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日本の新幹線 ウィキペディアから
九州新幹線(きゅうしゅうしんかんせん)は、福岡県福岡市博多区の博多駅から鹿児島県鹿児島市の鹿児島中央駅までを結ぶ九州旅客鉄道(JR九州)の高速鉄道路線(新幹線)、およびその列車である。
九州新幹線 | |||
---|---|---|---|
八代海を背にみかん畑を走る新幹線N700系 | |||
基本情報 | |||
国 | 日本 | ||
所在地 | 福岡県、佐賀県、熊本県、鹿児島県 | ||
種類 | 高速鉄道(新幹線) | ||
起点 | 博多駅 | ||
終点 | 鹿児島中央駅 | ||
駅数 | 12駅 | ||
開業 | 2004年3月13日(新八代 - 鹿児島中央間) | ||
全通 | 2011年3月12日 | ||
所有者 | 鉄道建設・運輸施設整備支援機構 | ||
運営者 | 九州旅客鉄道(JR九州) | ||
使用車両 | 800系、N700系 | ||
路線諸元 | |||
路線距離 | 256.8 km | ||
営業キロ | 288.9 km | ||
軌間 | 1,435 mm | ||
線路数 | 複線 | ||
電化方式 |
交流25,000 V・60 Hz 架空電車線方式 | ||
最大勾配 | 基本15 ‰、最大35 ‰ | ||
最小曲線半径 | 基本4000 m、最小500 m | ||
最高速度 | 260 km/h | ||
|
整備新幹線としての九州新幹線のうち、「鹿児島ルート」(かごしまルート)と呼ばれていた区間に相当し、旅客向けには単に「九州新幹線」と案内されている。
1972年(昭和47年)に、全国新幹線鉄道整備法第4条第1項の規定による『建設を開始すべき新幹線鉄道の路線を定める基本計画』により公示され、1973年(昭和48年)11月13日に整備計画が決定された5路線(いわゆる整備新幹線)の路線の一つである[1]。国鉄の財政悪化により建設が一時凍結されたが、1991年(平成3年)に八代 - 西鹿児島(現 鹿児島中央)間がスーパー特急方式で着工された。その後、起点が新八代に変更され、1998年に新八代駅 - 船小屋信号場(現 筑後船小屋駅)がスーパー特急方式で着工、2000年(平成12年)に残る博多駅 - 船小屋信号場間が着工、同時に全区間がフル規格化された。2004年(平成16年)3月に新八代駅 - 鹿児島中央駅間がフル規格で開業した[2]。また、新八代駅では博多駅 - 新八代駅間の在来線特急「リレーつばめ」と同一ホームで接続することで、博多駅 - 鹿児島中央駅間の所要時間は大幅に短縮された。その後、2011年(平成23年)3月に博多駅 - 新八代駅間が開業し、九州新幹線(鹿児島ルート)は整備計画の決定から38年を経て全線開業し、同時に山陽新幹線との直通運転を開始した[2]。鉄道建設・運輸施設整備支援機構が鉄道施設を建設・保有し、九州旅客鉄道(JR九州)により運営されている。
整備新幹線としての九州新幹線には鹿児島ルートのほかに福岡市と長崎市を結ぶ西九州ルート(長崎ルート)があり、整備計画では西九州ルートは福岡市(博多)- 分岐点(新鳥栖)間を鹿児島ルートと共用する計画となっている。2022年(令和4年)9月23日には武雄温泉駅 - 長崎駅間が「西九州新幹線」として開業したが、鹿児島ルートと分岐する先の新鳥栖 - 武雄温泉間の整備方針は2022年時点で未決定である。
なお、九州新幹線は整備新幹線だが、「JR線路名称公告」上では、博多駅 - 新八代駅間および川内駅 - 鹿児島中央駅間は鹿児島本線の無名枝線という扱いで、営業キロは鹿児島本線の営業キロを採用している。一方、並行在来線が肥薩おれんじ鉄道線として経営分離された新八代駅 - 川内駅間は「九州新幹線」という独立した線路として扱われ、営業キロも実キロを採用している。ただし、事業基本計画や国土交通省監修『鉄道要覧』では全区間ともに鹿児島本線とは別の路線として掲載されている。
全線を本社鉄道事業本部内の新幹線部が管轄している。ただし、博多駅から博多総合車両所分岐(博総分岐)にかけての区間はJR西日本山陽新幹線統括本部の管理に置かれており、博多駅から博多総合車両所分岐(博総分岐)の間は、博多南線と線路を共用するため、博多南駅から400メートルほど新鳥栖寄りに会社境界が存在する。ただし九州新幹線上には博多南駅は存在せず、別系統である。
博多駅 - 新八代駅間の約3割、新八代駅 - 鹿児島中央駅間の約7割がトンネル区間で構成され、山陽新幹線と同様に総延長の半分(49%)がトンネルで占められる路線である。工費を節減するために新幹線としてはやや簡素な仕様で建設されている部分があり、筑紫トンネル博多側坑口側や、新八代駅 - 鹿児島中央駅間[5] に、新幹線では最急の35パーミル勾配区間が設けられるなどの影響が出ている[3]。
構造種別延長割合は以下の通り[6]。
駅名 | 博多からの | 新大阪からの | 東京からの | 停車 | 接続路線 | 所在地 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
営業 キロ |
実 キロ |
営業 キロ |
実 キロ |
営業 キロ |
実 キロ | |||||
博多駅 福 | 0.0 | 0.0 | 622.3 | 553.7 | 1174.9 | 1069.1 | 全 | 西日本旅客鉄道: 山陽新幹線・■ 博多南線 九州旅客鉄道: 鹿児島本線・ 篠栗線(福北ゆたか線)[* 1](00) 福岡市交通局: 空港線(K11)・ 七隈線(N18) |
福岡県 福岡市 博多区 | |
新鳥栖駅 | 28.6 | 26.3 | 650.9 | 580.0 | 1203.5 | 1095.4 | 九州旅客鉄道: 長崎本線(JH02) | 佐賀県 鳥栖市 | ||
久留米駅 | 35.7 | 32.0 | 658.0 | 585.7 | 1210.6 | 1101.1 | 九州旅客鉄道: 鹿児島本線(JB17)・■ 久大本線(ゆふ高原線) | 福岡県 | 久留米市 | |
筑後船小屋駅 | 51.5 | 47.9 | 673.8 | 601.6 | 1226.4 | 1117.0 | 九州旅客鉄道: 鹿児島本線(JB21) | 筑後市 | ||
新大牟田駅 | 69.3 | 59.7 | 691.6 | 613.4 | 1244.2 | 1128.8 | 大牟田市 | |||
新玉名駅 | 90.4 | 76.3 | 712.7 | 630.0 | 1265.3 | 1145.4 | 熊本県 | 玉名市 | ||
熊本駅 | 118.4 | 98.2 | 740.7 | 651.9 | 1293.3 | 1167.3 | 全 | 九州旅客鉄道:■鹿児島本線・■ 豊肥本線(阿蘇高原線)・■ 三角線(あまくさみすみ線)[* 2] 熊本市交通局:■ 幹線・田崎線(A系統 熊本駅前停留場:3) |
熊本市 西区 | |
新八代駅 | 151.3 | 130.0 | 773.6 | 683.7 | 1326.2 | 1199.1 | 九州旅客鉄道:■鹿児島本線 | 八代市 | ||
新水俣駅 | 194.1 | 172.8 | 816.4 | 726.5 | 1369.0 | 1241.9 | 肥薩おれんじ鉄道:肥薩おれんじ鉄道線(OR12) | 水俣市 | ||
出水駅 | 210.1 | 188.8 | 832.4 | 742.5 | 1385.0 | 1257.9 | 肥薩おれんじ鉄道:肥薩おれんじ鉄道線(OR16) | 鹿児島県 | 出水市 | |
川内駅 | 242.8 | 221.5 | 865.1 | 775.2 | 1417.7 | 1290.6 | 九州旅客鉄道:■鹿児島本線 肥薩おれんじ鉄道:肥薩おれんじ鉄道線(OR28) |
薩摩川内市 | ||
鹿児島中央駅 | 288.9 | 256.8 | 911.2 | 810.5 | 1463.8 | 1325.9 | 全 | 九州旅客鉄道:■鹿児島本線・■日豊本線・■指宿枕崎線 鹿児島市交通局:第二期線・唐湊線(2系統 鹿児島中央駅前停留場:N11 [* 3]) |
