式の切り抜き動画では市議やメディアへの攻撃をタイトル・テロップで煽るものも多数制作されたが[173][168]、こうした動画の拡散によって生まれた石丸の熱烈な支持者による弊害も生じた[174][175]。切り抜き動画で石丸に批判された市議やメディアに対する批判が過激化し、「殺すぞ」のような電話、いたずらでの生命保険の申し込み、注文していない品物の着払い配達など、一部の者によって誹謗中傷や脅迫・嫌がらせが殺到した[124][174][168]。2024年2月には安芸高田市議に対してSNS上で脅迫を行い、被疑者が検挙される事態にまでなった[176][177][178]。その他にも市議が、自身の質問が歪んだ形に切り取り編集されることを恐れたり、中傷・脅迫にさらされ身の危険を感じて、議会での一般質問を取り下げる事態にもなった[179][168]。
こうした過激な攻撃について、石丸は「誹謗(ひぼう)中傷や度を越したものは、それをした人の責任」とし[164]、切り抜き動画そのものについては「その責任を切り抜き動画にまで求めるのは、遡及しすぎじゃないか」と考えを述べ[180]、また、石丸自身があげつらったり、動画が切り取り編集される結果、市議に中傷・嫌がらせが殺到することについて、石丸は、同じリングに立つ以上条件は同じで文句は言えないはず、当人に力がないことが問題だと突き放している[180]。一方で、ニコニコ動画が生配信した、自身の都知事選出馬表明の記者会見の模様などについては、自身の許可のなく利用しないようとSNS上で要求する[48][181]など、一貫しない面もみられる。
石丸は切り抜き動画に利用されることを想定して言葉を放っているとの指摘がある。例として、ある市議が石丸に質問を行った際に、石丸は「日本語として意味の分からんところが多いです」「中学生の小論文なら減点です」となどとあげつらう。このような発言を抜粋した切り抜き動画が再生数を稼いだ結果「広島の論破王」とまで呼ばれるようになった[182]。石丸身も切り抜き動画で怒っている様子が注目されることの背景に、自身の戦略的な演出があると告白しており、意図的に怒りを込めた話し方をしたり、目つき顔つきで怒りを示したり、苛烈な言葉選びをしている。その動機は政治家が蔑ろにしがちな正論を訴えたいからとしている[183]。
石丸と市議会との応酬を切り貼りした切り抜き動画については、石丸が相手の質問を曲解したり、相手が言ってもいないことを延々と批判する(ストローマン論法)場面も珍しくないとする批判がなされている。石丸は「恥を知れ恥を!」「出て行ってください!」「これが恥の重ね塗りというやつです」「頭が悪い人は具体的な議論のポイントが示せない」「議員の仕事をしてください!」などと決め台詞を魅力的に発することが上手く、切り抜き動画の投稿者は、実際には相手の発言とほとんど無関係に発せられている石丸のセリフを素材として、実際には論破に至ってないのにあたかも石丸が論破したような切り取り編集を行う。視聴者の多くは、石丸の自信に満ちた罵倒を見て、前後関係の検証もせずに心酔してしまうという[184]。
2024年6月9日、石丸は市長在任最後のこの日、最終回となったYouTube広島県安芸高田市公式チャンネル『あきたかたMeet-up オンライン』「最終回は2時間スペシャル!4年間を振り返りつつ、未来への想いを語ります」を安芸高田市役所から配信し、視聴者がコメントをつけて行う投げ銭機能「スーパーチャット(通称スパチャ)」が2時間で計328万円となり、YouTubeライブ配信スーパーチャット金額日計が世界一を記録した[185]。石丸は「高校の生徒会長に渡すもう1年分が1日で確保できました」とのコメントを最後に残し安芸高田市役所を去った[185]。
石丸が立候補した同年7月7日投票の東京都知事選を控え石丸への投票にネガティブな記事が配信されると、たちまちネット上で石丸支持者とみられる者らによる猛攻撃で炎上する状態であったという[186]。しかし、石丸在任時のYouTube広島県安芸高田市公式チャンネル登録者数ピークは25.8万人で都知事選挙までは横ばいだったものの、安芸高田市長選挙後の2024年7月10日時点で登録者数24.5万人と急減し続けている[要出典]。
2024年7月、安芸高田市長選で石丸市政からの転換を掲げた藤本悦志が当選したが、市議会の応酬や記者会見の動画を編集した切り抜き動画に関しては、事実と違うものについて削除要請を検討すると今後の方針を発表した[187]。
2025年1月15日現在、登録者数は、「広島県安芸高田市公式チャンネル」登録者数19.8万人、「kobecitychannel」登録者数20.1万人となっており、神戸市が最多に返り咲いている。
安芸高田市における石丸と議会との対立は「通常の自治体では起こりえない極度の対立関係」等、しばしばメディア等で言及されている[188][189][190][191]。石丸は取材等で「対立は二元代表制のあるべき姿であり、対立するからこそ対話や議論が生まれる」「市の知名度を高めるため」として議会との対立を正当化している[192][193]。一方で全面対立は市政の停滞を招くとする評価もある[194]。
2020年9月25日、石丸はX(旧Twitter)上で、一般質問で市議の1人がいびきをかいて寝ていたと投稿した[195]。当の市議は当初は自身でも居眠りをしたのかと思い27日に石丸に謝罪のメールを送ったものの、同僚議員から病的だったと言われ家族の勧めもあって29日に受診・MRI検査を受けた[196][197]。30日に睡眠時無呼吸症候群と無症候性脳梗塞の診断を受け、診断書を議長に提出、後日、議長から診断書のコピーが市の秘書広報室室長に託されて市長にも渡り、全議員にも説明された[196][198]。
