『鬼滅の刃』(きめつのやいば、英: Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba[3])は、吾峠呼世晴による日本の漫画作品。『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて2016年11号から2020年24号まで連載された[4]。略称は「鬼滅」[5]。単行本(全23巻)の累計発行部数は、2021年2月時点で1億5000万部を突破している[注釈 1][6]。
日本の大正時代を舞台に、主人公の少年が鬼と化した妹を人間に戻すために鬼たちと戦う姿を描く、和風の剣戟奇譚[8]。
2019年にはufotable制作でテレビアニメ化され、物語の序章を描く第一期『竈門炭治郎 立志編』が放送された[9]。
2020年には物語の中盤を描く劇場アニメ『無限列車編』が公開された。同作品の日本国内での興行収入は404.3億円に達し、日本歴代興行収入第1位となった[10]。2021年10月から2022年2月まで、テレビアニメ第二期として『無限列車編』の再編集版とその続編となる『遊郭編』が[10]、2023年4月から6月まで、テレビアニメ第三期として『刀鍛冶の里編』が放送された[11]。2024年5月から6月まで、続編となる『柱稽古編』が放送された[12]。続編となる劇場アニメ『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』が三部作で制作されることが決定している[12][13]。
その他、舞台化やゲーム化、玩具化、企業やテーマパークとのコラボレーションなど、メディアミックスが多様に展開されている。
沿革
『過狩り狩り』
本作の源流は、吾峠呼世晴が2013年までに初めて描いた読み切り作品『過狩り狩り』であった[14][15]。
同作は明治から大正ごろの日本を舞台とし、海外から来た吸血鬼、日本の鬼と『鬼狩り』との戦いを描く作品であり[15]、その一部の登場人物や技が本作『鬼滅の刃』に引き継がれている。
吾峠は同作について「どうせ評価されないだろう」と考えていたが、家族に「どうせなら一番好きな雑誌に投稿すればいい」と促され、後述の自身がファンでもあった『銀魂』が連載されている、週刊少年ジャンプへ投稿した[14]。
同作はその扉絵で主人公の顔が隠されているなどの特異な構成によって、ジャンプ編集部では「1ページ目から気になる漫画が来た」と話題になった[15][16]。その結果、同作は第70回JUMPトレジャー新人漫画賞(2013年4月期、審査員:篠原健太)で佳作を受賞した[14]。
吾峠の初代担当編集者である大西恒平は「ジャンプ志望の作家の中では珍しいタイプ。センスは感じたが、基本的な漫画づくりの基礎がまだできておらず、今後この才能をどう開花させられるか」と評した[17]。
のちに本作の初代担当編集者となる片山達彦は「初見では分かりにくかったが、2度読んだときに構成や振りの巧みさに気づいた」、「圧倒的な才能は周りも認めていたし、私も感じていた」と評価した[14]。
『鬼殺の流』
さらに吾峠は2015年、『呼吸』や『鬼殺隊』の設定を追加した連載作品『鬼殺の流』のネームを作成した。これが本作の前身である。しかし、「世界観のシビアさと主人公の寡黙さ」を理由に、編集部による連載会議で落選して雑誌掲載へは至らなかった[14]。
同作の主人公は盲目、隻腕、両足が義足であった。世界設定は「読みやすくなった」という評価を得たが、主人公のキャラクター性が課題とされた[14]。
主人公の変更
そこで、片山の先輩編集者が「『HUNTER×HUNTER』のように、主人公を普通の人物とし、その周囲に異常性のある人物を配置したほうが、読者が感情移入しやすく、また他の人物が引き立つのではないか」と提案した[14]。
片山が吾峠へ「この物語にもっと普通の人物はいないか」と訪ねたところ、吾峠は脇役の構想として「炭売りの少年がいる。彼は家族全員を鬼に殺され、さらに妹が鬼になる。妹を人間へ戻すために『鬼狩り』になる」と考えていたことを明かした。片山はその人物こそ主人公にふさわしいと考え、「宿命を背負ったキャラクターは、物語を動かす推進力になる」として、主人公を変更することを提案した。吾峠はその提案を受け入れた[14]。
連載直前
そして吾峠は『鬼滅の刃』の連載へ向けたネームを執筆した。前作までと比べて主人公が親しみやすく、物語がわかりやすく調整されており、また第一話で主人公を兄貴分が叱責する場面などの台詞の力に片山は圧倒されたという[14]。
そのネームは紙面掲載時の内容とほぼ同じで、完成されたものであったが、ある人物が和装であったことに対して片山は「大正らしさがほしい」と提案したところ、吾峠は「詰め襟に羽織り」という現行のデザインを考案した。他の片山からの意見としては「目に留まるデザインは読者に受けるので、何かしらチャームポイントがあるといい」、「主人公の同期に、仲の悪い人物がいると面白い」という程度のみだった[14]。その結果、『鬼滅の刃』は編集部から承認され、連載が開始された[14]。
編集者の意見に対する姿勢
吾峠と担当編集者との打ち合わせでは、編集者による意見・提案に対して、吾峠は自身の信念を譲らずに構想通りに描くこともあれば、意見を柔軟に取り入れて原稿を修正することもあった[14]。これについて、「吾峠は『物語として成立しているかどうか』を最も大切にしている」と、初代担当編集者の片山達彦が推測している[14]。
例えば、作中序盤における主人公が修行を重ねる場面について、片山は「序盤に置くには引きが弱い」と指摘したが、吾峠は「普通の人間がすぐに強くなることはない」という持論を譲らず、構想どおりに描いた。また、その後に主人公が試練を受ける際にも、片山は「兄貴分が主人公を見守る描写を追加してはどうか」と提案したが、吾峠は「兄貴分はそのような立場ではない」として断った[14]。
一方で、主人公の師匠役の容姿について片山が「インパクトがない」と指摘したところ、吾峠はそれを受けて容姿を修正した。また、主人公が憎むべき仇敵を殺したあとに哀れんで優しく手を握る場面について、吾峠は描いたものの「少年誌らしくないから削除しようかな」と言っていたが、片山が感動して「ここだけは絶対に入れるべきだ。こんな主人公は見たことがない」と熱弁し、存続されたという[14]。
本作が影響を受けた作品
本作が影響を受けている作品として、吾峠がファンだと公言する『ジョジョの奇妙な冒険』における「不死身の吸血鬼」や「波紋の呼吸」というモチーフとの関連を、編集者の片山達彦が指摘している[14]。また、吾峠は『銀魂』も大好きであることから、コメディ要素を好んで描くという[14]。
ほか、上述のとおり『HUNTER×HUNTER』における「主人公は普通の人物で、周囲に異常性のある人物を置く」という要素を取り入れている[14]。
読者人気
本作は『週刊少年ジャンプ』2016年11号から2020年24号まで連載された[4]。
連載途中まで他の並み居るジャンプ作品と比べて人気は控えめで[18]、一部噂では「初期は不人気で打ち切り寸前であった」とする声があるが、実際にはそのような懸念はなかった[14]。
人気が確立された時期は、序盤で主人公が試練を終えたところ、また主人公の同期二人が出揃ったところだったという[14]。
アニメ化後の人気爆発
その後、2019年にテレビアニメ化されたことで、さらに爆発的に人気が高まった[14]。
過去の人気作品は連載最初から最後まで高い人気が続く例が多かったが、本作は右肩上がりでどんどん人気が加速していくという異例な存在だった。片山が入社して以来の10年間でもこのような例は見たことがなかったという。また、これほどの人気作品になることも片山は全く予想していなかった[14]。
人気を獲得できた理由として、「小中学生でも理解できるわかりやすさと、作家性の両方を兼ね備えた作品であること。吾峠が連載を獲得するまでに何度も葛藤しながら培ったものと、もともと吾峠が備えていた才覚が重なり合った結果」と片山は分析している[14]。
その他
連載誌にはミニコーナー「鬼殺隊報」が掲載されている。ジャンプ公認ツイキャス「スクールオブジャンプ」では、本作の主要登場人物の年齢や裏エピソードなどが発表され、公式設定とされている。
2019年に週刊少年ジャンプ連載の電子版だけの特典としてJネットワークスの着色による当該話のカラー版が掲載されている。連載終了後の『週刊少年ジャンプ』2020年44号には炎柱・煉󠄁獄杏寿郎の初任務を描いた特別読切が掲載された。
タイトルの「鬼滅」が「鬼を滅する」を意味する場合、漢文法的には「滅鬼」が正確であるが、日本では古来から漢字を語順通りに並べる用法があり不自然ではないとされる[19]。日本語の専門家からは和製漢語という説が提唱されているが、集英社ではタイトルについての取材を拒否している[19]。
※以下のあらすじの見出しについては、原則としてアニメ版のものを使用している。
竈門炭治郎 立志編(1巻 - 6巻)
- 兄妹の絆(1巻 ー 2巻)
- 時は大正。主人公・竈門炭治郎は亡き父親の跡を継ぎ、炭焼きをして家族の暮らしを支えていた。炭治郎が家を空けたある日、家族は鬼に惨殺され、唯一生き残った妹・竈門禰󠄀豆子も鬼と化してしまう。禰󠄀豆子に襲われかけた炭治郎を救ったのは冨岡義勇と名乗る剣士だった。義勇は禰󠄀豆子を「退治」しようとするが、兄妹の絆が確かに残っていることに気付き剣を収める。
- 義勇の導きで「育手」鱗滝左近次の元を訪れた炭治郎は、禰󠄀豆子を人間に戻す方法を求め、鬼を追うため剣術の修行に身を費やす。かつて鬼との戦いで命を落とした鱗滝の弟子・錆兎と真菰の亡霊との稽古で成長を遂げた炭治郎は、2年後に命を賭けた最終関門である選別試験で彼らの仇である手鬼を倒し、「鬼殺隊」に入隊する。
- 浅草編:鬼舞辻󠄀無惨との邂逅(2巻 ー 3巻)
- 初仕事である沼鬼の討伐を完了し、次の仕事で浅草へ向かった炭治郎は、禰󠄀豆子が鬼になったときと同じ匂いを感じ取り、それをたどって鬼たちの祖である鬼舞辻󠄀無惨と接触する。無惨は人間に化けており、通りすがりの人を鬼化させ逃れ、炭治郎は手出しできなかった。
- その後、鬼でありながら無惨を殺そうと考える珠世と愈史郎に出会うが、無惨もまた刺客を差し向け、戦いとなる。これを退けた炭治郎は、珠世と協力関係を結び、無惨に近しい鬼の血液を採取するという新たな目的を持つ。
- 鼓屋敷編:仲間との出会い(3巻 ー 4巻)
- 炭治郎は、同期の鬼殺隊剣士・我妻善逸と再会する。新たな指令を受け、醜態を晒す善逸を半ば強引に引き連れて行くが、屋敷では「稀血」の少年を巡り鬼同士が殺し合うという混戦状態となっていた。さらに、新たな鬼殺隊剣士・嘴平伊之助も乱入。善逸、伊之助がともに鬼を仕留め、炭治郎も元・十二鬼月である響凱を倒す。
- 那田蜘蛛山編:蜘蛛の鬼(4巻 - 6巻)
- 一時の休息の後、炭治郎たち3人は那田蜘蛛山での戦いへ応援を命ぜられる。だが、先遣隊は蜘蛛の能力を使う鬼の一家を前に全滅寸前であった。鬼の強襲で剣士たちは散り散りに分断される。炭治郎は十二鬼月・累と対峙し、その圧倒的な強さの前に追いつめられるが、父から伝承した「ヒノカミ神楽」と禰󠄀豆子の血鬼術で逆襲に転ずる。しかし累に間一髪で回避され、善逸・伊之助もそれぞれ命の危機に見舞われる。彼らを救ったのは、鬼殺隊最高戦力である「柱」・冨岡と胡蝶しのぶだった。
- 柱合会議・蝶屋敷編:機能回復訓練(6巻 ー 7巻)
- 那田蜘蛛山の戦いの終結後、炭治郎と禰󠄀豆子は処遇を巡って「柱合裁判」にかけられる。「柱」たちの厳しい追及を受ける竈門兄妹だったが、禰󠄀豆子が血への欲望と怒りに耐えきったことで、鬼殺隊当主・産屋敷耀哉の元、在籍を認められる。
- その後、先の戦いで重傷を負った炭治郎らは、胡蝶しのぶが所有する「蝶屋敷」で治療を受ける。屋敷にはその素質が認められ、「継子」に選ばれた同期の女剣士・栗花落カナヲがいた。治療は順調に進むが、機能回復訓練においてカナヲとの実力差を見せつけられ、炭治郎らは落ち込む。炭治郎は胡蝶の過去を聞き、決意も新たに「全集中・常中」の会得を目指す。
- 一方、「下弦の伍」が倒されたことに業を煮やした無惨は、下弦の鬼四体を役立たずと粛清し、最後の下弦「下壱」を強化して、炭治郎への追手に放つ。
無限列車編(7巻 - 8巻)
炭治郎たちは、ヒノカミ神楽の手掛かりを求め、炎柱・煉󠄁獄杏寿郎を訪ねて無限列車に乗り込む。杏寿郎とは会えたもののヒノカミ神楽の情報は得られず、しかも列車は鬼絡みの事件の渦中にあるという。3人と杏寿郎は、「下弦の壱」眠り鬼・魘夢の術に嵌り、夢の中に閉じ込められる。何とか覚醒に成功し、乗客を守りつつ、魘夢を倒す。
だが直後に現れた「上弦の参」猗窩座との戦いで、杏寿郎が殉職する。死に際に杏寿郎は炭治郎と禰󠄀豆子を認め、また猗窩座は炭治郎を標的視するようになる。
遊郭編(8巻 - 11巻)
無限列車の事件から四か月後、音柱・宇髄天元の嫁が、遊郭「吉原」への潜入捜査中に消息を絶つ。天元は救出のために隊を組み、炭治郎・善逸・伊之助を女装させて潜入させる。炭治郎は「上弦の陸」堕姫と対峙し、潜入調査は一転して上弦の討伐任務となる。堕姫との実力差と自分に合わない水の呼吸・ヒノカミ神楽の技に、苦戦を強いられる。天元たちが合流し、なんとか堕姫の頸を落としたものの、死なないばかりかその体内からもう一匹の鬼・妓夫太郎が現れる。「上弦の陸」の正体はお互いの命を共有する兄妹鬼だった。毒を操る妓夫太郎と堕姫の連携攻撃に、全滅必至の負傷を負わされた剣士たちだったが、限界を超えた闘志でこれを打ち破る。