鹿児島市 | |
|
博多駅を除く各駅のホームには可動式安全柵が設置されている。また、博多駅以外のホーム有効長は8両分(博多駅11番線は10両分)だが、新鳥栖駅 - 熊本駅と鹿児島中央駅は10両分まで延伸可能な構造となっている[7]。通過線を有する駅は存在しない。
2011年現在、九州新幹線内におけるすべての定期旅客列車が停車する駅の概要を記す。いずれも県庁所在地の駅となっている。
前述のように急勾配区間が多い路線のため、対応可能な車両として800系とN700系7000・8000番台が開発・製造された。
九州新幹線の発車メロディや車内メロディ(JR九州所属車のみ)には、全曲キーボーディストの向谷実が作曲した曲が採用されている[14]。車内メロディは、標準メロディおよび博多・熊本・鹿児島中央それぞれの駅の発車・到着用特別メロディの計4曲があり、熊本駅到着時は「おてもやん」、鹿児島中央駅到着時は「おはら節」をアレンジしたもの[15] が使用される。発車メロディは、熊本駅と鹿児島中央駅は前述のアレンジのメロディ、JR西日本管轄の博多駅ではゴダイゴの「銀河鉄道999」[注釈 4]、他の駅は全て「The Journey」[注釈 5] となっている。
九州新幹線の全線開業前は、全駅において発車メロディ・車内メロディ[注釈 6] に向谷実が作曲した「風は南から」が使用されていたが、全線開業を機に全て新しいメロディに切り替えられた。
The Journeyと風は南からは両方とも一曲として仕上げたバージョンがあり、iTunes Storeなどで販売されている[広報 2]。
なお、JR西日本所属車では博多・熊本・鹿児島中央各駅用の特別メロディは流されず、車内メロディは「いい日旅立ち・西へ」が九州新幹線内でもそのまま使用されており、途中駅用(サビ)と始発・終着駅用(歌い出し)の2つの区別しかない[注釈 7]。
九州新幹線が全線開業した2011年3月12日にダイヤ改正が実施され[広報 3]、山陽新幹線との直通運転が開始された。また、博多駅始発・終着の列車についても博多駅での接続が考慮されたダイヤが組まれている。
なお、他新幹線やJR九州の在来線で進んでいた位置情報配信システムを長らく導入していなかったが、2022年7月1日より、JR九州の位置情報配信システム「どれどれ」にて九州新幹線の位置情報が配信されている[16]。
「みずほ」は、新大阪駅 - 鹿児島中央駅間で運転されている山陽・九州新幹線直通列車で、この区間における最速達列車である。種別カラーはオレンジ色[17]。
1日に定期列車8往復が運転されている。九州新幹線内での停車駅は博多駅・熊本駅・鹿児島中央駅に全列車が停車し、一部の列車は久留米駅・川内駅にも停車する。所要時間は新大阪駅 - 鹿児島中央駅間が最速3時間41分、新大阪駅 - 熊本駅間が同2時間57分、博多駅 - 鹿児島中央駅間が同1時間17分、博多駅 - 熊本駅間が同32分。車両はN700系7000番台・8000番台が使用されている[18]。
当初、山陽・九州新幹線直通列車は「さくら」のみと発表されていたが、競合する航空機路線の対抗策として同列車が新たに計画された[19][20]。
「みずほ」の定期列車は、熊本駅終着の615号を除きすべて新大阪駅 - 鹿児島中央駅間の運行である。615号は繁忙期に限り鹿児島中央駅行きに延長される(延長されない場合は熊本駅にて接続する鹿児島中央駅行き「つばめ」に乗り換えとなる)。
「さくら」は、「みずほ」とともに新大阪駅 - 鹿児島中央駅間で運転されている山陽・九州新幹線直通の速達タイプの列車、または九州新幹線内で運行されている速達タイプの列車である[広報 4]。種別カラーはピンク色[17]。
車両はN700系7000番台・8000番台と、800系(九州新幹線内完結列車のみ)が使用されている。
九州新幹線内の「さくら」は、博多駅 - 鹿児島中央駅間で1時間に2本運転されている。このうちの1 - 2本が山陽新幹線の新大阪駅まで直通運転を行っており、広島駅発着の列車も1往復ある。
九州新幹線内では、博多駅・新鳥栖駅・久留米駅・熊本駅・川内駅・鹿児島中央駅に全列車が停車し、1時間に2本のうち1本が熊本駅 - 鹿児島中央駅間の各駅に停車する。このほか、筑後船小屋駅・新大牟田駅・新玉名駅に新大阪駅発着の列車が1日に2往復停車し、このうち上下各1本は博多駅 - 熊本駅間の各駅に停車する[広報 5]。
列車名は公募により決定し、2009年2月26日に発表された[広報 6]。「さくら」の名称は応募総数168,951通のうち最多となる7,927通を獲得し、新車両のコンセプトである「日本の美しさ」に合致することからも選ばれた。
「つばめ」は、博多駅 - 鹿児島中央駅間で運転されている各駅停車タイプの列車で、運行する区間の全駅に停車する。種別カラーは水色。
部分開通時の新幹線列車名は、速達・各駅停車問わず「つばめ」で統一されていたが、全線開通後「つばめ」は全区間各駅停車として運行している[広報 7][広報 8]。2012年3月17日のダイヤ改正より上り2本が山陽新幹線に乗り入れ、うち1本は小倉行き、もう1本は新下関行きで運転されていた。2013年3月16日のダイヤ改正で一旦山陽新幹線への乗り入れがされなくなったが、2017年3月4日のダイヤ改正で朝に1本のみ小倉行きとして復活した。
九州新幹線内の全区間で運転されるが、日中は、新八代駅 - 鹿児島中央駅間各駅へのアクセスは熊本駅 - 鹿児島中央駅間の各駅に停車する「さくら」[注釈 8] が「つばめ」の代替となる形で担っており[広報 8][広報 3]、鹿児島中央駅発着の「つばめ」は朝・夜の運行に限定される。したがって、日中の「つばめ」は博多駅 - 熊本駅間で運転されており、主にこの区間の地域間輸送としての役割を担っている。また、下り始発列車は川内旧車両基地からの出庫列車として、川内駅 - 鹿児島中央駅間の1区間運行になっている。
車両は主に800系が使用されるが、朝夕の通勤時間帯などではN700系7000番台・8000番台も使用されている。
九州新幹線は、2016年4月14日夜に発生した熊本地震によって全線運休となり、同年4月20日に新水俣駅 - 鹿児島中央駅間、4月23日に博多駅 - 熊本駅間、4月27日に熊本駅 - 新水俣駅間の運行が再開されたが(後節参照)、4月28日に「さくら」「みずほ」の運行および山陽新幹線との直通運転が再開されるまでは、全列車「つばめ」として運行された。
山陽新幹線の影響で昼間時間帯は毎時の発車時刻・到着時刻がほぼ一定のダイヤが組まれているが、朝晩は「さくら」の停車パターンが若干変化したり、九州内で完結する速達タイプの「さくら」の一部が博多 - 熊本・鹿児島中央の「つばめ」として運行されたりと、やや変則的なダイヤとなっている。九州新幹線内完結の列車は、ほぼ全列車が博多駅で東海道・山陽新幹線「のぞみ」などと同一ホームで接続している。
以下は2021年3月13日ダイヤ改正時点の日中の1時間帯の平均的なダイヤパターンであり、時間によって着発時刻は若干異なる場合がある。
種別 | 始発駅 | 博多駅 発車時刻 |
博多 | 新鳥栖 | 久留米 | 筑後船小屋 | 新大牟田 | 新玉名 | 熊本 | 新八代 | 新水俣 | 出水 | 川内 | 鹿児島中央 | 鹿児島中央駅 到着時刻 |
終着駅 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
さくら | 新大阪(博多) | 04・05分 | ● | ● | ● | △ | △ | △ | ● | ● | ● | ● | ● | ● | 40・41分 | 鹿児島中央 |
みずほ ※ | 新大阪 | 36分 | ● | → | △ | → | → | → | ● | → | → | → | → | ● | 55分 | 鹿児島中央 |
さくら | 新大阪 | 44分 | ● | ● | ● | → | → | → | ● | → | → | → | ● | ● | 10分 | 鹿児島中央 |