9月30日に石丸は、市議15人全員が出席した非公開の市議会全員協議会に呼ばれて、Twitterへの投稿の意図について説明を求められた[要出典]。翌日に石丸は、この日の全協について「数名から、議会の批判をするな、選挙前に騒ぐな、事情を補足してやれ、敵に回すなら政策に反対するぞ、と説得?恫喝?あり」とTwitter上に改めて投稿[195][199]。その後に石丸は恫喝した市議として一人を名指しして説明を求めた。名指しされた市議は「恫喝と受け取られたのなら大変残念。私としては優しい言葉で議会の現状を伝えたつもり。言葉足らずで誤解を生んだ」と釈明[199]。石丸は「政策をしっかり見ていこうという同志がいるとの認識に改める」と応じた[199]。
しかし、その後も市議の選挙運動期間中も含め石丸がたびたびこの問題を取り上げ続けたため、同市議からの石丸及び市に対する名誉毀損訴訟に発展、2023年12月広島地裁からは市議からの恫喝はなかったとの判決を受け、市(石丸市長)はこれを不服として控訴したが、2024年7月3日一審の判決を支持し、市と市議の双方の控訴を棄却した。詳細は「訴訟」を参照。
石丸と議会との対立が話題になるとともに、石丸の過激な発言を切り抜いてつなぎ合わせた「切り抜き動画」が再生数を稼ぐようになると、石丸の熱心な視聴者が市議を執拗に攻撃するようになった。
2020年10月30日に市議会は石丸が一部の市議から「議会の批判をするな」「選挙前に騒ぐな」「敵に回すなら政策に反対するぞ」「夜道には気をつけろよ」といった恫喝をされたと主張している問題を受け、恫喝はなかったとする答弁書を提出[200]。答弁書の内容では「恫喝は発言内容にかかわらず、受けた側が感じた時点で恫喝になるとの認識が必要」との意見があった一方で、正副議長は全市議に事実関係を聞き取り、最終的には上記のような威圧的と感じる発言はなかったことを確認し「恫喝はなかった」と結論づけた[201]。これに石丸は納得せず、翌31日に「国語のテストなら0点」などとTwitter上で批判した[202]。
2021年1月19日に開かれた全協では、石丸は市議会が恫喝はなかったとの結論をまとめた回答書についての確認や、議会運営に関する内容などを述べる予定であったが、議会側は会議規則で定める議案の審査などに関わる協議や調整に該当しないとしてこれを認めず、石丸は途中退席した[203]。2月18日の全協では、司会の副議長を除く15人中6人が、何らかの形で石丸の考えを聞く場を設けるべきであるとの意思を示し、同26日、石丸は翌月の市議会一般質問では、この6人に対してのみ答弁するとの考えを示し、議会側が反発した[204]。
3月4日の市議会では石丸が「後ほど文書で回答する」などの答弁を繰り返し、議会が中断するなど混乱した。その後石丸は議長と面談し、恫喝の問題と一般質問は分けて考えるよう求められ、5日に石丸は応じないとしてきた一部の市議との答弁に応じるなど態度を軟化させ、「全ての責任は私(市長)にある」と陳謝した[205]。
2022年6月10日、自身が提出した議員定数半減条例(後述)が議会で否決された石丸は「居眠りする。一般質問をしない。説明責任を果たさない。恥を知れと声が上がってもおかしくない」と改めて議会を批判[206]。その後も石丸は2020年9月に居眠りをしていたとされる市議について、議会が混乱した原因と名指しした上で「当人は『病気が原因となる意識の喪失』と釈明していますが、判然としないため問い質すと、議会は説明を拒み、今に至ります。説明責任を果たすのは、政治家の何より大事な仕事です」とTwitter(現・X)に投稿した[207]。
これを受けて2022年6月30日に市議側も会見を開き、衆目公開の席であらためて「居眠りではなく、睡眠時無呼吸症候群と診断された」と説明。議長を通して石丸にも診断書を提出していたことを明かした[207]。これに対し石丸は、当時の議長から受け取ったことは認めた一方で、本人からの提出ではなく個人情報が含まれるので、中身を確認せずにシュレッダーにかけたと話し、「それぞれが主張するだけだと、永遠にかみ合わないどっちが事実か。自分の都合のいいことだけを言って、説明責任を果たすことがゆるされるのであれば、政治家は苦労しない」と主張した[207][208][209]。この市議の元には頻繁に着払いで商品が無断注文されたり、殺害予告が相次ぐようになった。2024年1月に、この市議は酒も飲めなくなり顔色も悪くなるなど体調も悪化した後[182]、68歳で胃の持病で病院で死去している[210][211]。
2021年1月4日、市は副市長の全国公募を開始(締め切りは1月31日)した[212]。市は、4月就任予定で任期4年[213]、月額給与70万円[213]、年収約1,200万円[212]を提示した[213]。2回の面接などを経て内定を出すこととなった[213]。
同年2月1日、市は目標の4倍以上となる4,115人から応募があったと発表した[214][215][216]。首都圏や関西圏、広島県内を中心に[214]、北海道から沖縄まで全国各地[213]から応募があり、海外在住者からもあった[214]。業種、職歴は、製造業や商社、官公庁、マスコミ関係者[214]、コンサルタント[213]など多岐にわたった[214][213]。
同年3月1日、全国から公募した2人目の副市長に、東京都の団体職員の女性を内定したと発表した[217]。
定例市議会(2月24日 - 3月17日)に副市長の人事案を追加提案したが[218]、3月10日、同人事案は、議長を除く賛成7、反対8の1票差で否決された(1回目)[219]。選任案をめぐっては、否決を受けて結成された市民グループが、石丸や市議から経緯を聞く市民対象の意見交換会を開いたり、選任案が再提案された場合に賛成するよう市議に求める署名を集めたりする動きが出た[220]。
