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2011年の九州新幹線全線開業によるCMの通称 ウィキペディアから
『祝!九州』(しゅく!きゅうしゅう)は九州旅客鉄道(JR九州)が2011年3月12日の九州新幹線鹿児島ルート全線開通に向けて企画実施した大規模イベント『祝!九州縦断ウエーブ』(しゅく!きゅうしゅうじゅうだんウエーブ)を元に作成されたCMのキャッチコピーおよび通称。
CM企画当初はイベントの名称として『祝!九州縦断ウエーブ』を用いていたが、後にこの名称を用いることはなくなり、現在は単に『九州縦断イベント』としている。
JR九州では、九州新幹線鹿児島ルートの全線開業に当たり、「(九州の)みなさん全員がずっと待ち望んでいた新幹線だから、その全線開業は九州のみなさんとお祝いしたい」とのコンセプトの元[1]、九州新幹線開業のスペシャルイベントの企画を行った。様々な企画が立案された中、最終的に「全線開業前にカメラを搭載した試運転列車を鹿児島中央駅から博多駅まで走らせ、沿道に集まった人々を撮影して一つのCMにする」という企画が実行されることになった。
なお、当時JR九州の社長を務めていた唐池恒二はこのCMを制作するにあたり「私の頭の中にはインドを舞台にした映画『スラムドッグ$ミリオネア』のにぎやかなダンスシーンがあった」と回想している[2]。
「2011年2月20日、全線開業前の試運転中、CM撮影用のカメラを搭載した鹿児島中央駅発博多駅行きの特別列車を走らせ、沿線を撮影する」ことがテレビCM、新聞、Web、駅貼りポスターなどで告知される。
鹿児島中央駅・熊本駅・博多駅など九州新幹線停車駅12駅をはじめとする、JR九州が公式に指定した14箇所[注釈 1] については事前に定員を定めて参加者の募集が行われた。募集人員は1万人を目処としていた[2]が、募集を開始した1月9日には一部の会場で応募が殺到、翌日には博多駅・熊本駅などの会場で早くも定員に達するほどの人気振りであった。
なお、告示時点では『祝!九州縦断ウエーブ』のイベント呼称のとおり、「新幹線の通過に合わせて、鹿児島から博多まで皆のウェーブでつなぐ」と呼びかけられていた[3] が、実際にはウェーブだけではなく、新幹線に向かって様々なパフォーマンスをしようというイベントであった。
撮影当日の2月20日、撮影列車に用意されたのは、この日限定で1・6・7・8号車に7色のラッピング[注釈 2]を施したN700系8000番台R10編成であった。なお、この7色は沿線以外も含めた九州本土の7県(福岡県・佐賀県・長崎県・大分県・熊本県・宮崎県・鹿児島県)を表しているという。
当日、この車両を運転した運転士の徳丸晋作は事前のイベント告知テレビCMにも数秒出演しており、当日の車両基地にて車両に乗り込む姿や、博多駅で降車し、イベント参加者に取り囲まれるシーンが放送されている。後日、朝日新聞のインタビューで「予想外の光景にうるうる来た」「手を振って頂いてありがとうございますという気持ちで、本来、走行中にはあんなに鳴らさない警笛を、何度も鳴らした」と話している[4]。
この車両デザインを施したプラレールが、「ぼくもだいすき!臨時列車シリーズ N700系R編成レインボーラッピング」の名前で販売されていた。
撮影列車は鹿児島中央駅を10時55分に出発、熊本駅で1時間停車(12時08分着、13時08分発)して、博多駅に14時12分到着という、本来よりもかなり遅い80km/h、駅構内は40km/hの速度で走行、沿道の人々が手を振る様子を撮影予定であった[5]。しかし、80 km/hでは沿線に立つ人々がうまく撮影出来ない場合もあり、少し速度を落とす事を決断。この遅れを取り戻すため、トンネル内などの撮影に無関係な場所で速度アップし、大きな時間の遅れは免れる。
走行中は進行方向左側(新幹線の西側)に据えられたCM撮影用の6台のビデオカメラとスチールカメラの他、沿線は約50台ものカメラを用意[6]。なおスチールカメラの撮影画像は、picasaウェブアルバムサイトにて、数千枚の画像が公開された。
沿線にある学校や企業、少年野球チームなどいろいろな団体に事前に声をかけ、中には「忙しいから無理」と断られた会社の人たちも手を振ってくれ[7]、指定エリア以外でも予想をはるかに超える人出が沿線に押し寄せて撮影に参加。最終的には1万人とも[8]、2万人とも[1]言われる人々が参加したという。なお、事前申し込みした参加者には記念品として7色のタオルマフラーが配られた。
撮影に多くの市民が参加したことについて、撮影を行った新幹線内のスタッフや、社長の唐池も感動で涙が止まらなかったという[2]。