つばめ | 博多 | 50分 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | (熊本39・41分) | 熊本 |
種別 | 始発駅 | 鹿児島中央駅 発車時刻 |
鹿児島中央 | 川内 | 出水 | 新水俣 | 新八代 | 熊本 | 新玉名 | 新大牟田 | 筑後船小屋 | 久留米 | 新鳥栖 | 博多 | 博多駅 到着時刻 |
終着駅 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
さくら | 鹿児島中央 | 05・06分 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | △ | △ | △ | ● | ● | ● | 41分 | (博多)新大阪 |
さくら | 鹿児島中央 | 34・35分 | ● | ● | → | → | → | ● | → | → | → | ● | ● | ● | 00分 | 新大阪 |
つばめ | 熊本 | (熊本38・40分) | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | 28分-31分 | 博多 | |||||
みずほ ※ | 鹿児島中央 | 49・51分 | ● | △ | → | → | → | ● | → | → | → | △ | → | ● | 08分 | 新大阪 |
さくら ◆ | 鹿児島中央 | 16分 | ● | ● | → | → | → | ● | → | → | → | ● | ● | ● | 41分 | 新大阪 |
●:停車、△:1日1本停車、→:通過、◆:臨時列車、※:日中の一部の時間帯では運転しない
2020年3月16日ダイヤ改正時点における号数の割り当ては次の通り。
列車番号は、山陽新幹線直通列車(新下関駅・小倉駅発着列車を除く)は「号数+A」(臨時列車「6000+号数+A」は)、「つばめ」と新下関駅・博多駅発着の「さくら」は「5000+号数+A」が割り当てられている。後者の一部列車の号数は東京駅 - 新大阪駅間の臨時「のぞみ」と重複しているが、列車番号の重複はない。
九州新幹線と山陽新幹線では1時間に1-2本程度の直通運転を行っているが、それ以外の列車は基本的に博多駅始発・終着の「さくら」・「つばめ」となる。
これに伴い、博多駅始発・終着の列車は、ほとんどの列車が「のぞみ」などの東海道・山陽新幹線方面の列車と同一ホームで接続しており、山陽新幹線との直通列車がほとんど停車しない駅との乗り継ぎの便宜や、九州新幹線と乗り入れを行っていない東海道新幹線区間(東京駅 - 新大阪駅間)への需要にも対応する[注釈 9]。また、新鳥栖駅 - 新玉名駅間の各駅では、開業当初駅の電光掲示板・構内放送などでも「この列車は、博多駅で、のぞみ○○号東京行と接続しています」と案内されていた。
しかし、2012年3月17日のダイヤ改正で九州新幹線内完結列車の多くが行き止まりの博多駅11番線で折り返すようになったため、それまで可能だった同一ホームでの乗り継ぎが不可能になる列車が増え、さらに熊本駅 - 鹿児島中央駅間各駅停車の「さくら」に接続していた「のぞみ」の一部がこの改正で削減対象になった[注釈 10] ため、乗り継ぎ自体が不可能となってしまう事例も発生した。
九州新幹線では各駅停車専用の列車として「つばめ」が運行されているが、先述の通り「つばめ」は博多駅 - 熊本駅間での区間運行が大半であり、熊本駅 - 鹿児島中央駅間では博多駅 - 熊本駅間速達の「さくら」が各駅停車として運行される。このため、筑後船小屋駅・新大牟田駅・新玉名駅に停車する列車は、それぞれ1日1往復停車する鹿児島中央駅 - 新大阪駅間の「さくら」と、博多駅 - 鹿児島中央駅間を運行する上り6本・下り2本の「つばめ」を除き、大半が熊本駅発着となっている。
そこで、熊本駅発着の「つばめ」と熊本駅 - 鹿児島中央駅間で各駅に停車する「さくら」は、一部を除き熊本駅の同一ホームで接続を取っており、新鳥栖駅 - 新玉名駅間の各駅の電光掲示板や構内放送でも、同一ホーム接続の列車については「この列車は、熊本駅で、さくら○○○号鹿児島中央行と接続しています」などと案内されていた。
なお、「みずほ」が運転される時間のうちの「つばめ」に関しては、鹿児島中央駅発着の上下各1本が熊本駅で「みずほ」と接続している。
九州新幹線は、2004年3月13日に部分開業し、新八代駅 - 鹿児島中央駅間で営業運転を開始した。当時はまだ博多駅 - 新八代駅間が未開業であったため、現在とは全く異なる形態で運行されていた。
以下に部分開業から全線開業までの約7年間実施された運行概況を記す。
「つばめ」は新八代駅 - 鹿児島中央駅間の部分開業と同時に運行を開始した。上下ともに毎時2本が運行され、通過駅のある速達タイプと各駅停車タイプがそれぞれ毎時1本運行されていた(朝夕は各駅停車タイプのみ毎時2本)。東北・上越・長野新幹線同様、速達タイプと各駅停車タイプで同一名称が用いられていた。また、列車番号の後ろに付く英字も「A」ではなく「F」が使用されていた。
博多駅 - 新八代駅間では在来線特急「リレーつばめ」が運転され、新八代駅で「リレーつばめ」と同一ホームでの対面乗り換え方式で接続し(接続時間3分)、「つばめ」と「リレーつばめ」は一体的に運行されていた。
速達タイプ(1号 - 23号)は基本的に川内駅のみ停車[注釈 11]。接続する「リレーつばめ」も鹿児島本線区間では停車駅の少ない速達タイプで運行されていた。各駅停車タイプ(31号 - )も「リレーつばめ」と接続が基本であった[注釈 12]。
「つばめ」の名称は、一般公募で列車名を募った際の第5位の得票数であった[21][22][23]。最多得票を集めたのは「はやと」であったが、スピード感があり、また南から北上して春を告げる鳥というイメージと、戦前から長年使われてきた伝統ある列車名であることから採用された[21][22][23]。
開業時から規則的なパターンダイヤを導入していたが、在来線と一体的な運用を行っていたことから他の新幹線と比べて毎時の発車時刻・到着時刻はあまり一定していなかった。
以下は当時の昼間時間帯の平均的なダイヤパターンである。
博多駅 発車時刻 |
在来線特急 リレーつばめ | 新幹線つばめ | ||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
博多 | 二日市 | 鳥栖 | 久留米 | 羽犬塚 | 瀬高 | 大牟田 | 荒尾 | 長洲 | 玉名 | 上熊本 | 熊本 | 新八代 | 新水俣 | 出水 | 川内 | 鹿児島中央 | ||
14分 | ● | → | ● | ● | → | → | ● | → | → | → | → | ● | ● | → | → | ● | ● | |
30分 | ● | → | ● | ● | ● | ● | ● | → | → | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
新幹線つばめ | 在来線特急 リレーつばめ | 博多駅 到着時刻 | ||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
鹿児島中央 | 川内 | 出水 | 新水俣 | 新八代 | 熊本 | 上熊本 | 玉名 | 長洲 | 荒尾 | 大牟田 | 瀬高 | 羽犬塚 | 久留米 | 鳥栖 | 二日市 | 博多 | ||
● | ● | → | → | ● | ● | → | → | → | → | ● | → | → | ● | ● | → | ● | 12分 | |
● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | → | → | ● | ● | ● | ● | ● | → | ● | 50分 | |
●:停車、→:通過