同年6月1日、議員と2人目の副市長候補がリモートで意見交換を行った。賛成議員からは質問が相次いだが、反対議員(清志会)からの質問はなかった[221]。
同年6月2日、石丸が副市長選任案を再提案するために招集した臨時会で[220]、副市長選任案は賛成5、反対10で2度目の否決となった[222]。
同年6月29日、市議会は、2度否決している公募副市長の人事案について、地方自治法に基づき「議決に法令違反があった」とする石丸の求めに応じ、再議(審議のやり直し)を行い[223]、1対14の大差で3度目の否決となった[223]。
石丸は市議会議長を通じて全員協議会での意見聴取を繰り返し求めたが、すでに討論を経て否決されていることから議会側は拒否し、回答書を石丸へ通知した[224][225]。7月27日の4者会議(市長・副市長、正副議長が出席する会議)において、石丸は回答書について「国語力がない」「国語が理解できる方にお越しいただくようお願いする」と切り捨て、議長はこれを会議の拒絶と受け取り「理解できない」「そういう市長の意向であれば今後来られない」として、以降4者会議は打ち切られた[224][225]。
2022年3月7日、市議会は本会議を開き、副市長の定数を2人から1人に減らす条例改正案を賛成多数で可決し[226]、安芸高田市の副市長の定数は1人になり[227]、石丸が提案した人物の副市長就任は不可能となった。
2022年5月24日、石丸は同6月10日開会予定の安芸高田市議会定例会で、現在16の安芸高田市議会議員定数を半数の8にする条例改正案を提出する意向を示した[228]。同年3月に市議会が副市長定数削減の条例改正案を可決し、石丸の目玉人事を封じたことから、石丸は市議会議員半減の条例改正案を提出することにしたが、議会側は2020年にも定数を2削減しており、石丸の定数半減案に対しては、「定数は議会の根幹。半減すれば、市民の声が反映されなくなる」と猛反発した[229]。石丸は「(副市長定数の削減時に)何が起きていたのか、何が問題だったのかを周知できると思い提案したというのも狙いとしてある」とも説明した[230]。
同年6月10日、石丸が条例改正案を議会に提出した。石丸は提案理由について副市長の定数減の際の理由が財政健全化であったことや、「居眠りをする、一般質問をしない、説明責任を果たさない。こんな議員はいらないという声を多く聞く」として、半減により競争が生まれて議員の質が高まるなどと主張したが、同日の採択では、賛成1、反対14の大差で否決された[231][232][233][234][235][206]。石丸は採決後、「子供のけんかという評価はその通りだと思う。ただなぜそれが起きたかを知ってほしい」と、原因は議会側の姿勢にあると改めて主張[231]。市側から議員定数削減が提案されるのは異例のことであり[206]、識者からも「そもそも市長が議員定数の削減を提案すること自体が二元代表制の趣旨に反する」(関東学院大学法学部准教授・牧瀬稔(自治体政策学))などの疑問の声が上がった[231]。
8月末に市は市民の声を施策に生かす「市民モニター制度」(98人)を使い、全市議16人の評価を問うたアンケート結果を公表。石丸は議員定数の半減理由の補足として実施したと説明した[236]。9月12日の定例市議会の一般質問では議員から「市の施策の評価や要望を聞くという目的から完全に外れている」などの指摘を受けた。これに対し石丸は、「市民のニーズを把握し、市が今後行っていく施策に生かす目的で聞いている。当然、市という中には議会も含まれている。市民のニーズは議員に対する評価にほかならない」と反論し、アンケートの有効性を強調した[237]。
2022年9月17日から19日の3連休中に、大型台風14号が中国地方に接近する中で、石丸は18日に千葉県で開催されたトライアスロン大会に参加していた[238]。広島県においても18日から20日にかけて、この台風14号は強風と観測史上最大を更新する記録的な雨量(広島県土木建築局の安芸太田支所所管内)により各地道路・住居に大きな被害を与え、床下浸水も安芸高田市では1件が確認されている[239][240]。
2022年12月の安芸高田市議会において、市議が消防庁発行の『市町村長による危機管理の要諦』から「市長村長が全責任を負う覚悟を持って陣頭指揮を執る」[241]等の記述を挙げて台風接近中の遠方外出を問題視した[238][242]。副市長は「3連休中の市長の動きについては把握していなかった」と答弁し、幹部が市長の外出先や目的を把握していなかったことが明らかになった[238][242]。また、権限代行者が定められていなかったのではないかという市議の質問に対し、「事前の臨時幹部会議においてあらゆる想定をして機械的に実行しており、随時情報を共有していたため、代行は立てる必要がない」と反論、また、災害時に市長が居たり所在が分かっていなければならないとすることは精神論であると主張して「私が滝に打たれたり薪の上で座禅を組んでいればよかったのか」と反駁、さらに大会参加のスケジュールについて詳細に調べ質疑する議員に対し「公務外であり、プライベートの詮索」「はっきり言ってキモイ」と批判した[243][238][242]。
石丸は、議会答弁において消防庁発行の『市町村長による危機管理の要諦』[241]については知らなかったとしつつも、「その内容については恐らく理解できている」「その場に行けという指示ではなく情報を共有し、意思決定できるようにしないというのが助言の趣旨のはず」と反論し、規則ではないので絶対に従わなければならないものではないとして、市議の批判に対して「あまりにも短絡的」と主張した[242]。