鬼殺隊にとって百年ぶりの上弦の鬼の打倒に、病身の耀哉は歓喜する。無惨は上弦の五鬼を集め、次の作戦を指示する。
刀鍛冶の里編(12巻 - 15巻)
幾度の強敵との戦いの度に刀を折ってくる炭治郎に、刀鍛冶・鋼鐵塚蛍は堪忍袋の緒が切れ刀を作らないと宣告する。鋼鐵塚に直談判するため炭治郎は秘匿されている刀鍛冶の里に足を延ばす。そこでたびたび夢に出てくる「耳飾りの剣士」についての足跡に触れる。
また、炭治郎は里を訪れていた恋柱・甘露寺蜜璃と霞柱・時透無一郎の二人の柱と、最後の同期にして風柱の弟である不死川玄弥と再会を果たす。
平穏だった刀鍛冶の里だが、無惨の命を受けて「上弦の伍」玉壺と「上弦の肆」半天狗が襲撃してくる。玉壺は刀鍛冶を狙い、半天狗は剣士を襲う。無一郎は玉壺の血鬼術に苦戦し、死を覚悟するも自身の過去を思い出し、激闘の末に玉壺を撃破。炭治郎は分身を使う半天狗と対戦し、玄弥や甘露寺、禰󠄀豆子との協力で勝利する。
この戦いのさなか、禰󠄀豆子は太陽を克服する。それを知るや無惨は歓喜し、標的を「青い彼岸花」から「禰󠄀豆子」に変える。彼女を食らうことで、自らも太陽を克服するというのである。無惨は鬼たちを退き、禰󠄀豆子を巡る総力戦へと備える。
柱稽古編(15巻 - 16巻)
刀鍛冶の里での戦い後、それまで多かった鬼の出現数は激減する。やがて開かれた柱合会議にで、おそらく鬼たちは禰󠄀豆子を狙うために本拠地に集結していること、かつて無惨をあと一歩のところまで追い詰めた剣士たちには、ことごとく鬼の文様に似た「痣」が現れていたと産屋敷耀哉の妻・産屋敷あまねは語る。無一郎は、自分の体験から「痣」を出す条件を具体的に把握していた。これを受け岩柱・悲鳴嶼行冥は、全ての柱を動員した合同強化訓練「柱稽古」を提案する。隊員たちは能力の強化を、柱たちは「痣」の発現をそれぞれ目指す。
しかし、水柱である義勇だけは、稽古に参加する姿勢を見せない。他の柱との溝が深まる中、病床の耀哉は炭治郎に、彼の本心を聞き出すように頼む。炭治郎の説得の末に義勇は、錆兎が自分の同期の剣士であったこと、彼は自分を守るために戦って死んだこと、そして自分はその経験から自分は鬼殺隊の一員であると思えないと語る。しかし炭治郎の何気ない一言から、義勇は錆兎の言葉を思い出し、自分の過去と向き合い稽古に参加することを決意する。
怪我が全快した炭治郎は、仲間たちと共に7人の柱との稽古に励み、来たるべき決戦に備えていく。しかしそんな彼らにも、鬼の探索の手が迫ってきていた。
無限城編(16巻 - 23巻)
無惨は産屋敷邸を突き止め、耀哉の命を奪うべく、深夜に来訪する。死病を気力で生き永らえていた耀哉は、自らを罠にして屋敷を爆破。未知の血鬼術を持つ伏兵の支援のもと、珠世が無惨に「鬼を人間に戻す薬」を吸収させる。さらに悲鳴嶼が追い打ちをかけるも、無惨は絶命しない。お館様の緊急事態に、炭治郎や柱たちも続々と集結し、弱体化中の無惨へと総攻撃を仕掛ける。夜明けまでの持久戦に持ち込めるかという状況で、鳴女によって鬼殺隊全員が無限城へと落とされ、鬼殺隊と鬼たちの総力戦が始まる。鬼殺隊は禰󠄀豆子を隠し、愈史郎が通信網を張り、お館様を継承した産屋敷輝利哉が指揮を取る。無惨は戦いを鬼たちに任せ、肉繭に籠り解毒を試みる。
- vs新上弦の陸・獪岳(17巻)
- 善逸は兄弟子の獪岳に遭遇、獪岳は鬼に堕ちていた。互いに罵詈雑言を浴びせあう中、善逸は獪岳の雷の呼吸と血鬼術が混ざった攻撃を受けてしまうが、致命傷にならず、善逸は意を決し、独自の「漆ノ型」で獪岳を滅す。
- vs上弦の参・猗窩座(17巻 ー 18巻)
- 炭治郎の気配を感じ取った猗窩座が出向いてくる。猗窩座は炭治郎の成長と義勇の強さを絶賛し、さらに杏寿郎を「あの夜死んでよかった(=お蔭で炭治郎が成長した)」と侮辱する。義勇は痣を覚醒させ、炭治郎はヒノカミ神楽を発展させた殺意を気取らせない技により、猗窩座の頸を刎ねる。それでもなお、猗窩座は斬首すら克服して戦闘を続行しようと喰らいつくも、人間時代の記憶を完全に取り戻し、己の虚無を理解して自害を選ぶ。
- vs上弦の弐・童磨(16巻 - 19巻)
- しのぶは姉の仇である童磨に遭遇した。しのぶは童磨を倒すため次々と毒の刃を突き立てていくが、童磨は意に介しない。しのぶが死力を尽くした攻撃も童磨には効かず、命がけの状況にもかかわらずさらに突き攻撃を行い、童磨の目の前で敗死してカナヲの目の前で吸収される。
- カナヲと童磨はそのまま戦闘にもつれ込むが、その最中に伊之助が乱入する。伊之助の素顔を見た童磨は、記憶から「伊之助にそっくりな女性」を思い出し、それが伊之助の母親であると断定する。童磨は伊之助の母も殺していたのである。カナヲと伊之助は、仇への憎悪に燃える。殉職したしのぶが自身の肉体を珠世の毒で染めていたことで童磨の肉体は突然崩壊し始め、カナヲと伊之助は童磨を斬首し、撃破。
- vs上弦の壱・黒死牟(19巻 - 21巻)
- 最強の十二鬼月にして「月の呼吸」の使い手である黒死牟との戦い。鳴女の術で、鬼殺隊は分断される。黒死牟の部屋に、無一郎、玄弥、実弥が次々送られ、黒死牟が振るう「月の呼吸」の剣技は、彼らをたやすく一蹴する。絶体絶命の危機に悲鳴嶼が乱入し、「上弦の壱」対「鬼殺隊最強」の幕が切って落とされる。しかし、無一郎、玄弥は月の呼吸の技を回避できずに致命傷による失血死のリスクを負いながら戦う事態になる。玄弥以外は命を代償に痣を発現させるもなお力およばず、満身創痍の鬼殺隊は4対1で黒死牟に挑む。玄弥の血鬼術で身動きを止め、柱三人の痣・透き通る世界・赫刀の総攻撃により、黒死牟を斬首。しかし、復活して首が弱点でなくなる強化体に黒死牟は変化しようとするが、実弥の刀身に映った自身の姿を見て唖然とし、そのまま肉体が復活する前に悲鳴嶼、実弥の猛攻撃、および無一郎の赫刀の跡によって消滅する。最終的に無一郎と玄弥が死亡する。
- 継国縁壱(幕間)
- 「日の呼吸の剣士」継国縁壱のエピソード。竈門炭治郎の血の記憶に刻まれ、黒死牟と鬼舞辻󠄀無惨が回想する。縁壱は無惨と邂逅するも仕留め損ね、縁壱を恐れた無惨は姿をくらます。縁壱はかつて鬼から助けた竈門炭吉のもとへ向かう。数十年後、老いた縁壱は鬼になった兄と再会し、最後の戦闘が始まったが、最後の技を使う寸前に寿命尽きて生涯を終え、侮辱を感じた黒死牟は縁壱の遺体をその場で切断する。縁壱の呼吸と型は黒死牟と鬼舞辻󠄀無惨によって使い手が戦国時代に滅んだと思われていたが、竈門家で神楽として伝承されていた。
- vs鬼舞辻󠄀無惨(21巻 - 23巻)
- 隊士たちは無惨の肉繭を包囲するが、解毒を終えた無惨は彼らを喰い殺して恢復を果たし、鬼狩りの全滅を宣言する。炭治郎と義勇は無惨と戦うも、無惨は圧倒的に強かった。しかし愈史郎が鳴女を攻略したことで、無限城は崩壊し、鬼殺隊と無惨は地上に排出される。夜明けまであと1時間。
- 無惨は炭治郎に血を注入し、毒殺しようとする。剣士たちが無惨と戦っている間に、死に瀕した炭治郎は血の記憶から継国縁壱と日の呼吸の型を夢に見て、起き上がり再び戦いを挑む。また珠世が薬に隠していた複数の効果が、無惨をじわじわ蝕む。無惨の逃走を封じ、ついに朝日が無惨を焼き、炭治郎と義勇が無惨にとどめを刺す。戦死者多数、誰もが満身創痍の激闘であった。
- だが無惨は死の間際に、残る力の全てと己の想いを注ぎ込んで炭治郎を鬼の王に変える。鬼の王は日光を容易に克服して鬼殺隊に襲いかかるが、産屋敷輝利哉らの下に匿われていた禰󠄀豆子が駆けつけ身を挺してそれを阻止する。さらにしのぶが完成させていた「鬼を人間に戻す薬」をカナヲが打ち込み、鬼の王の中で炭治郎と無惨の意識がせめぎ合いだす。最終的に人々の想いに後押しされた炭治郎は人間として目を覚ます。無惨と鬼たちは滅び、鬼殺隊は活動を終え、炭治郎と禰󠄀豆子は家に帰る。
- 鬼のいない世界(最終話)
- 時は流れて現代・東京での、鬼殺隊の末裔の物語。
声はアニメ版の声優。演は舞台版の俳優。登場人物の名前は創作のほか、「奇抜に見えるが実在する」姓名が多用された。
主要人物
- 竈門 炭治郎(かまど たんじろう)
- 声 - 花江夏樹[20][21]、佐藤聡美(幼少期)
- 演 - 小林亮太[22](1 - 3作目)→阪本奨悟[23][24](4作目)、髙原華乃(2作目・幼少期[25])
- 本作の主人公。年齢は13歳→15歳[26]。炭焼の家系である竃門家の長男で、家族思いな少年。父親は物語開始時点で亡くなっている。額左側の痣と、日輪が描かれた花札風の耳飾りが特徴的。髪と瞳が赤みがかった「赫灼の子」であり、火仕事をする家系に生まれると縁起が良いという。隊服の上に市松模様の羽織を着用し、禰󠄀豆子を収納した鱗滝特製の箱を背負って行動する。生真面目過ぎてズレた言動をすることがある。
- 嗅覚が非常に優れており、相手の感情すら嗅ぎ取ることができる。これは戦闘時において敵の気配を読む力としても機能し、鍛練後は敵に打ち込むべき太刀筋が「隙の糸」として可視化されるようになる。鬼と人間を嗅ぎ分け、仇である無惨を匂いで見抜く。他にも、戦闘に関して優れた直感や柔軟な思考力を発揮する。
- 非常に心優しく、鬼を前にしても非情になりきれない。問答無用で鬼を斬り捨てる鬼殺隊の在り方にも公然と異を唱え、柱たちからも異端視される。
- 炭売りに行き一晩家を不在にした夜、禰󠄀豆子以外の家族全員を無惨に殺される。鬼化して辛うじて生き残った禰󠄀豆子を人間に戻すため、冨岡義勇の紹介で鱗滝の元を訪れる。鬼を追う力を求め、2年間の鍛練を経て「水の呼吸」を身につける。また、生家に伝わる「ヒノカミ神楽」を下弦の伍・累との戦闘から剣技に変換し、使用し始める。
- 当初は『鬼殺の流』に出す予定のサブキャラクターだったが、連載に向けて提出したネームが没となった後、主人公をより普通の人物に変えることとなり、吾峠が「家族全員を殺され、鬼となった妹を人に戻すために鬼殺隊に入った炭売りの少年」の話をしたところ、担当が「宿命を背負ったキャラクター」だと感じ主人公に抜擢された[14]。
- 竈門 禰󠄀豆子(かまど ねずこ)
- 声 - 鬼頭明里[20][21]
- 演 - 髙石あかり[22](1・2作目)→髙橋かれん(3作目以降[42])
- 年齢は12歳→14歳[26]。炭治郎の妹で、竃門家の長女。人間だったころは家族思いの心優しい性格で、聞き分けが良く、我が儘を言ったことも無いという[43]。
- 炭治郎不在時に鬼舞辻󠄀無惨の襲撃を受けるが、その血が傷口から混入したことで鬼化して生き残る。普通の鬼とは違う様子を見せたことで冨岡に見逃される。以降は竹製の口枷がつけられ、意識が混濁している状態となる。
- 鬼の能力の一つとして、身長をある程度拡縮できる。普段は日差しを避け、身体を少し小さくして背負い箱に入った状態で炭治郎に運ばれているが、戦闘時には身体の大きさを戻して蹴りをメインに戦うようになる。また、累との戦闘時に死んだ母親と深層意識で出会ったことがきっかけで、血が燃えて爆ぜる血鬼術「爆血(ばっけつ)」が開花する。
- 普段はぼんやりとしていることが多いが、炭治郎が危機に陥っていたり、強く呼びかけられたりすると活動的になる。鱗滝に暗示をかけられ、人間が自分の家族に見え、鬼を敵と認識するようになる。人間の血に対する欲求は強く残るが、強靭な自意識で無理やり押さえ込んでいる。自身の中にある無惨の血が呼応することで成人女性ほどの体格となり、上弦並の戦闘力が覚醒するが、人間に対する食欲も高まり襲おうとしてしまう。刀鍛冶の里での上弦との死闘の後、太陽の光を克服し、片言ながら言葉を話せるようになる。
- 鱗滝は、通常の鬼が人間の血液で活力を得るところを、禰󠄀豆子は睡眠で代替していると見ている。また、珠世は最初の二年間の睡眠中に、禰󠄀豆子の鬼としての性質が変質したと推測している。
- 太陽を克服した後は無惨を炙り出す鍵として鱗滝らに預けられる形で残り、後にしのぶと珠世の共同研究で作られた薬によって人間に戻ることができた。決戦終結後は炭治郎や善逸、伊之助と共に実家に戻った。最終的には善逸の想いを受け入れて結ばれる。
- 我妻 善逸(あがつま ぜんいつ)
- 声 - 下野紘[44][21]
- 演 - 植田圭輔[22]
- 炭治郎の同期に当たる鬼殺隊剣士。年齢は16歳[26]。非常に臆病で、消極的・後ろ向き思考の利己的な面が強い少年。
- 金色(黄色)の髪と太い眉が特徴的。隊服の上に鱗文様の羽織を着用する。彼のみなぜか、鎹鴉ではなく「鎹雀のチュン太郎」をつけられている。師に才を評価され、それに見合った実力を持ちながらも、自分が強いはずがないという劣等感に縛られ、情緒不安定気味である。女性に対しての執着心が非常に強い。禰󠄀豆子に惚れている。
- 「雷の呼吸」で鬼を倒す。「雷の呼吸」の六つの型のうち、「壱ノ型 霹靂一閃」しか会得できなかったが、それのみを鍛え上げ、雷光に例えられる速さに至っている。作中当初はプレッシャーに弱く、緊張や恐怖が極限まで高まると気絶するように眠ってしまうも、それによって半覚醒状態となり、緊張から開放されることで本来の強さを発揮する。作中で炭治郎たちと共に戦闘経験や柱修行などで力を積んでいき、無限城では覚醒状態のまま上弦の鬼を討ち取るほどに成長する。
- 聴覚が非常に優れ、その能力で他人の感情を読み取ることもできるが、自分の信じたいことを優先して信じるので、何度も他人に騙されてきた。女に騙されて借金苦に陥った所を後の師である桑島に救われ、剣士としての訓練を受けた。修行中に雷に打たれたことで、生来の黒髪から金髪に変わった。最終選別に合格してからしばらく後、同期の炭治郎と再会し、以降は彼と行動を共にする。
