陸上自衛隊高等工科学校
陸上自衛隊の教育機関 ウィキペディアから
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陸上自衛隊高等工科学校(りくじょうじえいたい こうとうこうかがっこう、英語:JGSDF High Technical School; HTS)は、神奈川県横須賀市御幸浜の陸上自衛隊武山駐屯地に所在する防衛大臣直轄の教育機関。中学校を卒業予定または卒業の15歳以上17歳未満の男子[注釈 1]を対象に、将来、陸曹となるべき者の養成を目的とする。
高等学校ではないが3年制で、通信制高等学校と連携しており高等学校卒業資格の取得が可能[2]。「自衛隊版の高校[3]」と称される。全寮制。略称は
高等工科学校生徒(旧 陸上自衛隊生徒)の教育を行なう施設として、2010年(平成22年)3月26日に陸上自衛隊少年工科学校から改編された。施設の位置づけ(陸上幕僚長の指揮監督を受ける防衛大臣直轄の機関)及び所在地は旧校と変わらない。1学年あたりの生徒数は2018年(平成30年)度まで約320名だったが、翌年以降は約350名に増員[注釈 2]。一方、応募者数と受験倍率は減少傾向にある[注釈 3]。
中学校を卒業し、採用試験を経て高等工科学校生徒に任命された者が入校する。一条校ではないので、生徒が高等学校卒業資格を得るために通信制高等学校である神奈川県立横浜修悠館高等学校と技能提携している[3]。
学費や寮費は無償であり、所定の給与が生徒に支給される[3]。
原則的に、本校卒業後の4月1日に陸上自衛官となり、陸士長の階級を与えられ、約1年間の教育を経た後に3等陸曹に昇任する[2]。本校に在校中の身分は自衛官ではなく[注釈 4]、防衛大学校本科学生と同様に「特別職国家公務員」たる自衛隊員[2]である。
生徒制度の改編に際しては生徒の募集を停止しなかったため、当初は旧制度の生徒と新制度の生徒が混在していた[注釈 5]。旧生徒の身分は自衛官であった[8]。
少年期から専門的な軍事教育を施し、卒業後は早々に曹に任官して自衛隊の業務を正式な職業とする者となり、また多くの出身者が幹部候補生制度を通し幹部を目指すなど共通点が多いことから、本校は帝国陸軍における陸軍少年飛行兵学校・陸軍少年戦車兵学校・陸軍少年通信兵学校等(陸軍少年飛行兵・陸軍少年戦車兵・陸軍少年通信兵等)に類似する。なお、陸軍幼年学校は元より将校候補者を少年期から養成する軍学校であり、曹(下士官)候補者を養成する高等工科学校とは教育の位置付けが異なるが、制服常装冬服の装飾(肩章・袖章の飾線や形状)や「模範生徒」制度に幼年学校の影響がある。
2022年(令和4年)12月に閣議決定された防衛力整備計画では、自衛隊の人的基盤の強化の一環として「陸上自衛隊高等工科学校については各自衛隊の共同化及び男女共学化を実施する」とされた[9]。2023年3月の国会答弁で浜田靖一防衛大臣らは、これらの施策を2028年(令和10年)度から開始することを明らかにした[1]。
本校の教育内容は、一般の普通科高校に相当する「一般教育」、専門分野を教育する「専門教育」、自衛官としての素地を作る「防衛基礎学」の3分野に分けられ、それぞれの専門教官が授業を行う[2]。
基本、平日は7時間授業で水曜日は8時間、金曜日は6時間である。週休2日制[3]。外出は原則的に休日のみであり、定められた時間と行動範囲内に限り許可される[2]。休日の外泊は許されていない。携帯電話は1学年の冬休み明けから持てるが、生徒の生活態度により遅らせられたり、禁止になることがある[注釈 6]。
クラブ活動の体育クラブは横浜修悠館高校の名義で対外試合を行っており、軟式野球部の全国大会優勝(2013年)[14]、剣道部の定通制全国大会25連覇(1990年-2014年)[15]などの実績がある。各生徒は特定クラブ(ドリル部/吹奏楽部/和太鼓部/サイバー・コンピュータ部)か、もしくは体育クラブと文化クラブの両方に所属しなければならない。但し、2学年からは文化クラブを続けるか否か選択できる。2022年より文化クラブに新しくeスポーツ部ができた。
代 | 氏名 | 在任期間 | 出身校・期 | 前職 | 後職 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 山形克己 | 2010年 | 3月26日 - 2010年 3月28日生徒15期・ 防大20期 | 陸上自衛隊少年工科学校長 兼 武山駐屯地司令 | 退職 |
2 | 市野保己 | 2010年 | 3月29日 - 2012年 3月29日生徒19期・ 防大24期 | 中部方面総監部幕僚副長 | 富士教導団長 |
3 | 菊池哲也 | 2012年 | 3月30日 - 2014年 3月25日中央大学法学部[注釈 7] | 陸上幕僚監部法務官 | 第4師団副師団長 兼 福岡駐屯地司令 |
4 | 小和瀬一 | 2014年 | 3月26日 - 2016年 3月22日生徒24期・ 東京理科大学[注釈 8] | 第4師団司令部幕僚長 | 陸上幕僚監部監察官 |
5 | 滝澤博文 | 2016年 | 3月23日 - 2018年 3月26日生徒24期・ 防大29期 | 中部方面総監部防衛部長 | 第6師団副師団長 兼 神町駐屯地司令 |
6 | 堀江祐一 | 2018年 | 3月27日 - 2020年 3月17日生徒26期[16]・ 日本大学[注釈 9] | 第8師団副師団長 兼 北熊本駐屯地司令 | 東北方面総監部幕僚副長 |
7 | 岩名誠一 | 2020年 | 3月18日 - 2022年 3月22日生徒27期・ 防大32期 | 東北方面総監部幕僚副長 | 退職 |
8 | 富崎隆志 | 2022年 | 3月23日 - 2023年 4月20日生徒29期・ 法政大学[注釈 10] | 北部方面総監部幕僚副長 | 第11旅団長 |
9 | 今井俊夫 | 2023年 | 4月21日 - 2024年 3月27日防大40期 | 東北方面総監部幕僚副長 | 統合幕僚監部首席後方補給官 |
10 | 篠村和也 | 2024年 | 3月28日 -生徒28期・ 防大33期 | 陸上幕僚監部法務官 |
陸上自衛隊生徒を参照。
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