この約1年後の市の臨時記者会見において、石丸は自らトライアスロン大会への参加問題を自ら持ち出し「なんで僕が千葉に行ってたかって気にならないですか?うっかり行くような人間じゃないですよ。当然ですけど計算して狙って行ってます」と言い始め、それまでのプライベートな問題としていた主張を、「注目を集めるため敢えて台風接近中に遠方へ外出した」とし、トライアスロン愛好者に多い“富裕層”の目を安芸高田市に向けるための意図的な行動であったと変えた[243][244][245]。災害対策上のクリティカルな問題が発生しなかったため、多くの注目を集められず残念だったとも語っている[243]。同年9月、前年度の一般会計決算が市議会によって不認定とされているが[246]、この予算決算委員会の討論の際、委員からは市が発行する広報紙が石丸市長の一方的な主張に使われていることと並んで、台風接近中のトライアスロン大会への参加によって市民に不安と不信を与えたという批判が議員より出ている[247]。
2023年第1回安芸高田市議会3月定例会において、市議より選挙時公約と今後の具体的政策について問われた際に、石丸は言を左右にして具体的に回答しようとせず、「政策をやらなくてもいいと言うならそのほうが楽だからいい」「では議員の皆さんは(公約として)何を言って当選してきたのか、そしてそれを実行してきたのか」などと言い出した。その発言や態度に対し、市長としてやりたいことがあるから公約をかけたのではないか、楽になるからしなくてもいいという発想はおかしいとして、あらためて市議は「市長は市民の代表」だからと述べて市民のために回答するよう求めた[248][249]。(参照:「#選挙時の公約の内容と残り在任期間の政策について」)
ところが石丸は、寧ろこの発言を捉えて「市長は市の代表ですが、市民の代表は議員の皆さん」との主張を始め出し、「違うよ」との野次を受けた[248][249]。この野次に対し石丸は、いや違わない、そうやって書いてあるしそう定義されている、じゃないと二元代表制が成り立たないと返した[248][249]。三重県議会と群馬県議会のサイトには首長と議会議員がともに住人の代表と書かれている[250][251]。
その上で石丸は、議員はそれぞれが民意を反映する立場として市民の代表として集まっているはずと続け、違うと言うならバッジを外して出ていってくださいと語った[249]。相手市議は「何を言いよるんですか」と抗議し、これに対して相手市議と同じ会派である議長は「ただいまの市長の発言はよくないふうに思う」と同意した[248]。
2023年4月27日付で、市と生活雑貨大手「無印良品」を展開する良品計画は、出店や地域資源を活用した商品開発、移住などの相談窓口設置などで連携する協定を締結[252]。市内の「道の駅 三矢の里あきたかた」に無印良品の店舗を開き、地域資源を活用した商品開発などを進める計画であった[要出典]。4月28日、市は改修の設計費などの関連予算450万円を、議会の議決を通さずに専決処分した[253]。専決処分の理由として、市は12月開業を目指す良品計画のスケジュールから逆算したためとした[253]。一方で事前説明がなかったことについて、良品計画は「情報の取り扱いや事前説明について当社から要望したことはない」としている[253]。
専決処分や事前説明の不足に議会側が反発し、議会側は専決処分を承認せずに、施設改修費3300万円を盛り込んだ当年度の一般会計補正予算案についても、改修費分を削減した修正案を提出した[252]。6月16日の本会議では議員から「独断と専行を許すわけにはいかない」「今回の企業誘致を議会の判断でさえぎれば、今後、誘致にのる企業が現れるか危惧している」といった賛否両論の意見が出たが、賛成多数で修正案が可決され、同年12月に予定していた出店が見通せない状況となった[254][255]。
6月24日、市は道の駅への良品計画の出店計画に関する市民モニターへのアンケート(6月21-26日)結果を公表した[256]。市議会が関連予算を削除後に実施。無印良品出店が市の将来のために必要かを尋ねたのに対し、「そう思う」は59・7%(43人)、(予算を削除した)議会判断が市民の声を反映しているかの問いでは、「そう思わない」が59・7%(43人)、という結果だった[256]。石丸は「(出店への市民の)期待が大きかった。議会は真摯に受け止めていただきたい」と指摘し、大下正幸議長は「既に議決された議会の判断について、市民モニターに問うのはおかしい。議会軽視だ。議員各自が市民への説明を果たしていく」と反論した[256]。6月29日に議会で「行政手続きをないがしろにした」として石丸に対する問責決議案が賛成多数で可決された[257]。不信任決議案も提出されていたが、こちらは反対多数で否決された。石丸は「不信任決議案が可決されれば市民に議会への信を問うことができた。反対した議員は自分の議席を失いたくないからで、権力の私物化だ」と一部議員の対応を批判した[258][259]。
安芸高田市議会は「事前説明が無かっていたこと」を理由として修正予算案を否決、実質的に無印良品の出店は頓挫した[要出典]。石丸市長は否決した市議会に対し「市が発展する可能性を示しましたが、その可能性を潰したのが議会です。この烙印は安芸高田市の禍根として、将来に渡って残ります。」と痛烈に批判した[要出典]。
安芸高田市議会が発行する広報紙「議会だより」について、石丸は内容に度重なる「虚偽がある」として「議会だより」発行にかかる経費およそ150万円の計上を拒否し、「記述は要約であり虚偽ではない」とする市議会と対立した[260][261]。
石丸は、2022年9月の市議会一般質問において国・県への陳情要望活動について問われた際、件数を挙げて市長交代前より増加傾向にあることを示しつつ県議会議長や議長への会議以外での面会は適宜適切に実施している答弁した。「議会だより」ではこの一連の答弁について「それなりにやっている」と記述したが、これについて石丸は虚偽であると批判した[260][262][261][263][264]。