- 蜘蛛山編、無限列車編、遊郭編に参戦。無限城では、鬼となった兄弟子・獪岳と交戦し、新技「漆の型」で葬る。無惨との戦いにも参加し、最後まで生き残った。戦後は炭治郎たちと共に彼の実家へ移り、禰󠄀豆子と結ばれる。
- 嘴平 伊之助(はしびら いのすけ)
- 声 - 松岡禎丞[44][21]
- 演 - 佐藤祐吾[22]
- 炭治郎の同期に当たる鬼殺隊剣士。年齢は15歳[26]。猪に育てられた捨て子。名前は本名。
- 奇怪な猪の被り物をしているが、素顔は女性的で非常に端整な顔立ちをしており、上半身は裸で、隊服はズボンのみ。腰や脛に毛皮を巻いている。日輪刀は刃こぼれした2本の刀を用いる。
- 鬼殺隊隊員と力比べをして日輪刀を奪い、最終選別や鬼のことを聞きだした。育手の指導を介さず最終選別を生き残り、鬼殺隊に入隊した。響凱との戦いの後、炭治郎と出会う。
- 好戦的で負けず嫌いな性格。高笑いしながら「猪突猛進」と叫び、喧しく剣を振るう。常識に疎く文字の読み書きができない[注釈 2]が、幼少のころ出会った老人とその孫との交流により発話は堪能である。他人の名前を覚えられず、竈門炭治郎の名前を「かまぼこ権八郎」などとしばしば間違える[58]。
- 我流の呼吸法である「獣の呼吸(ケダモノのこきゅう)」で鬼を倒す。触覚が非常に優れ、集中することにより直接触れていないもの視線、殺気なども捉えられる。毒や薬が効きにくい体質。関節の脱着による軟体化、内臓を移動させて致命傷を避けるといった芸当を見せる。
- 蜘蛛山編、無限列車編、遊郭編に参戦。無限城でカナヲと共闘して童磨を斬首し、しのぶと母の仇を取る。無惨との戦いにも参加し、最後まで生存した。最終決戦後は炭治郎宅で同居する。
- 作品外では、『鬼滅の刃』のマスコットキャラクターとして人気を博しており、「週刊少年ジャンプ」誌上で行われた人気投票でも高い順位を獲得している[58]。
- 伊之助の声を担当した声優の松岡禎丞は伊之助を演じる際に「猪のお面をかぶっているから表情をまったく読み取れない」といい芝居をするのが難しく感じたと話している[58]。
鬼殺隊
柱
- 冨岡 義勇(とみおか ぎゆう)
- 声 - 櫻井孝宏[44][21]
- 演 - 本田礼生[22]
- 「水の呼吸」を使用する水柱(みずばしら)。年齢は19歳→21歳[26]。現実的で冷めた雰囲気を見せ、感情を表に出すことはほとんどないが、根は優しく情に厚い面がある。口数が少ないため、しばしば誤解を受ける[59]。
- 禰󠄀豆子に襲われる炭治郎の前に現れ、鬼化した禰󠄀豆子を殺そうとするが、2人が互いを守ろうとする様を見て剣を引く。妹を助ける道として鬼殺隊としての訓練を受けるように勧め、鱗滝左近次に紹介状を送る。鱗滝と共に炭治郎と禰󠄀豆子を後援しており、「禰󠄀豆子が人を喰ったら切腹して詫びる」としている。
- 隊服の上から、左右で違う柄を継いだような羽織を着用する。右半分が後述の蔦子の形見である色付きの無地、左半分は錆󠄀兎の形見である着物。
- 姉の蔦子が鬼に殺され、そのことを周囲に話したものの心の病気であると判断されて、医者の親戚のもとへ連れて行かれそうになった際に逃走し、冬の山で遭難し倒れていたところを、鱗滝の知り合いの漁師に助けられたことで鱗滝のもとへ入門、そこで同じ境遇を持つ錆兎と出会い、親友となった。後に最終選別を共に受けたが、錆󠄀兎に助けられた後そのまま意識を失い、鬼を倒すことなく選別に合格した。そのことに負い目を感じ、柱になって以降も自分は水柱の器ではないと卑下し、他の柱と距離を取りたがるようになった。
- 無限城では、炭治郎とともに上弦の参・猗窩座に勝利する。無惨との戦いでは、右腕を失うも実弥とともに最後まで戦い抜いた。戦いの後は、長かった髪を切っている。
- 『冨岡義勇外伝』では主人公として描かれている。
- 初期案では着物を着用していたが、担当の片山から「大正感」が欲しいと要望を受け、詰め襟の隊服に羽織りという設定に変更された[14]。
- 胡蝶 しのぶ(こちょう しのぶ)
- 声 - 早見沙織[63]
- 演 - 門山葉子[64]
- 「蟲の呼吸」を使用する蟲柱(むしばしら)。年齢は18歳[65]。蝶の羽根を模した髪飾りや羽織を着用する。薬学に精通し藤の花から「鬼を殺せる毒」を作り出した。栗花落カナヲを継子に持つ。
- 女性隊士の中でも特に小柄で華奢な人物であるが、その分瞬発力や移動速度に優れる。刀を振る筋力が弱いため柱の中で唯一鬼の頚を斬ることができないが、突く筋力が非常に強く、刺突技に特化した戦い方をする。刺突では鬼を殺せないため、鬼ごとに調合を変えた毒を刃に纏わせて毒殺する。
- 常に笑顔を絶やさず、誰に対しても敬語を崩さない物腰柔らかな女性。善逸が顔だけで食べていけそうと評価するほどの美人。
- 「蝶屋敷」という鬼殺隊専門の病院のような施設を運営しており、重傷を負った隊員の治療やリハビリを受け持っている。屋敷の子供たちを妹のように可愛がっている。
- かつては姉カナエと両親と幸せに暮らしていたが、鬼によって両親を殺害され、悲鳴嶼に助けられた。その後、姉と共に鬼殺隊士となった。
- 最愛の姉であるカナエは「鬼と仲良くしたい」という夢を持つ剣士であったが、童磨に惨殺されている。姉の思いを受け継ぐため自身も鬼と仲良くするという夢を掲げる一方、姉を殺した鬼への嫌悪感を持ち、鬼に対して苛烈な言動を見せる。
- 童磨への執念で藤の花を少しずつ摂取し続けることで身体を作り変えており、猛毒の塊と化している。無限城編でカナエの仇である上弦の弐・童磨と交戦する。あえて殺され、童磨に己を喰わせることで猛毒を盛り、カナヲにとどめの斬首を託す。
- 煉󠄁獄 杏寿郎(れんごく きょうじゅろう)
- 声 - 日野聡[75]、伊瀬茉莉也(幼少期)
- 演 - 矢崎広[64][42]
- 「炎の呼吸」を使用する炎柱(えんばしら)。年齢は20歳。正義感・使命感に溢れた性格で、明るく快活な兄貴肌[77]。無限列車編の主要人物。
- 服装は隊服の上から、下方先端が炎を思わせる意匠の白いマントのような羽織を羽織っている。
- 歴代「炎柱」を輩出している名家・煉󠄁獄家の出身。幼いころから父の指導の下、鬼狩りとしての腕を磨いていたが、突如剣を捨て無気力となった父より突き放され、深く傷つきながらも、表向きは常に快活な笑顔を浮かべ、弟・千寿郎を導きつつ柱の一人として鬼殺隊も支えた。
- 戦闘力は凄まじく、無限列車内では五両間を一瞬で移動、技の威力で横転の衝撃を和らげるほどの実力を持つ。リーダーシップと判断力も優れ、炭治郎たちに列車の事態を収拾するための的確な指示を出す。他の柱たちからも高評価されている。
- 無限列車の調査に赴き、炭治郎たちと共闘して魘夢を倒すが、直後に上弦の参・猗窩座の強襲を受け、戦闘の末致命傷を負い、猗窩座を取り逃がす。彼からはその強さを絶賛され、鬼となるよう再三勧誘を受けるも、最後までこれを跳ね除けて人間として戦い抜いた。最期に炭治郎たちへ遺言を残し、家族への想いを胸に抱きつつ笑顔で息絶える。
- 『煉󠄁獄杏寿郎 外伝』では主人公として描かれる[84]。
- 宇髄 天元(うずい てんげん)
- 声 - 小西克幸[75]
- 演 - 辻󠄀凌志朗[64]
- 「音の呼吸」を使用する音柱(おとばしら)。年齢は23歳。「派手」が口癖で、宝石が散りばめられた額当てをはめ、左目の周囲に化粧をしている派手な出で立ちの大柄な剣士。豪快で気のいい性格。「祭りの神」を自称する。素顔は非常に端正だが、本人は「地味だから」と嫌い、化粧で派手な容姿を作っている。女好きで三人の妻、須磨・まきを・雛鶴がいる。遊郭編の主要人物。
- 得物は鎖でつながれた大包丁のように幅広の二本の日輪刀で、戦闘時以外は刀身に細い布を巻いて背負う。補助に火薬玉も使用する。
- 元忍であるため、大柄な体格に反する柱随一の俊敏さや隠密性を併せ持ち、毒への耐性も高い。聴覚に優れる。敵の攻撃動作を音の律動に変換し、その攻撃の癖や死角を把握する「譜面」という独自の戦闘計算式を有する。忍の一族として生まれるも、一族の存続を焦った父による苛酷な訓練で多くの兄弟を亡くしている。妻たちも「道具」として扱われていたくノ一であった。父を拒否して忍をやめ、産屋敷耀哉と出会い鬼殺隊に居場所を得る。
- 吉原・遊郭にて十二鬼月の上弦の陸である堕姫・妓夫太郎と戦い、左目と左腕を失ったことにより柱を引退する。
- 柱稽古では第一の試練・基礎体力の向上担当として、隊員たちをスパルタで鍛えている。柱引退後は纏めていた髪を下ろし、額当てを外して同じ宝石が着いた眼帯に着流しというスタイルとなっている。無限城戦の裏では、煉󠄁獄槇寿郎と共に産屋敷輝利哉を護衛する。
- 時透 無一郎(ときとう むいちろう)
- 声 - 河西健吾[75]
- 演 - 奥田夢叶[64]
- 「霞の呼吸」を使用する霞柱(かすみばしら)。年齢は14歳。当代最年少の柱であり、刀を握って僅か2か月で柱となった天才。「日の呼吸の剣士」の子孫と伝わっているが、正確にはその双子の兄・継国巌勝(上弦の壱・黒死牟)の子孫。日輪刀は霞のように白い刀身。刀鍛冶の里編の主要人物。
- 常に無表情で他者への関心が希薄な茫洋とした性格。歯に衣着せぬ物言いをする。記憶障害を患っており、刀を握る以前の記憶を持たず、隊士となってからも新たな事柄を長く覚えておくことができない。マイペースな言動の一因である。
- かつては杣人の父親の手伝いをしながら暮らしていたが10歳の時に両親を亡くし、以降は双子の兄の有一郎と共に生活を送っていた。11歳の春ごろに訪ねて来た産屋敷あまねから自分たちが「始まりの呼吸の剣士」の子孫であることを伝えられ剣士に憧れを抱くが有一郎から猛反対される。同年の夏、鬼に有一郎が殺され、この一件から記憶障害を患う。
- 刀鍛冶の里にて上弦の伍・玉壺と交戦、痣の者として覚醒し勝利する。この際に記憶を取り戻した。記憶を取り戻して以降は朗らかな面も見せるようになり、目上の柱には基本的に敬語で話している。
- 無限城にて、己の先祖である上弦の壱・黒死牟と戦い、赫刀を発現させたことで勝利に貢献する。戦闘後は力尽きて死亡する。
- 甘露寺 蜜璃(かんろじ みつり)
- 声 - 花澤香菜[75]
- 演 - 川崎愛香里[64]
- 「恋の呼吸」を使用する恋柱(こいばしら)。年齢は19歳。元は煉󠄁獄の継子。
- 社交的で心優しく、無視されると泣きじゃくるほど、繊細な性格。非常に惚れっぽく、周囲のあらゆる人物に男女問わずときめいている。伊黒には特別視されている様子。刀鍛冶の里編の主要人物。
- 見た目こそ可憐な女性であるが、特異体質により常人の8倍の密度の筋肉を備え、容姿にそぐわぬ怪力を有する。食欲が非常に旺盛。長髪を三つ編みにしており、桜餅の食べ過ぎが原因で髪色は桜色と緑色に変色している。隊服は胸元が露出している。
- 戦闘では、鉄地河原が制作したウルミのようにしなる日輪刀を使用する。
- 柱の中では最も禰󠄀豆子に好意的であり、頭を撫でたり、くすぐって遊んだりと大変可愛がっており、禰󠄀豆子もまた甘露寺によく懐いている。
- 鬼殺隊に入った理由は「添い遂げる殿方を見つけるため」。家族は父と母、五人姉弟で家族仲は良く、鬼とは無縁である。力の弱いふりをし髪色を黒く染め食事を我慢するなど、結婚するために自分を偽っていたが、自分らしいまま人の役に立ちたいと鬼殺隊に入隊。
- 上弦の肆・半天狗討伐に大きく貢献する。無限城決戦前半では伊黒と共に鳴女と戦闘するものの、彼女の血鬼術に悪戦苦闘する。無惨戦で致命傷を受け、無惨消滅直後、伊黒と来世で添い遂げる約束をし、共に力尽きる。
- 伊黒 小芭内(いぐろ おばない)
- 声 - 鈴村健一[75]
- 演 - 宮本弘佑[64]
- 「蛇の呼吸」を使用する蛇柱(へびばしら)。年齢は21歳。左右で瞳の色が異なり、口元を包帯で隠した、比較的小柄な男性。右眼は弱視で、包帯の下は口元を裂かれている。相手を厳しく責めるような、ネチネチとした話し方をする。「鏑丸」という雄の白蛇を連れており、視力の弱い伊黒を補助している。蜜璃に好意を持っている。日輪刀はフランベルジュのようなうねる刀身。
- 蛇じみた女の鬼が支配する女系の一族に生まれる。小芭内は370年ぶりに生まれた男で、左右違う色の目をしていたことから、食べる量を増やすため生贄として座敷牢で育てられた。一度蛇鬼に会わされた際に、生き血を飲むために口を割かれている。その後脱走した際に捕まり、当時炎柱であった煉獄槇寿郎に救われる。親族は50人ほどいたが、小芭内の脱走に怒った蛇鬼に殺され全滅した。
- 生い立ちが原因で、自分の血は汚れており死ぬまで消えないと考えている。蜜璃に惹かれているが、釣り合うとも結ばれるとも思っておらず、想いを伝えるつもりもない。
- 無惨消滅後、蜜璃と来世で添い遂げることを約束し、共に力尽きる。鏑丸は実弥を経由してカナヲに託された。
- 不死川 実弥(しなずがわ さねみ)
- 声 - 関智一[75]
- 演 - 前田隆太朗[64]
- 「風の呼吸」を使用する風柱(かぜばしら)。年齢は21歳。不死川玄弥の兄。短い白髪の青年で身体中に傷痕がある。非常に粗暴かつ苛烈な言動が目立ち、柱の中でも鬼への憎悪や敵意はずばぬけて強い。その反面、礼儀や正義に溢れた人物。前の大きく開いた隊服を着る。日輪刀は緑色の刀身を持ち、拵は風車を思わせる鐔を備えている。
