防衛不祥事(ぼうえいふしょうじ)は、日本において自衛隊や防衛省、またはこれらに所属する自衛隊員、自衛官が組織として、防衛省職員としてふさわしくない行為(信用失墜行為)を起こすことをいう。国防不祥事や軍事不祥事とも言われ、外国軍による事例の場合は該当国の軍隊や国防省、またはこれらに所属する職員・軍人による同様の信用失墜行為を指す。
その態様は
- 個人によるもの(性犯罪、暴力事件、窃盗、横領、飲酒運転、薬物など)
- 組織的不正行為、特に
- 複数人が関与する不正行為または組織ぐるみの隠蔽工作
- 職務上特有の立場を利用した不正行為(情報漏洩・ハラスメントなど)または汚職(贈収賄・談合など)
に区別される。本項では主に後者に該当する事案を列挙する。
- 1971年8月 - 実尾島事件。
- 2005年1月 - 陸軍の中隊長が便所の水を流していない訓練兵らに立腹し、全員を集めて指を大便につけるよう強要し、それでも誰も自首しなかったため、大便つきの指を口に入れるよう命令した(韓国陸軍訓練所食糞事件)。
- 2005年6月 - 漣川軍部隊銃乱射事件。北朝鮮とのDMZ(非武装地帯)に隣接する最前線警戒所で任務に当たっていた22歳の兵士が、日常的な上官からの言葉の暴力に耐えかね、手榴弾と自動小銃の乱射により同僚兵士8人を射殺・爆殺する事件が発生。
- 2011年7月 - 海兵隊で、19歳の兵士が部内のいじめに耐えかねて自動小銃を周囲に乱射し、手榴弾で自殺を図る。4人死亡、本人を含む2人負傷(江華島海兵隊銃乱射事件)。
- 2014年4月 - 陸軍第28師団の1等兵が死亡した事件(漣川後任兵暴行致死事件)
- 2014年6月 - 江原道高城郡で、境界線の警備などを担当していた韓国軍の兵長が、同僚に手榴弾を投げ、自動小銃を乱射し、逃亡(江原道高城郡兵長銃乱射事件)。
- 2017年11月 - 李明博政権時代に軍サイバー司令部に命じ、世論を操作するためインターネット空間に与党に有利な書き込みをするように指示したとして、当時国防部長官だった金寛鎮が軍刑法(政治関与)違反などの疑いで逮捕された。司令部要員の採用の際に革新系勢力が強い全羅道出身者を排除した職権乱用の疑いもある[167]。
- 2014年、ブリスベンで開催された「国防と退役軍人の自殺に関する王立委員会」の公聴会初日、悲嘆に暮れる母親がオーストラリア国防軍内の「いじめの文化」に対して発言した。ニッキー・ジェイミーソンさんは2014年、わずか2年の兵役を終えた息子を自殺で亡くした。[168]
- 2016年1月、オーストラリア国防軍の隊員による集団レイプ、セクハラ、いじめが、100件以上の虐待に対する賠償請求に挙げられているが、請求者の代理人を務める弁護士は、国防軍の対応を称賛している。[169]
- 2016年6月28日、オーストラリア空軍士官候補生(AAFC)の元生徒であり教官であった女性が、17年間勤務した組織について痛烈な評価を下し、児童保護が「冗談」のように扱われていると委員会に語った。[170]
- 2019年8月、元海軍司令官が7件の児童性犯罪で有罪判決を受け、今後2年間を刑務所で過ごし、15年間を児童性犯罪者名簿に登録された。[171]
- 2020年11月29日、国防軍は2009〜2013年にアフガニスタンに駐留していた特殊部隊の一部が民間人、捕虜39人を不法に殺したことを示す「信用できる証拠」があるとする報告書を発表した。報告書では現役と退役した軍人計19人が警察の調べを受けるべきだとした[172]。2023年3月20日、吉本興業に所属していた元芸人が、アフガニスタンでの戦争犯罪容疑で逮捕された[173]。
- 2021年3月、20歳の陸軍兵士がダーウィン訓練による熱中症の疑いで死亡[174]
- 2021年、オーストラリア陸軍はシドニー大学連隊の士官候補生に対するいじめとハラスメントの疑惑を調査している。[175]
- 2021年、ビクトリア州のラッチフォード兵舎でのいじめをめぐり、若い元兵士の弁護士がオーストラリア国防軍を相手取って裁判を起こしている。[176]
- 2021年10月、オーストラリア国防軍における歴史的な身体的・性的虐待の報告は、生存者に賠償金を支払うために設立された制度が終了に近づく中、昨年1年間で約1000件に急増した。[177]
- 2022年1月、情報公開請求により、クイーンズランド州を拠点とするオーストラリア国防軍兵士数十人が、過去2年半の会計年度において違法薬物の乱用を理由に懲戒免職されたことが明らかになった。[178]
- 2022年3月17日、オーストラリア陸軍の元兵士がいじめの末に懲戒免職除隊を拒否される[179]
- 2022年6月24日、オーストラリア陸軍将校が、後に命を絶った同僚をいじめた疑いで昇進した。[180]
- 2022年7月21日、オーストラリア国防軍は性的不祥事への対処を怠ったことを認める[181]
- 2023年7月17日、「国防と退役軍人の自殺に関する王立委員会」は、主要課題の中に「ひどい国防文化」を挙げている。[182]
- 2023年9月6日、クイーンズランド州北部で2人の兵士が死亡したオーストラリア陸軍車両事故をめぐり、国防省が連邦労働安全衛生法違反で起訴された。[183]
- 2023年11月16日、オーストラリア陸軍の新兵が銃器訓練中に自殺を図り、重体となっている。[184]