経緯は以下の通り。
SNSで石丸が話題となった2023年8月以降、ふるさと納税寄付額は、2023年8月度は前年同月を1,354万円超える2,091万円となり、大幅に前年同月を超える現象が起きた[要出典]。安芸高田市の2022年度ふるさと納税寄付額約2億円に対して、2023年9月のふるさと納税寄付額は前年同月比10倍となる約1億円を超えた[275]。これは1ヶ月で前年度のふるさと納税寄付額の約半分にあたる[275]。10月にはXの安芸高田市公式アカウントで「臨時の財源があれば安芸高田市の教育分野への投資を増やせるので、是非ともご支援をお願いします」とふるさと納税を呼び掛けている[275]。
2023年10月10日、Xの安芸高田市公式アカウントで、安芸高田市ふるさと納税史上初の体験型返礼品「石丸市長との昼休み」の応募を開始し、開始3分で売り切れ[275]、東京、横浜、大阪から安芸高田市を訪れ石丸と昼休みを過ごした[276]。今後、市は第2弾の体験型返礼品の提供を検討している[275]。
2023年11月、ふるさと納税返礼品の限定品として、サンフレッチェ広島が優勝した2022年のルヴァンカップ決勝で登場し話題になった、通常サイズの約3倍の高さ約80cmを誇る通称「デカサンチェ」が限定40個で登場した[277][278]。
2024年1月10日、30人の市民でつくる「安芸高田市政刷新ネットワーク」が、「恫喝」発言を巡る訴訟で、石丸の市議に対する名誉毀損を認定した一審広島地裁判決などを踏まえ、市政を混乱させたとして、石丸に市長辞職を求める要求書を安芸高田市に提出した[279][280][281][282][283]。
2024年1月22日、定例記者会見で石丸は、「論ずるに値しない事案だ。一部の政治活動をしている団体がそうしたことを主張している。それ以上でもそれ以下でもない」と語った[284]。
まず、大前提ですが、世界で一番住みたいと思えるまちとは何ぞや。この答えがまだ思いついていない方が多いんではないかなと心配をしています。そのものずばりの答えは申し上げていません。しかし、いろんなヒントは出してきました。具体的なものもあれば、直接的なもの、間接的な ところもあります。例えば、住みやすいではなく、住みたいだと。そして、住みたいまちじゃなくて、住みたいと思えるまちだと。 それに関連してですが、細かなところであらゆる施策を展開しています。これらをよくよく観察すれば、おのずと答えは分かるんではないか なと期待をしています。 ただ、目をつむって、耳をふさいでは、その真理に到達できないので、ぜひとも、しっかりとあるがままを受け入れていただきたいなと思う次第です。
今後1年半で何をするのかという、かなり大きな問いがありましたので私も大きめにお答えをしてみたいと思います。この2年半の延長です。一言で言えば、片付け。就任直後の一般質問で私はお片付けだとお伝えしました。私の中では、あまり語彙が豊かではないほうなんですが、その語彙力の中で最大限上品な言葉を選んだつもりです。ぱっと思いついたのはもっと辛辣な言葉でした。が、そうはいっても議場ですので、お片付けだとお伝えをした次第です。 ですので、残りの1年半においても、基本的には、将来世代にもつけは払わさないで済むように、問題を先送りしないで済むように、しっかりと持続可能な行財政、その形を構築したいと考えています。
ただ、この片付け、非常に苦労します。汗もかけば、手足も汚れます。できればやりたくないです。昨日お伝えしましたが、いわゆるサードレールだからです。うかつに触れば感電してしまう。ですので、もし議員の皆さんの思いとして、議会の総意として、もう現状維持でいいと。このまんまでいいと言ってくれるなら私はどれだけ楽になるのかと思いますので、このままでいいよと、強く思う方はぜひ、その声を名前とともに上げていただきたいと思うばかりです。
答弁を受けた市議はこの回答に納得せず、具体的な回答を求めた。これに対し、石丸はやはり回答せず、「それでは議員らは何を公約にしたのか、それを実行してきたのか」と言い出し始めた。そのため、市議は、市長が市民の代表である以上は回答するよう、さらに求めたものの、今度は石丸から議員らも市民の代表ではないのか、違うと言うならバッジを外して出ていってくださいとの発言が出るに至っている。(参照:#「市長は市民の代表か」の議論と「バッジを外して出ていってください」発言)
2024年7月7日の都知事選後、石丸は新宿区の選挙事務所会場に集まった多数のボランティアスタッフら支持者らの前でリモート取材も含めた多数の取材陣による記者会見に応じた。しかし、その際とくにマスメディアのインタビューに対し、記者らの質問に対し逆質問で返す、見下した態度や威圧的な言動をとって発言を封じようとする、いちいち言葉尻を捉えては取材の主題そっちのけで使った言葉をあげつらい続けるといった形で、回答しようとしないことが取材陣や視聴者らに違和感を与え、批判を招くこととなった[320][321]。また、インタビュー中あるいは終わるやテレビ局を酷評し、これに対しとくにマスメデイア嫌いと思われる支持者らが歓声を上げて拍手することが度々であった[322]。
石丸は7月7日都知事選直後の日本テレビ系の選挙特番『東京都知事選挙2024 開票速報』のリモート取材において、同局解説委員長の小栗泉が政治屋の一掃を掲げる石丸に対し、石丸のいう政治屋の定義を訪ねたところ石丸は回答した[323]。この後、番組ゲストの古市憲寿が、先の小栗の質問を引き継ぐ形で、石丸が批判する政治屋と石丸自身がどう異なるかを再度尋ねたところ、石丸は「さっき答えたばかり」「もう一回、言えってことですか?」と反発、さらに古市がまだ答えは貰っていないと返答すると、今度は石丸は「さっきの定義の話は(もういいのか)?」と聞き返して来た[323]。古市のほうも石丸が話をしている最中に自分のしたい話を始め出す等の問題があったものの、結局、石丸の回答はないまま取材時間は終わりとなった[324]。