2010年3月13日ダイヤ改正時点の号数の割り当ては次の通り[24]。( )は接続する在来線特急「リレーつばめ」の始発・終着駅。
九州新幹線鹿児島ルートが全線開業し、山陽新幹線との直通運転を開始した。山陽新幹線との直通列車は「みずほ」4往復、「さくら」11往復の計15往復が設定された。
種別 | 始発駅 | 博多駅 発車時刻 |
博多 | 新鳥栖 | 久留米 | 筑後船小屋 | 新大牟田 | 新玉名 | 熊本 | 新八代 | 新水俣 | 出水 | 川内 | 鹿児島中央 | 鹿児島中央駅 到着時刻 |
終着駅 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
さくら | 博多 | 09分 | ● | ▲ | ▲ | → | → | → | ● | ● | ● | ● | ● | ● | 48分 | 鹿児島中央 |
さくら | 博多 | 18分 | ● | ● | ● | → | → | → | ● | (熊本00分) | 熊本 | |||||
みずほ ★ | 新大阪 | 27分 | ● | → | → | → | → | → | ● | → | → | → | → | ● | 46分 | 鹿児島中央 |
さくら ★ | 新大阪 | 41分 | ● | ▲ | ▲ | △ | △ | △ | ● | △ | △ | △ | ● | ● | 09・13分 | 鹿児島中央 |
つばめ | 博多 | 48分 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | (熊本39分) | 熊本 |
種別 | 始発駅 | 鹿児島中央駅 発車時刻 |
鹿児島中央 | 川内 | 出水 | 新水俣 | 新八代 | 熊本 | 新玉名 | 新大牟田 | 筑後船小屋 | 久留米 | 新鳥栖 | 博多 | 博多駅 到着時刻 |
終着駅 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
さくら ★ | 鹿児島中央 | 30・34分 | ● | ● | △ | △ | △ | ● | △ | △ | △ | ▲ | ▲ | ● | 02分 | 新大阪 |
さくら | 熊本 | (熊本42分) | ● | → | → | → | ● | ● | ● | 23分 | 博多 | |||||
さくら ◆ | 鹿児島中央 | 50分 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | → | → | → | → | ● | ● | 27分 | 博多・新大阪 |
さくら | 鹿児島中央 | 53・57分 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | → | → | → | ▲ | ▲ | ● | 32・36分 | 博多 |
みずほ ★ | 鹿児島中央 | 58分 | ● | → | → | → | → | ● | → | → | → | → | → | ● | 17分 | 新大阪 |
つばめ | 熊本 | (熊本04分) | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | 55分 | 博多 |
●:停車、▲:どちらかの駅に停車、△:最低1本は停車、→:通過、★:どちらか運行(「みずほ」は朝晩に4往復、「さくら」はそれ以外の時間帯に運行)、◆:臨時列車
種別 | 始発駅 | 博多駅 発車時刻 |
博多 | 新鳥栖 | 久留米 | 筑後船小屋 | 新大牟田 | 新玉名 | 熊本 | 新八代 | 新水俣 | 出水 | 川内 | 鹿児島中央 | 鹿児島中央駅 到着時刻 |
終着駅 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
さくら | 新大阪(博多) | 09分 | ● | ▲ | ▲ | → | → | → | ● | ● | ● | ● | ● | ● | 40・44分 | 鹿児島中央 |
さくら | 博多 | 19分 | ● | ● | ● | → | → | → | ● | (熊本58分) | 熊本 | |||||
みずほ ※ | 新大阪 | 27分 | ● | → | → | → | → | → | ● | → | → | → | → | ● | 44分 | 鹿児島中央 |
さくら | 新大阪 | 41分 | ● | ▲ | ▲ | △ | △ | △ | ● | → | → | → | ● | ● | 05・09分 | 鹿児島中央 |
つばめ | 博多 | 48分 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | (熊本37分) | 熊本 |
種別 | 始発駅 | 鹿児島中央駅 発車時刻 |
鹿児島中央 | 川内 | 出水 | 新水俣 | 新八代 | 熊本 | 新玉名 | 新大牟田 | 筑後船小屋 | 久留米 | 新鳥栖 | 博多 | 博多駅 到着時刻 |
終着駅 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
みずほ ※ | 鹿児島中央 | 00分 | ● | → | → | → | → | ● | → | → | → | → | → | ● | 17分 | 新大阪 |
さくら | 鹿児島中央 | 00・03分 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | → | → | → | ▲ | ▲ | ● | 36分 | (博多)新大阪 |
つばめ | 熊本 | (熊本06分) | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | 55分 | 博多 | |||||
さくら | 鹿児島中央 | 34・38分 | ● | ● | → | → | → | ● | △ | △ | △ | ▲ | ▲ | ● | 02分 | 新大阪 |
さくら | 熊本 | (熊本44分) | ● | → | → | → | ● | ● | ● | 23分 | 博多 | |||||
さくら ◆ | 鹿児島中央 | 53分 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | → | → | → | → | ● | ● | 33分 | (博多)新大阪 |
●:停車、▲:いずれか停車、△:1日1本停車、→:通過、◆:臨時列車、※:朝夕に運行
2012年3月17日ダイヤ改正時点における号数の割り当ては次の通り。
種別 | 始発駅 | 博多駅 発車時刻 |
博多 | 新鳥栖 | 久留米 | 筑後船小屋 | 新大牟田 | 新玉名 | 熊本 | 新八代 | 新水俣 | 出水 | 川内 | 鹿児島中央 | 鹿児島中央駅 到着時刻 |
終着駅 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
さくら | 新大阪(博多) | 18分 | ● | ● | ● | △ | △ | △ | ● | ● | ● | ● | ● | ● | 53分 | 鹿児島中央 |
みずほ ※ | 新大阪 | 27分 | ● | → | → | → | → | → | ● | → | → | → | → | ● | 43分 | 鹿児島中央 |
さくら | 新大阪 | 44・45分 | ● | ● | ● | → | → | → | ● | → | → | → | ● | ● | 09-12分 | 鹿児島中央 |
つばめ | 博多 | 51・56分 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | (熊本40・45分) | 熊本 |
種別 | 始発駅 | 鹿児島中央駅 発車時刻 |
鹿児島中央 | 川内 | 出水 | 新水俣 | 新八代 | 熊本 | 新玉名 | 新大牟田 | 筑後船小屋 | 久留米 | 新鳥栖 | 博多 | 博多駅 到着時刻 |