- 柱の中では禰󠄀豆子の存在を最も強く否定し、自身を傷付け血を見せることで鬼の本性を引き出そうとするが、禰󠄀豆子が理性を保ちきったため、逆に「人を襲わない証明」が公式になされることとなる。
- 稀血の中でも希少な、匂いをかいだ鬼を酔わせる血を持つ。
- 鬼化した母に兄弟を殺され、唯一残った玄弥を守るために夜が明けるまで母と戦い続け手に掛けた過去を持つ。顔の大きな傷はその時についたもの。育手を紹介され入隊した後、当時の下弦の壱を倒して柱入りした。顔合わせするまでは、命令するばかりで前線に立たない耀哉に反感を抱いていたが、彼が亡くなった鬼殺隊員の名前を全て記憶していることを知って驚愕し、意識を改める。
- 玄弥に対しては、亡き母親や弟妹たちの分も幸せになって欲しいという思いから、過去を悔やみ、謝ろうと自分を追って鬼殺隊に入隊してきた彼を冷たく突き放す。
- 無限城にて、上弦の壱・黒死牟、無惨と戦い生存する。
- 小説『風の道しるべ』では主人公として描かれる。
- 悲鳴嶼 行冥(ひめじま ぎょうめい)
- 声 - 杉田智和[75]
- 演 - チャンヘ[64]
- 「岩の呼吸」を使用する岩柱(いわばしら)。年齢は27歳。僧侶を思わせる風体で、盲目の大男。失明は幼少期の高熱によるもの。性格は穏やかで優しく涙脆い。
- 柱の中では最年長のまとめ役で、耀哉の信頼も厚い。体格と腕力は柱一で、心技体に優れ、総合的な戦闘力は突出して高い。複数の剣士たちから鬼殺隊最強と評価されるに留まらず、上弦の壱・黒死牟をして絶賛せしめる。
- 手斧と棘付き鉄球を鎖で連結した特製の日輪刀を武器に用いる。この鎖鉄球をぶつけて鬼の頭部を粉砕する。
- 「子供」の負の面をよく知っており、柱合会議の初対面時は、炭治郎を疑っていたが、柱稽古に至り炭治郎をはっきりと認めた。
- 病や飢えで両親と兄弟を全員失くした天涯孤独の身。寺で育ち、身寄りのない子供たちの世話をして生活していた。だが、1人[注釈 3]の裏切りにより侵入した鬼に子供らを殺される。最後の1人となった女児を守り切るも、彼女の証言が誤解され殺人犯として投獄される。耀哉に助けられたことで、鬼殺隊に入隊する。
- 無限城にて、仲間らとともに上弦の壱・黒死牟と交戦し勝利する。無惨戦にて致命傷を負い死亡する。
その他(鬼殺隊)
- 産屋敷 耀哉(うぶやしき かがや)
- 声 - 森川智之[115][21]
- 演 - 廣瀬智紀[64]
- 鬼殺隊の頭目で産屋敷家第97代当主。23歳。隊士たちからは「お館様」と呼ばれ、鬼殺隊の剣士たちを「私の子供達」と呼ぶ。
- 代々短命の一族で病に冒され、顔面上部の皮膚が変質している。初登場の柱合会議時点では視力を失っている。さらに時間の経過とともに病が進行し、身体が衰弱している。声質は「1/fゆらぎ」を帯び、聴く相手を心地よく高揚させる。我と個性が強すぎて纏まりがつかない「柱」たちも、全員が彼を敬っている。鬼・禰󠄀豆子の存在を知りつつ炭治郎の行動を黙認していたが、柱たちの自主性・使命感からの反対意見を頭ごなしに否定することもなく、最終的には禰󠄀豆子を組織的に認めるに至る。また、柱たちにも秘密裏に珠世の存在をも把握している。
- 千年前に鬼舞辻󠄀無惨を出した一族の末裔であり、一族の病を無惨を産み出した罪による呪いとみなし、執念で短命の血筋と鬼殺隊を千年維持してきた。病弱ながら知に優れ、築いた財で鬼殺隊を支えている。無惨の打倒こそが一族の悲願である。彼ら2人の顔は「双子のように瓜二つ」だという。
- 屋敷の場所を隠していたが無惨に突き止められ、病状の進行から喋ることもままならない状態で対面を果たし、妻や娘2人諸共自爆する。
- 産屋敷 輝利哉(うぶやしき きりや)
- 声 - 悠木碧[115][21]
- 演 - 久家心[22]
- 産屋敷夫妻の五つ子の内、一人だけいる黒髪の子供。唯一の男児で跡継ぎ。瞳孔が大きく、母や姉妹とよく似ている。父同様に病弱で、魔よけの風習から女児の着物を着ている。
- 炭治郎の時の最終選別では、姉妹と共に案内役を務めた。父亡き後は齢8歳で第98代当主となる。無限城の裏では、愈史郎と鴉から情報を得て、無限城の図面を描きながら総指揮を取る。現代が舞台の最終話の時点でも生存しており、「日本最高齢記録を更新した産屋敷さん」としてテレビで紹介されている。
- 栗花落 カナヲ(つゆり かなお)
- 声 - 上田麗奈[21]
- 演 - 舞羽美海(1作目[126])、内田未来(2作目[64])
- 炭治郎の同期に当たる鬼殺隊の女剣士。年齢は16歳。才覚を認められ、蟲柱・胡蝶しのぶの「継子」となっている。胡蝶カナエと同じ「花の呼吸」の剣士。しのぶより体格と力に優れており、戦い方も異なる。
- 視覚が非常に優れており、特にずばぬけた反応速度と動体視力を持ち、潜在能力はしのぶをも上回るのではないかと見込まれている。
- 任務では優秀だが、普段はぼんやりとしており表情も乏しい。全てにおいて「どうでもいいから何も決められない」という一種の虚無感を抱え、指示を受けたこと以外の行動はカナエから贈られた銅貨を投げた結果(コイントス)で決めていたが、炭治郎と出会ってからは、コイントスをせず自分の意思で行動することも増える。
- 幼少のころ、実の親からの虐待の末に感情を失い、何も感じなくなる。その後、親に売られて人買いが連れ歩いているところを胡蝶姉妹が保護し、引き取った。カナエによって「カナヲ」と名付けられる。
- 無限城では、しのぶを殺した上弦の弐・童磨と戦い、しのぶの毒により体が崩れ始めた童磨の頸を伊之助と共に斬ることに成功する。鬼の王となった炭治郎に最後の薬を打ち込んで人に戻す。奥の手である「終ノ型・彼岸朱眼」を使ったことで、童磨戦で右眼を失明、鬼の王戦で左眼の視力を大きく落とした。戦後は実弥から鏑丸を託されている。
- 不死川 玄弥(しなずがわ げんや)
- 声 - 岡本信彦[115][21]
- 演 - 森田力斗[132]
- 炭治郎の同期にあたる鬼殺隊剣士。年齢は16歳。風柱・不死川実弥の弟。悲鳴嶼行冥の弟子。刀鍛冶の里編の主要人物。
- 顔に大きな傷があり、目つきが鋭く、髪型はモヒカンにしている。最終選別後に女童を殴り、激怒した炭治郎に腕を折られた。選別時には炭治郎と同じくらいの背丈だったが、その後蝶屋敷で再会した際は劇的に体格が良くなっていた。刀鍛冶の里にて再び炭治郎と顔を合わせた際は前述の件から敵意を剥き出しにしていたが、戦いの中で和解する。以降は穏やかで友好的な態度をとることが多くなる。突っ張っているが、年頃のため照れ屋で女や子供に弱い。
- 呼吸の才能が全く無く、武器は特製大型弾を撃ち出す南蛮銃(水平二連式ソードオフ・ショットガン)で、補助に日輪刀を持つが色変わりしておらず刀身も短い。特異体質を持ち、強力な顎と特殊な消化器官により、鬼の肉を喰い取り込むことで、その力を一時的に使うことができる鬼殺隊にとって唯一無二の人材である。鬼化による再生力で強引に戦う。
- 不死川家の次男。鬼になった母から守ってくれた兄・実弥に「人殺し」と言ってしまったことを謝るため、才能が無いながらも兄を追って鬼殺隊に入隊した。柱稽古で念願の兄との再会を果たすも、冷たくあしらわれる。
- 無限城では黒死牟の撃破に貢献するが、脳天から両断されて致命傷を負う。悲鳴嶼のはからいで最期に実弥との対話がかない、過去の謝罪と感謝の言葉を告げながら、身体が鬼のように崩壊して死亡した。
- 神崎 アオイ(かんざき あおい)
- 声 - 江原裕理
- 演 - 牧浦乙葵
- 鬼殺隊士。蝶屋敷で負傷した隊士らの治療、および訓練の指揮を執るツインテールが特徴の17歳の女性隊員。家事全般が得意で手先も器用。その指導はかなり厳しい。
- 自身も鬼の出現により孤児となり、カナヲより前に蝶屋敷に引き取られた。水の呼吸の使い手で、最終選別にも合格した正規隊員である。しかし、鬼への恐怖心から前線で戦うことができなくなったため、後方支援に回っている。
鬼殺隊関係者
- 鱗滝 左近次(うろこだき さこんじ)
- 声 - 大塚芳忠[115][21]
- 演 - 高木トモユキ[22]
- 天狗の面をつけた鬼殺隊の元・水柱。前線を引退してからは次代の鬼殺隊員候補を育てる育手を担う。教え子には炭治郎や義勇の他、手鬼に殺された錆󠄀兎や真菰を含めた13人の子供たちがいる。
- 「水の呼吸」を用いた剣術を教えている。炭治郎と同じく鼻が利き、彼の真摯過ぎるゆえに非情になれない性格を嗅ぎ分け、当初は彼を弟子とすることに難色を示していた。課題を突破した弟子には「厄除の面」としてその弟子に合わせた狐の面を贈っている。しかし、これが最終試験において手鬼への目印になってしまい、これまでの弟子たちは義勇と炭治郎を除き13人全員が彼に殺されてしまっていた。
- 訪れた炭治郎が試練を突破したことで彼を弟子と認め、1年間のスパルタ訓練を施す。また、炭治郎の訓練期間と最終選別の間、長期の睡眠に入っていた禰󠄀豆子に人間を守るよう暗示をかける。
- 炭治郎には最終選別の前に、教えた技術を使って大岩を斬る課題を課す。この課題は、これ以上弟子を死なせまいと炭治郎に剣士になるのを諦めさせるために無理を承知で課していた。
- 竈門兄妹の仔細を産屋敷に報告する手紙の中で、禰󠄀豆子が人を襲った時には義勇と共に腹を切って詫びる覚悟であることを表明し禰󠄀豆子の助命を訴えていた。
- 当初の案は面を付けていない普通の老人だったが、担当から「インパクトが無い」と指摘され天狗の面を付けることになった[14]。素顔の設定はあるが、吾峠以外には初代担当の片山しか見たことがないという[14]。
- 継国 縁壱(つぎくに よりいち)
- 声 - 井上和彦[注釈 4]
- 「始まりの呼吸の剣士」。日の呼吸の使い手で、戦国時代に、鬼狩りたちに呼吸法を教え、現在の鬼殺隊の基盤を作った。生まれつき額から目元まで炎のような痣を持ち、「透き通る世界」にも物心付いた段階で入っていた。日輪が描かれた花札風の耳飾りを付けている。日輪刀の刀身の色は漆黒で、戦闘の際は赫刀となる。
- 武家・継国家に双子で生まれるが、当時双子は跡目争いの原因となるため不吉とされたことから、忌子として兄・巌勝とは待遇に明確に差をつけて育てられた。初めて竹刀を持っての稽古をした際、兄を大きく上回る剣才を見せる。時を経ずして母が身罷り、これを機に7歳で出奔する。
- 出奔後、家族を流行り病で失ったうたという少女と夫婦になるが、鬼にうたとお腹の子を殺される。その後鬼狩りとなり、鬼舞辻󠄀無惨と珠世に遭遇し、無惨を追い詰めるが仕留め損なう。無惨討伐に失敗したこと、珠世を見逃したこと、兄が鬼になったことなどの責任を追及されて鬼殺隊から追放される。
- うたと共に暮らしたあばら家に立ち寄った際、新たに住んでいた竈門炭吉とその妻・すやこを鬼から救ったことで夫妻と友人となる。日の呼吸の型を炭吉らに見せ、別れ際に耳飾りを渡した。痣の代償で早死にすることすらなく、60年後に老いた身で黒死牟(兄・巌勝)と再会、全く衰えぬ剣技で死を覚悟させるも、寿命で力尽きる。
- 高い実力を持ちながらも非常に謙虚で、剣技を伝える才ある者がいないと嘆く兄に対し、次世代がすぐに現れるだろうと前向きに回答している。
- 母親に似て争いを好まないおっとりした性格であり、他人が幸せそうにしていると嬉しくなる素直で素朴な人柄。うたは縁壱の感情を表情以外から読み取ることができた。生涯でうただけを愛し、死別後も独身を貫いたため直系の子孫はいない。兄からもらった笛を、うたの着物から作った袋に収めて持ち歩いていた。
- 鋼鐵塚 蛍(はがねづか ほたる)
- 声 - 浪川大輔[115][21]
- 演 - 佐藤祐吾(1作目、2作目〈声〉)、奥田夢叶(2作目)
- 鬼殺隊の刀鍛冶。笠に幾つもの風鈴を下げたひょっとこ面の男。素顔は精悍で整っている。37歳。
- 落ち着きが無い上に人の話を聞かずに一方的に喋るなど、自己中心的で非常に癇癪持ちな性格。自分の打った刀に極めて強い愛情を持ち、炭治郎が激戦で刀を破損するたびに刃物を持って追い回す。技能は確かだが性格が災いし、剣士から嫌われて担当から外されることが多いという。
- みたらし団子が好物で、差し出されると機嫌が治まり、両脇をくすぐられると大人しくなる。
- 幼少期から癖が強過ぎて両親がノイローゼになってしまい、刀鍛冶の里の長・鉄珍に預けられ育てられた。蛍という名は鉄珍による命名で、「可愛すぎる」と本人は嘆いている。
- 刀を研ぐ際には、鬼の襲撃も意に介さないほどの集中を見せる。
- 小鉄(こてつ)
- 声 - 村瀬歩
- 刀鍛冶の里の子供。戦闘用絡繰人形「縁壱零式」を作った絡繰技師の子孫。
- 自分の才能の限界を感じ、技師を諦めようとしようとしたが、炭治郎に激励を受け、縁壱零式で特訓をさせる。頑固で毒舌家であり、零式を用いた特訓の際、炭治郎が課題を突破しなければ水も食事も与えないという訓練を課した。
鬼
- 鬼舞辻󠄀 無惨(きぶつじ むざん)
- 声 - 関俊彦[150][151]
- 演 - 佐々木喜英[22]
- 本作の悪役で、鬼殺隊の宿敵。千年以上前に生まれた最初の鬼。鬼たちの絶対的支配者で、自身の血を人間に与え大量の鬼を作り出した。炭治郎の家族を殺し、禰󠄀豆子を鬼に変えた。
- 鬼たちを血に仕込んだ呪いで支配し、「あの方」と呼ばれ恐れられている。性格は冷酷非情かつ支配的で、自らの意志に沿わない者は決して許さない。
- 元々は平安時代の貴族として生まれた産屋敷家の先祖であった。身体が弱く二十歳までに死ぬと言われていたため、医者が回復を願って新薬を処方するも、病状がよくならないことに癇癪を起こして医者を殺害する。しかしその直後に薬の効果が出始め、強靭な肉体を持ったが日光の下に出られなくなった。こうして最初の鬼となる。