この中継を見たお笑いテレントのふかわりょうはXに「石丸さん、サブウェイ注文できるかな」と投稿、このポストは大きくバズり、翌8日午後5時段階で閲覧数が200万件を超えた[325]。SNS上には利用者からサブウェイ店舗(サンドイッチのチェーン店)での石丸と店員との間で噛み合わない注文のやりとりを想像した投稿が多数寄せられ[325]、これらは「石丸構文」と称された[326][327]。それまで選挙期間中は中立の立場をとり宣伝や批判になる取り扱いを避けていたマスメディアもこれをユーモラスな話題として取り上げ、それをきっかけに踏み込んだ論評がマスメディア上でも見られるようになっていった[328]。
同日、TBSラジオの『開票LIVE2024~カオス!東京で何が起きていたのか』で荻上チキが、どんな手応えを感じた選挙だったかを石丸に問うと、なぜか石丸はこれをその前のぶら下がり記者会見に関する質問と捉えて「(ぶら下がり記者会見の)どのくだりをされてらっしゃいます?」と逆質問した[329]。そこで、荻上は石丸に合わせ、ぶら下がりの中で、自分たちは頑張ったという話をしていたと思うとし、そこで特にどういう点に力を入れてどんな手応えを感じたかと尋ねた[324](番組の後半で、これ自体は単なる最初の挨拶同然の形式的な質問であったことを荻上は語っている[330]。)。これに対し、石丸は「自分らは手応えの話をしたのではなく自分らの実感の話をした」「それを手応えと言うのかな」と、あくまでもぶら下がり会見での発言への質問をしなければならないとの意識・態度であった[324]。
2024年5月に石丸が上梓した著作『覚悟の論理』について、武田砂鉄が「『(石丸は)メンタルが強いと言われるが、相手の問題はどうなっても私は知りませんよと割り切れる』と書かれている」「政治をやる人間からすると、そう言われるとちょっとぎょっとする」と語ったところ、 石丸は「失礼ですが、本当に熟読されました?」「そういう風な思いでは言っていません」と主張した[331]。ところが、後ほど改めて武田が確認したところ、武田の言った通りのことが著書には書かれていた[330]。これについて武田は、周りに居る者や放送を聴いている者らに「武田は著書を実際には読んでいない」と思わせる構図を石丸は作りたかったのだろうと述べている[330]。
7月7日『Mr.サンデー“七夕決戦”都知事選SP』(フジテレビ系)の中継でも、タレント出身のキャスター山崎怜奈が小池にも混同がみられるが石丸の公約に国政レベルのものがあるように思われるとして、国政・都政どちらに比重をおいているのかを質問。すると石丸はこれを自身の個別具体的な公約が小池と同じ内容だと指摘されたものと解し、「前提のくだりがまったく正しくない」と一蹴、小池のゼロ公約と自分の政策は異なると主張し始めた。山崎は「すみません、不勉強で」と詫びながら「小池の話とは分けさせてください」として改めて質問をし直したものの、石丸は国防とか外交と違い自分の掲げた政策は全て東京都として関与できる・裁量があるものだと主張、ここでMCの宮根誠司が割って入ったためどの政策が国政レベルのものか個別具体的な話に入らないままとなった。[332][333]
放送終了後、山崎自身は「あ一怖かった、でも楽しかった」「色々若くてすみません…今後とも精進しますので多めに見てもらえますと幸いです」とXに投稿した[334]。この後からの山崎のX投稿も含めて、山崎・石丸双方に批判や疑問が寄せられた[334][335]。明石元市長の泉房穂は、山崎について「何も間違ったことを言っていない」と擁護、本人はかなり驚いたのではないかと指摘、それでも臆さずに「すみません、勉強不足で」「教えていただけますか」と誠実な対応を取りつつ食い下がったことを評価、石丸の対応を「不思議でならない」と首を傾げている[336]。山崎自身は、この件がかなりのストレスになったことを示唆している[337]。
2024年7月11日、テレビ朝日系「グッド!モーニング」が放送した、斎藤ちはるアナウンサーによる石丸への単独インタビューで、7日の山崎とのやり取りについて振り返った。その振り返りにおいて、「真剣勝負で、こう、切ったら相手は竹刀も持っていなかった、みたいな。ただ、あれは、もういっぺんあの場にいても、同じ風にやっちゃう」と対応は変わらないと述べた。そして、「それは、女、子供に容赦をするっていうのは優しさじゃない」と持論を展開し、「うーん、もうちょっと優しく言ってあげればよかったのかな・・・。もっと(頭を)ポンポンってやってあげる感じで・・・」と苦笑した[338]。
この石丸の発言した「頭ポンポン」はX(旧ツイッター)でトレンド入りし[339][340][341]、Xでは[342]問題視する書き込みが続出した。
「女子供」はとるに足らないや、足手まといになるという意味で使われることが多い[343]。さらに、岐阜県岐南町の前町長小島英雄が行った、「頭ぽんぽん」は、弁護士による第三者委員会がセクハラと認定している[344]。
ジャーナリストの鈴木エイトは「今朝のテレビ朝日『グッド!モーニング』で流れた石丸伸二氏へのインタビュー映像。石丸氏が『女子供(おんなこども)に容赦するのは優しさじゃない』と発言。『女子供(おんなこども)』に耳を疑う・・・」と反応した[345]。
実業家の辻愛沙子は11日、Xで石丸の「女子供」「頭ポンポン」などの発言に対して「やば・・・絶句」と投稿し、「次世代のリーダーどころか、封建的な古臭い価値観の人なんだなぁと再認識した。こんなに女性蔑視を誇らしげに話す人、今どきほとんど見かけないよ。キツイ」とつづった[346]。
