マリオット・インターナショナル

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マリオット・インターナショナル

マリオット・インターナショナル (: Marriott International) は、アメリカ合衆国メリーランド州に本部を置き、ホテルの運営・フランチャイズを手がける多国籍企業。世界最大のホテルチェーンであり、世界142ヵ国と地域に「マリオット」・「ザ・リッツ・カールトン」・「シェラトン」など30を超えるブランドの約8,900軒のホテル/リゾートを展開する(2024年現在)。

概要 種類, 市場情報 ...
マリオット・インターナショナル
Marriott International
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種類 株式会社
市場情報 NASDAQ: MAR
略称 マリオット
本社所在地 アメリカ合衆国メリーランド州ベセスダ
設立 1927年 (98年前) (1927)
ワシントンDCにて
業種 サービス業
事業内容 ホテル
リゾート
代表者 デビッド・マリオット(経営執行役会長
アンソニー・カプアーノ最高経営責任者
売上高 US$23.7 billion (2023)
営業利益 US$3.86 billion (2023)
純利益 US$3.08 billion (2023)
純資産 US$25.7 billion (2023)
総資産 −US$682 million (2023)
従業員数 411,000 (2023)
支店舗数 6,520(2017年)
所有者 マリオット家(25%)
主要子会社 マリオット・ホテル&リゾート
ザ・リッツ・カールトン・ホテル・カンパニー
ル・メリディアン
シェラトン・ホテル&リゾート
ウェスティン・ホテル&リゾート
外部リンク marriott.com
特記事項:出典[1][2]
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ヒルトン・ワールドワイドインターコンチネンタルホテルズグループアコーホテルズハイアットホテルアンドリゾーツなどと並ぶ世界的なホテルチェーンである。

歴史

要約
視点

設立

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オーランド・ワールドセンター・マリオット(オーランド
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ルネッサンス・メイフラワー・ホテル(ワシントンD.C.
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JWマリオット・ギャラクシー・マカオ(マカオ
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ザ・リッツ・カールトン・モントリオール(モントリオール

アメリカにおいて禁酒法が施行されている1927年に、J・ウィラード・マリオットヒュー・コルトンという2人の男が「ホットショップ」という名のノンアルコールビールを扱う居酒屋を開業した。質の高い料理を提供したこの居酒屋は高い評判を呼び、順調に業績を伸ばして行った。

機内食事業進出

1937年、J・W・マリオットがワシントンD.C.郊外のフーバー飛行場英語版に隣接する「ホットショップ」で、乗客が機内に持ち込む飲食物を買っていることに気づいたことから飛行機機内食事業を開拓する。

第二次世界大戦後の民間航空の成長期には、機内食事業が順調に業績を伸ばし、1963年には10の空港と25の航空会社にサービスをするようになり、1966年には海外進出を果たす。機内食事業開拓後も大学病院などの給食事業などのフード産業に進出するなど、事業範囲を拡大していく。 

ホテル事業進出

1957年にはホテル事業に進出し、第1号となるホテルをバージニア州アーリントンに開業した。開業から10年後の1966年の時点では、わずか6軒だったホテルも1977年を境に急激に増やし、1981年には100軒目を突破するなど急成長した。

急激に運営ホテルを増やした背景にはそれまで巨額のローンが足枷となってホテルの数を増やせずにいたが、いったん建設したホテルを投資家や外部企業に売却し、その投資家や外部企業との間に運営契約を結ぶという現在も続く手法に切り替えたことにある。

現在マリオットが運営する多くのホテルは建物を所有する投資家や外部企業と運営会社であるマリオットとの契約で成り立っており、例えばザ・リッツ・カールトン東京の建物は三井不動産が所有している。ザ・リッツ・カールトン東京に関しては、三井不動産とのリース契約であり、マリオット直営のホテルである。他の日本国内のザ・リッツ・カールトンホテルは、所有者との間での運営契約の形態をとっている。