- その目的は、日光を克服して完全な不老不死となることであり、そのために2つのプラン「太陽を克服した鬼を産み出して吸収する」「(自分を鬼にした新薬の原材料たる)青い彼岸花を探す」を進める。そのために鬼を作り続けている。
- 正体不明で、柱ですら接触した者はいなかったが、浅草にて炭治郎が匂いを辿り遭遇し、人間社会に溶け込んでいることが判明。いくつかの容姿・身分を使い分けている。
- 継国縁壱にかつて殺されかけた。同じ耳飾りをした剣士の炭治郎、支配から外れた珠世と禰󠄀豆子の3人を特に警戒し、抹殺対象とする。
- 体内には5つの脳と7つの心臓を備えしかも位置が移動しており狙えない。戦闘時には、全身に複数の口と牙を備えた異形の姿に変貌する。
- 鬼殺隊との激しい死闘の末、ついに朝日を浴び倒される。滅びる寸前、炭治郎に自分の血と力を注ぎ込んで「鬼の王」に変え、鬼狩りを滅ぼすという自分の想いを託す。しかし禰󠄀豆子や鬼殺隊の尽力で炭治郎は人間に戻り、無惨自身は地獄の最下層である阿鼻地獄に堕ちることとなる。
十二鬼月
上弦
- 黒死牟(こくしぼう)
- 声 - 置鮎龍太郎
- 上弦の壱。顔面に三対六つの眼を持つ異形の鬼。侍の出で立ちをしており、痣が左の額と右首筋から右顎にかけて浮かび上がっている。継国縁壱の双子の兄にして、時透無一郎の先祖。月の呼吸の剣士。筋肉の動きを視覚として修得している。自身の血肉から作られた刀「虛哭神去(きょこくかむさり)」を持つ。
- 人間の時の名は継国巌勝(つぎくに みちかつ)。戦国時代の武家・継国家に弟の縁壱と双子として生まれる。母が病死したことを機に出奔した縁壱を見送った後、実は縁壱は母の左半身を支えていたと知り、嫉妬と憎悪を抱く。継国の家督を継承し妻子を持ったが、再会した弟の強さと剣技を欲して、地位も家族も捨てて鬼狩りとなる。入隊後は独自の月の呼吸を修得し痣を発現させるが、痣により己の余命がほとんど残っていないことを知る。その後無惨と出会い、技を極めるために鬼となる。60年後、老いた縁壱に再会し、力量差に死を悟るも、縁壱が寿命死してしまう。縁壱の遺体から笛を回収し、最期まで持っていた。
- 無限城では、無一郎・玄弥・実弥・悲鳴嶼と交戦する。猗窩座同様に斬首すら克服して異形の姿で再生するも、実弥の刀身に映る己の姿を見て侍とはほど遠い異形になったことに動揺した隙に剣士たちの総攻撃を浴びてようやく消滅した。
- 童磨(どうま)
- 声 - 宮野真守[注釈 5]
- 上弦の弐。白橡色の頭から血を被ったような文様の長髪に、洋風に改造した着物を着る青年の鬼。生まれつき虹色の瞳を持つ。万世極楽教の教祖。姿は人間時代と変わらず、人間としての表の肩書で活動している。
- 常に笑みを絶やさず鬼狩りにも親しげに接する、飄々とした陽気な人物。無意識に相手の感情を逆撫ですることが多く、鬼の中では浮いているが、本人は皆と仲良しだと思っている[156]。喜怒哀楽は表面上だけで、その真の人物像は非常に無機質で虚無的。
- 二十歳のころに無惨に出会い鬼となる。鬼としては猗窩座よりも新参だが、それを追い上げて上弦の弐となった。上弦の陸時代に妓夫太郎と堕姫を鬼にスカウトした。
- 人間のころ、万世極楽教の教祖だった両親に稀有な容姿と高い知性から神童だと担ぎ上げられたが、自身は無神論者で、「馬鹿で可哀想な民を救ってやらねば」という信条で教祖をしていた。鬼となってからは、自らの一部として永遠の存在とすることで救済すると称して信者らを食っている。基本的に男は食わず、栄養が豊富だからと女性を好んで食す。
- 鉄扇を武器に、冷気の血鬼術を用いる。術を霧状にばらまくことで、敵の感覚器や呼吸器系を冒し弱らせる。
- かつて胡蝶カナエを殺害した鬼であり、無限城ではその因縁でしのぶと対決する。彼女を殺し全身丸ごと体内に取り込んだことで毒が回り、弱ったところをカナヲと伊之助に斬首される。
- 猗窩座(あかざ)
- 声 - 石田彰
- 演 - 蒼木陣[42]
- 上弦の参。全身に紋様めいた刺青を施した、紅梅色の短髪を有する青年の鬼。作中で最初に登場した上弦。ファンブックによると、人間時代の名残なのか鬼には珍しく、人を食うより鍛錬に時間を費やしていた[156]。
- 愚直に強さを求め続ける武術家じみた一面を持ち、敵でも実力者には敬意を払い、鬼になるよう勧誘する。一方、自身が弱者と見定めた者は露骨に見下し、些細な理由で真っ先に殺害しようとする。若く強いまま何百年も鍛錬し続けられる鬼を賛美し、すぐに老いて死んでしまう人間という種に対しては嫌悪感を抱く。
- 「拳鬼」と呼ばれ、戦闘スタイルは己の体で戦う体術戦。また、「闘気」を感知する血鬼術を用いる。
- 人間時代は江戸時代に生まれた狛治(はくじ)という名の青年。病気の父親のためにスリで薬代を稼いでいたが、心を痛めた父親は自殺し、罪人として江戸を追放される。世を恨み喧嘩を繰り返していた所を、武術道場を営む慶蔵に拾われその娘の恋雪(こゆき)と恋仲になる。隣接する剣術道場の嫌がらせで慶蔵と恋雪が死に、激昂して剣術道場の67人を虐殺。自暴自棄になっていたところを無惨に鬼にされた。童磨とは正反対で女性を一切食わない。
- 魘夢が倒された直後、無惨の指令で現れる。煉󠄁獄に致命傷を与え、陽光が差し始めたため逃走する。その際炭治郎に卑怯者呼ばわりされ、また無惨からその場にいた鬼狩りを仕留め損なったのを咎められ制裁を受けたことから炭治郎を標的視する。
- 無限城編では、炭治郎・義勇と戦い、炭治郎の「透き通る世界」の闘気を感知することができず斬首される。鬼の執念で頚を再生しようとするが、人間だったころの記憶が蘇り、死を受け入れ自分に攻撃を打ち込み、崩れ去った。
- 半天狗(はんてんぐ)
- 声 - 古川登志夫
- 上弦の肆。額に大きなコブと二本の角がある老人の姿をした鬼。見た目の年齢は87歳ほど。常に何かを怖れているような様子で、事あるごとに「ヒィィィィ」と悲鳴を上げる。
- 潜入を得意とし、柱でも目視するまで確認できないほど気配の同化に優れる。身のこなしも軽い。戦闘ではその時の感情を具現化し、新たな分裂体を生み出す血鬼術を使用する。頚を切られると、舌に「喜怒哀楽」のそれぞれ一字が刻印された4人の鬼に分裂し、主に戦闘を担当する。戦闘面は分身に任せ、「怯」の字が刻まれた小さな本体は身を隠している。喜怒哀楽で能力が異なり、合体した憎珀天は全ての能力を強化して組み合わせて使用できる。ファンブックによると、分裂してできた鬼たちは若い頃の半天狗の姿である[156]。
- 人間の頃から嘘つきで、盲目と偽り、盗みと殺人を繰り返していた。自分の都合の良いように事実や解釈をねじ曲げる思考の持ち主。自身を「善良で弱い被害者」、向かってくる者を「弱者を虐める加害者」として同情を引こうとする。
- 無惨の命で刀鍛冶の里に玉壺と共に出向き、剣士の始末を担当するが、炭治郎らに敗れる。
- 玉壺(ぎょっこ)
- 声 - 鳥海浩輔
- 上弦の伍。壺と肉体が繋がった状態で、両目部分に2つの口、額と口部分に両目がある異形の鬼。頭などからも小さな腕が複数生えている。壺は無惨の財源にもなっている[161]。
- 「至高の芸術家」を自称し、人間を見下す傲慢な性格。己の作品に対して強いプライドを持ち、他者にそれらを侮辱されると激怒する。語尾に「それもまた良し!」とつける癖がある。
- 戦闘では自身の掌から生み出した壺を使ったトリッキーな戦術を用いる。壺から壺への瞬間移動も可能で、移動の媒体となる壺も神出鬼没に出現するため、高い敏捷性があり回避に優れる。脱皮することで本人曰く「完全なる美しき姿」に変容でき、変身後は屈強な半魚人のような上半身に蛇のような下半身を持つ。この形態では直接戦闘を行うようになり、鱗と肉体のバネにより俊敏な動きを可能とし、鱗は金剛石より硬いと豪語する。
- 刀鍛冶の里の居所を突き止め、無惨の命を受けて半天狗と共に強襲を仕掛ける。痣を発現した無一郎に頸を斬られて死亡する。
- 堕姫(だき)
- 声 - 沢城みゆき[162]
- 演 - 佐竹莉奈[163]
- 上弦の陸。妖艶な美女の姿をした鬼で、普段は花魁に化けている。非常に性悪で傲慢な性格だが、兄の前では口調が幼くなり、泣き虫な素の性格が表れる。血鬼術により、無数の帯を操作して戦闘するほか、帯を分身として操作したり、帯の中に人間を取り込んだりすることもできる。
- 花魁時は着物だが、鬼の姿ではランジェリー風の服装に三本歯下駄、身体に着物の帯を身に着けるという極めて露出度が高い服装をしている。
- 100年近く吉原に潜んで、時代に応じて様々な「姫」という名の付く花魁になりすましていた。現代での仮名は蕨姫花魁(わらびひめおいらん)。不細工な人間を忌み嫌い、見目麗しい女性を好んで喰らう。
- 人間だったころの名前は「梅(うめ)」。遊郭の最下層で生まれる。成長し遊女となるが、妓夫太郎を侮辱した客の侍の左目を簪で突いて失明させたことへの報復として生きたまま焼かれ、死に瀕していたところを童磨に血を与えられ、兄と共に鬼となる。
- 遊郭に潜入した天元率いる隊と交戦し、兄の妓夫太郎とともに頚を斬られ死亡する。
- 妓夫太郎(ぎゅうたろう)
- 声 - 逢坂良太[164]
- 演 - 遠山裕介[163]
- もう1人の上弦の陸。堕姫の兄の青年の鬼。先が緑の癖毛で、顔や体に斑模様が無数に浮かんでいる。また肋骨から下が異常に痩せているものの、腕や胸筋は人並み以上に発達している。
- 普段は堕姫の背中に融合し張り付いている。彼の方が真の「上弦の陸」であり、堕姫よりも桁違いに強い。自身の血肉で生成した鎌と自らの血を利用した猛毒の血鬼術を使う。堕姫に左目を貸与することも可能で、彼女を遠隔操作しつつ、自分は右の視覚だけで戦ってなお鬼殺隊を圧倒するほどの実力がある。
- 喋り方に独特の癖があり、「〜なぁ」と語尾を伸ばす。見目麗しい宇髄天元に対して強い嫉妬心をあらわにし、死んで欲しいと繰り返す。堕姫を甘やかしている。
- 名前は人間時代からの物だが、この名はほぼ遊郭での役割名そのまま[注釈 6]である。江戸時代に遊郭の最下層で生まれ、忌み嫌われながら育つ。美しい妹の梅を誇りに思っていたが、梅が13歳のとき客の侍に生きたまま焼かれ、自身も襲われるが、持っていた鎌で返り討ちにする。その後、通りすがりの童磨に救われ、妹と共に鬼となった。
- 堕姫が天元に頚を刎ねられたことで眠りから目覚め、天元・炭治郎と交戦の末、頚を斬られ死亡する。
- 鳴女(なきめ)
- 声 - 井上麻里奈
- 長い黒髪で目元を隠した女性の鬼。髪の下は大きな単眼である。
- 必要以上の会話をしたがらず、上弦の壱から伍が集められた際も質問に短く答える程度。
- 十二鬼月とは別枠の側近であったが、半天狗が死んだことで空位となった上弦の肆へと昇格する。
- 琵琶を奏でることで異空間・無限城の無数にある部屋を自在に操る。鬼たちへの干渉能力も高く、上弦ですら気付かれずに無限城へ呼び寄せ、城内の鬼や人間を部屋から部屋へ琵琶の奏で一つだけでテレポートさせることもできる。上弦になった後には探知探索の血鬼術を会得し眼球に三本触手の足を持つ使い魔による遠隔探知ができる。
- 人間時代は琵琶演奏で日銭を稼いでいたが、夫に演奏用の着物を勝手に売られ逆上し彼を殺した。その後の演奏が賞賛を受けたことから、以降は日課の如く人を殺してから演奏していた。無惨を襲い返り討ちに遭った後、気に入られて鬼にされた。
- 無限城決戦時には部屋を自在に動かして鬼殺隊を分断するが、愈史郎に脳を乗っ取られたことにより視界を操作され、無限城の制御も奪われてしまい、この事実を知った無惨が自壊の呪いを発動させたことで死亡。その結果、制御不能に陥った無限城は崩壊して地上に露出した。
- 獪岳(かいがく)
- 声 - 細谷佳正
- 演 - 千葉雅大[165]
- 善逸の兄弟子にあたる元鬼殺隊剣士。鬼殺隊の隊服の上に着物と帯を着用し、勾玉の首飾りをしている。人間時は善逸と色違いの日輪刀だったが、鬼となってからは自分の血と骨から作った刀を背負っている。
- 真面目で努力家な性格である一方自尊心がとても強く、傲慢で承認欲求が強い。ひたむきに努力する姿勢を善逸からは尊敬されていたが、自分の未熟さを顧みず、他者から評価されないことに不満を抱えていた。
- かつては悲鳴嶼が世話をしていた寺の孤児であったが、ある日寺の金を盗んだことで他の子供たちから責め立てられ、寺から追い出される。その夜に鬼と出くわし、自分が助かるために寺に鬼を手引きした過去を持つ。その後、桑島に拾われ雷の呼吸を教わり鬼殺隊の剣士となる。臆病で壱ノ型しか使えない善逸を見下していたが、反対に全ての型の基本である壱ノ型が使えないため他の剣士からは大したことないと陰口を言われていた。「生きてさえいれば勝てる」という考え方から、黒死牟に遭遇した際、命乞いをして鬼となる。妓夫太郎・堕姫が死んだことで空位になった上弦の陸になる。
- 体得した弐ノ型から陸ノ型からなる雷の呼吸と血鬼術を組合せた技を使用する。斬られた相手は体がひび割れ続け死に至る。
- 無限城で善逸と交戦し、善逸が編み出した新たな雷の呼吸「漆ノ型」に敗れる。
下弦
- 累(るい)
- 声 - 内山昂輝[166]
- 演 - 阿久津仁愛
- 下弦の伍。趣味は綾取り。那田蜘蛛山に住まう鬼の一家の末子で、蜘蛛めいた髪型の小柄な少年。鬼になって二十年弱。下弦の中では壱(魘夢)、弐(轆轤)ほどはあったとされるなど、実力が高く、無惨に気に入られていた。基本は冷静な性格だが、頭に血が上ると感情的になるタイプで、攻撃も単調になる。