弁護士の紀藤正樹も11日、Xで「言いたいことはわかりますが、今の時代に‘’女、子ども‘’という言葉はなかなか思いつかないです」とチクリ。「石丸氏は、普段から使っている言葉なんでしょうかね」と指摘した[347]。
2024年7月11日、テレビ朝日系「グッド!モーニング」に出演した際、7日選挙直後のマスコミインタビューで物議を醸した自身の発言について、斎藤ちはるアナウンサーに「内心、おちょくってました」「あ、ムキになってる、ムキになってると思って・・・」と、取材者をバカにしていたと語った[348][349]。
石丸は(質問者が)自分の主張を前提に置きすぎ質問が誘導尋問だった、その対抗措置だったと説明した[350][349]。実際にXでは当初からそのような見方もあり、この石丸の発言に賛同する意見も出た[350]。一方で、ならばハッキリそう言えば良いだけ、取材者の向こうにいるのは有権者でありそのような考えでは政治家の務めを果たしたとは言えないという声、さらには、この発言自体を、噛み合わない会話の原因について後になって他からの指摘で初めて自身の間違いに気づき其れを誤魔化すための後付けの言い訳と見て、石丸に対し、ダサい、この手の後出しじゃんけんが多すぎる、『絶対に謝らない、非を認めない』のでこういう言い訳に帰着する、中学生でももうちょっとマシな言い訳を考える、といった批判もあった[350]。
7月16日、世間の味方が変わりつつある中、むしろ石丸は自身のYouTubeチャンネルのライブ配信で、4年後の知事選において普通に客観的に言って自身が大本命だと主張し、そのときは日テレに対し取材拒否を真っ先にすると宣言、続けて「ほら困るでしょ、日テレ。どうします?そのときの偉い人。スポンサーからも怒られますよ」と語った[351]。さらに、「TBSにしようか。『TBSの取材、いっさい受けません』。開票速報の後のリレーのインタビューも入れません。告示前も告示後もいっさいシャットアウトです、って言ったら、もうビビるでしょ。今から」「テレ朝でもいいですよ、テレ朝。あの1時間20分のインタビュー(前記「グッド!モーニング」でのインタビューを切抜き編集して20分程度の動画で紹介したこと。)をアップしないんであれば、もう二度と取材受けません。金輪際です。4年後も。こら困った。ものすごいカウンターが来るでしょ?」と語った[351]。
日刊ゲンダイは、大阪維新の会合大阪の吉村知事が、テレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」のコメンテーター玉川徹について「批判するのはいいけど(万博に)入れさせんとこと思って」と万博出禁をほのめかして炎上、権力の乱用と批判されて、後に謝罪・撤回したことを引いて批判した[352]。
2024年7月14日に放送の『そこまで言って委員会NP』(読売テレビ)に、東京都知事選を取り上げていたこともあって、石丸は「コーナーゲスト」として“緊急参戦”した[353]。
パネリストの一人には衆院議員や兵庫県明石市長を務めた弁護士の泉房穂がいた。選挙期間中の石丸氏の街頭演説を3回、聞いたという泉は「具体的に聞かせてもらえませんか」と挙手し、「ほとんど政策を語っていなかったので、大きく変えるというメッセージで、みなさんが熱狂していたと思う」と前置きし、日本を「どう変えていきたいのか」と質問した。
石丸は「今一番危惧しているのは人口減少で、ほとんどの方は知っている話のはずなんですけど、そのヤバさになぜかまだ気づいていないっていう。そこを心配します。東京都ですら後15年しかもたない。ガソリンが尽きるできるわけですよ。他の地方においてはガソリンが尽きてる。これを放っていわけが無いのに、誰も手を打とうとしない。なので、政治はまずそこを直していくべきだというふうに(考えている)」と日本の少子高齢化問題の現状とそれへの自身の危機感を語った。
そこで田嶋陽子から「どういうことを具体的を考えていらっしゃいますか」と尋ねられた。
石丸は「究極的にはですよ、ですよ。100年とか200年かかると思うんですけど、いまの社会の規範では無理なんですよ。先進国はどこも人口減少を克服できない。例えば、一夫多妻制を導入するとか、遺伝子的に子どもを生み出すとか。例えばですよ。SFのお話に聞こえるかもしれませんが、そこまでやらないと人口減少は止まらないんです」と発言をした。
続けて石丸は「今どう考えても無理です。それをやろうと思っていないんですよ」と前置きし、「社会が変わるには100年、200年。日本だったらあと300年くらいかかるかもしれない。なので、300年間もたせるためにも少しでも人口減少のぺースを緩やかにし、少ない人口でも国際的な地位を失われないようなシステムを作っていく」と話した。
石丸からは「東京都が吸い続けている人口を止めるべきだと思う」といった曖昧な答えが返ってきた。泉は「何をしはるんですか」と身を乗り出した。大野裕之は「地方分権ということですか」、医師の丸田佳奈は「それって移動が起きているだけで、東京で子どもを産まないですよ」とダメ出しした。
石丸は「東京ばかりに集まっても、そこでは“再生産”は行われないのですか?」と疑問形の言葉を発した。丸田は「産むっていう行為にたどり着く、ほとんどの女性が産みたいなという具体的に何をしますか」と詰め寄った。
石丸は「そのために、え〜」と言葉を詰まらせ、“小考”し、「東京以外にも正解がある」と固く目を閉じて、「言葉にすると、すごく緩いんですけど、地方の魅力、そこに住んで、働いていいなという意識が無いので、東京以外は魅力がなくなってますよね」と回答をすると、番組前半に“論破”された竹田恒泰が「だとすると、都知事の仕事で、地方都市の首長の仕事。例えば、泉さんのように実績を上げて、こういうふうにしたら人口減少を止めることができる」と実績に基づいた政策を求め、都知事選に出馬せずに、安芸高田市長として、だれもが納得する「人口減少」の大胆政策を成し遂げたほうが、説得力があったと主張した。泉は市長在任中に「18歳まで医療無償化」などの独自の子育て支援策を実施した。