終着駅 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
みずほ ※ | 鹿児島中央 | 02分 | ● | → | → | → | → | ● | → | → | → | → | → | ● | 18分 | 新大阪 |
さくら | 鹿児島中央 | 04分 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | △ | △ | △ | ● | ● | ● | 39・40分 | (博多)新大阪 |
つばめ | 熊本 | (熊本10・11分) | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | 59-01分 | 博多 | |||||
さくら | 鹿児島中央 | 48分 | ● | ● | → | → | → | ● | → | → | → | ● | ● | ● | 14分 | 新大阪 |
さくら ◆ | 鹿児島中央 | 10分 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | → | → | → | ● | ● | ● | 45分 | (博多)新大阪 |
●:停車、△:1日1本停車、→:通過、◆:臨時列車、※:日中の一部の時間帯では運転しない
2017年3月4日ダイヤ改正時点における号数の割り当ては次の通り。
福岡県 - 鹿児島県間の公共交通機関分担率の変化は、八代 - 西鹿児島間がスーパー特急方式で着工された1991年度は、航空40%、鉄道(JR定期外)50%、乗合バス10%、全区間フル規格化が決定された2000年度は航空40%、鉄道47%、バス13%であったが、部分開業後の2004年度には航空16%、鉄道66%、バス18%[25]と鉄道が増加、航空が減少し、全線開業後の2012年度では航空3%、鉄道84%、バス11%と鉄道がさらに増加し、航空は5%以下となった[26]。
運行本数の変化は、1991年10月時点では、鉄道が15本[注釈 13]、航空が10本、高速バスが18本、2000年10月時点では鉄道が16本、高速バスが24本、航空が13本であったが、2004年10月時点では鉄道が30本と大幅に増加し、高速バスも24本に増加、航空が8本に減少した[27]。2011年3月時点では鉄道が35本と微増、高速バスが24本と横ばいであり航空が2本とさらに減少した[28]。
鉄道利用実績は、2000年度時点では83万人であったものが部分開業後の2004年度には142万人と大きく増加し、全線開業後の2011年度には207万人とさらに増加し、2013年度には204万人と開業前の2倍以上に増加している。また、定期利用についても2000年度はほぼ0人であったものが、2011年度には1.20万人に増加し、2013年度には2.26万人となっている[29]。
熊本県 - 鹿児島県間の運行本数の変化は、八代 - 西鹿児島間がスーパー特急方式で着工された1991年10月時点では、鉄道16本[注釈 14]、高速バス10本、全区間フル規格化が決定された2000年10月時点では鉄道16本、高速バス10本であったが、部分開業後の2004年10月には鉄道が32本と2倍に増加した一方、熊本 - 鹿児島間の高速バス(きりしま号、ハイビスカス号)は廃止され、代替として人吉 - 鹿児島空港間12往復の路線が開設された。4年後の2008年10月に「きりしま号」は運行を再開した[27]。
福岡県 - 熊本県間の公共交通機関分担率の変化は、全区間がフル規格着工された2000年度には、鉄道(JR定期外)71%、乗合バス28%、航空1%であり部分開業後の2004年度は鉄道63%、バス36%、航空1%、全区間開業後の2011年度でも鉄道65%、バス34%、航空1%とほぼ横ばいである[26]。
運行本数の変化は、2000年10月時点では、鉄道[注釈 15] 41本、高速バス[注釈 16] 50本であったが、2004年10月時点では鉄道が41本と横ばい、高速バス80本と大幅に増加し[27]、2011年3月時点では鉄道が65本と増加したものの、高速バスも80本と多数運行されている[26]。
鉄道利用実績は、2000年度時点では440万人であったものが全線開業直前の2010年度には402万人と緩やかな減少傾向がみられていたが、全線開業後の2011年度には460万人と増加に転じ、2013年度には503万人に増加している。また、定期利用についても2000年度は102万人で2010年度には113万人であったものが、2011年度には146万人に増加し、2013年度には167万人に増加している[29]。
博多駅 - 宮崎駅の営業キロは日豊本線経由で405.5 kmであり、九州新幹線開業前の2002年10月時点では日豊本線経由で所要時間が5時間23分であったが、全線開業後の2014年10月時点では九州新幹線と高速バス(B&Sみやざき号)を新八代駅で乗り継ぐ経路が陸上では最速となり、所要時間は下り最短で2時間58分となった[30]。
関西 - 熊本間の公共交通機関分担率の変化は、全区間がフル規格着工された2000年度には、航空が77%と最も多く、鉄道(JR定期外)20%、乗合バス3%であり、部分開業後の2004年度も航空が72%と依然として最も多く、鉄道が24%と微増、バスが4%であったが、全線開業後の2011年度は、鉄道が57%、航空が42%と鉄道と航空の分担率が逆転し、バスは1%となった[31]。
大阪 - 熊本県間の運行本数の変化は、2000年10月時点では、鉄道30本、航空[注釈 17] 9本、高速バス1本であったが、2004年は鉄道35本と微増、航空9本、高速バス1本と横ばいで、2011年は鉄道が56本と大幅に増加(うち15本直通)、航空9本、高速バス1本と横ばいである。翌2012年には鉄道の直通本数が23本に増加したが、2014年から関西国際空港 - 熊本空港間で格安航空会社 (LCC) が就航したことで航空の運行本数も微増している。高速バスは夜行便のみが運行されている [32]。
鉄道利用実績は、2000年度時点では21万人であり、全線開業直前の2010年度には35万人であったが、全線開業後の2011年度には73万人と2倍以上に大きく増加し、2013年度も73万人を維持している[33]。
関西 - 鹿児島間の公共交通機関分担率の変化は、全区間がフル規格着工された2000年度には、航空が92%と最も多く、鉄道(JR定期外)6%、乗合バス2%であり、部分開業後の2004年度も航空が88%と依然として最も多く、鉄道が9%と微増、バスが3%であったが、全線開業後の2011年度は、航空が63%に減少、鉄道が36%と増加し、バスは1%となった[34]。
大阪 - 鹿児島県間の運行本数の変化は、2000年には、航空[注釈 18] 12本、鉄道11本、高速バス2本であったが、2004年は航空13本、鉄道19本と増加、鉄道が19本、バス2本と横ばいで、2011年は航空が12本、鉄道が30本(うち15本直通)と増加、バス2本となった。翌2012年には鉄道の直通本数が23本に増加したが、同年に関西国際空港 - 鹿児島空港間でLCCが就航したことで航空の運行本数も微増している。高速バスは夜行便のみが運行されている[35]。
鉄道利用実績は、2000年度時点では9万人であったものが部分開業後の2004年度は14万人に増加し、全線開業後の2011年度には57万人と大きく増加したが、2013年度は47万人に減少している[33]。
2004年の新八代駅 - 鹿児島中央駅間開業時に、並行在来線のうち鹿児島本線 八代駅 - 川内駅間が第三セクターの肥薩おれんじ鉄道線として経営分離された。この区間では、特急列車の間合いなどが不要となり、出水駅 - 川内駅間で普通列車が6本増発されたが、経営分離された区間では運賃が約30%上昇した[36]。輸送密度は経営分離後数年間は900人/日前後であったが徐々に減少し、2012年度で765人/日と減少傾向にある[37]。
区間ごとの平均通過人員は以下の通り。