ホテル専業化

1967年には「ホットショップ」から、「マリオット・コーポレーション」に商号を変更した。ホテル事業が拡大したマリオット・コーポレーションは1989年にかつての中心事業だったレストラン・機内食部門を売却し、ホテル運営事業専業の会社となった。

1993年に分社化しホテル運営事業は「マリオット・インターナショナル」となる。1995年には世界の主要ホテルチェーン運用会社として初めてウェブサイトでの予約システムの提供を始めた。

同年4月ジョージア州アトランタに拠点を置く高級ホテルチェーン運営会社の「ザ・リッツ・カールトン」の株式の49パーセントを手に入れ、その後1998年には完全に傘下に入れた。

世界最大のホテルチェーンに

2001年9月11日に起きたアメリカ同時多発テロ事件では、ワールドトレードセンター内にあったホテルが崩壊したほか、その後旅行業を襲った不況によりグループ内再編を余儀なくされた。

しかしその後経営効率化が進んだことで業績が好転し、2010年代にはACホテル、ゲイロードホテル、プロテアホテル、デルタホテル、ブルガリホテルズ&リゾーツなど次々と買収を進める。

2015年11月16日に、同業で同じくアメリカに本拠を置くスターウッド・ホテルズ&リゾーツ・ワールドワイドを買収することで合意したと発表した。買収総額は約122億ドルで、2016年4月に両社の株主総会で承認され、ホテル数は計5,500余りとなり、客室数は世界で110万室。これにより世界最大のホテル企業が誕生した[3]

2019年2月13日、これまでのマリオット向け「マリオット リワード」、ザ・リッツ・カールトン向け「ザ・リッツ・カールトン・リワード」、旧スターウッド向け「SPG(スターウッド・プリファード・ゲスト)」を統合した新ロイヤリティプログラム「マリオット・ボンヴォイ(Marriott Bonvoy)」を開始し、また上級会員のステータスレベルも変更した[4]

2024年時点で、世界142の国と地域に約8,900のホテル/リゾートを展開する世界最大のホテルチェーンである[5]

運営ブランド

要約
視点

マリオット・インターナショナルは、スターウッド・ホテルズ&リゾーツ・ワールドワイド(下表で★印が旧スターウッドのブランド)を合併後、ブランドを「クラシック」と「ディスティンクティブ」(特色のある)ブランドに分類。

またサービスのレベルおよびコンセプトを「ラグジュアリー」「プレミアム」「セレクト」「長期滞在」「コレクション」に区分した[6][7][8]

マリオット

ラグジュアリー

最高級クラスのホテルブランド(Luxury)[7]

クラシックラグジュアリー
ディスティンクティブラグジュアリー

プレミアム

高級クラスのホテルブランド(Upper Upscale, Upscale)[7]

クラシックプレミアム
  • マリオット・ホテル
    マリオットにおけるメインブランド。半数以上のホテルがアメリカに集中する。
  • シェラトン(★)
  • マリオット・バケーション・クラブ英語版
    オーナーシップ型ホテルのブランド。
  • デルタ・ホテル
    2015年より傘下に入ったカナダ発祥の高級ホテルブランド。
ディスティンクティブプレミアム
  • ル・メリディアン(★)
  • ウェスティン(★)
  • ルネッサンス・ホテル英語版
    1997年より傘下に入った高級ブランド。元々はアメリカ郊外でモーテルを中心に展開していたが、マリオットによる買収後は世界各地に展開されている[9]
  • ゲイロード・ホテル
    2012年より傘下に入った。アメリカ国内でコンベンションセンター、アミューズメント・パーク、ショッピング・モールなどを備えた大型ホテルを展開[9]

セレクト

セレクトサービスによる中級クラスのホテルブランド(Upscale、Upper Midscale)[7]