石丸は「明石市が子育て政策を厚くすれば、周辺の自治体から子育て世代が流れてくる。それだけ。取り合いになってゼロサムゲームの綱引き」と断言すると、泉は「ゼロサムではありません。明石市は出生率が兵庫県トップです」と反撃した。こうして明石市と安芸高田市の子育て支援策について議論が始まった。
石丸が「チェックしたが、安芸高田市の子育て支援は明石市とそんなに遜色ない」と攻め込むと、泉は「ぜんぜん違いますよ。それはデマですよ」と激怒した。
石丸は「明石市は給食費を無償化されてますか?」と「実績」をアピールすると、泉は「うちは医療費も保育料、児童手当もやっていますよ」と連射砲で反撃し「安芸高田の給食費だけで」自慢されても」必死のパッチで声を荒げた。
食い下がる石丸は給食費の無償化について「小学、中学まではしてないですよね」と続けると、泉は「家の給食は中学校です。でも児童手当は18歳までやってます」に対し、石丸「給食費の無償化が金額が大きい」主張した。泉は「医療費のほうが大きいです。事実関係が間違っていますよ!ちゃんと調べてください」
石丸は「給食費は小さくないじゃないですか」と論理を求めると、泉は「小さくありません」と回答した。石丸は小学校で無償化してないことに「じゃあ、なぜ、されかったのですか?」と安芸高田市との“違い”で攻めた。これに泉は「明石は給食以外にも、医療費も保育料も、児童手当もやっている。児童相談所も新たにつくっている」と声を張り上げ、石丸に「やってないでしょ」と左手を振り上げ、実績を求めた。
石丸は「あの、なので・・・」と言葉を詰まらせた。泉の「やってまっか!答えてください」の関西弁に石丸は「やっているものはかなりあります」と回答すると、泉が「言ってください!」と強く求めた。
石丸は目線を下に向け、[354]「保育所のエプロンとかオムツのサブスクというのをやった」といったことを語った。
泉は番組の放送終了後に、Xで《人口減少対策として、最初に挙げたのが『一夫多妻制』とは驚いた。その次が、『遺伝子的に子どもを生み出す』との政策》《ある意味、‘’理解を超えた方‘’であることは問違いない》などと驚きをつぶやいた[355]。
「一夫多妻制」「遺伝子組み換え」発言を引き出した田嶋は「あのとき、出演者もスタッフも何を言うだろうと思って、私の顔を一斉に見たの。でも何も言わなかったもうあきれちゃって。もちろん石丸さんが披露したのは極論だっていうのは理解しています。でもね、ちょっと流行に過敏な大人だったら“一夫多妻制”なんて言葉、普通は口にしないんじゃないなどと厳しく批判した[356]。
当落 | 選挙 | 執行日 | 年齢 | 選挙区 | 政党 | 得票数 | 得票率 | 定数 | 得票順位 /候補者数 | 政党内比例順位 /政党当選者数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
当 | 2020年安芸高田市長選挙 | 2020年8月9日 | 37 | ―― | 無所属 | 8076票 | 60.18% | 1 | 1/2 | / |
落 | 2024年東京都知事選挙 | 2024年7月7日 | 41 | ―― | 無所属 | 165万8363票 | 24.30% | 1 | 2/56 | / |
広島高等裁判所 令和6年(ネ)第31号 損害賠償請求控訴事件
広島地方裁判所 令和3年(ワ)第628号、第1006号 損害賠償請求事件
この事件は石丸に「恫喝された」と虚偽の発言をされて名誉を傷つけられたとして、安芸高田市議の山根温子が石丸と市に対して損害賠償を求めたものである。地裁・高裁ともに石丸の発言の真実性を否定して、安芸高田市に損害賠償の支払いを命じた。一方で賠償責任については投稿は「職務」とし、石丸市長個人が賠償責任を負うものではないと判断した[382][383][384][385]。
以下裁判所の事実認定を要約する
広島地方裁判所 令和3年(ワ) 第1380号 請負代金請求事件
広島高等裁判所 令和5年(ネ) 第179号 請負代金請求控訴事件
この事件は石丸が当選した2020年の安芸高田市長選に立候補した際の選挙ポスターの製作費の一部が未払いとなっているとして、広島市の印刷会社から約73万円の支払いを求められたものである。この裁判では地裁は石丸の敗訴となり、高裁への控訴、最高裁への上告も棄却され、石丸の全面敗訴となった[399][400]。
以下裁判所の事実認定を要約する
報酬額についての最初のやり取りは7月30日から同月31日の間でメールにて行われた。その時系列は以下の通り
1通目:石丸から印刷会社へ
2通目:印刷会社から石丸へ
3通目:石丸から印刷会社
4通目:印刷会社から石丸
印刷会社は、8月3日に業務を全て遂行後、石丸に合計102万800円の見積書をメールにて送信した。その内訳はポスターに39万8000円、法定ビラの1回目、2回目ともに26万5000円、消費税分9万2800円[399][400]。
同日中に石丸は印刷会社に対し、「選管の説明によると、ビラは120160円、ポスターは227994円が公費負担の限度額となっています。頂いた見積書は数倍の金額が提示してあるのですが、相場と比較して妥当なものなのでしょうか?(印刷会社の営業部次⻑)さんの書き振りからして、一般的に自己負担が発生せず、それを前提に受注して下さっているとの認識でいました。」と返信した[399][400]。
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