年度 | 平均通過人員(人/日) | 旅客運輸収入 (百万円/年) | ||
---|---|---|---|---|
全区間 | 博多 - 熊本 | 熊本 - 鹿児島中央 | ||
2004年度[38] | 8.087[注釈 19] | 未開業 | ||
2007年度[38] | 8,528[注釈 19] | 未開業 | ||
2012年度[39] | 16,825 | |||
2016年度[40] | 17,567 | 25,657 | 11,950 | 50,121 |
2017年度[41] | 19,012 | 27,579 | 13,062 | 54,155 |
2018年度[42] | 19,275 | 27,986 | 13,226 | 54,940 |
2019年度[43] | 18,445 | 27,046 | 12,473 | 52,325 |
2020年度[44] | 8,235 | 11,939 | 5,663 | 22,942 |
2021年度[45] | 9,507 | 13,625 | 6,648 | 27,462 |
2022年度[46] | 13,984 | 20,142 | 9,707 | 41,509 |
2023年度[47] | 17,004 | 24,763 | 11,616 | 52,660 |
営業キロ・区間 | 特急料金(円) | ||
---|---|---|---|
自由席 | 指定席 | ||
50 km以下 | 隣接駅間 (新八代駅 - 川内駅間を除く)、 博多駅 - 久留米駅間 |
870 | 1,790 |
上記以外 | 1,260 | ||
51 – 100 km | 博多駅 - 筑後船小屋駅間 | ||
上記以外 | 1,760 | 2,290 | |
101 – 150 km | 2,530 | 3,060 | |
151 – 200 km | 博多駅 - 新八代駅間 | ||
上記以外 | 3,240 | 3,770 | |
201 – 250 km | 3,870 | 4,400 | |
251 km以上 | 4,500 | 5,030 |
運賃は営業キロに基づいて算出され、営業キロは並行する鹿児島本線と同一となっている。ただし、並行在来線(鹿児島本線)が第三セクター化された新八代駅 - 川内駅間は実キロで算出されている。新鳥栖駅は鳥栖駅と、新大牟田駅は大牟田駅と、新玉名駅は玉名駅と同一位置とみなされて算出される。
上限特急料金は「三角表」により各駅間個別に定められている。201 km以上の料金水準としては、ほかの新幹線に比べてやや高めに設定されている。また、座席指定の際は東海道・山陽新幹線と同様に閑散期・通常期・繁忙期の設定が行われており、閑散期は一律200円引き、繁忙期は一律200円増し(2023年4月から新設される最繁忙期は一律400円増し)となる。全線開業以前の座席指定料金は通年同額であった。エクスプレス予約では通年同額である。
また、九州新幹線では以下の特定特急料金区間が設定されている。
グリーン車を利用する場合には、自由席特急料金と同額(ただし、上記の特定特急料金区間のうち1.に該当する区間は1,260円)の特急料金に利用区間に応じたグリーン料金を加算した金額となる(2023年4月乗車分より、特急料金部分〈または総額〉に対して閑散期は一律200円引き、繁忙期は一律200円増し、最繁忙期は一律400円増し)。「グリーン料金」を参照。
一部直通運転を行う山陽新幹線とは特急料金・グリーン料金の算出にあたって営業キロを通算せず、博多駅までのそれぞれの個別料金を合算する。特定特急料金の対象となる区間(隣接駅間料金となる小倉駅 - 博多駅間・博多駅 - 新鳥栖駅間など)については、通常の計算ルールに基づく料金ではなく特定特急料金が合算の対象となる。
なお、九州新幹線と山陽新幹線を通しで乗車する場合(直通列車に乗車、または博多駅で途中下車をせずに乗り換えた場合)の特急料金(指定席)については「自由席特急料金の合算額+530円(通常期)」となるように低減措置が行われる。この場合の自由席特急料金は特定特急料金により算出された額のケースを含むため、指定席の特急料金の単純合算より1000円以上安くなる区間もある[注釈 20]。この低減措置は山陽新幹線各駅と九州新幹線各駅の間を乗車する時に適用され、東海道新幹線(京都以東)から通しで乗車した場合は適用されない。
「みずほ」の指定席については、山陽新幹線区間で「のぞみ」と同じ料金表を用いる(210 - 320円の加算料金が発生する)が、九州新幹線区間においては「さくら」「つばめ」と同じ料金表を用いる。
※詳細や設定区間については、JR九州の 公式サイト などを参照。
博多駅 - 新八代駅間の九州新幹線と新八代駅前 - 宮交シティ・宮崎駅間の高速バス「B&Sみやざき号」を乗り継いで利用できる2枚つづりの回数券。九州新幹線内では新八代駅を通過する列車を含む「みずほ」「さくら」「つばめ」の普通車自由席に乗車できる。普通車指定席を利用する場合は指定料金券が、グリーン車を利用する場合にはグリーン料金券が必要となる。「B&Sみやざき号」は全車指定席のため、あらかじめ座席の指定を受ける必要がある。
出発日から起算して指定されている日数以前に往復分の列車を予約・購入することで、通常料金よりも割安な価格で購入できるタイプの企画乗車券である。当日まで購入可能な割引切符よりもさらに割安な価格で設定されていることが特徴である。
九州新幹線では以下の早特往復きっぷを販売している。
九州新幹線では「JR九州インターネット列車予約」での予約・購入限定の割引きっぷが発売されている。2枚きっぷや往復割引切符とは異なり、片道1名分からでも割安な価格で購入できることが特徴である。
山陽新幹線と九州新幹線を跨ぐ割引きっぷはJR西日本のインターネット予約サービス「e5489」でも予約・購入することができる。
インターネット予約専用の割引サービスとして以下のものがある。
JR九州管内の新幹線・特急列車を「JR九州インターネット列車予約」(以下、インターネットという)を利用して予約した場合に、列車・設備・座席数を限定しての適用となる。下記のきっぷは、小倉駅 - 博多駅間も含め、山陽新幹線には乗車できず、利用区間に同区間が含まれる場合は主に並行する鹿児島本線の特急列車などが対象列車となっている。
九州新幹線と山陽新幹線を含むJR九州、JR西日本、およびJR四国の特急列車の相互利用で、JR九州の「JR九州インターネット列車予約」、JR西日本の「(新)e5489」(以下、インターネットという)で予約した場合に適用される。
以下は九州新幹線の全線開業以前に発売されていた割引きっぷである。
九州新幹線用定期乗車券を、新幹線エクセルパスとして発売している。新幹線エクセルパスは「みずほ」「さくら」「つばめ」の普通車自由席に乗車可能で通勤用・通学用があり、期間は1・3・6か月の3種類。
定期券専用新幹線特急料金回数券は、普通定期乗車券に組み合わせて九州新幹線の普通車自由席に乗車できる4枚つづりの新幹線特急料金回数券である。
博多駅、熊本駅、鹿児島中央駅を中心とした一部の区間に設定されており、該当する区間を含む普通定期乗車券にのみ組み合わせて利用できる。在来線の駅が併設されていない新大牟田駅、新玉名駅については大牟田駅、玉名駅を含む定期乗車券とそれぞれ組み合わせることができる(博多駅 - 新鳥栖駅間は博多駅 - 鳥栖駅間の普通定期乗車券と組み合わせることはできない)。
また、定期券以外の乗車券、SUGOCA定期乗車券と組み合わせることはできない。
1969年(昭和44年)5月30日に「新全国総合開発計画」が閣議決定された。この中で主要開発事業の構想として「福岡と熊本を結び,九州南部に至る九州新幹線鉄道の建設を進めるとともに、西九州新幹線鉄道、東九州新幹線鉄道、九州・四国連絡新幹線鉄道(中略)等の建設を図る。」と現在の九州新幹線に相当する新幹線鉄道を含むいくつかの新幹線路線の建設構想が盛り込まれた。