- 家族の絆に強く執着している。配下に自身の「母」「父」「兄」「姉」役を演じる鬼を従え、彼らと絆で結ばれていると主張するが、その実態は暴力による恐怖支配である。
- 繰り出す糸に血液を乗せることで、鋼に勝る硬度を与える血鬼術を持つ。切れ味そのままに網状にすることもできる。
- 人間時の名前も累。人間だったころは非常に病弱であったが、ある日無惨に血を与えられ鬼となる。鬼化後は人を喰らい続けなければならず、その事実を知った両親により無理心中を図られるも、一時の激情に駆られ返り討ちにしてしまった過去を持つ。
- 那田蜘蛛山山中にて、炭治郎・禰󠄀豆子と交戦。禰󠄀豆子が示した兄への絆に感動し、自分の新たな「妹」役として目をつける。新たな力に目覚めた竈門兄妹の反撃を受け、激怒して彼らを殺そうとするも、救援に来た冨岡に止めを刺される。
- 魘夢(えんむ)
- 声 - 平川大輔
- 演 - 掛川僚太(2作目)、内藤大希(3作目[42])
- 下弦の壱。優男風の洋装の鬼。増血されてからは全体に血管が浮かんだ姿になっている。
- 目玉と口が存在する異形の左手を分身として身体から切り離し、独自に行動させることができる。他者の不幸や苦しみを見ることを何よりも好む。
- 小腹が空いた無惨に腑を食われたが、致命傷で痛みを感じず無惨を羨み褒めそやして死亡した後、無惨が気まぐれに鬼にした。
- 他者を眠らせ夢を見せる血鬼術を使い、術の効力を持ったギミックを作成することも得意とする。閉じ込められた夢から覚めるためには、その中で自刃する必要がある。
- 無惨による下弦の鬼の粛清時に唯一見逃され、「増血」されて炭治郎への追手として放たれる。「無限列車」にて、列車と融合して鬼殺隊と戦い敗れる。
珠世一派
- 珠世(たまよ)
- 声 - 坂本真綾[167]
- 演 - 舞羽美海[22]
- 四百年以上生きている女性の鬼。肉体年齢は19歳。普段は医師として活動している。
- 元々病で死にかけていたところを無惨によって鬼にされたことで生き延びるが、これにより自ら最愛の息子と夫を食い殺してしまったため、その怨みから鬼舞辻󠄀無惨一派と敵対し、追われる立場にある。自力で無惨の呪いを解除して支配から逃れ、人を喰わず少量の血液を飲むだけで生きることを可能とした。自分の血液を介して、幻術をかけることができる。
- 鬼を人に戻す方法を確立すべく、炭治郎に鬼の血液の採取を依頼する。鬼であることを隠しつつ無惨の追跡を躱すため、一箇所には長く留まれない。
- 禰󠄀豆子と十二鬼月の血を研究するうちに鬼化された人間の自我を取り戻すことに成功し、禰󠄀豆子が近いうちに太陽を克服すると推測する。禰󠄀豆子の日光克服と同時期に、耀哉に声をかけられ、無惨への罠を張る。その後は無惨に取り込まれて殺害されるが、無惨に放った薬は無惨討伐に大いに役立った。
- 前身となった短編『過狩り狩り』から引き続いて登場。
- 愈史郎(ゆしろう)
- 声 - 山下大輝[167]
- 演 - 佐藤永典[22]
- 珠世に付き従う青年の鬼。無惨由来ではない例外的な鬼であり、人を喰らわず、珠世よりも少量の血液を飲むだけで生きることが可能。実年齢は35歳。
- 病により瀕死の状態にあったところを珠世により鬼とされることで救われる。その時から珠世に心酔しており、珠世以外には毒舌かつ攻撃的な態度をとる。毎日、珠世日記を書いているらしい。
- 視界に関わる血鬼術を使用する。札を貼ったものを不可視化したり、自身や他者の視界を共有したりできる。工学の心得と手先の器用さから採血器も開発し、炭治郎が採血した鬼の血の回収時は術で姿を消した猫「茶々丸」を遣わす。
- 珠世の覚悟を理解し、無限城戦に参戦。鬼殺隊士を装って救護と支援を担当した。血鬼術により城内外の情報共有を行い、また鳴女を攻略して無限城を破壊した。地上に戻ってからは隊士たちの治療に従事する。
- 最終決戦後には炭治郎の見舞いに赴き、心からその功績を労った。その後は「山本 愈史郎」の名で生きる道を選び、画家として珠世の絵を描き続けており、現代において世界的に高い評価を受けている。
- 前身となった短編『過狩り狩り』から引き続いて登場。
- 茶々丸(ちゃちゃまる)
- 珠世の使いの猫であり、極めて珍しいオスの三毛猫である。炭治郎が倒した鬼から採取した血液の運搬を担う。最終決戦前には珠世の手で鬼化され、唯一の猫鬼となる。
- 首に愈史郎が使う血鬼術の札を付けており、背中には小型のバッグを背負っている。愈史郎の血鬼術により鳴くまで姿が見えず、血液を回収後に再び鳴くと姿を消す。
その他の鬼
- 手鬼(ておに)
- 声 - 子安武人[115][21]、豊崎愛生(幼少期)
- 演 - 竹村晋太朗[169][170]
- 全身に幾つもの腕を纏った、大型の異形の鬼。47年前、江戸時代・慶応年間のころに鱗滝に捕まった。
- 最終選別の場「藤襲山」に封じられており、その中で50人もの人間を喰らった。自分を捕まえた鱗滝を心から憎んでおり、彼の彫った狐面を目印に13人の弟子を殺している。
- 最終選別で炭治郎に首を刎ねられ敗北。今際の際に兄と過ごした人間時代を思い出し、涙を流しながら消滅する。
- アニメ劇場特別上映版ではボス敵。また、「(明治から大正に)年号が変わっている」というセリフを発するが[171]、テレビアニメでの放送時期と平成・令和の改元とが一致したことで話題になり(後述)、このキャラクターのグッズ化も行われた。
- 沼の鬼(ぬまのおに)
- 声 - 木村良平[151]
- 1本角・2本角・3本角の三身一体で行動する鬼。三つ子ではなく能力による分身・分裂の類であり、お互いを「俺」と呼ぶ。炭治郎が最初の仕事で倒した鬼。
- 十六歳になったばかりの娘を好んで食い殺し、殺した娘たちが身に着けていた簪や髪飾りを蒐集品として集めている。血鬼術を扱える異能の鬼であり、壁や地面に対し沼地を発生させ沼の中を自在に動き回れる。キャラブックによるとナルシストで、歯ぎしり癖は人間時代からの名残[156]。
- 朱紗丸(すさまる)
- 声 - 小松未可子[151]
- 演 - 西分綾香[173]
- 無惨直属の配下。おかっぱ頭で、古風な口調と童女のような振る舞いをする少女の鬼。十二鬼月を自称するが、無惨に言いくるめられているだけである。
- 血鬼術「毬」を使用し、毬を用いた攻撃を行う。
- 無惨の命を受けて、矢琶羽と共に浅草で炭治郎・珠世を襲撃する。矢琶羽が倒された後、珠世の術にかけられて無惨の名を口にしてしまったことで「呪い」が発動し消滅した。
- 矢琶羽(やはば)
- 声 - 福山潤[151]
- 演 - 星乃勇太[174]
- 無惨直属の配下。両掌に瞳孔が矢印の目玉が付いた青年姿の鬼。両目は閉じられている。一人称は儂。神経質で病的な潔癖症。血鬼術「紅潔の矢」を使用し、両掌に存在する眼により発動させる不可視の矢印を操る技や追跡・探知能力を用いる。
- 無惨の命を受けて、朱紗丸と共に浅草で炭治郎・珠世を襲撃するも、炭治郎に敗れ消滅した。
- 響凱(きょうがい)
- 声 - 諏訪部順一[175]
- 演 - 高木トモユキ[176]
- 両肩や腹、両脚から鼓を生やした鬼。一人称は小生。計画的で賢明だがぼそぼそと呟くように喋るなど、陰気で神経質かつプライドが高い。炭治郎と善逸が指令を受け向かった先の屋敷の主。
- 身体各部の鼓を打つことで、他者を別の部屋へ転移させる、部屋を回転させる、斬撃を飛ばすなどを行う空間支配の血鬼術を持つ。
- 人間だったころは『里見八犬伝』が好きなことから伝奇小説を書く文筆家で、鬼となってからも文筆をしていたが[156]、自身の作品を酷評した上に原稿用紙を踏みつけにした知人を惨殺した過去を持つ。
- かつては十二鬼月の下弦(陸)であったが、次第に体が人肉を受け付けなくなり、これ以上の向上が見込まれないと鬼舞辻無惨から見限られ、数字を剥奪された。
- 十二鬼月に復格するために「稀血」を持つ少年・清を狙うが、血の匂いを嗅ぎつけてきたほかの鬼との争いで空間転移の鼓を落とし、これを清に拾奪され利用される。清の弟妹と行動を共にしていた炭治郎と一騎討ちの末倒される。
その他の人物
- 錆󠄀兎(さびと)
- 声 - 梶裕貴[115][21]
- 演 - 星璃[22]
- 炭治郎の兄弟子。右頬に大きな傷痕が描かれた狐面をつけた、宍色の髪の少年。素顔も狐面と同じ位置に傷痕がある。厳格だが正義感が強く、心優しい性格。大岩斬りの課題が難航している炭治郎の前に現れ、半年間剣の訓練を施した。炭治郎からも絶賛される流麗で卓越した剣技の持ち主。
- 現在は故人。かつて最終選別で手鬼に殺されているため、炭治郎に稽古をつけた彼は亡霊である。
- 歴代の鱗滝水流派13人中最強。天涯孤独の身で鱗滝に入門した。冨岡義勇とは同い年で同門の親友。姉に庇われて生き残ったことを嘆く義勇を厳しく叱咤し、彼女が身を呈して繋いでくれた命をさらに繋げていくことを諭した。13歳の時に義勇と共に最終選別を受け、手鬼との戦闘で命を落としたが、藤襲山の鬼をほとんど一人で討伐していたため、その年の選別での死者は彼だけだった。またこの過去が義勇の心に深く陰を落とすこととなる。
- 真菰(まこも)
- 声 - 加隈亜衣[115][21]
- 演 - 其原有沙[22]
- 炭治郎の姉弟子。花柄の着物を着た謎めいた雰囲気の可憐な少女。錆󠄀兎とは血縁関係はない。狐面には右頬に花が描かれている。錆󠄀兎と共に炭治郎の前に現れ、体捌きの改善点を指摘したり身体能力を強化する全集中の呼吸を教えた。剣士としては、素早いが小柄で非力であったという。
- 孤児の自分達を育ててくれた鱗滝を慕っていたが、最終選別で手鬼に遭遇し、彼が鱗滝からの厄除の面を目印に自分の先輩たちを狙って食い殺していた事実に動揺してしまい、殺されていた。
鬼殺隊関連
- 鬼殺隊(きさつたい)
- 鬼の撲滅を目的とする政府非公認の組織。隊員以外で「鬼殺隊」の名称が使われることはあまり無く、古より敵味方問わず部外者からは一貫して「鬼狩り(おにがり)」と呼称される。
- 構成員は数百名。剣士は十干(甲から癸)の階級が割り当てられ、さらに「お館様」と呼ばれる産屋敷家の当主、および「柱」と呼ばれる幹部級の隊士がいる。
- 各地に散在する「育手」に訓練を受けた後、藤襲山で行われる「最終選別」に合格すると入隊が認められる。
- 隊員には「日輪刀」と隊服が支給され、人語を喋る「鎹鴉(かすがいがらす)」の伝令に従い任務に就く。
- 最終目標である鬼舞辻無惨を倒し、鬼の絶滅をもって千年の歴史に幕を閉じ解散した。
- 呼吸法(こきゅうほう)
- 鬼を倒すため、鬼殺隊が身に付ける操身術の総称。
- 著しく増強させた心肺活動により、一度に大量の酸素を血中に取り込むことで、身体能力を瞬間的かつ大幅に上昇させ、鬼と互角以上の剣戟を繰り出す。これを「全集中の呼吸」と呼び、剣技に用いて鬼を狩る。
- 約400年前に、元々鬼殺隊剣士が修得していた「炎」「風」「水」「岩」「雷」の剣術の型に「呼吸」を上乗せすることで飛躍的に能力を向上させることに成功した。ただし、「呼吸法」の始祖である継国縁壱の使う「日の呼吸」を修得できた剣士はおらず、そのためまず「炎」「風」「水」「岩」「雷」の型に合わせた呼吸法が誕生し、そこからさらに枝分かれしていった。
- 日の呼吸(ひのこきゅう)
- 始まりの呼吸。すべての呼吸はここから派生した。修得者は継国縁壱と竈門炭十郎および炭治郎。型には文字通り太陽を冠した名前が付けられており、13の型を持つが、他の呼吸法とは異なり、型に番号が振られているのは拾参ノ型のみ[178][179]。この拾参ノ型には技名がなく、円舞から炎舞までの12の型を絶え間なく繋ぐ動作そのものを指す。日輪刀の色は黒色。
- ヒノカミ神楽(ひのかみかぐら)
- 竈門家に代々伝わる神事で、正月に先祖と炭竈の神に奉納する。七支刀を持ち、正月の日没から翌朝の夜明けまで神楽を舞い続ける過酷なもので、寿命を縮めかねない命懸けの神事である。
- その正体は、かつて戦国時代において縁壱より日の呼吸の型を見せられた竈門炭吉により、神楽の形で脈々と受け継がれた日の呼吸そのもの。
- 痣(あざ)
- 鬼殺隊剣士が上弦の鬼に対抗しうるとわかる目印であり、発現すると戦闘力が極限まで高まる。
- かつて戦国時代、無惨を後一歩のところまで追い詰めた剣士たちにはことごとく鬼の文様に似た「痣」が現れていたとされる。
- 痣発現の条件は「39℃を超える体温」と「200を超える心拍数」。しかし、そのような状態に身体が耐えられないだけでなく、痣の発現とは「寿命の前借り」であるため、この状態で戦闘を行った者は例外なく短命となり、25歳を迎える前に死ぬとされる。
- 透き通る世界(すきとおるせかい)
- 自他の体内が透けて見える状態。相手の筋肉や骨格の動きから動作を予測し、また自身の殺気を消して戦うことができる。
- 柱(はしら)
- 鬼殺隊剣士の最高位。鬼殺隊構成員数百人のうちの主力であり、枠は9席。文字通りに「隊を支える」柱という名称。世襲制ではなく、最も強い者がその地位に就く。作中では、「水」「蟲」「炎」「音」「霞」「恋」「蛇」「風」「岩」の9人の流派の剣士が柱となり、各自の流派に従って「◯柱」という位を授かる。
- 継子(つぐこ)
- 現役の柱の直弟子。次の柱候補生であるが、階級や同流派に限定されない。
- 隠(カクシ)
- 鬼殺隊の非戦闘部隊。背に「隠」と書かれた黒子のような専用の隊服を着用し、黒頭巾を被る。事後処理や後方支援を専門としている。