クラシックセレクト
  • コートヤード・バイ・マリオット
    中規模のホテルを中心とした中価格ホテルブランド。
  • フォーポイント(★)
  • スプリングヒル・スイート英語版
    高級階層かつ最大の全室スイートのホテルブランド[10]。1998年にフェアフィールド・イン・バイ・マリオットの内、スイートルーム主体のホテルを分割して開設された。
  • プロテアホテル
    2014年より傘下に加わった、アフリカで展開されるホテルブランド。
  • フェアフィールド・バイ・マリオット英語版
    シンプルな美しさに重点を置いたホテルブランド[11]。レストランなどの無いリミテッドサービスホテルブランド。
  • フォーポイント フレックス by シェラトン
    マリオットでは初となるビジネスホテルブランド[12]。日本では、KKRとマリオットが協業し、KKRが買収したユニゾホテルの施設(ホテルユニゾ、ユニゾイン、ユニゾインエクスプレス)を改修して同ブランドとして立ち上げる。
ディスティンクティブセレクト
  • ACホテル
    2011年より傘下に加わったスペイン発祥のホテルブランド[9]。若年層をターゲットとし、モダンなデザインが特徴。
  • アロフトホテル(★)
  • モクシー・ホテル
    楽しさを追い求める次世代の旅行者をターゲットとしたホテルブランド。
  • シティエクスプレス

長期滞在型

長期滞在者向けのフルサービス・ホテルブランド[7]

クラシック長期滞在
  • マリオット・エグゼクティブ・アパートメント
    長期滞在の出張者向けに設計された5つ星の環境を提供するホテルブランド[13]
  • レジデンス・イン英語版
    全室スイートのホテルブランド[14]
  • タウンプレース・スイート英語版
    フルキッチン付きの広々としたスイートを備えたホテルブランド[9][15]
ディスティンクティブ長期滞在

コレクション

個性豊かな中高級ホテル等のブランド(Upper Upscal)[7]

  • オートグラフ コレクション・ホテル英語版
    独自性を持つ高級ホテルブランド。各ホテルは、創業者の情熱や心のこもったデザイン・個性そして地元とのつながりなどを基準として厳選されたコレクションである[16][17]
  • デザインホテル
  • トリビュートポートフォリオ(★)
  • MGMコレクション
    MGMリゾーツ・インターナショナルとの提携ブランド。

日本での展開

要約
視点

マリオット・インターナショナルのグローバル・セールスオフィスは、東京都港区新橋渋谷区恵比寿に置かれており、日本国内における傘下ホテルのセールスやマーケティングなどの業務を行っている。

日本国内では2024年8月時点で系列・加盟ホテルは96軒、総客室数は20,095室となる[18]

2016年には森トラスト・ホテルズ&リゾーツとフランチャイズ契約を結び[19]ラフォーレ倶楽部ブランドのホテルの一部がマリオットへリブランドされた。

2020年からは積水ハウスと契約を結び、「Trip Base 道の駅プロジェクト(フェアフィールド・バイ・マリオット道の駅プロジェクト)」と称し、各地方自治体と連携した地方創生事業として、道の駅に隣接するホテルが多数展開され、2025年までに25道府県3,000室規模へ拡大される[20][21]

2024年11月にはコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)と契約を結び、KKRが保有する既存ホテルをフォーポイントフレックス by シェラトンブランドにリブランドする形でビジネスホテル業界に本格参入。2025年までに全国14軒3,600室以上の規模に拡大される。2024年11月18日のフォーポイントフレックス by シェラトン 大阪梅田開業(マリオット系列加盟ホテルとしては日本国内100軒目)には、マリオット・インターナショナル社長兼CEOアンソニー・カプアーノが来日し開業式に参列している[22][23]