1970年(昭和45年)に全国新幹線鉄道整備法(以下全幹法)が公布された。この法律により、逼迫する幹線の輸送力増強を目的とした東海道・山陽新幹線とは異なり、経済発展や地域の振興を目的とした新幹線の建設が行われるようになった。1972年(昭和47年)6月29日に基本計画が決定[48]、7月3日に全幹法第5条第1項の規定による「建設を開始すべき新幹線鉄道の路線を定める基本計画」(昭和47年運輸省告示第243号)により北海道新幹線(青森市・札幌市)、北陸新幹線(東京都・大阪市)、九州新幹線(福岡市・鹿児島市)の3路線の基本計画が告示された。この基本計画において九州新幹線(福岡市・鹿児島市)は福岡市を起点として鹿児島市を終点とすることが示された。
翌年の1973年(昭和48年)11月13日には前述の3路線に加え、東北新幹線(盛岡市・青森市)、九州新幹線(福岡市・長崎市)を含む5路線(いわゆる整備新幹線)の整備計画が決定された[49]。九州新幹線(福岡市・鹿児島市)は主要な経過地として「熊本市附近、川内市附近」が示され、建設主体は日本国有鉄道(国鉄)とされた[49]。
国鉄の経営悪化などを背景に1982年(昭和57年)9月の臨時行政調査会の基本答申に沿って、九州新幹線を含む整備新幹線計画を当面見合わせる閣議決定がなされた[1]。
1986年(昭和61年)8月に八代 - 西鹿児島間の認可申請が行われた[49]。国鉄改革や行財政改革の進展、沿線地域の建設促進への強い要望などを背景に、1987年(昭和62年)1月に整備新幹線見合わせの閣議決定が変更され、九州新幹線の建設に道が開かれた[1]。しかし、建設費を削減するため、いわゆる「運輸省案」が考案され、九州区間については以下のような案が検討された 。九州では博多 - 鹿児島間の旅客流動が大きく、博多での乗り換えを解消する必要性は低いことから、時間短縮効果の大きい八代 - 西鹿児島間に、新幹線と同じ規格の新線を建設するが当面狭軌を敷設する新幹線鉄道規格新線(スーパー特急方式)による整備を行い、博多 - 西鹿児島間に最高速度200 km/hのスーパー特急を運行するとされた。これにより博多 - 西鹿児島間は4時間6分から2時間7分に短縮されるとした[50]。
1987年(昭和62年)4月に国鉄が民営化され、国鉄が建設主体とされていた九州新幹線は、日本国有鉄道改革法等施行法の附則により九州旅客鉄道(JR九州)が建設主体とされたが、同年9月に施行された「旅客鉄道株式会社が建設主体とされている新幹線鉄道の建設に関する事業の日本鉄道建設公団への引継ぎに関する法律」により、九州新幹線の建設は日本鉄道建設公団に引き継がれた。
1988年(昭和63年)8月31日の「整備新幹線の取扱いについて」において整備新幹線着工優先順位が示され、1(i)として北陸新幹線高崎 - 軽井沢間の標準軌新線、なお軽井沢 - 長野間の取扱いは1998年冬季五輪の開催地決定を考慮して3年以内に結論を出す。1(ii)として高岡 - 金沢間の新幹線規格新線。2として東北新幹線。3として九州新幹線。4として糸魚川 - 魚津間の新幹線規格新線とされた[51]。
1989年(平成元年)1月17日の政府与党申合わせにおいて、整備新幹線の建設主体などなどが示された。整備新幹線の事業費はJR、国、沿線の地方自治体の負担とすること[52]。建設主体は日本鉄道建設公団とし、建設した鉄道施設を公団がJRに有償で貸し付けること[52]。北陸新幹線高崎 - 軽井沢間を平成元年度から本格的に着工すること、あわせて難工事推進事業として3トンネルについても平成元年度中に着手すること[53]などが示された。
1989年(平成元年)6月に難工事推進事業として、出水 - 川内間の第三紫尾山トンネルの着工が認可された[54]。1992年(平成3年)に新幹線直通線(ミニ新幹線)や新幹線鉄道規格新線(スーパー特急)による「暫定整備計画」を決定できるよう全幹法が改正された。
昭和63年の「整備新幹線の取扱いについて」において優先順位3位であった九州新幹線(鹿児島ルート)は、1991年(平成3年)8月に八代市 - 鹿児島市間の暫定整備計画が決定[55]、その後、八代 - 西鹿児島間125.2 kmの工事実施計画が認可され、9月に起工式が行われた[55]。 新八代 - 西鹿児島間は鹿児島本線千丁駅の南方約1 km付近に新設される北八代信号場を起点に西鹿児島駅に至る路線延長約128 kmの計画であった[56]。
1996年(平成8年)12月25日の「整備新幹線の取扱いについて 政府与党合意」では九州新幹線(鹿児島ルート)の新規着工区間として船小屋 - 新八代間の新幹線鉄道規格新線(スーパー特急方式)が示された[国交省 1]。平成8年の合意に基づいて、1998年(平成10年)1月に「政府・与党整備新幹線検討委員会における検討結果」が公表され、従来の整備新幹線計画が維持されていることを確認したうえで新規着工区間が示された。[国交省 2]。同年3月12日に船小屋 - 新八代間の暫定整備計画が決定された。船小屋 - 新八代間は鹿児島本線船小屋駅の南方約1 kmに新設される南船小屋信号場で分岐し、既設の熊本駅を経由して新八代駅に至る路線延長約83 kmの計画であった[56]。
2000年(平成12年)12月18日の「整備新幹線の取扱いについて」政府・与党申合せにおいて、九州新幹線(鹿児島ルート)の新八代 - 西鹿児島間について「フル化し、平成15年度末の完成を目指す」とされた。博多 - 新八代間についても「フル化し、今後概ね12年後の完成を目指す交通結節点として新鳥栖駅の整備を行う」とされた[国交省 3]。翌2001年(平成13年)4月には九州新幹線(鹿児島ルート)博多 - 西鹿児島間全区間が標準軌新線(フル規格)による工事実施計画の追加認可を受け、着手した[JRTT 1]。
2003年(平成15年)10月1日に鉄道建設・運輸施設整備支援機構が設立され、日本鉄道建設公団は解散した。これにより九州新幹線(鹿児島ルート)の建設・貸付け業務は機構に引き継がれた。
2004年(平成16年)3月12日に九州新幹線 新八代駅 - 鹿児島中央駅間が開業した[2]。新幹線開業に伴い西鹿児島駅は鹿児島中央駅に改称した。これにより、新八代駅 - 鹿児島中央駅間の所要時間は2時間2分から34分となった[57]。
新幹線「つばめ」は新八代駅 - 鹿児島中央駅間で運行され、新八代駅では博多駅 - 新八代駅間の在来線特急「リレーつばめ」との同一ホームによる対面乗り換えが開始された。これにより、博多駅 - 鹿児島中央駅の所要時間は3時間40分から1時間30分短縮されて2時間10分となった[57]。また、新八代駅で接続する新幹線「つばめ」と在来線特急「リレーつばめ」に同一の号数を割り当てる、乗車券と在来線特急券、新幹線特急券を1枚のきっぷとして発券する、指定席においては2つの列車を同一座席で発売をするなど、乗り換えの負担低減が図られていた[57]。
2004年(平成16年)12月16日の「整備新幹線の取扱いについて」政府・与党申合せにおいて、九州新幹線 博多 - 新八代間については平成22年度末の開業を目指すとされた[国交省 4]。
2011年(平成23年)3月12日に九州新幹線 博多駅 - 新八代駅間が開業し、九州新幹線(鹿児島ルート)は全線開業した[2]。これにより、博多駅 - 鹿児島中央駅間が53分短縮され1時間19分に、博多駅 - 熊本駅間が40分短縮され33分となった[58]。また、山陽新幹線との直通運転を1日当たり15往復開始したことで九州と関西地区の所要時間も短縮され、新大阪駅 - 鹿児島中央駅間が1時間17分短縮され3時間45分に、新大阪駅 - 熊本駅間が58分短縮され2時間59分となった[58]。
翌2012年(平成24年)春のダイヤ改正時には新八代駅構内の改良工事が完了したことで所要時間がさらに短縮され、新大阪駅 - 鹿児島中央駅間が最速3時間43分となった。また、直通運転用の車両が増備され、山陽新幹線との直通列車は23往復となった[58]。