- 育手(そだて)
- 文字通り剣士を育てる者の呼び名。育手は各地に存在し、それぞれのやり方で剣士を育てる。
- 鎹鴉(かすがいがらす)
- 主に鬼殺隊本部と、鬼殺隊員との連絡用に使われる鴉。次の任務や現場の方角、隊士の戦果・生死などの情報を伝え、鬼との戦闘において無くてはならない重要な存在。
- 各隊員に専任の鴉がついているが、善逸だけが雀である。伝令を人語で復唱するだけでなく、自意識で会話ができるほど知能が高い。
- 最終選別(さいしゅうせんべつ)
- 鬼殺隊剣士となるための最後の試験。正しくは「鬼殺隊最終選別」といい、1年中藤の花が狂い咲いている藤襲山(ふじかさねやま)で年に数回行われる。山中には鬼殺隊員によって生け捕りにされた鬼たちが放たれており、ここで7日間生き残れば剣士の資格を与えられる。
- 日輪刀(にちりんとう)
- 鬼殺隊剣士の主力装備。日光が蓄えられた特別な鉱石を原料とした玉鋼より作刀される。不死の鬼を頸を落とすことで絶命させられる。
- 持ち主の呼吸の適正によって色が変わり、刀としての特性が変わるため「色変わりの刀」と呼ばれる。
- 赫刀(かくとう・しゃくとう)
- 鬼の再生能力を阻害することができる状態の日輪刀。本来、日輪刀は使用者によって色が異なるが、この状態になるとどの日輪刀も刃が赤く変化する。この刀で斬撃を受けた鬼は、灼けるような痛みを感じる。万力の握力で握りしめる、刀どうしをぶつけ合うなど、刀に強い力を加えることで発現する。
- 中でも縁壱の赫刀は別格で、無惨の再生能力を阻害するだけに留まらず、その後数百年にも渡って陽光のように無惨の細胞を灼き続けた。
鬼関連
- 鬼(おに)
- 鬼舞辻󠄀無惨を始祖とし、人を主食とする存在。
- 人間の体内に鬼舞辻󠄀無惨の血が入り込むと、人を喰う鬼に変貌する。飢餓状態に陥るとさらに凶暴化し、肉親さえ喰い殺す。通常は人間であったころの記憶は曖昧になり、本能が剥き出しになるとされるが、人間のころの記憶が鮮明に残っている者も存在する。驚異的な身体能力を持ち、たとえ首や手足がもげてもたちまちのうちに再生する。病気にならず、老いて死ぬことすらない。直射日光を浴びる、または日輪刀で頸を斬られると、塵となり消滅する。
- 共食いの性質があり、基本的に群れることはない。共食いは故意に与えられた習性で、集団で反乱を起こされる事態を防ぐための措置である。
- 藤の花を嫌う習性があり、鬼殺隊にはしのぶのように、藤の花から抽出した毒を用いる剣士がいる。
- 基本的に人を多く食べた鬼ほど強くなり、「血鬼術(けっきじゅつ)」という異能を発揮できるようにもなる。また、肉体の形状を変貌させ、異形の外見となっていく。
- 無惨は鬼たちに「呪い」をかけており、鬼が彼の名を口にすることで発動し、口封じを行う。
- 十二鬼月(じゅうにきづき)
- 鬼舞辻󠄀無惨直属の十二人の鬼たち。江戸時代に無惨が作った幹部十二枠で弦月に喩えられた名称。ほかの鬼に比べて実力が格段に高い。
- 「上弦」6人と「下弦」6人で分かれ、それぞれ「壱から陸の6つの数字」で位付けされる[注釈 7]。
- 上弦・下弦の間で実力の差がかなり大きい。上弦6人は過去100年以上顔ぶれに変化は無いのに対して、下弦は鬼殺隊に倒されたり、無惨に成長が見込めないと判断されて数字を剥奪されることもあるため入れ替わりが激しい。累が敗北したことから遂に「下弦」は存在自体を見限られ、無惨に粛清される。
- 遊郭編で宇髄天元たちが上弦の陸を倒したが、上弦が倒されたのは113年ぶりのことだった。
- 青い彼岸花(あおいひがんばな)
- 無惨が上弦たちに捜索させている謎の物。これを飲んだ鬼は日の下にいても死なないとされている。任務の重要度も鬼殺隊の殲滅、産屋敷の家の捜索などに並ぶ重要事項にされている。平安時代にまだ人間だったころの無惨に医者が処方した薬に含まれていた物とされる。
- 稀血(まれち)
- 文字通り、稀少な血の持ち主のこと。鬼にとって稀血は御馳走であり、稀血一人で常人を数人数十人喰らうのと同等の高い栄養を得ることができるという。その血が与える影響は個々によっては異なり、中には実弥のように鬼を泥酔させるほどの稀血を持つ者もいる。
- 鬼の王(おにのおう)
- 鬼殺隊に敗れ消滅寸前の無惨が残る力と「鬼狩りを殲滅する」という己の想いを炭治郎に全て注ぎ込むことによって誕生した新たな鬼。鬼特有の再生能力は元より背中から生える管や口から発生する衝撃波など無惨の能力の一部を受け継いでおり、鬼の弱点であるはずの日光をも僅かな時間に克服した。
- 鬼滅の刃 しあわせの花
- 矢島綾による小説版。刊行はジャンプ ジェイ ブックスから2019年2月4日発売。原作では未公開だった設定、人物の名前などが判明する。
- 鬼滅の刃 片羽の蝶
- 矢島綾による小説版第2弾。刊行はジャンプ ジェイ ブックスから2019年10月4日発売。
- 鬼滅の刃 風の道しるべ
- 矢島綾による小説版第3弾。刊行はジャンプ ジェイ ブックスから2020年7月3日発売。
- きめつのあいま!
- 作者は平野稜二。少年ジャンプ+で2019年4月7日から9月28日までWEBで連載された。全26話。フルカラーの1ページ、4コマ&縦の1コマ、二頭身デフォルメでのギャグという形式。テレビアニメと連動した企画であり、土曜の23時30分の放送後の日曜0時に、当該話に関連した内容で更新されるという形態になっている。
- 冨岡義勇外伝
- 作者は平野稜二。週刊少年ジャンプの2019年18号と19号に掲載。前編45ページと後編31ページ。
- 煉󠄁獄杏寿郎 外伝
- 作者は平野稜二。週刊少年ジャンプの2020年45号と46号に掲載[4]。
- キメツ学園!
- 帆上夏希による漫画版。最強ジャンプで2021年9月号から2024年4月号まで連載[184][185]。
ジャーナリストの数土直志は、作品の人気が沸騰した理由として以下の4点をあげた[18]。1点目はアニメ化で、緻密な作画や残酷描写など、万人受けする作風ではなかった原作に対し、シンプルな作画で躍動感を出したアニメが、作品へのハードルを下げてヒットに貢献したこと。2点目は読者層の厚さで、電子コミックの決済手段を持たない小学生がコミックスを買い集める一方、キャラクターの魅力がヤングアダルト層(13〜19歳)の男女を惹きつけたこと。3点目は物語の魅力である。鬼と鬼殺隊の対立関係という単純明快な構図に加え、複数の隊に分かれた鬼殺隊は、柱と隊員の間で友情やライバル、先輩後輩などの関係により色々な設定を作ることが可能で、これは『聖闘士星矢』や宝塚歌劇団にも共通するシステムであると述べている。4点目はコミックスの品切れで、2019年秋以降、急速に売り上げが伸びたためにコミックスの供給が追い付かない、という事態がインターネット上で話題となり、それまで関心を持たなかった層の興味を引いたことである[186]。
創価大講師の森下達は「和風」の要素に着目し、作品の掲載紙である週刊少年ジャンプでは、『るろうに剣心』『銀魂』などの人気作に先例があったことを指摘した。さらに時代設定を大正としたことにより、大正デモクラシーやモダニズムといったハイカラな雰囲気の魅力と、戦争や動乱といった史実に振り回されることのない時代が、ファンタジーものの舞台に向いていたとしている。その上で、鬼殺隊も鬼もそれぞれに事情を抱えていること、しかし人を食うことを選んだ鬼に対しては、理解を示しつつも悪と断じる健全性があり、主人公の姿勢がぶれないことに安心感があると分析した。また、女性人気という視点においてはゲーム『刀剣乱舞』に通じる洋服と刀の組み合わせというファッションの魅力、主人公の炭治郎とヒロイン禰󠄀豆子が恋人ではなく兄妹であるため、二人ながら安心して応援できる存在である点をあげている[187]。
ホットリンクのTwitter上のデータ調査ではアニメ1期終了後から少年ジャンプ+の定期購読促進のための舞台版のチケット情報、スピンオフ、画集、プレゼント企画など関連コンテンツ展開によりライト層、コア層ともに心をつかんだと分析した[188]。
2017年3月、本作の主人公「竈門炭治郎」を名乗る人物から、養護施設への寄付として愛知県豊田市役所に菓子や緑茶飲料が届けられた[189]。
芸能人や著名人の間では鬼滅の刃のキャラクターのコスプレがインスタグラムなどのSNSにアップされ、話題を集めている[190]。
国会においても、2020年11月2日の衆議院予算委員会で、江田憲司の質問に対して総理大臣・菅義偉は「『全集中の呼吸』で答弁させていただきます」と発言した[191]。また、11月4日の同委員会でも辻元清美が無惨のセリフ[192]を引用して政権の姿勢を批判した[193]。
2020年11月、香港の警察が炭治郎の格好をした警察のマスコットキャラクターをフェイスブック上に登場させたことに対して、主に香港市民から「警察が著作権を侵害している」として批判を浴びた[194]。
週刊少年ジャンプで掲載されていたことなどから読者の裾野が広いこともあり、本作やそのファンに否定的な者も一部では存在する。例えば、作者の吾峠が女性であると報じられる[195][注釈 8]と波紋を呼び、「幻滅」「ガッカリした」といった声が挙がった[196]。こうした「軽口」は「女性蔑視」や「ミソジニー」がSNSによって表出されたものではないかと指摘されており[196]、特に一昔前は、作者が女性というだけで拒絶する者も存在したため、ペンネームを男性名にする女性漫画家も多かったという[197][注釈 9]。また、本作の鑑賞を押し付けるような行為や批判しづらい空気が存在すると主張する者もおり、「『鬼滅の刃』ハラスメント」を略して「キメハラ」という言葉が存在するという[198]。
受賞
ウェブ上で流行した言葉を決めるドワンゴ・ピクシブによる2019年度の「ネット流行語100」では、本作に関する言葉が多くノミネートした。pixivに投稿された作品に付けられたタグのうち、2018年と比較して最も多かった単語を選出するpixiv賞に「鬼滅の刃」が選出され、トップ20単語賞にも「我妻善逸」(2位)、「鬼滅の刃」(4位)、「竈門炭治郎」(8位)、「柱(鬼滅の刃)」(9位)、「十二鬼月」(13位)、「胡蝶しのぶ」(17位)がランクインした[199]。2020年度もノミネート100単語中19単語が本作関連の言葉という多さで、「鬼舞辻󠄀無惨」が年間大賞を受賞した。ほか、トップ20単語賞に「煉󠄁獄杏寿郎」(3位)、「鬼の王」(4位)、「竈門禰󠄀豆子」(9位)、「継国縁壱」(11位)、「上弦の鬼」(14位)がランクインした[200]。
2020年11月に野間出版文化賞を受賞。同年12月1日発表の2020ユーキャン新語・流行語大賞で「鬼滅の刃」がトップ10に選出された[201]。同日発表のガジェット通信によるネット流行語大賞2020では「鬼滅の刃」が金賞に輝き、アニメ流行語大賞2020では金賞「◯◯の呼吸」、銀賞「全集中」、銅賞「煉獄さん200億の男」と上位3ワード全て本作関連のワードが席捲する事態となった[202]。同年12月9日に発表されたYahoo!JAPAN「Yahoo!検索大賞2020」ではアニメ部門に「鬼滅の刃」、映画部門に「劇場版「鬼滅の刃」無限列車篇」、声優部門に主人公・竈門炭治郎役の「花江夏樹」が選出された。「鬼滅の刃」は2019年に続き2年連続の授賞となり、検索数も前年以上となった[203]。
2021年3月には、芸術選奨文部科学大臣新人賞(2020年度、メディア芸術部門)を受賞、同年4月に25回手塚治虫文化賞の特別賞を受賞し、7月には第50回日本漫画家協会賞コミック部門で大賞を受賞した[204]。
那田蜘蛛山編に登場し、下弦の伍・累に刻まれた剣士について、原作では4ページ、テレビアニメでは約40秒という短い登場でありながら、SNS上では「サイコロステーキ先輩」という呼称で話題となり[205]、2020年10月17日・2021年9月19日にフジテレビ系にて那田蜘蛛山編の特別編集版が放送された際にはTwitterのトレンド上位となっていた[206]。また人気キャラクター投票では第1回投票では10票で46位だったが[207]、第2回投票では223票を集め35位に入った[205]。また前述の「ネット流行語100 2020」では「サイコロステーキ先輩」が13位にランクインした[200]。
売上
単行本
漫画の単行本はアニメ放送前の2019年3月の第14巻の時点で累計発行部数は450万部を突破していたが、アニメ放送終了直後の同年9月29日の第16巻の時点で1200万部を超え、アニメ放送期間中に累計発行部数を750万部伸ばした[208][209][210]。
放送終了から約1か月後の10月23日時点で累計発行部数は1600万部を突破し、約1か月で累計発行部数を400万部伸ばした[211]。さらに約1か月後の11月27日には累計発行部数が2500万部を突破し、第18巻はシリーズ初の初版100万部を記録した[212]。12月23日時点で既刊18巻すべての売上が100万部を突破しており、テレビアニメの相乗効果により短期間で売上を伸ばした[213]。『オリコン年間コミックランキング 2019』では期間内の売上部数1205.8万部を記録し、シリーズ初TOP10入りにして初の1位を獲得した[214]。2020年2月10日付の週間オリコンランキングでは1位から10位を本作が独占する史上初の記録を達成している[215]。