撮影に当たっては沿線で下記や他、様々なパフォーマンスが行われた。目立つパフォーマンスのほとんどは、制作側が事前に企画して手配・発注した物もあるが、有志による参加もあった。
撮影当日の模様を九州の多数のローカル局が取材し、現場の裏側を夕方のニュースワイド番組などで紹介。当日、3機のヘリコプターが空撮するなど、大規模な取材であった。中には参加企画として、番組の出演者が実際沿線に立ち、局のゆるキャラの着ぐるみと共にカメラに向かい、映ったかどうかを楽しむ番組もあった。参加番組は下記。
「めんたいワイド」と「今日感テレビ」の参加撮影地点は、同じ矢部川河川敷であったため、競合する2局のマスコットキャラクターである「ゆめんた」と「ももピッ!」の着ぐるみが、同時に撮影されるというハプニングもあった。
映像外部リンク | |
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JR九州 「九州新幹線全線開業CM」 特別篇 180秒ver YouTube:CMの制作会社・ティーアンドイーによる公開版(2015年6月2日) |
当日撮影された映像はCM用に編集され、15秒バージョン5本と30秒バージョン7本、他に公式会場の様子ごとに編集した各駅バージョン14本と、『総集編』が製作された。『総集編』は30秒・60秒の他、120秒バージョンと、CMとしては極めて異例の180秒ロングバージョンも作成された(180秒ロングバージョンには『総集編』の他に、再編集した『特別編』がある)。
テレビCMの放送は九州地区限定ではあるが、JR九州のCMライブラリページ[12] 及びYouTubeの公式チャンネル[13] では特別編を含むほぼ全てのバージョンが公開されており、他地域でも視聴が可能であった(現在はどちらも公開終了)。
CMは3月4日より順次放映が行われたが、全線開通前日(3月11日)に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)に伴い、ロングバージョンの放映は3月10日にJNN九州ブロックネットで放送された特別番組内を除いて一旦取りやめになった[注釈 3]。しかし、公式サイトでのYouTubeを用いた動画配信は継続され、これが後に大きな反響を呼ぶことになる(後述)。
CMの放送は中止されたが、YouTubeや第三者によってニコニコ動画に転載されたロングバージョンのCMが地震による被災者を勇気付けているとネット上で反響を呼び[注釈 4]、全国で放送要望の声が上がった[17]。その声もあって、2011年4月22日には日本テレビ系の情報番組『スッキリ!!』でロングバージョン(総集編)がCMのメイキング映像や、マイア・ヒラサワへのインタビュー映像とともにノーカットで初めて全国放送され[18] 、翌4月23日からは九州地区でCM放映が再開されている[19] ほか、5月18日発売のミニアルバム「Boom!」発売元のビクターエンタテインメントがCMを同曲のフルサイズ(3分27秒)に再構成したミュージックビデオを作成(監督は同CMも手がけた田中嗣久)して公開した[20][21]。
YouTubeにアップロードされた「特別編 180秒」の動画は、複数の関係者による重複掲載分も含めた日本国内での合計再生回数は2011年12月時点で350万回を超えた。これは、2011年にアップロードされたYouTubeの動画のうち、音楽、震災関連動画を除く再生回数総合ランキング1位であるという[22][23]。
このCM動画を観て触発された秋田市在住の公務員や、仙台市の市民ボランティアのTwitterでの呼びかけにより、東日本大震災で長期運休となった東北新幹線・秋田新幹線が全線で運転再開する2011年4月29日に、東京駅からの下り一番列車となる「はやて・こまち115号(新青森・秋田行)」を沿線で手を振って迎えようというプロジェクトが企画され、当日は沿線で多くの人が「はやて・こまち115号」に向かって手を振る様子が見られたという[24][25]。こちらもYouTubeやニコニコ動画にアップロードされた。
CM全バージョン及び特典として車窓からの映像を収録したDVDが製作されている。期間数量限定、定価1000円(税込)で発売されたが、反響が大きく複数回の追加販売が行なわれ(内容は各回販売とも同じ)、DVDの売り上げの一部200円は東日本大震災の義援金として寄付された[26]。DVD購入者は九州内よりも関東圏からの申し込みが多かったという[27]。
全区間開業1周年となる2012年3月12日、HOMETOWN EXPRESS 「祝!九州」写真集が発売。
本CMおよびCMの企画が以下の賞を受賞している。
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