2016年(平成28年)4月14日21時26分に発生したM6.5 最大震度7の前震、および16日1時25分に発生したM7.3 最大震度7の本震など一連の平成28年熊本地震により、九州新幹線は大きな被害を受けた。4月14日夜の前震発生時に九州新幹線では9本の列車が走行していたが、そのうち熊本駅から熊本総合車両所に向かっていた回送列車(800系6両編成)が熊本駅から鹿児島中央駅方約1.3 kmの坪井川橋梁上で脱線し、その車両は16日未明の本震により最大23cm動いた。その他の全列車は地震感知による送電停止により緊急停車し、脱線することはなく、駅間に停車した列車の乗客の救済は翌朝までに完了した[59]。地上設備においては橋脚受け部の破損、防音壁の落下等が生じたが、九州新幹線の構造物は1995年の兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)級の地震に耐えられる基準で設計されていたことから、構造物の基本的な部分に関する致命的な損傷は少なかった。駅部では熊本駅や新八代駅で損壊が生じた。また、回送列車が脱線したことで軌道の損傷が生じた[60]。
脱線した回送車両は河川橋梁上であり大型クレーンが近づくことができないため、脱線復旧機材を用いて載線した後、モーターカーによる牽引で1両ずつ熊本総合車両所に搬入された[59]。
熊本県以外では被害はほぼ生じなかったが、脱線箇所が熊本総合車両所に近く、車両の出入区に支障をきたした影響で車両の検査ができず、全線で運転再開ができなかった。その後、4月21日に新水俣駅 - 鹿児島中央駅間で、23日午後に博多駅 - 熊本駅間で、27日午後に熊本駅 - 新水俣駅間で運転を再開し、九州新幹線は地震発生から13日後に全線で運転再開を果たした。翌28日には山陽新幹線との相互直通運転を再開した[59]。ただし、一部区間では徐行運転を行い所要時間が通常より長くなる、運行本数が通常の約9割になる、通常は鹿児島中央駅発着の一部列車が熊本駅発着になるなど、変則的なダイヤで運転された[広報 16][61]。このときの特急券などの取り扱いについては、山陽新幹線との直通列車は通常通り指定席を発売していたが、九州新幹線内のみを走行する列車については、普通車は全車自由席とし、グリーン車(N700系のみ)は車内でのみグリーン券を発売するといった対応を行っていた。7月4日からは通常ダイヤの本数、運転区間に戻り、九州新幹線内のみを運行する列車の指定席の販売も再開された。熊本駅 - 新八代駅間では、この後も一部区間で引き続き徐行運転を行い、鹿児島中央駅発着の列車は所要時間が通常より数分延びた状態で運行していた[広報 17]。2017年3月4日から、地震により被害を受けた設備の補修や脱線防止ガードの敷設など復旧・地震対策作業が完了することに伴い、熊本駅 - 新八代駅間の一部で行われていた徐行運転を解除し、所定の速度での運転を再開した[広報 18]。
JR九州採用のイメージタレントとしては、部分開業後当初は、黒木瞳(福岡県出身)が登用された[広報 38]。その後、小西真奈美(鹿児島県出身)が2007年に担当している。以降、全線開業前後を含めてタレントの登用はなかったが、2015年にDREAMS COME TRUEが起用され、キャンペーンソングの楽曲も提供している(後述)[広報 36]。2016年度は「JR九州公式フォトグラファー」の肩書きでローラが起用された[広報 37]。
また、沿線各自治体のうち、熊本県では同県出身で以前より「熊本県宣伝部長」を務めているスザンヌ[78] が、久留米市では新たに「久留米ふるさと特別大使」に委嘱された同市出身の田中麗奈[広報 39] が、佐賀県では新鳥栖駅開業ミシヨネール「さがさくらジェンヌ」に委嘱された同県出身の夢乃聖夏・朝夏まなと[注釈 22][79] が、全線開業に並行して自治体のPRを行っている。
全線開業のイメージソングとして、「春の行人」が発表された。中孝介・元ちとせの二人ユニット「お中元」名義で、エピックレコードジャパンより2011年3月9日発売[80][注釈 23]。
全線開業後5年目を迎えた2015年には、DREAMS COME TRUEによる「ドリカム新幹線」キャンペーンソングとして、「九州をどこまでも」が発表され、配信限定シングルとして同年4月8日にリリースされた[81]。
九州新幹線全線開業の2011年3月にあわせて、JR九州・JR西日本で複数のバージョンのCMが製作された。
JR西日本では「九州! 直結! 新幹線!」キャンペーンの一環として、熊本・鹿児島への観光キャンペーンCMを製作している。CMソングにはゆずの「彼方」(アルバム『2-NI-』に収録)を採用。東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の関係で一旦放送が取りやめになったが、3月下旬から放送が再開された。
JR九州のCMで特筆されるのが、JR九州による全線開業記念イベント「祝! 九州縦断ウェーブ」によるCMである。2011年2月の開業前に鹿児島中央駅から博多駅に向けて走らせた特別列車に向かって沿線から手を振るなどのパフォーマンスの様子を撮影したもので、震災によりCMが自粛された影響からテレビでは九州内で数回しか放映されなかったにもかかわらず、YouTubeなどで公開されたCMの動画が大きな反響を呼んだ。そして、カンヌ国際広告祭(カンヌライオンズ)2011に出展され、アウトドア部門にて金賞、メディア部門にて銀賞、フィルム部門にて銅賞を受賞した。
JR九州では他にも、JACKSON 5の「I Want You Back」をBGMとして、「どうして立ち止まってるの?」「未来は明るいに決まってる」というキャッチコピーと共に九州の歴史を振り返る30秒・45秒バージョンのCMが放送された。
映画『奇跡』(是枝裕和監督)は、鹿児島ルート全線開業を記念してJR九州とジェイアール東日本企画(JR東日本系の広告会社)が企画して製作された。主演はまえだまえだの2人で、2011年6月に全国公開された[82][83]。
九州新幹線の列車において実施される急患搬送協力体制のこと[84]。体調が悪くなった客が横になれるように、N700系と800系新幹線車両に設置されている多目的室を活用し、対象は新生児など周産期の緊急治療が必要な患者であるとされる[85]。
元々日本の患者の救急搬送体制には救急車とドクターヘリ等があるが、それらは数が少なく緊急時には利用することができなくなり、更にはヘリでは急激な気圧変化が懸念され、陸上の救急車搬送では振動や長い所要時間で患者に負担をかけることになる上、長距離・長時間運転を行うスタッフにも負担になる[注釈 24] という問題があった。そこで高度医療を担う病院が多い拠点都市相互間を、短い所要時間で頻繁に結ぶ新幹線に注目し、医療界がJR側に協力を仰ぎ実現することになった。
JR九州ではN700系と800系の多目的室を活用し、九州・山陽・東海道新幹線の電車を利用して、九州各県相互、および、九州各県から近畿地方・関東地方の病院へ転院が必要な寝たきり患者を想定して、患者を搬送している。2日前までの予約が必要であるが、JR九州は「なるべく前日や当日の要望にも応えていきたい」とし、担当窓口に電話するだけで列車から駅構内の移動まで手配できる体制になっているという。JR九州・JR西日本・JR東海が協議した結果、「車内で手術はしない」「感染力の強い病気の患者の輸送は行わない」との条件で合意した[86]。
救急医療活動において九州新幹線を活用した例として、以下のような事例がある。
東京方面へは九州新幹線の車両が東海道新幹線に乗り入れていないため、基本的に(対面乗り換えの可能な)岡山駅か広島駅始発の「のぞみ」に乗り換えを計画して行っている。[要出典]
佐川急便とJR九州は2021年5月18日から九州新幹線博多駅 - 鹿児島中央駅間で、一日あたり上下1列車ずつ(毎日)、福岡市と鹿児島市の間の宅配便荷物輸送の貨客混載事業を行っている[89]。
停車場・主要構造物・接続路線 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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