2020年5月に発売された第20巻は初版280万部が発行され、その時点で累計発行部数は6000万部を超えた[216]。また、『オリコン年間コミックランキング 2019』では期間内の売上が1205.8万部を記録し第1位となり[214]、『2019年集英社本ランキング』では期間内の売上が1270万部を記録した『ONE PIECE』が第1位に、1080万部を記録した本作が第2位となった[217]。続く第21巻では初版300万部を発行し、累計発行部数は8000万部を超えた[218]。第22巻では初版で370万部を刷り上げ、これにより累計発行部数は1億部の大台を突破することとなった[219]。最終巻である第23巻の初版発行部数は395万部になることが決定し、シリーズ累計発行部数は1億2000万部(電子版含む)を突破した[220]。さらに、2021年2月にはシリーズ累計発行発行部数が1億5000万部(電子版含む)を超え、最終巻発売から約2カ月で3000万部増を達成している[221]。
小説
小説版『しあわせの花』『片羽の蝶』は2020年2月19日の重版を以て累計発行部数は116万部を記録し、レーベル史上最速の100万部突破となった[222]。人気の理由は本編で描かれていない話が吾峠によるイラスト付きで読めるからだという[222]。2020年7月時点で小説版シリーズの累計発行部数は280万部を突破している[223]。また、2023年7月時点で『鬼滅の刃 ノベライズ』(集英社みらい文庫)のシリーズ累計発行部数は136万部を突破している[224]。
その他
『鬼滅の刃 塗絵帳』シリーズの累計発行部数は2021年10月時点で143万部を突破している[225]。
読者層
ファンには小中学生の男女も多いが[226]、ブームを牽引したのは10代から40代の女性であり、TSUTAYAではアニメ放送前は男性の購入者が多かったが放送中から女性が急増、理由として日経MJの調査では過去のジャンプ作品と違い男女ともに強く戦いの場に出ることや、そこで一見弱く思えるような人に助けてもらえるシーンの熱さが社会人に身につまされたり、鬼舞辻󠄀無惨が十二鬼月の下弦を粛清するシーンが「パワハラ会議」の通称で話題になったが反面教師として学びがあったなど、王道もありながら現代のビジネスパーソンたる女性の心をとらえた[227]。
批評家の石岡良治は、近年人気の『進撃の巨人』『東京喰種トーキョーグール』『亜人』のような人間を喰らう敵との戦いだが、やや残虐さもあるものの、敵側の事情を描くことにより女性や子供が苦手なグロテスクさは抑えられている。必殺技の描写はジャンプの王道であるバトル作品に通じ、外連味溢れる大ゴマが魅力の1つとなっている。洋と和の雰囲気を合わせて近代の闇を描いたことや、泉鏡花の作品を思わせる幻想的な近代日本の舞台設定での、華麗なビジュアルによる展開で人気が出た、とみており[228]、昔のジャンプ作品のように展開が早く、キャラがよく死んでいくのも若年層に新鮮に映った可能性をあげた[229]。
アニメコラムニストの小新井涼は、魅力的なキャラやアニメの豪華声優陣といった要素もあるが、それが刺さらない層にも家族愛、泥臭い修行や成長、迫力の剣劇や無慈悲な命のやり取りといった万人受けする魅力がある。そのため年齢性別、漫画やアニメへの興味など関係なしに勧めることができ、勧められた側も手を出しやすい。こうして興味を持ってくれそうな普遍的な要素をとっかかりとして"布教"され、人気が広まったと考えている[230]。
観光
竈門神社
正確な関係性は吾峠や集英社側から明かされおらず、また作中にも描かれてはいないが、主人公の竈門炭治郎の姓と同じなどの共通点から次の三つの「竈門神社」を中心に全国の「竈門神社(竈神社)」が鬼滅の刃の聖地と話題を集め、参拝者が急増している。
観光スポット
全国で、登場人物の名前や見た目、動物や世界観などが関連付けられている場所が話題となっている[242]。
この他、宮城県塩竈市の公式サイト内で「竈」の書き順を解説している「『竈』の字について」のページへのアクセス数が、主人公・竈門炭治郎にも使われている難字であることから劇場版公開時より急増している[277][278]。同市の市民安全課では「塩竈市の竈の字の書き方」という印刷物も配布しており、こちらも俄かに注目を集めた[279]。
展覧会
- TVアニメ鬼滅の刃「全集中展」
各地でTVアニメ「鬼滅の刃」"竈門炭治郎 立志編"と劇場版「鬼滅の刃」無限列車編の展覧会[313]。
- 「TVアニメ『鬼滅の刃』×『京都南座 歌舞伎ノ舘』」
2020年11月6日-11月23日、京都・南座でキャラクター13人が歌舞伎の登場人物の衣装をまとったパネルを設置[314]。
- 『鬼滅の刃』吾峠呼世晴原画展
全国を巡回する原画展[315][316]。
- TVアニメ鬼滅の刃「全集中展」無限列車編・遊郭編
アニメ「無限列車編」、「遊郭編」の展覧会[317]。
- 東京(2022年4月20日-5月9日):松屋銀座
- 福岡(2022年6月16日-7月4日):博多阪急
- 北海道(2022年7月15日-8月7日):サッポロファクトリー3条館
- 石川(2022年8月18日-9月5日):香林坊大和
- 大阪(2022年9月28日-10月17日):大丸ミュージアム<梅田>
- 宮城(2022年10月22日-11月13日):仙台フォーラス
- 広島(2022年11月19日-12月6日):福屋広島駅前店
- 愛知(2022年12月14日-12月30日):松坂屋名古屋店
- 大分(2023年1月7日-1月22日):ビーコンプラザ
- 香川(2023年2月11日-3月5日):瓦町FLAG
- 兵庫(2023年3月15日-4月3日):神戸阪急
- TVアニメ鬼滅の刃「全集中展」刀鍛冶の里編・柱稽古編
アニメ「刀鍛冶の里編」、「柱稽古編」の展覧会[318]。
- 東京(2024年7月18日-8月14日):松屋銀座
- 大阪(2024年8月18日-9月9日):大丸ミュージアム<梅田>
- 福岡(2024年9月13日-9月29日):博多阪急
- 石川(2024年12月26日-2025年1月14日):香林坊大和
- アニメ「鬼滅の刃」 柱展 -そして無限城へ-
登場人物の「柱」にフォーカスした展覧会[319]。
- 東京(2024年11月2日-2025年3月2日):CREATIVE MUSEUM TOKYO
漫画
本編
コミックスには本編に加えて、おまけラフ「大正コソコソ」、ジャンプGIGA掲載の出張4コマ漫画、巻末のおまけ「中高一貫!!キメツ学園物語」などが収録されている。
さらに見る 副題, 発行日(発売日) ...
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外伝
外伝2編に加えて、「きめつのあいま!」も収録されている。
アニメーション制作はufotable。
原作コミックス第1巻から第7巻の冒頭までの物語を映像化した第1期『竈門炭治郎 立志編』が、2019年4月から9月まで放送された[322][323]。
テレビアニメ第1期『竈門炭治郎 立志編』の続編として原作コミックス第7巻および第8巻までの物語を映像化した劇場アニメ『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が2020年10月16日に劇場公開された[324][325]。
『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』で語られることがなかった「煉獄杏寿郎が無限列車へ乗り込むまでの道程」や未公開シーン、新規の次回予告が追加された『テレビアニメーション「鬼滅の刃」無限列車編』が2021年10月10日より全7話で放送された。
劇場アニメの続編として、第2期『遊郭編』が2021年12月5日より2022年2月13日まで、フジテレビ系列・TOKYO MXほかにて放送された。
第3期『刀鍛冶の里編』は2023年4月9日より6月18日まで、フジテレビ系列にて放送された[326]。
さらに続編となる『柱稽古編』の放送は2024年5月に放送された。そこで劇場版3部作が製作されることが発表された。
概要 舞台『鬼滅の刃』シリーズ, イベントの種類 ...
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2019年9月30日に舞台化を発表[327]、2023年までに4作品が上演された[328]。脚本・演出は末満健一[329]、音楽は和田俊輔[330]。初日や楽日を中心に全国の映画館でライブビューイング、DMM.comでライブ配信も実施される[331][332]。
映像作品
さらに見る タイトル, 発売日 ...
タイトル | 発売日 | 規格品番 |
BD | DVD |
舞台『鬼滅の刃』 | 2020年7月22日 | ANZX-10175 - 10176 | ANZB-10175 - 10176 |
舞台『鬼滅の刃』其ノ弐 絆 | 2022年3月23日 | ANZX-10218 - 10219 | ANZB-10218 - 10219 |
舞台『鬼滅の刃』其ノ参 無限夢列車 | 2023年3月8日 | ANZX-10248 - 10249 | ANZB-10248 - 10249 |
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リアル謎解きゲーム
- 鬼滅の刃×リアル謎解きゲーム 玩具店に潜む鬼を討て!
- 2020年1月23日から6月28日にかけて国内アニメイト全店舗で謎解きキットが発売[340]。「大正時代の玩具店」にアニメイトを見立てて、竈門炭治郎と共に任務達成を目指すというシナリオの元、謎を解き歩く。
- 持ち帰り謎として、謎解きクリアファイル『我妻善逸編 「恐怖!女学校の怪異を探れ!」』『嘴平伊之助編 「猪突猛進!森の王、帰る」』が同年2月に、謎解き柱として『冨岡義勇編 「人喰い鮭鬼を討て!」』『胡蝶しのぶ編 「鬼滅の隊士を救出せよ!」』が同年3月に発売されている。
- 鬼滅の刃×サンシャインシティ 〜全集中!太陽の都市伝説〜
- 2020年10月2日から11月23日まで、サンシャインシティとのコラボレーションとして開催[341]。鬼殺隊によって討伐された鬼が遺した秘宝を求めて、遺跡を探索するというシナリオ。サンシャイン水族館・サンシャイン60展望台・アルパの3つの謎に分かれており、すべて解明すると最終試練に挑戦できる。
- また、10月30日から12月10日まで、「オンライン太陽の都市伝説〜幻影の秘宝を探せ!〜」を実施[342]。サンシャイン60展望台での展示をオンライン上で閲覧できるほか、オンライン展示会のみでの謎解きが楽しめる。
- リアル脱出ゲーム×鬼滅の刃 鬼棲まう那田蜘蛛山からの脱出
- 2021年6月10日から11月28日まで、リアル脱出ゲームとのコラボレーションとして開催[343]。参加キットはSCRAPファンクラブ先行販売で2021年5月24日から5月26日の期間販売開始になり、一般販売は5月27日から8月28日にリアル脱出ゲーム店舗とSCRAP GOODS SHOP(通販)で行われた、オンライン環境があればどこでもプレイ可能なリアル謎解きゲーム。鬼殺隊事後処理部隊「隠」の謎や暗号を解くのが得意な隊員として、那田蜘蛛山に潜む鬼との戦い方が書かれた文献を読み解き、現地で戦う炭治郎たちの手助けをするというシナリオ。
- リアル脱出ゲーム×鬼滅の刃 無限列車さまよう悪夢からの脱出
- 2022年10月27日から2023年1月24日まで、リアル脱出ゲームとのコラボレーションとして開催[344]。同じリアル脱出ゲームとのコラボでも、上述の「鬼棲まう那田蜘蛛山からの脱出」とは違い、新宿の東京ミステリーサーカスヒミツキチラボ大ホールを会場として開催された公演型のリアル謎解きゲーム。鬼殺隊の隊士として煉獄や炭治郎と協力し、乗客が攻撃を受ける前に鬼の頸を斬って、鬼に支配された無限列車を脱出するのを目的としたシナリオ。
能 狂言 『鬼滅の刃』(のう きょうげん きめつのやいば)として、2022年に初演、2023年に追加公演を開催[345]。演出・出演は野村萬斎[346]。
- 監修
- 大槻文藏
- 演出
- 野村萬斎
- 作詞
- 亀井広忠
- 補綴(ほてつ)
- 木ノ下裕一
- 主な配役
- 大槻文藏(下弦の伍・累)
- 大槻裕一(竈門炭治郎、竈門禰󠄀豆子)
- 野村萬斎(鬼舞辻無惨、竈門炭十郎、天王寺松右衛門)
- 野村裕基(我妻善逸、錆兎)
- 野村太一郎(嘴平伊之助、鋼鐵塚蛍)
- 福王和幸、福王知登(冨岡義勇)※交互出演
2024年2月・3月に東京・新橋演舞場にて、「スーパー歌舞伎II(セカンド)『鬼滅の刃』」として上演することが予定されていたが[347]、2023年8月2日、公演見合わせとなることが発表された[348]。
注釈
大正4年(1915年)の陸軍省の調査によると、20歳の男子で非識字者は2.2%という数字が記録されており、現実の世界に照らし合わせた場合、当時でもかなりの少数派だったと思われる[58]。
「大正コソコソ噂話」において、獪岳であることが明かされた。
上弦の陸の堕姫と妓夫太郎は無惨の判断により、例外として二人で一人として見なされたため、作中の時代の上弦は実際には7人である。
これはジャンプ関係者への取材に基づくものとされており、吾峠自身は性別について明らかにしていない。
出典
書誌出典
以下の出典は『集英社の本』(集英社)内のページ。書誌情報の発売日の出典としている。