加盟ホテル

2024年12月現在、日本国内で展開しているマリオット系列ブランドの加盟ホテルは以下の通り。

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フェアフィールド・バイ・マリオット・兵庫神鍋高原
  • フォーポイント フレックス by シェラトン加盟ホテル。
    • フォーポイントフレックス by シェラトン 大阪梅田
    • フォーポイントフレックス by シェラトン 名古屋駅前
    • フォーポイントフレックス by シェラトン 大阪心斎橋
    • フォーポイントフレックス by シェラトン 金沢
    • フォーポイントフレックス by シェラトン 新大阪
    • フォーポイントフレックス by シェラトン 横浜駅西
    • フォーポイントフレックス by シェラトン 神戸三宮
    • フォーポイントフレックス by シェラトン 大阪北浜
    • フォーポイントフレックス by シェラトン 京都御池
    • フォーポイントフレックス by シェラトン 宇都宮
    • フォーポイントフレックス by シェラトン 函館駅
    • フォーポイントフレックス by シェラトン 盛岡
    • フォーポイントフレックス by シェラトン 大阪本町
    • フォーポイントフレックス by シェラトン 福岡博多

開業予定ホテル

  • JW マリオット・ホテル東京 - JR東日本(東日本旅客鉄道)が進める品川開発プロジェクト(第I期)の高輪ゲートウェイシティ(仮称)で2025年春に開業予定[65]
  • 北5西1・西2地区再開発ビル(仮称)(2028年秋開業予定、北海道札幌市中央区)- 札幌駅交流拠点 北5西1・西2地区市街地再開発準備組合が進める再開発事業で、JR北海道ホテルズと協業で出店予定。[66]
  • HOTEL THE MITSUI HAKONE ラグジュアリーコレクションホテル&スパ(2026年開業予定、神奈川県箱根町) - 三井不動産リゾートマネジメントとのダブルブランド。
  • ラグジュアリーコレクションホテル (名称未定、2026年開業予定、鳥取県鳥取市、鳥取砂丘隣接)[67]
  • コートヤード・バイ・マリオット京都四条烏丸(2025年夏開業予定、京都府京都市下京区)
  • コートヤード・バイ・マリオット京都駅(2026年度開業予定、京都府京都市南区) - JR東海ジェイアール東海不動産ジェイアール東海ホテルズと協業で出店予定[68]
  • コートヤード・バイ・マリオット広島(2027年開業予定、広島県広島市)
  • コートヤード・バイ・マリオット高知(2028年度秋開業予定、高知県高知市) - マリオットとしては四国初進出となる。
  • モクシー・ニセコビレッジ(2026年開業予定、北海道虻田郡ニセコ町)

2024年4月、ホテルマネージメントインターナショナルと契約し以下の7ホテルが改装後マリオットホテル及びコートヤード・バイ・マリオットへと2025年秋から2026年にかけてリブランド予定[69]

  • 浜松マリオットホテル(現「グランドホテル浜松」、2025年度秋開業予定、静岡県浜松市中央区)
  • 京都マリオットホテル(現「ホテル平安の森京都」、2025年度秋開業予定、京都府京都市左京区)
  • 神戸マリオットホテル(現「ホテルクラウンパレス神戸」、2025年度秋開業予定、兵庫県神戸市中央区)
  • 沖縄マリオット・リザン・リゾート&スパ(現「リザンシーパークホテル谷茶ベイ」、2025年度秋開業予定、沖縄県国頭郡恩納村) - マリオットブランドとしては4年ぶりの沖縄再進出となる。
  • コートヤード・バイ・マリオット神戸(現「ホテルパールシティ神戸」、2025年度秋開業予定、兵庫県神戸市中央区)
  • コートヤード・バイ・マリオット小倉(現「ホテルクラウンパレス小倉」、2025年度秋開業予定、福岡県北九州市小倉北区)
  • コートヤード・バイ・マリオット北九州(現「ホテルクラウンパレス北九州」、2025年度秋開業予定、福岡県北九州市八幡西区)

かつて加盟していたホテル

宿泊業以外での展開

関連項目

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THANN
  • THANN - 客室のアメニティとしてアロマウッドコレクションを導入[72]

脚注

外部リンク

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