賄賂
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賄賂(わいろ)は、汚職の一形態。主権者の代理として公権力を執行する為政者や官吏が権力執行の裁量に特別な便宜を計ってもらうことを期待する他者から受ける不正な財やサービスのこと[1]。賂(まいない)とも呼ばれる[2]。賄賂を受け取ることを「収賄」、贈ることを「贈賄」、両方の行為を合わせて「贈収賄」と呼ぶ[3]。
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多くの国で、賄賂を取り締まり罰する法律を有している。
賄賂を放置した場合、賄賂によって公務員の裁量の公正が歪められる。仮に裁量そのものが適正なものであったと仮定しても、賄賂の授受の事実のみで国民は公務員の裁量の公正を疑い、公務への社会の信頼が損なわれる。こうした点からしても、賄賂が公認される余地はないこととなる。
日本を含む腐敗防止条約の締約国は、故意に行われる次の行為を犯罪とするため、必要な立法その他の措置をとることとされている(15条)。
(a) 公務員に対し、当該公務員が公務の遂行に当たって行動し、又は行動を差し控えることを目的として、当該公務員自身又は他の者若しくは団体のために不当な利益を直接又は間接に約束し、申し出、又は供与すること。
(b) 公務員が、自己の公務の遂行に当たって行動し、又は行動を差し控えることを目的として、当該公務員自身又は他の者若しくは団体のために不当な利益を直接又は間接に要求し、又は受領すること。
日本における賄賂の意味は、刑法ではなく、個別事件に対応した判例や決定により定義されている。
賄賂の目的物は、有形無形を問わず、人の需要・欲望を満たすに足りる一切の利益を含む。明治43年12月19日大審院判決(大審院刑事判例集16巻2239頁)
日本国の賄賂罪は、以下が対象となる。
賄賂は、権力機構の成立に付随して出現する。歴史上、法で明確化された徴税機構が機能している際には賄賂は違法とされるが、法制上の徴税機構が存在しないか機能不全に陥った際には、貢租と賄賂の区別が不明確になる。官職売買なども、主権者の定める法制によって公認された行為であれば賄賂とはされない。
また、近代以前の日本では、礼銭と賄賂の区別は明確ではなく、裁判などで礼銭名目で官吏に賄賂を贈って有利を得ようとする行為は、当時の常識的範囲内のものであれば賄賂とは考えられていなかった。
近代国家では、賄賂は違法とされ罰則が設けられるようになった。
また1997年に、経済協力開発機構で『国際商取引における外国公務員に対する贈賄の防止に関する条約』が制定され、外国公務員に対する贈賄も法規制の対象になった。贈収賄いずれの当事者も、所属しない国家から摘発の対象とされることもある(例:アメリカ合衆国の連邦海外腐敗行為防止法、イギリスの2010年贈収賄法)。
国際標準化機構(ISO)が2016年10月に発効させた「ISO37001」は、贈収賄防止に特化した国際標準規格である。日本では双日がコンプライアンスの一環として2019年に取得しており、金銭を贈ることを禁止しただけでなく、贈答や接待、旅費負担についても、社内規則を設けた[5]。
中華人民共和国では、公務員を始め、商談の場や医療を受ける際などで、賄賂が盛んに行われている[6]。2005年には、発覚したものだけで一ヶ月当たり約29億円(うち23%が国家公務員のもの)という調査もある[6]。
公務員の賄賂に対しての処罰は厳しく、2007年にも賄賂を受け取った高官が死刑に処されている。
中央政府は腐敗防止局を2008年に新設したが、手口の巧妙化や予算の制約による限界が指摘されている[6]。
2012年に就任した習近平中国共産党総書記は、「汚職は国を滅ぼす」と述べ腐敗撲滅を目指している。
医療では、賄賂は長い間「暗黙の了解」とされてきた[7]という。これについては、調査対象の約7割が医者へ賄賂を渡したという報告がある[7]。
菓子箱の底に小判を隠すのは、時代劇等でもよく使われ、その小判のことを「山吹色のお菓子」「黄金色のお菓子」という隠語で表現される[注 1]。
また袖の下(そでのした)という隠語もある[8]。
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